JPH05253863A - 携帯工具装置用の工具および工具ホルダ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 ハンマードリル装置等の携帯工具装置におけ
る工具ホルダおよび工具シャンクの摩耗を低減可能であ
り、工具装置の作動範囲を拡大し得るドリル／チゼル工
具および工具ホルダを提案すること。 【構成】 工具シャンク（11）は、相互に非対向位置に
配置される複数の連動溝（13, 14, 16）と、少なくとも
１個の係止溝（12）とを具える。これら連動溝は、工具
ホルダにおける連動素子（23, 24, 26）を軸線方向から
導入し得るよう工具シャンクの遊端（17）において開放
形状を有する。係止溝は、工具ホルダにおける係止素子
（28）を半径方向から導入するものであり、工具シャン
ク遊端に隣接する端部が工具の軸線方向変位を制限する
よう閉鎖形状を有する。本発明では、工具に係止溝（1
2）の対向位置で付加的な連動溝（15）を設けると共
に、工具ホルダには係止素子（28）の対向位置で付加的
な連動素子（25）を設ける。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【技術分野】本発明は、ハンマードリル装置等の携帯工
具装置用のドリル／チゼル工具および工具ホルダに関す
るものである。

【０００２】さらに詳述すると、本発明の対象とする工
具は、工具ホルダに装着される工具シャンクを具え、工
具シャンクには相互に直径非対向位置に配置される複数
の連動溝が形成され、これら連動溝は工具ホルダにおけ
る連動素子を軸線方向から導入し得るよう工具シャンク
の遊端において開放形状を有し、工具シャンクには工具
ホルダにおける少なくとも１個の係止素子を半径方向か
ら導入する少なくとも１個の係止溝が更に形成され、こ
の係止溝は、工具シャンクの遊端に隣接する端部が工具
の軸線方向変位を制限するよう閉鎖形状を有するもので
ある。

【０００３】

【従来技術】上述した構成を有するドリル／チゼル工具
は、例えばドイツ特許第 25 51 125号および同第 37 16
915号各明細書に開示されており、一定の角度位置にお
いてのみ工具ホルダに装着可能とされている。特に、ド
イツ特許第 37 16 915号明細書に開示されている工具は
相互に直径対向位置に配置される２個の係止溝を具え、
これら係止溝は両端閉鎖形状とされている。かかる形状
は、当該特許に係る工具が一般に普及している重量級ハ
ンマードリル装置にも装着すべきものである点で重要な
形状である。この種のハンマードリル装置においては、
相互に直径対向位置に配置される係止溝が、単に工具ホ
ルダに対する工具の係止に止まらず、トルク伝達にも関
与するからである。

【０００４】ドイツ特許第 37 16 915号明細書に係る工
具およびハンマードリル装置は、特に、工具の両係止溝
間における連動溝の顕著な摩耗が実用上の問題点として
指摘されている。そして、同様の摩耗は工具ホルダにお
ける対応部分にも認められる。言うまでもなく、連動溝
における摩耗が進行すると、トルクの大部分を係止素子
および係止溝により伝達する必要が生じ、工具ホルダが
早期に損傷することになる。工具ホルダの損傷は、単に
使用者の費用負担の増加に止まらず、工場での修理が必
要とされるために必然的に作業の遅延を招来する。さら
に、損傷の可能性に鑑み、ドリル工具および携帯工具装
置の最大作動径が制限される。

【０００５】

【発明の開示】したがって、本発明の主たる目的は、工
具ホルダおよび工具シャンクの摩耗を大幅に低減するこ
とができ、しかも、携帯工具装置の作動範囲を拡大し得
ると共に一般的に使用されている重量級ハンマードリル
装置にも装着可能なドリル／チゼル工具を提案すること
である。

【０００６】この目的を達成するため、本発明によるド
リル／チゼル工具は、携帯工具装置における工具ホルダ
に装着される工具シャンクを具え、該工具シャンクには
相互に直径非対向位置に配置される複数の連動溝が形成
され、該連動溝は工具ホルダにおける連動素子を軸線方
向から導入し得るよう工具シャンクの遊端において開放
形状を有し、前記工具シャンクには工具ホルダにおける
少なくとも１個の係止素子を半径方向から導入する少な
くとも１個の係止溝が更に形成され、該係止溝は、工具
シャンクの遊端に隣接する端部が工具の軸線方向変位を
制限するよう閉鎖形状を有する工具において、付加的な
連動溝を前記係止溝に対して略直径対向位置に配置した
ことを特徴とするものである。

【０００７】付加的な連動溝を係止溝に対して略直径対
向位置に配置してなる本発明のドリル／チゼル工具によ
れば、不所望の摩耗を大幅に低減することが可能であ
る。これは、工具ホルダ内における工具の軸線方向変位
を許容するために係止溝の50％程度の軸線方向長さとさ
れている係止素子と対比して、付加的な連動溝および関
連する連動素子が軸線方向により長いため、付加的な連
動溝および連動素子の間の接触面積を従来構造における
接触面積の数倍程度に増大し得ることに基づくものであ
る。

【０００８】本発明による顕著な摩耗低減効果は、次の
理由により一層増強される。すなわち、特に摩耗進行時
点での工具ホルダ内における係止素子の半径方向での所
要の可動性に基づいて、工具装着時に係止素子の姿勢が
変化するため、係止素子と係止溝との間にもっぱら線接
触のみが達成される。これに対し、本発明の好適な実施
例により連動溝を平坦な側面を有するものとする場合に
は、連動溝を大面積をもって連動素子と接触させること
が可能である。

【０００９】本発明による工具を一般に普及している重
量級ハンマードリル装置に装着可能とするため、付加的
な連動溝は工具ホルダにおける付加的な係止素子を嵌合
させる断面形状とし、該係止素子を、係止溝内に嵌合さ
せる係止素子に対してほぼ等しい断面積を有するものと
して相互に鏡像対称的に配置する実施態様が有利であ
る。付加的な連動溝の断面形状は、円弧状とすることも
できる。このような構成の工具は、ハンマードリル装置
に関連する前述の欠点を伴わずにハンマードリル装置に
装着することができる。

【００１０】本発明の完全な利点は、工具を対応する工
具ホルダに装着したときに初めて達成されるものであ
る。したがって、本発明は、ドリルおよび／またはチゼ
ル工具における工具シャンクの連動溝内に軸線方向から
導入されるよう相互に直径非対向位置に配置される複数
の連動素子を具え、さらに、前記工具シャンクにおける
係止溝内に半径方向から導入される少なくとも１個の係
止素子を具える工具ホルダに関するものでもある。

【００１１】すなわち、本発明の付随的な目的は、上述
した構成のドリル／チゼル工具と組合わせて使用された
ときに工具ホルダおよび工具シャンクの摩耗を大幅に低
減することができ、しかも、携帯工具装置の作動範囲を
拡大し得る工具ホルダを提案することにある。

【００１２】この目的を達成するため、本発明による工
具ホルダは、付加的な連動素子を前記係止素子に対して
略直径対向位置に配置し、好適には、付加的な連動素子
の側面を略平坦形状としたことを特徴とするものであ
る。

【００１３】

【発明を実施するための最良の形態】以下、図示実施例
につき本発明を一層具体的に説明する。

【００１４】図１および図２に示す本発明の実施例に係
るドリル／チゼル工具は、ドリル工具、チゼル工具また
はドリル・チゼル兼用工具として構成されており、ハン
マードリル装置等の携帯工具装置における工具ホルダに
装着されるシャンク11を具える。工具シャンク11には、
係止溝12と、相互に直径非対向位置に配置された３本の
連動溝13, 14, 16と、係止溝12に対向する直径位置に配
置された連動溝15とを設ける。連動溝13, 14, 15, 16は
平坦な側壁20を有し、かつ、シャンク11の遊端で終止す
る構成とする。係止溝12内に嵌合させる係止素子18、並
びに係止素子18と鏡像対称的に配置されて連動溝15内に
嵌合させる係止素子19は、いずれも破線で表されてい
る。なお、係止素子18, 19を表した図１における破線
は、工具シャンク11および係止素子18, 19間の僅かな軸
線方向接触面を示すものである。

【００１５】図３は、ハンマードリル装置に設けられた
本発明による工具ホルダ21の実施例を示す横断面図であ
る。工具ホルダ21は、工具シャンク11における連動溝1
3, 14, 15, 16に適合する連動素子23, 24, 25, 26を具
えている。工具シャンク11における係止溝12内には、工
具ホルダ21に形成した切り欠き27内で案内され、かつ、
係止リング22により支持される係止素子28を嵌合させ
る。

【００１６】本発明による工具および工具ホルダは、容
易かつ確実に所期の課題を解決するものであり、製造コ
ストの増加を何ら伴わずに工具および工具ホルダの摩耗
を効果的に低減し得るものであることを実験的に確認し
た。特に、工具ホルダの製造コストを顕著に低減するこ
とができ、これは連動素子25を含む全ての連動素子が材
料変形のみにより一体成形されること、並びに１個の係
止素子のみの使用により切り欠き27および係止素子28の
コストが半減されることに基づくものである。

【００１７】さらに、本発明において１個の係止素子の
みを使用する場合でも、工具および工具ホルダにおける
各係止部分の安全性および耐摩耗特性に何ら悪影響が及
ぼされないことも実験的に確認した。一般に普及してい
る従来形式の重量級ハンマードリル装置における２個の
係止素子は、本発明の工具を装着する場合には係止目的
で使用されるものでなく、もっぱら連動素子として使用
される。これは、従来形式のハンマードリル装置におい
ては本発明の工具に対応する特殊な連動素子が設けられ
ていないからである。

【００１８】以上の説明は、単に本発明を実施する最良
の実施形態を例示するに過ぎず、本発明が上記以外の種
々の変形態様をもって実施し得ることは言うまでもな
い。

【図面の簡単な説明】

【図１】図１は、本発明による工具の一実施例における
工具シャンクを示す側面図である。

【図２】図２は、図１のII−II線に沿う横断面図であ
る。

【図３】図３は、ハンマードリル装置に設けられた本発
明による工具ホルダの一実施例を、工具シャンクの保持
状態で示す横断面図である。

【符号の説明】 11 工具シャンク 12 係止溝 13, 14, 16 連動溝 15 付加的な連動溝 17 工具シャンク遊端 23, 24, 26 連動素子 25 付加的な連動素子 28 係止素子

Claims (6)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ハンマードリル装置等の携帯工具装置に
   おける工具ホルダに装着される工具シャンク（11）を具
   え、該工具シャンク（11）には相互に直径非対向位置に
   配置される複数の連動溝（13, 14, 16）が形成され、該
   連動溝（13,14, 16）は工具ホルダにおける連動素子（2
   3, 24, 26）を軸線方向から導入し得るよう工具シャン
   ク（11）の遊端（17）において開放形状を有し、前記工
   具シャンク（11）には工具ホルダにおける少なくとも１
   個の係止素子（28）を半径方向から導入する少なくとも
   １個の係止溝（12）が更に形成され、該係止溝（12）
   は、工具シャンク（11）の遊端（17）に隣接する端部が
   工具の軸線方向変位を制限するよう閉鎖形状を有するド
   リルおよび／またはチゼル工具において、付加的な連動
   溝（15）を前記係止溝（12）に対して略直径対向位置に
   配置したことを特徴とするドリル／チゼル工具。
2. 【請求項２】 請求項１記載のドリル／チゼル工具にお
   いて、付加的な連動溝（15）を係止溝（12）より大きく
   形成したことを特徴とするドリル／チゼル工具。
3. 【請求項３】 請求項１または２に記載のドリル／チゼ
   ル工具において、付加的な連動溝（15）は、側面を略平
   坦形状としたことを特徴とするドリル／チゼル工具。
4. 【請求項４】 請求項１または２に記載のドリル／チゼ
   ル工具において、付加的な連動溝（15）は工具ホルダに
   おける付加的な係止素子（19）を嵌合させる断面形状と
   し、該係止素子（19）を、係止溝（12）内に嵌合させる
   係止素子（18）に対してほぼ等しい断面積を有するもの
   として相互に鏡像対称的に配置したことを特徴とするド
   リル／チゼル工具。
5. 【請求項５】 ドリルおよび／またはチゼル工具におけ
   る工具シャンク（11）の連動溝（13, 14, 16）内に軸線
   方向から導入されるよう相互に直径非対向位置に配置さ
   れる複数の連動素子（23, 24, 26）を具え、さらに、前
   記工具シャンク（11）における係止溝（12）内に半径方
   向から導入される少なくとも１個の係止素子（28）を具
   える工具ホルダにおいて、付加的な連動素子（25）を前
   記係止素子（28）に対して略直径対向位置に配置したこ
   とを特徴とする工具ホルダ。
6. 【請求項６】 請求項５に記載の工具ホルダにおいて、
   付加的な連動素子（25）は、側面を略平坦形状としたこ
   とを特徴とする工具ホルダ。