JPH05253012A - 複合宝飾材の製造方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】複合宝飾材を製造するに、造形体と母材との冶
金的接合を確実にし、その接合面間の間隙を無くし、完
全な接合を形成し、接合面の輪郭を鮮明にし、色調さを
明瞭にし、製品に対する信頼性を向上するようにする。 【構成】相互に異なる２種の異種異色の金属母材１，１
' に対しワイヤーカット放電加工を介し、所定デザイン
サイズの造形体２，２' を抜き取り加工し、母材の抜取
り孔３，３' に対し造形体２，２' を相互の組み合わせ
を異ならしめて挿入し、減圧処理して接合面の間隙から
ガス抜きを行い、次いで、熱間等方加圧処理を行って造
形体と母材の接合面間に拡散接合を確実に行う。 【効果】造形体と母材の接合面の輪郭を鮮明にし、色調
さを明瞭にし、ピンホールやブローホール等の不健全部
が接合面に形成しないようにし信頼性の高い複合宝飾を
得ることが出来るようにする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】開示技術は、例えば、二種類等相
互に異なる種類であって、又、異なる色彩を有する宝飾
用の金属母材を相互に密着状態で冶金的に密着接合し、
両者間に全く間隙が介在しないようにして優れた意匠性
を有する宝飾材の製造の技術分野に属する。

【０００２】

【従来の技術】周知の如く、市民生活が向上すると、単
に、衣，食，住のレベルアップのみならず、さまざまな
用品がその意匠性もハイグレードなものが求められるよ
うになり、単に、私的な個人生活のみならず、各種工業
製品等においても審美性に秀れたデザインのものが求め
られるようになり、工芸品ばかりでなく、生産材に於い
てもその傾向が強くなる勢いにある。

【０００３】而して、これらの工芸品や生産材に於ける
形状は単なる外形的，構造的な面のみならず、材質的な
面からも厳しい要求がなされるようになり、金属材料を
母材とする宝飾材はデザインの多様化により、単一材料
からの意匠性に限界をきたしており、近時、異種異色と
母材とする組み合わせによる複合宝飾材によるニーズが
急激に高まって生産者側からもこれにマッチングする技
術開発が盛んになってきており、近時冶金的に相互にな
じみ難い異種異色材料に対する複合宝飾放電加工が可能
であるように研究が進みつつある。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】そして、現今における
異種異色材料による複合宝飾材は求められるデザインや
サイズ，強度等の条件によりろう付けによる接合と熱圧
接による接合が選択的に採用されてきていた。

【０００５】しかしながら、相互に異種異色の複合宝飾
材は本来的に異種異色母材間の密着接合がその製造工程
は勿論のこと、使用状態における信頼性からも極めて厳
しく求められるものであるにもかかわらず、該種ろう付
けによる接合や熱圧接による接合では次の如くユーザ側
のニーズに完全応えることが出来ない問題があった。

【０００６】即ち、上述した如く、近時要求されるデザ
インの高度化や複雑化により、異種異色金属の一方側の
母材、及び、他方側の母材との複雑接合面を確実に密着
接合状態に成形加工することは成形技術上も多くの工程
や極めて高度の熟練を要し、又、素材歩留りやコストの
面からも厳しいものがあり、更に、相互に別加工するこ
とによる接合面に微小間隙の介在が避けられず、その限
り、接合後該微小間隙間にガス等が存在すると冶金的な
不健全接合を生じたり、ピンホールやブローホール等が
生じ易く、接合不良や未接合部分が生じ、製品の信頼性
に欠けるという不都合がある。

【０００７】即ち、ろう付けによる接合方法では溶化し
たろうを侵透させて両母材を接合プロセスにおいて侵透
させるろう材，ろう回りが一定でないという難点があ
り、ろう付け温度の変動によってはろう材と母材との間
に異常な溶融反応が生じ、異質な合金層の形成が生じか
ねないという不具合がある。

【０００８】そして、製品的にはデザインの輪郭が不鮮
明になる現象を生じ、又、介在するろう材の色調が形成
されることから、複合宝飾材として本来的に好ましくな
い審美性に劣る接合面が形成されるという欠点がある。

【０００９】一方、熱圧接法を用いる場合には、異種異
色の両母材を装着した後、治工具により接合体の周囲を
クランプして緊締させ、雰囲気電気炉により加熱処理を
介し相互拡散を生じるようにするが、かかるプロセスで
は治工具による緊締力に限界があるマイナス点があり、
これによって両母材間に介在する間隙を皆無にすること
は不可能であり、該間隙に潜在的にガスが介在したり、
混入し易くなる不都合さがあり、結果的に未接合面が形
成される虞が生じ、当然のことながら、製品としての審
美性を悪くするという欠点がある。

【００１０】したがって、いずれにしても宝飾材の審美
性に致命的な欠陥を与えるデメリットがあった。

【００１１】

【発明の目的】この出願の発明の目的は上述従来技術に
基づく高いニーズがあり、複雑高度なデザインが採用可
能である異種異色母材による複合宝飾材製造の問題点を
解決すべき技術的課題とし、異種異色母材の接合である
にもかかわらず、接合面に於ける間隙が確実に生じない
ようにし、接合面の輪郭不鮮明さによるデザイン上の欠
陥をなくし、高度なニーズに確実に応えることが出来、
審美性に充分な満足度を与えるようにして金属製品産業
におけるデザイン技術利用分野に益する優れた複合宝飾
材の製造方法を提供せんとするものである。

【００１２】

【課題を解決するための手段・作用】上述目的に沿い先
述特許請求の範囲を要旨とするこの出願の発明の構成
は、前述課題を解決するために、複雑で高度なデザイン
を有し、充分に審美性を有する複合宝飾材を相互に異種
異色の複数の母材から形成するに、当該相互に異種異色
の母材に対し、設計形状デザインの造形体をワイヤーカ
ット放電加工により確実に設計通りに形成し、相互の接
合面が完全に密着し得るようにし、宝飾材としてデザイ
ン的にも満足し得る相互に異種異色の複数の母材を用
い、而して、造形体を各母材から抜き取り加工し、その
後、抜き取り加工された造形体を当該造形体の母材とは
異なる組み合わせの異種異色の母材の抜取り孔に挿入し
接合材とし、該接合材を所定の容器内にセットし、該容
器を設計真空度まで減圧して造形体と母材との相互の接
合面間に形成される間隙内（在る場合には）のガスを脱
気し、そのプロセスにおけるピンホールやブローホール
の形成を生じさせないようにし、而して、容器を減圧状
態に維持して熱間等方加圧装置内に該容器ごと収納セッ
トし、不活性ガスを所定圧供給し、当該設定加圧状態で
設定温度まで加熱すると共に高圧状態にし、その後、冷
却し造形体と母材との接合面間に拡散接合を生じさせる
ようにし、造形体と母材との間に冶金的な緊密な接合状
態を現出させ、鮮明な接合境界面を形成させ、充分に審
美性に富み、多様化するデザインに確実に順応すること
が出来るようにした技術的手段を講じたものである。

【００１３】

【実施例】次に、この出願の発明の実施例を図面に従っ
て説明すれば以下の通りである。

【００１４】図１、乃至、図８に示す実施例は自動車の
エンブレム，イヤリング，ブライダル，記念メダル，メ
モリアル等に適宜使用可能な複合宝飾材の製造態様であ
り、相互に異種異色としてのＫ１８の黄帯色金合金とＫ
１８の白帯色金合金の直径２５ｍｍ，長さ１００ｍｍの
円柱材１（１' ）を宝飾材料の金属母材として予め所定
に形成して用意し、各円柱材の母材１（１' ）（尚、図
示の都合上図１，図３に於いては一方側の円柱材が示さ
れている）、そして、各円柱材の母材１（１'）に対し
同一デザイン，サイズの造形体２（２' ）をその長手方
向に沿って周公知のワイヤーカット放電加工により抜き
取り加工成形し、図２に示す様に、切り取りし、母材１
（１' ）側には図３に示す様に、加工された抜取り孔３
（３' ）が形成されるようにする。

【００１５】したがって、いずれの造形体２（２' ）、
及び、母材１（１' ）に於ける抜取り孔３（３' ）の相
対向する接合面は全く同一サイズ形状に形成されること
になる。

【００１６】そして、相互に異種異色の母材１（１' ）
に対しコンビネーションの異なる造形体２（２' ）を、
即ち、造形体２は母材１' の抜取り孔３' に対し、造形
体２' は母材１の抜取り孔３に対し図４に示す様に、挿
入嵌合させる。

【００１７】而して、当該挿入プロセスにおいて上述し
た如く、各造形体２（２' ）と母材１（１' ）の抜取り
孔３（３' ）はその接合面が全く同一形状，同一サイズ
であることから、相互に異種異色の造形体２（２' ）と
母材１（１' ）の抜取り孔３（３' ）とは何ら不適合性
はなく、スムースになじんで挿入嵌合されることにな
る。

【００１８】このようにして、接合体４，４' を一対得
るようにする。

【００１９】そして、図５に示す様に、各接合体４，４
' を順に（順番は特に必要ではない）ＳＵＳ３０４の容
器５内に所定に収納セットし、バルブ６を介し真空ポン
プ７により減圧して脱気し、例えば、１０^-5 Torr まで
真空脱気しバルブ６を閉じ姿勢にし容器５を真空状態に
保ち、該容器５を図６に示す様に、周公知の熱間等方加
圧装置内にセットし、蓋体８を介し不活性ガスのアルゴ
ンガス１０を供給し、１０００ｋｇｆ／ｃｍ² の高圧力
状態にし、ヒータ１１により８５０℃に３０分間加熱状
態にし、造形体２，２' と母材１，１' の抜取り孔３，
３' の相対向する接合面に拡散接合を生じさせる。

【００２０】そして、その後、常温状態にまで冷却す
る。

【００２１】そして、このようにして得られた複合宝飾
材１２を図７に示す様に、ワイヤーカットにより３ｍｍ
間隔で切断し、研磨彫金加工（メッセージ化）で図８に
示すピース１４を得る。

【００２２】尚、実験によるデータではかかる拡散接合
を経たピース１４の接合境界面は輪郭は極めて鮮明で充
分な色調を有して製品として充分複合宝飾材として適合
するものであることが確認出来た。

【００２３】尚、この出願の発明の実施態様は上述実施
例に限るものでないことは勿論であり、例えば、相互に
異種異色の金属母材は３種類以上のものを採用して造形
体と母材との挿入嵌合組み合わせを適宜に行う等種々の
態様が採用可能である。

【００２４】又、造形体の抜き取り加工については相互
に異なる異種異色の母材からのみでなく、その母材から
の造形体の抜き取り加工物を用いても良いこともまた勿
論のことである。

【００２５】そして、図８に示すピース１４のみなら
ず、例えば、図９に示す実施例のピース１４' にも充分
設計的に対応出来るものである。

【００２６】そして、設計変更的には造形体の母材の抜
き取り加工後の抜取り孔に対する拡散接合の後の研磨彫
金加工に際し、ブラステング処理を行うようにすること
が出来ることは勿論可能である。

【００２７】

【発明の効果】以上、この出願の発明によれば、基本的
に近時需要が激増している工芸品や工業生産物における
複合宝飾材による製品の高度なデザインをより意匠性を
高く、審美性を良好にするべく、相互に異なる異種異色
母材から所望デザインのサイズ造形体をワイヤーカット
放電加工により抜き取り加工して取り出し相互に異なる
母材の加工された抜取り孔内に挿入嵌合したことにより
複雑なデザインの造形体、及び、母材の加工孔は相互に
相対向する接合面がサイズ，形状共に確実になじみ易
く、同一に形成され、後段に於ける拡散接合に際し両者
の間隙の形成が避けられ、確実な拡散接合が出来、又、
間隙が形成されないことから次段の熱間等方加圧に際し
ての減圧よるガス抜きと併せて間隙間にガスの介在がな
くなり、ピンホールやブローホール等の不健全部分が形
成されず、相互に異なる異種異色金属母材の色調さを鮮
明にし、輪郭を明確にし設計通りのデザインを形成する
ことが出来るという優れた効果が奏される。

【００２８】そして、在来態様の熱圧接法等によるクラ
ンパ等を必要とせず、断面形状も円形や方形等限定的な
ものではなく、デザイン的に設計上極めて高い自由度が
得られ、後処理に於ける複雑な機械成形等も不必要とな
り、後工程が簡略化され、コストダウンが図れるという
効果も奏される。

【００２９】そして、複雑形状のデザインも採用が自由
であることから、デザインの多様化に順応出来、ユーザ
の高いニーズにも充分に応えられるという効果が奏され
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】この出願の発明の１実施例の造形体とその母材
の１態様の概略斜視図である。

【図２】同、造形体の概略斜視図である。

【図３】同、母材の加工された抜取り孔の斜視図であ
る。

【図４】相互に異なる異種異色の金属母材の抜取り孔に
対する造形体の挿入プロセス模式図である。

【図５】宝飾材放電加工に対する減圧処理の部分断面図
である。

【図６】熱間等方加圧装置による拡散接合の断面図であ
る。

【図７】拡散接合後の宝飾放電加工のワイヤーカットの
斜視図である。

【図８】切られた放電加工のピースの斜視図である。

【図９】図８相当の他の実施例のピースの斜視図であ
る。

【符号の説明】

１，１' 金属母材 ２，２' 造形体 ３，３' 抜取り孔 ４，４' 宝飾材放電加工

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】相互に異種異色の複数の宝飾材料の金属母
   材から各個に所定形状デザインの造形体を成形加工し該
   各造形体をその母材と異なる母材の造形体抜取り孔の嵌
   合して両者を接合して複合宝飾材を得るようにする複合
   宝飾材の製造方法において、上記造形体を金属母材から
   ワイヤーカット放電加工により抜き取り加工し、該造形
   体をその抜き取り加工後の金属母材の抜取り孔中に嵌合
   して接合材とし、その後接合材を減圧処理し、次いで熱
   間等方加圧処理するようにすることを特徴とする複合宝
   飾材料の製造方法。
2. 【請求項２】上記減圧処理を真空状態にまで行うように
   することを特徴とする特許請求の範囲第１項記載の複合
   宝飾材の製造方法。