JPH05252880A

JPH05252880A - 高圧処理用容器

Info

Publication number: JPH05252880A
Application number: JP4088334A
Authority: JP
Inventors: Keiichi Hori; 恵一堀; Takao Sekimoto; 孝雄関本; Tamotsu Yamane; 保山根; Yoshio Sugimoto; 喜雄杉本
Original assignee: Mitsubishi Heavy Industries Ltd
Current assignee: Mitsubishi Heavy Industries Ltd
Priority date: 1992-03-13
Filing date: 1992-03-13
Publication date: 1993-10-05

Abstract

(57)【要約】【目的】高圧容器に被処理物を充填した容器を投入し
て高圧処理する場合、被処理物の高圧容器に対する容積
率を大きくする。【構成】内部に被処理物１０を密封充填し、高圧容器
に投入して静水圧加圧処理を行なう高圧処理用容器にお
いて、前記高圧容器に投入される容器１を円筒状にする
と共に、少なくとも一端に同円筒容器１の内面に沿って
液密に摺動し、かつ取外し可能なピストン蓋２を設けて
なるものである。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は固形食品等への調味液の
浸透、高圧による食品物性の改質、食品の解凍、固形物
を含む液状又はペースト状食品、同様な医薬品、化粧品
等の高圧殺菌、及び高圧を利用した前処理加工等に使用
する高圧処理用容器に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】食品に数千気圧の高水圧を加えると、蛋
白質や澱粉は変性し、微生物は殺菌される。しかもこの
ときは加熱と異なり、食品の生の風味や栄養素を破壊し
ないことから、食品の新しい調理、加工、殺菌方法とし
て実用化が行なわれつつある。また食品が固形物を含む
液状、或いはペースト状のもの（例えばプレザーブタイ
プのジャム、フルーソース等）の場合は、バッチ処理が
適している。この方法を図６について説明すると、先ず
柔軟なプラスチック製容器（パッケージ）２８に、食品
等の被処理物１０を充填し密封する。２８ａはカップ形
状の容器本体、２８ｂはシール蓋である。容器本体２８
ａとシール蓋２８ｂは一般的に加熱溶着（ヒートシー
ル）により接合し、内部を密封する。このカップパッケ
ージ２８を多数円筒状のバスケット２７に積載し、これ
を高圧容器の中に収納する。高圧容器は高圧容器胴２１
と上蓋２２、下蓋２３より構成され、この蓋には高圧シ
ール２４が設けられ、内部の水圧を液密に保持すること
ができるようになっている。高圧容器内部を満水にした
のち、下蓋２３を貫通する給水口に連結した高圧配管２
６を通じ、高圧ポンプ２５によって高圧水を供給し、容
器内部を高圧とする。このときパッケージ２８は静水圧
を受けて収縮し、内部の被処理物１０も同様の高圧とな
り、変性や殺菌が行なわれる。

【０００３】図７は従来の図６と異なるパッケージの例
である。２９はバスケットの内径に等しい大きさの、専
ら業務用の大型プラスチック製袋である。この場合も被
処理物１０は、予め袋２９に充填されたのちヒートシー
ル等で密封されている。さて図６又は図７において、所
定の時間、高圧に加圧したのち高圧弁３１を開き、加圧
水を放出して高圧容器内を減圧する。減圧後上部蓋２２
を開き、バスケットと共にパッケージ２８（或いは２
９）を取出す。パッケージ２８（２９）は水切り乾燥
し、ラベルを貼り、包装後製品出荷となる。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】図６に示すパッケージ
容器の場合には最終商品となるため、デザイン性を重視
して円形カップ形状とする場合が多いが、これではバス
ケット内へのカップの充填個数が限られ、同時にカップ
間の隙間も多いので、容積率が著しく低く、生産効率が
悪かった。また図７の場合にはバスケット内径にほぼ等
しい大型袋状の容器としているので、容積率は高く、図
６の場合の欠点を解消している。しかしこの場合の大型
袋状の容器は、一部の業務用には適用可能であるが、一
般消費者向には適していない場合が多かった。またパッ
ケージ容器には水圧が内部の被処理物に伝達されるよ
う、柔軟なプラスチック製の成形品が用いられる。一方
ガラス製容器や金属缶容器は、加圧により破損変形して
しまうので使用困難である。これは食品容器の材質選択
の幅を狭める結果となっていた（高級感のあるガラスビ
ン等が使用できず商品形態が限定される）。

【０００５】前記材質選択の幅を狭める方法の１つとし
て図７では、大型袋状の容器を無菌環境下で開封し、無
菌充填装置へ処理済原料を供給できれば、種々な一般消
費者向の小型容器に充填しなおすことも可能であるが、
プラスチック製大型バックのハンドリングが容易でな
く、また一度開封すれば、このようなプラスチック製袋
容器を再使用することは一般に困難であるので、廃棄す
ることになり、経済的でなかった。また食品への高圧利
用については、前述の如く殺菌や変性以外に、冷凍や食
品素材への調味液の浸透、或いは物性変化などが研究さ
れている。これらは概ね前処理であり、次工程で更に加
工処理される。この場合図７の如く、プラスチック製の
袋容器に一度密封し、高圧処理後また開封するような方
法では手間がかかり、生産性が著しく悪い。また反対に
直接食品を高圧容器に投入して処理する場合には、例え
ば加圧水の清浄性を管理したり、シール材質の変更、シ
ール面への潤滑材の使用制限など、食品衛生上の配慮を
加味して高圧装置を設計しなければならなかった。また
食品からの流出物による高圧接液部材の耐食性の向上の
ため、高強度高耐食材を使用しなければならない場合も
あり、高圧装置が高価になるという問題があった。本発
明は前記従来の問題を解決しようとするものである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】このため本発明は、内部
に被処理物を密封充填し、高圧容器に投入して静水圧加
圧処理を行なう高圧処理用容器において、同容器を円筒
状にすると共に、少なくとも一端に同円筒容器の内面に
沿って液密に摺動し、かつ取外し可能なピストン蓋を設
けてなるもので、これを課題解決のための手段とするも
のである。

【０００７】

【作用】ステンレス鋼などの耐食材料で製作された円筒
容器の少なくとも一端に、円筒内面に沿って液密に摺動
し、取外し可能なピストン蓋を設けた容器を用い、当該
容器の中に液状、ペースト状食品、或いは食品と調味液
などを満量に充填し、前述のピストン蓋で内部を密封し
たのち、当該容器を高圧容器に入れ、全体を静水圧加圧
することにより、内部の食品を高圧に加圧し、殺菌又は
変性、解凍、調味液の浸透、或いは物性変化を行なう。
円筒容器に充填された食品は、高圧容器及び加圧水と衛
生的に隔絶される。加圧水の圧力が作用すると、ピスト
ン蓋は容器内部へ移動し、内部の食品が圧縮されて加圧
水と同圧になる。次いで加圧水側が減圧するとピストン
蓋も元の位置に戻り、容器内部も減圧される。

【０００８】

【実施例】以下本発明を図面の実施例について説明する
と、図１及び図２は本発明の第１、第２実施例を示す。
図１において１は高圧処理用円筒容器（以下コンテナー
とも呼ぶ）で、同円筒容器１は、例えばステンレス材で
製作される薄肉の円筒であり、一端（図下方端）は封じ
られている。２はピストン蓋であり、外周にシール３を
有し、液密に円筒容器１の他端内面に挿入され、上下に
摺動可能である。５はこの円筒容器１を吊り上げるため
に設けられたワイヤ等を掛けるためのフックである。な
お、フック５を外し、ピストン蓋２をシール３と共に円
筒容器１から取外すことも可能である。また４は空気抜
用のバルブコックである。１０は高圧処理される被処理
物であり、この被処理物は液状食品或いはペースト状食
品、固形物を含む液状又はペースト状食品等である。図
２はコンテナーの内容物が図１と異なる場合の実施例で
あり、加圧用液体１１の中に被処理物１０が浸漬され、
ピストン蓋２が挿入密閉されている。なお、加圧用液体
１１は調味液その他の薬液或いは清浄な飲用水など目的
に応じて使用する。

【０００９】図３の（ａ）〜（ｅ）、図４の（ｆ）、図
５の（ｇ）〜（ｉ）に円筒容器１を用いた高圧処理の工
程を示す。ここで（ａ）→（ｉ）により作用を説明す
る。（ａ）ピストン蓋２を取外し、コンテナーの円筒容器１
の内部に被処理物１０或いは被処理物１０と加圧液体１
１を充填する。（ｂ）空気抜バルブ４を開とした状態でピストン蓋２を
円筒容器１に挿入する。ピストン蓋２の外周はシール３により気密となってお
り、被処理物１０の上方に残留した空気はバルブ４を通
って外部へ排気され、蓋２の挿入が完了した時点で、円
筒容器１の内部は被処理物１０（或いは被処理物１０と
加圧液１１）で満たされる。ここでバルブ４を閉じて内
部を完全に密封する。（ｃ）円筒容器１にフック５を取付け、同フック５を利
用して同円筒容器１を吊り上げ、高圧容器胴２１に投入
する。円筒容器１の外径寸法は、高圧容器胴２１の上端
部より投入可能な隙間だけ内径を小さくする程度が望ま
しい。さて円筒容器１を高圧容器胴２１内に投入した後、高圧
容器胴２１内を満水として高圧容器上蓋２２を閉め、更
に上下蓋２２，２３をヨークフレーム３０で支持する。（ｄ）高圧ポンプ２５により高圧水を高圧容器胴２１内
に送液し、高圧容器胴２１内を高圧加圧すると、ピスト
ン蓋２は円筒容器１の内部へ液密に移動し、被処理物１
０は圧縮されて高圧水と同じ圧力に加圧される。つまり
円筒容器１は内外が同じ圧力であり、同円筒容器１が薄
肉であっても、圧壊、膨張で破損変形することはない。（ｅ）所定圧力で所定時間加圧処理したのち、高圧弁３
１を開とし、加圧水を放出して高圧容器胴２１の内部を
減圧する。この時ピストン蓋２は上昇移動し、円筒容器
１９内部も減圧される。（ｆ）減圧後上部蓋２２を開放し、円筒容器１を高圧容
器胴２１から取出す。（ｇ）円筒容器１の外面を洗浄する。（ｈ）高圧処理の目的が殺菌である場合には、円筒容器
１を無菌室Ａに入れ、汚染のないように慎重にピストン
蓋２を開け、無菌充填機のホッパーに無菌状態で被処理
物を投入する。（ｉ）高圧処理の目的が殺菌以外の前処理である場合に
は、無菌又は清浄環境Ａ′において円筒容器１のピスト
ン蓋２を開放し、被処理物を円筒容器１から取出し、次
工程に移送する。以上の何れの場合においても、被処理物１０を取出した
後、当該円筒容器１は内部を洗浄し、再び新たな被処理
物を充填して高圧処理用に使用することができる。

【００１０】

【発明の効果】以上詳細に説明した如く本発明は、円筒
容器の外径は高圧容器の内径より僅かに小さく、また薄
肉であり、被処理物を満杯に充填できるので、被処理物
の高圧容器に対する容積率を大きくできる。また殺菌等
の場合、被処理物は高圧処理後、一度円筒容器から取出
され、無菌充填機で最終容器に充填されるので、ガラ
ス、金属など自由に最終容器を選ぶことができる。更に
前処理の場合において被処理物は加圧水や高圧容器と直
接接触せず、高圧処理されるので、衛生面で優れている
と共に、高圧容器側も加圧水以外の耐食を考慮する必要
がない。また何れの場合においても円筒容器は何回でも
再使用可能である。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の第１実施例を示す高圧処理用容器の縦
断面図である。

【図２】本発明の第２実施例を示す高圧処理用容器の縦
断面図である。

【図３】本発明の高圧処理用円筒容器を用いた高圧処理
工程を示す説明図である。

【図４】図３の工程に続く高圧処理工程を示す説明図で
ある。

【図５】図４の工程に続く高圧処理工程を示す説明図で
ある。

【図６】従来の高圧処理用容器の１例を示す縦断面図で
ある。

【図７】図６と異なる従来の高圧処理用容器の縦断面図
である。

【符号の説明】

１円筒容器２ピストン蓋３シール４バルブコック５フック１０被処理物１１加圧用液体２１高圧容器胴

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者杉本喜雄広島市西区観音新町四丁目６番22号三菱重工業株式会社広島製作所内

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】内部に被処理物を密封充填し、高圧容器
に投入して静水圧加圧処理を行なう高圧処理用容器にお
いて、同容器を円筒状にすると共に、少なくとも一端に
同円筒容器の内面に沿って液密に摺動し、かつ取外し可
能なピストン蓋を設けたことを特徴とする高圧処理用容
器。