JPH057480A - 高圧殺菌処理方法 - Google Patents

高圧殺菌処理方法

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JPH057480A
JPH057480A JP3242061A JP24206191A JPH057480A JP H057480 A JPH057480 A JP H057480A JP 3242061 A JP3242061 A JP 3242061A JP 24206191 A JP24206191 A JP 24206191A JP H057480 A JPH057480 A JP H057480A
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信哉 落合
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Abstract

(57)【要約】 【目的】長期保存用の液体を含む非乾燥食品類などの殺
菌方法として、加熱殺菌方法における栄養成分の破壊や
味覚の劣化などの問題を解決できる高圧殺菌処理方法が
注目されており、出来るだけ低い圧力と短い時間で、殺
菌効果が高い安定した高圧殺菌処理方法が要請されてい
る。 【構成】本発明者らは、食品類などに溶解した二酸化炭
素が、高圧殺菌処理における殺菌効果を向上させている
ことを発見したものである。すなわち、食品類などを、
1000気圧以上の高圧殺菌処理する場合において、あ
らかじめ又は同時に、食品類などに二酸化炭素を溶解さ
せることによって、また、食品類などを充填し密封した
包装容器中の、残存空気の全部又は一部分を二酸化炭素
に置換して密封するか、若しくは残存空気の全部を二酸
化炭素と窒素との混合気体に置換して密封することによ
って、殺菌効果が高い安定した高圧殺菌処理方法を提供
するものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、食品類などの、二酸化
炭素を溶解させた高圧殺菌処理方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】従来から、液体を含む非乾燥食品類など
の殺菌方法としては、100℃程度の加熱殺菌方法が広
く用いられている。しかしながら、この加熱殺菌方法に
おいては、熱伝導による加熱に時間がかかる上に、加熱
による栄養成分の破壊や味覚の劣化などの問題が生じて
いた。これらの問題を解決するために、食品類などを1
000気圧以上の液体圧で高圧殺菌処理する試みが、特
開昭 59-210873号公報や特開昭62-69969号公報や特開平
01-51040号公報などに紹介されており、それぞれ高圧殺
菌処理の効果が確認されている。
【0003】また、食品類などを包装容器に充填密封す
る場合においては、内容物である食品類などの酸敗や変
質を防止するために、柔軟性がある樹脂フィルムなどの
包装容器に食品類などを充填して、中の空気を排除して
密封する方法( いわゆる真空包装 )や、保形性がある紙
類やプラスチックや金属などの包装容器に食品類などを
充填して、中の空気を不活性気体( 窒素や二酸化炭素や
水蒸気など )に置換して密封する方法( いわゆるガス置
換包装 )を用いるのが一般的である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】最近は、長期保存用の
液体を含む非乾燥食品類などの殺菌方法として、前述の
加熱殺菌方法における、栄養成分の破壊や味覚の劣化な
どの問題を解決できる高圧殺菌処理方法が注目されてお
り、出来るだけ低い圧力と短い時間で、殺菌効果が高い
安定した高圧殺菌処理方法が要請されている。
【0005】
【課題を解決するための手段】以上のような、食品類な
どの高圧殺菌処理方法の要請に鑑み、本発明者らは、鋭
意研究を重ねた結果、食品類などに溶解した二酸化炭素
が、高圧殺菌処理における殺菌効果を向上させているこ
とを発見したものである。すなわち、本発明は、食品類
などを、1000気圧以上の高圧殺菌処理する場合にお
いて、あらかじめ又は高圧殺菌処理と同時に、食品類な
どに二酸化炭素を溶解させることによって、また、食品
類などを包装容器に充填し密封した場合には、包装容器
中の残存空気の全部又は一部分を、二酸化炭素に置換し
て密封するか、若しくは包装容器中の残存空気の全部
を、二酸化炭素と窒素との混合気体に置換して密封する
ことによって、殺菌効果が高い安定した高圧殺菌処理方
法を提供するものである。
【0006】また、本発明者らは、食品類などに溶解し
た酸素が、高圧殺菌処理における殺菌効果を低下させて
いることを発見したものである。すなわち、本発明は、
食品類などを、1000気圧以上の高圧殺菌処理する場
合において、あらかじめ、食品類などの溶存酸素を排除
して二酸化炭素を溶解させることによって、更に殺菌効
果が高い安定した高圧殺菌処理方法を提供するものであ
る。
【0007】本発明の高圧殺菌処理方法で殺菌処理でき
る食品類などについては、液体状やペースト状やゲル状
食品類など、又はこれらと固体状食品類との混合物であ
って、圧力伝達が可能な液体を含む非乾燥( 非中空 )食
品類などであれば、特に制約なく高圧殺菌処理が可能で
ある。例えば、液体状食品類としては、ジュースや牛乳
や酒類や醤油ソースやドレッシングなど、ペースト状食
品類としては、マヨネーズやケチャップやジャムなど、
ゲル状食品類としては、ゼリーやプリンや羊羹などがあ
り、これらと固体状食品類との混合物としては、ホテト
サラダや漬物や魚肉蓄肉類などがある。また、食品類の
他に、点滴液やドリンク剤などの医薬品類についても、
高圧殺菌処理が可能である。
【0008】本発明の高圧殺菌処理方法における、10
00気圧以上の高圧殺菌処理については、図1に示すよ
うな、従来公知の高圧処理装置を使用して、特に制約な
く高圧殺菌処理が可能である。すなわち、円筒状の耐圧
容器(11)と耐圧蓋(16)と加圧ピストン(12)とで密閉可能
な高圧処理室(10)に、食品類などを直接収容して、又は
食品類などを包装容器に充填密封した状態で収容して、
圧力媒体である液体(通常は水 )を満たして、高圧処理
室(10)中に空気が残らないようにして耐圧蓋(16)により
完全に密閉する。次に、通常は油圧ポンプ( 図示せず )
により、油圧管路(15)を通じて油圧室(13)を加圧して、
油圧室(13)より加圧面積が小さい加圧ピストン(12)を上
昇させることにより、高圧処理室(10)を1000〜10
000気圧に加圧するものである。
【0009】また、図1に示すような高圧処理装置にお
いては、殺菌対象の細菌類の種類により、通常は200
0〜7000気圧で5〜120分間の高圧殺菌処理を行
なうが、高圧処理室(10)に直接収容される食品類など、
又は包装容器に充填密封された食品類などと圧力媒体で
ある液体とを、あらかじめ60℃程度の、食品類が品質
劣化などを起こさない範囲に加熱して、温水管路(14)及
び温水ジャケット(17)により、温度制御をしながら高圧
殺菌処理することによって、加圧圧力及び加圧時間の低
減及び短縮が可能である。
【0010】さらに、図1に示すような高圧処理装置に
おいて、液体状又はペースト状の食品類などを、高圧処
理室(10)に直接収容して高圧殺菌処理を行なう場合に
は、高圧処理室(10)に通じるバルブ付の食品管路( 図示
せず )を設けて、食品類などの供給と排出とを連続的に
行なうことが好ましい。
【0011】食品類などを、1000気圧以上の高圧殺
菌処理する場合において、本発明の、あらかじめ食品類
などに二酸化炭素を溶解させる方法については、二酸化
炭素が食品類中の水分に対して、20℃常圧において、
容積比で水1.00( 液体 )に対して二酸化炭素0.88(
気体 )が溶解すること、及び加圧によって溶解量が増加
することとを利用して、従来公知の装置や設備を用い
て、液体状の食品類などに、二酸化炭素を曝気式に吹き
込む方法や、液体状食品類と固体状食品類との混合物な
どを密閉容器に収容して、低圧の二酸化炭素を加圧式に
吹き込む方法などで、容易に食品類などに二酸化炭素を
吸収( 溶解 )させることが出来るものである。
【0012】この場合に、二酸化炭素の吸収( 溶解 )量
が多すぎると、後述の実施例に示す殺菌効果は向上する
が、食品類などの味覚が変化するために、高圧殺菌処理
後に二酸化炭素の脱気処理をするか、脱気処理をしない
場合には、容積比で食品類1.0( 液体や固体 )に対し
て、二酸化炭素0.3〜0.6( 気体 )程度の溶解量に抑え
ることが好ましい。また、ビールやサイダーやコーラな
どの炭酸含有飲料類については、二酸化炭素の溶解量が
前述( 0.3〜0.6 )以上であり、そのまま高圧殺菌処理
するものである。
【0013】本発明の、高圧殺菌処理と同時に食品類な
どに二酸化炭素を溶解させる方法については、図1に示
すような高圧処理装置を使用して、高圧処理室(10)に食
品類などを直接収容した場合には、高圧処理室(10)中の
空気を排除した後に、適当量の二酸化炭素を封入して耐
圧蓋(16)を密閉することによって、また高圧処理室(10)
に食品類などを包装容器に充填密封した状態で収容する
場合には、包装容器に食品類などを充填する際に、適当
量の二酸化炭素を包装容器中に封入して密封することに
よって、高圧処理室(10)を1000〜10000気圧に
加圧すると同時に、食品類などに二酸化炭素を吸収( 溶
解 )させることが出来るものである。この場合に、二酸
化炭素の適当量とは、前述の容積比で食品類1.0( 液体
や固体 )に対して、二酸化炭素0.3〜0.6( 気体 )程度
の封入( 溶解 )量である。
【0014】また本発明の、高圧殺菌処理と同時に食品
類などに二酸化炭素を溶解させる方法について、本発明
者らは、図2に示すような高圧処理装置内の、高圧処理
室(10)に直接二酸化炭素を吹き込んで溶解させた液体状
の食品類などを、連続的に高圧殺菌処理する方法( 装置
)を考案した。すなわち、円筒状の耐圧容器(11)と耐圧
蓋(21)と耐圧底(22)とで密閉された高圧処理室(10)に、
強固なバルブ付( 以下同じにつき以下は省略した )の食
品管路(23)により、液体状やペースト状の食品類などを
収容して、空気管路(26)により高圧処理室(10)中の空気
を排出して、各バルブを閉止して密閉する。次に、耐圧
底(22)に設けた二酸化炭素管路(27)により、適当量の低
圧( 2.0kg/cm2 程度 )の二酸化炭素を曝気式に吹き込ん
で食品類に吸収( 溶解 )させた後に、油圧ピストンなど
( 図示せず )で1000〜10000気圧に加圧された
圧力媒体( 通常は水 )を、高圧水管路(28)を通じて蛇腹
式加圧器(29)に注入して、蛇腹式加圧器(29)を膨張させ
ることによって、高圧処理室(10)に収容して二酸化炭素
を溶解させた食品類などを高圧殺菌処理するものであ
る。さらに、この高圧殺菌処理を完了した食品類など
は、耐圧底(22)に設けた食品管路(24)のバルブを開放し
て、空気管路(25)より低圧の無菌空気を吹き込むことに
よって、高圧処理室(10)より排出して、次工程の充填装
置などに搬送するものである。
【0015】本発明者らは、図2に示すような高圧処理
装置を、2連式〜4連式に設置して、前述の食品類など
の収容工程と、二酸化炭素の溶解工程と、高圧殺菌処理
工程と、食品類などの排出工程とを、2連式〜4連式の
高圧処理装置で順次実施することによって、高圧処理装
置内に直接二酸化炭素を吹き込んで溶解させた液体状の
食品類などを、連続的に高圧殺菌処理するものである。
【0016】本発明の高圧殺菌処理方法に使用できる包
装容器については、前述の加熱殺菌方法における場合と
同様に、柔軟性がある樹脂フィルムなど及びその積層品
より成る、袋状などの包装容器や、保形性がある紙類や
プラスチックや金属など及びその積層品より成る、カッ
プ状やトレー状や円筒状などの包装容器であって、圧力
伝達が容易で密封が可能な包装容器であれば、特に制約
なく使用することが出来る。この場合に、1000気圧
以上の高圧殺菌処理にもかかわらず、前述の圧力媒体で
ある液体と、包装容器中の食品類などとが均一に加圧さ
れるために、特別な包装容器の材料強度又は密封強度を
必要としないものである。
【0017】本発明の、包装容器中の残存空気の全部又
は一部分を、二酸化炭素に置換して密封する方法につい
ては、前述の柔軟性がある袋状などの包装容器や保形性
があるカップ状などの包装容器に、食品類などを充填し
て、中の残存空気の全部又は一部分を、二酸化炭素に置
換して密封する、いわゆる炭酸ガス置換包装方法であ
り、従来公知のガス置換充填装置を使用して実施するこ
とが出来る。
【0018】本発明の高圧殺菌処理方法における、いわ
ゆる炭酸ガス置換包装方法については、前述したとお
り、水分に対する二酸化炭素の溶解量が多いために、高
圧殺菌処理することによって、置換して密封した二酸化
炭素の殆ど全量が、液体を含む非乾燥食品類などの水分
に溶解してしまうこととなり、食品類などの味覚の変化
や、特に保形性があるカップ状などの包装容器の変形が
発生するので、注意が必要である。すなわち、包装容器
中の置換する残存空気容積を少なく( 内容物の20%程
度以下 )するか、又は残存空気の一部分を二酸化炭素に
置換するなどである。
【0019】本発明の、包装容器中の残存空気の全部
を、二酸化炭素と窒素との混合気体に置換して密封する
方法については、特に窒素ガスが、従来からのガス置換
包装に広く用いられており、内容物である食品類などの
酸敗や変質を防止するための便利な不活性気体であるた
めに、また二酸化炭素に比較して、水分に対する溶解量
がごく少ないために、さらに包装容器中の残存空気( 酸
素21%含有 )が、高圧殺菌処理における殺菌効果を低
下させることを本発明者らが知見しているために、包装
容器中の残存空気の全部を排除して、二酸化炭素と窒素
との混合気体に置換して密封するものである。その結
果、前述の食品類などの味覚の変化や保形性があるカッ
プ状などの包装容器の変形を好適に防止できるととも
に、高圧殺菌処理後の内容物である食品類などの酸敗や
変質を防止するものである。
【0020】また、食品類などを、1000気圧以上の
高圧殺菌処理する場合において、本発明の、あらかじめ
食品類などの溶存酸素を排除する方法については、食品
類などを直接減圧槽内に収容して、又は柔軟性がある袋
状などの包装容器や保形性があるカップ状などの包装容
器に、食品類などを充填して減圧槽内に収容して、一定
時間の減圧脱気処理をすることによって、食品類などの
溶存酸素を排除するものである。すなわち、通常の減圧
槽を用いた30mmHgで60分程度の減圧脱気処理で、液
体を含む非乾燥食品類などの、最大41.4mg/Lの溶存酸
素を2.0mg/L以下に排除できるものである。
【0021】また、食品類などを、あらかじめ60℃程
度の、食品類が品質劣化などを起こさない範囲に加熱し
て、減圧脱気処理をした後に二酸化炭素を溶解させれ
ば、温度上昇による酸素の溶解量の減少により、食品類
中の溶存酸素が効果的に排除されることとなり、前述の
温度制御をしながら高圧殺菌処理する方法と併用して、
高圧殺菌処理における殺菌効果を更に向上させることが
可能である。
【0022】さらに、本発明の減圧脱気処理に代わっ
て、酸素吸収剤などを利用して、食品類などの溶存酸素
を排除する方法も考えられるが、溶存酸素を吸収するま
でに時間がかかる上に、液体を含む非乾燥食品類に適す
る酸素吸収剤などは、現在開発されていない。
【0023】
【作用】あらかじめ食品類などに、二酸化炭素を溶解さ
せる方法、又は食品類などを充填した包装容器中の残存
空気を、二酸化炭素に置換する方法については、食品類
などの細菌類の増殖を防止するいわゆる静菌作用を目的
として、従来からガス置換包装などに用いられている
が、二酸化炭素自体の殺菌作用は認められていない( 実
施例1参照 )。また、真菌類の中の酵母に対しては、二
酸化炭素の静菌作用は認められていない。
【0024】本発明の、食品類などを、1000気圧以
上の高圧殺菌処理する場合においては、後述の実施例に
示すように、食品類などに溶解( 置換 )した二酸化炭素
が、高圧殺菌処理における殺菌効果を向上させているこ
とは明らかであって、また後述の実施例に示すように、
食品類などに溶解した酸素が、高圧殺菌処理における殺
菌効果を低下させていることは明らかである。しかしな
がら、高圧殺菌処理において、二酸化炭素又は酸素のい
かなる作用によって、殺菌効果が向上又は低下するかに
ついては、本発明者らは解明できなかった。
【0025】
【実施例】
<実施例1>菌数が6.0×107 個 /mlである、パン酵
母(Saccharomyces cerevisiae IAM4125)の洗浄菌体懸濁
液10mlを、25℃において延伸ナイロン/無延伸ポリ
プロピレンの袋に充填して、袋中の空気を排除して密封
したもの、及び袋中にそれぞれ2mlの二酸化炭素, 窒
素, 空気を存在させて密封したものを、各々9袋ずつ作
成して4種類の試験体とした。
【0026】次に、図1に示すような高圧処理装置( MF
P-7000, 三菱重工KK製 )を使って、4種類の試験体の各
々3袋を、20℃の水を圧力媒体として、3000気圧
で15秒間の高圧殺菌処理を行い、別の4種類の試験体
の各々3袋を、同様に3000気圧で60秒間の高圧殺
菌処理を行った後に、高圧殺菌処理を行わない残りの4
種類の試験体の各々3袋とともに、混釈法によって生残
菌数を測定した。生残菌数( 3袋の平均値, 個/ml)及び
殺菌効果( log 生残菌数 /6.0×107 ) を表1に示し
た。
【0027】
【表1】
【0028】すなわち、実施例1においては、20℃の
水を圧力媒体とした、3000気圧で15秒間の高圧殺
菌処理では、包装容器中に二酸化炭素を存在させた場合
と、空気を排除( いわゆる真空包装 )又は窒素に置換(
いわゆるガス置換包装 )した場合とで、高圧殺菌処理効
果に明らかな差( 1.6桁, 約40倍 )が認められた。ま
た、パン酵母に対する通常の高圧殺菌処理条件より加圧
時間を短縮( 5分間を60秒間に )した、3000気圧
で60秒間の高圧殺菌処理では、包装容器中に二酸化炭
素を存在させた場合には、生残菌は検出できず完全に殺
菌されていたが、空気を排除又は窒素に置換した場合に
は、約4桁( 10000倍 )以上の殺菌効果はあったも
のの、相当数の生残菌が検出された。なお、包装容器中
に空気(酸素21% )を存在させた場合には、高圧殺菌
処理における殺菌効果が低下することが確認された。ま
た、実施例1において、高圧殺菌処理を行わずに、20
℃で5分間の常圧保管をした同一試験体について、二酸
化炭素ほかの存在での菌数の変化( 殺菌作用)は認めら
れなかった。
【0029】<実施例2>菌数が9.2×107 個 /mlで
ある、パン酵母(Saccharomyces cerevisiae IAM4125)の
洗浄菌体懸濁液10mlを、25℃において延伸ナイロン
/無延伸ポリプロピレンの袋に充填して、袋中にそれぞ
れ8.0ml, 4.0ml, 2.0ml, 1.0ml, 0.0mlの二酸化炭
素を存在させて、合計量が8.0mlになるように窒素を封
入して密封したものを、各々3袋ずつ作製して5種類の
試験体とした。
【0030】次に、図1に示すような高圧処理装置( MF
P-7000, 三菱重工KK製 )を使って、5種類の試験体の各
々3袋を、20℃の水を圧力媒体として、3000気圧
で15秒間の高圧殺菌処理を行った後に、混釈法によっ
て生残菌数を測定した。生残菌数( 3袋の平均値, 個/m
l)及び殺菌効果( log 生残菌数 /9.2×107 ) を表2
に示した。
【0031】
【表2】
【0032】実施例2においては、二酸化炭素存在量と
殺菌効果との関係を実証したものである。すなわち、比
較的高圧殺菌処理が容易なパン酵母について、前述の通
常の高圧殺菌処理条件より加圧時間を短縮( 5分間を1
5秒間に)して、二酸化炭素存在量と殺菌効果との関係
を実証したものであり、高圧殺菌処理効果に明らかな差
( 略比例関係 )が認められた。
【0033】<実施例3>腐敗菌の1種である納豆菌(B
acillussubtilisvar.niger)の細菌胞子を、1.0×10
4 個 /mlとなるように普通ブイヨン培地の中に懸濁し
て、60℃において、懸濁した培地10mlを延伸ナイロ
ン/無延伸ポリプロピレンの袋に充填して、袋中にそれ
ぞれ8.0ml, 4.0ml, 2.0ml, 1.0ml, 0.0mlの二酸化
炭素を存在させて、合計量が8.0mlになるように窒素を
封入して密封したものを、各々3袋ずつ作製して5種類
の試験体とした。
【0034】次に、図1に示すような高圧処理装置( MF
P-7000, 三菱重工KK製 )を使って、5種類の試験体の各
々3袋を、60℃の水を圧力媒体として、5000気圧
で5分間の高圧殺菌処理を行った後に、混釈法によって
生残菌数を測定した。生残菌数( 3袋の平均値, 個/ml)
及び殺菌効果( log 生残菌数 /1.0×104 ) を表3に
示した。
【0035】
【表3】
【0036】実施例3においては、実施例2と同様に、
二酸化炭素存在量と殺菌効果との関係を実証したもので
ある。すなわち、比較的高圧殺菌処理が困難な納豆菌の
細菌胞子について、手段の項で説明した60℃程度の加
熱併用高圧殺菌処理を試みたものであり、実施例2と同
様に二酸化炭素存在量によって、高圧殺菌処理効果に明
らかな差( 略比例関係 )が認められた。
【0037】<実施例4>菌数が3.9×107 個 /mlで
ある、パン酵母(Saccharomyces cerevisiae IAM4125)の
洗浄菌体懸濁液10mlを、25℃において延伸ナイロン
/無延伸ポリプロピレンの袋に充填して、単に袋中の空
気を排除して密封したもの、減圧脱気処理をしないで、
袋中に2mlの二酸化炭素を存在させて密封したもの、及
び30mmHgで60分の減圧脱気処理をして、袋中に2ml
の二酸化炭素を存在させて密封したものを、各々12袋
ずつ作製して3種類の試験体とした。密封した後の洗浄
菌体懸濁液中の溶存酸素量は、各々平均7.5mg/L, 平均
7.5mg/L, 及び平均0.5mg/Lであった。
【0038】次に、図1に示すような高圧処理装置( MF
P-7000, 三菱重工KK製 )を使って、3種類の試験体の各
々3袋ずつを、20℃の水を圧力媒体として、3000
気圧でそれぞれ5秒間, 15秒間, 30秒間, 45秒間
の高圧殺菌処理を行った後に、混釈法によって生残菌数
を測定した。生残菌数( 3袋の平均値, 個/ml)及び殺菌
効果( log 生残菌数 /3.9×107 )を表4に示した。
【0039】
【表4】
【0040】実施例4においては、洗浄菌体懸濁液中の
溶存酸素の排除と殺菌効果との関係を実証したものであ
る。すなわち、比較的高圧殺菌処理が容易なパン酵母に
ついて、前述の通常の高圧殺菌処理条件より加圧時間を
短縮し変化( 5分間を5〜45秒間に )させて、溶存酸
素の排除と殺菌効果との関係を、二酸化炭素を存在させ
て実証したものであり、溶存酸素を排除( 7.5mg/Lを
0.5mg/Lに減少 )することによって、二酸化炭素を存在
させた高圧殺菌処理効果に明らかな差( 0.8〜1.2桁,
約6〜15倍 )が認められた。
【0041】<実施例5>絞汁直後のオレンジ果汁を、
図2に示すような高圧処理装置( 自社試作装置 )を使っ
て、単に高圧殺菌処理したもの、高圧処理装置内に二酸
化炭素を吹き込んで溶解させて高圧殺菌処理したもの、
及び30mmHgで約60分の減圧脱気処理をした後に、高
圧処理装置内に二酸化炭素を吹き込んで溶解させて高圧
殺菌処理したものを、図2に示す高圧処理装置に連続さ
せた無菌充填機( 図示せず )を使って、各々70箱×5
段階の長期保存用の液体紙容器( アルミ箔積層, 内容積
500ml )に充填して3種類の試験体とした。
【0042】本実施例の高圧殺菌処理条件については、
25℃において4000気圧で、通常の高圧殺菌処理条
件より加圧時間を短縮し変化( 10分間を1〜10分間
に )させて、1.0分間, 2.5分間, 5.0分間, 7.5分
間, 10.0分間の5段階の高圧殺菌処理を行って、各々
70箱×3種類の長期保存用の液体紙容器に充填して密
封したものである。
【0043】本実施例の二酸化炭素の溶解量について
は、図2に示す高圧処理装置内の、内容積約6.0 Lの高
圧処理室(10)に直接オレンジ果汁を収容して、空気管路
(26)により高圧処理室(10)中の空気を完全に排出して、
各バルブを閉止して密閉した後に、耐圧底(22)に設けた
二酸化炭素管路(27)により、低圧( 2.0kg/cm2 ) の二酸
化炭素を曝気式に吹き込んでオレンジ果汁に吸収( 溶
解)させたものであって、常圧に換算して、1.2 Lの二
酸化炭素を約2分間で溶解させたものである。
【0044】本実施例の減圧脱気処理方法については、
通常の噴霧式真空脱気装置( 内容積約200L,図示せず
)を使用して、25℃において真空度30mmHgで、オレ
ンジ果汁の噴霧量を毎分2.1L(平均滞留時間は60分間
)で減圧脱気処理したものである。この場合に、減圧脱
気処理の前後のオレンジ果汁中の溶存酸素量は、各々平
均6.8mg/L及び平均0.5mg/Lであった。
【0045】次に、各々70箱×5段階×3種類の長期
保存用の液体紙容器に充填した試験体を、30℃におい
て30日間保存した後に、容器の膨れや果汁の濁りや異
臭などの異常を目視検査した。各々70箱中の異常発生
箱数を表5に示した。
【0046】
【表5】
【0047】実施例5においては、絞汁直後のオレンジ
果汁を高圧殺菌処理した後に、長期保存用の液体紙容器
に充填して市販する場合を想定して、本発明の高圧殺菌
処理方法の殺菌効果を実証したものである。すなわち、
通常の高圧殺菌処理条件より加圧時間を短縮し変化させ
て、単に高圧殺菌処理したものと、二酸化炭素を溶解さ
せたもの及び減圧脱気処理して二酸化炭素を溶解させた
ものとの、30日間保存した後の異常発生箱数を比較し
たものであって、完全に殺菌されていて、全く異常が発
生しない加圧時間に明らかな差( 10分間が5.0〜2.5
分間に )が認められた。
【0048】
【発明の効果】以上実施例に示すとおり、食品類などを
充填し密封した包装容器中に二酸化炭素が存在した場合
に、加圧と同時に二酸化炭素が食品類などに溶解して、
高圧殺菌処理における殺菌効果を向上させていることは
明らかである。すなわち、長期保存用の液体を含む非乾
燥食品類などの、前述の加熱殺菌方法における、栄養成
分の破壊や味覚の劣化などの問題を解決できる高圧殺菌
処理方法について、本発明の高圧殺菌処理方法は、あら
かじめ食品類などに二酸化炭素を溶解させることによっ
て、また食品類などの溶存酸素を排除して二酸化炭素を
溶解させることによって、殺菌効果を向上させて、加圧
圧力及び加圧時間の低減及び短縮が可能であり、殺菌効
果が高い安定した高圧殺菌処理方法を提供するものであ
る。
【0049】また、本発明の高圧殺菌処理方法について
は、従来の二酸化炭素や窒素のガス置換包装方法を、結
果的に高圧殺菌処理方法に活用したこととなり、前述の
殺菌処理できる食品類や、使用できる包装容器又は従来
公知のガス置換充填装置の使用について、殆ど制約なく
そのまま高圧殺菌処理が可能であって、汎用的で便利な
高圧殺菌処理方法であるとともに、高圧殺菌処理後の、
前述のガス置換包装方法の特長でもある、内容物である
液体を含む非乾燥食品類などの、酸敗や変質を防止でき
る高圧殺菌処理方法を提供するものである。
【0050】さらに、本発明の、高圧殺菌処理と同時に
食品類などに二酸化炭素を溶解させる方法について、本
発明者らは、図2に示すような高圧処理装置内に、直接
二酸化炭素を吹き込んで溶解させた液体状の食品類など
を、連続的に高圧殺菌処理する方法( 装置 )を考案し
て、高圧殺菌処理の能率の向上と処理コストの低減を図
ったものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の1000気圧以上の高圧殺菌処理方法
における、従来公知の高圧処理装置の説明図である。
【図2】本発明の1000気圧以上の高圧殺菌処理方法
における、高圧処理装置内に直接二酸化炭素を吹き込ん
で、連続的に高圧殺菌処理する装置の説明図である。
【符号の説明】
10 …高圧処理室 11 …耐圧容器 12 …加圧ピストン 13 …油圧室 14 …温水管路 15 …油圧管路 16, 21…耐圧蓋 17 …温水ジャケット 22 …耐圧底 23, 24…食品管路(IN,OUT) 25, 26…空気管路(IN,OUT) 27 …二酸化炭素管路 28 …高圧水管路 29 …蛇腹式加圧器

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】食品類などを、1000気圧以上の高圧殺
    菌処理する場合において、あらかじめ又は高圧殺菌処理
    と同時に、食品類などに二酸化炭素を溶解させることを
    特徴とする高圧殺菌処理方法。
  2. 【請求項2】食品類などを包装容器に充填し密封して、
    1000気圧以上の高圧殺菌処理する場合において、包
    装容器中の残存空気の全部又は一部分を、二酸化炭素に
    置換して密封することを特徴とする高圧殺菌処理方法。
  3. 【請求項3】前記の包装容器中の残存空気の全部を、二
    酸化炭素と窒素との混合気体に置換して密封することを
    特徴とする、請求項2に記載の高圧殺菌処理方法。
  4. 【請求項4】食品類などを、1000気圧以上の高圧殺
    菌処理する場合において、あらかじめ、食品類などの溶
    存酸素を排除することを特徴とする、請求項1から請求
    項3のいずれかに記載の高圧殺菌処理方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JPH061324A (ja) * 1992-06-12 1994-01-11 Toyo Seikan Kaisha Ltd パウチ詰食品の充填・密封方法
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