JPH0525113A - 新規な4−シアノ酪酸誘導体及びその製造方法 - Google Patents

新規な4−シアノ酪酸誘導体及びその製造方法

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JPH0525113A
JPH0525113A JP20559091A JP20559091A JPH0525113A JP H0525113 A JPH0525113 A JP H0525113A JP 20559091 A JP20559091 A JP 20559091A JP 20559091 A JP20559091 A JP 20559091A JP H0525113 A JPH0525113 A JP H0525113A
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JP
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cyanobutyric acid
acid derivative
cyanobutyric
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optically active
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JP20559091A
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Hiromichi Ota
博道 太田
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Original Assignee
Nippon Mining Co Ltd
Nikko Kyodo Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】下記一般式化1 【化1】 (式中、Rは-CH2Ph、-OCH2Ph、または-OCOPhを表わす)
で示される新規な4-シアノ酪酸誘導体、特には前記化
合物において、-R基が結合している炭素に光学活性が
誘導されたことからなる光学活性体、及び下記一般式化
2 【化2】 (式中、Rは-CH2Ph、-OCH2Ph、または-OCOPhを表わす)
で示されるグルタロニトリル誘導体にロドコッカス属に
属するニトリル加水分解能を有する微生物を作用させ
て、上記一般式化4で示される光学活性な4-シアノ酪
酸誘導体を産生させ、これを採取することからなる光学
活性4-シアノ酪酸誘導体の製造方法。 【効果】上記4-シアノ酪酸誘導体、特にはその光学活
性体は、液晶等の機能性材料或いは医薬や農薬等の生理
活性物質等の合成原料として利用でき、新しい機能性材
料或いは生理活性物質化合物を創成することができ、ま
た、本製造方法の発明により、上記4-シアノ酪酸誘導
体を極めて簡便に製造でき、従って、これにより、これ
らの化合物を原料とする生理活性物質、機能性物質等を
安価にかつ簡便に製造できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【産業上の利用分野】本発明は、新規な4-シアノ酪酸
誘導体、特にはその光学活性体及び微生物を利用してプ
ロキラルな3-置換グルタロニトリルから光学活性4-シ
アノ酪酸誘導体を製造する方法に関する。
【0002】4-シアノ酪酸誘導体、特にその光学活性
体は、液晶等の機能性材料或いは医薬や農薬等の生理活
性物質等の合成原料として利用できるものである。
【0003】
【従来の技術】各種の機能性材料や生理活性物質の合成
を行う場合、新規な出発原料を用いることにより、新規
な機能や生理活性を有する化合物を創り出すことがで
き、また既知の物質であっても反応ステップを大幅に減
少でき、反応効率や収率を高めることができる。このた
め、反応性に富む官能基を有する新規な化合物の創製が
要望されている。例えば、光学活性な3-ヒドロキシグ
ルタル酸モノエステルを出発原料としてポリエンマクロ
リド抗生物質の一種であるピマリシンを合成する方法が
提案されている〔(D.W.Brooksら、Tetrahedron Lett.,2
4,3059(1983)〕。かかる合成方法において、光学活性な
3-ヒドロキシグルタル酸に代えて、光学活性な3-ベン
ジルオキシ-4-シアノ酪酸や3-ベンゾイルオキシ-4-
シアノ酪酸等の4-シアノ酪酸誘導体を出発原料として
用いることができる。また、カルバペネム骨格を有する
β-ラクタム抗生物質について、光学活性な3-アミノグ
ルタル酸を出発原料として合成する方法が提案されてい
る〔(大野雅二ら、有機合成化学協会誌、44,38(198
6)〕。この合成方法においても、同様に上記光学活性な
3-アミノグルタル酸に代えて、光学活性な4-シアノ酪
酸誘導体を用いることができる。
【0004】一方、プロキラルなジニトリルをモノニト
リラーゼで酵素的に変換してシアノカルボン酸とする方
法は、既に提案されている(特開昭61-85194号公報参
照)。しかし、この公報にはグルタル酸ジニトリル、3,
3-ジメチルグルタル酸ジニトリルや3-メチル-3-ヒド
ロキシグルタル酸ジニトリルでの例示はあるが、フェニ
ル基を側鎖にもつグルタル酸ジニトリルを微生物と作用
させてシアノカルボン酸に変換することを予期させる開
示はなされていない。一般に、微生物の基質特異性は個
々の微生物により異なるため、ある微生物がメチル基や
ヒドロキシ基を有する化合物で特定の作用を生じるから
と云っても、その構造も物性も異なるフェニル基を有す
る化合物についても同様の作用が起こるのを予測するこ
とはできない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記のよう
な現状に基づきなされたもので、本発明の目的は、液晶
等の機能性材料或いは医薬や農薬等の生理活性物質等の
合成原料として利用できる新規な4-シアノ酪酸誘導体
及びこの製造方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、下記一般式化
【化4】 (式中、Rは-CH2Ph、-OCH2Ph、または-OCOPhを表わす)
で示される新規な4-シアノ酪酸誘導体、特には前記化
合物において、-R基が結合している炭素に光学活性が
誘導されたことからなる光学活性体、及び下記一般式化
【化5】 (式中、Rは-CH2Ph、-OCH2Ph、または-OCOPhを表わす)
で示されるグルタロニトリル誘導体にロドコッカス属に
属するニトリル加水分解能を有する微生物を作用させ
て、上記一般式化4で示される光学活性な4-シアノ酪
酸誘導体を産生させ、これを採取することからなる光学
活性4-シアノ酪酸誘導体の製造方法である。
【0007】上記一般式化4で示される化合物は、3-
ベンジル-4-シアノ酪酸、3-ベンジルオキシ-4-シア
ノ酪酸及び3-ベンゾイルオキシ-4-シアノ酪酸のラセ
ミ体、S-体及びR-体である。
【0008】この4-シアノ酪酸誘導体は、3-ベンジル
グルタロニトリル、3-ベンジルオキシグルタロニトリ
ル或いは3-ベンゾイルオキシグルタロニトリルにロド
コッカス属に属するニトリル加水分解能を有する微生物
を作用させることにより得られるが、この微生物とし
て、ロドコッカス ブタニカ(Rhodococcus butanica
ATCC 21197を例示し得る。
【0009】本発明においては、上記グルタロニトリル
誘導体にロドコッカス属に属するニトリルの加水分解活
性を有する微生物を作用させて光学活性4-シアノ酪酸
誘導体を産生するには、例えば下記(a)乃至(c)のいずれ
かの方法を適用するとよい。
【0010】すなわち、(a)微生物を、ε-カプロラクタ
ムやプロピオニトリル等のニトリル化合物を含む培地中
で培養して増殖して得られた菌体に、グルタロニトリル
誘導体を接触させて反応させる方法、(b)微生物を予め
培養し、増殖して得られた菌体をε-カプロラクタムや
プロピオニトリル等のニトリル化合物に接触させた後、
該菌体にグルタロニトリル誘導体を加えて反応させる方
法、及び(c)微生物を予め培養し、増殖して得られた菌
体にグルタロニトリル誘導体を直接接触させて反応させ
る方法を適用する。
【0011】また、これらの反応方法では、増殖後の菌
体の破砕物、乾燥菌体、あるいは分離精製されたニトリ
ルの加水分解酵素などの菌体処理物、あるいは常法に従
って固定化した菌体および菌体処理物を用いることもで
きる。
【0012】上記(a)の方法では、ε-カプロラクタム
やプロピオニトリル等のニトリル化合物のほかに、炭素
源としてグルコース、シュクロース、糖蜜、澱粉加水分
解物のような糖質、もしくは酢酸等のごとき菌体増殖作
用を有する物質を培地に添加し、更に、塩化アンモニウ
ム、硫酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、硝酸アン
モニウム、尿素、アンモニア水、硝酸ナトリウム、アミ
ノ酸及びその他の資化性有機窒素化合物のような窒素
源、リン酸カリウム、リン酸ナトリウム、硫酸マグネシ
ウム、硫酸マンガン、硫酸第1鉄、塩化第2鉄、塩化カ
ルシウム、塩化マンガンのごとき無機塩類、及びホウ
酸、銅、亜鉛などの塩、すなわち、いわゆる微量元素、
更には必要に応じてビタミン類、酵母エキス、コーンス
テープリカーの如き成長促進物質を添加した培地に、上
記各微生物の種菌を接種し、好気的条件下で培養して菌
体を増殖させる。このようにして得られた菌体培養物、
又は該培養物から分離した菌体の懸濁液あるいは菌体処
理物に、グルタロニトリル誘導体を供給して反応させ
る。
【0013】反応は、pH4〜13、好ましくはpH5
〜12の範囲で1時間〜6日間行う。反応には種々の緩
衝液を用い得るが、リン酸系の緩衝液が好ましい。
【0014】反応温度は20〜70℃の範囲が好まし
く、また、反応中に菌体増殖に用いた上記炭素源、窒素
源、その他の成分を適宜添加して菌体濃度や菌体のニト
リル加水分解能を維持し、かつ高めることができる。ま
た、グルタロニトリル誘導体の供給方法としては、反応
開始時に加える方法、間けつ的に加える方法、連続的に
加える方法のいずれをも採用することができる。
【0015】上記反応により生成した4-シアノ酪酸誘
導体は、相分離、ろ過、抽出、カラムクロマトグラフィ
ー等の公知の手段を適用して分離、採取する。次に、前
記(b)の方法では、上記(a)の方法における菌体の培養増
殖時にニトリル化合物を加えずに、菌体の増殖後にニト
リル化合物を加えて該微生物菌体のニトリル加水分解能
を活性化した後、グルタロニトリル誘導体に反応させて
4-シアノ酪酸誘導体を産生させる。
【0016】また、前記(c)の方法は、上記(b)の方法に
おける菌体の増殖後に直ちにグルタロニトリル誘導体を
加えて反応させて4-シアノ酪酸誘導体を生産させるも
のである。
【0017】なお、上記(b)及び(c)のいずれの方法にお
いても、培養条件、反応条件及び生成した4-シアノ酪
酸誘導体の分離、採取には、前記(a)の方法におけるも
のを適用し得る。
【0018】上述のごとくして本発明に従って得られる
4-シアノ酪酸誘導体は、光学活性体であり、特に液晶
等の機能性材料或いは医薬や農薬等の生理活性物質等の
合成原料として利用される。
【0019】
【実施例】実施例1 3-ベンジルオキシ-4-シアノ酪酸 〔2-ベンジルオキシ-1,3-プロパンジオール ビス(p
-トルエンスルホナート)の合成〕2-ベンジルオキシ-
1,3-プロパンジオール610.3mg(3.349mmol)を
塩化メチレン6mlに溶解し、これに塩化p-トルエンス
ルホニル1.676g(8.79mmol)、ピリジン2.0mlお
よび触媒量の4-ジメチルアミノピリジンを加え、0℃
で、24時間撹拌した。反応混合液に水を加えて20分
間撹拌した後、酢酸エチルで抽出し、有機層を飽和硫酸
銅水溶液、飽和硫酸ナトリウム水溶液で順次洗った後、
無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧下で溶媒を留去
し、2-ベンジルオキシ-1,3-プロパンジオール ビス
(p-トルエンスルホナート)の粗結晶1.72gを得た。
この結晶をエーテル-クロロホルムから再結晶して精製
し、次に示した物性値およびスペクトルデータを有する
微細針状晶を得た。
【0020】融点;109.6〜109.8℃ IR νmax(cm-1);1600、1360、1180、
990、960、840、815、7501 H NMR (CDCl3,400MHz)(δppm);2.45(6H,s)、3.8
0(1H,tt,J=4.9,4.9Hz) 4.02(2H,dd,J=4.9,11.0Hz)、4.05(2H,dd,J=4.9,1
1.0Hz)、4.48(2H,s)、7.17〜7.33(9H,m)、7.
73(4H,d,J=8.3Hz) 元素分析;C58.58%、H5.17%(計算値;C 5
8.76%、H 5.34%)
【0021】〔3-ベンジルオキシグルタロニトリルの
合成〕上記で得られた2-ベンジルオキシ-1,3-プロパ
ンジオール ビス(p-トルエンスルホナート)1.00g
(2.04mmol)をジメチルスルホキシド5mlに溶解し、
これを室温で撹拌しながら、シアン化ナトリウム594
mg(12.1mmol)を4時間かけて少量づつ加えた。さら
に、室温で65時間反応混合物を撹拌した。この反応混
合物に水を加え、エーテルで抽出した。有機層を水、飽
和塩化ナトリウムで順次洗い、無水硫酸マグネシウムで
乾燥した。減圧下に溶媒を留去した後、残渣をシリカゲ
ルカラムクロマトグラフィー(片山化学製 K70-WH、22
g、ヘキサン/酢酸エチル=4/1)にて精製し、次の物性値
およびスペクトルデータを有する3-ベンジルオキシグ
ルタロニトリル324mg(収率79%)を油状物質として
得た。
【0022】IR νmax(cm-1);2250、149
5、1280、1090、1025、745、7001 H NMR (CDCl3,400MHz)(δppm);2.72(4H,d,J=5.9H
z)、4.01(1H,quint,J=5.9Hz)、4.70(2H,s)、7.
33〜7.42(5H,m) MS(m/z);200(M+,15%)、160(5%)、132(4%)、
107(36%)、91(base peak)、79(33%)、64(18
%)、51(14%)
【0023】〔3-ベンジルオキシ-4-シアノ酪酸の産
生〕前培養 先ず、グルコース15g、リン酸二水素カリウム0.5
g、リン酸水素二カリウム0.5g、硫酸マグネシウム七
水和物0.5gおよび酵母エキス1.0gを脱イオン水10
00mlに溶解し、pH7.2に調整した後、120℃の
加圧水蒸気で20分間滅菌して、培地を調製した。
【0024】次いで、170℃で60分間乾熱滅菌した
10個の培養フラスコに、上記で調製した培地を100
mlづつ分注し、この各々にε-カプロラクタム0.5gを
添加した後、ロドコッカス ブタニカ(Rhodococcus bu
tanica)ATCC 21197を植菌し、30℃で、4
8時間、186rpmの回転数で旋回培養した。増殖した
菌体を5℃、3000rpmの回転数で、25分間遠心分
離して、集菌した。
【0025】培養による産生 上記で集菌した菌体8.47gを0.1モルのリン酸緩衝
液(pH6)200mlに懸濁し、これに上記で合成した3
-ベンジルオキシグルタロニトリル202mg(1.01mmo
l)を添加し、30℃で6時間旋回した。次いで、これに
2規定の水酸化ナトリウム水溶液を加えてpH9とし、
セライトを用いてろ過した後、ろ液をエーテルで抽出し
た。水層に、さらに2規定の塩酸を加えて酸性とし、塩
化ナトリウムを加えて塩析した後、エーテルで抽出し
た。エーテル層を合体し、飽和塩化ナトリウム水溶液で
洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で溶媒を
留去して、淡黄色油状物149mgを得た。
【0026】産生物の同定 上記で得られた淡黄色油状物55.8mg(0.255mmol)
のエーテル溶液に過剰のジアゾメタンエーテル溶液を加
えた。これを減圧下に溶媒を留去し、残渣をシリカゲル
薄層クロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=2/1)
にて精製し、下記の物性及びスペクトルデータを有する
油状物質50.0mgを得た。これらのデータからこの油
状物質は3-ベンジルオキシ-4-シアノ酪酸メチルであ
ることが分かり、これから上記で産生された淡黄色油状
物が3-ベンジルオキシ-4-シアノ酪酸であることが確
認できる。
【0027】[α]D 21(c=1.03,CHCl3);+12.0° IR νmax(cm-1);2250、1735、1495、
1170、1100、1070、1025、745、7
001 H NMR (CDCl3,400MHz)(δppm);2.65(1H,dd,J=5.4,
17.1Hz)、2.66(1H,dd,J=6.4,16.1Hz)、2.72(1H,d
d,J=5.4,17.1Hz)、2.78(1H,dd,J=6.4,16.1Hz)、3.
70(3H,s)、4.14(1H,tt,J=5.4,6.4Hz)、4.64(2
H,s)7.30〜7.40(5H,m) MS(m/z);233(M+,5%)、149(4%)、107(76%)、
91(base peak)、79(25%)、65(20%)
【0028】光学純度の測定 3-ベンジルオキシ-4-シアノ酪酸10.5mg(0.048
mmol)に、塩化チオニル0.15mlをトルエン0.5mlに
溶解した溶液を0℃で加え、この反応混合物を室温で1
時間撹拌した。これを0℃に冷却して、()-1-(1-ナ
フチル)エチルアミン54.7mg(0.319mmol)をエー
テル5mlに溶解した溶液を加え、室温で1時間撹拌し
た。これに飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えて、反
応を停止させた後、この反応混合物を酢酸エチルで抽出
した。有機層を水、2規定の塩酸、水、飽和炭酸水素ナ
トリウム水溶液、飽和塩化ナトリウム水溶液で順次洗っ
た後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧下で溶媒を
留去した後、残渣をシリカゲル薄層クロマトグラフフィ
ー(ヘキサン/酢酸エチル=1/1で2回展開)にて精製
し、3-ベンジルオキシ-4-シアノ酪酸,()-1-(1-ナ
フチル)エチルアミド17.1mg(収率96%)を得、1H N
MRを測定した。この結果は次の通りであった。
【0029】TLC(シリカゲル、ヘキサン/酢酸エチル=
1/2),Rf;0.461 H NMR (CDCl3,400MHz)(δppm);4.32(0.95H,d,J=1
1.2Hz)、4.49(0.95H,d,J=11.2Hz)、4.60(0.05H,
d,J=11.2Hz)、4.67(0.05H,d,J=11.2Hz) 〔ジアステレオマーがはっきり識別可能なシグナルのみ
を示した。〕
【0030】上記と同様の方法により、()-1-(1-ナ
フチル)エチルアミンと反応させ、3-ベンジルオキシ-
4-シアノ酪酸,()-1-(1-ナフチル)エチルアミドを
得て、1H NMRを測定した。この結果は次の通りであっ
た。 TLC(シリカゲル、ヘキサン/酢酸エチル=1/2),Rf;
0.581 H NMR (CDCl3,400MHz)(δppm);4.32(0.05H,d,J=1
1.2Hz)、4.49(0.05H,d,J=11.2Hz)、4.60(0.95H,
d,J=11.2Hz)、4.67(0.95H,d,J=11.2Hz)〔ジアステレ
オマーがはっきり識別可能なシグナルのみを示した。〕
【0031】これらのNMRスペクトルのシグナルの面
積強度の比較から、前記3-ベンジルオキシ-4-シアノ
酪酸は90%e.e.であることが判明した。
【0032】実施例2 3-ベンゾイルオキシ-4-シアノ酪酸 〔3-ベンゾイルオキシグルタロニトリルの合成〕3-ヒ
ドロキシグルタロニトリル407mg(3.70mmol)をピ
リジン1mlと塩化メチレン4mlとの混合溶液に溶解し、
これに塩化ベンゾイル884mg(6.29mmol)を加え、
室温で47時間撹拌した。この反応混合物を水で希釈
し、2規定の塩酸を加えて酸性とした後、エーテルで抽
出した。このエーテル層を、水、2規定の塩酸、水、飽
和塩化ナトリウム水溶液で順次洗った後、無水硫酸ナト
リウムで乾燥した。減圧下に溶媒を留去し、残渣をエー
テルから再結晶することにより、次の物性値及びスペク
トルデータを有する3-ベンゾイルオキシグルタロニト
リル706mg(収率89%)を板状晶として得た。
【0033】融点;84.5〜85.0℃ IR νmax(cm-1);2260、1720、1600、
1265、1090、1070、1030、715、7
101 H NMR (CDCl3,400MHz)(δppm);3.01(4H,d,J=5.7H
z)、5.47(1H,quint,J=5.7Hz)、7.35〜7.70(3
H,m)、7.96〜8.18(2H,m) 元素分析;C67.23%、H4.67%、N13.02
%(計算値C67.28%、H4.71%、N13.08
%) 〔3-ベンゾイルオキシ-4-シアノ酪酸の産生〕
【0034】上記で得られた3-ベンゾイルオキシグル
タロニトリル200mg(0.935mmol)を用いて、実施
例1の3-ベンジルオキシ-4-シアノ酪酸の産生と同様
の方法により培養し、淡黄色固体156mgを得た。
【0035】この淡黄色固体38.6mgを実施例1の方
法と同様に、ジアゾメタンで処理してメチルエステルと
し、これを精製し、次の物性値およびスペクトルデータ
を有する油状物質26.8mgを得た。この結果、3-ベン
ゾイルオキシ-4-シアノ酪酸メチルであることが同定さ
れ、前記淡黄色固体は3-ベンゾイルオキシ-4-シアノ
酪酸であることが確認された。
【0036】〔α〕D 22(c=1.03,CHCl3);+46.6° IR νmax(cm-1);2250、1740、1720、
1600、1260、1175、1105、1070、
1025、710、6901 H NMR (CDCl3,400MHz)(δppm);2.88〜3.08(4H,
m)、3.72(3H,s)、5.57(1H,quint,5.8Hz)、7.3
5〜7.67(3H,m)、7.95〜8.11(2H,m) MS(m/z);247(M+,3%)、149(3%)、122(28%)、
105(base peak)、77(28%)
【0037】また、実施例1と同様に、()-1-(1-ナ
フチル)エチルアミンと反応させ、3-ベンゾイルオキシ
-4-シアノ酪酸,()-1-(1-ナフチル)エチルアミドを
得て、1H NMRを測定した。この結果は次の通りであっ
た。 TLC(シリカゲル、ヘキサン/酢酸エチル=1/1),Rf;
0.281 H NMR (CDCl3,400MHz)(δppm);1.67(3H,d,J=6.4H
z)、2.73(1H,dd,J=6.6,14.8Hz)、2.82(1H,dd,J=
6.4,14.8Hz)、3.01(1H,dd,J=4.4,17.1Hz)、3.08
(1H,dd,J=4.4,17.1Hz) 〔ジアステレオマーがはっきり識別可能なシグナルのみ
を示した〕
【0038】さらに、同様に()-1-(1-ナフチル)エ
チルアミンと反応させ、3-ベンゾイルオキシ-4-シア
ノ酪酸,()-1-(1-ナフチル)エチルアミドを得、1H N
MRを測定した。この結果は次の通りであった。 TLC(シリカゲル、ヘキサン/酢酸エチル=1/1),Rf;
0.421 H NMR (CDCl3,400MHz)(δppm);1.63(3H,d,J=6.3H
z)、2.69(1H,dd,J=5.9,15.1Hz)、2.82(1H,dd,J=
7.1,15.1Hz)、2.95(1H,dd,J=4.9,17.3Hz)、3.07
(1H,dd,J=4.9,17.3Hz)
【0039】TLCおよびNMRスペクトルの比較か
ら、それぞれのアミドのジアステレオマ−には、全く相
手が含まれていないことが確認された。よって、3-ベ
ンゾイルオキシ-4-シアノ酪酸は測定誤差の範囲内で光
学的に純粋であることが判明した。
【0040】実施例3 3-ベンジル-4-シアノ酪酸 〔3-ベンジルグルタロニトリルの合成〕2-ベンジル-
1,3-プロパンジオール500mg(3.01mmol)をピリ
ジン5mlに溶解し、これに塩化p-トルエンスルホニル
1.256g(6.63mmol)および触媒量の4-ジメチルア
ミノピリジンを加え、0℃で24時間撹拌した。この反
応混合物に水を加えて20分間撹拌した後、ジエチルエ
ーテルで抽出した。このエーテル層を、飽和硫酸銅水溶
液、飽和硫酸ナトリウム水溶液で順次洗った後、無水硫
酸ナトリウムで乾燥した。減圧下に溶媒を留去し、2-
ベンジル-1,3-プロパンジオールビス(p-トルエンスル
ホナート)1.316g(収率92%)を得た。このものを
ジメチルスルホキシド15mlに溶解し、これにシアン化
ナトリウム448mg(9.04mmol)を加え、65℃で撹
拌した。3時間後に、これにシアン化ナトリウム135
mg(2.76mmol)を追加し、65℃で21時間撹拌を行
った。得られた反応混合物に水を加えた後、エーテルで
抽出した。エーテル層を水、飽和塩化ナトリウム水溶液
で順次洗い、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。減圧下
に溶媒を留去した後、残渣をシリカゲルカラムクロマト
グラフィー(片山化学製 K70-WH、23g、ヘキサン/酢酸エ
チル=5/1)にて精製し、次の物性値およびスペクトルデ
ータを有する3-ベンジルグルタロニトリル476mg(2
-ベンジル-1,3-プロパンジオールからの収率73%)
を油状物質として得た。
【0041】IR νmax(cm-1);2350、160
0、1500、1450、1425、750、7051 H NMR (CDCl3,400MHz)(δppm);1.55(1H,m)、2.5
0(4H,m)、2.85(2H,d,J=6.4Hz)、7.1〜7.5(5H,
m) MS(m/z);184(M+,23%)、117(6%)、91(base pea
k)
【0042】〔3-ベンジル-4-シアノ酪酸の産生〕上
記で得られた3-ベンジルグルタロニトリル200mg
(1.09mmol)を用いて、実施例1の3-ベンジルオキシ
-4-シアノ酪酸の産生と同様の方法により培養し、淡黄
色固体129mgを得た。
【0043】この淡黄色固体22.8mgを実施例1の方
法と同様に、ジアゾメタンで処理してメチルエステルと
し、これを精製し、次の物性値およびスペクトルデータ
を有する油状物質22.3mgを得た。この結果、この化
合物は3-ベンジルオキシ-4-シアノ酪酸メチルである
ことが同定され、前記淡黄色固体は3-ベンジルオキシ-
4-シアノ酪酸であることが確認された。
【0044】〔α〕D 22(c=1.22,CHCl3);+4.7° IR νmax(cm-1);2220、1730、1600、
1490、1430、1370、1100、880、7
40、7001 H NMR (CDCl3,400MHz)(δppm);1.55(1H,m)、2.4
5(4H,m)、2.75(2H,m)、3.70(3H,s)、7.10〜
7.50(5H,m) MS(m/z);217(M+,28%)、176(36%)、143(41
%)、117(60%)、91(base peak)、74(93%)
【0045】また、実施例1と同様に、()-1-(1-ナ
フチル)エチルアミンと反応させ、3-ベンジル-4-シア
ノ酪酸,()-1-(1-ナフチル)エチルアミドを得、この
化合物の1H NMRを測定した。この結果は次の通りであっ
た。 TLC(シリカゲル、ヘキサン/酢酸エチル=1/1),Rf;
0.501 H NMR (CDCl3,400MHz)(δppm);1.66(1.06H,d,J=6.
8Hz)、1.69(1.94H,d,J=6.8Hz) 〔ジアステレオマーがはっきり識別可能なシグナルのみ
を示した〕
【0046】さらに、同様に()-1-(1-ナフチル)エ
チルアミンと反応させ、3-ベンジル-4-シアノ酪酸,
()-1-(1-ナフチル)エチルアミドを得、この1H NMR
を測定した。この結果は次の通りであった。 TLC(シリカゲル、ヘキサン/酢酸エチル=1/1),Rf;
0.501 H NMR (CDCl3,400MHz)(δppm);1.66(1.94H,d,J=6.
8Hz)、1.69(1.06H,d,J=6.8Hz) NMRスペクトルのシグナルの面積強度の比較から、3
-ベンジル-4-シアノ酪酸の光学純度は、29%e.e.
あった。
【0047】
【発明の効果】本発明の化合物は、液晶等の機能性材料
或いは医薬や農薬等の生理活性物質等の合成原料として
利用でき、新しい機能性材料或いは生理活性物質化合物
を創成することができるという格別の効果を有し、ま
た、本製造方法の発明は、新規な4-シアノ酪酸誘導体
を極めて簡便に製造できるという効果を有する。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記一般式化1 【化1】 (式中、Rは-CH2Ph、-OCH2Ph、または-OCOPhを表わす)
    で示される新規な4-シアノ酪酸誘導体。
  2. 【請求項2】請求項1に記載の一般式化1の化合物にお
    いて、-R基が結合している炭素に光学活性が誘導され
    たことからなる光学活性4-シアノ酪酸誘導体。
  3. 【請求項3】下記一般式化2 【化2】 (式中、Rは-CH2Ph、-OCH2Ph、または-OCOPhを表わす)
    で示されるグルタロニトリル誘導体にロドコッカス属に
    属するニトリル加水分解能を有する微生物を作用させ
    て、下記一般式化3 【化3】 (式中、Rは上記と同じ)で示される光学活性な4-シア
    ノ酪酸誘導体を産生させ、これを採取することを特徴と
    する光学活性4-シアノ酪酸誘導体の製造方法。 【0001】
JP20559091A 1991-07-23 1991-07-23 新規な4−シアノ酪酸誘導体及びその製造方法 Pending JPH0525113A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5430171A (en) * 1992-06-02 1995-07-04 Takasago International Corporation T-butyl (R)-(-)-4-cyano-3-hydroxybutyrate and process for preparing the same

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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US5430171A (en) * 1992-06-02 1995-07-04 Takasago International Corporation T-butyl (R)-(-)-4-cyano-3-hydroxybutyrate and process for preparing the same

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