JPH05239110A - 大粒径ビーズ状架橋ポリマーの製造法 - Google Patents

大粒径ビーズ状架橋ポリマーの製造法

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JPH05239110A
JPH05239110A JP33628192A JP33628192A JPH05239110A JP H05239110 A JPH05239110 A JP H05239110A JP 33628192 A JP33628192 A JP 33628192A JP 33628192 A JP33628192 A JP 33628192A JP H05239110 A JPH05239110 A JP H05239110A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 イオン交換樹脂、キレート樹脂、吸着材の原
料として有用な平均粒径1.0mm以上の大粒径ポリマ
ー粒子を製造する方法を提供する。 【構成】 水性媒体中に重合性モノマーを分散させて懸
濁重合することによりポリマー粒子を製造する際、該モ
ノマー層の比重(A)と分散層の比重(B)を下記式I
の範囲に調整する方法。 B−0.03<A<B+0.03 I

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はビーズ状架橋ポリマーの
製造法に関するもので、詳しくは、水中油型の懸濁重合
法により平均粒径1mm以上の大粒径を有するビーズ状
架橋ポリマーを製造するための方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】イオン交換樹脂、キレート樹脂或は吸着
樹脂などのポリマー粒子を原料とした粒状製品は、通常
0.1−1.0mmの粒径に分布しており種々の用途に
用いられている。これらの樹脂を用いて大量の液を処理
しようとした場合には、樹脂層に対して単位時間当りの
通液量を大きくすることが最も効率的な手段である。し
かし、実際には通液量を大きくすると樹脂層の圧力損失
が大きくなって、これらの樹脂の粒径では最大通液量の
限界がある。
【0003】また、懸濁物質を含有する液を大量に処理
する場合には、通常樹脂層に対し上向流での通液を行う
が、樹脂が流出しない限界の流速までしか処理量を上げ
ることができない。この限界の流速は樹脂の粒径で一義
的に決ってしまう。これらの問題点から、大量の液を処
理しようとするために大粒径の樹脂が求められているの
である。
【0004】更に、ガス吸着剤として粒状樹脂が用いら
れる場合は、吸着剤層内での圧力損失がゼロとなること
が望ましく、この分野でも大粒径の吸着剤が求められて
いる。一方、大粒径のポリマー粒子を製造するには、重
合により得られたポリマーを成形する方法が一般的であ
る。しかしながら、この成形が可能なポリマーは、線状
の構造を有するもののみであるので、本発明の主目的で
あるイオン交換樹脂やキレート樹脂・吸着樹脂などに変
換する際にこのような線状ポリマーは溶解してしまうた
め、成形の方法を採用することができない。
【0005】また、イオン交換樹脂やキレート樹脂・吸
着樹脂を製造するには、その原料強度等の点から母体と
なるポリマー粒子は重合と同時に架橋構造を構成する必
要があり、通常、モノビニルモノマーとポリビニルモノ
マーとを懸濁重合させて製造されている。大粒径のポリ
マーを懸濁重合で得る方法として、特開昭64−111
03号公報が知られており、この公開特許公報には、全
単量体中のポリビニルモノマーを4〜30重量%とし、
多孔質化剤としては飽和脂肪族炭化水素を用いるが、実
質的には通常のモノマーの懸濁重合で大粒径の粒状のポ
リマーが得られるとしているが、このものはイオン交換
樹脂とした場合に破砕が生じるために多孔質化が必要な
旨記載されている。しかしながら、ここに示された通常
の懸濁重合方法では、多孔質状のみしか得られず、ま
た、必ずしも所望の大粒径の樹脂が得られず、また再現
性がよくないので条件の設定も困難である。
【0006】また、懸濁重合法としては、水中油型の懸
濁重合がもっとも一般的で、分散層の水の中に油性のモ
ノマーを懸濁して重合しポリマー粒子を製造する。この
懸濁重合で所望の粒径のポリマー粒子を得るには、通常
は攪はんする回転数を適当に調整する。攪はんは、分散
層に浮いているあるいは分散層に沈んでいるモノマー層
を分散層中に均一に分散させる目的と、攪はんでモノマ
ー液滴を切断して粒径を調節する目的のために適用され
る。
【0007】大粒径のポリマー粒子を得るには、攪はん
回転数を小さくしてモノマー液滴を切断する力を弱める
必要がある。しかし、極端に回転数を小さくすると分散
層中のモノマー液滴が浮上あるいは沈降して、分散が均
一でなくなり分散液上部あるいは下部で凝集してしまう
と言う問題がある。従って、水中油型の懸濁重合におけ
る攪拌回転数を制御するだけでは、得られるポリマー粒
子の粒径化に限界10.5mm程度があり、平均粒径1
mm以上の大粒径のものを製造することは難しかった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明者等は上記実情
に鑑み、イオン交換樹脂、キレート樹脂、更に吸着剤樹
脂の原料として有用な、大粒径ビーズ状架橋ポリマーを
効率的に製造するための方法を提供すべく種々検討した
結果、懸濁重合時における水相とモノマー相との比重差
に着目した。要するに、一般的なスチレンとジビニルベ
ンゼンの重合を考えると、水相の比重が1.0であるの
に対し、モノマー相の比重は0.91と低く、また、種
々の添加剤を加えた場合でも常にモノマー相の比重の方
が低い状態である。そこで、本発明者等はモノマー相の
比重を高くするための比重調節剤を添加することによ
り、水相とモノマー相との比重をほぼ同レベルに調整し
たところ、懸濁重合時に攪拌回転数を減らして大粒径の
ビーズを得ようとした場合に、モノマー相が浮上するこ
とがないので、モノマー相を分散層に沈める力を不要と
し、ポリマー粒子を決定するためだけの攪拌回転数の設
定が可能となり、所望の大粒径のポリマー粒子を製造し
うることを見出し、本発明を達成した。
【0009】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明の要旨
は、分散安定剤を含む水相中に、モノビニルモノマーと
架橋性モノマーとを主体とするモノマー相を分散させ、
重合開始剤の存在下、水中油型で懸濁重合することによ
りビーズ状架橋ポリマーを製造する方法において、 モノマー相に、水不溶性の不活性有機溶媒及びモノ
マー相に溶解可能な線状ポリマーから選ばれた比重が
1.0より大きい比重調節剤を少なくとも1種添加する
とともに、 必要に応じて、水相にも水溶性無機塩から選ばれた
少なくとも1種の比重調節剤を添加することにより、 モノマー相と水相との比重(25℃の温度におけ
る)を下記式Iの範囲に調整することを特徴とする大粒
径ビーズ状架橋ポリマーの製造法に存する。
【0010】 B−0.03<A<B+0.03 I (式中、Aはモノマー相の比重を示し、Bは水相の比重
を示す) 以下、本発明を詳細に説明する。本発明ではモノビニル
モノマーと架橋性モノマーを主体とするモノマー混合物
を水中油型で懸濁重合するものであるが、本発明では対
象となるモノビニルモノマーとしては、通常、スチレ
ン、エチルスチレン、ビニルキシレン、ビニルナフタレ
ンなどの芳香族モノビニルモノマー、又は、アクリル酸
エステル、メタアクリル酸エステル、アクリロニトリ
ル、メタクリロニトリルなどの脂肪族モノビニルモノマ
ーなどが挙げられ、なかでも、芳香族モノビニルモノマ
ー、特にスチレンが好適である。
【0011】一方、架橋性モノマーとしては、目的とす
るポリマー粒子に応じて架橋しうるポリビニルモノマー
が挙げられ、例えばジビニルベンゼン、ジビニルナフタ
レン、ジビニルトルエン、ジビニルキシレン、トリビニ
ルベンゼンなどの芳香族ポリビニルモノマー、又は、ジ
アクリル酸エチレングリコールエステル、ジメタクリル
酸エチレングリコールエステル、トリメチロールプロパ
ントリアクリレート、ジアクリル酸ブチレングリコール
エステル、ジメタアクリル酸ブチレングリコールエステ
ルなどの脂肪族ポリビニルモノマーなどが挙げられる。
芳香族モノビニルモノマーを用いた場合には、架橋性モ
ノマーとして通常、芳香族ポリビニルモノマー、特にジ
ビニルベンゼンを用いるのが好ましい。
【0012】架橋性モノマーの使用量は、ポリマー粒子
の特性に応じて任意の添加量が可能であり、特に限定さ
れるものではないが、通常、全モノマー重量に対し0.
5〜90(重量)%の範囲から適宣選ばれる。重合開始
剤としては通常、公知の油溶性ラジカル発生剤が用いら
れるが、通常、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、
第3級ブチルヒドロキシパーオキシドなどの過酸化物触
媒や、アゾビスイソブチロニトリルなどのアゾ触媒が挙
げられる。
【0013】重合開始剤の使用量は、通常、モノマー成
分に対して、500〜30,000ppm、好ましくは
500〜10,000ppmである。これらの重合開始
剤の使用量は、本発明の大粒径ポリマー粒子の製造に特
に影響を与えるものではない。本発明の懸濁重合におい
て分散層となる水相中には分散安定剤が添加されるが、
この分散安定剤としては公知のものでもよく、例えば、
カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール、
ゼラチン、デンプンなどの水溶性高分子化合物が挙げら
れる。分散安定剤の使用量は、通常、モノマー層に対し
て、0.001〜1重量%、好ましくは、0.01〜
0.1重量%である。
【0014】上述したモノマー相と水相との比重(25
℃における)を対比すると、水相はほぼ1.0であるの
に対し、モノマー相はモノマーの種類により異なるもの
の、例えば、0.7〜0.96と低い。従って、本発明
においては、モノマー相に比重が1.0より大きい比重
調節剤を添加し、モノマー相と水相との比重差を下記範
囲に調整することを必須の要件とするものである。
【0015】B−0.03<A<B+0.03 好ましくは B−0.025<A<B+0.025 更に好ましくは B−0.015<A<B+0.015 特に好ましくは B<A<B+0.015 (式中、Aはモノマー相の比重を示し、Bは水相の比重
を示す) 更に、本発明の場合、モノマー相の比重を1.01〜
1.2、好ましくは1.01〜1.05の範囲に調節す
るのが望ましい。このように、モノマー相に比重調節剤
を加え、水相との比重差を前記範囲に調整することによ
り大粒径を有するビーズ状架橋ポリマーを効率的に製造
することができるのである。
【0016】モノマー相に添加する比重が1.0より大
きい比重調節剤としては、水には不溶性であるがモノマ
ーとは相溶性のあるもので、しかも、重合反応には不活
性であるものが挙げられ、通常、比重が1.05〜2.
5、好ましくは1.1〜1.8のものが用いられる。こ
れらの具体例としては、例えば、エチレンジクロリド、
プロピレンジクロリド、クロロベンゼン、ジクロロベン
ゼン、四塩化炭素、クロロホルム、エチレンジブロミ
ド、プロピレンジブロミドなどのハロゲン化炭化水素、
好ましくは芳香族ハロゲン化炭化水素が挙げられる。ま
た、ブロム化線状ポリスチレン、クロル化線状ポリスチ
レンなどのハロゲン化線状ポリマーも同様に用いること
ができる。この場合のハロゲン化線状ポリマーの重量平
均分子量は、通常、5000〜200,000程度であ
る。
【0017】上記比重調節剤の使用量は水相に対するモ
ノマー相の比重を前記範囲内に調節できる量であるが、
通常、モノマーに対して0.3〜3重量倍である。ま
た、本発明では水相とモノマー相との比重差を調節すれ
ばよいので、モノマー相の比重が大きくなりすぎた場合
には、水相に高比重の添加剤を加えてバランスをとるこ
とができる。
【0018】水相に必要に応じて添加する比重調節剤と
しては水溶性無機塩であり、例えば、塩化ナトリウム、
塩化カルシウム、硫酸ナトリウムが挙げられ、塩化カル
シウム、塩化ナトリウムが好ましい。この水溶性無機塩
の使用量は調節しようとする水相の比重により決定され
るが、通常、水に対して0〜30重量%である。本発明
では上述のように調整されたモノマー相と水相とによっ
て水中油型の懸濁重合を行なうが、この重合は攪拌槽タ
イプの重合装置を用いて公知法に従って実施することが
できる。この場合の攪拌回転数は重要であり、回転数が
あまり低すぎると良好にモノマー液滴を生成させること
ができず、逆にあまり高すぎるとせん断力がかかり、そ
のため大粒径のポリマーを得るのが難しくなる。従っ
て、回転数は、通常、3〜100r.p.m、好ましく
は3〜30r.p.mの範囲から選ばれる。
【0019】本発明におけるモノマー相の比率は、通
常、水相に対して1.5〜20容量倍である。また、重
合温度としては、通常、60〜90℃であり、重合時間
は5〜20時間程度である。本発明ではゲル型又はポー
ラス型のいずれのビーズ状架橋ポリマーをも製造するこ
とができる。要するに、比重調節剤として不活性有機溶
媒を用いるケースでは、例えば、全モノマー中の架橋性
モノマー含有量が0.5〜20モル%以下と低架橋度の
場合には、通常、ゲル型のものが得られるが、前記架橋
性モノマー含有量が20〜90モル%、特に、40〜8
0モル%と高架橋度の場合には、比重調節剤である不活
性溶媒がポーラス形成剤としての役割も果すのでポーラ
ス型のものが得られる。また、比重調節剤として線状ポ
リマーを用いるケースでは、重合終了後、ポリマー粒子
中の該線状ポリマーを抽出除去すればポーラス型のビー
ズ状ポリマーとなる。
【0020】更に、本発明では必要に応じて、他のポー
ラス形成剤を積極的にモノマー相に添加しても差し支え
ない。勿論、この場合のモノマー相の比重は上記で説明
した範囲に調節する必要がある。このポーラス形成剤と
しては、モノマーとは混合するが生成するポリマーを溶
解しない溶媒や、モノマーに溶解する線状ポリマー、モ
ノマーに溶解する線状ポリマーと生成ポリマーを溶解す
る溶媒との混合物などが挙げられる。これらポーラス形
成剤を用いた場合には、重合終了後、ポリマー粒子中よ
り該ポーラス形成剤を公知法に準じて除去する必要があ
る。
【0021】本発明方法で得られたビーズ状ポリマーは
必要に応じて篩分け等をすることにより所望のサイズの
ビーズを得ることができる。本発明の懸濁重合法では、
モノマー相の比重と水相の比重を近づけることで、重合
時の攪はんでモノマー相を水相に巻き込む力が不要とな
り、攪はんの目的を粒径の制御のみに着目して設定する
ことが可能となる。そのため、従来の方法では得られな
かった平均粒径1.0mm以上、特に1.5〜6.0m
mのポリマー粒子が容易に製造可能となったのである。
さらに、重合時の攪はん動力も大きな力が不要となり、
エネルギー的にも有利である。
【0022】本発明で製造される大粒径のビーズ状架橋
ポリマーは、ゲル型又はポーラス型のものであり、イオ
ン交換樹脂やキレート樹脂・吸着樹脂に使用すること
で、圧力損失が大きく減少して高流速での使用が可能と
なり、生産効率を大きく向上させることが可能である。
また、上向流での使用時にも、高流速で使用しても浮上
しないため触媒用イオン交換樹脂などでも有利である。
更に、架橋度が40〜80%と高いポーラス型のビーズ
状ポリマーの場合、これをガス吸着用の吸着剤として利
用すると、圧力損失が大きく減少することから、特に、
微妙な圧力コントロールが必要な圧力スイング用吸着剤
として適している。
【0023】圧力スイング法とは、一般に混合物におけ
る各成分の吸着圧力下での分圧と脱着圧力下での分圧の
間の平衡吸着量の差を利用する分離法である。すなわ
ち、吸着剤を吸着塔に充填して、吸着させる物質を加圧
下に吸着剤に吸着させる。吸着された物質の脱着はその
圧より低い圧力にすることによって行なわれる。前述の
方法で製造された本発明のポリマーは、このような圧力
スイング法を使用した分離法に適用できるが、例えば吸
着させる物質としては、アセトン等の有機溶剤やSO3
等が挙げられ、それぞれ吸着剤に吸着して濃縮、回収
や、分離を行うことができる。
【0024】本発明の吸着剤は、圧力スイング方式を用
いた各種の装置に使用できる。このような装置の例とし
ては「圧力スイング吸着技術集成」川井利長編、198
6年1月、工業技術会発行P1〜P13や特開平2−4
3922号公報、等に記載のものが挙げられるが特に限
定されない。圧力スイング用吸着剤とするためには、通
常、比表面積が100〜1000m 2 /g、細孔容積が
0.5〜3.0cm3 /gのビーズ状ポリマーが望まし
い。
【0025】本発明方法で製造された大粒径のビーズ状
架橋ポリマーは上述の通りそれ自体、吸着剤としても使
用できるが、官能基を付与することによってイオン交換
樹脂やキレート樹脂とするための母体として、使用する
ことができる。官能基を付与する方法としては公知の方
法で何ら限定されないが、例えば母体がスチレンとジビ
ニルベンゼンをモノマーとして使用した架橋ポリマーで
ある場合は、クロロメチルエーテル等でハロアルキル化
後アンモニアやアミンと反応することによって塩基性樹
脂とされる方法やスルホン化剤によって強酸性樹脂とさ
れる方法がある。このような塩基性基導入方法として
は、USP2992544号公報等、強酸性基導入方法
として、USP3266007号公報等で公知である。
【0026】
【実施例】次に、本発明を実施例により更に具体的に説
明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の実
施例に限定されるものではない。 実施例1 モノマー相として、スチレン2.5g、工業用ジビニル
ベンゼン(純度57%)92.3g、クロロベンゼン1
81g、過酸化ベンゾイル1gの混合液を調製し、比重
を測定したところ1.03であった。
【0027】水相として、水2450g、ポリビニルア
ルコール0.4g、塩化ナトリウム98gの混合液を調
製し、比重を測定したところ1.04であった。この際
のモノマー相の比重と水相の比重の差は、0.01であ
る。攪はん機、冷却管を装着した円筒型の3リットルフ
ラスコに、水相を入れ、ついでモノマー相を入れて、回
転数40回転/分で均一分散した後に、温度を80℃と
して8時間重合を行った。得られたポリマー粒子を水洗
後、メタノールで洗浄してクロロベンゼンを除去してか
ら、再び水洗して湿潤状態のポリマー粒子を得た。湿潤
状態のポリマー粒子は、JIS規格標準篩を用いて粒度
分布を測定したところ、平均径が1.80mmであっ
た。
【0028】比較例1 水相に塩化ナトリウムを添加しないこと以外は、実施例
1と同一のモノマー相、水相で重合を行った。この際の
モノマー相の比重と水相の比重の差は、0.03であ
る。実施例1と同様の重合を行ったところ、モノマー相
はフラスコの底部に沈んで凝集してしまい、球状のポリ
マー粒子を得ることができなかった。
【0029】比較例2 モノマー相と水相の組成を比較例1と同一とし、モノマ
ー相が均一に分散する攪はん回転数を検討した結果、ポ
リマーが凝集しない最低の攪はん回転数は55回転/分
であった。この攪はん回転数で得られたポリマー粒子の
平均径は、0.98mmであった。
【0030】比較例3 モノマー相として、スチレン2.5g、工業用ジビニル
ベンゼン(純度57%)92.3g、トルエン142.
2g、過酸化ベンゾイル1gの混合液を調製し、比重を
測定したところ0.89であった。水相として、水24
50g、ポリビニルアルコール0.4gの混合液を調製
し比重を測定したところ1.00であった。この際のモ
ノマー相の比重と水相の比重の差は、0.11であっ
た。実施例1と同一の重合装置で、攪はん回転数を40
回転/分で重合を行ったところ、モノマー相が上部に浮
上して凝集してしまい、球状のポリマー粒子は得られな
かった。
【0031】比較例4 モノマー相と水相の組成を比較例3と同一とし、モノマ
ー相が均一に分散する攪はん回転数を検討した結果、ポ
リマーが凝集しない攪はん回転数は110回転/分であ
った。この攪はん回転数で得られたポリマー粒子の平均
径は、0.55mmであった。
【0032】実施例2 モノマー相として、スチレン7.8g、工業用ジビニル
ベンゼン(純度57%)286g、クロロベンゼン38
1g、過酸化ベンゾイル2.9gの混合液を調製し、比
重を測定したところ1.01であった。水相として、水
2025g、ポリビニルアルコール0.9gの混合液を
調製し、比重を測定したところ1.00であった。この
際のモノマー相の比重と水相の比重の差は、0.01で
あった。攪はん回転数を25回転/分として、実施例1
と同一の重合を行った。得られたポリマー粒子の平均径
は2.10mmであった。
【0033】実施例3 モノマー相として、スチレン6.9g、工業用ジビニル
ベンゼン(純度57%)252g、クロロベンゼン41
5g、過酸化ベンゾイル2.6gの混合液を調製し、比
重を測定したところ1.02であった。水相として、水
2025g、ポリビニルアルコール0.9gの混合液を
調製し、比重を測定したところ1.00であった。この
際のモノマー相の比重と水相の比重の差は、0.02で
あった。攪はん回転数を25回転/分として、実施例1
と同一の重合を行った。得られたポリマー粒子の平均径
は1.80mmであった。
【0034】実施例4 モノマー相として、スチレン6.1g、工業用ジビニル
ベンゼン(純度57%)227g、クロロベンゼン44
2g、過酸化ベンゾイル2.3gの混合液を調製し、比
重を測定したところ1.03であった。水相として、水
2025g、ポリビニルアルコール0.9g、塩化ナト
リウム40gの混合液を調製し、比重を測定したところ
1.02であった。この際のモノマー相の比重と水相の
比重の差は、0.01であった。攪はん回転数を25回
転/分として、実施例1と同一の重合を行った。得られ
たポリマー粒子の平均径は2.01mmであった。
【0035】実施例5 モノマー相として、スチレン2.5g、工業用ジビニル
ベンゼン(純度57%)92.3g、プロピレンジクロ
リド190g、過酸化ベンゾイル1.0gの混合液を調
製し、比重を測定したところ1.04であった。水相と
して、水2430g、ポリビニルアルコール0.4g、
塩化ナトリウム120gの混合液を調製し、比重を測定
したところ1.05であった。この際のモノマー相の比
重と水相の比重の差は、0.01であった。攪はん回転
数を30回転/分として、実施例1と同一の重合を行っ
た。得られたポリマー粒子の平均径は1.89mmであ
った。
【0036】実施例6 モノマー相として、スチレン220g、工業用ジビニル
ベンゼン(純度57%)47g、クロロベンゼン342
g、ポリスチレン48g、過酸化ベンゾイル1.4gの
混合液を調製し、比重を測定したところ1.02であっ
た。水相として、水1970g、ポリビニルアルコール
0.4gの混合液を調製し、比重を測定したところ1.
00であった。この際のモノマー相の比重と水相の比重
の差は、0.02であった。攪はん回転数を40回転/
分として、実施例1と同一の重合を行った。得られたポ
リマー粒子の平均径は1.40mmであった。得られた
ポリマー粒子を、通常の方法でクロロメチル化し(例え
ば、米国特許4,207,398号の実施例など)、さ
らにジエチレントリアミンでアミノ化して、弱塩基性陰
イオン交換樹脂を得た。得られたイオン交換樹脂の平均
径は、1.78mmであった。
【0037】実施例7 以上の実施例・比較例を分かりやすくするために、モノ
マー相の比重と水相の比重の差(比重差)と攪はん回転
数および得られた重合ポリマー粒子の平均径について表
−1に纏めた。
【0038】
【表1】
【0039】
【発明の効果】本発明方法によれば、粒径1mm以上の
大粒径の球状架橋共重合体が得られ、またその際、重合
時の攪拌動力を減らすことができる等有利である。本発
明によって得られる共重合体は、大量の水処理等に使用
するのに適したイオン交換樹脂の母体は、大きな圧力存
在下に使用する圧力スウィング吸着用、吸着剤等として
使用するのに好適である。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 分散安定剤を含む水相中に、モノビニル
    モノマーと架橋性モノマーとを主体とするモノマー相を
    分散させ、重合開始剤の存在下、水中油型で懸濁重合す
    ることによりビーズ状架橋ポリマーを製造する方法にお
    いて、 モノマー相に、水不溶性の不活性有機溶媒及びモノ
    マー相に溶解可能な線状ポリマーから選ばれた比重が
    1.0より大きい比重調節剤を少なくとも1種添加する
    とともに、 必要に応じて、水相に水溶性無機塩から選ばれた少
    なくとも1種の比重調節剤を添加することにより、 モノマー相と水相との比重(25℃の温度におけ
    る)を下記式Iの範囲に調製する ことを特徴とする大粒径ビーズ状架橋ポリマーの製造
    法。 B−0.03<A<B+0.03 I (式中、Aはモノマー相の比重を示し、Bは水相の比重
    を示す)
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN112495125A (zh) * 2020-11-03 2021-03-16 杭州中环环保工程有限公司 二氯甲烷废气处理设备及方法

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