JPH0523698A - 汚泥用消臭剤及び消臭方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【構成】 ジチオ炭酸アミドの誘導体、チウラムスルフ
ィドの誘導体、チオシアンの誘導体、イソチオシアンの
誘導体、ピリジンの誘導体、キノリンの誘導体、トリア
ジンの誘導体、イソシアヌール酸の誘導体又はハロゲン
カルボニル化合物の誘導体より選ばれる１種以上を主成
分とする有機系の化合物からなる汚泥用消臭剤であり、
該消臭剤を汚水処理により発生する汚泥に添加して消臭
する。 【効果】 汚水処理により生ずる汚泥等から発生する硫
化水素やメルカプタン等の悪臭を防止することができ
る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、消臭剤に係り、特に汚
水処理により生ずる汚泥や該汚泥を脱水して得た脱水ケ
ーキより発生する硫化水素やメチルメルカプタン等の悪
臭を防止する汚泥消臭剤及び消臭方法に関する。

【０００２】

【従来の技術】下水、し尿および有機性産業廃水（以
下、有機性汚水等と称す）は、通常、物理的および生物
的処理される。この際、最初沈殿汚泥、余剰汚泥、消化
槽引き抜き汚泥、凝集汚泥など各種の汚泥が大量に発生
する。その汚泥は遠心分離機、フィルタープレス、ベル
トプレスなどの脱水機で脱水され、脱水ケーキとして埋
立あるいは焼却処分される。汚泥は脱水ケーキを嫌気状
態で放置すると不快なかつ有毒な臭気物質、例えば硫化
水素、メルカプタン類などの含硫物質、アンモニア、メ
チルアミンなどの含窒物質、インドール、スカトール、
ホルマリン等を生じるため、搬送、処理場の作業員およ
び地域住民にとっては、この悪臭は極めて大きな問題で
ある。その対策として、臭気を吸引して吸着剤で処理し
たり、木酢液、グリオキザール、などを散布、噴霧した
り、マスキングしたりしていた。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】ところが、臭気を吸引
し物理的に処理するには設備が大型化する。また、マス
キング剤を用いても、悪臭成分が変化しないため、臭気
の周辺への拡散を防止することはできない。まして、脱
水ケーキは他の場所へ搬送するため、物理吸着法やマス
キング剤では十分な対処が困難であった。そこで脱水ケ
ーキを無臭化すると同時に、処理場外に搬送する前の野
積みにしても悪臭が発生しない方法が要求されていた。
本発明は、上記のような要求に添う消臭剤及び消臭方法
を提供することを目的とする。

【０００４】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明では、汚泥用消臭剤として下記式（化１）〜
（化９）で表わされる化合物の１種以上を主成分とする
こととしたものである。

【化１】 （式中、Ｒ₁ 、Ｒ₂ は、Ｈ、アルキル、シチオカルバミ
ン酸Ｎ−アルキレン、Ｒ₃ はＨ、第４級アンモニウム、
ヒドラジン、アルキルアミノ、金属、ｎは１〜３を表わ
す。）

【化２】 （式中、Ｒ₁ 、Ｒ₂ はＨ、アルキル、アルキレン、ｎは
１又は２を表わす。）

【化３】 （式中、Ｒ₁ はアルキル、アルケニル、ハロゲンアルキ
ル、フェニル、メチルチオベンゾチアゾール、ｎは１又
は２を表わす。）

【化４】 （式中、Ｒ₁ はアルキル、アルケニルを表わす。）

【化５】 （式中、Ｒ₁ はＨ、Ｎａ、Ｚｎ、Ｃｕ、ｎは１又は２を
表わす。）

【化６】 （式中、ＲはＨ、Ｃｕ、ＸはＨ、ハロゲンを表わす）

【化７】 （式中、Ｒ₁ 、Ｒ₂ 、Ｒ₃ はアルキル、ハロゲン、アミ
ノ基、水酸基、アルコキシを表わす）

【化８】 （式中、Ｒ₁ 、Ｒ₂ 、Ｒ₃ はＨ、Ｎａ、Ｋ、ハロゲン、
ハロゲンアルキルを表わす）

【化９】 （式中、Ｒ₁ はハロゲンアルキル、Ｒ₂ は水酸基、ハロ
ゲン、アルコキシ、フェニル、ｎは１又は３を表わ
す。） また、本発明では、前記の汚泥用消臭剤を、汚水処理特
に有機性汚水の汚泥処理により発生する汚泥に添加する
ことを特徴とする汚泥の消臭方法としたものである。

【０００５】次に、本発明を詳細に説明する。本発明で
使用できる消臭剤の具体的な代表例を以下に記載する。
まず式（化１）のジチオ炭酸アミドの誘導体としては、
Ｎ−メチルジチオカルバミン酸塩（ＮＨ₄ 、Ｎａ、Ｋ、
Ｚｎ等）、ジチオカルバミン酸ヒドラジン、Ｎ，Ｎ′−
ジメチルジチオカルバミン酸塩（ＮＨ₄ 、Ｎａ、Ｋ、Ｃ
ｕ、Ｚｎ、Ｍｎ、Ｆｅ、Ｎｉ、Ｐｂ等）、Ｎ，Ｎ′−ジ
エチルジチオカルバミン酸亜鉛、Ｎ，Ｎ′−ジブチルジ
チオカルバミン酸亜鉛、エチレンビスチオカルバミン酸
塩（ＮＨ₄ 、Ｎａ、Ｚｎ、Ｍｎ等）、ビス（ジメチルジ
チオカルバモイル）、エチレンビス（ジチオカルバミン
酸）亜鉛等を例示できる。式（化２）のチウラムスルフ
ィドの誘導体としては、テトラメチルチウラムモノスル
フィド、テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエ
チルチウラムモノスルフィド、テトラエチルチウラムジ
スルフィド、エチレンチウラムモノサルファイド等を例
示できる。

【０００６】式（化３）のチオシアン誘導体としては、
メチレンビスチオシアネート、クロロメチルチオシアネ
ート、エチレンビスチオシアネート、クロロエチレンビ
スチオシアネート、ビニレンビスチオシアネート、フェ
ニルチオシアネート、２−チオシアノメチルチオベンゾ
チアゾール等があり、また式（化４）のイソチオシアン
の誘導体としては、メチルイソチオシアネート、アリル
イソチオシアネート等を挙げることができる。式（化
５）のピリジンの誘導体としては、２−メルカプトピリ
ジン−Ｎ−オキサイド、（２−ピリジルチオ−１−オキ
シド）ナトリウム、ビス（２−ピリジルチオ−１−オキ
シド）亜鉛等があり、また、式（化６）のキノリンの誘
導体としては、８−ハイドロオキシキノリン、８−ハイ
ドロオキシキノリン硫酸塩、８−ハイドロオキシキノリ
ン銅、５−クロロキノリノール等を挙げることができ
る。

【０００７】式（化７）のトリアジンの誘導体として
は、２，４−ジクロロ−６−イソシアノ−１，３，５−
トリアジン、２，４−ジクロロ−６−ヒドロキシ−１，
３，５−トリアジンＮａ塩、２，４−ジクロロ−６−メ
トキシ−１，３，５−トリアジン、２，４−ジクロロ−
６−（ｏ−クロロアニリン）−１，３，５−トリアジ
ン、モノクロロメラミン、ジクロロメラミン、トリクロ
ロメラミン、ヘキサクロロメラミン、トリクロロシアヌ
ール酸等を挙げることができ、また、式（化８）のイソ
シアヌール酸の誘導体としては、イソシアヌール酸、ト
リクロロイソシアヌール酸、ジクロロイソシアヌール
酸、ジクロロイソシアヌール酸Ｎａ等を挙げることがで
きる。式（化９）のハロゲンカルボニル化合物の誘導体
としては、ブロム酢酸ブロマイド、トリクロロ酢酸、ビ
スブロモアセトキシエタン、ビス（１，４−ブロモアセ
トキシ）−２−ブテン、１，２，３−トリス（ブロモア
セトキシ）プロパン、２−ブロモ−４′−ハイドロオキ
シアセトフェノン等を挙げることができる。

【０００８】次に、本発明における汚泥用消臭剤の添加
量、攪拌時間は、汚泥に対して１種又は数種の合計添加
量が１〜２０００ｍｇ／ｌで、０〜２４時間程度の攪拌
でよい。好ましくは前記添加量・攪拌時間は式（化１）
のジチオ炭酸アミド誘導体では１０〜５００ｍｇ／ｌ、
０．２５〜２４時間（より好ましくは８〜１６時間）、
式（化２）のチウラムスルフィド誘導体では５０〜５０
０ｍｇ／ｌ、０．２５〜２４時間（より好ましくは８〜
１６時間）、式（化３）のチオシアン誘導体では２０〜
３００ｍｇ／ｌ、０．５時間以下、式（化４）のイソシ
アン誘導体では２０〜２００ｍｇ／ｌ、０．５時間以
下、式（化５）のピリジン誘導体では１００〜８００ｍ
ｇ／ｌ、０．５時間以下、式（化６）のキノリン誘導体
では１００〜８００ｍｇ／ｌ、０．５時間以下、式（化
７）及び（化８）のトリアジン誘導体では１００〜８０
０ｍｇ／ｌ、０．２５〜２４時間（より好ましくは８〜
１６時間）、式（化９）のハロゲンカルボニル化合物誘
導体では３０〜５００ｍｇ／ｌ、０．５時間以下がよ
い。

【０００９】

【作用】微生物の代謝作用等により、有機物が嫌気的に
分解すると悪臭が発生する。この発明の消臭剤を汚泥に
添加すると、細菌の細胞内に浸透して細胞内の重金属を
奪うため、その酵素は正常な働きができなくなり、硫化
水素、メルカプタン等の悪臭ガスの代謝活動を抑制し、
悪臭の発生を防止することができる。

【００１０】

【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
るが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではな
い。 実施例１ 下水の最初沈殿汚泥と活性汚泥処理の余剰汚泥よりなる
２．０％混合生汚泥１リットルに各消臭剤を以下のごと
く添加して実験した。 実験ａ 過酸化水素を８００ｍｇ／ｌ添加して５００ｒ．ｐ．
ｍ．で１６分間攪拌 実験ｂ ジメチルジチオカルバミン酸−Ｚｎ（Ｂ）を１００ｍｇ
／ｌ添加して３０ｒ．ｐ．ｍ．で８時間攪拌 実験ｃ テトラメチルチウラムジスルフィド（Ｃ）を８０ｍｇ／
ｌ添加して３０ｒ．ｐ．ｍ．で８時間攪拌

【００１１】実験ｄ メチレンビスチオシアネート（Ｄ）を２０ｍｇ／ｌ添加
して５００ｒ．ｐ．ｍ．で１０秒間攪拌 実験ｅ メチルイソチオシアネート（Ｅ）を２０ｍｇ／ｌ添加し
て５００ｒ．ｐ．ｍ．で１０秒間攪拌 実験ｆ ビス（２−ピリジルチオ−１−オキシド）亜鉛（Ｆ）を
１００ｍｇ／ｌ添加して５００ｒ．ｐ．ｍ．で１０秒間
攪拌 実験ｇ ８−ハイドロオキシキノリン（Ｇ）を１００ｍｇ／ｌ添
加して５００ｒ．ｐ．ｍ．で１０秒間攪拌 実験ｈ ２，４−ジクロロ−６−メトキシ−１，３，５−トリア
ジン（Ｈ）を５０ｍｇ／ｌ添加して３０ｒ．ｐ．ｍ．で
８時間攪拌 実験ｉ １，３−ジクロロ−Ｓ−トリアジン−２，４，６−トリ
オンナトリウム（ジクロロイソシアヌール酸−Ｎａ）
（Ｉ）を１００ｍｇ／ｌ添加して３０ｒ．ｐ．ｍ．で８
時間攪拌

【００１２】実験ｊ ブロム酢酸ブロマイド（Ｊ）を８０ｍｇ／ｌ添加して５
００ｒ．ｐ．ｍ．で１０秒間攪拌 実験ｋ ジメチルジチオカルバミン酸−Ｚｎ（Ｋ−１）５０ｍｇ
／ｌおよび２，４−ジクロロ−６−メトキシ−１，３，
５−トリアジン（Ｋ−２）５０ｍｇ／ｌを添加して３０
ｒ．ｐ．ｍ．で８時間攪拌 実験ｌ テトラメチルチウラムジスルフィド（Ｌ−１）４０ｍｇ
／ｌおよびクロロエチルビスチオシアネート（Ｌ−２）
２０ｍｇ／ｌを添加して３０ｒ．ｐ．ｍ．で８時間攪拌 実験ｍ エチレンビスジチオカルバミン酸−Ｚｎ（Ｍ−１）２０
ｍｇ／ｌ、８−ハイドロオキシ・キノリン−Ｃｕ（Ｍ−
２）２０ｍｇ／ｌおよびトリクロロメラミン（Ｍ−３）
４０ｍｇ／ｌを添加して３０ｒ．ｐ．ｍ．で８時間攪拌

【００１３】これらの汚泥を３５℃の恒温機に静置し、
一定時間毎に硫化水素（Ｈ₂ Ｓ）とメチルメルカプタン
（ＣＨ₃ ＳＨ）の濃度を北川式ガステイク検知管で測定
した。その結果を下記表１に示す。表中Ｎ．Ｄ．はガス
テイクのボンベを５回引いて検出しないときであり、ま
た型は使用した消臭剤が式（化１）〜（化９）のどれに
相当するかを示す。

【００１４】

【表１】

【００１５】

【発明の効果】本発明による汚泥用消臭剤によれば、汚
泥中に少量の消臭剤を添加するだけで、悪臭成分の発生
を長時間にわたって防止することができる。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 須藤 さつき 神奈川県藤沢市本藤沢４丁目２番１号 株 式会社荏原総合研究所内 (72)発明者 河村 静夫 静岡県磐田郡福田町塩新田浜野328番地 ケイ・アイ化成株式会社内 (72)発明者 岩渕 耕一 静岡県磐田郡福田町塩新田浜野328番地 ケイ・アイ化成株式会社内

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 下記式（化１）〜（化９）で表わされる
   化合物の１種以上を主成分とする汚泥用消臭剤。 【化１】 （式中、Ｒ₁ 、Ｒ₂ は、Ｈ、アルキル、シチオカルバミ
   ン酸Ｎ−アルキレン、Ｒ₃ はＨ、第４級アンモニウム、
   ヒドラジン、アルキルアミノ、金属、ｎは１〜３を表わ
   す。） 【化２】 （式中、Ｒ₁ 、Ｒ₂ はＨ、アルキル、アルキレン、ｎは
   １又は２を表わす。） 【化３】 （式中、Ｒ₁ はアルキル、アルケニル、ハロゲンアルキ
   ル、フェニル、メチルチオベンゾチアゾール、ｎは１又
   は２を表わす。） 【化４】 （式中、Ｒ₁ はアルキル、アルケニルを表わす。） 【化５】 （式中、Ｒ₁ はＨ、Ｎａ、Ｚｎ、Ｃｕ、ｎは１又は２を
   表わす。） 【化６】 （式中、ＲはＨ、Ｃｕ、ＸはＨ、ハロゲンを表わす） 【化７】 （式中、Ｒ₁ 、Ｒ₂ 、Ｒ₃ はアルキル、ハロゲン、アミ
   ノ基、水酸基、アルコキシを表わす） 【化８】 （式中、Ｒ₁ 、Ｒ₂ 、Ｒ₃ はＨ、Ｎａ、Ｋ、ハロゲン、
   ハロゲンアルキルを表わす） 【化９】 （式中、Ｒ₁ はハロゲンアルキル、Ｒ₂ は水酸基、ハロ
   ゲン、アルコキシ、フェニル、ｎは１又は３を表わ
   す。）
2. 【請求項２】 請求項１記載の汚泥用消臭剤を、汚水処
   理により発生する汚泥に添加することを特徴とする汚泥
   の消臭方法。