JPH052327B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔発明の技術分野〕 この発明はＸ線管支持器に係り、とくに移動形
Ｘ線装置にて好適なＸ線管支持器に関している。

〔発明の背景〕

この種のＸ線管支持器は、Ｘ線管を支持する昇
降台が支柱に昇降可能に取り付けられ、ロープに
よつて吊されていると共にロープの他端をスプリ
ングバランサによつて平衡させてある。ロープお
よびスプリングバランサのスプリングの切断によ
つてＸ線管が急降下するのを防ぐために、制動板
が昇降台上の支点を中心に傾動しうるように昇降
台に支持され、ロープが支点を中心とする制動板
の一端側に接続されていると共に、ばねが支点を
中心とする制動板の他端側を押し上げていて、ロ
ープ張力の減少で制動板を傾かせて、制動板上の
制動片が支柱を強く摩擦して、昇降台の落下ある
いは急降下を阻止するようにしてある。このよう
なものでは、昇降台が停止するまでに、Ｘ線管お
よび昇降台がかなりの距離を落下するおそれがあ
り、重大な事故となる場合がある。

〔発明の目的〕

本発明は安全性をより改善されたＸ線管支持器
を提供するものである。

〔発明の概要〕

本発明のＸ線管支持器は、スプリングバランサ
がロープにたいして並列に接続された複数のうず
巻きばねを具備していて、ロープの切断時はもち
ろん一部のうず巻きばねが切断され、昇降台が残
余のスプリングによつて支持されている場合でも
制動板およびこれに浮動支持された第二の制動板
の傾動によつて支柱に食い込んで、昇降台の落下
が阻止されるようにしてあることを、特徴として
いる。

本発明のＸ線管支持器の実施例は、以下に、添
付図面とともに説明する。

〔発明の実施例〕

第１図ないし第５図において、１１は垂直に配
置されている支柱、１２はＸ線管をコリメータと
ともに支持する昇降台をそれぞれ示している。昇
降台は支柱に遊かんさせられていて、支柱にそつ
て移動できる。制御板１４は支柱１１に遊かんさ
れており、昇降台上の支点部材１５に支点部材を
中心に回動できるように連結されている。ロープ
１６は図示を省略された支柱上端にある滑車に巻
き掛けられていて、両端を制動板１４およびスプ
リングバランサ１７に接続されている。コイルば
ね２５が制動板と昇降台との間に位置して配置さ
れている。コイルばねは制動板における。支点部
材１５を支点にしてロープ１６の接続側と反対側
を押し下げようとする力に対抗していて、制御板
が支柱にたいして直角になるようにさせている。

詳しく説明すると、制動板１４は透孔２１を有
していて、透孔を支柱に遊かんさせることで支柱
に取り付けてある。他方、昇降台には受板２２を
ねじ止めしてある。支点部材１５がこの受板に植
えてある。制動板はその溝２４を支点部材１５に
嵌合させられていて、支点部材のヘツドによつて
上方への抜け出しを阻止させられていると共に、
水平方向に移動できるようになつている。コイル
バネ２５が、支点部材１５を中間にした制動板の
一端に、昇降台との間に位置して配置させられて
いる。これらのコイルばねは昇降台上のピンに挿
入されていて、倒れを阻止されかつ位置を定めら
れている。ロープ１６は制動板における支点部材
１５を中間にした反対側に接続されている。接続
は、ロープを制動板上の孔に通すと共に、ロープ
端のストツプ２６によつて抜け出しを阻止するこ
とでなされている。制動板は、これらによつて支
柱にたいして直角に位置させられていて、ロープ
張力の変化によつて支点部材を中心にして傾動で
きるようになつている。ねじ部材２７がコイルば
ね２５に寄つた側に位置して昇降台に植えられて
いて、制動板の傾き量を調整できるようにしてい
る。

ロープ１３の張力変化、たとえばロープ自身の
切断が生じると、制動板はコイルばね２５によつ
て、支点部材１５を中心にして傾動させられ、制
動板上の制動片４０ａ，４０ｂが支柱１１に食い
込んで、昇降台の落下を阻止させることができ
る。昇降台の停止はスプリングバランサ内のスプ
リングが切断してもなされる。スプリングバラン
サは、前述のように、ロープに並列接続された複
数のうす巻きばねを具備させられていて、一部の
うす巻ばねが切れても、残余のうす巻ばねによつ
て昇降台の急降下を防ぐことができるようにして
いる。スプリングバランサは中空のロータ２８を
具備している。ロータはケース２９に収容され、
ケース内の軸３０に軸受を介在させて取り付けら
れている。うず巻ばね３１はロータ内に平行に配
置され、一端を軸３０にかつ他端をロータに部材
３２によつて固定されている。プーリ３３はロー
タ２８の一部を形成していて、らせん状のロープ
溝を設けられている。ロープ１６はプーリのロー
プ溝に巻き付けられ、かつ端部をプーリに固定さ
れている。スプリングバランサは、うず巻ばねお
よびロープ溝の直径に関連するトルクを生じて、
昇降台を名高さで平衡させている。なお、軸３０
はケーシングに回転可能に保持され、ウオーム３
４ｂおよびウオームホイール３４ａによつて回転
を妨げられ、そしてウオームを回転させることで
うず巻ばねに同一の初期たわみを附与させられる
ようにしている。

このＸ線管支持器では、さらに、スプリングバ
ランサにおける一部のスプリングが切れた際に
も、昇降台の昇降を阻止できるようにしてある。
すなわち、制動板１４を押し下げる力に対抗して
いるコイルばね２５はスプリングバランサにおけ
る一部のばねが切れても、ロープ張力の変化が小
さいため、従来のように制動板１４に制動片４０
ａ，４０ｂを取り付けた構成では制動板１４が制
動片４０ａ，４０ｂを支柱に十分にくい込ませら
れるだけ傾かず、昇降台の停止が不完全になつた
り、停止までの時間遅れが大きくなつたりする。
これを防ぐために、第二の制動板が制動板１４に
浮動支持させて取り付けてある。第二の制動板は
図面にて符号３５で示されている。第二の制動板
３５は制動板１４と同様に角形の透孔２１を具備
していて、支柱１１に遊嵌させられ、そして制動
板１４の上に載置させられている。第二の制動板
３５には制動板１４の溝２４と平行に溝３７を設
けられ、ピン３８が溝３７を通つて制動板１４に
植え込まれていて、第二の制動板３５がピン３８
を支点にして制動板１４の上で傾動できかつピン
３８を案内として水平方向に僅かな距離だけスラ
イドできるようにしている。制動片４０ａ，４０
ｂは、この第二の制動板３５に、ウエツジ状の側
縁が支柱１１と僅かな距離（例えば、0.2〜0.3
mm）をはさんで対面するように配置されていると
共に、高さ調整板３９と押え板３９´とによつて
挟持されてねじ止めされている。

この第二の制動板３５は、ロープ１６が切断す
ると同時に、正常時の第２図ｂの状態から第２図
ｃに示すように、コイルばね２５の伸長により支
点部材１５を支点にして傾動する制動板１４とと
もに傾動する。この場合、第二の制動板３５のコ
イルばね２５側は、制動板１４に対して載置され
ているだけのフリー状態で、反対側のピン３８を
支点にして傾動するから、制動板１４と同方向
に、しかも制動板１４より余計に傾動させられ
る。そして、この傾動動作と並行して昇降台１２
が下降するため、従来のように、制動片４０ａ，
４０ｂが制動板１４に取り付けられていた場合に
比べて敏感に制動片４０ａ，４０ｂを支柱１１に
食い込ませることが可能になり、昇降台１２を確
実に停止させることができる。さらに、スプリン
グバランサ内のスプリングの一部、たとえば三枚
のうず巻ばね３１のうちの一枚が切れても、第二
の制動板３５はこれによつて生じる制動板１４の
僅かな傾動および衝撃で、ピン３８を支点に傾か
されかつピン３８を案内にしてすべり、制動片４
０ａ，４０ｂを支柱１１に食い込ませて、昇降台
の昇降を阻止させることができる。

昇降台自体は一対の支持台４１およびシリンダ
を有している。支持台は、角形の孔４１ａを備え
ていて、この孔を支柱に遊かんさせることで支柱
１１に取り付けられている。シリンダ４２を支柱
１１に遊かんされており、支持台はこのシリンダ
に結合されている。また、支持台には支柱の各側
面に対応して、四組のローラ４３を設けてある。
各ローラは支柱の側面に接触させられていて、支
柱にそつて昇降台をスムーズに昇降できるように
すると共に昇降台が支柱のまわりに回転するのを
阻止してある。ローラの軸は支柱の側壁とこれに
対面する昇降台上の支持台４１の切欠部（凹部）
の壁とによつて水平方向の位置を、又支持台４１
に固定された押え板４６と支持台４１の切欠部
（凹部）の底によつて垂直方向の位置を決められ
ている。シリンダ５２が、さらに、シリンダ４２
の外側に嵌合され、両端を軸受５３によつて支持
台４１に支持されている。Ｘ線管はシリンダ５２
に支持されるようになつている。第６図はこの支
持器を具備する移動形Ｘ線装置を示している。支
柱１１はベース５１に立てられている。アーム５
４はシリンダ５２と一体の受板５５へ軸５６によ
つて取り付けられていると共に、シリンダ５２と
の間に連結されたコイルばねによつて平衡させら
れている。Ｘ線管５７はコリメータ５８ととも
に、アーム５４の先端に回転台５９を介在して取
り付けられている。コンデンサ形高電圧発生器、
蓄電池などはスプリングバランサとともにベース
５１に配置されかつケーシング６０によつて覆わ
れている。

〔発明の効果〕

本発明のＸ線管支持器は、以上述べたように、
スプリングバランサが昇降台を吊るロープにたい
して並列に接続された複数のばねを有していて、
ロープが切断しても、又一部のばねが切断して、
残余のばねが昇降台を支持している場合でも、ロ
ープの張力変化に応じてコイルばねが伸長し、支
点部材を支点にして傾動する制動板とともに第二
の制動板も支点部材より外方のピンを支点にして
制動板と同方向に傾動する。そして、このとき第
二の制動板のコイルばね側はフリー状態で、制動
板より余計に傾動するから、従来のように、制動
片が制動板に取り付けられていた場合に比べて敏
感に制動片を支柱に食い込ませることが可能にな
り、確実に昇降台の落下を阻止しているので、安
全性がきわめて高いものである。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明のＸ線管支持器の一実施例を示し
ていて、第１図は一部を断面にされた正面図、第
２図ａは側面図、第２図ｂ，ｃは動作説明用の側
面図、第３図は平面図、第４図は第３図−線
にそう断面図、第５図は第２図ａの−線にそ
う断面図、第６図は移動形Ｘ線装置に組み込まれ
た状態を示す斜視図である。 １１……支柱、１２……昇降台、１４……制動
板、１５……支点部材、１６……ロープ、１７…
…スプリングバランサ、２５……コイルばね、３
１……うず巻ばね、３５……第二の制動板、４０
ａ，４０ｂ……制動片、５７……Ｘ線管。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ ベース上に垂直に設けられた角形断面の支柱
   と、該支柱に遊嵌され、側方にアームを介して張
   り出したＸ線管を前記支柱に沿つて上下移動可能
   に支持する昇降台と、前記支柱に遊嵌可能な角穴
   を有し、一方の側を前記昇降台上で、かつ前記支
   柱の角形の一辺に沿う位置に設けられたコイルば
   ねに支持され、他方側を前記昇降台上で、かつ前
   記支柱の辺と相対する側の辺近傍に固設された支
   点部材により上方への移動を阻止されるととも
   に、該支点部材を支点にして傾動可能な制動板
   と、前記昇降台の任意の高さ位置で前記Ｘ線管等
   の自重とバランス可能なトルクを発生するうず巻
   きばねをケース内に設けたスプリングバランサ
   と、一端側を前記スプリングバランサに接続さ
   れ、他端側を途中前記支柱頂部の滑車を介したの
   ち前記制動板の支点部材よりさらに外側部に接続
   して前記昇降台を吊支するロープとを備え、前記
   うず巻きばねおよびロープのいずれか一方もしく
   は両方の切断時に、前記制動板の傾動により発生
   する前記支柱側面との間の摩擦によりＸ線管の落
   下を防止するＸ線管支持器において、前記うず巻
   きばねを同時作用可能にケース内に複数個並列に
   設け、該各うず巻きばねに同一の初期たわみを付
   与したスプリングバランサと、前記支柱に遊嵌可
   能な角穴を有して前記制動板上に載置され、上方
   への移動を前記制動板上にその支点部材より外方
   に固着されたピンを介して阻止されるとともに、
   該ピンを支点にして前記制動板と同方向に傾動可
   能な第二の制動板と、該第二の制動板上に取り付
   けられ、該第二の制動板が傾動した際、前記支柱
   の相対する外側面に食い込み可能なウエツジ状の
   側縁を有する一対の制動片とを設けたことを特徴
   とするＸ線管支持器。