JPH05232112A - 乾式免疫分析要素 - Google Patents

乾式免疫分析要素

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JPH05232112A
JPH05232112A JP6940092A JP6940092A JPH05232112A JP H05232112 A JPH05232112 A JP H05232112A JP 6940092 A JP6940092 A JP 6940092A JP 6940092 A JP6940092 A JP 6940092A JP H05232112 A JPH05232112 A JP H05232112A
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JP
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enzyme
amylase
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ligand
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JP6940092A
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Toshihiro Hiraoka
俊景 平岡
Yoshihiko Makino
快彦 牧野
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Fujifilm Holdings Corp
Original Assignee
Fuji Photo Film Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 リガンドと枯草菌アミラーゼ標識抗体との間
の反応により生じた酵素活性の変化を測定することによ
りリガンド量を測定する乾式免疫分析要素において、検
体中に含まれるアミラーゼを特異的に阻害する阻害剤と
カルシウム化合物の両方もしくは片方をその要素内に含
有することを特徴とする乾式免疫分析要素。 【効果】標識酵素である枯草菌アミラーゼを阻害しない
が検体中に含まれる同種のアミラーゼを特異的に阻害す
る阻害剤を要素内に含有させているので、検体中のアミ
ラーゼの存在が測定値に誤差を与えることがない。ま
た、カルシウム化合物の存在により、枯草菌アミラーゼ
の酵素活性は安定する。特にEDTA等のCa−キレー
ト剤が含まれる検体を使用する場合でも、十分な量の遊
離Caイオンを確保できるので、検体による誤差を生じ
ることがない。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は均一系酵素免疫測定法を
適用した乾式免疫分析要素に関するものである。詳しく
は、抗体標識酵素として枯草菌アミラーゼを用い、抗原
抗体結合反応による標識枯草菌アミラーゼの酵素活性の
変化を検出する乾式免疫分析要素に関するものである。
【0002】
【発明の背景】血液や尿などの体液に含まれる生体成
分、薬物等の分析は、病態の診断や治療経過の判定に非
常に有用であり、臨床検査の分野で重要な役割を果たし
ている。このような微量成分(リガンド)の分析方法と
して、酵素免疫分析方法(エンザイムイムノアッセイ)
がある。酵素免疫分析方法には、B/F分離が必要な非
均一系とB/F分離が不要な均一系がある。均一系反応
は抗体と抗原(リガンド)が結合すると標識酵素の酵素
活性が何らかの干渉を受けることに基づくもので、抗原
抗体結合による阻害作用を利用する。一般には、抗原を
酵素標識しておいて、これに大分子である抗体が結合す
ることにより、酵素の基質に対する結合が立体障害を受
けたり、或いは酵素の立体構造が変化するために生じる
酵素活性の抑制を検出する。
【0003】抗原が高分子である場合には、これとは逆
に抗体に酵素標識しておいても、抗原抗体結合反応によ
る酵素活性の抑制を検出できる。
【0004】一方、多数の検体試料を取扱いルーティン
化している臨床検査では、簡便、迅速に分析でき自動操
作化もできることが望まれ、このような観点から、乾式
分析要素が提案されている(例えば特開昭49-53888(対
応US 3,992,158)、特開昭55-90859(US 4,258,001)、特開
昭55-164356(US 4,292,272)、特開昭60-222769(EP 0 162
302A)、特開昭59-77356(EP 0 097 952A)、特開昭59-102
388(US 4,861,552)、特表昭61-501866(US 4,459,358))。
【0005】均一系酵素免疫反応を適用した乾式分析要
素として既に提案されているものもある(特願平02-248
711)。これは測定対象が高分子抗原である場合に適用さ
れるものであり、(A) 水不溶性の高分子基質、(B) 高分
子抗原に対する抗体と、基質に対する酵素との結合物、
の2つを多層分析要素の同一層或いは別々の層に含有さ
せたものである。分析要素に点着し供給された高分子抗
原は抗体−酵素結合物に結合する。この抗原−抗体−酵
素複合体は高分子基質に対して酵素活性を示すことがで
きない。従って検体中の抗原量が増えるに従って、酵素
反応生成物は減少することになる。この生成物の量を光
学的に測定することにより検体中の抗原量を分析すると
いうものである。特願平02-248711 では、この生成物を
さらに低分子化する低分子化酵素を含有する試薬層を設
け、この低分子化生成物を検出することにより感度の上
昇が図られている。
【0006】この乾式免疫分析要素では、高分子基質と
してデンプン等の多糖類を用い、抗体標識酵素として枯
草菌α−アミラーゼを用いている。しかしながらα−ア
ミラーゼを標識酵素として用いた分析要素においては、
検体中に同種のα−アミラーゼが含まれていると、この
酵素によっても基質が分解されるため、測定値の誤差
(ノイズによる負誤差)となって現れることになる。
【0007】またこの分析要素においては、酵素標識抗
体中の枯草菌アミラーゼの活性値を安定にするために必
要な水溶性のカルシウム化合物を充分に配合しないと感
度が低下する傾向があることが判明した。さらに検体が
EDTA加血を用いて調製した血漿である場合、EDT
Aがアミラーゼ活性に影響を与え、測定値の正誤差とな
って現れる場合があることも判明した。
【0008】
【発明の目的】本発明は以上のような事情に鑑みなされ
たものであり、簡便な操作で高感度にかつ迅速な分析が
できる、均一系酵素免疫反応を適用した乾式免疫分析要
素を提供することを目的とする。特に本発明は、標識酵
素として枯草菌α−アミラーゼを用いた乾式分析要素に
おいて、検体中のアミラーゼの影響による誤差を生じな
い乾式分析要素を提供することを目的とする。また検体
中にEDTA等のCaキレート剤が含まれている場合で
も、標識酵素α−アミラーゼの酵素活性を安定して発現
させ、リガンドの検出感度が損なわれることがない乾式
免疫分析要素を提供することを目的とする。
【0009】
【発明の構成】このような本発明の目的は、リガンドと
枯草菌アミラーゼ標識抗体との間の反応により生じた酵
素活性の変化を測定することによりリガンド量を測定す
る乾式免疫分析要素において、検体中に含まれるアミラ
ーゼを特異的に阻害する阻害剤とカルシウム化合物の両
方もしくは片方をその要素内に含有することを特徴とす
る乾式免疫分析要素、により達成することができる。
【0010】
【作用】リガンド(測定対象)が高分子量抗原である場
合には、抗原抗体結合反応により抗体標識酵素(枯草菌
アミラーゼ)の酵素活性が抑制され酵素反応生成物量は
減少する。一方、リガンドが低分子量抗原である場合に
は、リガンドと高分子化合物との結合物(高分子化抗
原)を用いて、これとの間の競争反応を利用する。すな
わち、検体中のリガンド量が多くなるほど高分子化抗原
と結合する抗体は少なくなり、その結果抗体標識酵素へ
の干渉が少なくなる。従ってこの場合にはリガンド量に
比例して酵素反応生成物は多くなる。いずれの場合も、
リガンド量に応じて変動する酵素反応生成物の量を光学
的に測定することによりリガンド量を分析することがで
きる。
【0011】好ましい態様では、標識酵素の基質として
非拡散性基質を用い、これを基質層に含有させる。基質
層で生じた拡散性の反応生成物をさらに試薬層に移行さ
せ、さらに低分子量生成物に変換してからこの低分子生
成物を呈色試薬により呈色させ検出する。
【0012】このとき、標識酵素である枯草菌アミラー
ゼを阻害しないが検体中に含まれる同種のアミラーゼを
特異的に阻害する阻害剤を要素内に含有させているの
で、検体中のアミラーゼの存在が測定値に誤差を与える
ことがない。また、カルシウム化合物を要素内に含有さ
せるので、枯草菌アミラーゼの酵素活性は安定する。特
にEDTA等のCa−キレート剤が含まれる検体を使用
する場合でも、十分な量の遊離Caイオンを確保できる
ので、検体による誤差を生じることもない。
【0013】
【発明の構成の詳細な説明】免疫分析要素の層構成 図1に本発明の免疫分析要素の一実施態様を示す。この
図1において符号10は光透過性支持体であり、その上
には試薬層12、基質層14が積層されている。基質層
14は、水浸透性層で構成され、抗体に標識として結合
された酵素の基質である非拡散性基質を含有する。この
基質は、測定対象であるリガンドの量に応じて残存する
酵素標識抗体の酵素活性により拡散性物質を生成する。
試薬層12は、水浸透性層で構成され、基質層から拡散
・移行してきた拡散性物質をさらに低分子量の生成物に
する低分子化酵素を含む。試薬層12はまたこの低分子
生成物を検出するための試薬組成物を含有する。また基
質層14はヒトアミラーゼを特異的に阻害する酵素阻害
剤及びカルシウム化合物とを併せて含有する。
【0014】この基本構成は、測定対象が低分子抗原で
あるか高分子抗原であるかを問わず同じである。ただ
し、測定対象が低分子抗原である場合には、検体と高分
子化抗原と酵素標識抗体とを混合して競争反応をした混
合液を、基質層14に点着又は供給することにより分析
を行う。この場合には、リガンド(低分子抗原)の量が
多いほど生成される拡散性物質は増大する。これに対し
て、測定対象が高分子量の抗原である場合には、検体と
酵素標識抗体のみを混合して抗原抗体結合反応させ、そ
の反応液を基質層14に点着又は供給すればよい。この
場合には、リガンド(高分子抗原)の量が多いほど生成
される拡散性物質は減少する。
【0015】測定対象 本発明の測定対象は検体に含まれる抗原決定基を有する
リガンドである。検体の種類は限定されないが、例えば
血液(全血、血漿、血清)リンパ液、尿などがある。血
球などの浮遊物がある場合には予め除去しておくのが好
ましい。ただし適当な濾過層を分析要素の最上層に設け
た場合にはそのまま分析要素に点着・供給してもよい。
リガンドは抗原性があってその抗体を用意できるもので
あれば、低分子量物質から高分子量物質までの抗原につ
いて本発明の分析要素で分析できる。
【0016】低分子量の抗原としては、例えば、ジゴキ
シン、テオフィリン、フェノバルビタール、フェニトイ
ン、ペニシリン、アミカシン等の薬物の誘導体(例えば
薬物と蛋白等の生体物質との結合物)、プロスタグラン
ジン、テストステロン、プロゲステロン、チロキシン等
のホルモン等を挙げることができる。高分子量の抗原と
しては、例えば、各種内分泌腺に由来するホルモン類、
免疫グロブリン、アルブミン、フェリチン、C−反応性
蛋白(以下CRPと略す)等の血漿蛋白質、HB抗原等
のウイルス、バクテリア類、α−フェトプロテイン、癌
胎児性抗原(CEA)等の各種臓器あるいは血中、尿中
に存在する抗原がある。
【0017】なお本明細書でいう高分子抗原とは、酵素
標識抗体に結合している酵素活性への干渉(抑制)作用
を示す程度の高分子量の抗原をいい、例えば分子量2万
ダルトン以上、好ましくは約5万ダルトン以上の抗原を
いう。これに対して本明細書でいう低分子抗原とは、酵
素標識抗体に結合してる酵素活性にあまり影響を与えな
い程度の分子量の抗原をいい、例えば分子量2万ダルト
ン以下の抗原をいう。但しこれらの分子量の値はあくま
で目安であって、リガンドが低分子抗原であるか高分子
抗原であるかの判断は、高分子化合物と結合した結合物
(高分子化抗原)との競合反応を利用するか否かでなさ
れる。
【0018】高分子化抗原 高分子化抗原、即ちリガンドと高分子化合物との結合物
は、抗体と結合することにより、その抗体を標識する酵
素の活性を抑制するものである。測定対象が低分子抗原
である場合に使用されるものであり、測定対象が高分子
抗原である場合には使用されない。
【0019】高分子化合物の分子量は分子量5万ダルト
ン以上のもので、かつ水溶性のものが好ましい。このよ
うな高分子化合物として、ゼラチン、ヘモシアニンやフ
ェリチン等の蛋白質、ポリエチレングリコールなどを挙
げることができる。これらはリガンドと結合した状態で
前述の条件を備えていれば十分であり、例えば牛血清ア
ルブミンのような比較的低分子量のものであっても、そ
れを多量体に自家重合させるなどして高分子化したもの
でもよい。
【0020】リガンドと高分子化合物との結合方法は双
方の官能基を考慮して決定することができる。官能基
は、アミノ基、カルボキシル基、水酸基、チオール基、
イミダゾール基、フェニル基などを利用することができ
る。例えばアミノ基相互間を結合する方法は、イソシア
ネート法、グルタルアルデヒド法、ジフルオロベンゼン
法、ベンゾキノン法等数多く知られている。アミノ基と
カルボキシル基とを結合する方法としては、カルボキシ
ル基をサクシニルイミドエステル化する方法の他カルボ
ジイミド法、ウッドワード試薬法等が知られており、ア
ミノ基と糖鎖を架橋する過ヨウ素酸酸化法(Nakane法)
も適用できる。チオール基を利用する場合には、例えば
一方の側のカルボキシル基をサクシニルイミドエステル
化してこれにシスティンを反応させてチオール基を導入
し、チオール基反応性二価架橋剤を用いて双方を結合す
ることができる。フェニル基を利用する方法としてはジ
アゾ化法、アルキル化法などがある。結合方法はこれら
の例に限られるものではなく、この他例えば「Method in
Immunology and Immunochemistry」 Vol.1,(C.A.Willia
ms, M.W.Chase, Academic Press,1967年) あるいは石
川、河井、宮井 編「酵素免疫測定法」(医学書院、19
78年発行)等の成書に記載されている方法の中から適宜
選択して利用することができる。リガンドと高分子化合
物との結合比は1:1に限らず、目的に応じて任意の比
率とすることができるのはいうまでもない。結合反応後
は、ゲル濾過法、イオン交換クロマトグラフィー等によ
り精製し、必要により凍結乾燥法等により乾燥する。ま
た、リガンド自体を重合させて高分子化抗原としてもよ
い。その場合の重合方法は前述の結合方法に準じて行な
うことができ、例えばカルボジイミド、グルタルアルデ
ヒド等の二価性架橋剤で高分子化すればよい。高分子化
合物には,リガンドの代わりに、リガンドに対する抗体
と交差反応性を有するリガンド誘導体を結合させてもよ
い。ここでいうリガンド誘導体とは、単に化学構造上の
類縁体のみならず、免疫反応性において、リガンドと類
似の挙動を示すものを指す。例えば、リガンドであるテ
オフィリンに対する抗体がカフェインにも交差反応する
場合には、カフェインの誘導体も高分子化抗原の材料と
して用いることができる。なおリガンドまたはリガンド
誘導体に高分子化合物と結合させるための適当な官能基
がない場合には、これらにアミノ基、カルボキシル基或
いはチオール基等が導入してもよい。その際にはスペー
サーを介して導入し、高分子化合物と結合し易くしても
よい。例えばリガンドがテオフィリンである場合には、
カルボキシル基を導入した8−プロピルカルボキシルテ
オフィリンを高分子化合物に結合することができる。
【0021】抗体 酵素で標識される抗体は、被検物であるリガンドに対す
る特異抗体を用いる。高分子化抗原にリガンド誘導体を
用いる場合は、リガンドとリガンド誘導体に共通する抗
原決定基に反応するものを用いる。常法により得られる
抗体でよいが、モノクローナル抗体を用いれば、より感
度が向上する。またこの抗体はF(ab')2、Fab' 、Fab
などのフラグメントでもよい。
【0022】標識酵素−非拡散性基質−低分子化酵素 抗体に標識として結合された酵素(枯草菌α−アミラー
ゼ)は、高分子からなる非拡散性基質を分解して、低分
子化酵素によりさらに低分子の生成物を生じるような拡
散性生成物を生成する。非拡散性基質は、水性検体液に
対して非拡散性でそれ自体は基質層14から試薬層12
に拡散・移行しない。低分子化酵素は、抗体に標識とし
て結合された酵素により、非拡散性基質より生成した拡
散性生成物を、さらに検出可能な低分子生成物にするも
のであり、本発明の分析要素の試薬層12に含有され
る。
【0023】標識酵素 本発明では標識酵素として枯草菌由来のα−アミラーゼ
を使用する。α−アミラーゼはデンプン等の糖質のα1
→4グルコシド結合のみを加水分解するエンド(endo)型
の分解様式を持ち、基質分子を内部から切断して拡散性
オリゴマー(例えばマルトース)を生成する。α−アミ
ラーゼの起源は動物(唾液、膵臓等)、植物(麦芽等)
及び微生物と広範囲にわたるが、中でも枯草菌(Bacill
us subtilis)起源の液化型α−アミラーゼは最も液化力
が強く、本発明ではこの枯草菌α−アミラーゼを標識酵
素として使用する。標識酵素と抗体との結合は前記した
高分子化合物と抗原との結合方法と同様に行なうことが
できるので、ここではその説明を省略する。
【0024】非拡散性基質 α−アミラーゼに対する基質としてカルボキシルメチル
化澱粉、澱粉デンプン、アミロース、アミロペクチンな
どがある。低分子化酵素として後述するグルコアミラー
ゼまたはα−グルコシダーゼを用いる場合には非還元末
端グルコースをカルボキシルメチル基で修飾したオリゴ
サッカライド誘導体(特開昭59-31699)やアミロース誘
導体(特開昭59-39300)を用いてもよい。これらの修飾
基質はα−アミラーゼの基質とはなるがグルコアミラー
ゼまたはα−グルコシダーゼの基質とはならない。
【0025】アミラーゼ阻害剤 抗体を標識しているα−アミラーゼと同種の酵素が検体
中に含まれる場合、これを阻害することが好ましい。こ
の酵素阻害剤は検体中の酵素を阻害する程度が標識酵素
の活性を阻害する程度より大きいものであればよい。酵
素阻害剤は検体中の酵素を完全に失活させるが、標識酵
素をまったく阻害しないものが好ましい。しかし実用上
は単に測定時においてブランク値を上昇させなければよ
く測定後には酵素阻害剤が失活などして検体中の酵素活
性が回復しても構わない。なお酵素阻害剤は、酵素標識
抗体の酵素を阻害しないものであればよく遊離状態の酵
素を阻害することは構わない。一般に、分析試料はヒト
やその他の高等動物の血液、尿等の生体試料であるか
ら、これらの検体中に含まれるアミラーゼを選択的に阻
害し、標識酵素である枯草菌アミラーゼを阻害しないも
のが好ましい。また分析要素に含まれる他の酵素(後述
の低分子化酵素や呈色反応用の酵素等)を阻害しないも
のであることが好ましい。このような酵素阻害剤として
は、例えば特開昭61-74587に記載された、ヒト膵臓、唾
液及び尿のアミラーゼを特異的に阻害し、枯草菌α−ア
ミラーゼを阻害しないアミラーゼ阻害剤を用いることが
できる。また村尾らのペプチド性物質Paim(Agr.Biol.C
hem., 47,p453,(1983))や後藤らのペプチド性物質X−
2(特開昭50-77594)をアミラーゼ阻害剤として使用す
ることができる。この酵素阻害剤は公知文献(例えば
「酵素阻害物質」(青柳孝明、共立出版株式会社、1978
年発行)記載の酵素阻害剤から上記のような特異性を持
つものを選んで用いてもよい。又自然界からスクリーニ
ングして得たり、あるいは検体中の問題となる酵素に対
する抗体を作って、これを酵素阻害剤として用いてもよ
い。
【0026】本実施例では、このような酵素阻害剤を基
質層14に含有させているが、この酵素阻害剤を基質層
よりも上の層に含有させておいて、試料液点着時に基質
層14での検体酵素による反応を阻害するようにしても
よい。
【0027】カルシウム化合物 カルシウム化合物は、標識酵素である枯草菌α−アミラ
ーゼの酵素活性を安定化させるものであり、水溶性であ
ることが好ましい。ただしその対イオンが乾式分析要素
の各成分の活性発現を阻害しないことが好ましい。例え
ば塩化カルシウム、酢酸カルシウムなどが使用できる。
このカルシウム化合物は、枯草菌α−アミラーゼが酵素
反応する場である基質層14に含有させるのが最も好ま
しいが、基質層14よりも上の層に含有させて、酵素反
応時に基質層14に移行するようにしてもよい。分析要
素内に含有されるカルシウム化合物の量は、通常の分析
要素の厚さであれば、約0.01〜0.1 m mole/m2 の被覆量
である。塩化カルシウム(分子量:110.99)の場合には約
1〜10 mg/m2とするのが好ましい範囲である。
【0028】低分子化酵素 この低分子化酵素は標識酵素と同じ種類の酵素であって
もよい。この場合には標識酵素は分子内部から切断して
オリゴマーを生成するエンド(endo)活性の酵素であり、
低分子化酵素は分子の端から作用して単量体を生成する
エクソ(exo) 活性を持つものとするのが好ましい。非拡
散性基質が澱粉である場合、標識酵素により生成される
拡散性オリゴマー(例えばマルトース)を単量体(例え
ばグルコース)にまで分解できるものが用いられる。こ
のような低分子化酵素の例として、α−アミラ−ゼ、β
−アミラーゼ、グルコアミラーゼ、α−グルコシダ−
ゼ、デキストラナーゼ等が挙げられる。
【0029】前記低分子化酵素により最終的に生成した
グルコースを検出する方法としては、例えば、グルコー
スをグルコースオキシダーゼ存在下に酸化し生成した過
酸化水素を検出する方法(例えばAnn.Clin.Biochem.,
6,24(1964) 、J.Clin.Pathol., 22,246(1969)に記載のT
rinder 試薬、特開昭49-50991号( 対応米国特許3,886,0
45)、 米国特許3,992,158 号、 特開昭55-164356 号( 対
応米国特許4,292,272)等に記載の改良Trinder 試薬、特
開昭53-26188号( 対応米国特許4,089,747)、特開昭58-4
5557号等に記載のトリアリール置換イミダゾールロイコ
色素を含む試薬、特開昭59-193352 号( 対応欧州特許公
開 EP 0122641A)、特開昭60-224677 号( 対応米国特許4,
665,023)等に記載のジアリール−モノアラルキル置換イ
ミダゾールロイコ色素を含む試薬を用いる方法)、グル
コースデヒドロゲナーゼとNADの存在下に生成するN
ADHを検出する方法、またヘキソキナーゼ存在下に生
成するグルコース−6−燐酸を検出する方法等、公知の
方法を用いることができる。これらの検出方法の中で、
グルコースオキシダーゼ存在下にグルコースを酸化し生
成した過酸化水素をペルオキシダーゼとロイコ色素を用
いて検出する方法が、感度の点で最も望ましい。
【0030】これらの検出試薬は分析要素の試薬層12
に低分子化酵素と一緒に含有させてもよいが、試薬層1
2の下層に設けた別の層(例えば第2試薬層又は検出層
等)に含有させてこの層で検出するようにしてもよい。
なお、ロイコ色素を使用する場合には、水非混和性溶媒
の溶液の親水性バインダー中への分散物とするのが生成
した色素の安定性の上で好ましい。
【0031】分析要素の層構成 本発明の乾式免疫分析要素は、公知の多種の乾式分析要
素と同様の層構成とすることができる。要素は、基質
層、試薬層の他、支持体、展開層、検出層、光遮蔽層、
接着層、吸水層、下塗り層その他の層を含む多重層とし
てもよい。このような分析要素として、例えば特開昭49
-53888号(対応米国特許 3,992,158)、特開昭51-40191
号(対応米国特許 4,042,335)、 及び特開昭55-164356
号(対応米国特許 4,292,272)、 特開昭61-4959(対応E
PC公開特許0166365A) の各明細書に開示されたものが
ある。
【0032】光透過性水不透過性支持体を用いる場合に
は、本発明の乾式免疫分析要素は、実用的に次のような
構成を取り得る。ただし本発明の内容はこれに限定はさ
れない。 (1) 支持体上に試薬層、その上に基質層を有するもの。 (2) 支持体上に試薬層、接着層、基質層をこの順に有す
るもの。 (3) 支持体上に検出層、試薬層、基質層をこの順に有す
るもの。 (4) 支持体上に試薬層、光反射層、基質層をこの順に有
するもの。 (5) 支持体上に検出層、試薬層、光反射層、基質層をこ
の順に有するもの。 (6) 支持体上に検出層、光反射層、試薬層、基質層をこ
の順に有するもの。 (7) 支持体上に第2試薬層、光反射層、第1試薬層、基
質層をこの順に有するもの。 (8) 支持体上に検出層、第2試薬層、光反射層、第1試
薬層、基質層をこの順に有するもの。 上記(1) ないし(6) において試薬層は異なる複数の層か
ら成ってもよい。また試薬層は後述するように免疫反応
し得る成分を含む免疫反応層としてもよい。支持体と試
薬層又は検出層との間には吸水層を設けてもよい。また
各層の間には濾過層を設けてもよい。また基質層の上に
は展開層を設けてもよく、又は基質層に展開作用を持た
せ展開層として機能させてもよい。なお支持体以外の各
層は流体接触(fluid contact) している。流体接触と
は、特開昭51-40191(米国特許4,042,335 )の定義に従
う。
【0033】基質層 基質層14は、水浸透性層で構成され、抗体を標識する
酵素の基質である非拡散性基質を含有する。基質層の水
浸透性を確保するためには、多孔性媒体からなる多孔性
層とするか、親水性ポリマーバインダーからなる層とす
るのが好ましい。
【0034】多孔性層は繊維質であってもよいし、非繊
維質であってもよい。繊維質材料としては、例えば濾
紙、不織布、織物布地(例えば平織布地)、編物布地
(例えばトリコット編物布地)、ガラス繊維濾紙等を用
いることができる。非繊維質材料としては、特開昭49-5
3888等に記載の酢酸セルロース等からなるメンブランフ
ィルター、特開昭49-53888、特開昭55-90859(対応米国
特許 4,258,001)、特開昭58-70163(対応米国特許 4,4
86,537)等に記載の無機物又は有機物微粒子からなる連
続空隙含有粒状構造物層等のいずれでもよい。特開昭61
-4959(対応欧州公開EP 0166365A)、特開昭62-116258
、特開昭62-138756(対応欧州公開 EP 0226465A)、特
開昭62-138757(対応欧州公開 EP 0226465A)、特開昭62
-138758(対応欧州公開 EP 0226465A)等に記載の部分接
着された複数の多孔性層の積層物も好適である。
【0035】多孔性層は供給される液体の量にほぼ比例
した面積に液体を展開する、いわゆる計量作用を有する
展開層であってもよい。展開層としては、これらのうち
織物布地、編物布地などが好ましい。織物布地などは特
開昭57-66359号に記載されたようなグロー放電処理をし
てもよい。展開層には、展開面積、展開速度等を調節す
るため、特開昭60-222770 ( 対応: EP 0162301A )、特開
昭63-219397 ( 対応西独特許公開 DE 37 17 913A)、特
開昭63-112999 ( 対応: DE 37 17 913A )、特開昭62-1
82652 ( 対応: DE 37 17 913A ) に記載したような親水
性高分子あるいは界面活性剤を含有させてもよい。
【0036】例えば紙、布、高分子からなる多孔質膜等
に基質を予め含浸又は塗布した後、支持体上に設けた他
の水浸透性層、例えば試薬層の上に、特開昭55-164356
号のような方法で接着させるのも有用な方法である。ま
た別の方法として多孔質層を他の水浸透性層(例えば試
薬層)に前記のような方法で接着させた後、基質を含む
組成物を多孔質層に塗布してもよい。多孔質層への含浸
又は塗布には公知の方法を利用できる。塗布には例えば
ディップ塗布、ドクター塗布、ホッパー塗布、カーテン
塗布等を適宜選択して用いる。
【0037】こうして作られる基質層の厚さは特に制限
されないが、塗布層として設ける場合には、1μm〜50
μm程度、好ましくは2 μm〜30μmの範囲が適当であ
る。ラミネートによる積層など、塗布以外の方法による
場合、厚さは数十μmから数百μmの範囲で大きく変化
し得る。
【0038】親水性ポリマーバインダーからなる水浸透
性層で基質層を構成する場合、使用できる親水性ポリマ
ーとしては、例えば、以下のものがある。ゼラチン及び
これらの誘導体(例えばフタル化ゼラチン)、セルロー
ス誘導体(例えばヒドロキシエチルセルロース)、アガ
ロース、アルギン酸ナトリウム、アクリルアミド共重合
体、メタアクリルアミド共重合体、アクリルアミド又は
メタアクリルアミドと各種ビニル性モニマーとの共重合
体、ポリヒドロキシエチルメタクリレート、ポリビニル
アルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸ナ
トリウム、アクリル酸と各種ビニル性モノマーとの共重
合体などである。親水性ポリマーバインダーで構成され
る基質層は、特公昭53-21677号(対応米国特許 3,992,1
58)、特開昭55-164356 号(対応米国特許 4,292,272)、特
開昭54-101398 号(対応米国特許 4,132,528)、特開昭61
-292063 号(Chemical Abstracts, 106: 210567y) 等の
明細書に記載の方法に従って、基質その他の試薬組成物
と親水性ポリマーを含む水溶液又は水分散液を支持体又
は検出層等の他の層の上に塗布し乾燥することにより設
けることができる。親水性ポリマーをバインダーとする
基質層の乾燥時厚さは約2 μm 〜約50μm 、好ましくは
約4 μm 〜約30μmの範囲、被覆量では約2 g/m2〜約50g
/m2、好ましくは約4 g/m2〜約30g/m2の範囲である。
【0039】基質層には非拡散性基質の他に、塗布特
性、拡散性化合物の拡散性、反応性、保存性等の諸性能
の向上を目的として、酵素の活性化剤、補酵素、界面活
性剤、pH緩衝剤組成物、微粉末、酸化防止剤、その
他、有機物あるいは無機物からなる各種添加剤を加える
ことができる。基質層に含有させることができる緩衝剤
の例としては、日本化学会編「化学便覧 基礎編」(東
京、丸善(株)、1966年発行)1312-1320 頁、R.M.C.Da
wson et al編、「Data for Biochemical Research」第
2版(Oxford at the Clarendon Press,1969 年発行) 47
6-508 頁、「Biochemistry」 5,467-477頁 (1966年) 、「A
nalytical Biochemistry」 104,300-310 頁 (1980年) に
記載のpH緩衝剤系がある。pH緩衝剤の具体例として
燐酸塩を含む緩衝剤;硼酸塩を含む緩衝剤;クエン酸又
はクエン酸塩を含む緩衝剤;グリシンを含む緩衝剤;ビ
シン(Bicine)を含む緩衝剤;HEPES を含む緩衝剤;MES
を含む緩衝剤などのグッド緩衝剤等がある。
【0040】試薬層 試薬層12は、基質層14から拡散・移行してきた拡散
性物質を検出する試薬組成物を含有する。必要に応じて
試薬組成物の中には低分子化酵素が含有され、拡散性物
質を低分子化して生じた低分子生成物を検出するための
検出試薬組成物を含有する。試薬層は、水浸透性層で構
成され、前記基質層の説明で述べた水浸透性層のうち、
親水性ポリマーバインダーからなる連続層とするのが好
ましい。用いる親水性ポリマーバインダーは基質層で生
成される拡散性生成物や、試薬層内に含有する発色試薬
などを考慮して決められる。
【0041】支持体 支持体10としては光不透過性(不透明)、光半透過性
(半透明)、光透過性(透明)のいずれのものも用いる
ことができるが、一般的には光透過性で水不透過性の支
持体が好ましい。光透過性水不透過性支持体の材料とし
て好ましいのものはポリエチレンテレフタレート、ポリ
スチレンである。親水性層を強固に接着させるため通
常、下塗り層を設けるか、親水化処理を施す。
【0042】免疫反応層 図1の基質層14には、非拡散性基質のみならず、酵素
標識抗体を併せて含有させ、この基質層内で免疫反応を
併せて行なわせる免疫反応層としてもよい。この場合に
は、要素に検体を点着するだけで、要素内で均一系の酵
素免疫反応が進行させることができる。基質層とは別の
層に酵素標識抗体を含有させてもよい。例えば図2に示
すように、基質層14の上に酵素標識抗体を含有する水
浸透性層16を設け免疫分析要素を構成してもよい。こ
の場合には、検体中の抗原は、層16の酵素標識抗体の
抗体と結合し、さらに基質層14に移行する。1つの層
に酵素標識抗体を実質的な乾燥状態又は実質的に水の非
存在状態で含有させるには、酵素標識抗体をアルコール
(例、エタノール、イソプロピルアルコール)等の非水
溶媒に溶解又は分散させて水浸透性層に含浸させればよ
い。
【0043】免疫分析要素の製造方法 本発明の乾式免疫分析要素は前述の諸特許明細書に記載
の公知の方法により調製することができる。本発明の分
析要素は一辺約15mmから約30mmの正方形またはほぼ同サ
イズの円形等の小片に裁断し、特公昭57-28331(対応米
国特許 4,169,751)、実開昭56-142454(対応米国特許 4,3
87,990)、特開昭57-63452、実開昭58-32350、特表昭58-5
01144(対応国際公開:WO 83/00391)等に記載のスライド
枠に収めて化学分析スライドとして用いることが、製
造,包装,輸送,保存,測定操作等の観点で好ましい。
使用目的によっては、長いテープ状でカセットまたはマ
ガジンに収めて用いたり、又は小片を開口のあるカード
に貼付または収めて用いることなどもできる。
【0044】本発明の分析要素は前述の諸特許明細書等
に記載の操作と同様の操作により液体試料中の被検物で
ある抗原の定量分析ができる。例えば約8 μL 〜約30μ
L 、好ましくは8 〜15μL の範囲の血漿、血清、尿など
の水性液体試料液を基質層14に点着する。点着した分析
要素を約20℃〜約45℃の範囲の一定温度で、好ましくは
約30℃〜約40℃の範囲内の一定温度で1〜10分間インキ
ュベーションする。要素内の発色又は変色を光透過性支
持体側から反射測光し、予め作成した検量線を用いて比
色測定法の原理により検体中の高分子抗原の量を求める
ことができる。点着する液体試料の量、インキュベーシ
ョン時間及び温度を一定にすることにより定量分析を高
精度に実施できる。なお測定は、一般に、レート・アッ
セイ(rate assay)法で行なうのが有利である。測定操作
は特開昭60-125543、同60-220862、同61-294367、同58-161
867(対応米国特許 4,424,191)などに記載の化学分析装
置により極めて容易な操作で高精度の定量分析を実施で
きる。なお、目的や必要精度によっては、目視により発
色の度合いを判定して、半定量的な測定を行なってもよ
い。分析要素内に、酵素標識抗体を含有させていない場
合には、要素に点着する前に、水性試料液を酵素標識抗
体を含む溶液と混和して、結合反応を十分行なわせてか
ら、基質層に点着すればよい。
【0045】
【合成例】酵素標識抗体の合成 (1) CHM化アミラーゼの作製 枯草菌(Bacillus subtilis)α−アミラーゼ 5mgをpH6.
3 の 0.1Mグリセロ燐酸1mLに溶かし、[4-(マレイミド
メチル)シクロヘキサン-1- カルボン酸]スクシンイミ
ドエステル(CHMS)2mg/mlのDMF溶液 100mLを加
えて室温で、1時間反応させた。この反応液をセファデ
ックスG−25カラムにアプライして、pH6.3 の 0.1Mグ
リセロ燐酸を流して素通り分画を分取、 4-( マレイミド
メチル)シクロヘキサン-1- カルボン酸アミド化アミラ
ーゼ(CHM化アミラーゼ)を得た。
【0046】(2) 抗CRP・マウスIgGF(ab')2の作製 抗CRP・マウスIgG10mg(0.1M酢酸緩衝液(pH 5.5))
2mL にパパイン 300μg を加え、37℃で18時間撹拌し
た。0.1 N NaOHを加えてpHを6.0 に調節したこの反応液
を予め0.1 M 燐酸緩衝1mMEDTA溶液(pH6.3 )で緩衝化
したAcA-44ゲルカラムにアプライし、上記の燐酸緩衝液
で溶出した。分子量約10万付近に溶出されたピーク部分
を集めて1mL に濃縮し、目的の抗CRP・マウスIgGF
(ab')2を得た。
【0047】(3) α−アミラーゼ−抗CRP・マウスIg
GFab' 結合物の作製 (2) で調製した抗CRP・マウスIgGF(ab')2 6mgを含
む0.1 M 燐酸緩衝液(1mM EDTA含有、 pH6.0)1mL に、10m
g/mL の2-メルカプトエチルアミン塩酸塩水溶液100 μL
を加え、37℃で90分間撹拌した。この反応液を予め0.1
M 燐酸緩衝液(pH 6.3)で緩衝化したセファデックスG-2
5カラムでゲル濾過して未反応の2-メルカプトエチルア
ミンを除去し、HS−Fab' を得た。これに(1) で調製
したCHM化α−アミラーゼ2mgを加え、37℃で90分間
反応させた。次にこの反応液を0.1 M 酢酸緩衝5mM塩化
カルシウム溶液(pH 7.0)で緩衝化したAcA-34カラムでゲ
ル濾過して分子量20万以上の分画を集め、これを濃縮し
て目的の結合物を得た。
【0048】
【実施例1】CRP定量分析用乾式多層分析要素の作製−1 ゼラチン下塗層が設けられている厚さ180 μmの無色透
明ポリエチレンテレフタレート(PET )シート(支持
体)上に下記の被覆量になるように架橋剤含有試薬溶液
を塗布し、乾燥して試薬層を設けた。 アルカリ処理ゼラチン 14.5 g/m2 ノニルフェノキシポリエトキシエタノール 0.2 g/m2 (オキシエチレン単位平均 9〜10含有) グルコースオキシダーゼ 5000 IU/m2 ペルオキシダーゼ 15000 IU/m2 グルコアミラーゼ 5000 IU/m2 2-(4- ヒドロキシ-3,5- ジメトキシフェニル-4-[4-(ジメチルアミノ) フェニル]-5-フェネチルイミダゾール(ロイコ色素)酢酸塩 0.38g/m2 ビス[(ビニルスルホニルメチルカルボニル)アミノ]メタン 0.1 g/m2
【0049】この試薬層の上に下記の被覆量になるよう
に接着層水溶液を塗布し、乾燥して設けた。 アルカリ処理ゼラチン 14.5 g/m2 ノニルフェノキシポリエトキシエタノール 0.2 g/m2 (オキシエチレン単位平均 9〜10含有)
【0050】ついで接着層の表面に下記の被覆量になる
ように下記の試薬含有水溶液を塗布してゼラチン層を膨
潤させ、その上に50デニール相当のPET 紡績糸36ゲージ
編みした厚さ約250 μmのトリコット編物布地をほぼ一
様に軽く圧力をかけてラミネートして多孔性展開層を設
けた。 ノニルフェノキシポリエトキシエタノール 0.2 g/m2 (オキシエチレン単位平均 9〜10含有) ビス[(ビニルスルホニルメチル カルボニル)アミノ]メタン 0.1 g/m2
【0051】次に展開層の上から下記の被覆量になるよ
うに基質含有水溶液を塗布し、乾燥して展開層に基質含
有試薬を含浸させ、これを基質層とした。 メガファックF142D (大日本インキ製) 0.1 g/m2 (フッ素界面活性剤) (オキシエチレン単位平均10含有) カルボキシルメチル化澱粉 4 g/m2 マンニトール 2 g/m2 アミラーゼ阻害剤 100万 U/m2 (富士レビオ製アミラーゼ阻害剤"I-1001C" :特開昭61-74587)
【0052】次に合成例(3) で合成したアミラーゼ−抗
CRP−IgG結合物を3mg/m2の被覆量になるようにして
展開層の上からエタノール溶液を塗布し乾燥させて含浸
させた。このようにして、CRP定量分析用乾式多層分
析要素を調製した。この分析要素を一辺15mmの正方形の
チップに裁断し、特開昭57-63452に記載のスライド枠に
収めてCRP定量分析スライド(スライド1) を作製し
た。比較対照として前記乾式免疫分析要素(スライド
1)の基質層からアミラーゼ阻害剤を除いたものを作製
し、CRP定量分析用スライド(スライド2)とした。
【0053】CRP定量分析スライド1及び2の性能評
CRPの濃度希釈列を50mMグリセロ燐酸緩衝液(PH7.0)
で作製しこの10μL をスライド1,2に点着した。37℃
に保って中心波長650nm の可視光でPET 支持体側から反
射光学濃度を測定した。点着から4分後及び6分後の反
射光学濃度の差(ΔOD6-4 )を求め検量線を作成した
(図3)。同様に、CRPの濃度希釈列にそれぞれ最終
濃度500IU/L の人アミラーゼを添加して作成した試料液
を、スライド1,2に点着して検量線を作成した(図
4)。図3に示すように、本実施例(スライド1)は、
試料液中にアミラーゼが共存しない場合には比較例(ス
ライド2)と差がなく、標識アミラーゼへの影響はなか
った。一方、試料液中にヒトアミラーゼが混入している
場合(図4)、比較例(スライド2)では混入アミラー
ゼによりバックグランドの増加が見られたが、本実施例
(スライド1)では全く影響を受けていなかった。以上
の結果は、ヒトアミラーゼ阻害剤を含有した本実施例の
分析要素が、検体中のアミラーゼの有無にかかわらず精
度よくCRP定量分析を行なえることを示している。
【0054】
【実施例2】CRP定量分析用乾式多層分析要素の作製−2 実施例1で作製した乾式多層分析要素の基質を含む展開
層に塩化カルシウムが下記被覆量になるようにした他は
実施例1と全く同様にして、CRP定量分析用多層乾式
分析要素を調製した。 スライド1 0 mg/m2 CaCl2 (実施例1と同じも
の) スライド3 1 mg/m2 CaCl2 スライド4 5 mg/m2 CaCl2 スライド5 10 mg/m2 CaCl2 スライド6 20 mg/m2 CaCl2 この分析要素を一辺15mmの正方形のチップに裁断し、特
開昭57-63452に記載のスライド枠に収めてCRP定量分
析スライド(スライド3,4,5,6)を作製した。
【0055】CRP定量分析スライド3−6の性能評価 既知量のCRPを含む濃度希釈列を50mMグリセロ燐酸緩
衝液(PH7.0) で作製し、この10μL をスライド1及び3
〜6に点着した。比較対照として同じ試料液をスライド
1にも点着した。37℃に保って中心波長650nm の可視光
でPET 支持体側から反射光学濃度を測定した。点着から
4分後及び6分後の反射光学濃度の差(ΔOD6-4 )を
求め、各スライドの検量線を作成した。図5の検量線に
示すように、本発明のカルシウム含有CRP量分析用乾
式免疫分析要素(スライド3〜6)は標識酵素α−アミ
ラーゼの酵素活性を高めている。特に塩化カルシウム被
覆量1〜10 mg/m2(スライド3〜5)では検量線の傾き
が比較例(スライド1)に比べ増大しており、CRP定
量をより高感度で行えることが示された。
【0056】最後に本発明の好ましい態様をまとめる
と、以下の通りである。 (1) リガンドと枯草菌アミラーゼ標識抗体との間の反
応、又は高分子化合物と結合させたリガンドと枯草菌ア
ミラーゼ標識抗体との間の反応により生じた酵素活性の
変化を測定することによりリガンド量を測定する乾式免
疫分析要素において、分析要素内にカルシウム化合物を
含有することを特徴とする乾式免疫分析要素。 (2) リガンドと枯草菌アミラーゼ標識抗体との間の反
応、又は高分子化合物と結合させたリガンドと枯草菌ア
ミラーゼ標識抗体との間の反応により生じた酵素活性の
変化を測定することによりリガンド量を測定する乾式免
疫分析要素において、検体中に含まれるアミラーゼを特
異的に阻害する阻害剤を分析要素内に含有することを特
徴とするする乾式免疫分析要素。 (3) 前記分析要素が拡散性物質を生成する非拡散性基質
を含有する基質層と、 前記拡散性物質をさらに低分子生
成物にする低分子化酵素を含有する試薬層とを含むもの
であり、 前記カルシウム化合物が基質層又は試薬層に含
有されていることを特徴とする(1) に記載の乾式免疫分
析要素。 (4) 前記カルシウム化合物が塩化カルシウムである(1)
又は(3) に記載の乾式免疫分析要素。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の免疫分析要素の一実施態様例の構成図
である。
【図2】本発明の免疫分析要素の他の実施態様例の構成
図である。
【図3】実施例1(スライド1)及び比較例(スライド
2)の免疫分析要素を用いて得られた、アミラーゼが共
存しない試料液による検量線を示す図である。
【図4】実施例1(スライド1)及び比較例(スライド
2)の免疫分析要素を用いて得られた、アミラーゼが共
存する試料液による検量線を示す図である。
【図5】実施例2(スライド3〜6)及び比較例(スラ
イド1)の免疫分析要素の検量線を示す図である。
【符号の説明】
10 透光性支持体 12 試薬層 14 基質層 16 酵素標識抗体を含有する水浸透性層

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】リガンドと枯草菌アミラーゼ標識抗体との
    間の反応、又は高分子化合物と結合させたリガンドと枯
    草菌アミラーゼ標識抗体との間の反応により生じた酵素
    活性の変化を測定することによりリガンド量を測定する
    乾式免疫分析要素において、分析要素内にカルシウム化
    合物を含有することを特徴とする乾式免疫分析要素。
  2. 【請求項2】リガンドと枯草菌アミラーゼ標識抗体との
    間の反応、又は高分子化合物と結合させたリガンドと枯
    草菌アミラーゼ標識抗体との間の反応により生じた酵素
    活性の変化を測定することによりリガンド量を測定する
    乾式免疫分析要素において、検体中に含まれるアミラー
    ゼを特異的に阻害する阻害剤を分析要素内に含有するこ
    とを特徴とするする乾式免疫分析要素。
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