JPH0694715A - フッ素系界面活性剤含有分析試薬組成物、乾式分析要素及び分析方法 - Google Patents

フッ素系界面活性剤含有分析試薬組成物、乾式分析要素及び分析方法

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JPH0694715A
JPH0694715A JP27072092A JP27072092A JPH0694715A JP H0694715 A JPH0694715 A JP H0694715A JP 27072092 A JP27072092 A JP 27072092A JP 27072092 A JP27072092 A JP 27072092A JP H0694715 A JPH0694715 A JP H0694715A
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reaction
analysis
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fluorine
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JP27072092A
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Toshihiro Hiraoka
俊景 平岡
Yoshihiko Makino
快彦 牧野
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Fuji Photo Film Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 生物学的な特異的結合反応に基づいて被検液
中の分析対象成分の含有量を測定する分析方法の分析試
薬組成物において、前記特異的結合反応を実質的に阻害
しないフッ素含有界面活性剤が含まれていることを特徴
とする分析試薬組成物。及び、これを用いた乾式分析要
素、並びに分析方法。 【効果】 他の界面活性剤のように抗原抗体結合反応や
酵素断片結合反応等の生物学的特異的結合反応を抑制し
ない。従ってこれらの反応が分析の基本原理となる分析
方法に悪影響を与えることがなく、高感度な測定が可能
になる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、抗原抗体反応や酵素断
片結合反応等の生物学的特異的結合反応を利用して試料
液中の分析対象を定量する分析試薬組成物、分析方法及
び乾式分析要素に関するのである。詳しくは、フッ素系
界面活性剤を含む分析試薬組成物、及びこれを用いた分
析方法及び乾式分析要素に関する。
【0002】
【発明の背景】抗原と抗体などに代表される生物学的特
異性を有する配位子結合を利用した分析方法は、測定対
象物を複雑な組成の混合物から特異的に選別することが
できるので、通常の定量法に必要な対象物を試料から分
離する前処理が不要であり、しかも高感度・高精度に定
量できる。このため、生体成分中の微量物質や薬剤の定
量分析に広く利用されている。このような生物学的特異
性結合には、抗原抗体反応(免疫反応)以外にも、ビオ
チン−アビジンやドナー−レセプターなどの特異的結合
や、酵素断片結合反応等がある。
【0003】このような生体試料液の分析には、反応系
を安定させるために、界面活性剤を添加することが望ま
しいとされている。例えば溶液系で全ての分析を行う湿
式法では、分析対象が分析容器に非特異的吸着するのを
防止するため、或いは分析試薬溶液の反応容器に対する
濡れ性を改善するため、これらの界面活性剤が用いられ
る。分析試薬を含む乾式分析要素を用いる乾式法では、
試料液の点着(供給)点からの一様な展開及び浸透が一
様に達成されるようにするため、及びその乾式分析要素
を作成する時に各層を塗布して重層する際の塗布性(濡
れ性)を改善するため、界面活性剤を塗布材料に含有さ
せることが行われている。
【0004】種々の界面活性剤のうち、カチオン系及び
アニオン系のものは何れも酵素反応に対し阻害作用があ
る。このため、酵素反応では、通常ノニオン系界面活性
剤が使用されていた。このような酵素反応における経験
から、免疫反応等の生物学的特異的結合反応を含む分析
でも、ノニオン系界面活性剤であれば悪影響がないもの
としてそのままを使用されることが多かった。
【0005】このような状況下において本発明者らは、
免疫反応等の生物学的特異的結合反応を含む分析におけ
る界面活性剤の影響を調べたところ、ノニオン系のもの
であっても、ほとんどの界面活性剤は結合反応を抑制す
ることが明らかになった。さらに、各種界面活性剤につ
いて、生物学的特異的結合反応に対する悪影響が少ない
ものを探索したところ、フッ素系界面活性剤が優れてい
ることを見いだした。
【0006】
【発明の目的】本発明は以上のような知見に基づきなさ
れたものであり、生物学的特異的結合反応に悪影響を与
えることなく、分析対象成分の定量分析可能な濃度範囲
全体にわたっての高感度な分析を可能にする分析試薬組
成物、及びこれを使用する乾式分析要素及び分析方法を
提供することを目的とする。
【0007】
【発明の構成】本発明の目的は、生物学的な特異的結合
反応に基づいて被検液中の分析対象成分の含有量を測定
する分析方法のための分析試薬組成物において、前記特
異的結合反応を実質的に阻害しないフッ素含有界面活性
剤が含まれていることを特徴とする分析試薬組成物、に
より達成される。
【0008】また本発明の目的は、少なくとも1層の水
浸透性層を有する乾式分析要素において、前記分析要素
内に生物学的特異的結合反応を実質的に阻害しないフッ
素含有界面活性剤を含む分析試薬組成物が含有されてい
ることを特徴とする乾式分析要素、により達成される。
【0009】また本発明の目的は 生物学的な特異的結
合反応に基づいて被検液中の分析対象成分の含有量を測
定する分析方法において、前記特異的結合反応を実質的
に阻害しないフッ素含有界面活性剤を含む分析試薬組成
物が用いられることを特徴とする分析方法、により達成
される。
【0010】対象となる生物学的特異的結合反応には、
抗原抗体反応や、酵素断片結合反応等が挙げられる。ま
たビオチンに対するアビジンのような特異結合蛋白との
間の結合反応、さらにはドナー(ホルモン等)−レセプ
ターなどの特異的結合反応等がある。これらを利用した
分析方法に本発明は適用できる。
【0011】分析過程の中に酵素反応が含まれる場合
(例えば酵素免疫反応等)には、酵素反応に対する干渉
が少ないノニオン系のフッ素含有界面活性剤を使用する
ことが望ましい。
【0012】有用な界面活性剤はフッ化炭素部分(飽和
のフルオロアルキル基又は不飽和のフルオロアルケニル
基)を1個以上含むものである。なお各フルオロアルキ
ル基又はフルオロアルケニル基は、1個以上の水素原子
がフッ素原子で置換されたものであればよく、残りの水
素原子は他の置換基で置換されたものでもよい。好まし
いフッ素含有界面活性剤としては、炭素原子数4以上の
直鎖状のフルオロアルキル基が適当な親水性基と結合し
ているノニオン性のフッ素含有界面活性剤がある。この
ような界面活性剤としては、例えば、ペルフルオロアル
キルエチレンオキシド(商品名:メガファックF142
D、F143、F144D(大日本インキ化学製))、
ペルフルオロアルキルアルコキシレート(商品名:フロ
ラードFC−171(住友スリーエム社製))、ペルフ
ルオロアルキルポリオキシエチレンエタノール(商品
名:フロラードFC−170(住友スリーエム社製))
などがある。
【0013】分析試薬組成物中のフッ素含有界面活性剤
の添加量は、従来の界面活性剤添加量に準拠して決める
ことができる。また分析組成物中の他の組成は、目的と
する分析対象に応じて、必要となる生物学的特異的結合
反応をする結合対の一方(例えば、抗原、抗体、酵素断
片、ドナー或いはレセプター等)を含有させておく。又
必要に応じて、これら結合対の一方には酵素、色素、色
素前駆体、蛍光色素(又は蛍光原子団)等で標識しても
よい。標識物を検出するための試薬(例えば標識が酵素
である場合の酵素基質、呈色試薬組成物など)は、本発
明の分析試薬組成物中に含有させてもよいし、又分析手
順によっては別の試薬組成物として使用してもよい。
【0014】本発明の乾式免疫分析要素は、公知の多種
の乾式分析要素と同様の層構成とすることができる。そ
の基本的な層構成は図9に示す通りである。この図9に
おいて符号10は光透過性支持体であり、その上には検
出層12、反応(または基質)層14が積層されてい
る。
【0015】反応層14は、水浸透性層で構成され、こ
の層で生物学的特異的結合反応が行われる。以降説明を
簡略にするため、抗原抗体結合反応を利用して分析対象
成分を抗原とし、酵素標識抗体に対する抗原の結合の有
無から酵素活性の変化を抑制する均一系を適用した乾式
免疫分析要素で説明する。この場合、反応層14は、抗
体に標識として結合された酵素の基質である非拡散性基
質を含有する。すなわち反応層14は基質層として機能
する。この基質は、測定対象であるリガンド(抗原)の
量に応じて残存する酵素標識抗体の酵素活性により拡散
性物質を生成する。試薬層12は、水浸透性層で構成さ
れ、基質層から拡散・移行してきた拡散性物質をさらに
低分子量の生成物にする低分子化酵素を含む。試薬層1
2はまたこの低分子生成物を検出するための呈色試薬試
薬組成物を含有する。
【0016】この基本構成は、測定対象が低分子抗原で
あるか高分子抗原であるかを問わず同じである。ただ
し、測定対象が低分子抗原である場合には、検体と高分
子化抗原と酵素標識抗体とを混合して競争反応をした混
合液を、基質層14に点着又は供給することにより分析
を行う。この場合には、リガンド(低分子抗原)の量が
多いほど生成される拡散性物質は増大する。これに対し
て、測定対象が高分子量の抗原である場合には、検体と
酵素標識抗体のみを混合して抗原抗体結合反応させ、そ
の反応液を基質層14に点着又は供給すればよい。この
場合には、リガンド(高分子抗原)の量が多いほど生成
される拡散性物質は減少する。
【0017】要素は、基質層、試薬層の他、支持体、展
開層、検出層、光遮蔽層、接着層、吸水層、下塗り層そ
の他の層を含む多重層としてもよい。このような分析要
素として、例えば特開昭49-53888号(対応米国特許 3,9
92,158)、特開昭51-40191号(対応米国特許 4,042,33
5)、 特開昭55-164356 号(対応米国特許 4,292,272)、
特開昭61-4959(対応EP公開0166365A) 、特開平01-3213
60 及び同01-0321361(最後の2件はEP公開0347839Aに
対応)の各明細書に開示されたものがある。
【0018】光透過性水不透過性支持体を用いる場合に
は、本発明の乾式免疫分析要素は、実用的に次のような
構成を取り得る。ただし本発明の内容はこれに限定はさ
れない。 (1) 支持体上に試薬層、その上に基質層を有するもの。 (2) 支持体上に試薬層、接着層、基質層をこの順に有す
るもの。 (3) 支持体上に検出層、試薬層、基質層をこの順に有す
るもの。 (4) 支持体上に試薬層、光反射層、基質層をこの順に有
するもの。 (5) 支持体上に検出層、試薬層、光反射層、基質層をこ
の順に有するもの。 (6) 支持体上に検出層、光反射層、試薬層、基質層をこ
の順に有するもの。 (7) 支持体上に第2試薬層、光反射層、第1試薬層、基
質層をこの順に有するもの。 (8) 支持体上に検出層、第2試薬層、光反射層、第1試
薬層、基質層をこの順に有するもの。
【0019】上記(1) ないし(6) において試薬層は異な
る複数の層から成ってもよい。また試薬層は後述するよ
うに免疫反応し得る成分を含む免疫反応層としてもよ
い。支持体と試薬層又は検出層との間には吸水層を設け
てもよい。また各層の間には濾過層を設けてもよい。ま
た基質層の上には展開層を設けてもよく、又は基質層に
展開作用を持たせ展開層として機能させてもよい。なお
支持体以外の各層は流体接触(fluid contact) してい
る。流体接触とは、特開昭51-40191(米国特許4,042,33
5 )の定義に従う。
【0020】基質層14は水浸透性層で構成され、抗体
を標識する酵素の基質である非拡散性基質を含有する。
基質層の水浸透性を確保するためには、多孔性媒体から
なる多孔性層とするか親水性ポリマーバインダーからな
る層とするのが好ましい。
【0021】多孔性層は繊維質であってもよいし、非繊
維質であってもよい。繊維質材料としては、例えば濾
紙、不織布や、特開昭55-164356 (対応米国特許4,292,
272 )等に記載の織物布地(例えば平織布地)、特開昭
60-222769 (対応欧州公開 EP0162302A)等に記載の編
物布地(例えばトリコット編物布地)、特開昭61-96466
(対応欧州公開 EP 0159727A)等に記載のガラス繊維濾
紙等を用いることができる。非繊維質材料としては、特
開昭49-53888等に記載の酢酸セルロース等からなるメン
ブランフィルター、特開昭49-53888、特開昭55-90859
(対応米国特許 4,258,001)、特開昭58-70163(対応米
国特許 4,486,537)等に記載の無機物又は有機物微粒子
からなる連続空隙含有粒状構造物層等のいずれでもよ
い。特開昭61-4959(対応欧州公開 EP 0166365A)、特開
昭62-116258 、特開昭62-138756(対応欧州公開 EP 0226
465A)、特開昭62-138757(対応欧州公開 EP 0226465
A)、特開昭62-138758(対応欧州公開 EP 0226465A)等
に記載の部分接着された複数の多孔性層の積層物も好適
である。
【0022】多孔性層は供給される液体の量にほぼ比例
した面積に液体を展開する、いわゆる計量作用を有する
展開層であってもよい。展開層としては、これらのうち
織物布地、編物布地などが好ましい。織物布地などは特
開昭57-66359号に記載されたようなグロー放電処理をし
てもよい。展開層には、展開面積、展開速度等を調節す
るため、特開昭60-222770 ( 対応: EP 0162301A )、特開
昭63-219397 ( 対応西独特許公開 DE 37 17 913A)、特
開昭63-112999 ( 対応: DE 37 17 913A )、特開昭62-1
82652 ( 対応: DE 37 17 913A ) に記載したような親水
性高分子あるいは界面活性剤を含有させてもよい。
【0023】例えば紙、布、高分子からなる多孔質膜等
に基質を予め含浸又は塗布した後、支持体上に設けた他
の水浸透性層、例えば試薬層の上に、特開昭55-164356
号のような方法で接着させるのも有用な方法である。ま
た別の方法として多孔質層を他の水浸透性層(例えば試
薬層)に前記のような方法で接着させた後、基質を含む
組成物を多孔質層に塗布してもよい。多孔質層への含浸
又は塗布には公知の方法を利用できる。塗布には例えば
ディップ塗布、ドクター塗布、ホッパー塗布、カーテン
塗布等を適宜選択して用いる。
【0024】こうして作られる基質層の厚さは特に制限
されないが、塗布層として設ける場合には、1μm〜50
μm程度、好ましくは2 μm〜30μmの範囲が適当であ
る。ラミネートによる積層など、塗布以外の方法による
場合、厚さは数十μmから数百μmの範囲で大きく変化
し得る。
【0025】親水性ポリマーバインダーからなる水浸透
性層で基質層を構成する場合、使用できる親水性ポリマ
ーとしては、例えば、以下のものがある。ゼラチン及び
これらの誘導体(例えばフタル化ゼラチン)、セルロー
ス誘導体(例えばヒドロキシエチルセルロース)、アガ
ロース、アルギン酸ナトリウム、アクリルアミド共重合
体、メタアクリルアミド共重合体、アクリルアミド又は
メタアクリルアミドと各種ビニル性モニマーとの共重合
体、ポリヒドロキシエチルメタクリレート、ポリビニル
アルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸ナ
トリウム、アクリル酸と各種ビニル性モノマーとの共重
合体などである。親水性ポリマーバインダーで構成され
る基質層は、特公昭53-21677号(対応米国特許 3,992,1
58)、特開昭55-164356 号(対応米国特許 4,292,272)、特
開昭54-101398 号(対応米国特許 4,132,528)、特開昭61
-292063 号(Chemical Abstracts, 106: 210567y) 等の
明細書に記載の方法に従って、基質その他の試薬組成物
と親水性ポリマーを含む水溶液又は水分散液を支持体又
は検出層等の他の層の上に塗布し乾燥することにより設
けることができる。親水性ポリマーをバインダーとする
基質層の乾燥時厚さは約2 μm 〜約50μm 、好ましくは
約4 μm 〜約30μmの範囲、被覆量では約2 g/m2〜約50g
/m2、好ましくは約4 g/m2〜約30g/m2の範囲である。
【0026】基質層には非拡散性基質の他に、塗布特
性、拡散性化合物の拡散性、反応性、保存性等の諸性能
の向上を目的として、酵素の活性化剤、補酵素、界面活
性剤、pH緩衝剤組成物、微粉末、酸化防止剤、その
他、有機物あるいは無機物からなる各種添加剤を加える
ことができる。基質層に含有させることができる緩衝剤
の例としては、日本化学会編「化学便覧 基礎編」(東
京、丸善(株)、1966年発行)1312-1320 頁、R.M.C.Da
wson et al編、「Data for Biochemical Research」第
2版(Oxford at the Clarendon Press,1969 年発行) 47
6-508 頁、「Biochemistry」 5,467-477頁 (1966年) 、「A
nalytical Biochemistry」 104,300-310 頁 (1980年) に
記載のpH緩衝剤系がある。pH緩衝剤の具体例として
燐酸塩を含む緩衝剤;硼酸塩を含む緩衝剤;クエン酸又
はクエン酸塩を含む緩衝剤;グリシンを含む緩衝剤;ビ
シン(Bicine)を含む緩衝剤;HEPES を含む緩衝剤;MES
を含む緩衝剤などのグッド緩衝剤等がある。
【0027】試薬層12は、基質層14から拡散・移行
してきた拡散性物質を検出する試薬組成物を含有する。
必要に応じて試薬組成物の中には低分子化酵素が含有さ
れ、拡散性物質を低分子化して生じた低分子生成物を検
出するための検出試薬組成物を含有する。試薬層は、水
浸透性層で構成され、前記基質層の説明で述べた水浸透
性層のうち、親水性ポリマーバインダーからなる連続層
とするのが好ましい。用いる親水性ポリマーバインダー
は基質層で生成される拡散性生成物や、試薬層内に含有
する発色試薬などを考慮して決められる。
【0028】支持体10としては光不透過性(不透
明)、光半透過性(半透明)、光透過性(透明)のいず
れのものも用いることができるが、一般的には光透過性
で水不透過性の支持体が好ましい。光透過性水不透過性
支持体の材料として好ましいのものはポリエチレンテレ
フタレート、ポリスチレンである。親水性層を強固に接
着させるため通常、親水化処理を施すか又は/及び下塗
層を設ける。
【0029】図9の基質層14には、非拡散性基質のみ
ならず、酵素標識抗体を併せて含有させ、この基質層内
で免疫反応を併せて行なわせる免疫反応層としてもよ
い。この場合には、要素に検体を点着するだけで、要素
内で均一系の酵素免疫反応が進行させることができる。
基質層とは別の層に酵素標識抗体を含有させてもよい。
例えば図10に示すように、基質層14の上に酵素標識
抗体を含有する水浸透性層(免疫反応層)16を設け免
疫分析要素を構成してもよい。この場合には、検体中の
抗原は、層16の酵素標識抗体の抗体と結合し、さらに
基質層14に移行する。1つの層に酵素標識抗体を実質
的な乾燥状態又は実質的に水の非存在状態で含有させる
には、酵素標識抗体をアルコール(例、エタノール、イ
ソプロピルアルコール)等の非水溶媒に溶解又は分散さ
せて水浸透性層に含浸させればよい。
【0030】本発明の乾式分析要素は前述の諸特許明細
書に記載の公知の方法により調製することができる。本
発明の分析要素は一辺約15mmから約30mmの正方形または
ほぼ同サイズの円形等の小片に裁断し、特公昭57-28331
(対応米国特許 4,169,751)、実開昭56-142454(対応米国
特許 4,387,990)、特開昭57-63452、実開昭58-32350、特
表昭58-501144(対応国際公開:WO 83/00391)等に記載の
スライド枠に収めて化学分析スライドとして用いること
が、製造,包装,輸送,保存,測定操作等の観点で好ま
しい。使用目的によっては、長いテープ状でカセットま
たはマガジンに収めて用いたり、又は小片を開口のある
カードに貼付または収めて用いることなどもできる。
【0031】本発明の分析要素は前述の諸特許明細書等
に記載の操作と同様の操作により液体試料中の被検物で
ある抗原の定量分析ができる。例えば約8 μL 〜約30μ
L 、好ましくは8 〜15μL の範囲の血漿、血清、尿など
の水性液体試料液を基質層14に点着する。点着した分析
要素を約20℃〜約45℃の範囲の一定温度で、好ましくは
約30℃〜約40℃の範囲内の一定温度で1〜10分間インキ
ュベーションする。要素内の発色又は変色を光透過性支
持体側から反射測光し、予め作成した検量線を用いて比
色測定法の原理により検体中の高分子抗原の量を求める
ことができる。点着する液体試料の量、インキュベーシ
ョン時間及び温度を一定にすることにより定量分析を高
精度に実施できる。なお測定は、一般に、レート・アッ
セイ(rate assay)法で行なうのが有利である。測定操作
は特開昭60-125543、同60-220862、同61-294367、同58-161
867(対応米国特許 4,424,191)などに記載の化学分析装
置により極めて容易な操作で高精度の定量分析を実施で
きる。分析要素内に、酵素標識抗体を含有させていない
場合には、要素に点着する前に、水性試料液を酵素標識
抗体を含む溶液と混和して、結合反応を十分行なわせて
から、基質層に点着すればよい。
【0032】以上説明した乾式分析要素の場合には、本
発明のフッ素含有界面活性剤を含む分析試薬組成物は、
少なくとも、抗原抗体反応が起こる層に含有せることに
より、その層における抗原抗体反応を効率よく起こさせ
ることができる。具体的には、基質層14或いは免疫反
応層14、16に含有させる。しかし場合によってはそ
の反応を起こす層より上の層に含有させて、試料液に展
開供給によって、反応の場にフッ素含有界面活性剤が存
在するように構成してもよい。すなわち反応層の上に独
立の展開層などを設けた場合には、この層にフッ素含有
界面活性剤を含有させるようにしてもよい。
【0033】以上の乾式分析要素の説明は後述の実施例
の理解を容易にするため、酵素標識抗体の非拡散性基質
に対する酵素活性が高分子抗原(又は低分子量抗原の場
合は抗原と高分子化合物との結合物)により抑制される
ことを利用した、均一系を適用した分析要素で説明し
た。しかし本発明はこれに限らず、免疫反応層中に固定
化抗体を含有させ、抗体と結合しなかった残余の標識抗
原を下の層で検出するような分析要素(例えば特開昭62
-192663 )において、固定化抗体を含有する反応層に本
発明のフッ素含有界面活性剤を含む分析試薬組成物を含
有させてもよい。適用する乾式分析要素において、抗原
抗体反応が起こる層、又はこの層に供給できる層にフッ
素含有界面活性剤を含む分析試薬組成物を含有されれば
よい。抗原抗体反応以外の生物学的特異的結合反応を利
用した乾式分析要素も、これに準じて構成することがで
きる。
【0034】
【実施例1】CEDIAアッセイに対する界面活性剤の影響(その
1) 酵素断片結合反応に対する各種界面活性剤の影響を調べ
た。酵素断片結合反応としてCEDIA法(cloned enz
yme donor immunoassay )を使用した。CEDIA法
は、大腸菌β−ガラクトシダーゼの構成成分断片である
高分子ポリペプチド(酵素受容体:EA)と低分子ポリ
ペプチド(酵素供与体:ED)とを組換DNA技術で調
製し、これらいずれも単独では酵素活性を示さない酵素
断片が、自然会合することにより酵素活性を回復する現
象をEIA法に適用したものである。酵素基質にはo−
ニトロフェニル−β−D−ガラクトピラノシドを使用す
る。ここでは、低分子断片(ED)にチロキシン(T
4 )を結合し、血中T4 結合蛋白質の分析に使用する
「CEDIA T アップテーク」キット(Microgenic
s社製)の試薬を使用した。
【0035】ED試薬(ED−T4 結合物含有)16μL
に、EA試薬(EA、o−ニトロフェニル−β−D−ガ
ラクトピラノシド含有)64μL 、各種界面活性剤水溶液
80μL を加え、37℃で20分間インキュベートし、ED−
EA会合体の酵素活性を405nmの吸光度で測定した。
【0036】図1に示すように、カチオン系界面活性剤
であるセチルピリシウムクロライド(図中(D))及び
塩化ベンザコシウム(I)、アニオン系界面活性剤であ
るデオキシコール酸ナトリウム(C)のみならず、ノニ
オン系界面活性剤であるTween 80(A),Triton X-100
(B),Tween 20(E),Tween 85(F),Brij 35
(G)なども反応を阻害していた。しかし、ノニオン系
フッ素含有界面活性剤であるメガファック143(H)
は反応を阻害することはなかった。
【0037】
【実施例2】CEDIAアッセイに対する界面活性剤の影響(その
2) 「CEDIA T4 」キット(Microgenics 社製)の試
薬を使用して、酵素断片結合反応に対する各種界面活性
剤の影響を調べた。ED試薬(ED−T4 結合物含有)
16μL に、EA試薬(EA、抗T4 抗体、o−ニトロフ
ェニル−β−D−ガラクトピラノシド含有)64μL 、0.
1 −1%の各種界面活性剤水溶液80μL、T4 標準溶液
(0; 200 ng/ml)10μL を加え、37℃で20分間インキュ
ベートし、ED−EA会合体の酵素活性を405 nmの吸光
度で測定した。
【0038】得られたT4 検量線を図2に示す。カチオ
ン系界面活性剤であるCTAB(図中(E))、アニオ
ン系界面活性剤であるSDS(F)のみならず、ノニオ
ン系界面活性剤であるTween 80(B),Tween 85
(C),Brij 35 (D)などでも、対照(−○−)に比
べ0.1%(−●−)及び1%(−▲−)の添加により
反応を阻害していた。Tween 85(C)では反応阻害が少
なく吸光度の減少は見られなず、むしろ値は上昇する。
しかし1%添加(−▲−)により0点の値も上昇するた
め、検量線は大きく害されていた。これに対して、ノニ
オン系フッ素含有界面活性剤であるメガファック143
(A)は反応を阻害することなく、その検量線は未添加
の場合とほとんど変わらなかった。
【0039】
【実施例3】β−ガラクトシダーゼに対する界面活性剤の影響 実施例1及び2では、EDとEAの結合反応と、会合し
てできる酵素の酵素反応とのいずれかに対する界面活性
剤の影響を示された。そこで、ED−EA会合体に相当
するβ−ガラクトシダーゼ活性に対する界面活性剤の影
響を調べた。酵素基質であるo−ニトロフェニル−β−
D−ガラクトピラノシドの0.1 %溶液(20 mM 燐酸緩衝
液; pH 7.0)を調製し、この基質溶液0.1 mLに各種界面
活性剤水溶液(0.1, 1%)を1 mL加え、さらに3000 U/L
のβ−ガラクトシダーゼ溶液(20 mM 燐酸緩衝液; pH
7.0)を0.01 mL 加えて反応を開始した。37℃で20分間
インキュベートした後、0.1Mの炭酸ナトリウム溶液(1
mL)を加えて反応を停止、405nm における吸光度を測定
した。
【0040】図3に示すように、メガファック143
(図中A)に限らず、同じくノニオン系界面活性剤であ
るTween 20(B)及びTriton X-100(C)の何れも、酵
素活性に対する影響はほとんど認められなかった。以上
のことから、実施例1、2で見られたTween 20及びTrit
on X-100の阻害作用は、酵素反応に対するものではなく
て酵素断片結合反応に対するものであることが明らかに
なった。この点、フッ素含有界面活性剤であるメガファ
ック143は酵素反応のみならず、酵素断片結合反応に
も影響を与えないことが明らかになった。
【0041】
【実施例4】各種界面活性剤存在下の溶液系でテオフィ
リンの酵素免疫分析を行った。
【0042】(1) 酵素標識抗体の合成 (1-1) CHM化α−アミラーゼの作製 バチルス・ズブチリスα−アミラーゼ 5mgをpH6.3 の
0.1Mグリセロ燐酸1mLに溶かし、[4-(マレイミドメチ
ル)シクロヘキサン-1- カルボン酸]スクシンイミドエ
ステル(CHMS)2mg/mlのDMF溶液 100mLを加えて
室温で、1時間反応させた。この反応液をセファデック
スG−25カラムにアプライして、pH6.3 の0.1Mグリセ
ロ燐酸を流して素通り分画を分取、 4-( マレイミドメチ
ル)シクロヘキサン-1- カルボン酸アミド化α−アミラ
ーゼ(CHM化α−アミラーゼ)を得た。
【0043】(1-2) 抗テオフィリンマウスIgGF(ab')2
の作製 抗テオフィリンマウスIgG 10mg (0.1M酢酸緩衝液(pH
5.5))2mLにパパイン300 μgを加え、37℃で18時間撹
拌した。0.1 N NaOHを加えてpHを6.0 に調節したこの反
応液を予め0.1 M 燐酸緩衝1mM EDTA 溶液(pH6.3 )で
緩衝化したAcA-44ゲルカラムに入れ、上記の燐酸緩衝液
で溶出した。分子量約10万付近に溶出されたピーク部分
を集めて1mLに濃縮し、目的の抗テオフィリンマウスIg
GF(ab')2を得た。
【0044】(1-3) α−アミラーゼ−抗テオフィリンマ
ウスIgGFab' 結合物の作製 (1-2) で調製した抗テオフィリンマウスIgGF(ab')26mg
を含む0.1 M 燐酸緩衝液( 1mM EDTA含有、 pH6.0 )1mL
に10mg/mL の2−メルカプトエチルアミン塩酸塩水溶液
100μL を加え、37℃で90分間撹拌した。この反応液を
予め0.1 M 燐酸緩衝液(pH 6.3)で緩衝化したセファデッ
クスG-25カラムでゲル濾過して未反応の2-メルカプトエ
チルアミンを除去し、HS−Fab' を得た。これに(1-
1) で調製したCHM化α−アミラーゼ2mgを加え、37
℃で90分間反応させた。次にこの反応液を0.1 M 酢酸緩
衝5mM塩化カルシウム溶液(pH 7.0)で緩衝化したAcA-34
カラムでゲル濾過して分子量20万以上の分画を集め、こ
れを濃縮して目的の結合物を得た。
【0045】(2) 高分子化抗原(テオフィリン−BSA
結合物)の合成 8−プロピルカルボキシテオフィリン5mgを1mL DM
Fに溶かし、これにN−ヒドロキシサクシンイミド3m
g、水溶性カルボジイミド5mgを加え室温にて2時間撹
拌し活性化テオフィリンを調製した。ウシ血清アルブミ
ン(BSA)10mgを0.1 M 炭酸水素ナトリウム水溶液1
mLに溶かし、上記活性化テオフィリン溶液を500 μL 加
え室温にて1時間放置し、予めPBSで平衡化したセフ
ァデックス−G25 ゲルカラムにて、未反応物を除去し目
的の高分子化抗原(テオフィリン−BSA結合物)を9
mg得た。
【0046】(3) テオフィリンの測定 各種界面活性剤を含むバッファーにテオフィリン0〜10
μg/mL含有せしめた溶液50μL に、(2) で調製した高分
子化テオフィリン(4μg/mL)50μL と、(1-3) で得た
酵素標識抗体(2μg/mL)50μL をガラス製試験管に加
え37℃で2分間反応させた。次にネオ・アミラーゼテス
ト「第一」(第一化学薬品製)の錠剤1錠(45mg青色澱
粉、3mg BSA 含有)を4mLの0.1 M 酢酸緩衝液(pH 6.
5)に懸濁し、この懸濁液1mLを上記反応液に加え、37
℃でさらに30分間反応させた。0.5NNaOH を0.5 mLを加
えて反応停止させ、これを攪拌後、1000g で3分間遠心
分離して上清を得た。酵素反応により上清中に可溶化し
た青色色素量を620 nmにおける吸光度測定により測定し
た。
【0047】得られた吸光度とテオフィリン濃度の関係
を示す検量線を図4に示す。この図の示すように、フッ
素系界面活性剤であるメガファックF142Dを使用し
た場合には、低濃度領域(0 〜0.01μg/mL)での検量線
の傾きが大きく、他の界面活性剤を使用した場合よりも
高感度にテオフィリンを分析できることがわかった。
【0048】
【実施例5】各種界面活性剤存在下の溶液系でCRPの
酵素免疫分析を行った。
【0049】(1) 酵素標識抗体の合成 (1-1) CRP・マウスIgGF(ab')2の作製 抗CRP・マウスIgG10mg(0.1M酢酸緩衝液(pH 5.5))
2mL にパパイン 300μg を加え、37℃で18時間撹拌し
た。0.1 N NaOHを加えてpHを6.0 に調節したこの反応液
を予め0.1 M 燐酸緩衝1mMEDTA溶液(pH6.3 )で緩衝化
したAcA-44ゲルカラムにアプライし、上記の燐酸緩衝液
で溶出した。分子量約10万付近に溶出されたピーク部分
を集めて1mL に濃縮し、目的の抗CRP・マウスIgGF
(ab')2を得た。
【0050】(1-2) アミラーゼ−抗CRP・マウスIgG
Fab' 結合物の作製 (1-1) で調製した抗CRP・マウスIgGF(ab')26mg を
含む0.1 M 燐酸緩衝液(1mM EDTA 含有、 pH6.0)1mLに10
mg/mL の2-メルカプトエチルアミン塩酸塩水溶液 100μ
L を加え、37℃で90分間撹拌した。この反応液を予め0.
1 M 燐酸緩衝液(pH 6.3)で緩衝化したセファデックスG-
25カラムでゲル濾過して未反応の2-メルカプトエチルア
ミンを除去し、HS−Fab' を得た。これに実施例4の
(1-1) で調製したCHM化α−アミラーゼ2mgを加え、
37℃で90分間反応させた。次にこの反応液を0.1 M 酢酸
緩衝5mM塩化カルシウム溶液(pH 7.0)で緩衝化したAcA-
34カラムでゲル濾過して分子量20万以上の分画を集め、
これを濃縮して目的の結合物を得た。
【0051】(2) CRPの測定 各種界面活性剤を含むバッファーにCRP0〜10μg/mL
含有せしめた溶液50μL に、(1-2) で得た酵素標識抗体
(2μg/mL)50μL をガラス製試験管に加え37℃で2分
間反応させた。次にネオ・アミラーゼテスト「第一」
(第一化学薬品製)の錠剤1錠(45mg青色澱粉、3mg BS
A 含有)を4mLの0.1 M 酢酸緩衝液(pH 6.5)に懸濁
し、この懸濁液1mLを上記反応液に加え、37℃でさらに
30分間反応させた。0.5N NaOH を0.5 mLを加えて反応停
止させ、これを攪拌後、1000g で3分間遠心分離して上
清を得た。酵素反応により上清中に可溶化した青色色素
量を620 nmにおける吸光度測定により測定した。
【0052】得られた吸光度とCRP濃度の関係を示す
検量線を図5に示す。この図の示すように、フッ素系界
面活性剤であるメガファックF142Dを使用した場合
には、低濃度領域(0 〜0.01μg/mL)での検量線の傾斜
が大きく、他の界面活性剤を使用した場合よりも高感度
にCRPを分析できることがわかった。
【0053】
【実施例6】エミットテオフィリンアッセイに対する界面活性剤の影
エミット(EMIT; enzyme multiplied immuno test )ア
ッセイは酵素標識した抗原に抗体が結合することにより
標識酵素の活性が失活する現象を利用したEIA法であ
る。アッセイキットとして、第一化学薬品社製の「エミ
ット(登録商標)テオフィリンアッセイ・キット」を使
用した。
【0054】各種界面活性剤を添加したキット添付の緩
衝液でテオフィリンサンプル(0,2.5,10,40 μg/mL)を
36倍希釈しその60μL に、試薬A(抗テオフィリン抗
体、グルコース−6−燐酸ナトリウム、NAD含有)を
10μL 、緩衝液100 μL を加え、30℃で2分間インキュ
ベート後、試薬B(グルコース−6−燐酸脱水素酵素で
標識したテオフィリンを含有)を10μL 添加し、さらに
30℃で40分インキュベートした。反応停止液0.72mLを添
加した後、340nm の吸光度を測定した。
【0055】得られた吸光度とテオフィリン濃度の関係
を示す検量線を図6に示す。この図の示すように、フッ
素系界面活性剤であるメガファックF142Dを使用し
た場合には、低濃度領域(0 〜2.5 μg/mL)での検量線
の傾斜が大きくなり、他の界面活性剤を使用した場合よ
りも高感度にテオフィリンを分析できた。
【0056】
【実施例7】CRP分析用乾式分析要素に対する界面活性剤の影響 特願平3-60972 記載の実施例6に準拠して、基質層に酵
素標識抗体及び非拡散性基質とを含有する乾式分析要素
を作製した。
【0057】(1) CRP測定用多層分析要素の作製 ゼラチン下塗層が設けられている厚さ180 μm の無色透
明ポリエチレンテレフタレート(PET) シート(支持体)
上に下記の被覆量になるように架橋剤含有試薬溶液を塗
布し、乾燥して試薬層を設けた。 アルカリ処理ゼラチン 14.5 g/m2 ノニルフェノキシポリグリシドールエーテル 0.2 g/m2 グルコースオキシダーゼ 5000 U/m2 ペルオキシダーゼ 15000 U/m2 グルコアミラーゼ 5000 U/m2 2-(4- ヒドロキシ-3,5- ジメトキシフェニル-4-[4-(ジメチルアミノ) フェニル]-5-フェネチルイミダゾール(ロイコ色素)酢酸塩 0.38 g/m2 ビス[(ビニルスルホニルメチルカルボニル)アミノ]メタン 0.1 g/m2
【0058】この試薬層の上に下記の被覆量になるよう
に接着層を塗布、乾燥して設けた。 アルカリ処理ゼラチン 14.5 g/m2 ノニルフェノキシポリエトキシエタノール 0.2 g/m2 (オキシエチレン単位平均 9〜10含有)
【0059】ついで接着層の表面に下記の被覆量になる
ように下記試薬含有水溶液を塗布し、ゼラチン層を膨潤
させ、その上に50デニール相当のPET 紡績糸36ゲージ編
みした厚さ約250 μm のトリコット編物布地をほぼ一様
に軽く圧力をかけてラミネートして多孔性展開層を設け
た。 ノニルフェノキシポリグリシドールエーテル 0.2 g/m2 ビス[(ビニルスルホニルメチルカルボニル)アミノ]メタン 0.4 g/m2
【0060】次に、この展開層に下記の被覆量になるよ
うに基質を塗布、乾燥して基質層を設けた。 メガファックF142D(大日本インキ) 1.0 g/m2 カルボキシメチル化澱粉 4.0 g/m2 マンニトール 2.0 g/m2 アミラーゼインヒビター(AIC) 100000 U/m2 塩化カルシウム 50 mg/m2 MESバッファー(pH 6.0) 0.9 g/m2
【0061】次に実施例5の(1-2) と全く同様に合成し
たアミラーゼ−抗CRP・IgG結合物を3mg/m2 の被覆
量になるようにしてエタノール溶液を塗布し含浸させ
た。この分析要素を15mm四方のチップに裁断し、特開昭
57-63452に記載のスライドの枠に収めてCRP分析用多
層乾式スライド1とした。
【0062】比較対照として上記多層乾式スライド1の
基質層中のメガファックF142Dを省いたもの(スラ
イド2)、メガファックF142Dの代わりにノニルフ
ェノキシポリエトキシエタノール(Triton X-100)を含
むもの(スライド3)を作製した。
【0063】(2) スライドの性能評価 既知量のCRPを含む濃度希釈列を20 mM MES(2−
(N−モルホリノ)エタンスルホン酸)緩衝液(pH 6.
0)で作製しこの10μL をスライド1、2、3に点着し
た。37℃に保って中心波長650 nmの可視光でPET支持
体側から反射光学濃度を測定した。点着から4分後及び
6分後の反射光学濃度の差(ΔOD6-4 )を図7に示
す。図7より本発明のメガファック含有CRP分析用乾
式免疫分析要素では、中濃度から高濃度にわたっての検
量線勾配が大きくなっており、中高濃度域のCRPの定
量を感度よく行えることが明らかである。
【0064】
【実施例8】テオフィリン分析用乾式分析要素に対する
界面活性剤の影響 特願平3-60972 記載の実施例5に準拠して、基質層に酵
素標識抗体、高分子化抗原(テオフィリン−BSA結合
物)及び非拡散性基質とを含有する乾式分析要素を作製
した。
【0065】(1) テオフィリン測定用多層分析要素の作
実施例7と全く同様の手順、構成で、透光性支持体(PE
T シート)上に試薬層、接着層、多孔性展開層を順次積
層した。次に、展開層の上に下記の被覆量になるように
基質を塗布、乾燥して基質層を設けた。 メガファックF142D(大日本インキ) 1.0 g/m2 カルボキシメチル化澱粉 4.0 g/m2 マンニトール 2.0 g/m2 アミラーゼインヒビター(AIC) 100000 U/m2 塩化カルシウム 50 mg/m2 MESバッファー(pH 6.0) 0.9 g/m2
【0066】さらに実施例4の(2) で合成したテオフィ
リン−BSA結合物を3 mg/m2 の被覆量となるようにし
て水溶液を塗布し含浸させ、次いで実施例4の(1-3) で
合成したアミラーゼ−抗テオフィリンIgG結合物を3mg
/m2 の被覆量となるようにしてエタノール溶液を塗布・
含浸させ乾燥させ、得られた積層物を実施例7と同様の
スライド枠に納めて、テオフィリン分析用多層乾式スラ
イド4を作成した。
【0067】比較対照として上記多層乾式スライド4の
基質層中のメガファックF142Dを省いたもの(スラ
イド4)、メガファックF142Dの代わりにノニルフ
ェノキシポリエトキシエタノール(Triton X-100)を含
むもの(スライド5)を作製した。
【0068】(2) スライドの性能評価 両スライド1,2に既知量のテオフィリンを含有するpH
7 の50mMグリセロ燐酸緩衝溶液10μL を点着し、37℃に
保って、支持体側から650nm の反射光学濃度を測定し、
点着から4分後および6分後の反射光学濃度の差(ΔO
6-4 )を求めて、検量線を作成した。図8に示すよう
に、本実施例のスライド4は比較用スライド5に比べ、
感度が高く、テオフィリンの定量を精度良く行えること
が判明した。
【0069】
【発明の効果】以上のように本発明は、フッ素含有界面
活性剤存在下で行う分析方法である。このため、他の界
面活性剤のように抗原抗体結合反応や酵素断片結合反応
等の生物学的特異的結合反応を抑制しない。従ってこれ
らが分析の基本原理となる分析方法に悪影響を与えるこ
とがなく、高感度な測定が可能になる。
【0070】
【発明の好ましい態様】最後に本発明の好ましい態様を
まとめると以下の通りである。 (1) 生物学的な特異的結合反応に基づいて被検液中の分
析対象成分の含有量を測定する分析方法の分析試薬組成
物において、前記特異的結合反応を実質的に阻害しない
フッ素含有界面活性剤が含まれていることを特徴とする
分析試薬組成物。 (2) 前記特異的結合反応が抗原抗体反応である(1) 記載
の分析試薬組成物。 (3) 前記特異的結合反応が酵素断片結合反応である(1)
記載の分析試薬組成物。 (4) 前記特異的結合反応がドナー−レセプター結合反応
である(1) 記載の分析試薬組成物。 (5) 前記フッ素含有界面活性剤がノニオン系フッ素含有
界面活性剤であることを特徴とする(1) 記載の分析試薬
組成物。 (6) 少なくとも1層の水浸透性層を有する乾式分析要素
において、前記分析要素内に(1) 記載の分析試薬組成物
が含有されていることを特徴とする乾式分析要素。 (7) 前記特異的結合反応が抗原抗体反応である(6) 記載
の乾式分析要素。 (8) 前記特異的結合反応が酵素断片結合反応である(6)
記載の乾式分析要素。 (9) 前記特異的結合反応がドナー−レセプター結合反応
である(6) 記載の乾式分析要素。 (10)前記フッ素含有界面活性剤がノニオン系フッ素含有
界面活性剤であることを特徴とする(6) 記載の乾式分析
要素。 (11)生物学的な特異的結合反応に基づいて被検液中の分
析対象成分の含有量を測定する分析方法において、(1)
記載の分析試薬組成物が用いられることを特徴とする分
析方法。 (12)前記特異的結合反応が抗原抗体反応である(11)記載
の分析方法。 (13)前記特異的結合反応が酵素断片結合反応である(11)
記載の分析方法。 (14)前記特異的結合反応がドナー−レセプター結合反応
である(11)記載の分析方法。 (15)前記フッ素含有界面活性剤がノニオン系フッ素含有
界面活性剤であることを特徴とする(11)記載の分析方
法。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で行ったCEDIA Tアップテーク
・キットによる酵素断片結合反応に対する各種界面活性
剤の影響を示す図である。図中、(A)はTween 80、
(B)はTriton X-100、(C)はデオキシコール酸ナト
リウム、(D)はセチルピリシウムクロライド、(E)
はTween 20、(F)はTween 85、(G)はBrij 35、
(H)はメガファック143、(I)は塩化ベンザコシ
ウムの結果である。
【図2】実施例2で行ったCEDIA T4 (???)
キットによるT4 検量線に対する各種界面活性剤の影響
を示す図である。図中、(A)はメガファック143、
(B)はTween 80(C)はTween 85、(D)はBrij 35
、(E)はCTAB、(F)はSDSの結果である。
【図3】実施例3で調べたβ−ガラクトシダーゼ活性に
対する界面活性剤の影響を示す図である。
【図4】各種界面剤存在下における酵素免疫分析(湿式
法)によるテオフィリン検量線を示す図である(実施例
4)。
【図5】各種界面剤存在下における酵素免疫分析(湿式
法)によるCRP検量線を示す図である(実施例5)。
【図6】各種界面剤存在下におけるエミット法(湿式
法)によるテオフィリン検量線を示す図である(実施例
6)。
【図7】実施例7の乾式免疫分析要素の検量線を示す図
である。
【図8】実施例8の乾式免疫分析要素の検量線を示す図
である。
【図9】本発明による乾式分析要素の一実施態様の構成
図である。
【図10】本発明による乾式分析要素の他の実施態様の
構成図である。
【符号の説明】
10 透光性支持体 12 試薬層 14 基質層 16 免疫反応層

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 生物学的な特異的結合反応に基づいて被
    検液中の分析対象成分の含有量を測定する分析方法のた
    めの分析試薬組成物において、前記特異的結合反応を実
    質的に阻害しないフッ素含有界面活性剤が含まれている
    ことを特徴とする分析試薬組成物。
  2. 【請求項2】 少なくとも1層の水浸透性層を有する乾
    式分析要素において、前記分析要素内に請求項1に記載
    の分析試薬組成物が含有されていることを特徴とする乾
    式分析要素。
  3. 【請求項3】 生物学的な特異的結合反応に基づいて被
    検液中の分析対象成分の含有量を測定する分析方法にお
    いて、請求項1記載の分析試薬組成物が用いられること
    を特徴とする分析方法。
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