JP2005121521A - 乾式免疫分析要素 - Google Patents

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Abstract

【課題】 検体中のタンパク質、特にプリオンタンパク質を、迅速かつ簡便に検出する乾式免疫分析要素、及びそれを用いたプリオンの検出方法を提供すること。
【解決手段】 検体中のプリオンを検出するための、少なくとも1つの水浸透性層を有する乾式免疫分析要素であって、
(1)高分子物質を基質とする酵素と、抗プリオン抗体またはその一部分との結合物;及び/又は、
(2)該酵素の基質である高分子物質
を含有し、該酵素と抗プリオン抗体またはその一部分との結合物が、該高分子物質に作用することにより生じる物質を検出する層を有することを特徴とする乾式免疫分析要素。
【選択図】 なし

Description

本発明は、簡便な操作で高感度にプリオンを検出するための乾式免疫分析要素及びそれを用いたプリオンの検出方法に関する。
牛海綿状脳症(狂牛病)は人のクロイツエルヤコブ病などと共に、プリオン病と呼ばれている。プリオン病は、もともと生体内に存在するタンパク質であるプリオンが、何らかの原因で異常化し、その異常型のプリオンが、感染した動物の脳内にある宿主の無害なプリオンを、自分と同じ異常型に変換し、それが脳などの中枢神経に蓄積することにより発症するといわれている。近年、牛の異常型のプリオンを経口摂取することにより、ヒトもプリオン病に感染するらしいことがわかり、重大な社会問題となってきている。ヒトへのプリオン病の感染を防止するためには、牛が狂牛病にかかっているかを検査する必要があり、異常型プリオンの検査システムが必要となってきた。
異常プリオンの検出には、異常プリオンに特異的に結合する抗体の作製が必須である。しかし、正常型プリオンと異常型プリオンは、アミノ酸配列の1次構造は同じであり、高次構造のみが異なっているので、異常/正常をはっきり見極められる抗体(異常型プリオンに特異的な抗体)を作製することは難しい。これまでにも、品川等が報告しているのみである。
しかしながら、正常プリオンと異常プリオンでは蛋白質分解酵素に対する耐性が異なるので、異常プリオンに対する特異的な抗体は必須ではない。蛋白質分解酵素による前処理を行い、この前処理により分解されなかったプリオン(これが異常プリオンということになる)を正常/異常プリオン両方に結合する抗体を用いて検出することにより、異常プリオンを検出することも可能である。現状の主な異常プリオン検出法はこのような原理を利用している。
現在、異常プリオンの検出は、前述したような異常プリオンに特異的ではないが異常プリオンと反応する抗体を用いて、ウエスタンブロッティング法、ELISA法のような酵素免疫測定法により行われている。しかし、このような方法は、高感度ではあるが、作業時間が長くかかり、かつ煩雑であるという欠点をもっている。そこで、迅速かつ簡便なプリオンの測定方法が望まれていた。
一方、いわゆる酵素免疫測定法を簡便にする手法として、特許文献1〜5等に記載されているような乾式免疫分析方法が考案されている。しかしながら、これらの方法はすべての抗原抗体反応に応用できるものではないことは明らかである。また、プリオン検出に関しても全く記載されていず、この方法がプリオン検出に有効であるか否かは明らかではなかった。
特開昭64-88156号公報 特開平1−321360号公報 特開平1−321361号公報 特開平1−112159号公報 特開平4−128655号公報
本発明は、検体中のタンパク質、特にプリオンタンパク質を、迅速かつ簡便に検出する乾式免疫分析要素、及びそれを用いたプリオンの検出方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決するため、ELISA法等の酵素免疫測定法の欠点を改善すべく鋭意努力した結果、高分子物質に作用する酵素とプリオンタンパク質に対する抗体との結合物(酵素抗体結合物)を用いる乾式免疫分析要素により該プリオンタンパク質が効率よく測定できることを見出した。本発明はこの知見に基づいて完成したものである。
すなわち、本発明によれば、検体中のプリオンを検出するための、少なくとも1つの水浸透性層を有する乾式免疫分析要素であって、
(1)高分子物質を基質とする酵素と、抗プリオン抗体またはその一部分との結合物;及び/又は、
(2)該酵素の基質である高分子物質
を含有し、該酵素と抗プリオン抗体またはその一部分との結合物が、該高分子物質に作用することにより生じる物質を検出する層を有することを特徴とする乾式免疫分析要素が提供される。
本発明の好ましい例としては、抗プリオン抗体は、異常プリオンを認識する抗体である。
本発明の別の側面によれば、検体中のプリオンを検出するための方法であって;
少なくとも1つの水浸透性層を有し、(1)高分子物質を基質とする酵素と、抗プリオン抗体またはその一部分との結合物;及び/又は(2)該酵素の基質である高分子物質を含有する乾式免疫分析要素に、該検体を接触させる工程、及び該酵素と抗プリオン抗体またはその一部分との結合物が、該高分子物質に作用することにより生じる物質を検出することにより、該検体中のプリオンを検出する工程を含む、乾式免疫分析方法が提供される。
好ましくは、本発明の乾式免疫分析方法においては、該検体は、該乾式免疫分析要素に接触させる前に、タンパク質分解酵素により前処理する工程を含む。
本発明により、検体中のプリオンタンパク質を、迅速かつ簡便に検出することが可能になった。
以下に本発明の実施の態様を説明する。
本発明の乾式免疫分析要素の測定対象は、検体に含まれるプリオンである。検体の種類は限定されないが、例えば、組織の抽出液、血液(全血、血漿、血清)リンパ液、尿などである。
本発明における水溶性高分子物質に作用する酵素とは、アミラーゼ、セルラーゼ、デキストラナーゼ、コラゲナーゼ、マンナーゼ、プロテアーゼ、エラスターゼ、リパーゼ、グルコアミラーゼ、DNAase、RNAase等をあげることができ、また詳しくは丸尾、田宮、監修「酵素ハンドブック」(朝倉書店、1982年)、日本生化学会編「生化学ハンドブック」(丸善、1980年)に記載されている。
本発明で用いる酵素基質である高分子物質とは、でんぷん、不溶性澱粉、アミラーゼ、アミロペクチン、DNA、RNA、ゼラチン、セルロース、カルボキシメチル化でんぷん等あげることができるが、これに限定されるものではない。
本発明で用いる酵素基質である高分子物質は、検出可能な物質により修飾されていることが好ましい。ここでいう検出可能な物質とは、例えば比色法、蛍光法、発光法、電気化学発光法、RI法等により検出可能物質または、そのような物質を生成することができる酵素、触媒等をあげることができる。
また別の態様としては、高分子物質と高分子物質に作用する酵素により生成した物質を、さらに別の酵素反応系により検出することも可能である。この場合、高分子物質に作用する酵素と該高分子物質により生成された物質をさらに分解する酵素を加え、その酵素反応生成物を検出することもできる。
本発明におけるプリオンに対する抗体とは、異常プリオンを認識する抗体であることが望ましい、さらに望ましくは異常プリオンを特異的に認識する抗体であることが望ましい。 また、さらに本発明では、抗プリオン抗体の一部分を用いることもできる。抗プリオン抗体の一部分の例としては、ペプシン、パパイン、活性化パパイン等のタンパク質分解酵素により切断した、抗体の断片(例えば、F(ab')2、ab'、Fabなどのフラグメント)を挙げることができる。また、遺伝子工学的手法により作製した、遺伝子組換抗体及びその断片であってもよい。
抗体の宿主は、特に限定されず、家兎、羊などにより作成されたポリクローナル抗体でもいいが、さらに好ましくはマウスやラット等により作製されたモノクローナルが望ましい。プリオンに対する抗体の作製方法は、例えばAntibodies(EdHarlow著 ColdSpringHaborLaboratory 1988年刊)などに記載されている方法により作製することが可能である。
本発明における、水溶性高分子物質に作用する酵素と、プリオンタンパク質に対する抗体との結合物質とは、水溶性高分子物質に作用する酵素と、プリオンタンパク質に対する抗体またはその一部分との共有結合物質を示す。酵素と抗体との結合方法は双方の官能基を考慮して決定すればよい。官能基は、アミノ基、カルボキシル基、水酸基、チオール基、イミダゾール基、フェニル基などを利用することができる。例えばアミノ基相互間を結合させる場合には、ジイソシアネート法、グルタルアルデヒド法、ジフルオロベンゼン法、ベンゾキノン法等数多く知られている。また、アミノ基とカルボキシル基との間を結合させる方法としては、カルボキシル基をサクシンイミドエステル化する方法のほかカルボジイミド法、ウッドワード試薬法等が知られており、アミノ基と糖鎖を架橋する過ヨウ素酸酸化法(Nakane法)もある。チオール基を利用する場合には、例えばもう一方の側のカルボキシル基をサクシンイミドエステル化してこれにシスティンを反応させてチオール基を導入し、チオール基反応性二価架橋試薬を用いて双方を結合することができる。フェニル基を利用する方法としてはジアゾ化法、アルキル化法などがある。結合方法はこれらの例示に限られるものではなく、例えば酵素免疫測定法(石川栄治編集、医学書院1987年刊)、Antibody( EdHarlow著 ColdSpringHaborLaboratory 1988年刊)に記載されている方法を利用することができる。結合比は1:1に限らず、目的に応じて任意の比率をとることができることはゆうまでもない。反応後はゲル濾過法、イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィーなどを適宜組み合わせて精製を行い、必要により凍結乾燥法等で乾燥することができる。
本発明における乾式免疫分析要素の最も好ましい態様としては、少なくとも1つの水浸透性層を有する乾式免疫分析要素には、(1)高分子物質を基質とする酵素とプリオンに対する抗体またはその一部分との結合物、及び(2)該酵素の基質である高分子物質、の両方が含有している。
また、本発明における乾式免疫分析要素の別の好ましい態様としては、少なくとも1つの水浸透性層を有する乾式免疫分析要素に、酵素の基質であるところの高分子物質を含有していてもよい。この場合、プリオンを含む可能性のある検体を、高分子物質を基質とする酵素と、プリオンに対する抗体またはその一部分との結合物とをあらかじめ接触させたのち、該乾式免疫分析要素に接触させることが好ましい。
また、本発明における乾式免疫分析要素の別の好ましい態様としては、少なくとも1つの水浸透性層を有する乾式免疫分析要素に、高分子物質を基質とする酵素とプリオンに対する抗体またはその一部分との結合物を含有していてもよい。この場合、プリオンを含む可能性のある検体を、該酵素の基質であるところの高分子物質とあらかじめ接触させたのち、該乾式免疫分析要素に接触させることが好ましい。
また、本発明における乾式免疫分析要素の別の好ましい態様としては、該水溶性高分子物質に作用する酵素の阻害剤を含有していてもよい。
また、本発明における検体中のプリオンを検出する方法においては、検体は、あらかじめたんぱく質分解酵素、界面活性剤、タンパク質変性剤などにより前処理されていることが好ましい。このような、前処理により、プリオンタンパク質の検出感度、精度が向上するだけではなく、異常、正常の見極めをつけることが可能となることも期待できる。
本発明乾式分析要素は、公知の多種の乾式分析要素と同様の層構成とすることができる。要素は多孔性層、後述する試薬層のほか、支持体、展開層、検出層、光遮蔽層、接着層、濾過層、吸水層、下塗り層その他の層を含む多重層の構成を有してもよい。このような分析要素としては、米国特許第3,992,158号、同4,042,353号および特開昭55−164356号公報の各明細書に開示されたものがある。
光透過性水不透過性支持体を用いる場合、本発明の乾式免疫分析要素は、実用的に次のような構成を採りうるが、これらに限定されるわけではない。
(1)支持体上に試薬層、その上に展開層を有するもの。
(2)支持体上に検出層、試薬層、展開層をこの順に有するもの。
(3)支持体上に試薬層、光反射層、展開層をこの順に有するもの。
(4)支持体上に検出層、試薬層、光反射層、展開層をこの順に有するもの。
(5)支持体上に検出層、光反射層、試薬層、展開層をこの順に有するもの。
(6)支持体上に第二試薬層、光反射層、第一試薬層、展開層をこの順に有するもの。
(7)支持体上に検出層、第二試薬層、光反射層、第一試薬層、展開層をこの順に有するもの。
(8)支持体上に検出層、免疫反応試薬含有展開層をこの順に有するもの。
(9)支持体上に検出層、光反射層、免疫反応試薬含有展開層をこの順に有するもの。
上記(1)ないし(5)において試薬層は異なる複数の層から成ってもよい。また、試薬層は免疫反応しうる成分を含む免疫試薬層であってもよい。支持体と試薬層または検出層との間には吸水層を設けてもよい。上記(1)ないし(3)と(6)においては、試薬層と検出層または展開層の間に濾過層を設けてもよい。
上記(3)ないし(7)において光反射層と検出層、試薬層または展開層との間、試薬層と検出層との間または試薬層と展開層との間に、さらに濾過層を設けてもよい。試薬層が複数層から成る場合に、試薬層と試薬層の間にさらに濾過層を設けてもよい。試薬層、検出層は後述する多孔性層と同様な、多孔性試薬層、多孔性検出層であってもよい。
光透過性水不透過性支持体の材料として好ましいものはポリエチレンテレフタレート、ポリスチレンである。親水性層を強固に接着させるため通常、下塗り層を設けるか、親水化処理を施すことが好ましい。
支持体としては光反射性又は光不透過性(不透明)で水不透過性の支持体も用いることができる。光反射性又は不透明支持体の例として、二酸化チタン微粒子又は硫酸バリウム微粒子を分散含有させた白色又は乳白色不透明ポリエチレンテレフタレートがある。
本発明の乾式分析要素の水浸透性層としては、親水性ポリマーを結合剤とする実質的に均一の層のほか、例えば特開昭58−701635号公報、特開昭61−4959号公報、特願昭60−256408号明細書、同60−279859号明細書、同60−279860号明細書、同60−279861号明細書等に記載されたような多孔性層も好適である。親水性ポリマーとして例えば、ゼラチンおよびこれらの誘導体(例えばフタル化ゼラチン)、セルロース誘導体(例えばヒドロキシメチルセルロース)、アガロース、アクリルアミド共重体、メタアクリルアミド共重体、アクリルアミドまたはメタアクリルアミドと各種ビニル性モノマーとの共重合体等が利用できる。
多孔性層を構成する材料としては、例えば濾紙、不織布、織物生地(例えば平織生地)、編物生地(例えば、トリコット編布地)、ガラス繊維濾紙等を用いることができる。展開層としては、これらのうち織物、編物等が好ましい。織物等は特開昭57−66359号公報に記載されたようなグロー放電処理をしてもよい。展開層には、展開面積、展開速度等を調節するため、特開昭60−222770号公報、特願昭61−122875号明細書、同61−122876号明細書、同61−143754号明細書に記載したような親水性高分子あるいは界面活性剤を含有してもよい。
免疫反応試薬層は、本発明の分析要素の主要な免疫反応試薬組成物の成分である(1)高分子物質を基質とする酵素と、抗プリオン抗体またはその一部分との結合物、及び/又は(2)該酵素の基質である高分子物質を含有する水浸透性層である。高分子物質の含有量は、一般的には約1.0mg/m2〜約20g/m2、好ましくは約1.0g/m2〜約10g/m2である。酵素と抗プリオン抗体またはその一部分との結合物の含有量は、一般的には約0.001mg/m2〜約100mg/m2、好ましくは約1.0mg/m2〜約10mg/m2である。
免疫反応試薬層は、複数の層からなりたっていてもよい。この場合、上記の各成分は複数の層にわかれて含有されていてもよい。
さらに詳しくは、本発明の乾式分析要素においては、酵素と抗プリオン抗体またはその一部分との結合物(L)、高分子物質(S)は下表に記載のような組合せで乾式免疫分析要素に含有されてもよい。
(1)試薬層AにLとSが含まれている。
(2)試薬層AにLが含まれ、試薬層BにSが含まれている。
(3)試薬層AにSが含まれ、試薬層BにLが含まれている。
いずれの態様においても、試薬層の支持体と反対側に展開層を設けていてもよいし、試薬層が展開層をかねていてもよい。また上記(1)〜(3)において、L、S以外の試薬(例えば、呈色試薬)を含有する試薬層をさらに設けてもよい。
本発明の分析要素の試薬層に含有させることができる緩衡剤の例としては、炭酸塩、ホウ酸塩、燐酸塩や「Biochemistry」,5(2),467-477(1966)に記載されているグッド(Good)の緩衡剤などを挙げることができる。これらの緩衡剤は「蛋白質・酵素の基礎実験法」(堀尾武一ほか著、南江堂、1981年)、前記「Biochemistry」等の文献を参考にして選択することができる。
多孔性層を展開層として利用する場合、液体計量作用(メータリング作用)を有する層であることが好ましい。液体計量作用とは、その表面に点着供給された液体試料を、その中に含有している成分を実質的に偏在させることなく面の方向上に単位面積当たりほぼ一定量の割合で広げる作用である。
多孔性層を接着し積層するための接着層を試薬層、光反射層、濾過層、吸水層、検出層等の層の上に設けてもよい。接着層は水で膨潤したときに多孔性層を接着することが出来るような親水性ポリマー、例えばゼラチン、ゼラチン誘導体、ポリアクリルアミド、澱粉等からなることが好ましい。
光反射層は、検出層、試薬層等に生じた検出可能な変化(色変化、発色等)を光透過性を有する支持体側から反射測定する際に、展開層に点着供給された被検液の色、特に試料が全血である場合のヘモグロビンの赤色等を遮蔽するとともに背景層としても機能する。光反射層は、親水性ポリマーをバインダーとして、二酸化チタン、硫酸バリウム等の光反射性微粒子が分散された水浸透性の層であることが好ましい。バインダーとしてはゼラチン、ゼラチン誘導体、ポリアクリルアミド、澱粉等からなることが好ましい。
分析要素には、光反射層を設ける代わりに、またはそれと同時に、展開層、試薬層、検出層等に二酸化チタン等の光反射粒子を含有させてもよい。
本発明の乾式免疫分析要素は、前述の特許文献に記載の公知の方法により調製することができる。
本発明の分析要素は一辺約15mmから約30mmの正方形またはほぼ同サイズの円形等の小片に裁断し、特公昭57−28331号公報、実開昭56−142454号公報、特開昭57−63452号公報、実開昭58−32350号公報、特表昭58−501144号公報等に記載のスライド枠に収めて免疫スライドとして用いることが、製造、包装、輸送、保存、測定操作等諸種の観点で好ましい。使用目的によっては、長いテープ状でカセットまたはマガジンに収めて用いること、または小片を開口のあるカードに添付または収めて用いることなどもできる。
本発明の分析要素を用いることにより、前述の特許文献等に記載の操作により検体中のアナライトであるプリオンの分析を実施できる。例えば、約5μlから約30μl、好ましくは8μlから15μlの範囲の検体を展開層に点着し、1分から10分の範囲で、約20℃から約40℃の範囲の実質的に一定の温度で、好ましくは37℃近傍の実質的に一定の温度でインキュベーションし、要素内の発色又は変色を可視光又は紫外光の吸収極大波長またはその近傍の波長の光を用いて光透過性支持体から反射測光し、予め作成した検量線を用いて比色測定法の原理により検体中のプリオンの含有量を求めることができる。あるいは、要素内の蛍光の強度を測定し、予め作成した検量線を用いて検体中のプリオン含有量を求めることができる。点着する検体の量、インキュベーション時間及び温度を一定にすることによりプリオンの定量分析を高精度で実施できる。光反射性又は不透明支持体を用いる態様においては、分析要素内の発色又は変色を支持体と反対側の最外層側から反射測定する。
測定操作は特開昭60−125543号公報、特開昭60−220862号公報、特開昭61−294367号公報、特開昭58−161867号公報等に記載の化学分析装置により極めて容易な操作で高精度の定量分析を実施できる。
以下の実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は実施例によって限定されるものではない。
合成例1:プリオン抗体酵素結合物の作製
牛プリオンの部分ペプチド(Cys-Ile-Gln-Tyr-Gln-Arg-Glu-Ser-Gln-Ala-Tyr-Tyr-Gln-Arg)を合成し、このペプチドとKLHとの複合体により家兎を免疫した。前記ペプチドとBSAとの複合体によるELISA法により血清中の特異抗体価を測定、抗体価が上昇した後に血清を採取し、プロテインAによりIgG画分を回収/精製した。次に、精製IgG画分をペプシンにより消化し、未反応IgGと不要のFc画分をプロテインAに吸着除去し、F(ab')2を回収した。このF(ab')2を、さらに、DTTにより還元することにより、標識に使用する抗プリオン抗体Fab'断片(A)を作製した。
次に、バチルスズブチリスアミラーゼ5mgをpH6.3のグリセロリン酸1mlに溶解し、2mg/mlの(4−(マレイミドメチル)シクロヘキサン−1−カルボン酸スクシミドエステルのDMF溶液100μlを加えて室温で1時間反応させたのゲルろ過法により、マレイミド化アミラーゼ(B)を分離した。
上記の抗プリオン抗体Fab'断片(A)とマレイミド化アミラーゼ(B)を反応させたのち、ゲルろ過法により精製することにより抗プリオン抗体アミラーゼ結合物(C)を作製した。
合成例2:水不溶性ダイスターチの調製
40gのカルボキシメチルスターチ(木村産業社製、製品名エクスプロタブ)を1500mlの蒸留水に懸濁させて、これに8gのダイアミラーブリリアントブルー(Diamira BrilliantBlue)R(C.I.Number 61200;三菱化成工業社製)を加え、室温で30分間攪拌した。その後、この懸濁液に150gの無水硫酸ナトリウムを加えて、さらに室温で30分間攪拌した後45gの炭酸ナトリウムを添加し、45℃で一夜攪拌した。それから、この懸濁液を遠心し上清を除いて沈澱物に蒸留水を加え、再び懸濁した後遠心した。この懸濁、遠心の操作を上清の着色がなくなるまで繰り返した。最後に沈澱をエタノールで洗って乾燥した。
実施例1:プリオンの検出
ゼラチン下塗層が設けられている厚さ180μmの無色透明ポリエチレンテレフタレート(PET)シート(支持体)の上に下記の被覆量になるように架橋剤含有吸水層を水溶液を用いて塗布し、乾燥して設けた。
アルカリ処理ゼラチン 10g/m2
ノニルフェノキシポリグリシドール(平均10グリシドール単位含有) 330mg/m2
ビス〔(ビニルスルホニルメチルカルボニル)アミノ〕メタン 400mg/m2
吸水層の上に下記の被覆量で乾燥層厚5μmになるようにして接着層を水溶液を用いて塗布し、乾燥して設けた。
アルカリ処理ゼラチン 6.7g/m2
ノニルフェノキシポリグリシドール(平均10グリシドール単位含有) 600mg/m2
ついで、接着層の表面に水を30g/m2の割合でほぼ一様に供給して湿潤させ、その上に公称孔径3.0μm、厚さ約140μmのセルロースアセテートメンブランフィルターをラミネート接着し、多孔性検出層としたついで多孔性検出層の上に、下記組成の免疫反応用試薬組成物を含有させた、50デニール相当のPET紡績糸36ゲージ編した厚さ約250μmのトリコット編物布地をラミネート接着して多孔性展開層を設けた。
抗プリオン抗体アミラーゼ結合物(C)(合成例(1))2mg/m2
ノニルフェノシポリエトキシエタノール(平均10オキシエチレン単位含有) 500mg/m2
ダイスターチ(合成例(2)) 7.2g/m2
これを一辺15mmの正方形チップに裁断し、特開昭58−32350号公報に記載のスライドの枠に収めてプリオン分析用多層分析スライド(1)とした。
(性能評価実験1)
前記のプリオン分析用多層免疫スライドの展開層に、既知量のプリオンを含有するpH7の50mMグリセロ燐酸緩衝溶液40μl滴下した。37℃で30分間反応後、支持体側より640nmの反射光学濃度を測定した。結果は以下の表1に示す。
Figure 2005121521
表1の結果より、本発明の乾式免疫分析要素によりプリオンを短時間に検出できることが示された。
(実施例2)
ゼラチン下塗層が設けられている厚さ180μmの無色透明ポリエチレンテレフタレート(PET)シート(支持体)上に下記の被覆量になるように架橋剤含有試薬溶液を塗布し、乾燥して試薬層を設けた。
アルカリ処理ゼラチン 14.5 g/m2
ノニルフェノキシポリエトキシエタノール(オキシエチレン単位平均9〜10含有)0.2 g/m2
グルコースオキシダーゼ 5000 u/m2
ペルオキシダーゼ 15000 u/m2
グルコアミラーゼ 5000 u/m2
2−(4−ヒドロキシ−3、5−ジメトキシフェニル)−4−[4−ジメチルアミノ)フェニル]−5−フェネチルイミダゾール(ロイコ色素)酢酸塩 0.38g/m2
ビス[(ビニルスルホニルメチルカルボニル)アミノ]メタン 0.1 g/m2
この試薬層の上に下記の被覆量になるように接着層を塗布し、乾燥して設けた。
アルカリ処理ゼラチン 14.5g/m2
ビス[(ビニルスルホニルメチルカルボニル)アミノ]メタン 0.1g/m2
ついで接着層の表面に下記の被覆量になるように下記試薬含有水溶液を塗布し、ゼラチン層を膨潤させ、その上に50デニール相当のPET紡績糸36ゲージ編みした厚さ約250μmのトリコット編物布地をほぼ一様に軽く圧力をかけてラミネートして多孔性展開層を設けた。
ノニルフェノキシポリエトキシエタノール(オキシエチレン単位平均9〜10含有) 0.15g/m2
ビス[(ビニルスルホニルメチルカルボニル)アミノ]メタン 0.4 g/m2
次に、下記の被覆量になるように基質を塗布、乾燥して基質層を設けてCRP分析用多層分析要素を調製した。
カルボキシメチル化澱粉 4 g/m2
ノニルフェノキシポリエトキシエタノール(オキシエチレン単位平均9〜10含有) 0.2g/m2
次いでこの分析要素を15mm四方のチップに裁断し、特開昭57−63452号公報に記載のスライドの枠に収めて、プリオン分析用多層乾式スライド2とした。
(性能評価試験2)
合成例(1)のアミラーゼ−抗プリオン抗体結合物を0.1mg/mLとなるように、既知量のプリオンを含有する50mMグリセロ燐酸緩衝溶液(pH7)に加え、37℃で20分間インキュベートした。この後、当溶液10μLを前記スライド2に点着し、37℃に保って、中心波長650nmの可視光でPET支持体側からスライド2の反射光学濃度を測定した。点着から3分後および5分後の反射光学濃度の差(ΔOD5-3)を表2に示す。
Figure 2005121521
表2の結果より、本発明の分析要素により、プリオンを簡便に測定できることが示された。

Claims (4)

  1. 検体中のプリオンを検出するための、少なくとも1つの水浸透性層を有する乾式免疫分析要素であって、
    (1)高分子物質を基質とする酵素と、抗プリオン抗体またはその一部分との結合物;及び/又は、
    (2)該酵素の基質である高分子物質
    を含有し、該酵素と抗プリオン抗体またはその一部分との結合物が、該高分子物質に作用することにより生じる物質を検出する層を有することを特徴とする乾式免疫分析要素。
  2. 抗プリオン抗体が、異常プリオンを認識する抗体である、請求項1に記載の乾式免疫分析要素。
  3. 検体中のプリオンを検出するための方法であって;
    少なくとも1つの水浸透性層を有し、(1)高分子物質を基質とする酵素と、抗プリオン抗体またはその一部分との結合物;及び/又は(2)該酵素の基質である高分子物質を含有する乾式免疫分析要素に、該検体を接触させる工程、及び該酵素と抗プリオン抗体またはその一部分との結合物が、該高分子物質に作用することにより生じる物質を検出することにより、該検体中のプリオンを検出する工程を含む、乾式免疫分析方法。
  4. 該検体を、該乾式免疫分析要素に接触させる前に、タンパク質分解酵素により前処理する工程を含む、請求項3に記載の乾式免疫分析方法。

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