JPH05228478A - 6価クロム含有廃液の無害化処理方法 - Google Patents

6価クロム含有廃液の無害化処理方法

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JPH05228478A
JPH05228478A JP6151292A JP6151292A JPH05228478A JP H05228478 A JPH05228478 A JP H05228478A JP 6151292 A JP6151292 A JP 6151292A JP 6151292 A JP6151292 A JP 6151292A JP H05228478 A JPH05228478 A JP H05228478A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 鉄合金鋼帯製造工程にて発生する6価クロム
含有廃水溶液を、同じく鉄合金鋼帯製造工程にて発生し
従来主として単独に処理されていた種々の廃液をそれぞ
れの特質を利用して相互の処理を行うことで無害化処理
してこの処理にかかる費用が低減する。 【構成】 それぞれ鉄合金鋼帯製造工程において発生す
る廃液を利用して、6価クロム含有廃液に廃塩酸を添加
してpH≦1とし、廃塩化鉄水溶液に鉄屑を添加して製
造した主として塩化第一鉄から成る溶液に廃塩酸を添加
してpH≦1まで酸性にした塩酸酸性の塩化第一鉄水溶
液を還元剤として添加して前記pH調製した6価クロム
含有廃液の酸化還元電位が塩化銀参照電極に対して500
±10mvの範囲を維持するように還元処理した後に廃ア
ルカリでpH7〜8の範囲を維持するように中和処理し
た後に、該中和処理した廃液を遠心分離機で固液分離す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、少なくともクロムを含
有する鉄合金鋼帯製造工程にて発生する6価クロム含有
廃水溶液を、同じく鉄合金鋼帯製造工程にて発生する廃
液を主として使用して無害化処理する方法に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】ステンレス鋼帯製造工程で代表される少
なくともクロムを含有する鉄合金から成る鋼帯又はこれ
を剪断した鋼板(以下、これらを総称して単に鉄合金鋼
帯と言う)の製造過程には、一般に環境上有害な6価ク
ロムを発生する工程がある。即ち、一般に塩基度の高い
環境下において鉄合金鋼帯を加熱したり電解酸化した場
合に、鉄合金鋼帯に含有されるクロムが6価の価数まで
酸化され、更にこの6価のクロムが生成した鉄合金鋼帯
を水に接触させることで6価クロム含有廃液が生じる。
このような6価クロム含有廃液が生じる場所は、例えば
鉄合金鋼帯の冷間圧延工程においては、酸洗工程におけ
る塩浴槽,硫酸ソーダ電解槽,苛性ソーダ電解槽及びこ
れらの槽に後続して位置する洗浄槽等である。従来この
6価クロム含有廃液を無害化処理する方法としては、比
較的安価で確実な処理を行うことが出来且つ生成スラッ
ジの有効利用が図れることから下記の方法が行われてい
た。
【0003】即ち、pHを2〜3の範囲に維持するよう
に硫酸を添加する工程(pH調製工程)を経た6価クロ
ム含有廃液を、還元剤として主として硫酸第一鉄を含有
する水溶液を使用してその6価クロム含有廃液の示す酸
化還元電位が塩化銀参照電極に対して500±10mv
の範囲を維持するように添加する工程(還元処理工程)
に供給し、次いで6価クロム含有廃液の示すpHを6〜
8の範囲を維持するように中和剤として水酸化マグネシ
ウムを含有する水溶液を添加して主として金属水酸化物
と硫酸塩とを生成させる工程(中和処理工程)に供給し
た後に、重力沈降法を原理としたシックナー等で固液分
離して水分を含む固形物については脱水乾燥後に製鋼原
料として再利用し、分離液は無害であるため公共水域に
放流する工程(固液分離工程)という多くの工程を経て
6価クロム含有廃液を無害化処理する方法である。
【0004】このような6価クロム含有廃液を無害化処
理する方法において、pH調製工程で使用される硫酸は
購入新酸が主であるが、鉄合金鋼帯の表面処理に使用さ
れる硫酸廃液が使用されることもあった。しかしなが
ら、還元処理工程において使用される硫酸第一鉄及び中
和処理工程において使用される水酸化マグネシウムは購
入品であった。この中和処理工程において中和剤として
高価な水酸化マグネシウムを使用する理由は、中和処理
時に生成する硫酸塩(硫酸マグネシウム)の水への溶解
度が比較的大きいためである。即ち、中和用アルカリと
して汎用される安価な水酸化カルシウムや水酸化ナトリ
ウムを使用したのでは、中和処理時に生成する硫酸カル
シウム(石膏),硫酸ナトリウムの水への溶解度が低い
ことから下記の如き問題を起こすためである。
【0005】 前記還元処理工程及び中和処理工程を
終了した廃液をその処理設備から離れた場所に位置する
シックナーまで配管で移送して固液分離する場合、硫酸
カルシウムを多く含む廃液にあっては配管内にスケール
を生成して配管を閉塞させる結果、時として生産活動の
停止を招くことがある。 前記還元処理工程及び中和処理工程を終了した廃液
をシックナー等で固液分離したスラリー中には多量の硫
酸カルシウムを含有することから、これを脱水乾燥後に
製鋼原料として利用した場合、製鋼原料として有用な金
属水酸化物を多量の硫酸カルシウムと共に処理すること
になるため、それに要する労力,エネルギーが無駄であ
る。 以上の如く、6価クロム含有廃液の無害化処理方法とし
て、pH調製剤として硫酸をまた還元剤として硫酸第一
鉄を使用した場合、中和剤として安価な中和剤である水
酸化カルシウム等を使用すると固形生成物の量が増加す
ることからその処理に要する労力,コストは多大のもの
となるために、中和後の固形生成物の量を減少させるた
めに高価な水酸化マグネシウムの使用が必要であったの
である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】そこで本発明は、鉄合
金鋼帯製造工程にて発生する6価クロム含有廃液を、同
じく鉄合金鋼帯製造工程にて発生し従来主として単独に
処理されていた種々の廃液をそれぞれの特質を利用して
相互の処理を行うことで無害化処理し、もって廃棄物廃
棄量を低減すると共に高価な水酸化マグネシウムの使用
を排除して廃棄物処理コストの低減を図ることを課題と
する。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者は、前記した従
来技術の問題点を解消し、6価クロム含有廃液の無害化
処理に鉄合金鋼帯製造工程で発生する廃液を利用するこ
とで廃液相互の無害化処理を図る方法として、鉄合金鋼
帯製造工程において発生する6価クロム含有廃液に同じ
く鉄合金鋼帯製造工程において発生する廃塩酸を添加し
てpH≦1とした後、同じく鉄合金鋼帯製造工程におい
て発生する主として塩化第一鉄と塩化第二鉄とから成る
廃水溶液に鉄屑を添加して主として塩化第一鉄から成る
溶液を製造し該溶液に同じく鉄合金鋼帯製造工程におい
て発生する廃塩酸を添加してpH≦1まで酸性にする工
程を順次経て製造された塩酸酸性の塩化第一鉄水溶液を
還元剤として添加して前記pH≦1とした6価クロム含
有廃液の示す酸化還元電位が塩化銀参照電極に対して50
0±10mvの範囲を維持するように還元処理し、同じく
鉄合金鋼帯製造工程において発生する廃アルカリで該還
元処理した6価クロム含有廃液がpH7〜8の範囲を維
持するように中和処理した後に、該中和処理した6価ク
ロム含有廃液を遠心分離機で固液分離すれば6価クロム
含有廃液の無害化処理が可能であることを究明して本発
明を完成したのである。
【0008】以下、鉄合金鋼帯製造工程で発生する廃液
の現状の処理方法と、これを6価クロム含有廃液の無害
化処理に利用する方法について述べる。 (1)塩化第二鉄廃液 鉄合金鋼帯の表面処理用や脱スケール処理用として、近
年塩化第二鉄水溶液が広く使用されるようになってきて
いる。この塩化第二鉄水溶液に鉄合金鋼帯を浸漬した場
合、鉄合金鋼帯は酸化溶解作用を受けるが、一方塩化第
二鉄は還元作用を受け次第に塩化第一鉄を多く含むもの
となる(以下、この塩化第一鉄を多く含むようになった
溶液を単に老化塩化鉄水溶液と言うことがある)。この
老化塩化鉄水溶液の廃液処理も厄介である。即ち、塩化
第二鉄水溶液単独であれば安価な水酸化カルシウムでの
中和処理で鉄水酸化物と水に可溶な塩化カルシウムと
し、鉄水酸化物は固液分離した後に製鋼原料として再利
用し、塩化カルシウム水溶液は無害なためそのまま公共
水域に放流出来る。しかし、老化塩化鉄水溶液は塩化第
一鉄を多く含むため、一旦この第一鉄イオンを空気曝気
等で第二鉄イオンに酸化した後に中和処理を行う必要が
ある。これは、第二鉄イオンの水酸化物の生成が約pH
2から起こり始めて約pH7で終了するのに対して、第
一鉄イオンの水酸化物の生成は約pH6から起こり始め
約pH10で終了するため、排水基準に適合したpH6
〜8の範囲では第一鉄イオンの水酸化物化による溶液か
らの分離が出来ないためである。なお、第一鉄イオンは
有害なものではないが、排水中に残存したまま公共水域
に排出した場合、水中や空気中の酸素の酸化作用を受け
て第二鉄イオンに変化し、公共水域を茶褐色に変色させ
るという不具合を生じる。このように老化塩化鉄水溶液
の処理にかかる労力と経費は多大なものであった。
【0009】そこで塩化第一鉄の強力な還元力に注目
し、この老化塩化鉄水溶液の還元剤への利用を検討し
た。即ち、老化塩化鉄水溶液は塩化第一鉄と塩化第二鉄
との混合水溶液であるため、この塩化第二鉄の塩化第一
鉄への還元を試みたのである。還元剤としては、鉄合金
鋼帯の製造を行う鉄鋼業では豊富にある鉄屑を利用し
た。この老化塩化鉄水溶液への鉄屑添加による塩化第一
鉄濃度とその還元効率とを図3に示す。この図3は、10
0g/lの塩化第一鉄と100g/lの塩化第二鉄とから成
る調製水溶液に塩化第二鉄と等量の鉄屑を添加した時の
塩化第二鉄濃度の経時変化を示すものであり、溶液の撹
拌の有無の条件別に鉄屑添加前後の塩化第二鉄濃度変化
より計算される還元効率を示している。鉄屑添加後5分
以内で還元効率が90%以上であることが判る。
【0010】(2)塩酸廃液 昨今、鉄合金鋼帯の表面処理や脱スケール処理のため、
塩酸が使用されるようになった。この塩酸は鉄合金鋼帯
のうちクロム系ステンレス鋼に主に使用されているが、
この処理過程においても浴内に鉄分が増加してくる結
果、その処理能力が低下するという老化現象が起こる。
従って、塩酸の再生装置が設置されることも多いが、そ
の使用量が少ない場合は廃棄されることも多かった。こ
の老化塩酸廃液も塩化第一鉄を多く含むものであり、廃
液処理上は前記老化塩化鉄水溶液と同じ問題があった。
【0011】一方、塩化第一鉄の還元能力を引き出すた
めには、塩化第一鉄水溶液を塩酸酸性とする必要があ
る。この理由は塩化第一鉄の鉄イオンと塩素イオンとを
引き離し、2価の鉄イオンと6価のクロムイオンとの接
触を容易化するためである。6価クロム含有廃液のpH
の塩化第一鉄還元能力に及ぼす影響を図4に示す。この
図4は同じ6価クロム含有廃液を対象に、種々の量の塩
酸を添加した還元剤としての塩化第一鉄を添加してOR
P(酸化還元電位)の変化並びにORPの変化のあった
時点での残存6価クロム濃度を調査したものである。こ
れより、塩化第一鉄の還元能力を引き出すためには、少
なくとも6価クロム含有廃液のpHを1以下にする必要
があることが判る。
【0012】(3)アルカリ廃液 また、鉄合金鋼帯の製造過程においては脱脂処理が行わ
れる。この脱脂剤としては、トリクロロエタンで代表さ
れる塩素系有機溶剤や水酸化ナトリウム又は珪酸ナトリ
ウムに代表されるアルカリが一般的に使用されている。
しかし、環境問題から徐々にアルカリの使用が主流とな
りつつある。このアルカリを使用した脱脂原理は、鉱物
油の脱脂にあっては油分の脱脂溶液中への分散又はアル
カリコロイドへの吸着によるものである。従って、脱脂
溶液中に鉱物油が飽和してくると脱脂能力の低下や、被
脱脂材に油分や汚れが再付着するという逆汚染の問題が
起こる。このためこの時点で脱脂溶液の更新が行われる
が、この廃アルカリの処理も厄介である。即ち、廃アル
カリは多量の油分を含有してるため、排水規制上の油
分,COD(化学的酸素要求量)の低減処理が必要とな
る。廃アルカリ中の油分除去方法として、酸を使用した
塩析法,静電気を利用した集油法,空気曝気をする加圧
浮上法が知られているが、昨今遠心分離機を使用した油
分除去処理が行われるようになり、アルカリの廃棄量は
低減化されてきた。しかし、長期間に亘り再生使用した
アルカリには細かい油分と金属摩耗粉(圧延工程で発生
し圧延油に混入しているもの等)の蓄積が起こる。従っ
て、やはり定期的な脱脂溶液の更新が必要となる。
【0013】従来、この廃アルカリの中和処理は、鉄合
金鋼帯の製造工程で発生する他の洗浄廃液や廃酸(硝
酸,ふっ酸,硫酸等)と一緒に行われていた。しかし、
この若干の油分を含有する廃アルカリを希釈すると油分
が拡散する結果、排水中に残ったまま排水されることが
あった。即ち、廃酸は溶解金属を有しており、これを中
和処理する過程で多量の水酸化物を形成する。しかし、
この廃液を希釈するとその濃度が下がる結果、水酸化物
の油分吸着量が低下する。従って、金属水酸化物による
油分包含作用を利用して廃アルカリ中の油分除去を行う
場合は、金属水酸化物濃度が高い方が好ましいのであ
る。そこで、この廃アルカリを前述の塩化第一鉄と塩酸
を使用した6価クロム含有廃液の無害化処理の終了後の
中和用アルカリとして使用することで、酸の無害化と同
時に廃アルカリに含有される油分の除去を行い得る。こ
の時、金属イオンを含むこれらの処理液をむやみに水で
希釈しないことが好ましい条件である。
【0014】
【作用】本発明は以上に述べた如く、鉄合金鋼帯の製造
工程で発生する6価クロム含有廃水溶液を無害化処理す
るに当り、主として同じく鉄合金鋼帯の製造工程での廃
棄物である老化塩化鉄水廃液,老化塩酸及び廃アルカリ
を利用することを特徴とするものであり、以下に本発明
方法を実施するのに好適な装置及び条件について説明す
る。
【0015】図1は塩化第二鉄廃液を利用した塩化第一
鉄の製造装置を示す説明図である。鉄合金鋼帯製造工程
より排出される各廃液は、一旦貯蔵タンク1a,2aに貯蔵
される。これは、鉄合金鋼帯製造工程より排出される各
廃液排出量と6価クロム含有廃液の無害化処理装置への
供給量とを調節するためのバッファーとしての役目をこ
れら貯蔵タンク1a,2aに果たさせるためである。老化塩
化鉄水溶液用の貯蔵タンク1aから供給される老化塩化鉄
水溶液1は反応槽3にポンプ1bを介して供給される。こ
の老化塩化鉄水溶液1の濃度は特に限定しないが反応槽
3の容量を大きくさせないために高い方が好ましく、ま
た含有される塩化第一鉄の濃度も高い方が塩化第二鉄の
還元に要する鉄屑の使用量が少なくて済み経済的であ
る。この老化塩化鉄水溶液1としては、発生源での廃棄
条件を加味して、100g/l〜650g/lの塩化第二鉄を
含み、且つ塩化第一鉄濃度との和が650g/l以下であ
れば充分利用可能なことが発明者の調査で確認済みであ
る。ここで、塩化第一鉄の濃度を最大650g/lと限定
した理由は、これ以上であると塩化第一鉄が鉄水酸化物
又は鉄酸化物となって配管等を閉塞して移送困難となる
ためである。液温は高い方が鉄屑との反応が盛んで好ま
しいが、余り高いと老化塩化鉄水溶液1に鉄屑を添加し
て主として塩化第一鉄から成る溶液としたものに後述の
如く塩酸を添加した時、塩化水素ガスが多量に発生する
ため好ましくない。好ましい液温は25〜85℃である。
【0016】供給用ホッパ4aには、鉄屑置場4cからベル
トコンベヤ4bによって鉄屑4が補給される。鉄屑4の形
態は細かい方が表面積が大きく酸との反応性が高いが、
余り細か過ぎると風等により飛散してしまうため好まし
くない。本発明者の調査では、鉄合金鋼帯製造工程の焼
鈍酸洗設備で使用されるショットブラストの廃棄ショッ
ト(粒径は0.1〜0.6mm)が適当であった。しかし、この
廃ショットの発生量は変動するため安定供給は難しい。
その他ダライ粉等の鉄屑の使用も試みたが、ホッパ4a内
で詰まったり未溶解分が残るという不具合があった。種
々調査の結果、10mm角以内の大きさまで鉄屑をチョッパ
ー等で剪断したものであれば、ホッパ4aでの移送の問題
や反応槽3での未溶解等の問題もなかった。
【0017】反応槽3に供給された老化塩化鉄水溶液1
と鉄屑4とは、反応槽3内の撹拌機3aで撹拌されつつ反
応し塩化第一鉄の濃厚な溶液となり、オーバーフロー液
は次の貯槽5に送られる。貯槽5を設ける理由は、未溶
解の鉄屑4の混入を避けるためである。更に、この塩化
第一鉄溶液には未溶解の鉄屑4の残存や塩化第一鉄変質
によるスラッジの含有される危険性があるため、遠心分
離機6を設ける。遠心分離機6で固液分離された固形分
は反応槽3へ戻される。固液分離され浄化された塩化第
一鉄溶液はポンプ7aを介して希釈槽7に供給され、ここ
で鉄合金鋼帯製造工程において発生し貯蔵タンク2aに貯
蔵されていた廃塩酸2がポンプ2bを介して添加されると
共に希釈用の水7bが添加され、希釈槽7内で各溶液は撹
拌機7cで撹拌される。この廃塩酸2の添加量は、希釈槽
7内の溶液のpHが1以下となるよう添加する。この添
加量の調製は、後述するpH計7dで計測しこの出力をも
とに調節計7eを介してバルブ7fによって行われる。更
に、希釈槽7内の溶液中の塩化第一鉄濃度を計測してこ
の出力をもとに希釈用の水7bの添加量を制御することが
望ましい。これは、塩化第一鉄濃度を大きく変動させな
い方が後述する6価クロム含有廃液の無害化処理装置に
おける制御がやり易いためである。この希釈槽7内の溶
液中の塩化第一鉄濃度を計測する方法としては、超音波
伝播速度の測定を原理としたもの、一般に使用されてい
る酸化還元電位を計測する方法等が適当である。製造さ
れた塩酸酸性の塩化第一鉄溶液8は貯蔵タンク8aに貯蔵
された後、次に説明する6価クロム含有廃液の無害化処
理装置へ供給される。
【0018】図2は6価クロム含有廃液の無害化処理装
置の構成を示す説明図である。6価クロム含有廃液の無
害化処理装置は、pH調製槽10,還元槽11,中和槽12及
び固液分離装置14より構成される。pH調製槽10には、
6価クロム含有廃液9を連続的又は間欠的に投入される
と共に、pH計10bの計測pHが1以下を維持するよう
に廃塩酸2が貯蔵タンク2aよりポンプ2bを介して自動的
に添加される。ここでpHを1以下に調製する理由は、
6価クロム含有廃液のpHが高いまま次の還元槽11に送
液したのでは、塩化第一鉄の鉄イオンと塩素イオンとを
引き離し、2価の鉄イオンと6価のクロムイオンとの接
触を容易化して充分な還元作用が期待出来ないためであ
り、これは前記図4の結果から判明している。pH調製
後の6価クロム含有廃液は還元槽11に連続的又は間欠的
に投入され、ORP計(酸化還元電位計)11bでの計測
出力が500±10mvを維持するように塩酸酸性の塩化第
一鉄溶液8が貯蔵タンク8aからポンプ8bを介して自動的
に添加される。ORP計11bでの計測出力を500±10mv
とした理由は、6価クロム含有廃液の性状,使用する還
元剤等により異なるが、本発明者の実験によると処理廃
液中の6価クロムが充分還元され、且つ残留する2価の
鉄イオンが少ない条件となるこの制御値が適正であった
からである。
【0019】かくして還元槽11で塩化第一鉄の2価の鉄
イオンと6価のクロムイオンとを接触させて還元された
6価クロム無害化後の廃液は、中和槽12に連続的又は間
欠的に投入され、pH計12bでの計測pHが6〜8を維
持するように廃アルカリ13が貯蔵タンク13aよりポンプ1
3bを介して自動的に添加される。ここで、廃液中の3価
のクロム,3価の鉄及びその他の溶解金属のイオンは水
酸化物となるが、その生成過程で廃アルカリに含有され
る油分を吸着する結果、処理廃液中の油分は極めて少な
いものとなる。中和処理後の廃液は、自然重力沈降を原
理とするシックナーや強制的に固液分離を行う遠心分離
機より成る固液分離装置14(図示した実施例はシックナ
ー)を使用して固液分離が行われる。液体である廃液は
無害のため、このまま公共水域等に排出される。一方、
主として金属水酸化物から成る固形分は、脱水乾燥の後
に鉄合金鋼帯製造用原料として再利用される。なお、廃
アルカリ供給量が不足の場合は、水酸化カルシウム溶液
を使用する。これは中和処理対象液の陰イオンが主とし
て塩素イオンであるため生成する塩は水への溶解度が高
い塩化カルシウムであり、従来の硫酸カルシウム如く固
形物を発生することは少ないからである。
【0020】以上の6価クロム含有廃液の無害化処理は
連続的に行っても良いが、より確実に行うためには間欠
的に行うことが望ましい。即ち、6価クロム含有廃液処
理量が少なくその濃度が高い場合には、pH調製槽10で
のpH調製後、還元槽11に送液してORPの変化を見な
がら還元剤(塩酸酸性の塩化第一鉄水溶液)の添加を行
いORPの変化が急激に変化した時点で還元剤の添加を
停止することにより、6価クロムを還元するのに要する
還元剤の添加が節約出来ると同時に残留する2価の鉄イ
オンの量が少なく出来る。なお、ORPの変化が急激な
変化をより明瞭にするためには、この変化量を微分する
演算を行いその時点で還元剤の添加中止を行うことでそ
の作業は容易となる。
【0021】
【実施例】図1に示す装置の反応槽3に老化塩化鉄水溶
液1(塩化第二鉄濃度が180g/l,塩化第一鉄濃度が1
80g/l,比重が1.2,液温が40℃)500lを送液し、鉄
屑(廃ショット)4を17kg(廃液中の塩化第二鉄量に対
して等モル量)添加して約10分間撹拌機3aで撹拌した。
この時、この溶液中の塩化第一鉄の濃度は約300g/l
であった。この溶液を希釈用の水7bで10倍に希釈した
後、これに廃塩酸2を750l添加してpHを1とした。
なお、この廃塩酸2は、60g/lの遊離塩酸,10g/l
の溶解金属を含有していた。
【0022】次に図2に示す装置のpH調製槽10に6価
クロム含有廃液9として硫酸ソーダ電解液(6価クロム
濃度が21g/l,pHが5.2,液温が50℃)を500l送液
した。これに上記廃塩酸2を添加してpHを0.1とし
た後、更に先の塩酸酸性の塩化第一鉄溶液8を添加して
ORP計出力が500mvとなった時点でこの廃液を分析
したところ、6価クロムイオン濃度が0.5mg/l,2価
の鉄イオン濃度が1mg/1以下であった。この時の還元
剤(塩酸酸性の塩化第一鉄溶液8)の添加量に対するO
RPの変化量及び還元後の廃液の性状を図5に示す。次
に、この溶液に廃アルカリを添加してpHを7とした。
この廃アルカリは、50g/lのNaOH,100mg/lの
油分を含有していた。中和処理後の廃液中の油分濃度は
5mg/lであり、金属水酸化物濃度は10g/lであっ
た。
【0023】
【発明の効果】以上に詳述した如く本発明に係る6価ク
ロム含有廃液の無害化処理方法は、ステンレス鋼帯製造
工程で代表される鉄合金鋼帯製造工程にて発生する6価
クロム含有廃液を従来単独で廃棄無害化処理されていた
同じく鉄合金鋼帯製造工程にて発生する廃液を主として
利用して相互に無害化することが出来るのでこの処理に
かかる費用が低減出来るばかりでなく、従来使用されて
いた高価な硫酸第一鉄/硫酸系の還元剤に替えて鉄合金
鋼帯製造工程にて発生する廃液である塩化第一鉄/塩酸
系の還元剤を使用することで最終的な中和処理に使用す
るアルカリとして安価な消石灰の使用が容易となるので
あり、その工業的価値は非常に大きなものがある。
【図面の簡単な説明】
【図1】塩化第二鉄廃液を利用した塩化第一鉄の製造装
置を示す説明図である。
【図2】6価クロム含有廃液の無害化処理装置の構成を
示す説明図である。
【図3】老化塩化鉄水溶液への鉄屑添加による塩化第一
鉄濃度とその還元効率を示す説明図である。
【図4】6価クロム含有廃液のpHの塩化第一鉄還元能
力に及ぼす影響を示す説明図である。
【図5】還元剤としての塩酸酸性の塩化第一鉄溶液の添
加量に対するORPの変化量及び還元後の廃液の性状を
示す図である。
【符号の説明】
1 老化塩化鉄水溶液 1a 貯蔵タンク 1b ポンプ 2 廃塩酸 2a 貯蔵タンク 2b ポンプ 3 反応槽 3a 撹拌機 4 鉄屑 4a ホッパ 4b ベルトコンベヤ 4c 屑鉄置き場 5 貯槽 6 遠心分離機 7 希釈槽 7a ポンプ 7b 水 7c 撹拌機 7d pH計 7e 調節計 7f バルブ 8 塩酸酸性の塩化第一鉄溶液 8a 貯蔵タンク 8b ポンプ 9 6価クロム含有廃液 10 pH調製槽 10a 撹拌機 10b pH計 11 還元槽 11a 撹拌機 11b ORP計 12 中和槽 12a 撹拌機 12b pH計 13 廃アルカリ 13a 貯蔵タンク 13b ポンプ 14 固液分離装置

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくともクロムを含有する鉄合金鋼帯
    製造工程において発生する6価クロム含有廃液に同じく
    鉄合金鋼帯製造工程において発生する廃塩酸を添加して
    pH≦1とした後、同じく鉄合金鋼帯製造工程において
    発生する主として塩化第一鉄と塩化第二鉄とから成る廃
    水溶液に鉄屑を添加して主として塩化第一鉄から成る溶
    液を製造し該溶液に同じく鉄合金鋼帯製造工程において
    発生する廃塩酸を添加してpH≦1まで酸性にする工程
    を順次経て製造された塩酸酸性の塩化第一鉄水溶液を還
    元剤として添加して前記pH≦1とした6価クロム含有
    廃液の示す酸化還元電位が塩化銀参照電極に対して500
    ±10mvの範囲を維持するように還元処理し、同じく鉄
    合金鋼帯製造工程において発生する廃アルカリで該還元
    処理した6価クロム含有廃液がpH7〜8の範囲を維持
    するように中和処理した後に、該中和処理した6価クロ
    ム含有廃液を遠心分離機で固液分離することを特徴とす
    る6価クロム含有廃液の無害化処理方法。
  2. 【請求項2】 塩化第一鉄と塩化第二鉄とから成る廃水
    溶液として、100g/l〜650g/lの塩化第二鉄を含
    み、且つ塩化第一鉄濃度との和が650g/l以下である
    廃水溶液を使用する請求項1に記載の6価クロム含有廃
    液の無害化処理方法。
  3. 【請求項3】 塩化第一鉄と塩化第二鉄とから成る廃水
    溶液に添加する鉄屑として10mm角以内の大きさの鉄屑を
    使用する請求項1又は2に記載の6価クロム含有廃液の
    無害化処理方法。
  4. 【請求項4】 6価クロム含有廃液がpH7〜8の範囲
    を維持するように中和処理する廃アルカリ供給量が不足
    の場合に、水酸化カルシウム溶液を使用する請求項1か
    ら3までのいずれか1項に記載の6価クロム含有廃液の
    無害化処理方法。
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