JPH0522582B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 技術分野 本発明は、インク残量検知装置、特に貯蔵部と
印字ヘツドの間のインク供給経路に設けられ、前
記貯蔵部内のインク残量を検知するインク残量検
知装置に関するものである。

従来技術 近年、微細なノズルからインクを吐出させて記
録媒体に画像、文字などを記録するインクジエツ
トプリンタが普及しつつある。この方式のプリン
タではインクリボンなどを用いず、インクタンク
内に貯蔵された液状インクを、インクタンクにチ
ユーブを介して接続された印字ヘツドの吐出機構
により微細な液滴として紙等の記録媒体に飛翔消
させて記録を行なつている。したがつてインクジ
エツトプリンタにおいては、インクリボン式のプ
リンタとは異なり、インク切れによる印字不良を
防止するためにインクタンク内のインク残量を検
出する機構が設けられるのが普通で、インク残量
が充分でなくなつた際に警告音などを発してイン
ク補充、ないしはカートリツジ式に構成されたイ
ンクタンクの交換を促す構成が採られていた。

第１図、第２図に従来のインクジエツトプリン
タのインク残量検出機構の例を示す。第１図にお
いては通気口を設けられたケース２内に可撓性材
から成る袋状のインクタンク１が収納されてい
る。このインクタンク内のインクは針状のパイプ
３から供給チユーブ５に供給されるが、パイプ３
と供給チユーブ５間には圧力検出器４が設けられ
ており、この圧力検出器４によりインクの液面を
検出するものである。このような水頭検出方式の
残量検出装置においては、検出精度を上げるため
にインクタンクを縦に配置するのでインクの液面
の変動が大きく、供給路の圧力に対する影響が大
きいという欠点がある。

また、第２図に示したインク残量検出機構にお
いては、インクタンク１内に高低２本の金属性の
針、ないしはパイプ３，３を立て、このパイプ
３，３に接続した信号線３Ａを介して導通ないし
抵抗値を調べることによりインク残量を検出して
いる。またここでは、低い側のパイプ３が中空と
なつており、インク供給路５と接続されている。
この方式ではインクタンクを縦型に配置すると、
前記の欠点に加えて、可撓性材で形成されたイン
クタンク１の潰れかたが不安定でインクを最後ま
で使い切ることが難しい、すなわち使用効率が悪
いという欠点があり、また偏平にした場合には大
容量の袋にしないかぎりやはり空状態の検出が早
期に起り使用効率が悪い、という欠点がある。

なお、インクタンクと記録ヘツド間の供給路に
液圧検出手段を設け、常時インク供給経路の圧力
変化を監視する方式も考えられるが、このような
方式では、インク供給経路の微小な圧力変化を監
視する必要があり、記録ヘツドの振動や、供給経
路中に生じた気泡などの影響を受けやすく、検出
精度が低い問題がある。

また、印字中も常時インク供給経路の圧力変化
を監視する場合は、インク残量なしと検出された
時点が印字期間中である可能性が高い、すなわ
ち、印字中にインク切れなどの障害が生じる可能
性がきわめて高いという問題がある。

目 的 本発明は、以上の問題に鑑みてなされたもの
で、簡単で安価な構造により、確実にインクタン
クのインク残量を検知することができるインク残
量検知装置を提供することを目的とする。

上記目的を達成するために、本発明では、イン
クを保持した貯蔵部と該貯蔵部からインクが供給
される印字ヘツドとの間のインク供給経路に設け
られ、前記貯蔵部内のインク残量を検知する装置
において、前記貯蔵部から前記印字ヘツドへ向か
つて加圧によりインクを強制供給するインク供給
手段の供給動作後にインク供給経路に生じる圧力
変化に基づいて前記貯蔵部内のインク残量を判別
する手段を有する構成を採用した。

実施例 以下、図面に示す実施例に基づいて本発明を詳
細に説明する。ただし、以下の各図面において従
来例と同一または相当する部分には同一の符号を
付し、その説明は省略する。

第３図に本発明のインクジエツトプリンタの模
式図を示す。第３図において符号７で示されるも
のはインクジエツトヘツド７で、不図示の圧電素
子などを用いたインク吐出機構を備えており、イ
ンク供給路を介してケース２内に収納されたイン
クタンク１と結合されている。

インク供給路５Ａおよび５Ｂの中間には圧送装
置８が設けられている。この圧送装置８は第４
図、あるいは第５図に示したような構造を有する
もので、カートリツジ式のインクタンク交換直後
のインク供給路ないしはインクジエツトヘツド７
へのインク初期充填、あるいは長期に渡る非使用
によりインク供給路内に気泡が入つたり、インク
が凝固したような場合の回復用のために設けられ
るものである。これはインクジエツトプリンタに
おいてはインク通路がインクタンクから印字ヘツ
ドまで常に気泡などが混入することなくインクで
満たされなければならないからである。このよう
な初期充填ないし回復用装置は電源投入時あるい
は印字中の所定のタイミングなどにおいて駆動さ
れる。初期充填ないしは回復動作の際、インクジ
エツトヘツド７から排出されるインクはインク受
け９で受けとめられ、排出路１０を介して排出さ
れる。

第４図の圧送装置８においては圧送部開放型の
チユーブポンプが用いられている。この方式のポ
ンプでは非駆動時にポンプ内のインク通路が開放
されているので、後述のようなバイパス通路は設
けられていない。図示した状態はポンプの非駆動
時（通常印字時）を示しており、インク曲面構成
された壁２１に沿つて配置された可撓性のチユー
ブ２０内を自由に通過できる。回復動作ないしは
初期充填のポンプ駆動時には、その円周上にロー
ラ１９を取り付けられたロータ１８が矢印方向に
回転駆動され、チユーブ２０が左側から右側に向
つて押し潰されることによりインクの強制圧送が
行なわれる。この動作の際、巨視的には圧力分布
はほぼ安定して、インク供給路５Ａ側は比較的弱
い負圧状態、インク供給路５Ｂ側が比較的弱い加
圧状態となる。

第５図の圧送装置８において符号１４で示され
ているものはダイヤフラムなどを用いた圧送部閉
塞型のポンプで、このポンプ１４の両側はバイパ
ス路１６Ａ，１６Ｂにより結合され、その中間に
電磁弁１５が設けられている。このような閉塞型
のポンプ１４を用いた圧送装置８では、通常の印
字の際にはポンプ１４が駆動されずポンプ１４中
をインクが流れることができないので、電磁弁１
５が開かれており、バイパス路１６Ａ，１６Ｂを
介してインクジエツトヘツド７にインクが供給さ
れる。また、回復動作ないしは初期充填の際には
電磁弁１５が閉じられ、ポンプ１４が駆動されて
インクの強制圧送が行なわれる。このような閉塞
型の圧送装置の場合には、ポンプ１４にダイヤフ
ラムあるいはピストンなどにより圧送が行なわれ
るので、第４図のチユーブポンプに比べてパルシ
ブで強い負圧がインク供給路５内に発生する。

本発明においては回復動作ないしは初期充填動
作の際のインク供給路５Ａ内の負圧の状態を検出
することによつてインクタンク１内のインク残量
を検出する。このために第３図に示すようにイン
ク供給路５Ａの中間部には半導体センサなどを用
いた圧力検出器４が設けられる。この圧力検出器
はブザーなどの警報部１３に結合されており、イ
ンク残量が所定レベル以下になつた際に警告を発
するよう構成されている。

この圧力検出器の圧力検知タイミングは圧送装
置８の圧送動作に連動して決定される。すなわ
ち、圧送装置８の駆動スイツチ１１のオン／オフ
に連動して圧力検出器の検出動作が行なわれ、必
要に応じて破線で示した遅延回路１２により検出
タイミングが遅延される。これは後述するよう
に、本発明においては検出しようとする圧力領域
が大気圧に近い小さな負圧領域であるためであ
る。

圧送装置として第４図に示した開放型のものを
用いる場合には、前記のようにインク供給路５Ａ
内に比較的弱い負圧が発生するため、遅延回路１
２を用いず第６図に示すようなタイミングで圧力
検出が行なわれる。すなわち同図において符号ｔ
２，ｔ３で示されるように圧送装置８の動作中に
インク供給路５Ａ内の圧力状態か検知される。こ
の際の検出圧力波形を第７図に示す。

インクタンク１内にインクが充分ある状態で
は、第７図に符号Ｃで示すようインク供給路５Ａ
内の負圧は圧送装置のロータ１８のローラ１９に
より発生される細かな脈動が認められるだけで、
所定のエンプテイレベルPEと大気圧間のほぼ一
定レベルに安定している。これはインクタンク１
が可撓性材により形成されており、インクが充分
入つている場合にはインクタンク１が潰れる方向
へスムーズに変形し、インク供給路５内に抵抗な
くインクが流入できるからである。ロータ１８が
停止するとインク供給路５Ａ内の圧力は大気圧に
戻り、均衡する。

逆にインクタンク１内のインク残量が減少して
いる場合には第７図中の符号Ａで示した状態へ検
出圧力波形が移行し、ほとんどインクがなくなる
と符号Ｂで示すような圧力波形となる。これは前
記のインクタンク１の変形がスムーズに行なわれ
なくなり、インク供給路５内へのインク供給が順
調に行なわれなくなるためである。したがつて、
所定のエンプテイレベルPEを定めておき、ｔ２
の時点でインク供給路５Ａ内の負圧がエンプテイ
レベルPEを割つている場合に警報部１３が駆動
されるように構成しておけば正確にインクタンク
内のインク残量が残り少なくなつたことを報知で
き、インクタンク１の交換を促すことができる。
あるいは、インクタンク１の変形率の変化が負圧
変化に与える影響を利用して負圧の変化率を演算
手段などを用いて検出して警報部１３を動作させ
るようにしてもよい。

一方、第５図に示したような圧送装置を用いる
場合には第８図に示すようなタイミングで検出動
作が行なわれる。同図に示すように圧送装置８は
ｔ０からｔ１の間駆動され、検出動作は遅延回路
１２によりｔ２の時点まで遅らせて電磁弁１５を
閉じた状態で行なわれる。ここで遅延を行なうの
は前述したようにインク供給路５Ａ側に形成され
る負圧が開放型の圧送装置より強いので、検出に
好ましい領域まで負圧がタンク側からの供給によ
つて解消するのを待つためである。

このような構成により、前述と同様にインク供
給路５Ａ内の負圧を検出でき、これに基づいてイ
ンクタンク１内のインク残量を判定できる。この
場合のインクタンク内のインク残量に対応した検
出波形は第７図に示したのと同様である。

以上のような実施例によれば、インクジエツト
プリンタに不可欠な回復用等の圧送装置の他に圧
力検出器および遅延回路を設けるのみでよいの
で、簡単安価な構成により確実な残量検出を行な
うことができる。

効 果 以上の説明から明らかなように、本発明による
インク残量検知装置では、初期充填時、定期的、
あるいは、インク吐出不良などの際に行なう印字
ヘツド回復動作などにおいて、加圧によりインク
を強制供給するインク供給手段の供給動作後にイ
ンク供給経経路に生じる圧力変化に基づき、貯蔵
部内のインク残量を判別する。

したがつて、インク供給手段の供給動作に応じ
てインク供給経路に強制的に生じた負圧が大気圧
へ復帰するときの大きな圧力変化幅の中でインク
残量の低下に伴うインク供給路の圧力変化を検知
するようにしているため、インク供給路中に生じ
うる微小な圧力変動の影響を受けることなく、た
とえば、常時インク供給経路の微小な圧力変化を
監視するような方式に比べ極めて高い精度でイン
ク残量の判別を行うことができる。

また、本発明では、インク残量検出にインク供
給手段の加圧による供給動作後に生じる圧力変化
を利用するために、常時インク供給経路の微小な
圧力変化を監視するのではなく、印字期間とは別
の期間において残量検出を行なう。したがつて、
インクジエツトヘツドに対するインクの初期充填
時にインクタンクに十分な量のインクが存在する
か否かを使用者が知ることができ、印字途中でイ
ンク切れを起す可能性を著しく低下できる。

また、前記貯蔵部から前記印字ヘツドに向かつ
て加圧によりインクを強制供給するインク供給手
段の加圧による供給動作後に生じる圧力変化を利
用するので、供給路中の悪影響を与える気泡など
を除去した上で残量検出が行なわれることにな
り、この意味でも検出精度が高まる。

さらに、回復操作時吐出不良の原因がインクの
残量低下に基づくものなのか否かを知ることがで
き、操作性を向上できる、という優れた効果があ
る。

いずれにしても、本願発明は、通常記録時に供
給移動されるインクの量よりも多量のインクによ
る圧力変化を検知する方式なので、通常記録のイ
ンクによる圧力変化を検知する方式に比べ、より
確実でインク残量検知の誤動作を防止できる。具
体的には、インクタンク内に残存しているインク
量が記録にとつて適正か否かの状態を多量のイン
ク移動により明確化できるので、相対的に優れた
作用効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図、第２図は従来のインク残量検出機構の
模式図、第３図は本発明の印字装置の構成を示す
ブロツク図、第４図、第５図は本発明に用いられ
るインク圧送装置の構成を示す説明図、第６図は
本発明における圧力検出タイミングを示すタイミ
ングチヤート図、第７図は本発明におけるインク
残量検出の原理を説明する線図、第８図は第６図
と同様の検出タイミングを示すタイミングチヤー
ト図である。 １……インクタンク、４……圧力検出器、５
Ａ，５Ｂ……インク供給路、７……インクジエツ
トヘツド、８……圧送装置、１２……遅延回路、
１３……警報部。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ インクを保持した貯蔵部と該貯蔵部からイン
   クが供給される印字ヘツドとの間のインク供給経
   路に設けられ、前記貯蔵部内のインク残量を検知
   する装置において、 前記貯蔵部から前記印字ヘツドへ向かつて加圧
   によりインクを強制供給するインク供給手段の供
   給動作後にインク供給経路に生じる圧力変化に基
   づいて前記貯蔵部内のインク残量を判別する手段
   を有することを特徴とするインク残量検知装置。 ２ 上記判別手段は、上記圧力変化を所定の基準
   と比較した結果に応じて、上記貯蔵部内のインク
   残量を検知することを特徴とする特許請求の範囲
   第１項に記載のインク残量検知装置。 ３ 上記判別手段は、上記圧力変化の変化率を演
   算した結果に応じて、前記インク貯蔵部内のイン
   ク残量を検知することを特徴とする特許請求の範
   囲第１項に記載のインク残量検知装置。 ４ 上記判別手段は、上記圧力変化の検知タイミ
   ングを上記インク供給手段の供給動作に対して所
   定期間遅延する遅延回路を備えている特許請求の
   範囲第１項から第３項までのいずれか１項に記載
   のインク残量検知装置。 ５ インクジエツト記録装置に設けられた前記イ
   ンク貯蔵部のインク残量低下を報知することによ
   り、前記インク貯蔵部の交換を促す報知手段を備
   えている特許請求の範囲第１項から第４項までの
   いずれか１項に記載のインク残量検知装置。