JPH05220446A - 自動車車体の鋼板エッジ部の防錆処理方法 - Google Patents

自動車車体の鋼板エッジ部の防錆処理方法

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JPH05220446A
JPH05220446A JP2492092A JP2492092A JPH05220446A JP H05220446 A JPH05220446 A JP H05220446A JP 2492092 A JP2492092 A JP 2492092A JP 2492092 A JP2492092 A JP 2492092A JP H05220446 A JPH05220446 A JP H05220446A
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JP
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coating
electrodeposition
paint
curing
coating film
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Application number
JP2492092A
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English (en)
Inventor
Tatsuro Yoshida
達郎 吉田
Motoki Kanazawa
泉樹 金沢
Tsunehiro Unno
恒弘 雲野
Hiroyuki Takanashi
裕幸 高梨
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Nissan Motor Co Ltd
Nihon Parkerizing Co Ltd
Original Assignee
Nissan Motor Co Ltd
Nihon Parkerizing Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】塗膜の平滑性を損なうことなく鋼板のエッジ部
の耐食性を高める。 【構成】プレス成形した鋼板1により構成される自動車
車体に電着塗装2を施した後、水切り乾燥を行う。つい
で、この車体の鋼板エッジ部3に急速硬化性塗料4をウ
ェットオンウェットで塗布して乾燥させ、その後、電着
塗料2を焼き付ける。急速硬化性塗料4はポリオールと
ポリイソシアネートからなる2液型ポリウレタン塗料を
用い、この急速硬化性塗料を塗布するに際しアミン蒸気
若しくはアミン霧化物を硬化触媒として介在させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、塗面の平滑性を損なう
ことなく自動車車体を構成する鋼板エッジ部の防錆性能
を高め得る防錆処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の自動車の塗装は、車体の組立工程
(溶接工程)の後であって、部品の組付け工程の前に行
われている。図3を参照して自動車車体を構成する部品
のうちドアを例にとって説明すれば、まず、ドアインナ
パネルとドアアウタパネル用にそれぞれ切断した鋼板
(ブランク材)10,11をプレス工程12,13にて
プレス加工する。ついで、車体の組立工程(溶接工程)
14にて、これらドアインナパネル10とドアアウタパ
ネル11のいづれか一方の外周縁に接着剤(ヘミング用
構造接着剤)を塗布し、この外周縁をヘミング加工する
ことにより両者を結合した後、組立を完了したドアアッ
シをヒンジを介して車体にボルト締結し、この状態で塗
装工程15の第1工程である前処理工程16に搬送す
る。塗装工程内においては、ドアアッシを取り付けた車
体に電着塗装17、中塗り塗装18および上塗り塗装1
9を順次施し、塗装工程15が完了すると部品の組付け
工程20に搬送し、所定の部品を組付けて製品が完成す
る。
【0003】ところで、自動車用外板塗膜は、防錆を主
目的とした電着塗膜(下塗り塗膜)と中塗り塗膜、およ
び主に商品性を高めるための上塗り塗膜により構成され
ている。すなわち、自動車の塗装目的を大きく分類する
と防錆と外観品質の2つに分けることができる。
【0004】外観品質については、新規な色彩の開発も
さることながら、最近特に上塗り塗膜の表面状態の向上
が希求されており、このとき、顧客が感じる塗面状態の
善し悪しを定量的に評価する一手法として鮮映値(PG
D値)が広く用いられている。このPGD値は、上塗り
塗面の「平滑性」と「光沢」を日本色彩研究所製の鮮映
性測定装置により測定した値であるが、現在、当業界に
おいては、「光沢」は使用される上塗り塗料の性能に大
きく依存しており、一方、「平滑性」は上塗り塗膜だけ
ではなく下塗り塗膜および中塗り塗膜の平滑性の影響を
大きく受けるものとして理解されている。また、この平
滑性と光沢との相違は、平滑性が塗面の凹凸のうち比較
的長波長の凹凸状態を表現するのに対し、光沢は比較的
短波長の凹凸状態を表現するものとも考えられている。
したがって、上塗り塗料のフロー性を向上させた塗装条
件により上塗り塗膜を形成しても、下塗り塗膜あるいは
中塗り塗膜の平滑性を向上させない限り、PGD値は向
上しないことは種々の実験結果からも明らかな事実であ
った。
【0005】このような実情に鑑みて、最近では電着塗
膜の平滑性を高めることができる電着塗料が種々開発さ
れており、これらは、焼き付け時の塗膜溶融粘度を下げ
ることにより電着塗料のフロー性を高め、上塗り塗膜へ
の影響を抑制するようにしている。すなわち、電着塗面
の平滑性を向上させ、かつ中塗り塗膜の平滑性を向上さ
せることによって上塗り塗面の平滑性を向上させるとい
うのが最近の当業界における外観品質向上への指針とな
っている。なお、塗面状態を定量的に評価する手法とし
て「NSIC値」、あるいは「NSIC*値」も用いら
れるようになってきた。
【0006】一方、防錆の面においては、自動車を構成
する鋼板エッジ部の錆が市場において深刻な問題となっ
ている。これは、電着、中塗り、上塗りの各塗料を焼き
付ける際に、鋼板エッジ部における塗料の表面張力が低
下し、エッジ部に塗膜が形成され難いからである。従来
のエッジ防錆は、防錆用シーリング材などを塗布して鋼
板エッジを覆うことにより対処してきたが、この方法に
よると生産性およびコスト面で好ましくないため、在来
工程を利用したエッジ防錆を前提とした工程設計および
塗料開発が検討され、現在電着塗装によるエッジ防錆処
理が定着しつつある。
【0007】電着塗料によってエッジ耐食性を向上させ
る手法としては、(1)電着塗料の顔料濃度を高める方
法、(2)レオロジーコントロール剤を添加する方法、
(3)電着塗料の硬化温度を低下させ架橋反応により溶
融時の流動を制御する方法等が提案されており、電着塗
料のフロー性を抑えることによって鋼板エッジ部におけ
る表面張力を高め、これによって鋼板エッジ部に十分な
防錆塗膜を形成することができるようになった。しか
も、このような電着塗料を採用すれば、同時に電着塗膜
の厚膜化を図ることができ、鋼板一般面の防錆性能の向
上に加えて、中塗り塗膜を廃止した、いわゆる電着塗膜
と上塗り塗膜のみによる2コート化の実現への布石とな
る効果をも有している。
【0008】しかしながら、エッジ防錆を重視してフロ
ー性を抑えた電着塗料を採用すると、鋼板一般面の平滑
性が低下し、これが中塗り塗面、ひいては上塗り塗面の
平滑性にまで悪影響を及ぼすという不具合があり、した
がって、かかる電着塗料の採用は外観品質の点で好まし
くなかった。さりとて、外観品質(平滑性)を重視して
フロー性を高めた電着塗料を採用しても、エッジ部にお
ける電着塗料の表面張力が低下するためエッジ部の防錆
性能を満足することはできなかった。
【0009】このように、外観品質とエッジ防錆を個々
に向上させ得る電着塗料が開発されているにも拘らず、
両目的を同時に達成することができる塗料は現在のとこ
ろ存在せず、結局、外観品質とエッジ耐食性とを両立さ
せた塗膜は現在の塗装技術では達成することができない
とするのが当業界における知見であった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】そこで、従来ではフロ
ー性を高めた電着塗料を用いて電着塗装を行った後に、
これを焼き付けて電着塗膜を形成し、その後、鋼板のエ
ッジ部にアミン急速硬化塗装を施してエッジ防錆を行っ
ていた。すなわち、図4および図5に示すように、鋼板
1に電着塗装を施すと鋼板面全体に未硬化塗料2が付着
するが(図5(A)参照)、これを焼き付けるとエッジ
部3における表面張力が低いことからエッジ部3が露出
した状態で電着塗膜2が形成されることになる(図5
(B)参照)。この露出したエッジ部3を被覆するため
に、アミン蒸気あるいはアミン霧化物を硬化触媒として
介在させながら、2液型ポリウレタン塗料をエッジ部3
に塗布し、室温で急速硬化させることによりエッジ部3
にポリウレタン塗膜4を形成していた(図5(C)参
照)。
【0011】かかるアミン急速硬化塗装を施す場合は、
エッジ防錆をポリウレタン塗膜のみで確保する必要性か
ら、35μm程度の厚膜塗装を行っていた。このため、
図5(C)に示すように塗布面周辺にアミン急速硬化塗
料4の塗料ミスト4aが付着して、これが上塗り塗膜形
成後においても消失せず、いわゆる「肌荒れ現象」が生
じるという問題があった。
【0012】本発明は、このような従来技術の問題点に
鑑みてなされたものであり、塗膜の平滑性を損なうこと
なく鋼板のエッジ部の耐食性を高めることを目的とす
る。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
の本発明は、プレス成形した鋼板により構成される自動
車車体に電着塗装を施した後、この車体の鋼板エッジ部
に急速硬化性塗料を塗布して乾燥させ、その後、電着塗
料を焼き付けることを特徴とする自動車車体の鋼板エッ
ジ部の防錆処理方法である。このとき、前記急速硬化性
塗料はポリオールとポリイソシアネートからなる2液型
ポリウレタン塗料を用い、この急速硬化性塗料を塗布す
るに際しアミン蒸気若しくはアミン霧化物を硬化触媒と
して介在させることが好ましい。
【0014】
【作用】まず、車体を構成する鋼板に前処理を施した後
に電着塗装を行う。ついで、この電着塗料が乾燥する前
に、いわゆるウェットオンウェットで鋼板のエッジ部に
急速硬化性塗料を塗布し、これを乾燥させる。最後に、
鋼板エッジ部に急速硬化性塗膜が形成された状態で電着
塗料を焼き付け電着塗膜を形成する。このように、電着
塗料を焼き付ける前に、表面張力の作用が大きくなる鋼
板エッジ部に急速硬化性塗膜を形成すると、その後の電
着塗料の焼き付け時に生じる電着塗料の熱フローを抑止
することができ、鋼板エッジ部に防錆塗膜を形成するこ
とが可能となる。また、この急速硬化性塗料を鋼板エッ
ジ部に塗布するにあたり周辺に飛散したオーバースプレ
ーミストは、電着塗料が未硬化状態であるため、その後
の電着塗料焼き付け時に消失することになり、上塗り塗
面に悪影響を与えることはない。しかも、鋼板エッジ部
に形成される防錆塗膜は、電着塗膜と急速硬化塗膜の2
つの防錆層から構成されることから、鋼板エッジ部に塗
布すべき急速硬化性塗料の膜厚を極力薄くすることがで
き、これによっても鋼板エッジ部周辺へのオーバースプ
レーを抑制することができる。
【0015】
【実施例】以下、本発明の一実施例を図面に基づいて説
明する。図1は本発明の一実施例に係る防錆処理方法を
示す工程図、図2は同実施例の塗膜形成過程を説明する
塗膜断面図であり、図2(A)は電着塗装後、図2
(B)はアミン急速硬化塗装後、図2(C)は電着塗料
焼き付け後をそれぞれ示している。
【0016】まず、本実施例の防錆処理方法では、冷間
圧延鋼板、レーザーダル鋼板、亜鉛メッキ鋼板などの鋼
板1に前処理を施し、約120℃で10分間乾燥して鋼
板表面にリン酸亜鉛皮膜を形成する。このリン酸亜鉛皮
膜が形成された鋼板1を電着槽に浸漬して所定の塗装条
件にて乾燥膜厚が15〜30μmの電着塗膜2を形成す
る(電着塗装工程5)。この電着塗料は焼き付け時の塗
膜溶融粘度を下げることによって電着塗料のフロー性を
高めたものである。
【0017】ついで、電着塗料が未硬化の状態で電着塗
面に付着した水分を除去するために水切り乾燥を行なう
(水切り乾燥工程6)。この水切り乾燥は約100℃の
加熱温度で約10分間行なうことが好ましい。なお、水
切り乾燥は、後述する溶剤系塗料である急速硬化性塗料
と水系塗料である電着塗膜との付着性を高める目的で行
われる処理であり、したがって、加熱乾燥にのみ限定さ
れることなく、例えばエアーブロー等によって未乾燥の
電着塗膜表面の水切り処理を行なうことも可能である。
【0018】さらに、未乾燥の状態である電着塗膜が形
成された鋼板エッジ部に急速硬化性塗料を塗布する(ア
ミン急速硬化塗装工程7)。この急速硬化性塗料は、活
性水素含有ポリマーおよび/またはオリゴマー(いわゆ
るポリオール)と、ポリイソシアネートを原料とする被
覆成分、すなわち一般的に2液型ポリウレタンと称され
る被覆組成物であり、この被覆組成物を塗布する際に、
アミンの蒸気あるいは霧化物を硬化触媒とするアミン触
媒硬化法を採用することにより、室温にて急速硬化させ
る。
【0019】本発明の防錆処理方法にて採用されるアミ
ン触媒硬化法には、蒸気アミン浸透硬化法(Vapor Perm
eation Cure 、以下、VPC法と称する)、蒸気アミン
噴霧硬化法(Vapor Injection Cure、以下、VIC法と
称する)、霧状アミン噴霧硬化法(Mist Injection Cur
e 、以下、MIC法と称する)などがある。VPC法
は、ポリオールとポリイソシアネートの混合液を被塗物
に塗布し、これをトリエチルアミン等のアミン触媒蒸気
を満した硬化室内に放置して塗料を急速硬化させる塗装
硬化方法である。また、VIC法は、塗料霧化用あるい
はパターン調整用の圧縮気体(例えば圧縮空気)に触媒
であるアミン蒸気を混入し、ポリオールとポリイソシア
ネートの混合液を通常の噴霧塗装機を用いて塗装し、急
速硬化させる塗料硬化方法である。 MIC法は、VI
C法と基本的に同じ塗料硬化方法であり、塗料霧化用あ
るいはパターン調整用の圧縮気体(例えば圧縮空気)に
触媒である霧状アミンを混入し、ポリオールとポリイソ
シアネートの混合液を通常の噴霧塗装機を用いて塗装
し、急速硬化させる塗料硬化方法である。
【0020】なお、これらの塗料硬化方法はVPC法お
よびVIC法については特開昭59−170153号公
報、特開昭60−257874号公報、特開昭61−4
37号公報、特開昭62−236816号公報、MIC
法については特開昭62−266,179号公報、特開
昭62−266,180号公報に詳述されており、本実
施例においてもこれらの方法を用いることができる。
【0021】本発明の防錆処理方法において用いられる
ウレタン系樹脂塗料は、従来のVPC法、VIC法、M
IC法などに用いられる全てのウレタン系樹脂塗料で良
く、これに用いられるイソシアネートの種類によって黄
変性ポリウレタンと無黄変性ポリウレタンに大別でき
る。黄変性ポリウレタンには、トルエンジイソシアネー
ト(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(M
DI)、などの芳香族系イソシアネートが用いられ、一
方、無黄変性ポリウレタンには、ヘキサメチレンジイソ
シアネート(HMDI)、イソホロンジイソシアネート
(IPDI)、水添MDI(HMDI)、などの脂肪族
ポリイソシアネートや脂環族ポリイソシアネートが用い
られる。
【0022】本発明に用いられるイソシアネートとして
は、一般的なポリウレタン塗料に使用されている全ての
イソシアネートを用いることができる。すなわち、芳香
族イソシアネート類、脂肪族イソシアネート類、脂環族
イソシアネート類、これらの2量体、3量体、あるいは
予めこれらとポリオール類とを反応させたプレポリマー
等を用いることができる。このうち、芳香族のイソシア
ネートは、脂肪族あるいは脂環族のイソシアネートに比
べて反応性が高いことから、芳香族イソシアネートを使
用することが好ましいといえる。ただし、VIC法にお
いては反応性が低い脂肪族あるいは脂環族のイソシアネ
ートを使用する場合でも、錫系触媒を用いれば、錫触
媒、特にメルカプト基で活性を抑制しアミン蒸気と接触
したときに活性になるため急速硬化性が現れるので効果
的である。
【0023】一方、本発明に用いられるポリオール化合
物は、一般的なポリウレタン塗料に使用されている全て
のポリオールを用いることができ、例えば、ポリエーテ
ルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリアクリル
ポリオール、ポリカーボネイトポリオール、エポキシ変
性ポリオール、ウレタン変性ポリオール等を例示するこ
とができる。
【0024】また、これらポリオールに対するイソシア
ネートの使用量については適用するポリオールの種類と
量、および適用するイソシアネートの種類によって一概
に限定されないが、NCO/OHの当量比を1/9〜2
/1、好ましくは、1/3〜1.5/1、さらに好まし
くは、1/2〜1.2/1が適当である。
【0025】なお、上述したイソシアネート成分および
ポリオール成分以外でも、形成塗膜の物性や密着性、塗
料の施工性を改善するために、他の樹脂成分や充填剤、
顔料、増粘剤、レベリング剤、カップリング剤、チクソ
トロピー性付与剤、その他、一般に塗料添加剤として知
られている種々の成分を適宜使用できる。また、使用す
る溶剤については特に限定されないが、急速硬化塗装の
速硬化性、速乾燥性を促進するために、極力速乾性の溶
剤を使用することが望ましいといえる。
【0026】このようにして鋼板エッジ部3に急速硬化
性塗料4を塗布した後に、室温で約10分間セッティン
グし、急速硬化性塗料を乾燥させる(セッティング工程
8)。このセッティング工程は急速硬化性塗膜4が鋼板
エッジ部3に形成されるに十分な乾燥時間を付与するも
のであり、したがって、セッティング温度やセッティン
グ時間等の諸条件は上述したものにのみ限定されること
はない。
【0027】このセッティングを終了すると、未乾燥で
ある電着塗料を焼き付け、鋼板1に電着塗膜2を形成す
る(焼き付け工程9)。
【0028】このように本発明の防錆処理方法によれ
ば、電着塗料2を焼き付ける前に、表面張力の作用が大
きくなる鋼板エッジ部3に急速硬化性塗膜4を形成して
いるため、その後の電着塗料の焼き付け時に生じる鋼板
エッジ部3における電着塗料の熱フローを抑止すること
ができる。したがって、鋼板エッジ部3に電着塗膜2と
急速硬化性塗膜4との2層からなる防錆塗膜を形成する
ことが可能となる。
【0029】また、この急速硬化性塗料4を鋼板エッジ
部3に塗布する際に、エッジ部3の周辺に飛散したオー
バースプレーミスト4aは、電着塗料2が未硬化状態で
あるため、その後の電着塗料焼き付け時に電着塗膜2内
に埋没して消失することになり、その後形成される上塗
り塗面に悪影響を与えることはない。
【0030】しかも、鋼板エッジ部3に形成される防錆
塗膜は、電着塗膜2と急速硬化塗膜4の2つの防錆層か
ら構成されることから、鋼板エッジ部3に塗布すべき急
速硬化性塗料の膜厚を極力薄くすることができ、これに
よっても鋼板エッジ部周辺へのオーバースプレーを抑制
することができる。
【0031】次に、本発明の防錆処理方法をさらに具体
化した実施例にて説明するが、以下の実施例は本発明を
具体化した一例であって本発明の技術的範囲を限定する
性格のものではない。
【0032】実施例1 冷間圧延鋼板(SPCC材)のエッジ部に、高さが10
0〜150μmのバリを形成した100×300mmの
テストピースを用い、このテストピースに化成処理剤と
してPBL−3020(日本パーカライジング(株)社
製、商品名)を用いて、化成処理量が2.5g/m2
なるような処理条件でリン酸亜鉛処理を施した。つい
で、電着塗料としてPTU−600(日本ペイント
(株)社製、商品名)を用いて、乾燥膜厚が20μmと
なるように電着塗装を施し、未乾燥の状態で120℃で
10分間の水切り乾燥を行った。アミン急速硬化塗料を
調合するにあたり、ポリオール成分としてエピクロン1
35−55BX(大日本インキ(株)社製、商品名、エ
ポキシポリオール、OH価が40)、イソシアネート成
分としてバーノックD−750(大日本インキ(株)社
製、商品名、TDI系イソシアネートプレポリマ、NC
O%が13%)、シンナーとしてMIBK/トルエン/
メチルセロソルブアセテートを重量比が2/2/1とな
るように調合したものを用い、これらポリオール、イソ
シアネート、およびシンナーを固形分(NV)が30
%、NCO/OHのモル比が0.7となるように混合し
た。このアミン急速硬化塗料を、ジメチルエタノールア
ミン濃度が0.5体積%のスプレー霧化用圧搾空気を介
在させながらVIC塗装法により、乾燥膜厚が15μm
となるようにテストピースのエッジ部に塗布し、室温で
10分間セッティングを行った。最後に、このテストピ
ースを170℃で20分間焼き付け、電着塗膜を形成し
た。このようにして得られたテストピースの耐食性能評
価およびアミン急速硬化塗料のミスト部分の外観評価を
行なった。なお、耐食性能評価は72hr,480h
r,1200hrの塩水噴霧試験を行い、ミスト部分の
外観評価は目視評価により行った。この結果を表1に示
す。
【0033】実施例2 実施例1におけるポリオール成分に顔料として沈降性硫
酸バリウム、カーボンブラックを混入し、PWCが50
%となるように塗料調合した以外は実施例1と同様にし
てテストピースを作製した。このテストピースを基に耐
食性能評価およびミスト部分の外観評価を行った結果を
表1に示す。
【0034】実施例3 実施例1におけるポリオール成分としてエポキーEP−
380(三井東圧(株)社製、商品名、OH価が21
0、エポキシ系ポリオール)、イソシアネート成分とし
てオレスターP45−75MT(三井東圧(株)社製、
商品名、NCOが6.5%、TDI系イソシアネートプ
レポリマ)をそれぞれ用いた以外は実施例1と同様にし
てテストピースを作製した。このテストピースを基に耐
食性能評価およびミスト部分の外観評価を行った結果を
表1に示す。
【0035】実施例4 実施例1におけるポリオール成分としてアクリディック
52−6660(大日本インキ(株)社製、商品名、O
H価が75、アクリル系ポリオール)、イソシアネート
成分としてバーノックDN−955(大日本インキ
(株)社製、商品名、NCOが6.0%、HMDI系イ
ソシアネートプレポリマ)をそれぞれ用い、これに錫系
触媒として、エチレンビス(3−メルカプトプロピオネ
ート)でブロックしたジブチル錫ジラウレートを0.0
5重量%添加した以外は実施例1と同様にしてテストピ
ースを作製した。このテストピースを基に耐食性能評価
およびミスト部分の外観評価を行った結果を表1に示
す。
【0036】実施例5 実施例1におけるポリオール成分としてエポキーEP−
380(三井東圧(株)社製、商品名、OH価が21
0、エポキシ系ポリオール)、イソシアネート成分とし
てオレスターP45−75MT(三井東圧(株)社製、
商品名、NCOが6.5%、TDI系イソシアネートプ
レポリマ)をそれぞれ用い、乾燥膜厚が10μmとなる
ように通常のエアースプレー塗装を行い、これをトリメ
チルアミン濃度が2.0%の窒素気流中に30秒放置後
(VPC塗装法)、室温空気中で10分間セッティング
し、その後140℃で20分間焼き付けることによりテ
ストピースを作製した。このテストピースを基に耐食性
能評価およびミスト部分の外観評価を行った結果を表1
に示す。
【0037】実施例6 実施例3におけるVIC法をMIC法に変更した以外は
実施例3と同様にしてテストピースを作製した。このテ
ストピースを基に耐食性能評価およびミスト部分の外観
評価を行った結果を表1に示す。
【0038】比較例1 実施例1において電着塗料の焼き付けをアミン急速硬化
塗料の塗布前に行った以外は、実施例1と同様にしてテ
ストピースを作製した。このテストピースを基に耐食性
能評価およびミスト部分の外観評価を行った結果を表1
に示す。
【0039】比較例2 実施例1におけるアミン急速硬化塗料のVIC塗装法の
代りに通常のエアースプレー塗装を行い、乾燥膜厚を5
0μmとした以外は実施例1と同様にしてテストピース
を作製した。このテストピースを基に耐食性能評価およ
びミスト部分の外観評価を行った結果を表1に示す。
【0040】比較例3 比較例1の電着塗装膜厚を35μmとした以外は比較例
1と同様にしてテストピースを作製した。このテストピ
ースを基に耐食性能評価およびミスト部分の外観評価を
行った結果を表1に示す。
【0041】
【表1】
【0042】この結果からも明らかなように、従来の防
錆処理方法に比べて本発明の防錆処理方法は、外観品質
を損なうことなく鋼板エッジ部の耐食性能を高めること
ができた。
【0043】
【発明の効果】以上述べたように本発明の防錆処理方法
は、プレス成形した鋼板により構成される自動車車体に
電着塗装を施した後、この車体の鋼板エッジ部に急速硬
化性塗料を塗布して乾燥させ、その後、前記電着塗料を
焼き付けることを特徴としており、また、前記急速硬化
性塗料はポリオールとポリイソシアネートからなる2液
型ポリウレタン塗料であって、この急速硬化性塗料を塗
布するに際しアミン蒸気若しくはアミン霧化物を硬化触
媒として介在させているため、急速硬化性塗料のオーバ
ースプレーミストによる塗膜の平滑性の低下を抑止する
ことができると同時に、鋼板エッジ部の耐食性を高める
ことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明の一実施例に係る防錆処理方法を
示す工程図である。
【図2】図2は同実施例の塗膜形成過程を説明する塗膜
断面図であり、図2(A)は電着塗装、図2(B)はア
ミン急速硬化塗装後、図2(C)は電着塗料焼き付け後
をそれぞれ示す。
【図3】図3は従来の自動車組立工程を示す工程図であ
る。
【図4】図4は従来の防錆処理方法を示す工程図であ
る。
【図5】図5は従来の防錆処理方法による塗膜形成過程
を示す塗膜断面図である。
【符号の説明】
1…鋼板、 2…電着塗膜、 3…鋼板エッジ部、 4…急速硬化性塗膜、 4a…急速硬化性塗料のオーバースプレーミスト。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 雲野 恒弘 東京都中央区日本橋1丁目15番1号 日本 パーカライジング株式会社内 (72)発明者 高梨 裕幸 東京都中央区日本橋1丁目15番1号 日本 パーカライジング株式会社内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】プレス成形した鋼板により構成される自動
    車車体に電着塗装を施した後、この車体の鋼板エッジ部
    に急速硬化性塗料を塗布して乾燥させ、その後、前記電
    着塗料を焼き付けることを特徴とする自動車車体の鋼板
    エッジ部の防錆処理方法。
  2. 【請求項2】前記急速硬化性塗料はポリオールとポリイ
    ソシアネートからなる2液型ポリウレタン塗料であっ
    て、この急速硬化性塗料を塗布するに際しアミン蒸気若
    しくはアミン霧化物を硬化触媒として介在させることを
    特徴とする請求項1記載の自動車車体の鋼板エッジ部の
    防錆処理方法。
JP2492092A 1992-02-12 1992-02-12 自動車車体の鋼板エッジ部の防錆処理方法 Pending JPH05220446A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009095704A (ja) * 2007-10-15 2009-05-07 Hitachi Metals Ltd 車両用ホイールの塗装方法

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JP2009095704A (ja) * 2007-10-15 2009-05-07 Hitachi Metals Ltd 車両用ホイールの塗装方法

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