JPH05219966A - カテコールの製造法 - Google Patents

カテコールの製造法

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JPH05219966A
JPH05219966A JP2537392A JP2537392A JPH05219966A JP H05219966 A JPH05219966 A JP H05219966A JP 2537392 A JP2537392 A JP 2537392A JP 2537392 A JP2537392 A JP 2537392A JP H05219966 A JPH05219966 A JP H05219966A
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JP
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catechol
benzene
strain
culture
rhodococcus
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JP2537392A
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English (en)
Inventor
Mayumi Tsujiki
真由美 辻木
Yasushi Aoki
裕史 青木
Yuuko Wanaki
優子 和南城
Satoshi Tsuzuki
敏 続木
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Resonac Holdings Corp
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Showa Denko KK
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 ロドコッカス属に属し、ベンゼンを酸化して
カテコールを生成する能力を有する微生物をベンゼンを
含有する培地中で培養し、又は菌体をベンゼンを含有す
る溶液に懸濁して反応させて、培養液又は反応液中にカ
テコールを蓄積せしめこれを採取することを特徴とする
カテコールの製造法。 【効果】 ベンゼンより微生物を使用してカテコールを
効率良く安全に製造することが可能である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は合成樹脂の重合防止剤・
医薬品等の合成原料、酸化防止剤等に幅広く利用されて
いるカテコールの製造法に関し、微生物を用いたベンゼ
ンよりの製造手段に関する。
【0002】
【従来の技術】カテコールの工業的製造は、従来、フェ
ノ−ルを原料として過酸化水素等の酸化剤を用いて化学
的に酸化する方法により行なわれてきた。近年、ベンゼ
ンを原料として、微生物によってカテコールを製造しよ
うとする試みが成されている。例えば、特開昭59−1
96096にはシュ−ドモナス属の菌株を用いてカテコ
ールを製造する方法が示されている。同様に、特開昭6
1−149081、特開昭62−228276、特開昭
62−289674、特開昭63−24882、特開昭
63−24891にも同属菌株或いはそれ由来の遺伝子
を用いた方法が示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は安全か
つ安価に、高収率・高選択性をもってベンゼンからカテ
コールを製造することにある。従来からの工業的製造方
法である化学合成では、フェノールの酸化に用いる過酸
化物の取扱に爆発などの危険が伴い、製造に特殊な技術
と安全対策が要求される。また、合成途上でハイドロキ
ノン等の副産物が生成し、カテコールの収率を下げる要
因となっている。本発明による微生物を用いた製造方法
では、常温・常圧の条件下での安全な、副成物の極めて
少ない高収率の製造が可能である。また、従来から提起
されている微生物によるカテコールの製造方法では、用
いられる菌株はシュードモナス属のものであるが、本発
明者らの知見によればこれらの方法では生成するカテコ
ールの量は工業的に必ずしも十分とは言えない。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記問題点
を解決するために検討を重ねた結果、ロドコッカス属に
属する微生物を用いることにより効果的にベンゼンから
カテコールを製造できることを見出し、本発明を完成す
るに至った。即ち、本発明によればロドコッカス属に属
しベンゼンを酸化してカテコールを生成する能力を有す
る微生物をベンゼンを含有する培地中で培養し、培養液
中にカテコールを蓄積せしめこれを採取することを特徴
とするカテコールの製造法及びロドコッカス属に属し、
ベンゼンを酸化してカテコールを生成する能力を有する
微生物を培養し、得られた菌体をベンゼンを含有する溶
液に懸濁して反応させて液中にカテコールを蓄積せし
め、これを採取することを特徴とするカテコールの製造
法が提供される。
【0005】本発明で使用されるロドコッカス属の微生
物としては、例えば、東京都大田区の土壌よりベンゼン
を唯一の炭素源及びエネルギ−源とする培地を用いて分
離されたロドコッカスSD801株等が挙げられる。そ
の菌学的性質は下記のとおりである。尚、本菌株の同定
は「バ−ジェイズ マニュアル オブ システマティッ
ク バクテリオロジー」及び「放線菌の同定実験法」
(日本放線菌研究会編)に基づいて成された。
【0006】ロドコッカスSD801株菌学的性質 細胞の形態 :多形性桿菌、桿形−球形のサイク
ルを有する。 細胞の大きさ :長径1.2〜15μm、短径1.
2〜1.5μm グラム染色性 :陽性 芽胞 :形成しない 運動性 :なし オキシダーゼ :陰性 カタラーゼ :陽性 集落の色調* :オレンジ色 集落の形態* :円形、均一で盛り上がる。光沢あ
り。湿潤。 集落の大きさ* :径1.5mm 酸素に対する態度 :好気的 細胞壁のジアミノ酸:メソジアミノピメリン酸 グリコリル試験 :陽性(グリコリル型) 細胞壁の糖組成 :アラビノース及びガラクトース;
陽性 キノン系 :MK−8(H2 ) チロシン分解 :陽性 尿素分解 :陰性 0.02%アジ化ナトリウム存在下の生育:陰性 40℃での生育 :陽性 5%塩化ナトリウム存在下の生育:陽性 0.3%フェニルエチルアルコール存在下の生育:陽性 炭素化合物の資化性: 資化しない;イノシトール、マルトース。 資化する;マンニトール、ソルビトール、メタヒドロキ
シ安息香酸、安息香酸ナトリウム、クエン酸ナトリウ
ム、乳酸ナトリウム、アセトアミド、ピルビン酸ナトリ
ウム、エタノ−ル、ベンゼン。 (*:0.8%ニュートリエント寒天平板培地、35
℃、3日間培養)
【0007】本菌株はオレンジ色のバクテリア様集落を
形成すること、細胞が多形性を有すること、グラム染色
性が陽性であること、好気的であること等から判断して
ロドコッカス属に属するものと推定された。更に、集落
の形態、色調が特異的なこと、チロシンの分解性が陽性
であること、イノシトールを資化しないこと、メタヒド
ロキシ安息香酸を資化すること、安息香酸を資化するこ
と、クエン酸を資化すること、チロシンを分解するこ
と、尿素を分解しないこと、主たるメナキノンがMK−
8タイプであることなどから、ロドコッカス・ロドクロ
スであると推定された。しかしながら、マルト−スを資
化しないこと、ベンゼンを資化することにおいて、本菌
株は既知のロドコッカス・ロドクロスとは異なるもので
ある。以上の菌学的検討の結果、本発明で用いられる微
生物はロドコッカス・ロドクロスの新菌株であると結論
された。そこで本菌株はロドコッカスSD801株と命
名され、工業技術院微生物工業研究所に微工研菌寄第1
2708号として寄託されている。
【0008】本発明はロドコッカスSD801株の突然
変異株のうち、カテコール生産性の増大したものを用い
て行なうこともできる。このような突然変異株は、例え
ば、ベンゼンに対する耐性の向上した変異株、カテコー
ルに対する耐性の向上した変異株、カテコールを分解し
なくなったカテコール非資化性変異株、カテコール生成
に係わるベンゼンジオキシゲナ−ゼとジヒドロカテコー
ルデヒドロゲナ−ゼのうち1種又は両方の高生産性変異
株などである。突然変異株の取得方法としては、通常、
対数増殖期後期の菌体、例えば、ロドコッカスSD80
1株を1%ペプトンなどの栄養培地で35℃で6〜10
時間程度培養したもの等を使用して変異誘起処理すれば
よい。変異源としてはN−メチル−N’−ニトロ−N−
ニトロソグアニジン(NTG)等のアルキル化剤、5−
ブロモウラシル(5BU)等の塩基アナログ、ジメチル
アミノベンゼンジアゾスルホン酸ナトリウム(DAP
A)、アザセリンやアクリジンオレンジなど一般に知ら
れる変異誘起化合物や紫外線が用いられる。DAPAの
場合は栄養源存在下で増殖させながら、また他の変異誘
起化合物や紫外線の場合には集菌後に生理食塩水やリン
酸緩衝液等に再懸濁して処理を行なう。ベンゼン或いは
カテコールに対する耐性の向上した変異株はいわゆる集
積培養によって濃縮することができる。即ち、変異誘起
処理後の菌体をロドコッカスSD801株がよく生育で
きない濃度、夫々10g/l以上のベンゼン或いはカテ
コールを含む栄養培地で数時間培養する。これを繰り返
すことによってベンゼン或いはカテコールに対する耐性
の向上した株を高頻度で得ることができる。
【0009】変異誘起処理後の菌体に、いわゆるペニシ
リンスクリーニングを行なうことによってカテコールの
非資化性株を濃縮することができる。本発明の場合に
は、ロドコッSD801株の生育できない、10μg/
ml程度の濃度のペニシリン存在下、カテコールを唯一
の炭素源とする培地中で菌体を数時間培養することによ
って行なう。但し、この操作は省略しても良い。変異誘
起処理後或いは濃縮後の菌体からの非資化性変異株の選
抜はレプリカ法によって行なう。即ち、一度ニュートリ
エント寒天等の栄養平板培地に全ての菌をプレ−ティン
グして培養して独立したコロニーを形成させてから、こ
れをカテコールを唯一の炭素源とする寒天平板培地に滅
菌したビロ−ド布等を用いてレプリカして培養する。生
じたコロニーを栄養培地に生じたコロニーと比較して、
栄養培地にのみ生育するコロニーを釣菌する。こうして
得られたカテコール非資化性変異株群の中に極めて高頻
度で求めるカテコール高生産株を見出すことができる。
【0010】カテコール生成に係わる酵素の高生産変異
株は変異誘起処理後の菌体をベンゼンを唯一の炭素源と
する培地を用いて数時間づつ繰り返し培養して濃縮す
る。濃縮操作後の菌を単コロニー分離し、ベンゼンを唯
一の炭素源とする培地で親株よりも生育速度の早いもの
を探すことにより該酵素の高生産変異株を得ることがで
きる。これら人工突然変異によるカテコール生産性に関
する特性の付与は各々単一でも効果があるが、これらを
組み合わせ、複合した特性を有する変異株を得ることに
よって著しい生産性の向上を見ることも可能である。本
発明は遺伝子操作によって育種されるカテコール高生産
株を用いて行なうこともできる。このような遺伝子操作
株は一般的に知られる手法によりベンゼンからカテコー
ルの生成に関わるベンゼンジオキシゲナーゼおよびジヒ
ドロカテコールデヒドロゲナーゼをコードする遺伝子を
菌体内に増幅することによって得られる。
【0011】本発明における微生物の培養は、カテコー
ル非資化性変異株を用いる場合を除き、ベンゼンを単独
の炭素源として用いることができる。この時培地へのベ
ンゼンの添加濃度はベンゼンに対する耐性の向上した変
異株では1〜20g/l、好ましくは1〜10g/lで
行なう。その他の株では1〜5g/l、好ましくは1〜
2g/lである。1g/lを下回る濃度では生育及びカ
テコール生成速度が遅く、上限を上回る範囲では生育に
強い阻害が見られる。本発明における培養はベンゼンに
加え他の炭素源を補って行うこともできる。この時の炭
素源としてはベンゼンの他に、例えば、グルコースやシ
ュクロース、フルクト−スなどの糖類、エタノール又は
酢酸、クエン酸、コハク酸、乳酸、安息香酸などの有機
酸類又はそのアルカリ金属などの塩が用いられる。ま
た、例えば、ペプトン、肉エキス、かつおエキス、大豆
かす、ふすまなどの天然有機炭素源を使用することもで
きる。更に、同菌株が資化し生育できる炭素化合物なら
ばいずれでも使用可能である。これら炭素源は単独で或
いは組合わせて、通常各々1〜100g/l程度の濃度
で培地に添加される。トルエン、エチルベンゼン、メタ
ノール、マルトース、デンプンは同菌株が資化すること
ができず用いることができない。補助炭素源を用いる場
合でもベンゼンの添加量はベンゼンを唯一の炭素源とす
る場合と同様である。
【0012】培養時には菌の増殖に伴いベンゼンからカ
テコールが生成し蓄積する。培養開始時に低い濃度でベ
ンゼンを添加し、培養終了以前にベンゼンがすべて消費
された場合には、途中から更に前記濃度範囲のベンゼン
を添加しても良い。また、培養の増殖期にはベンゼンを
炭素源として用いず、培養途中で菌の生育が定常期に入
ってから反応基質としてベンゼンを添加することもでき
る。この場合にも、培養定常期までは上記炭素源のいず
れかを用いる。用いる菌株がカテコール非資化性変異株
の場合には、カテコールと同様ベンゼンをも資化するこ
とができないのでこの方法でのみ培養を行なう。いずれ
の場合にも、ベンゼンの添加濃度は増殖期から添加する
場合よりも高くすることができ、ベンゼンに対する耐性
の向上した変異株では1〜50g/l、好ましくは1〜
20g/lで行なう。それ以外の株では1〜5g/lが
適当である。いずれも1g/l以下ではカテコール生成
速度が遅い。
【0013】培養の窒素源としては、例えば、硫酸アン
モニウム、リン酸アンモニウム等のアンモニウム塩、硝
酸ナトリウム、硝酸カリウム等の硝酸塩などの無機窒素
源、ペプトン、肉エキス、コーンスティープリカーなど
の有機窒素源を使用することができる。無機窒素源は
0.1〜10g/l、有機窒素源は1〜100g/l程
度の濃度で培地に添加される。尿素は同菌株が分解する
ことができず用いることができない。更に必要に応じ
て、リン酸水素2カリウム等のリン酸塩、硫酸マグネシ
ウム、硫酸第1鉄、酢酸カルシウム、塩化マンガン、硫
酸銅、硫酸亜鉛、硫酸コバルト、硫酸ニッケルなどの金
属塩やホウ酸が菌の生育改善のために添加される。添加
濃度は培養条件によって異なるが、通常、リン酸塩にお
いては0.5〜50g/l、マグネシウム塩においては
0.1〜5g/l、他の化合物では0.1〜100mg
/lの範囲である。また、選択する培地によりビタミ
ン、アミノ酸、核酸塩基の供給源としてそれぞれ酵母エ
キス、カザミノ酸、酵母核酸を10〜500mg/l添
加し、より生育速度を増大させて安定した培養を行なう
ことができる。
【0014】培養は通常好気的条件下、20〜41℃の
温度範囲、好ましくは30〜37℃の温度範囲で行なわ
れる。ロドコッカスSD801株を用いる場合には、2
0℃以下でも菌は生育するが生育速度が極めて遅く好ま
しくない。また、42℃以上の温度では菌は殆ど生育し
ない。培養時間は培地組成、培養条件によって異なる
が、通常1〜5日間で行なわれる。培養時のpHは6〜
8.5の範囲、好ましくは7〜8の範囲で行なわれる。
6未満或いは9以上のpHでは菌の生育が不良となる。
培地組成により培養中のpHは次第に低下或いは上昇す
るが、この場合には塩酸や硫酸、水酸化ナトリウムを逐
次添加して上記範囲内にpHを調整することが好まし
い。
【0015】本発明におけるカテコールの製造は上記の
ごとくベンゼンを含む培地で培養した菌体或いは全くベ
ンゼンを含まぬ培地で培養した菌体を培養液から分離
し、ベンゼンを含む緩衝液等に再懸濁して反応させる、
いわゆるレスティング・セル・サスペンジョン法によっ
ても可能である。培養した菌体は遠心分離やメンブレン
フィルター濾過などの方法によって集めることができ
る。これに、例えば、リン酸、酢酸、ホウ酸やトリス
(ヒドロキシメチル)アミノメタンなどとその塩を混合
した緩衝液又は水を加えて懸濁する。緩衝液の濃度は1
0〜200mM程度で行なう。200mMを越す濃度の
緩衝液中では反応に阻害が起こる。反応時の溶液のpH
は培養時のpHと同じく6〜8.5の範囲が適当であ
る。菌体懸濁液に加える基質のベンゼン濃度はベンゼン
に対する耐性の向上した株で1〜50g/l、好ましく
は1〜20g/lの濃度で行なう。その他の株では1〜
5g/lが適当である。反応は好気的条件下、培養時と
同様の温度、pH、時間で行なう。用いた緩衝液の濃
度、種類によっては反応中にpHが変動するが、培養時
と同様にしてpHのコントロールを行なうことが好まし
い。緩衝液の濃度が高ければ酸やアルカリの添加は殆ど
必要ないが、水中で反応させた場合には少量の酸または
アルカリが必要となる。
【0016】培養液又は反応液からのカテコールの分離
・精製は有機溶媒による抽出等によって行なう。用いる
有機溶媒はカテコールを効率よく抽出出来るものならば
任意でよく、例えば、酢酸エチル等のエステル類、ジエ
チルエーテル等のエーテル類が使用できる。ノルマルヘ
キサン等のパラフィン類はカテコールの抽出率が低く適
当でない。用いる有機溶媒の量は種類によって異なる
が、培養液・反応液の1/10から等量程度が適当であ
る。抽出前に培養液・反応液に塩酸などの酸を添加し溶
液のpHを2程度に下げておくことによって抽出をより
高効率にすることもできる。抽出操作後に水層を分液除
去して有機層の溶媒を留去することによってカテコール
粗結晶が得られる。更にこの粗結晶を水酸化ナトリウム
溶液等のアルカリ溶液に溶解し、有機溶媒による抽出と
分液、溶媒留去を繰り返すことによって純度の高いカテ
コールを得ることができる。
【0017】本発明におけるカテコールの検出および定
量は高速液体クロマトグラフィーによって行なう。即
ち、オクタデシル基を有したシリカゲルパックドカラム
などを固定相に用い、水とメタノール或いは水とアセト
ニトリルの混合物にリン酸等の酸を添加したものを移動
相とする一般的な逆相クロマトグラフィーによって分析
が可能である。検出は紫外部分光検出器によって波長2
50nm付近で行なう。
【0018】
【実施例】以下に代表的な実施例を示し本発明の具体的
な説明を行なうが、これらの実施例は本発明の範囲を限
定するものではない。 実施例1 表1に示す培地100mlを調製後500ml容の三
角フラスコに入れ、121℃、20分のオートクレーブ
滅菌を行い、予め1%ペプトン寒天培地(pH7)で前
培養しておいたロドコッカスSD801株を1白金耳量
植菌した。フラスコに100mgのベンゼンを添加し、
シリコン栓で密栓後35℃で2日間振盪培養した。培養
終了後、培養液に濃塩酸1mlおよび酢酸エチル100
mlを加えて有機溶媒可溶性成分を抽出し、有機層を分
離後その一部を下記に示す条件で高速液体クロマトグラ
フィーにより分析した結果、標品カテコールと一致する
ピ−クが認められた。 カラム:Shodex ODSpakF411又はRS
pakDS−613 移動相:水:アセトニトリル(30:70)、50mM
リン酸 送液 :1ml/min.、 カラム温度:35℃、 検出方法:UV吸収波長254nm 次に、抽出した有機層の一部を下記に示す条件でガスク
ロマトグラフィーにより分析した結果、メインのピーク
の保持時間が標品カテコールと一致した。 カラム:5%フェニルメチルシリコン 移動相:ヘリウム(30ml/min.)、 昇温:150〜250℃、5℃/min. 気化室温度:270℃、 検出方法:FID 更に、抽出した有機層の一部をGCマススペクトログラ
フィーにより分析した結果、上記ガスクロマトグラフィ
ーで見られたメインのピークに分子量110の分子イオ
ンピ−クが認められ、その分解パターンは標品カテコー
ルと完全に一致した。以上の分析結果より生成したカテ
コール濃度は0.55mg/mlと計算された。
【0019】実施例2 表1の培地の成分のうちエタノールを除く各成分を5
00ml容フラスコに100ml入れ、121℃、20
分間のオートクレーブ滅菌を行なった。これにエタノー
ルを所定濃度になるように添加し、予め1%ペプトン寒
天培地(pH7)で前培養しておいたロドコッカスSD
801株を1白金耳量植菌した。フラスコに100mg
のベンゼンを添加してシリコン栓で密栓後35℃で2日
間振盪培養した。培養終了後実施例1と全く同様にして
抽出し定量を行なった結果、培養液中に生成したカテコ
ール濃度は0.89mg/mlであった。
【0020】実施例3 表1の培地の成分のうちエタノールを除く各成分を綿
栓付き500ml容フラスコに100ml入れ、121
℃、20分間のオートクレーブ滅菌を行なった。これに
エタノールを所定濃度になるように添加し、予め1%ペ
プトン寒天培地(pH7)で前培養しておいたロドコッ
カスSD801株を1白金耳量植菌し、35℃で1日間
振盪培養した後、この培養液にベンゼン200mgを添
加し、6規定水酸化ナトリウム溶液を用いてpHを8.
0に調整後、シリコン栓で密栓し35℃でさらに1日間
培養した。培養終了後、実施例1と全く同様にして抽出
し定量を行なった結果、培養液中に生成したカテコール
濃度は2.03mg/mlであった。
【0021】実施例4 表1の培地の成分のうちエタノールを除く各成分を綿
栓付き500ml容フラスコに100ml入れ、121
℃、20分間のオートクレーブ滅菌を行なった。これに
エタノールを所定濃度になるように添加し、予め1%ペ
プトン寒天培地(pH7)で前培養しておいたロドコッ
カスSD801株を1白金耳量植菌し、35℃で1日間
振盪培養した後、この培養液から菌体を10,000
G、20分の遠心分離により集菌し、pH8.0に調製
した100mMリン酸緩衝液100mlに懸濁した。こ
れを500ml容三角フラスコに移した後、200mg
のベンゼンを添加して、シリコン栓で密栓後35℃で1
6時間振盪した。反応液に濃塩酸1mlおよび酢酸エチ
ル100mlを加えて有機溶媒可溶性成分を抽出し、実
施例1と同様にして分析した結果、反応液中に生成した
カテコール濃度は2.26mg/mlであった。
【0022】実施例5 予め1%ペプトン寒天培地(pH7)で前培養しておい
たロドコッカスSD801株をモルトン栓付き試験管に
入れた1%ペプトン5mlに1白金耳量植菌し、35℃
で6時間振盪培養した後、菌体を遠心分離によって集め
て生理食塩水5mlに懸濁した。35℃で1時間振盪後
集菌し、再び同量の生理食塩水に懸濁した。これに濃度
0.1mg/mlとなるようにNTGを添加し、35℃
で10分間振盪した。変異誘起処理した菌体を遠心分離
と生理食塩水への懸濁の繰り返しによって洗浄後、10
mg/mlのベンゼンを含む1%ペプトン5mlを入れ
た試験管に移し、シリコン栓で密栓後35℃で24時間
振盪培養した。これを集菌してベンゼンを含まぬ1%ペ
プトン5mlに懸濁し35℃で24時間振盪培養したと
ころ培養液に濁度の上昇が認められた。この菌体を遠心
分離によって集め、再び10mg/mlのベンゼンを含
む1%ペプトン5mlに懸濁し35℃で12時間振盪培
養した。培養液の濁度の上昇を確認後生理食塩水で適宜
希釈して1%ペプトン寒天平板培地にプレ−ティングし
35℃で2日間培養した。この平板培地に生じたコロニ
ーのうち10コロニーを釣菌し、各々を10mg/ml
のベンゼンを含む1%ペプトン5mlに植菌した。35
℃で6時間培養したところ10株のうち8株の培養液に
濁度の上昇が見られた。このとき同条件で培養した親株
には濁度上昇は見られず、この8株はベンゼンに対する
耐性の向上した変異株であると判断された。次に、この
変異株のうち最も濁度の上昇した1株の1白金耳量を綿
栓付き500ml容三角フラスコに入れた表1に示す培
地20mlに植菌し、35℃で1日間振盪培養した
後、この培養液にベンゼン200mgを添加し、6規定
水酸化ナトリウム溶液を用いてpHを8.0に調整後シ
リコン栓で密栓し35℃で更に2日間培養した。培養終
了後培養液に濃塩酸0.2mlおよび酢酸エチル20m
lを加えて抽出し、実施例1と同様に分析を行なった結
果、培養液中に生成したカテコール濃度は8.62mg
/mlであった。
【0023】実施例6 実施例5で用いたベンゼンに対する耐性の向上した変異
株を1%ペプトン寒天培地(pH7)で前培養し、モル
トン栓付き試験管に入れた1%ペプトン5mlに1白金
耳量植菌して35℃で6時間振盪培養した。菌体を遠心
分離によって集め、実施例5と全く同様にしてNTGに
よる変異誘起処理を行なった。変異誘起処理した菌体を
実施例5と同様にして集菌、洗浄した後モルトン栓付き
試験管に入れた表1の培地5mlに移した。これにカ
テコール非資化性変異株の濃縮のためアンピシリンを濃
度10μg/mlとなるように添加して35℃で3時間
振盪培養した。集菌、洗浄後、同一培地に再び懸濁しア
ンピシリン処理を繰り返した。濃縮処理後菌体を集菌、
洗浄し、生理食塩水に懸濁し、更に適宜希釈して1%ペ
プトン寒天平板培地にプレーティングした。35℃で2
日間培養後滅菌したビロード布を用いて第1表に示す
組成に15mg/mlの寒天を加えて作成した平板培地
にレプリカした。レプリカした平板を35℃で5日間培
養後、冷蔵保存しておいた元のペプトン平板と並べて比
較し、後者には存在するが前者には生じていないコロニ
ーを探した。レプリカした約3万コロニーのうち、求め
るコロニーは4個得られた。得られたカテコール非資化
性株4株を1%ペプトン寒天平板培地に植え継ぎ、35
℃で2日間培養後モルトン栓付き試験管に入れた表1の
培地5mlに各々1白金耳量植菌して35℃で120
時間振盪培養した。いずれの菌株も親株に比べ生育が著
しく不良であった。培養終了後各々の培養液の一部を高
速液体クロマトグラフィー分析した結果、4株のうち1
株でカテコールが全く分解されていないことがわかっ
た。この株はカテコール分解酵素を欠損したカテコール
非資化性変異株であると判断された。次に、この変異株
の1白金耳量を綿栓付き500ml容三角フラスコに入
れた表1の培地20mlに植菌し35℃で1日間振盪
培養した後、この培養液にベンゼン200mgを添加
し、6規定水酸化ナトリウム溶液を用いてpHを8.0
に調整後、シリコン栓で密栓し35℃でさらに2日間培
養した。培養終了後培養液に濃塩酸0.2mlお呼び酢
酸エチル20mlを加え抽出し、実施例1と同様にして
分析を行なった結果、培養液中に生成したカテコール濃
度は14.1mg/mlであった。
【0024】
【発明の効果】本発明によりロドコッカス属に属し、ベ
ンゼンを酸化してカテコールを生成する能力を有する微
生物を使用してカテコールを効率良く安全に製造するこ
とが可能である。
【0025】
【表1】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 続木 敏 東京都大田区多摩川2丁目24番25号 昭和 電工株式会社生化学研究所内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ロドコッカス属に属し、ベンゼンを酸化
    してカテコールを生成する能力を有する微生物をベンゼ
    ンを含有する培地中で培養し、培養液中にカテコールを
    蓄積せしめこれを採取することを特徴とするカテコール
    の製造法。
  2. 【請求項2】 ロドコッカス属に属し、ベンゼンを酸化
    してカテコールを生成する能力を有する微生物を培養
    し、得られた菌体をベンゼンを含有する溶液に懸濁して
    反応させて液中にカテコールを蓄積せしめ、これを採取
    することを特徴とするカテコールの製造法。
  3. 【請求項3】 用いる菌株がロドコッカス SD801
    株またはその突然変異株である請求項1または2記載の
    カテコールの製造法。
  4. 【請求項4】 ロドコッカス SD801株。
JP2537392A 1992-02-12 1992-02-12 カテコールの製造法 Pending JPH05219966A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100377447B1 (ko) * 1995-12-29 2003-06-09 삼성종합화학주식회사 2,3-디히드로-2,2-디메틸-7-벤조푸란올과 카테콜의 혼합물로부터카텔콜을선택적으로분리하는방법

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Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100377447B1 (ko) * 1995-12-29 2003-06-09 삼성종합화학주식회사 2,3-디히드로-2,2-디메틸-7-벤조푸란올과 카테콜의 혼합물로부터카텔콜을선택적으로분리하는방법

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