JPH05219944A - 微生物及びヒドロキシフェニルアルキルカルボン酸の製造方法 - Google Patents

微生物及びヒドロキシフェニルアルキルカルボン酸の製造方法

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JPH05219944A
JPH05219944A JP5979592A JP5979592A JPH05219944A JP H05219944 A JPH05219944 A JP H05219944A JP 5979592 A JP5979592 A JP 5979592A JP 5979592 A JP5979592 A JP 5979592A JP H05219944 A JPH05219944 A JP H05219944A
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acid
culture
hydroxyphenylalkylcarboxylic
microorganism
alkylphenols
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JP5979592A
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Takaya Suzuki
貴也 鈴木
Kikuo Watanabe
喜久男 渡辺
Toru Tanaka
徹 田中
Shinya Miyaji
伸也 宮地
Yasushi Hotta
康司 堀田
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SEKIYU SANGYO KASSEIKA CENTER
Cosmo Oil Co Ltd
Japan Petroleum Energy Center JPEC
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SEKIYU SANGYO KASSEIKA CENTER
Cosmo Oil Co Ltd
Petroleum Energy Center PEC
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】一定の特質を有する微生物及び該微生物により
低級アルキルフェノール類を酸化して医薬、農薬等の原
料として有用なヒドロキシフェニルアルキルカルボン酸
を製造する方法を提供する。 【構成】この微生物は、脂肪族炭化水素、芳香族化合
物、有機酸、その塩、アルコール類、糖類のうち少なく
とも1つを炭素源として生育可能で、低級アルキルフェ
ノール類に対し強い酸化力を示すが、芳香環の開裂反応
等の不要な反応を生起しない。この微生物を低級アルキ
ルフェノール類を含む培地で培養するか、あるいは休止
菌体又は菌体成分を低級アルキルフェノール類と接触さ
せて、ヒドロキシフェニルアルキルカルボン酸を製造す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、微生物及び、この微生
物により低級アルキルフェノール類を酸化して医薬、農
薬等の原料として有用であるヒドロキシフェニルアルキ
ルカルボン酸を製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】芳香族化合物に関する微生物及びその酸
化作用は、シュードモナス(Pseudomonas)
属に属する細菌を中心に多数知られている。微生物によ
り行われる省エネルギー的な物質変換能、例えば酸化又
は資化作用等に着目すると、エチルフェノール等のよう
なアルキルフェノール類を原料として上記のように有用
なヒドロキシフェニル酢酸等のヒドロキシフェニルアル
キルカルボン酸に変換することは、化学的合成法に比較
して有利で、重要であると考えられる。
【0003】しかし、アルキルフェノール類は、他のア
ルキル置換芳香族化合物や、脂肪族化合物と比較して、
微生物による酸化作用を受けにくく、また微生物に対す
る毒性も強いため、アルキルフェノール類を原料として
微生物を用いる有用物質の生成に関する報告は、それほ
ど多くない。
【0004】また、最近になり、シュードモナス属細菌
(Pseudomonas mendocina KR
−1)の変異株を用いてトルエンからヒドロキシベンジ
ルアルコールを生成し、ニッケル及び一酸化炭素の存在
下でヒドロキシフェニル酢酸に変換する方法、メチルフ
ェニル酢酸から前述の変異株を用いてヒドロキシメチル
フェニル酢酸を生成し、酸加水分解によりヒドロキシフ
ェニル酢酸に転換することも報告されている(特公平3
−500126号公報参照)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記のような
従来のヒドロキシフェニル酢酸等のヒドロキシフェニル
アルキルカルボン酸の製造例では、生産量又は蓄積量が
工業レベルに達していなかったり、反応の中間で化学反
応法を用いるなど多段階の反応を必要とし工程が煩雑で
あったり等の問題がある。
【0006】本発明は、以上の実状下において、低級ア
ルキルフェノール類に対して強い酸化能力を有し、目的
とするヒドロキシフェニルアルキルカルボン酸を大量に
蓄積することのできる微生物及び、この微生物を用いて
ヒドロキシフェニルアルキルカルボンを製造する方法を
提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上述の目
的を達成するために研究を重ね幾多の微生物をスクリー
ニングした結果、シュードモナス属に属する細菌菌体の
中に、上記のような低級アルキルフェノール類に対して
強い酸化能力を持つものがあることを見出し、本発明を
完成するに至った。
【0008】すなわち、本発明は、(1)脂肪族炭化水
素、芳香族化合物、有機酸、その塩、アルコール類、糖
類のうち少なくとも1つを炭素源として生育可能で、低
級アルキルフェノール類に対し強い酸化力を示すことを
特徴とする微生物、及び、(2)この微生物を低級アル
キルフェノール類を含む培地で培養することを特徴とす
るヒドロキシフェニルアルキルカルボン酸の製造方法、
(3)この微生物の休止菌体又は菌体成分を低級アルキ
ルフェノール類と接触させることを特徴とするヒドロキ
シフェニルアルキルカルボン酸の製造方法、を要旨とす
る。
【0009】また、本発明は、上記の微生物が、シュー
ドモナス・プチダであること、微工研菌寄第12544
号として寄託されていることをも特徴とする。
【0010】以下、本発明菌及び本発明方法の詳細を説
明する。先ず、本発明菌の詳細を説明する。本発明菌
は、低級アルキルフェノール類を酸化してヒドロキシフ
ェニルアルキルカルボン酸を生産する強い酸化酸素を持
ち、かつ芳香環の開裂反応等の不要な反応を生起しな
い、言い換えれば、芳香環の開裂反応等に必要な酸素を
持たない微生物であり、この一例として工業技術院微生
物工業技術研究所に微工研菌寄第12544号として寄
託されたものを挙げることができる。
【0011】本発明菌のスクリーニングは、一般的な微
生物の育成に必要な栄養源を含む培地で微生物を培養
し、その中に低級アルキルフェノール類を添加してお
き、培養液中にヒドロキシフェニルアルキルカルボン酸
が生産されているか否かを確認することによって行われ
る。この場合、低級アルキルフェノール類のアルキル基
に対して強い酸化力を有する微生物を効率的に得るため
に、アルキル化合物の一例としてクレゾールを炭素源と
して加えておき、該クレゾールの資化性及びクレゾール
に対する耐性の強さを、該微生物の指標とすることがで
きる。
【0012】また、得られた微生物の中から、効率的に
低級アルキルフェノール類をヒドロキシフェニルアルキ
ルカルボン酸に酸化できる微生物、すなわち低級アルキ
ルフェノール類のアルキル基を酸化する能力は有する
が、低級アルキルフェノール類、ヒドロキシフェニルア
ルキルカルボン酸を資化(消費)する能力は有しない微
生物を、スクリーニングすることが好ましい。以上のス
クリーニングの一例を以下に説明する。
【0013】微生物の増殖に必要な培地成分に炭素源と
してクレゾールを添加して調製した培地を試験管に分注
し、減菌した後、採取土壌を添加し、振盪培養する。こ
の培養液を、上記の培地を上記と同様に分注し減菌した
別の試験管に加えて、上記と同様に振盪培養する。この
後、培養液を希釈又は無希釈で寒天培地等に撤き、培養
する。出現したコロニーを拾い、上記の培地に移し、低
級アルキルフェノール類を加えて、さらに振盪培養す
る。この培養液の上清を、例えば高速液体クロマトグラ
フィ(以下、HPLC)で分折し、低級アルキルフェノ
ール類をヒドロキシフェニルアルキルカルボン酸に変換
する強い酸化力を持つ菌株を選別する。
【0014】また、得られた菌株の中から、炭素源とし
て低級アルキルフェノール類のみを含有する培地、及び
ヒドロキシフェニルアルキルカルボン酸のみを含有する
倍地では生育しない菌株を選別することにより、低級ア
ルキルフェノール類のアルキル基を酸化するが、低級ア
ルキルフェノール、ヒドロキシフェニルアルキルカルボ
ン酸を資化する能力は有しない微生物を得ることができ
る。
【0015】この菌株は、低級アルキルフェノール類の
みでも、またヒドロキシフェニアルキルカルボン酸のみ
でも生育せず、これらの物質よりも微生物が容易に資化
できる他の炭素源で生育可能で、かつ低級アルキルフェ
ノール類をヒドロキシフェニルアルキルカルボン酸に酸
化する能力を有する。
【0016】このようなスクリーニング操作に用いる上
記の培地には、一般的な培地成分が添加される。このう
ち、炭素源としては、脂肪族炭化水素、クレゾール,安
息香酸等の芳香族化合物、コハク酸等の有機酸又はその
塩、グリセリン,エタノール等のアルコール類、グルコ
ース等の糖類等が利用できる。
【0017】窒素源としては、硫酸アンモニウム等の無
機窒素化合物又はペプトン等の有機窒素化合物等が利用
でき、有機窒素化合物を用いる場合、これには炭素源と
なる炭素化合物が含まれているので、別の炭素源は必ず
しも必要ではない。
【0018】無機塩類としては、各種のリン酸塩、硫酸
塩等が使用できる。さらに微量の金属塩、例えば鉄塩、
マンガン塩等を培地に含有させても良い。
【0019】また、培養方法としては、振盪培養法、通
気撹伴培養法等の方法により行うことができる。培養条
件としては、培地のpH約5〜9.5、好ましくは約
6.5〜8.0、温度約5〜39℃、好ましく約20〜
36℃、時間約3〜10日間が適当である。なお、pH
は、生成物が蓄積するにつれ変化するため、培養中に適
宣pH調整剤を加えることにより、培地のpHを調整
し、生産性を高めることもできる。
【0020】上記のスクリーニング操作によって得られ
る本発明菌は、以下のような菌学的性質を有する。 (a)形態 ・細菌の形と大きさ:桿菌 (0.7〜1.2)×(1.6〜2.6)(μm) ・運動性の有無と鞭毛の着生状態:有り、極鞭毛、多毛 ・細胞の多形性の有無及び胞子の有無:共に無し ・グラム染色性:陰性
【0021】(b)各種培地における生育状態 ・肉汁寒天平板培養:生育良好、乳白色、円形、平滑、
周縁は滑らか ・肉汁寒天斜面培養:生育良好、乳白色 ・肉汁液体培養 :生育良好 ・肉汁ゼラチン穿刺培養:培地全体に生育が認められ
る、液化は認められない ・リトマス・ミルク:擬固は認められない、酸あるいは
アルカリの産生も認められない
【0022】(c)生理的性質 ・硝酸塩の還元 :陰性 ・脱窒反応 :陰性 ・メチルレッドテスト:陰性 ・フォーゲス・プロスカウェル:陰性 ・インドールの生成 :陰性 ・硫化水素の生成 TSI寒天 :陰性 ・澱粉の加水分解 :陰性 ・クエン酸の利用 Kodserの培地 :陽性 Christensenの培地:陽性 ・無機窒素源の利用 硝酸塩の利用 :陽性 アンモニウム塩の利用:陽性 ・色素の生成 :蛍光性水溶性色素 ・ウレアーゼ :陰性 ・オキシターゼ :陽性 ・カタラーゼ :陽性 ・生育範囲 温度(肉汁プロス):5〜39℃ pH(肉汁プロス):5.0〜9.5 ・酸素に対する態度:好気的 ・O−Fテスト:酸化的 ・糖類からの酸の生成: L−アラビノース + 乳酸 − D−キシロース + トレハロース − D−グルコース + D−ソルビット − D−マンノース + D−マンニット − D−フラクトース + イノシット − D−ガラクトース + グリセリン + 麦芽糖 − デンプン − ショ糖 + ・ポリ−β−ヒドロキシ酪酸の蓄積:− ・糖類からのガスの生成 L−アラビノース − 乳酸 − D−キシロース − トレハロース − D−グルコース − D−ソルビット − D−マンノース − D−マンニット − D−フラクトース − イノシット − D−ガラクトース − デンプン − 麦芽糖 − デンプン − ショ糖 −
【0023】以上の菌学的性質に基づいて、バージェイ
ズ・マニュアル・オブ・システマティック・バクテリオ
ロジー(Bergey’s Manual of Sy
stematic Bacteriology,vo
l.1(1984))に従って公知の菌株との異同を検
討した結果、本発明菌は、シュードモナス・プチダ種に
属する新規な菌株と認められ、シュードモナス・プチダ
KpC−33株とした。この菌株は、微工研菌寄第12
544号として工業技術院微生物工業技術研究所に寄託
されている。
【0024】次に、本発明のヒドロキシフェニルアルキ
ルカルボン酸の製造方法について詳細を説明する。先
ず、本発明菌をアルキルフェノールを含む培地で培養す
ることによりヒドロキシフェニルアルキルカルボン酸を
製造する方法について説明する。
【0025】この方法及び後述する休止菌体等と接触さ
せてヒドロキシフェニルアルキルカルボン酸を製造する
方法において、原料となる低級アルキルフェノール類と
しては、アルキル基の炭素数が1〜5のアルキルフェノ
ール類を用いることが好ましい。
【0026】培養又は反応に用いる培地は、本発明菌が
良好に生産し、かつ原料となる低級アルキルフェノール
類を基質として十分に微生物反応を進行させるものであ
れば、いかなる組成の培地でも良く、また菌体増殖用と
反応用に異なる2種類の培地を用いても良い。用いる培
地、培養方法としては、例えば上記のスクリーニング操
作に用いる培地、培養方法と同様とすれば良い。
【0027】培養日数は、反応の進行に応じて決めるこ
とができるが、通常は3〜10日が適当である。なお、
アルキルフェノール類等の水に微溶の原料を用いる場合
は、培養、反応開始時に添加し、培養・反応状態に合わ
せて逐次添加しても良い。また、必要に応じて消泡剤を
添加しても良い。
【0028】次に、本発明菌の休止菌体又は菌体由来の
酵素や他の菌体成分をアルキルフェノールと接触させる
ことによるヒドロキシフェニルアルキルカルボン酸の製
造方法について説明する。休止菌体は、上記と同様の培
地を用い、同様の培養条件で培養したものをそのまま用
いるか、あるいは遠心分離等で固液分離して用いる。な
お、固液分離した菌体は、さらに燐酸緩衝液等の溶液で
洗浄し、該溶液に懸濁させて使用することもできる。
【0029】また、菌体由来の酵素や他の菌体成分は、
常法により精製したものを使用することが望ましい。例
えば、上記した菌体の懸濁液を、超音波破砕機、フレン
チプレス、高圧ホモジナイザ等により破砕処理して得ら
れた菌体破砕物を、遠心分離等により固液分離した後、
カラム精製、電気泳動等の一般的精製手段により精製酵
素としたものを使用する。
【0030】さらに、上記の休止菌体や菌体成分は、固
定化したものを使用することもでき、固定化したものを
使用することによって効率良く反応を行うことができ
る。この固定化は、アルギン酸カルシウム法、ポリアク
リルアミドゲル法、ポリウレタン樹脂法、光架橋樹脂法
等の常法により行うことができる。
【0031】上記の休止菌体や菌体成分に、低級アルキ
フェノール類を燐酸緩衝液中で接触させると、酸化反応
が生じて、ヒドロキシフェニルアルキルカルボン酸が製
造される。このときの反応条件は、上記の本発明菌の培
養による製造方法の場合の条件と同様とすればよい。ま
た、休止菌体又は菌体成分の添加量は、いずれも少な過
ぎると上記の酸化反応が生じず、逆に多過ぎると不経済
となるため、いずれも培地に対し、約0.01〜20重
量%とすることが好ましい。
【0032】さらに、この反応において、エネルギー源
として、メタノール、エタノール、水素、ニチコン酸ア
ミドアデニンジヌクレオチド(NAD)、ホルムアルデ
ヒド、蟻酸等の電子供与体を適宜添加するのが好まし
い。
【0033】以上のようにして得られる培養液又は反応
液中のヒドロキシフェニルアルキルカルボン酸は、常法
により分離・精製される。例えば、菌体を培養液から遠
心分離によって除いた後、酸性溶解液とし、酢酸エチ
ル、クロロホルム等の有機溶剤によって抽出する。得ら
れた抽出液から、カラムクロマトグラフィ又は再結晶等
の方法によって生成物を単離することができる。
【0034】
【実施例】
実施例1 0.1%p−クレゾールを加えた表1の組成からなる最
少培地10mlを調製し、pH7.0に調整した後、滅
菌し、大阪府堺市で採集した土壌約1gを加えて、30
℃で7日間振盪培養した(集積培養I)。
【0035】
【表1】
【0036】集積培養Iで得られた培養液0.1ml
を、集積培養Iと同様の培地、培養条件にて培養した
(集積培養II)。集積培養IIで得られた培養液を希
釈して栄養寒天培地上に塗布し、30℃で3日間培養し
た。生じたコロニーの形状、色合い等の外観を目視によ
り識別し、多数の菌株を得た。これらの菌株を1白金耳
植菌し、集積培養IIと同様にして7日間振盪培養し
た。その結果、6種類の菌株がp−クレゾールを単一炭
素源として資化し、生育できることがわかった。
【0037】この6株の培養液0.1mlを最終濃度で
0.1%のp−クレゾールと0.05%のp−エチルフ
ェノールを添加した最少培地10mlに植菌し、30℃
で振盪培養を行った。この培養液を遠心分離し、上清を
塩酸酸性下で酢酸エチル等の有機溶媒を用いて抽出処理
し、得られた生成物を薄層クロマトグラフで分離して得
たものを試料として、三次元クロマトグラムシステム
(米国ESA社製商品名“The Coulochem
Electrode Array System”で
あって二光バイオサイエンス(株)より商品名“Neu
rochem”で販売されているものを使用)により分
析した。
【0038】この結果を、図1及び図2として示した。
図1は、標品の分析チャートであり、図中のピークは
ヒドロキシ安息香酸、のピークはヒドロキシフェニル
酢酸を示している。図2は、試料の分析チャートであ
る。図1,図2から明らかなように、標品のピークと試
料のピークの電位と保持時間が同様であったため、ヒド
ロキシフェニル酢酸が生成していることが判る。
【0039】上記の6株の中から、炭素源としてp−エ
チルフェノールのみを含む培地、及びp−ヒドロキシフ
ェニル酢酸のみを含む培地では生育できない菌株を選択
することにより、p−エチルフェノールをp−ヒドロキ
シフェニル酢酸に変換させる能力を有するが、原料及び
生成物、すなわちp−エチルフェノール及びp−ヒドロ
キシフェニル酢酸を資化する能力を有しないシュードモ
ナス・プチダKpC−33株を得た。
【0040】実施例2 0.1%p−クレゾールを添加した最少培地10ml
に、シュードモナス・プチダKpC−33株を1白金耳
植菌し、30℃で3日間振盪培養した。この培養液3m
lを、500ml容坂口フラスコにて、0.1%p−ク
レゾールと0.05%p−エチルフェノールとを添加
し、pHを8.0,7.5,7.0,6.5の各々に調
整して調製した100mlの最少培地4種類の各々に、
植菌し、30℃で8日間振盪培養した。この結果を表2
に示す。なお、表2中、菌体濃度は、波長660nmの
吸光密度(D.O.)により測定し、培養液中のp−ヒ
ドロキシフェニル酢酸の蓄積量は、HPLCにて定量し
た。
【0041】
【表2】
【0042】実施例3 実施例2の方法(初発pHを7.0にしたもの)で菌株
を培養し、培養液10mlを、500ml容坂口フラス
コにて、0.1%p−クレゾール、0.1%酢酸、0.
1%グルコース、0.2%エタノールを各々単一炭素源
として添加し、pHを7.0に調整して調製した最少培
地100mlに接種し、30℃で4日間振盪培養した。
培養液の菌体濃度を調べるため、660nmの波長の吸
光密度を測定したところ、表3に示すような結果を得
た。
【0043】
【表3】
【0044】上記の培養液を遠心機で処理して集菌後、
集菌菌体を500ml容坂口フラスコにて、0.2%エ
タノールと0.05%p−エチルフェノールとを添加し
て調製した最少培地100mlに懸濁し、30℃で6日
間振盪培養した。培養液のヒドロキシフェニル酢酸をH
PLCにて定量したところ、表4に示すような結果を得
た。
【0045】
【表4】
【0046】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明菌は低級ア
ルキルフェノール類のアルキル基に対して強い酸化力を
有するため、従来の化学的酸化法や微生物学的酸化法に
代えて、低級アルキルフェノール類のアルキル基のみを
微生物学的に酸化する技術において広く適用することが
できる。
【0047】また、本発明菌を用いてヒドロキシフェニ
ルアルキルカルボン酸を製造する方法は、原料に毒性の
強いアルキルフェノール類を用いているにもかかわら
ず、菌株が安定で、芳香環の開環反応が生起したり、本
発明菌によって原料、生成物が資化されることがない。
従って高効率でのアルキルフェノール類からのヒドロキ
シフェニルアルキルカルボン酸の製造を実現することが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】標品の分析チャートである。
【図2】試料の分析チャートである。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成4年9月23日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正内容】
【0010】以下、本発明菌及び本発明方法の詳細を説
明する。先ず、本発明菌の詳細を説明する。本発明菌
は、低級アルキルフェノール類を酸化してヒドロキシフ
ェニルアルキルカルボン酸を生産する強い酸化素を持
ち、かつ原料や生成物の芳香環の開裂反応等の不要な反
応を生起しない、言い換えれば、原料や生成物の芳香環
の開裂反応等に必要な素を持たない微生物であり、こ
の一例として工業技術院微生物工業技術研究所に微工研
菌寄第12544号として寄託されたものを挙げること
ができる。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正内容】
【0011】本発明菌のスクリーニングは、一般的な微
生物の生育に必要な栄養源を含む培地で微生物を培養
し、その中に低級アルキルフェノール類を添加してお
き、培養液中にヒドロキシフェニルアルキルカルボン酸
が生産されているか否かを確認することによって行われ
る。この場合、低級アルキルフェノール類のアルキル基
に対して強い酸化力を有する微生物を効率的に得るため
に、微生物の生育炭素源としてのアルキル化合物の一例
としてクレゾールを炭素源として加えておき、該クレゾ
ールの資化性及びクレゾールに対する耐性の強さを、該
微生物の指標とすることができる。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】変更
【補正内容】
【0012】また、得られた微生物の中から、効率的に
低級アルキルフェノール類をヒドロキシフェニルアルキ
ルカルボン酸に酸化できる微生物、すなわち低級アルキ
ルフェノール類のアルキル基を酸化する能力は有する
が、低級アルキルフェノール類、原料から生成したヒド
ロキシフェニルアルキルカルボン酸を資化(消費)する
能力は有しない微生物を、スクリーニングすることが好
ましい。以上のスクリーニングの一例を以下に説明す
る。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】変更
【補正内容】
【0014】また、得られた菌株の中から、炭素源とし
て低級アルキルフェノール類のみを含有する培地、及び
原料より得られるヒドロキシフェニルアルキルカルボン
酸のみを含有する倍地では生育しない菌株を選別するこ
とにより、低級アルキルフェノール類のアルキル基を酸
化するが、低級アルキルフェノール、原料より得られる
ヒドロキシフェニルアルキルカルボン酸を資化する能力
は有しない微生物を得ることができる。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0015
【補正方法】変更
【補正内容】
【0015】この菌株は、低級アルキルフェノール類の
みでも、また原料より得られるヒドロキシフェニアル
キルカルボン酸のみでも生育せず、これらの物質よりも
微生物が容易に資化できる他の炭素源で生育可能で、か
つ低級アルキルフェノール類をヒドロキシフェニルアル
キルカルボン酸に酸化する能力を有する。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0021
【補正方法】変更
【補正内容】
【0021】(b)各種培地における生育状態 ・肉汁寒天平板培養:生育良好、乳白色、円形、平滑、
周縁は滑らか ・肉汁寒天斜面培養:生育良好、乳白色 ・肉汁液体培養 :生育良好 ・肉汁ゼラチン穿刺培養:培地全体に生育が認められ
る、液化は認められない ・リトマス・ミルク:凝固は認められない、酸あるいは
アルカリの産生も認められない
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0022
【補正方法】変更
【補正内容】
【0022】(c)生理的性質 ・硝酸塩の還元 :陰性 ・脱窒反応 :陰性 ・メチルレッドテスト:陰性 ・フォーゲス・プロスカウェル:陰性 ・インドールの生成 :陰性 ・硫化水素の生成 TSI寒天 :陰性 ・澱粉の加水分解 :陰性 ・クエン酸の利用 Kodserの培地 :陽性 Christensenの培地:陽性 ・無機窒素源の利用 硝酸塩の利用 :陽性 アンモニウム塩の利用:陽性 ・色素の生成 :蛍光性水溶性色素 ・ウレアーゼ :陰性 ・オキシターゼ :陽性 ・カタラーゼ :陽性 ・生育範囲 温度(肉汁プロス):5〜39℃ pH(肉汁プロス):5.0〜9.5 ・酸素に対する態度:好気的 ・O−Fテスト:酸化的 ・糖類からの酸の生成: L−アラビノース + 乳酸 − D−キシロース + トレハロース − D−グルコース + D−ソルビット − D−マンノース + D−マンニット − D−フラクトース + イノシット − D−ガラクトース + グリセリン + 麦芽糖 − デンプン − ショ糖 + ・ポリ−β−ヒドロキシ酪酸の蓄積:− ・糖類からのガスの生成 L−アラビノース − 乳酸 − D−キシロース − トレハロース − D−グルコース − D−ソルビット − D−マンノース − D−マンニット − D−フラクトース − イノシット − D−ガラクトース − デンプン − 麦芽糖 − グリセリン − ショ糖 −
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0025
【補正方法】変更
【補正内容】
【0025】この方法及び後述する休止菌体等と接触さ
せてヒドロキシフェニルアルキルカルボン酸を製造する
方法において、原料となる低級アルキルフェノール類と
しては、アルキル基の炭素数が〜5のアルキルフェノ
ール類を用いることが好ましい。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0026
【補正方法】変更
【補正内容】
【0026】培養又は反応に用いる培地は、本発明菌が
良好に生産し、かつ原料となる低級アルキルフェノール
を十分に微生物反応させるものであれば、いかなる組
成の培地でも良く、また菌体増殖用と反応用に異なる2
種類の培地を用いても良い。用いる培地、培養方法とし
ては、例えば上記のスクリーニング操作に用いる培地、
培養方法と同様とすれば良い。
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0040
【補正方法】変更
【補正内容】
【0040】実施例2 0.1%p−クレゾールを添加した最少培地10ml
に、シュードモナス・プチダKpC−33株を1白金耳
植菌し、30℃で3日間振盪培養した(前培養)。この
培養液3mlを、500ml容坂口フラスコにて、0.
1%p−クレゾールと0.05%p−エチルフェノール
とを添加し、pHを8.0,7.5,7.0,6.5の
各々に調整して調製した100mlの最少培地4種類の
各々に、植菌し、30℃で8日間振盪培養した。この結
果を表2に示す。なお、表2中、菌体濃度は、波長66
0nmの吸光密度(D.O.)により測定し、培養液中
のp−ヒドロキシフェニル酢酸の蓄積量は、HPLCに
て定量した。
【手続補正11】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0042
【補正方法】変更
【補正内容】
【0042】実施例3 実施例2の方法(初発pHを7.0にしたもの)で菌株
培養し、培養液10mlを、500ml容坂口フラ
スコにて、0.1%p−クレゾール、0.1%酢酸、
0.1%グルコース、0.2%エタノールを各々単一炭
素源として添加し、pHを7.0に調整して調製した最
少培地100mlに接種し、30℃で4日間振盪培養し
た。培養液の菌体濃度を調べるため、660nmの波長
の吸光密度を測定したところ、表3に示すような結果を
得た。
【手続補正12】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0045
【補正方法】変更
【補正内容】
【0045】
【表4】
【手続補正13】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0047
【補正方法】変更
【補正内容】
【0047】また、本発明菌を用いてヒドロキシフェニ
ルアルキルカルボン酸を製造する方法は、原料に毒性の
強い低級アルキルフェノール類を用いているにもかかわ
らず、菌株が安定で、芳香環の開環反応が生起したり、
本発明菌によって原料、生成物が資化されることがな
い。従って高効率での低級アルキルフェノール類からの
ヒドロキシフェニルアルキルカルボン酸の製造を実現す
ることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 宮地 伸也 東京都品川区旗の台1丁目8番2号 (72)発明者 堀田 康司 埼玉県大宮市櫛引町2丁目598番1号

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 脂肪族炭化水素、芳香族化合物、有機
    酸、その塩、アルコール類、糖類のうち少なくとも1つ
    を炭素源として生育可能で、低級アルキルフェノール類
    に対し強い酸化力を示すことを特徴とする微生物。
  2. 【請求項2】 シュードモナス・プチダであることを特
    徴とする請求項1記載の微生物。
  3. 【請求項3】 微工研菌寄第12544号として寄託さ
    れたことを特徴とする請求項1記載の微生物。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3記載の微生物を低級アルキ
    ルフェノール類を含む培地で培養することを特徴とする
    ヒドロキシフェニルアルキルカルボン酸の製造方法。
  5. 【請求項5】 請求項1〜3記載の微生物の休止菌体又
    は菌体成分を低級アルキルフェノール類と接触させるこ
    とを特徴とするヒドロキシフェニルアルキルカルボン酸
    の製造方法。
JP5979592A 1992-02-14 1992-02-14 微生物及びヒドロキシフェニルアルキルカルボン酸の製造方法 Pending JPH05219944A (ja)

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