JPH05219693A - 回転電機の組立方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 回転子を固定子に挿入又は固定子から引抜く
際に複雑な特殊工具を使用することなく安全でかつ単時
間に組立てができる方法を提供する。 【構成】 固定子１の製作工程中に固定子端のベアリン
グブラケット取付面の上部に吊耳４を固定子垂直方向中
心線をはさみ両側に溶接取付しておき、軸受下半部は予
めベアリングブラケット２に軸受メタル３を組込み、吊
耳４の取付位置に相対するベアリングブラケット２合せ
目ネジ部にアイボルト６を取付け、吊耳４との間に吊り
ワイヤ７とチェーンブロック８を接続して回転子５の最
大径部分が軸受部を通過する時干渉しない位置まで軸受
部を吊り下げ、クレーン９により回転子後部を吊りなが
ら軸方向に移動させ正規位置まで挿入後、チェーンブロ
ック８により軸受部を正規位置まで引き上げ、ベアリン
グブラケット２を固定子に固定し、さらにクレーン９を
ゆっくり下げ回転子５を軸受メタル３に乗せ支持する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は回転電機の固定子内に回
転子の挿入又は引き抜きを伴う回転電機の組立方法に関
する。

【０００２】

【従来の技術】従来、回転電機の回転子を固定子内に挿
入する場合、回転子は固定子の中心にほぼ一致させて行
なうため、固定子両端で回転子を支持している軸受部
は、回転子の最大径部分が通過するとき軸受部の内径部
分に干渉しない位置まで予め正規位置より下げておく必
要がある。このため、軸受部をこの位置で保持するため
の特殊工具が必要となる。又、特殊工具の構成上の都合
で上記下げ代を最小限にするため軸受部は内輪部の軸受
メタルを別組立とし、外輪部のベアリングブラケットの
み仮置きしている。

【０００３】一方、回転子を正規の位置まで挿入した
後、ベアリングブラケットを正規位置まで引き上げ、ま
た軸受メタルを装着して回転子を支持するまでの間、回
転子は何らかの方法で保持しておく必要がある。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】一般的に発電所に於け
るクレーン設備は１基しか常設されていない場合が多い
ため、クレーンはベアリングブラケットの引き上げ及び
軸受メタルの装着等に使用するため、回転子保持のため
の特殊工具が必要となる。

【０００５】また、ベアリングブラケットを正規の位置
に引き上げ取付けした後、軸受メタル下半部を装着する
場合、回転子とベアリングブラケットとの間隙に沿って
回転させながら挿入し組み込む必要がある。この作業は
構成上、周囲の足場が悪いため危険を伴なう作業であ
り、又双方の部品を損傷させないように慎重に組み込む
ため熟練を要する作業となる。以上のように従来の回転
電機の組立方法は多種の複雑な特殊工具を必要とし危険
作業で、かつ熟練を要し、時間がかかる等の欠点があっ
た。

【０００６】本発明は、以上の点に鑑みなされたもので
あり、その目的とするところは、複雑な特殊工具を使用
することなく、安全でかつ単時間に実施可能な回転電機
の組立方法を提供することにある。

【０００７】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明は回転子を挿入する際は、予め前記固定子の
締部ベアリングブラケット取付面の上部に吊耳を取付
け、軸受部の下半部はベアリングブラケットに軸受メタ
ルを組込んでおき、前記吊耳の取付位置に相対するベア
リングブラケット合せ目のネジ部にアイボルトを取付け
るとともに吊耳との間に吊りワイヤとチェーンブロック
を接続して、回転子の最大径部分が軸受部を通過する時
干渉しない位置まで軸受部を吊り下げておき、クレーン
により回転子の後部を吊りながら軸方向に移動させ回転
子を所定の位置まで挿入後、回転子後部をクレーンにて
保持した状態でチェーンブロックにて軸受部を所定の位
置まで引上げてベアリングブラケットを固定子に固定
し、その後クレーンを下げて回転子を軸受メタルに乗せ
て支持させる。回転子を引抜く際にも挿入時と同様にし
て外輪部分と内輪部分を組立てた状態で、固定子端部に
一括して吊り下げて行なうようにする。

【０００８】

【作用】このように、軸受下半部の外輪部分のベアリン
グブラケットと内輪部分の軸受メタルを固定子端に一括
して吊り下げておき回転子を挿入（又は引抜き）するこ
とにより、従来の方法で必要としていたベアリングブラ
ケットを下げて仮固定する特殊工具や回転子を仮保持す
るための特殊工具を必要とせず、また回転子とベアリン
グブラケット間に回転させながらの面倒な組込み（引抜
き）作業も必要がない。

【０００９】

【実施例】以下、本発明の一実施例について図１、図２
を参照して説明する。固定子１の製作工程中に固定子端
のベアリングブラケット取付面の上部に吊耳４を固定子
垂直方向中心線をはさみ両側に適度な間隔をおいて溶接
取付する。

【００１０】軸受部の下半部は、予めベアリングブラケ
ット２に軸受メタル３を組込んでおき、固定子側の吊耳
４の取付位置に相対するベアリングブラケット２合せ目
ネジ部にアイボルト６を取付け、吊耳４との間に吊りワ
イヤ７とチェーンブロック８を接続して回転子５の最大
径部分が軸受部を通過する時干渉しない位置まで軸受部
を吊り下げる。これにより従来方法の図３に示すベアリ
ングブラケット２を仮固定するための特殊工具10が不要
となる。回転子５の挿入は、従来方法と同じ手順でクレ
ーン９を使用して、回転子５の後部を吊りながら軸方向
に移動させて行なう。

【００１１】回転子５を正規位置まで挿入後、回転子後
部をクレーン９で保持した状態で、チェーンブロック８
により軸受部を正規の位置まで引き上げ、ベアリングブ
ラケット２を固定子１にボルトを締めて固定する。

【００１２】その後クレーンをゆっくり下げて回転子５
を軸受メタル３に乗せて支持させる。これにより図４に
示すような従来方法で使用していた軸受メタル３で回転
子５を支持するまでの間回転子５を保持するための特殊
工具11，12が不要となる。又、図５に示すような回転子
挿入後に軸受メタル３を回転子５とベアリングブラケッ
ト２間に回転させながら挿入する組立作業が省略され
る。

【００１３】

【発明の効果】以上のように本発明によれば複雑な特殊
工具を使用せず安全でかつ単時間に回転電機の組立を実
施することが可能となる。尚、本発明は上記し、かつ図
面に示した実施例に限定されるものでなくその要旨を変
更しない範囲で種々変形して実施できることは勿論であ
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例の要部を示す回転電機端部の
正面図

【図２】図１の右側面図

【図３】従来の方法を示す回転電機端部の正面図

【図４】図３の右側面図

【図５】従来の軸受メタルの組立方法を示す横断面図

【符号の説明】

１…固定子 ２…ベアリングメタル ３…軸受メタル ４…吊耳 ５…回転子 ６…アイボルト ７…吊りワイヤ ８…チェーンブロック ９…クレーン

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 固定子内に回転子を貫通させ固定子両端
   に外輪部と内輪部で構成される軸受部を装着し、該軸受
   部にて回転子を支持して成る回転電機の回転子の挿入又
   は引抜きを伴う回転電機の組立方法において、予め前記
   固定子の締部ベアリングブラケット取付面の上部に吊耳
   を取付け、軸受部の下半部はベアリングブラケットに軸
   受メタルを組込んでおき、前記吊耳の取付位置に相対す
   るベアリングブラケット合せ目のネジ部にアイボルトを
   取付けるとともに吊耳との間に吊りワイヤとチェーンブ
   ロックを接続して、回転子の最大径部分が軸受部を通過
   する時干渉しない位置まで軸受部を吊り下げておき、ク
   レーンにより回転子の後部を吊りながら軸方向に移動さ
   せ回転子を所定の位置まで挿入後、回転子後部をクレー
   ンにて保持した状態でチェーンブロックにて軸受部を所
   定の位置まで引上げてベアリングブラケットを固定子に
   固定し、その後クレーンを下げて回転子を軸受メタルに
   乗せて支持することを特徴とする回転電機の組立方法。