JPH0521471Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案はエンジン回転数検出手段、車速検出手
段およびセレクタからの検出信号に基づき車両の
走行状態を判定してシフトチエンジを行う制御ユ
ニツトを備えた車両用自動変速装置の改良に関す
る。

［従来技術］ イージドライブと省燃費を両立させるオートマ
チツクシステムとして、従来のメカニカルクラツ
チ、トランスミツシヨンにエンジン回転数検出手
段すなわちエンジン回転センサ、車速検出手段す
なわち車速センサ等のセンサとアクセルクラツチ
およびトランスミツシヨンを操作するアクチユエ
ータを付加して、これらを電子的に制御するメカ
ニカルオートマチツクシステムが知られている。
更に、発進時のクラツチ操作だけはマニユアルで
行い、他の変速装置をすべてオートマチツクに行
うセミオートマチツクシステムも知られている。
このシステムにおいて、走行中の変速はドライバ
がセレクタレバーで希望するレンジを指定するだ
けで、あとのアクセルクラツチ、トランスミツシ
ヨンの操作はすべて電子制御により最適に行い変
速を行うようにしている。また、オートレンジ指
定のときは、車速の増加に伴つてあらかじめ記憶
されたマツプに従つてシフトアツプ、シフトダウ
ンを行う機能もあわせ持つている。更に、マツプ
書替えボタンをオンにした状態でセレクタにより
シフト段を指定してシフトチエンジを行う場合に
メモリにシフトチエンジ時の車速を読込んでマツ
プを書替える学習回路を備えた車両用自動変速装
置が本出願人により提案されている（実願昭59−
70610号）。ところで、この装置において、例えば
セレクタで２速レンジを指定し２速ギヤで発進し
たあと３速にシフトアツプする際は、セレクタを
単に２速→ニユートラル→３速と操作するだけで
よく、従つてドライバは変速操作中アクセルペダ
ルを全閉に戻す必要がないことから、アクセルペ
ダルを踏み離しにすることが多い。ところが、こ
のセレクト操作を比較的ゆつくり行うと、２速→
ニユートラルと操作した時点でトランスミツシヨ
ンはニユートラルにセツトされて変速操作が完了
してしまうため、アクセル制御がマニユアルすな
わちペダル連動に復帰して、一旦エンジン回転が
吹き上るという不具合が発生する。

また、特開昭55−129646号公報には高変速車速
に設定された変速パターン選択中におけるエンジ
ン負荷の最大値を検出して記憶すると共に、該最
大値よりエンジン負荷が所定値以上小さくなつた
ときに変速パターンを低変速車速に設定された変
速パターンに戻す手段を設けた技術が開示されて
いる。しかしながら、かかる公知技術ではドライ
バの変速操作上のくせによりエンジンの回転の吹
き上りを防止することはできない。

さらに実開昭59−194550号公報には、エンジン
空転状態が検出された場合には、前記エンジンの
回転速度が所定の上限値を越えないようにエンジ
ンの運転を制御する回転速度制御手段を備える技
術が開示されている。しかしながら、かかる公知
技術は自動変速を行う制御ユニツトによりアクチ
ユエータを作動されるものについては適用できな
い。

［解決する課題］ したがつて本考案の目的は、ドライバがゆつく
りセレクタを変速操作してもエンジン回転の吹き
上げが生ぜず、常に適正な自動変速作業が行われ
る車両用自動変速装置を提供するにある。

［課題を解決する手段］ 本考案によれば、エンジン回転数検出手段、車
速検出手段およびセレクタからの検出信号に基づ
き車両の走行状態を判定してシフトチエンジを行
う制御ユニツトを備えた車両用自動変速装置にお
いて、該制御ユニツトはトランスミツシヨン制御
回路とアクセル制御回路とクラツチ制御回路とを
備え、そして該制御ユニツトはセレクタがニユー
トラルにあるときにアクセル制御回路がアクセル
全閉アクチユエータをオンし、トランスミツシヨ
ンがニユートラルにセツトされているときはトラ
ンスミツシヨン制御回路がトランスミツシヨンニ
ユートラルセツトアクチユエータをオフし、クラ
ツチ制御回路がクラツチオフアクチユエータをオ
フし、次いでクラツチ制御回路がクラツチのオ
ン・オフを判定し、クラツチオンの場合はシフト
チエンジ制御部は他のシフト要求があるか否かを
判定し、他のシフト要求があれば、アクセル制御
回路はアクセル全閉アクチユエータをオフとし、
他のシフト要求がなければアクセル制御回路は所
定時間経過後にアクセル全閉アクチユエータをオ
フしてアクセルの全閉を解除する機能を有してい
る。

［作用効果の説明］ したがつて、ドライバがアクセルペダルを踏ん
だ状態でセレクタを作動しても、ニユートラル位
置にあれば、アクセル制御回路があアクセル全閉
アクチユエータを作動するので、エンジン回転が
吹き上ることはない。その間に他のシフト要求が
あれば、その要求に従つた制御が行われる。そし
て所定時間（例えば２秒）経過後にはアクセル全
閉アクチユエータがオフとなるが、このときはす
でにクラツチがオンしているので問題がない。

このように本考案によれば、ドライバのくせに
よりいたずらにエンジン回転が上昇せず、常に適
正な変速作業を自動的に行うことができる。

［実施例］ 以下図面を参照して本考案の実施例を説明す
る。

第１図および第２図は本考案を実施した自動変
速装置を備えたデイーゼルエンジンのハードウエ
ア構成図および制御ブロツク図である。第１図に
おいて、エンジン１０にはメカニカルクラツチ２
０を介してトランスミツシヨン３０が取付けら
れ、その出力軸はプロペラシヤフト３５を介して
図示しないリアアクスルに連結されている。

エンジン１０には、電子ガバナ１１を備えた燃
料噴射ポンプ１２とエンジン回転センサ１３が設
けられている。

クラツチ２０には、クラツチを断接操作するク
ラツチアクチユエータ２１と、クラツチのストロ
ーク量を検出するクラツチストロークセンサ２２
が設けられている。

トランスミツシヨン３０には、トランスミツシ
ヨンをシフトするトランスミツシヨンアクチユエ
ータ３１と、その内部に設けられシフトポジシヨ
ンを検出するシフトポジシヨンセンサ３２と、出
力軸の回転速度を検出する車速センサ３３と、カ
ウンタシヤフトの回転速度を検出するカウンタシ
ヤフト回転センサ３４が設けられている。

４０は運転室内に設けられたシフトチエンジの
際にシフト段をセレクトして指定するセレクタ
で、シフトレバー４０ａによりリバースＲ、１速
から６速までの６レンジおよびニユートラルＮの
各レンジをセレクトでき、内部に各レンジに対応
するスイツチを備えている。４１はオート（自動
変速）Ａを指定するオートボタン、４２はマツプ
の書替えを指示するマツプ書替えボタン、４３は
アクセルペダル、４４はアクセル切換装置、４５
はトランスミツシヨン３０のポジシヨンを表示す
るシフトポジシヨン表示器、４６および４７はシ
フトチエンジ操作において誤動作が生じたときに
点灯するトランスミツシヨエンラーランプおよび
クラツチエラーランプである。

第２図において、制御ユニツト５０には、セレ
クタ４０、エンジン回転センサ１３、車速センサ
３３、シフトポジシヨンセンサ３２からの信号に
基づきシフトチエンジ要求条件が満足されたとき
にシフトチエンジ指令を出力するシフトチエンジ
制御部５１と、シフトチエンジ制御部５１からシ
フトチエンジ指令が出力されたときにシフトポジ
シヨンセンサ３２からの信号に基づき車速センサ
３３からの入力により指定されたシフト段でのシ
ンクロ速度（Nsyc）を演算するとともに、その
演算値とカウンタシヤフト回転センサ３４からの
回転速度（Ng）信号とを比較してシンクロ状態
を判定するシンクロ判定部５２と、シンクロ判定
部５２からのシンクロ判定信号に基づきトランス
ミツシヨンアクチユエータ３１へ制御指令を出力
するトランスミツシヨン制御回路５３と、シフト
チエンジ制御部５１からの指令に基づきクラツチ
アクチユエータ２１に制御指令を出力するクラツ
チ制御回路５４と、シフトチエンジ制御部５１か
らの指令に基づいてアクセル切換装置４４にアク
セル切換指令を出力しアクセル操作をマニユアル
からオートに切換え、またセレクタ４０がニユー
トラルＮになつてトランスミツシヨン３０がニユ
ートラルにセツトされるとともにクラツチ２０が
接続されたのち、図示されないアクセル全閉アク
チユエータに制御指令を出力して所定時間アクセ
ルを全閉に保持するアクセル制御回路５５と、マ
ツプ書替えボタン４２をオンにした状態でセレク
タ４０によりシフト段を指定してシフトチエンジ
を行う場合にメモリにシフトチエンジ時の車速を
読込んでマツプを書替える学習回路５６とが設け
られており、各部５１，５２、各回路５３〜５６
間には相互に制御信号が交信されるようになつて
いる。

次に主として第３図および第４図を参照して本
考案の作用を説明する。

第３図は制御ユニツトの制御態様を示す。セレ
クタ４０がリバースＲか否かを判定し（ステツプ
S1）、YESであつたらシフトチエンジ制御部５１
でリバースＲを指定しトランスミツシヨン制御回
路５３よりトランスミツシヨンアクチユエータ３
１に制御指令を出力しリバースギヤにセツトする
（ステツプS2）。ステツプS1でNOの場合は、セレ
クタ４０がニユートラルＮか否かを判定し（ステ
ツプS3）、YESであつたらシフトチエンジ制御部
５１でニユートラルＮを指定しトランスミツシヨ
ン制御回路５３よりトランスミツシヨンアクチユ
エータ３１に出力してニユートラルにセツトする
（ステツプS4）。ステツプS3でNOの場合は、オー
トボタン４１がONか否かを判定し（ステツプ
S5），YESであつたら車速センサ３３の信号に基
づいてシフトチエンジ制御部５１で車速による目
標シフト段を設定し（ステツプS6）、NOの場合
すなわち１ないし６速を指定している場合は目標
シフト段を設定し（ステツプS7）、ともにステツ
プS8を行う。ステツプS8においてシフトポジシ
ヨンセンサ３２の信号に基づき変速が必要か否か
を判定し、YESの場合はシフトアツプか否かを
判定し（ステツプS9）、YESの場合はシフトアツ
プ制御を行い（ステツプS10）、NOの場合はシフ
トダウン制御を行う（ステツプS11）。

第４図はニユートラルセツトの制御態様を示
す。セレクタ４０がニユートラルＮにあるとき
は、アクセル制御回路５５はアクセル切換装置４
４を介して電子ガバナ１１のアクセル全閉アクチ
ユエータをONし（ステツプS10）、クラツチ制御
回路５４はクラツチOFFアクチユエータ（ここ
でクラツチをOFF操作するアクチユエータでク
ラツチアクチユエータを代表する）２１をオンす
る（ステツプS11）。次いでクラツチ制御回路５
４はクラツチストロークセンサ２２からの信号に
よりクラツチ２０がOFFになつているか否かを
判定し、（ステツプS12）。NOの場合、シフトチ
エンジ制御部５１はステツプS11から規定時間例
えば１秒経過したか否かを判定し（ステツプ
S13）、YESの場合はクラツチエラーランプ４７
を点灯してクラツチ２０の誤動作を表示する（ス
テツプS14）。ステツプS12のNOの場合、すなわ
ちクラツチがOFFになつているときトランスミ
ツシヨン制御回路５３はトランスミツシヨンニユ
ートラルセツトアクチユエータ（ここでトランス
ミツシヨンをニユートラルにセツトするアクチユ
エータでトランスミツシヨクアクチユエータを代
表する）３１をONし（ステツプS15）、次いで、
シフトポジシヨンセンサ３２からの信号によりト
ランスミツシヨン３０がニユートラルにセツトさ
れているか否かを判定し（ステツプS16）、NOの
場合、シフトチエンジ制御部５１はステツプS15
から規定時間例えば0.5秒経過したか否かを判定
し（ステツプS17），YESの場合はトランスミツ
シヨンエラーランプ４６を点灯してトランスミツ
シヨン３０の誤動作を表示する（ステツプS18）。
ステツプS16がYESの場合、すなわちトランスミ
ツシヨン３０がニユートラルにセツトされている
ときは、トランスミツシヨン制御回路５３はトラ
ンスミツシヨンニユートラルセツトアクチユエー
タ３１をOFFし（ステツプS19）、クラツチ制御
回路５４はクラツチOFFアクチユエータ２１を
OFFする（ステツプS20）。次いでクラツチ制御
回路５４はクラツチストロークセンサ２２からの
信号によりクラツチ２０がONであるか否かを判
定し（ステツプS21）、NOの場合、シフトチエン
ジ制御部５１はステツプS20から規定時間例えば
1.5秒経過したか否かを判定し（ステツプS22）、
YESの場合はステツプS14を行う。ステツプS21
でYESの場合、すなわちクラツチ２０がONにな
つているとき、シフトチエンジ制御部５１はセレ
クタ４０からの信号により他のシフト要求が発生
したか否かを判定し（ステツプS23）、YESの場
合、アクセル制御回路５５を介してアクセル全閉
アクチユエータをOFFにし（ステツプS24）、以
降別のシフトチエンジ制御ルーチンＲを行う。ス
テツプS23がNOの場合、すなわち別のシフト要
求が発生してないとき、アクセル制御回路５５は
ステツプS21から所定時間例えば２秒経過したか
否かを判断し（ステツプS25）、YESの場合、す
なわち２秒経過したら、ステツプS10でONした
アクセル全閉アクチユエータをOFFにしてアク
セルの全閉を解除する（ステツプS26）。

このようにセレクタをニユートラルにすること
によつて変速が起動され、トランスミツシヨン３
０をニユートラルにセツトする制御が完了した時
点（ステツプS21）から所定時間例えば２秒はア
クセル全閉を継続する。従つて比較的ゆつくりセ
レクタを操作し、その途中でトランスミツシヨン
３０がニユートラルにセツトされた後でもトラン
スミツシヨン３０がニユートラルにセツトされた
後でもエンジン回転の吹き上げがなくなり、その
結果、円滑な運転ができるようになる。

［考案の効果］ 以上の如く、本考案によれば、下記のすぐれた
効果を奏する。

(i) ドライバが変速操作中にアクセルペダルを踏
んだままでセレクタをゆつくり操作して、ニユ
ートラルにセツトされた時間が比較的に長くて
も、アクセル制御回路はアクセル全閉アクチユ
エータを作動するので、エンジン回転が吹き上
ることがない。

(ii) その間に別のシフト要求があれば、その要求
に従つた制御が行われるので、問題がない。

(iii) したがつて、ドライバのくせによつて不都合
が生ぜず、常に円滑な運転を行うことができ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案を実施した自動変速装置を備え
たデイーゼルエンジンのハードウエア構成図、第
２図は制御ブロツク図、第３図および第４図は制
御フローチヤートの図である。 １３……エンジン回転センサ、３３……車速セ
ンサ、４０……セレクタ、５０……制御ユニツ
ト、５５……アクセル制御回路。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. エンジン回転数検出手段、車速検出手段および
   セレクタからの検出信号に基づき車両の走行状態
   を判定してシフトチエンジを行う制御ユニツトを
   備えた車両用自動変速装置において、該制御ユニ
   ツトはトランスミツシヨン制御回路とアクセル制
   御回路とクラツチ制御回路とを備え、そして該制
   御ユニツトはセレクタがニユートラルにあるとき
   にアクセル制御回路がアクセル全閉アクチユエー
   タをオンし、トランスミツシヨンがニユートラル
   にセツトされているときはトランスミツシヨン制
   御回路がトランスミツシヨンニユートラルセツト
   アクチユエータをオフし、クラツチ制御回路がク
   ラツチオフアクチユエータをオフし、次いでクラ
   ツチ制御回路がクラツチのオン・オフを判定し、
   クラツチオンの場合はシフトチエンジ制御部は他
   のシフト要求があるか否かを判定し、他のシフト
   要求があれば、アクセル制御回路はアクセル全閉
   アクチユエータをオフとし、他のシフト要求がな
   ければアクセル制御回路は所定時間経過後にアク
   セル全閉アクチユエータをオフしてアクセルの全
   閉を解除する機能を有していることを特徴とする
   車両用自動変速装置。