JPH0440982Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ＜産業上の利用分野＞ 本考案は、車両用自動変速装置に関し、特に円
滑な変速シフト切換操作を行う技術に関する。

＜従来の技術＞ 車両用自動変速装置の従来例として、エンジン
と変速機との接続にトルクコンバータの代わり
に、機械式クラツチを使用し燃費の向上を図るも
のがある。かかる自動変速装置は、シフト切換操
作時にクラツチをOFFさせてニユートラルにセ
ツトした後、エンジン側と駆動輪側の回転数がシ
ンクロした時点で所定の変速動作を行わせるよう
にしている。

ところで、エンジン側と駆動輪側の回転数がシ
ンクロするまでに時間がかかるため、本願出願人
は、シフト切換操作時にエキゾートスブレーキを
作動してエンジン回転数を制御しシンクロするま
での時間を短縮させるものを提案している（実開
昭60−69853号公報及び実願昭60−122741号参
照）。

＜考案が解決しようとする問題点＞ しかしながら、このような従来の自動変速装置
においては、シフト切換操作時のエキゾーストブ
レーキ作動は運転者の選択によりオン・オフされ
る手動のエキゾーストブレーキスイツチがONさ
れたときに行われるが、前記エキゾーストブレー
キスイツチがONされると、ほとんどのシフト切
換操作時にエキゾーストブレーキが作動する。こ
のため、エキゾーストブレーキ作動が頻繁に行わ
れ、エキゾーストブレーキ装置の耐久性が低下し
たり、またエキゾーストブレーキの作動音による
運転感の悪化を招くという不具合があつた。

本考案は、このような実状に鑑みてなされたも
ので、シンクロするまでの時間を短縮しつつエキ
ゾーストブレーキ装置の耐久性及び運転感の向上
を図れる車両用自動変速装置を提供することを目
的とする。

＜問題点を解決するための手段＞ このため、本考案は第１図に示すように、トラ
ンスミツシヨンＡのシフト切換操作を行うシフト
切換操作制御手段Ｂと、エキゾーストブレーキを
作動させるエキゾーストブレーキ制御手段Ｃと、
を備える車両において、前記トランスミツシヨン
Ａのエンジン側のエンジン回転数を検出するエン
ジン回転数検出手段Ｄと、前記トランスミツシヨ
ンＡの駆動輪側のシンクロ回転数を検出するシン
クロ回転数検出手段Ｅと、車両速度の変化率を検
出する変化率検出手段Ｆと、変速要求発生後に検
出されたエンジン回転数がシンクロ回転数を超え
かつ検出された変化率が所定値以上で車両速度が
低下したときに、前記エキゾーストブレーキ制御
手段Ｃによりエキゾーストブレーキを作動させて
エンジン回転数を低下させるエンジン回転数低下
手段Ｇと、該エンジン回転数低下手段Ｇにより低
下されたエンジン回転数が前記シンクロ回転数に
近づいたときに、前記シフト切換操作制御手段Ｂ
によりトランスミツシヨンＡのシフトセツトを行
わせるシフトセツト制御手段Ｈと、を備えるよう
にした。

＜作用＞ このようにして、車両速度の変化率が所定値以
上で車両速度が低下する急勾配の登坂路等のみで
エキゾーストブレーキを作動させてエンジン回転
数を低下させるようにした。

＜実施例＞ 以下に、本考案の一実施例を第２図〜第４図に
基づいて説明する。

図において、エンジン１には機械式のクラツチ
２を介してトランスミツシヨン３が装着され、こ
のトランスミツシヨン３の出力軸と図示しないド
ライブアクスルとをプロペラシヤフト４を介して
連動させている。５は前記エンジン１に装着され
た燃料噴射ポンプである。

前記クラツチ２には、そのストローク量からク
ラツチ２が接続（ON）状態であるか切断
（OFF）状態であるかを検出してクラツチON・
OFF信号を出力するクラツチ位置検出装置６と、
このクラツチ２をON・OFF操作するクラツチ制
御装置７とが装着されている。

前記トランスミツシヨン３には、そのカウンタ
シヤフトの回転数からエンジン１側のギア回転数
Ng（エンジン回転数）を算出して出力するエンジ
ン回転数検出手段としてのギア回転数検出装置８
と、出力軸の回転数に基づいて車速に関連するシ
ンクロ回転数Nsy₁を出力するシンクロ回転数検
出手段としての車速検出装置９と、該トランスミ
ツシヨン３をシフトするシフト切換操作制御手段
としてのシフトセツト制御装置１０と、トランス
ミツシヨン３の現在のシフト位置を検出して出力
するシフト位置検出装置１１とが装着されてい
る。

１２はクラツチペダル１３の位置を検出してク
ラツチペダルON・OFF信号を出力するクラツチ
ペダル位置検出装置、１４はアクセルペダル、１
５はアクセル切換装置、１６は運転室に設けたセ
レクタであり、オートレンジの他に、中立位置を
含めた各シフト位置をマニユアル操作で任意に選
択できるようになつている。尚、セレクタ１６に
は各シフトレンジに対応するスイツチが内蔵され
ており、選択したシフトレンジを電気信号として
出力する。

一方、前記クラツチ２及びトランスミツシヨン
３を制御する制御装置１７は、前記セレクタ１６
及びクラツチペダル位置検出装置１２からの信号
に基づいてシフトチエンジ要求条件が満足された
（シフト指定操作等が正常に行われた）時にシフ
トチエンジ指令を出力するシフトチエンジ制御部
１８と、該シフトチエンジ制御部１８からシフト
チエンジ指令が出力された時に前記シフト位置検
出装置１１、車速検出装置９及びギア回転速度検
出装置８の出力に基づいて指定されたシフト位置
でのシンクロ状態を判定してその判定結果を出力
するシンクロ判定部１９と、該シンクロ判定部１
９から出力されたシンクロ判定信号を受けて前記
シフトセツト制御装置１０に駆動信号を供給する
トランスミツシヨン制御回路２０と、前記シフト
チエンジ制御部１８からの指令に基づいて前記ク
ラツチ制御装置７を制御するクラツチ制御回路２
１と、シフトチエンジ指令が出力された時に前記
アクセル切換装置１５をマニユアルからオートに
切換えて燃料噴射ポンプ５に装着したアクセル制
御装置２２を介してエンジン１に回転制御信号を
供給するアクセル制御回路２３とで主要部が構成
されている。

ここでは、制御装置１７がシフトセツト制御手
段とエンジン回転数低下手段とを構成する。

前記シフトチエンジ制御部は、シフトチエンジ
操作において誤動作が生じた時にトランスミツシ
ヨンエラーランプ２４或いはクラツチエラーラン
プ２５に警報信号を出力する。又、シフトチエン
ジ制御部１８は、シフトチエンジ操作が完了した
場合にシフト完了ランプ（図示せず）に信号を送
り、クラツチ操作及びアクセル操作がマニユアル
に変化した際にダブルクラツチ指令ランプ２６に
信号を送り、シフト完了及びダブルクラツチ指示
の場合はブザー２７に信号を送る。２８は燃料噴
射ポンプ５のアクセルが全閉になつていることを
検出するアクセル全閉検出装置、２９はセレクタ
１６によつて指定されたシフトレンジを検出する
シフトレンジ検出装置、３０は同じくセレクタ１
６のレバーをシフトチエンジ制御部１８による実
際のシフト位置と対応する位置に移動させるシフ
トレバーリターン制御装置、３１はトランスミツ
シヨン３のシンクロを促進させるために排気ブレ
ーキを作動させる排気ブレーキONリレー、３２
はマニユアルで排気ブレーキを作動させている状
態でシフトチエンジを行う場合にこれを一時的に
解除させるための排気ブレーキOFFリレー、３
３は前記排気ブレーキONリレー３１及び排気ブ
レーキOFFリレー３２に制御信号を供給する排
気ブレーキ制御回路、３４は排気ブレーキをエン
ジンブレーキに連動させる旨を排気ブレーキ制御
回路３３に指示する排気ブレーキ連動指示ボタ
ン、３５はトランスミツシヨン３のポジシヨン
（シフト位置）を表示するトランスミツシヨンポ
ジシヨン表示器、３６は前記シフト完了ランプ及
びブザー２７等をリセツトさせるリセツトボタン
である。

ここでは排気ブレーキONリレー３１、排気ブ
レーキOFFリレー３２及びエキゾーストシヤツ
タ（図示せず）によりエキゾーストブレーキ装置
が構成される。

上記構成において、マニユアル、即ちセレクタ
１６のレバー１６ａの操作で所定の車速パターン
に従いシフトアツプし、その時点で車速を例えば
トランスミツシヨン制御回路２０内に設けられた
メモリに記憶しておき、次にレバー１６ａをオー
トレンジにて走行する場合、前記メモリに記憶さ
れた車速パターンで自動的にシフトアツプするよ
うに制御する。

又、セミオートマチツクシステムとして機能さ
せる場合、つまり、トランスミツシヨン３をドラ
イバの意志によつてシフトチエンジする場合は、
ドライバがセレクタ１６で希望するシフト位置
（シフトレンジ）を指定するのみで目的シフト位
置へのシフトチエンジが自動的に行われる。

次に作用を第４図のフローチヤートに基づいて
説明する。

まず、変速要求が発生すると、S1でアクセル
を全閉制御して、S2に進んでクラツチ２をOFF
（断）操作し、S3に進む。S3でトランスミツシヨ
ン３をニユートラルセツトした後、S4に進んで
クラツチ２をON（接続）復帰させる。

S5では、前記ギア回転数Ngとシンクロ回転数
Nsycとを比較し、Nsyc＜Ngであれば（YES）、
後述するS6に進み、Nsyc＞Ngであれば（NO）、
S7に進む。

S7ではアクセルを全開制御した後、S8でシン
クロ回転数Nsycを所定の許容誤差ΔN₁を加算し
たものとギア回転数Ngとを比較し、Ng＞Nsyc
＋ΔN₁となるまでアクセルを全開制御する。

S6では所定時間ｔ毎のシンクロ回転数Nsyc₁，
Nsyc₂から演算された単位時間当たりのシンクロ
回転数の変化率（車速の変化率に対応する）
Nsyc₁−Nsyc₂／ｔが所定値a₀（a₀は負）未満か否か を判定し、変化率が所定値a₀未満（YES）のと
きにはS10に進み、変化率が所定値a₀以上のとき
には車速が所定値以上の変化率で低下していると
判定しS11に進む。

S10では、シンクロ回転数Nsycに所定の許容誤
差ΔN₂を加算したものとギア回転数Ngとを比較
し、Ng＜Nsyc＋ΔN₂であれば（YES）、トラン
スミツシヨン３のシフト操作に適していると判定
し、S14でトランスミツシヨン３のギアをセツト
して変速操作を終了させた後、S15でアクセル全
閉解除を行つてアクセルペダルを連動させるべく
アクセルを復帰させる。

一方、ギア回転数Ngがシンクロ回転数Nsycを
超えかつシンクロ回転数の変化率が所定値a₀以上
のときには、S11で排気ブレーキONリレー３１
をONにしエキゾーストブレーキを作動させる。

そして、S12ではシンクロ回転数Nsycに所定の
許容誤差ΔN₂を加算したものとギア回転数Ngと
を比較し、YESすなわちNsyc＋ΔN₂′＞Ngのと
きに、ギア回転数Ngが低下したと判定し、S13
でエキゾーストブレーキの作動をOFFさせた後、
前記S14に進み変速操作を行わせる。また、NO
のときにはS11に戻り、エキゾーストブレーキの
作動を継続させてギア回転数Ngを低下させる。

以上説明したように、ギア回転数Ngをシンク
ロ回転数Nsycを超えかつシンクロ回転数の変化
率が所定値以上の変化率で低下しているときに、
エキゾーストブレーキを作動させてギア回転数
Ngを低下させるようにしたので、急勾配の登坂
路等における変速操作時にのみエキゾーストブレ
ーキが作動する。このため、エキゾーストブレー
キの作動回転を従来より大巾に低減でき、エキゾ
ーストブレーキ装置の耐久性を向上できると共に
エキゾーストブレーキの作動音の回数が大巾に少
なくなり、運転感の向上を図れる。

尚、本実施例ではシンクロ回転数の変化率から
車速の変化率を間接的に求めるようにしたが、車
両速度の変化率（加速度）を直接求めてもよい。

＜考案の効果＞ 本考案は、以上説明したように、車速の変化率
が所定値以上で車速が低下しかつエンジン回転数
がシンクロ回転数を超えているときにエキゾース
トブレーキを作動させるので、急勾配の登坂路に
おける変速操作時にのみエキゾーストブレーキが
作動するため、エキゾーストブレーキ装置の耐久
性を向上できると共に運転感の向上を図れる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案のクレーム対応図、第２図は本
考案の一実施例を示す構成図、第３図は同上のブ
ロツク図、第４図は同上のフローチヤートであ
る。 １……エンジン、２……クラツチ、３……トラ
ンスミツシヨン、８……ギア回転数検出装置、９
……車速検出装置、１０……シフトセツト制御装
置、１７……制御装置、３１……排気ブレーキ
ONリレー、３２……排気ブレーキOFFリレー。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. トランスミツシヨンのシフト切換操作を行うシ
   フト切換操作制御手段と、エキゾーストブレーキ
   を作動させるエキゾーストブレーキ制御手段と、
   を備える車両において、前記トランスミツシヨン
   のエンジン側のエンジン回転数を検出するエンジ
   ン回転数検出手段と、前記トランスミツシヨンの
   駆動輪側のシンクロ回転数を検出するシンクロ回
   転数検出手段と、車両速度の変化率を検出する変
   化率検出手段と、変速要求発生後に検出されたエ
   ンジン回転数がシンクロ回転数を超えかつ検出さ
   れた変化率が所定値以上で車両速度が低下したと
   きに、前記エキゾーストブレーキ制御手段により
   エキゾーストブレーキを作動させてエンジン回転
   数を低下させるエンジン回転数低下手段と、該エ
   ンジン回転数低下手段により低下されたエンジン
   回転数が前記シンクロ回転数に近づいたときに、
   前記シフト切換操作制御手段によりトランスミツ
   シヨンのシフトセツトを行わせるシフトセツト制
   御手段と、を備えたことを特徴とする車両用自動
   変速装置。