JPH05214242A - ポリアミドゲル状物及びその製法 - Google Patents
ポリアミドゲル状物及びその製法Info
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- JPH05214242A JPH05214242A JP2251192A JP2251192A JPH05214242A JP H05214242 A JPH05214242 A JP H05214242A JP 2251192 A JP2251192 A JP 2251192A JP 2251192 A JP2251192 A JP 2251192A JP H05214242 A JPH05214242 A JP H05214242A
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Abstract
(57)【要約】
【構成】 重量平均分子量10万以上のポリアミド、ア
ルコールなどの有機溶媒、ハロゲン化塩、過ハロゲン酸
塩、またはチオシアン酸塩等の塩からなり、示差熱量走
査計での測定融解熱が測定されないポリアミド状物。こ
のゲル状物は上記ポリアミド/有機溶媒/塩を過熱融解
後0℃以下の温度に20℃/min以上で急冷却するこ
とにより製造できる。 【効果】 脱溶媒することなく超延伸可能であり、この
ゲル状物から得られるポリアミド繊維は従来にない高強
力、高弾性率ポリアミド繊維となる。
ルコールなどの有機溶媒、ハロゲン化塩、過ハロゲン酸
塩、またはチオシアン酸塩等の塩からなり、示差熱量走
査計での測定融解熱が測定されないポリアミド状物。こ
のゲル状物は上記ポリアミド/有機溶媒/塩を過熱融解
後0℃以下の温度に20℃/min以上で急冷却するこ
とにより製造できる。 【効果】 脱溶媒することなく超延伸可能であり、この
ゲル状物から得られるポリアミド繊維は従来にない高強
力、高弾性率ポリアミド繊維となる。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はポリアミドゲル状物及び
その製法に関する。更に詳しくは、高強力、高弾性率ナ
イロン繊維を得るための前駆体となるポリアミドゲル状
物及びその製法に関する。
その製法に関する。更に詳しくは、高強力、高弾性率ナ
イロン繊維を得るための前駆体となるポリアミドゲル状
物及びその製法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に従来から市販されているナイロン
繊維は、衣料分野やタイヤコードなどの産業資材分野に
おいて幅広く使用されており、それらナイロン繊維はポ
リマーを溶融後、冷風下に吐出して紡糸する、いわゆる
溶融紡糸法によって製造されている。しかし、このよう
な溶融紡糸法において得られる糸状の強度、及び弾性率
は紡糸条件を大幅に変えても、各々高々12g/d、9
0g/dまでしか実現されておらず、この強度の値は炭
素−炭素共有結合の強さから計算される糸状の理論強度
の数パーセントにすぎない。
繊維は、衣料分野やタイヤコードなどの産業資材分野に
おいて幅広く使用されており、それらナイロン繊維はポ
リマーを溶融後、冷風下に吐出して紡糸する、いわゆる
溶融紡糸法によって製造されている。しかし、このよう
な溶融紡糸法において得られる糸状の強度、及び弾性率
は紡糸条件を大幅に変えても、各々高々12g/d、9
0g/dまでしか実現されておらず、この強度の値は炭
素−炭素共有結合の強さから計算される糸状の理論強度
の数パーセントにすぎない。
【0003】従来より、繊維の高強力、高弾性化の手法
として、使用するポリマーの分子量をあげることが広く
知られている。しかしながら、ポリアミドではポリマー
の分子量を高くすると、溶融粘度の著しい上昇及び未溶
融物の増加により、現在の溶融紡糸法では安定な紡糸を
行うことが困難となり、ひいては紡口からの吐出が難し
く、紡糸が不可能となる。また、溶融する際に260℃
以上の温度に加熱するため、ポリマーの酸化分解によっ
て分子量低下が起こり、高分子量のポリアミドをそのま
まの分子量で糸状にすることは出来ず、高分子量の状態
で溶融紡糸ができず、結果として高強力化をはかること
はできない。また、糸状の高配向化も、現状では分子内
及び分子間の絡み合いのために高延伸ができず、飛躍的
な性能の向上は望めないという問題点があった。
として、使用するポリマーの分子量をあげることが広く
知られている。しかしながら、ポリアミドではポリマー
の分子量を高くすると、溶融粘度の著しい上昇及び未溶
融物の増加により、現在の溶融紡糸法では安定な紡糸を
行うことが困難となり、ひいては紡口からの吐出が難し
く、紡糸が不可能となる。また、溶融する際に260℃
以上の温度に加熱するため、ポリマーの酸化分解によっ
て分子量低下が起こり、高分子量のポリアミドをそのま
まの分子量で糸状にすることは出来ず、高分子量の状態
で溶融紡糸ができず、結果として高強力化をはかること
はできない。また、糸状の高配向化も、現状では分子内
及び分子間の絡み合いのために高延伸ができず、飛躍的
な性能の向上は望めないという問題点があった。
【0004】前述のように高強力・高弾性率繊維を得る
手段の1つとして、ポリエチレンにおいて、ゲル紡糸法
が報告されている(特公昭60−47922号公報)。
ゲル紡糸法の特徴は、高分子量ポリマーを用いているの
にも拘わらず、溶媒に溶かすので紡糸原液の粘度が下げ
られ、紡口から安定に吐出することができる。しかも、
ポリマー濃度が低い場合、ポリマーが絡み合いの少ない
状態でゲル化、固化できるので、このあと、繊維の破損
を伴うことなく容易に超延伸を行うことができる。その
結果、高配向繊維が得られ、しかも高分子量ポリマーを
用いているため、分子鎖末端による構造欠陥も少なく、
高強力・高弾性率繊維を得ることができる。
手段の1つとして、ポリエチレンにおいて、ゲル紡糸法
が報告されている(特公昭60−47922号公報)。
ゲル紡糸法の特徴は、高分子量ポリマーを用いているの
にも拘わらず、溶媒に溶かすので紡糸原液の粘度が下げ
られ、紡口から安定に吐出することができる。しかも、
ポリマー濃度が低い場合、ポリマーが絡み合いの少ない
状態でゲル化、固化できるので、このあと、繊維の破損
を伴うことなく容易に超延伸を行うことができる。その
結果、高配向繊維が得られ、しかも高分子量ポリマーを
用いているため、分子鎖末端による構造欠陥も少なく、
高強力・高弾性率繊維を得ることができる。
【0005】ポリアミドにおける高強力・高弾性率繊維
を得る試みとしては、J.Polym.Sci.Pol
ym.Lett.Edn.,15,323にはナイロン
6にLiClを添加して溶融紡糸することによって、弾
性率が130g/dの繊維を得る方法が開示されてい
る。しかしこの方法で紡糸した繊維は熱水中でLiCl
が溶出し、その部分が欠陥となるため弾性率が低下する
という問題がある。また、Polymer,26,19
84には高分子量ナイロン6を蟻酸/クロロホルムに溶
解して乾式紡糸することにより、強度10g/d、弾性
率190g/dの繊維を得ることが開示されているが、
蟻酸のようにポリマーを加水分解する溶媒では、これ以
上の高分子量化の効果は期待できない。この他にも、
J.Appl.Polym.Sci.,24,1979
には、ナイロン6をアンモニアと固相押し出しする方法
が、Polymer、23,1983には、高強力、高
弾性率ナイロン繊維を得るために、ナイロン繊維を多段
でゾーン・アニーリングする方法が開示されているが、
いずれの場合もナイロン6の理論強度及び弾性率の数パ
ーセントしか実現されていない。
を得る試みとしては、J.Polym.Sci.Pol
ym.Lett.Edn.,15,323にはナイロン
6にLiClを添加して溶融紡糸することによって、弾
性率が130g/dの繊維を得る方法が開示されてい
る。しかしこの方法で紡糸した繊維は熱水中でLiCl
が溶出し、その部分が欠陥となるため弾性率が低下する
という問題がある。また、Polymer,26,19
84には高分子量ナイロン6を蟻酸/クロロホルムに溶
解して乾式紡糸することにより、強度10g/d、弾性
率190g/dの繊維を得ることが開示されているが、
蟻酸のようにポリマーを加水分解する溶媒では、これ以
上の高分子量化の効果は期待できない。この他にも、
J.Appl.Polym.Sci.,24,1979
には、ナイロン6をアンモニアと固相押し出しする方法
が、Polymer、23,1983には、高強力、高
弾性率ナイロン繊維を得るために、ナイロン繊維を多段
でゾーン・アニーリングする方法が開示されているが、
いずれの場合もナイロン6の理論強度及び弾性率の数パ
ーセントしか実現されていない。
【0006】一方、特開平2−300236号公報に
は、ナイロン66をN−メチルピロリドン/LiClに
加熱溶解して室温下で放冷することによってゲル状物を
得るということが記載されているが、このゲル状物は溶
媒を除いた後、熱延伸(150℃〜)をして初めて高延
伸が可能であり、溶媒抽出という過程を経てキセロゲル
化しないと、高延伸が実現されていない。
は、ナイロン66をN−メチルピロリドン/LiClに
加熱溶解して室温下で放冷することによってゲル状物を
得るということが記載されているが、このゲル状物は溶
媒を除いた後、熱延伸(150℃〜)をして初めて高延
伸が可能であり、溶媒抽出という過程を経てキセロゲル
化しないと、高延伸が実現されていない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、ポリア
ミド、特にナイロンポリマーを適当な溶媒に溶解し、ゲ
ル化させる、いわゆるゲル紡糸法を用いて得られる従来
にない高強力・高弾性率ナイロン繊維を得るための前駆
体となるポリアミドゲル、及びその製造方法を提供する
ことを目的として鋭意検討した結果以下のことを見いだ
した。即ち、高分子量ナイロンを分子量低下をおこさ
ず、溶媒に溶解し冷却した際、冷却速度によって2つの
異なるゲル状態を得ることを見いだした。しかも、0℃
以下に急冷却させることにより、示差熱量走査計を用い
て求めた融解熱が実質的には観測されず、熱的には完全
無定形体で、しかも脱溶媒することなく500%以上延
伸可能なゲルを生成することができる。
ミド、特にナイロンポリマーを適当な溶媒に溶解し、ゲ
ル化させる、いわゆるゲル紡糸法を用いて得られる従来
にない高強力・高弾性率ナイロン繊維を得るための前駆
体となるポリアミドゲル、及びその製造方法を提供する
ことを目的として鋭意検討した結果以下のことを見いだ
した。即ち、高分子量ナイロンを分子量低下をおこさ
ず、溶媒に溶解し冷却した際、冷却速度によって2つの
異なるゲル状態を得ることを見いだした。しかも、0℃
以下に急冷却させることにより、示差熱量走査計を用い
て求めた融解熱が実質的には観測されず、熱的には完全
無定形体で、しかも脱溶媒することなく500%以上延
伸可能なゲルを生成することができる。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、脂肪族ポリア
ミド、有機溶媒、塩からなるゲル状物であって、示差熱
量走査計を用いて求めた該ゲル状物の融解熱が実質的に
は観測されないことを特徴とするポリアミドゲル状物、
及び、ポリアミドを有機溶媒−塩の混合溶媒系に加熱溶
解後、該原液組成物を冷却しゲル状物を製造する方法に
おいて、該系を0℃以下の温度に20℃/min以上で
急冷却することを特徴とする特許請求範囲第1項記載の
ポリアミドゲル状物の製法、である。
ミド、有機溶媒、塩からなるゲル状物であって、示差熱
量走査計を用いて求めた該ゲル状物の融解熱が実質的に
は観測されないことを特徴とするポリアミドゲル状物、
及び、ポリアミドを有機溶媒−塩の混合溶媒系に加熱溶
解後、該原液組成物を冷却しゲル状物を製造する方法に
おいて、該系を0℃以下の温度に20℃/min以上で
急冷却することを特徴とする特許請求範囲第1項記載の
ポリアミドゲル状物の製法、である。
【0009】本発明に用いられるポリアミドとして特に
著しいゲル化能を有するのは、Poly(imino−
l−oxohexamethylene)(ナイロン
6)、Poly(iminoadipoylimino
hexamethylene)(ナイロン66)、Po
ly(iminoadipoyliminodecam
ethylene)(ナイロン610)、Poly(i
mino−l−oxoundecamethylen
e)(ナイロン11)、Poly(imino−l−o
xododecamethylene)(ナイロン1
2)、Poly(iminotetramethyle
neiminoadipoyl)(ナイロン46)など
の脂肪族ポリアミドである。又、これらポリアミドの重
量平均分子量は10万以上であることが望ましい。重量
平均分子量が10万未満では、延伸性のあるゲルを得る
ために、ポリマー濃度を高くする必要があり、分子鎖の
絡み合いの少ない低濃度領域では、ゲル化しないか、ゲ
ル化してもゲル化速度が極めて遅くなる。
著しいゲル化能を有するのは、Poly(imino−
l−oxohexamethylene)(ナイロン
6)、Poly(iminoadipoylimino
hexamethylene)(ナイロン66)、Po
ly(iminoadipoyliminodecam
ethylene)(ナイロン610)、Poly(i
mino−l−oxoundecamethylen
e)(ナイロン11)、Poly(imino−l−o
xododecamethylene)(ナイロン1
2)、Poly(iminotetramethyle
neiminoadipoyl)(ナイロン46)など
の脂肪族ポリアミドである。又、これらポリアミドの重
量平均分子量は10万以上であることが望ましい。重量
平均分子量が10万未満では、延伸性のあるゲルを得る
ために、ポリマー濃度を高くする必要があり、分子鎖の
絡み合いの少ない低濃度領域では、ゲル化しないか、ゲ
ル化してもゲル化速度が極めて遅くなる。
【0010】この重量平均分子量は例えば、以下の方法
で測定される。すなわち、ポリアミドを20wt%Ca
Cl2 /MeOH溶液に溶解し、40℃、入射光波長6
33nmで光散乱を測定し、Zimmの方法で解析する
ことによって求められる。その際、ポリマー溶液はあら
かじめセルロース半透膜を用い20wt%CaCl2 /
MeOH溶液で透析しDonnan膜平衡に達したもの
を用いる。
で測定される。すなわち、ポリアミドを20wt%Ca
Cl2 /MeOH溶液に溶解し、40℃、入射光波長6
33nmで光散乱を測定し、Zimmの方法で解析する
ことによって求められる。その際、ポリマー溶液はあら
かじめセルロース半透膜を用い20wt%CaCl2 /
MeOH溶液で透析しDonnan膜平衡に達したもの
を用いる。
【0011】一方、ポリマーの濃度は溶液0.5〜30
wt%が好ましい。ポリマーの濃度が高い場合は溶媒系
に溶解しないか、もしくは溶解してゲル化させても、分
子鎖の絡み合いが多くなり超延伸は期待できない。本発
明に用いられる有機溶媒は、以下に述べる金属塩を溶解
することができ、しかも、その金属塩との混合系におい
て、ポリアミドの溶解が可能で、更にポリマーの分解の
原因となる活性プロトンを有さないもので、例えば、ア
ルコール類、ラクタム類、アミド化合物、ウレア化合
物、イミド化合物及びエーテル化合物等が挙げられる。
これらの中でポリアミドの溶解性の観点から特に好まし
いのは、メタノール、エタノール、ベンジルアルコー
ル、N−メチルピロリドン、N,N′ジメチルアセトア
ミド、N,N′−ジメチルホルムアミド、ジメチルスル
ホキシド、γーブチロラクタムである。
wt%が好ましい。ポリマーの濃度が高い場合は溶媒系
に溶解しないか、もしくは溶解してゲル化させても、分
子鎖の絡み合いが多くなり超延伸は期待できない。本発
明に用いられる有機溶媒は、以下に述べる金属塩を溶解
することができ、しかも、その金属塩との混合系におい
て、ポリアミドの溶解が可能で、更にポリマーの分解の
原因となる活性プロトンを有さないもので、例えば、ア
ルコール類、ラクタム類、アミド化合物、ウレア化合
物、イミド化合物及びエーテル化合物等が挙げられる。
これらの中でポリアミドの溶解性の観点から特に好まし
いのは、メタノール、エタノール、ベンジルアルコー
ル、N−メチルピロリドン、N,N′ジメチルアセトア
ミド、N,N′−ジメチルホルムアミド、ジメチルスル
ホキシド、γーブチロラクタムである。
【0012】又、金属塩は周期律表でIA、IIA、I
IIB族のハロゲン化塩、過ハロゲン酸塩及びチオシア
ン酸塩が挙げられ、好ましくは、リチウム、カルシウ
ム、マグネシウム、亜鉛のハロゲン化塩または過ハロゲ
ン酸塩、及び、リチウム、ナトリウム、カリウム、カル
シウムのチオシアン酸塩である。また、添加される塩の
量は混合溶媒中1〜50wt%で、好ましくは1〜20
wt%である。塩濃度が極端に高い場合は、ゲル化ある
いは、固化の後脱塩後、その部分が糸条中にボイドとし
て残留し、糸物性の低下につながる。
IIB族のハロゲン化塩、過ハロゲン酸塩及びチオシア
ン酸塩が挙げられ、好ましくは、リチウム、カルシウ
ム、マグネシウム、亜鉛のハロゲン化塩または過ハロゲ
ン酸塩、及び、リチウム、ナトリウム、カリウム、カル
シウムのチオシアン酸塩である。また、添加される塩の
量は混合溶媒中1〜50wt%で、好ましくは1〜20
wt%である。塩濃度が極端に高い場合は、ゲル化ある
いは、固化の後脱塩後、その部分が糸条中にボイドとし
て残留し、糸物性の低下につながる。
【0013】本発明のゲル状物は、例えば以下の様にし
て製造することができる。まず、金属塩を有機溶媒に溶
解した後、ポリアミドを加え、室温下十分攪拌し分散も
しくは膨潤させたのち、加熱溶解して得た原液組成物を
0℃以下に急冷却する。この時、急冷却する方法は、冷
媒中に原液組成物を直接導いても、又、原液組成物を容
器に入れるなど冷媒と直接接しないよう、間接的に冷却
しても構わない。ただし、原液組成物の内部まで、冷却
速度20℃/min以上で速やかに0℃以下に冷却され
る状態でなければならない。
て製造することができる。まず、金属塩を有機溶媒に溶
解した後、ポリアミドを加え、室温下十分攪拌し分散も
しくは膨潤させたのち、加熱溶解して得た原液組成物を
0℃以下に急冷却する。この時、急冷却する方法は、冷
媒中に原液組成物を直接導いても、又、原液組成物を容
器に入れるなど冷媒と直接接しないよう、間接的に冷却
しても構わない。ただし、原液組成物の内部まで、冷却
速度20℃/min以上で速やかに0℃以下に冷却され
る状態でなければならない。
【0014】このようにして得られた本発明のゲル状物
は示差熱量走査計測定においてベースラインの若干の変
動は見られるものの、融解ピークは観測されず、熱的に
は完全無定形体である。なお、示差熱量走査計の測定に
際しては、生成したゲルを示差熱量走査計用密閉型セル
にサンプリングしても、又、該溶液を密閉型セルに入れ
た後急冷却して、セル中でゲルを生成させて測定しても
構わない。ただし、この時の示差熱量走査計の昇温速度
は2〜5℃/minであり、サンプリング量は約20m
gである。
は示差熱量走査計測定においてベースラインの若干の変
動は見られるものの、融解ピークは観測されず、熱的に
は完全無定形体である。なお、示差熱量走査計の測定に
際しては、生成したゲルを示差熱量走査計用密閉型セル
にサンプリングしても、又、該溶液を密閉型セルに入れ
た後急冷却して、セル中でゲルを生成させて測定しても
構わない。ただし、この時の示差熱量走査計の昇温速度
は2〜5℃/minであり、サンプリング量は約20m
gである。
【0015】
【0016】
【実施例1】重量平均分子量10万のナイロン66を、
23wt%塩化カルシウム/メタノール溶液に加え、室
温下1日攪拌し膨潤させた後、70℃で加熱溶解した。
これにメタノールを徐々に加え、ポリマー濃度10wt
%(対溶液)、塩化カルシウム濃度15wt%(対溶
媒)の溶液を調製した。この溶液15mgを示差熱量走
査計測定セルに詰め、示差熱量走査計中で70℃に5分
間保った後、25℃/minで−60℃まで冷却、更に
20分かけて−150℃まで冷却し、本発明のゲル状物
を製造した。このゲル状物を5℃/minで70℃まで
昇温しその時の示差熱量走査曲線を測定した。測定には
セイコー電子(株)製DSC200を用いた。その結果
図1に示すように、縦軸に吸熱、発熱をとり(下方が吸
熱)、横軸に温度をとると、ベースラインがわずかには
変動するものの、明確なピークは表れず、ゲルの融解ピ
ークは観測されなかった。又、同ゲルを昇温過程中−7
0℃でセル外に取り出し、−70℃の雰囲気下で延伸し
たところ約6倍延伸した。
23wt%塩化カルシウム/メタノール溶液に加え、室
温下1日攪拌し膨潤させた後、70℃で加熱溶解した。
これにメタノールを徐々に加え、ポリマー濃度10wt
%(対溶液)、塩化カルシウム濃度15wt%(対溶
媒)の溶液を調製した。この溶液15mgを示差熱量走
査計測定セルに詰め、示差熱量走査計中で70℃に5分
間保った後、25℃/minで−60℃まで冷却、更に
20分かけて−150℃まで冷却し、本発明のゲル状物
を製造した。このゲル状物を5℃/minで70℃まで
昇温しその時の示差熱量走査曲線を測定した。測定には
セイコー電子(株)製DSC200を用いた。その結果
図1に示すように、縦軸に吸熱、発熱をとり(下方が吸
熱)、横軸に温度をとると、ベースラインがわずかには
変動するものの、明確なピークは表れず、ゲルの融解ピ
ークは観測されなかった。又、同ゲルを昇温過程中−7
0℃でセル外に取り出し、−70℃の雰囲気下で延伸し
たところ約6倍延伸した。
【0017】
【実施例2】重量平均分子量30万のナイロン66を、
23wt%塩化カルシウム/メタノール溶液に加え、室
温下1日攪拌し膨潤させた後、70℃で加熱溶解した。
これにメタノールを徐々に加え、ポリマー濃度10wt
%(対溶液)、塩化カルシウム濃度20wt%(対溶
媒)の溶液を調製した。更に、この原液と20wt%塩
化カルシウム/メタノール溶液を様々な割合で混合し、
ポリマー濃度0.5、1、2、3、4、6、8wt%の
溶液をそれぞれ調製した。同様の操作で塩化カルシウム
濃度12.5、15、17.5wt%でポリマー濃度
0.5〜10wt%の溶液も調製した。
23wt%塩化カルシウム/メタノール溶液に加え、室
温下1日攪拌し膨潤させた後、70℃で加熱溶解した。
これにメタノールを徐々に加え、ポリマー濃度10wt
%(対溶液)、塩化カルシウム濃度20wt%(対溶
媒)の溶液を調製した。更に、この原液と20wt%塩
化カルシウム/メタノール溶液を様々な割合で混合し、
ポリマー濃度0.5、1、2、3、4、6、8wt%の
溶液をそれぞれ調製した。同様の操作で塩化カルシウム
濃度12.5、15、17.5wt%でポリマー濃度
0.5〜10wt%の溶液も調製した。
【0018】上記の原液組成物1mlを2mlのサンプ
ル瓶に入れ、栓をして密封した。サンプル瓶ごとウォー
ターバスに入れ50℃に保った後、−70〜0℃の低温
浴にいれて急冷却した。すると、以下の図2に示す領域
で弾性をもったゲルを30分以内に形成した。また、こ
れらのゲルをサンプル瓶からピンセットで引っ張り上げ
ると最小5倍、最大10倍延伸可能であった。
ル瓶に入れ、栓をして密封した。サンプル瓶ごとウォー
ターバスに入れ50℃に保った後、−70〜0℃の低温
浴にいれて急冷却した。すると、以下の図2に示す領域
で弾性をもったゲルを30分以内に形成した。また、こ
れらのゲルをサンプル瓶からピンセットで引っ張り上げ
ると最小5倍、最大10倍延伸可能であった。
【0019】次に、上記の原液組成物15mgを示差熱
量走査計測定用セルに詰め、示差熱量走査計中で50℃
に5分間保った後、各々図2に示すゲル化領域の温度に
急冷却し30分保ち、上記ゲル状物を製造した。これら
のゲル状物を5℃/minで70℃まで昇温しその時の
示差熱量走査曲線を測定した。測定にはセイコー電子社
製DSC200を用いた。その結果、いずれの場合もゲ
ルの融解ピークは観測されなかった。
量走査計測定用セルに詰め、示差熱量走査計中で50℃
に5分間保った後、各々図2に示すゲル化領域の温度に
急冷却し30分保ち、上記ゲル状物を製造した。これら
のゲル状物を5℃/minで70℃まで昇温しその時の
示差熱量走査曲線を測定した。測定にはセイコー電子社
製DSC200を用いた。その結果、いずれの場合もゲ
ルの融解ピークは観測されなかった。
【0020】
【実施例3】塩化カルシウム48gをメタノール160
gに溶解し、これに重量平均分子量40万のナイロン6
6を31.5g加え、室温下攪拌、膨潤させた。これを
約70℃で加熱溶解したのち、更にメタノール111g
を徐々に追加して、ポリマー濃度9wt%(対溶液)、
塩化カルシウム濃度15wt%(対溶媒)の原液組成物
を調製した。これを約60℃に保って細孔から押し出
し、1cmの空気層を通過させた後、ドライアイス−メ
タノールから成る低温浴に直接導いた結果、原液組成物
は糸状のまま、すみやかにゲル化した。この糸状ゲルを
速やかにあらかじめ−70℃に冷却しておいた示差熱量
走査計用セルに10mg詰めセイコー電子(株)製DS
C200で昇温速度5℃/minで−70℃から70℃
まで昇温し、示差熱量走査曲線を測定した。その結果、
ゲルの融解ピークは観測されなかった。しかも、この糸
状ゲルを浴中で延伸すると、約10倍延伸可能であっ
た。
gに溶解し、これに重量平均分子量40万のナイロン6
6を31.5g加え、室温下攪拌、膨潤させた。これを
約70℃で加熱溶解したのち、更にメタノール111g
を徐々に追加して、ポリマー濃度9wt%(対溶液)、
塩化カルシウム濃度15wt%(対溶媒)の原液組成物
を調製した。これを約60℃に保って細孔から押し出
し、1cmの空気層を通過させた後、ドライアイス−メ
タノールから成る低温浴に直接導いた結果、原液組成物
は糸状のまま、すみやかにゲル化した。この糸状ゲルを
速やかにあらかじめ−70℃に冷却しておいた示差熱量
走査計用セルに10mg詰めセイコー電子(株)製DS
C200で昇温速度5℃/minで−70℃から70℃
まで昇温し、示差熱量走査曲線を測定した。その結果、
ゲルの融解ピークは観測されなかった。しかも、この糸
状ゲルを浴中で延伸すると、約10倍延伸可能であっ
た。
【0021】
【比較例1】重量平均分子量10万のナイロン66を、
23wt%塩化カルシウム/メタノール溶液に加え、室
温下1日攪拌し膨潤させた後、70℃で加熱溶解した。
これにメタノールを徐々に加え、ポリマー濃度10wt
%(対溶液)、塩化カルシウム濃度15wt%(対溶
媒)の溶液を調製した。この溶液を室温下(25℃)で
放冷し、3日間25℃に保ってゲルを生成した。このゲ
ルを示差熱量走査計測定用セルに20mg詰め、セイコ
ー電子(株)製DSC200を用い、昇温速度2℃/m
inで70℃まで昇温しその時の示差熱量走査曲線を測
定した。その結果以下の図3に示すように、7.8mJ
/mgのゲルの融解ピークが観測された。また上記ゲル
をピンセットを用い25℃で引っ張ったところ脆くて破
断してしまった。
23wt%塩化カルシウム/メタノール溶液に加え、室
温下1日攪拌し膨潤させた後、70℃で加熱溶解した。
これにメタノールを徐々に加え、ポリマー濃度10wt
%(対溶液)、塩化カルシウム濃度15wt%(対溶
媒)の溶液を調製した。この溶液を室温下(25℃)で
放冷し、3日間25℃に保ってゲルを生成した。このゲ
ルを示差熱量走査計測定用セルに20mg詰め、セイコ
ー電子(株)製DSC200を用い、昇温速度2℃/m
inで70℃まで昇温しその時の示差熱量走査曲線を測
定した。その結果以下の図3に示すように、7.8mJ
/mgのゲルの融解ピークが観測された。また上記ゲル
をピンセットを用い25℃で引っ張ったところ脆くて破
断してしまった。
【0022】
【比較例2】実施例1と同様の原液組成物を調製し、そ
れを溶解温度(約70℃)から容器ごと1日に5℃ずつ
冷却してその温度に保って観察したところ、以下の図4
の領域でゲルを形成した。しかし、このゲルは、弾性に
乏しく脆くて延伸できなかった。また、ゲル化速度も遅
く、最短でも3時間を要した。しかも、塩化カルシウム
濃度20wt%の原液組成物では、0℃以上では、ゲル
を形成しなかった。
れを溶解温度(約70℃)から容器ごと1日に5℃ずつ
冷却してその温度に保って観察したところ、以下の図4
の領域でゲルを形成した。しかし、このゲルは、弾性に
乏しく脆くて延伸できなかった。また、ゲル化速度も遅
く、最短でも3時間を要した。しかも、塩化カルシウム
濃度20wt%の原液組成物では、0℃以上では、ゲル
を形成しなかった。
【0023】次に、上記のゲルを容器から取り出し15
mgを示差熱量走査計測定用セルに詰め、セイコー電子
社製DSC200を用い、昇温速度2℃/minで10
℃から70℃まで昇温しその時の示差熱量走査曲線を測
定した。その結果、いずれの場合もゲルの融解ピークが
観測された。その際、同じ塩化カルシウム濃度ではポリ
マー濃度に比例して大きな吸熱量が、一方同じポリマー
濃度では塩化カルシウム濃度が小さいほど大きな吸熱量
が観測された。
mgを示差熱量走査計測定用セルに詰め、セイコー電子
社製DSC200を用い、昇温速度2℃/minで10
℃から70℃まで昇温しその時の示差熱量走査曲線を測
定した。その結果、いずれの場合もゲルの融解ピークが
観測された。その際、同じ塩化カルシウム濃度ではポリ
マー濃度に比例して大きな吸熱量が、一方同じポリマー
濃度では塩化カルシウム濃度が小さいほど大きな吸熱量
が観測された。
【0024】
【発明の効果】本発明のポリアミドゲル状物は、脱溶媒
することなく高倍な延伸が可能であり、このゲル状物か
ら得られるポリアミド繊維は、従来にない高強力、高弾
性率ポリアミド繊維となる。
することなく高倍な延伸が可能であり、このゲル状物か
ら得られるポリアミド繊維は、従来にない高強力、高弾
性率ポリアミド繊維となる。
【図1】実施例1のゲル状物の昇温過程における示差熱
量走査曲線。
量走査曲線。
【図2】実施例2のゲル形成領域の相図。
【図3】比較例1のゲル状物の昇温過程における示差熱
量走査曲線。
量走査曲線。
【図4】比較例2のゲル形成領域の相図。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 // C08L 77:06
Claims (2)
- 【請求項1】 脂肪族ポリアミド、有機溶媒、塩からな
るゲル状物であって、示差熱量走査計を用いて求めた該
ゲル状物の融解熱が実質的には観測されないことを特徴
とするポリアミドゲル状物。 - 【請求項2】 ポリアミドを有機溶媒−塩の混合溶媒系
に加熱溶解後、該原液組成物を冷却しゲル状物を構造す
る方法において、該系を0℃以下の温度に20℃/mi
n以上で急冷却することを特徴とする請求項1記載のポ
リアミドゲル状物の製法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2251192A JPH05214242A (ja) | 1992-02-07 | 1992-02-07 | ポリアミドゲル状物及びその製法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2251192A JPH05214242A (ja) | 1992-02-07 | 1992-02-07 | ポリアミドゲル状物及びその製法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH05214242A true JPH05214242A (ja) | 1993-08-24 |
Family
ID=12084790
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2251192A Withdrawn JPH05214242A (ja) | 1992-02-07 | 1992-02-07 | ポリアミドゲル状物及びその製法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH05214242A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2011513571A (ja) * | 2008-03-13 | 2011-04-28 | スティヒティング ダッチ ポリマー インスティテュート | 低減された結晶性を有するポリアミド |
-
1992
- 1992-02-07 JP JP2251192A patent/JPH05214242A/ja not_active Withdrawn
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2011513571A (ja) * | 2008-03-13 | 2011-04-28 | スティヒティング ダッチ ポリマー インスティテュート | 低減された結晶性を有するポリアミド |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 19990518 |