JP2763786B2 - 高弾性率ポリアミド線状体及びその製造方法 - Google Patents

高弾性率ポリアミド線状体及びその製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) この発明は、タイヤコードなどの産業資材、複合材料
として用い得る高弾性率ポリアミド線状体に関するもの
である。
(従来の技術) 従来、ナイロン6、ナイロン66等の脂肪族ポリアミド
繊維の弾性率は、およそ40〜60g/dであった。このた
め、例えば、タイヤコード等に用いる場合には、バイア
スタイヤのように高弾性率の必要でないものには使用で
きたが、ラジアルタイヤのように高弾性率の必要なもの
には使用できなかった。しかし、脂肪族系ポリアミド繊
維は、ポリエステル繊維等の他の素材に比べ、耐疲労性
や接着性、耐熱性が優れるため、ポリアミド繊維の高弾
性率化が望まれている。
これまで、高強力・弾性率の脂肪族系のポリアミド
は、主に溶融糸法で検討されてきた。例えば、特開昭60
−34615には、高強力、高弾性率の脂肪族ポリアミド繊
維が開示されている。この繊維は、初期弾性率55g/d以
上であることなどを特徴としている。そして、これを製
造する方法として、常法で得られた延伸糸を定延伸張力
下で、比較的低周波数の振動を付与しつつ延伸すること
を特徴としている。そして、その最高の物性は、実施例
2に、硫酸相対粘度3.5のナイロン6を溶融紡糸した
後、延伸倍率6.0倍の熱延伸により得られた延伸糸を定
張力下で110Hzの振動を付与した後180℃で熱処理し、最
高値の初期弾性率63.1g/d切断伸度18.4%を得たことを
示している。
また、超高分子量のポリアミドを用いた繊維の製造方
法に関する報告もある。
例えば、特開昭60−162807号報には、湿式紡糸法を用
いた高強力ナイロン6フィラメントの製造方法が開示さ
れている。その方法は、硫酸相対粘度5.0以上、分子量
分布値Mw/Mnが6.5以下のナイロン6を、エアギャップを
設けて湿式紡糸し、得られた繊維を熱延伸することを特
徴としている。そして、その実施例1において、相対粘
度6.5(数平均分子量=約4万)のナイロン6ポリマー
を96%蟻酸水溶液に30wt%溶解し、湿式紡糸し、この繊
維を8倍に熱延伸して、最高物性値として初期弾性率5
2.0g/dが得られたことが示されている。
また、POLYMER,26,1394(1985)に、乾式紡糸法によ
るナイロン6の高弾性率繊維について記載されている。
そして、重量平均分子量2.6×106のナイロン6を用い、
乾式紡糸した繊維を延伸倍率10倍に熱延伸することによ
り、初期弾性率19GPa(約190g/d)、切断伸度7.3%が得
られたことが示されている。しかし、この方法で得られ
た繊維は、初期弾性率は高いものの伸度が低い。
一方、剛直鎖を持った高弾性率の繊維として、芳香族
系のポリアミドが知られている。例えば、特開昭63−24
3330号報の実施例2に硫酸溶媒を用い液晶紡糸し、弾性
率883g/d、伸度2.8%のものを得たことが記載されてい
る。
このように、アラミドは高弾性率ではあるが、伸度が
非常に小さい繊維であり、さらに、この繊維はフィブリ
ル化しやすく、耐疲労性が悪く、また、接着性も悪いな
ど多くの性能上の問題を持っている。また、紡糸原液と
して濃硫酸を使用するなど製造上にも問題がある。
近年、高強力・高弾性率繊維の製造方法として、ゲル
紡糸法が発明された。例えば、特公昭60−47922号報に
開示されている。この方法は超高分子量のポリエチレン
をデカリンに溶解することにより分子鎖のからみを一旦
解きほぐし、分子間のからみを最小限にする。そして、
この溶液をゲル化することにより、分子間のからみを増
加することなく固化する。こうすることにより超延伸が
可能となり、分子鎖を繊維軸方向に高配向することがで
きる。そして、高強力高弾性率のポリエチレンを得るこ
とができる。
この方法をポリアミドに応用すれば、ポリアミドの高
強力・高弾性率化が可能であると考えられる。
しかし、これまで各種のポリマーについてゲル紡糸法
の応用が検討されてきたが、ポリオレフィン系、ポリビ
ニルアルコールの例の報告は知られているが、ポリアミ
ドのゲル紡糸法については、これまで成功したという報
告はなされていない。
なお、ゲル紡糸法に似た方法として、前述したように
POLYMER,26,1394(1985)にナイロン6の乾式紡糸法、
特開昭60−162807号報にはナイロン6の湿式紡糸法が示
されている。しかし、これらの方法は、ゲル紡糸法と
は、全く違う。
また、ナイロン6/LiClを用いて溶融紡糸し高弾性率の
繊維を得たことが報告されている。例えば、特開昭52−
56151号報に少なくとも1000kg/mm2(約100g/d)の弾性
率を持つ脂肪類のポリアミド繊維が開示されている。こ
の実例2にナイロン6に4wt%のLiClを添加したポリマ
ーを用いて溶融紡糸し、紡糸ドラフト5で得た繊維を熱
延伸した後17日間160℃で熱処理し、約5000kg/mm2(約5
00g/d)の弾性率の繊維を得ている。しかし、この弾性
率の値は乾燥した状態で測定されているために、このよ
うに高い値が出ているのであり、吸湿した状態で測定さ
れれば弾性率は低いものとなったはずである。また、こ
れに関して、骨分子加工,12,2(1981)“LiClを加えた
ナイロン6の欠点、そのために吸湿性が高くなり、再乾
燥しなければ弾性率が低下してしまうことである。液体
の水と接触すればLiClは溶出し、その効果は、消失す
る。”と記載されている。つまり、この繊維は、LiClの
作用により高弾性率を得ているのであり、その作用がな
くなると高弾性率を維持できないものである。
(発明が解決しようとする課題) 従って、本発明の解決しようとする課題は、高弾性率
の脂肪族ポリアミドを提供することにあり、また屈曲性
の分子鎖を持ったポリアミドを超延伸により高弾性率化
する方法を提供するものである。
(課題を解決するための手段) この発明にかかわる高弾性率ポリアミド線状体は、以
上のような課題を解決するものであって、次のようなも
のである。
すなわち、本発明は、数平均分子量10万以上のポリア
ミド重合体からなり、初期弾性率が80g/d以上、切断伸
度10%以上である高弾性率ポリアミド線状体であり、こ
の線状体は数平均分子量10万以上のポリアミド重合体溶
液を冷却固化させることにより未延伸体とし、この未延
伸体を延伸することにより製造することことができる。
本発明でいうポリアミド重合体は、ポリヘキサメチレ
ンアジパミド(ナイロン66)、ポリカプラミド(ナイロ
ン6)、ポリウンデカノアミド(ナイロン11)、ポリヘ
キサメチレンセバカミド(ナイロン610)、ポリテトラ
メチレンアジパミド(ナイロン46)、ポリウンデカメチ
レンアジパミド(ナイロン116)などの脂肪族系ポリア
ミドまたは、これらの二種以上を組み合わせてなるポリ
アミドである。また、脂肪族系ポリアミドは、他のポリ
マーを15%以下含む共重合あるいは、混合物であっても
良い。
本発明にかかわるポリアミドの数平均分子量は、10万
以上でなければならない。数平均分子量が、10万未満で
は溶媒をいかに選んでも、ゲル化のためには、ポリマー
濃度を極端に高くする必要がある。このため、分子鎖の
からみが増え超延伸が困難になり、また延伸時に分子末
端の擦り抜けが生じ、超延伸ができない。従って、数平
均分子量の好ましい範囲は、10万〜200万で、好ましく
は、12万〜200万、更に好ましくは15〜200万である。
前記ポリアミドの数平均分子量は、粘度測定法又は後
述するような末端基定量法によって測定されるものであ
る。
数平均分子量10万以上の超高分子量のポリアミドは、
以下のようにして製造できる。詳しくは、特願昭63−11
3491に記載された方法に準拠して製造することができ
る。
まず、溶融重合などにより、数平均分子量が1万〜2
万で、かつ末端カルボキシル基濃度と末端アミド基濃度
との差−15〜+15mg eq/kg、かつ末端アミド基濃度と末
端カルボキシル基濃度との比が0.6<(〔NH2〕/〔−CO
OH〕)<1.1であるプレポリマーを製造する。両末端基
濃度差及び比をこの範囲になるようにするには、モノマ
ー(ジアミンとジカルボン酸)の仕込み量比の調節や重
合条件の調節などで行う。
このプレポリマーの製造時に、次亜燐酸ソーダなどの
重合触媒を添加することが好ましい。
次に、得られたプレポリマーをそのポリマーの融点に
近い温度で、例えばナイロン66では200〜240℃のの温度
で十時間加熱し固相重合することにより所定の数平均分
子量のポリマーが製造される。固相重合においては、真
空下または窒素などの不活性ガス中で行う。
この発明のポリアミド線状体の弾性率は、80g/d以上
であり、かつ切断伸度は、10%以上である。このよう
に、高い弾性率であるため、例えば、ラジアルタイヤ用
の補強材として用いることができる。また、切断伸度が
高いため、耐疲労性に優れている。
そして、この発明のポリアミド線状体は、強度が10g/
dを越えるものが得られる。このような物性を持ってい
るので、現在タイヤコードに用いられている既存のポリ
エステルや、あるいはアラミドに比べて、耐疲労性やタ
フネスなどの特性が優れているものである。さらに、好
ましくは、強度15g/dを越えるものである。
この発明のポリアミド線状体は、上記の物性を持って
いるため、タフネスが高く、耐疲労性に優れている。
これらのポリアミドには必要に応じて熱安定剤、酸化
防止剤、光安定剤、顔料、触媒、艶消し剤などの添加剤
を配合してもよい。
次に、本発明にかかわる高弾性率ポリアミド線状体の
製造方法は、数平均分子量10万以上のポリアミド重合体
を溶媒に溶解し溶液(原液)とする。この溶液(原液)
を冷却し固化させることにより未延伸体とする。この未
延伸体をそのまま延伸するか、あるいはこの未延伸体か
ら溶媒を実質的に除去した後延伸することを特徴とする
高弾性率ポリアミド線状体の製造方法である。以下、こ
れについて詳細に説明する。
本発明にかかわる溶媒は、数平均分子量10万以上のポ
リアミドを溶解し得るものであればよい。従って、溶媒
は、次に示す溶媒あるいは、これらの溶媒と塩とを組み
合わせた溶媒である。
すなわち、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、N
−エチル−2−ピロリドン、N−メチル−ピペリドン、
N−エチル−ピペリドン、N,N−ジメチルアセトアミ
ド、N−メチル−N−エチルアセトアミド、N,N−ジエ
チルアセトアミド、N−アセチルピペリジン、N−アセ
チルピロリジン、N−アセチルモルフォリン、N−アセ
チルピロリドン、N−アセチルピペリドン、1,5−ジメ
チルピロリジノンなどのアミド系溶媒、1,3−ジメチル
−2−イミダゾリジノン(DMI)、1,3−ジメチル−4,5,
6(H)−2−ピリミジノン、テトラメチルウレアなど
ウレア系溶媒、N−メチルコハク酸イミド、N−アセチ
ルコハク酸イミドなどのイミド系溶媒、テトラヒドロフ
ランなどのエーテル系溶媒、メタノール、エタノール、
ベンジルアルコール、フルフリルアルコールなどのアル
コール系溶媒、フェノール、オルトクロロフェノール、
m−クレゾールなどのフェノール系溶媒などからなる群
の中から選ばれる一種または複数の溶媒からなる溶媒で
ある。
上記溶媒の中で好ましい溶媒は、ポリアミド重合体を
溶解する時に、ポリマーの分解を引き起こしにくいアミ
ド系溶媒、ウレア系溶媒、イミド系溶媒、アルコール系
溶媒である。
その中でも、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、
N−エチル−2−ピロリドン、1,5−ジメチルピロリジ
ノン、N−アセチルピペリジン、N−アセチルモルフォ
リン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジンノン(DM
I)、1,3−ジメチル−4,5,6(H)−2−ピリミジノ
ン、N−メチルコハク酸イミド、N−アセチルコハク酸
イミド、メタノール、エタノールからなる溶媒系が、ポ
リアミドの溶解能力が高く、かつ加溶媒分解を引き起こ
しにくいので更に好ましい。
その中でも最も好ましいものは、N−メチル−2−ピ
ロリドン、1,5−ジメチル−2−ピロリジノン、N−ア
セチルピペリジン、N−アセチルモルフォリン、1,3−
ジメチル−2−イミダゾリジノンおよび1,3−ジメチル
−4,5,6(H)−2−ピリミジノンである。更に好適に
は、N−メチル−2−ピロリドン、N−アセチルピペリ
ジン、N−アセチルモルフォリンおよび1,3−ジメチル
−2−イミダゾリジノンである。
また、塩は、周期表のI a族、I b族、II a族、II b
族、III a族、IV族元素のハロゲン化物、または過ハロ
ゲン化物であって、ともに用いる溶媒系に可溶でなけれ
ばならない。
好ましい塩は、リチウム、カルシウム、マグネシウ
ム、亜鉛、アルミニウム、硼素、および鉄のハロゲン化
物、または過ハロゲン化物である。
塩の作用としては、ポリマーの溶媒への溶解性の向上
(溶解温度の低下)、溶液のゲル化温度の低下、溶液の
曳糸性の向上などが期待できる。また、塩がポリマーに
作用することによりポリマー中の水素結合力が弱まり延
伸時に超延伸が容易となる。塩がポリマーに作用すると
結晶の融点が低下し延伸に必要な温度を低くすることが
可能となる。
このため、塩は、ポリアミドのアミド基に対して、0
〜100mol/mol添加する。好ましくは、0.01〜60mol/mol
添加する。更に好ましくは、0.05〜2mol/mol添加する。
好適には、0.1〜1mol/mol添加する。
前記の溶媒に前記の超高分子量ポリアミド重合体を加
え、溶媒の沸点以下の温度下で加熱溶解して、原液を調
製する。この際に、溶媒、塩、ポリマーは、使用前に脱
水、乾燥し、その水分率を極力少なくしておくことが望
ましい。そして、溶解操作も乾燥窒素中などで行うのが
好ましい。なぜなら、溶解時の加熱によりポリマーが加
水分解し、分子量の低下を起こすからである。溶解はヘ
リカル翼やニーダー等を用いてある程度の剪断をかけて
溶解すればよい。ただし、剪断力が強すぎるとポリマー
の分子鎖を切断するため好ましくない。
本発明のポリアミドと溶媒の重量比は、ポリアミド原
液の粘性を得るためにポリアミドの分子量によって変化
させ得るが、通常0.1〜60wt%であり、好ましくは0.5〜
30wt%である。更に好ましくは1〜15wt%である。
この原液をゲル化する温度以上の温度に保ち、この原
液を細孔から吐出する。この吐出した線状体を冷却して
固めて、ゲル状の線状体を得る。
冷却は、空冷するか、あるいは冷媒を用いて冷却す
る。冷媒としては、原液の溶媒及び塩を実質的に溶解し
ないものを選ぶことが分子鎖のからみを増大させないた
め好ましい。しかし、より急冷するためには、原液の溶
媒を冷媒で置換してもよく、この時は、スキン−コア構
造が発生しにくい冷媒組成のものを用いなければならな
い。また、原液の吐出孔と冷媒の間に空間を設けること
により、吐出孔の詰まりを防ぐことができる。
次に、冷却して得られたゲル状の線状体をこのまま延
伸するか、あるいは、溶媒を除去した線状体(キセロゲ
ル線状体)を延伸する。
溶媒を除去する場合は、塩をポリアミド中に残してお
くこしが望ましい。なぜなら、塩は、ポリアミドのアミ
ド基に作用し、水素結合力を緩和させる効果があり、後
の延伸が容易になるからである。
このようにポリマー中に塩を残すには、塩を溶解しな
い抽出溶媒により、ゲル状線状体から溶媒を抽出する
か、あるいはゲル状線状体の溶媒を蒸発させれば良い。
ゲル状線状体の溶媒のみを溶解し、塩を実質的に溶解
しない溶媒としては、例えば、文献“Solbilities of I
norganic and Metalorganic Compounds"などを参考にす
れば良い。例えば、NMP/LiCl系の溶媒ならば、酢酸エチ
ルやベンゼンなどを選ぶことができる。また、抽出溶媒
に塩を加えておいても良い。
次に延伸を行うが、その延伸温度は、溶媒を含んだま
ま行う場合には、そのゲル状線状体の溶解する温度(ゾ
ル化温度)以下の温度で行う。そして、溶媒が絞り出さ
れるに従って、その延伸温度を高くする。
また、溶媒を除去したキセロゲル線状体を延伸する場
合は、その融解温度に近い温度で行うのが良い。
なお、塩がポリアミド中に残存している場合は、残存
している塩量により、ポリマーの結晶の融解温度が低下
する。この結晶融解温度は、DSCを用いて吸熱ピークと
して、測定することができる。延伸は、このピークのな
くなる温度より下で行うのが良い。なお、この温度は、
延伸によっても変化するので、多段で延伸する場合は、
その延伸前の結晶融解温度により決めることができる。
延伸は、一段あるいは多段で行えば良いが、温度を変
えて多段で延伸する方が延伸倍率が高くなり好ましい。
また、加熱は、非接触または、接触ヒーター等を用い
て行えば良いが、非接触ヒーターを用いる方が均一に加
熱でき好ましい。
延伸倍率は、6倍を越える倍率で行えば良い。好まし
くは、10倍を越える倍率で行う。さらに好ましくは、15
倍以上の延伸倍率で行う。これにより、分子鎖が配向
し、高弾性率のポリアミド線状体が得られる。なお、多
段で延伸を行う場合は、各段の延伸倍率を掛合わせた全
延伸倍率が6倍を越えるように設定すれば良い。また、
塩を含んだ線状体を延伸する場合は、脱塩前後の各段の
延伸倍率を掛け合わせた全延伸倍率が、6を越えるよう
に設定すれば良い。
なお、ポリマー中に塩を含んでいる場合は、塩を含ん
だ状態で延伸した後、塩量が100ppm以下になるように塩
を除去しなければならない。なぜなら、塩がポリマー中
に含まれると、吸湿性が増し、弾性率が低下するなどの
問題を生じ、タイヤコード等の産業用資材に使用できな
いからである。
ポリマー中の塩を除去するには、塩を溶解し、ポリマ
ーを溶解しない溶媒によって塩を抽出すれば良い。例え
ば、LiCl/N66の場合では、メチルアルコールや水を用い
て抽出することができる。
そして、このように塩を抽出した場合には、その後、
熱処理あるいは、熱延伸することが好ましい。
延伸温度は、ポリマーの融点とガラス転移点の間の温
度で行うが、融点に近い温度を採用することが望まし
い。これにより、脱塩時に生じた欠陥などなくすことが
できる。
以下に、この発明の特性の測定法を示す。
弾性率、伸度 試料を東洋ボールドウィン(株)製のテンシロンを用
いて、糸長25cm、引張り速度30cm/分で測定した。
数平均分子量 数平均分子量の同定法(特願昭63−110059号記載の末
端基濃度測定法に準ずる。) (1) 機器 自動電位差滴定計 比較電極としてスリーブ型電極、 内部液として30wt%のLiClのメタノール溶液を使用す
る。
滴定溶液として1/100N塩酸を使用する。
(2) 試料の調製 窒素ガス導入管およびソーダ石灰管を取り付けたセパ
ラブルフラスコ中に、窒素雰囲気下で秤量したポリアミ
ド約1gを、窒素を流通しながら入れる。続いて蒸留した
メタノールとCa(OH)を微量含む無水CaCl2から調製
したメタノール溶液を100cc加える。
ウォーターバス中で、窒素気流下にて撹拌しながら、
ポリアミド溶液を65℃に昇温し、5時間この状態を保
ち、ポリアミドを完溶させる。その後更に蒸留したメタ
ノールを100cc加えて、被滴定溶液(ポリマー濃度0.5g/
dl)の調製を終了する。
被滴定溶液調製時に用いた無水CaCl2のメタノール100
ccを計量し空試験用被滴定溶液とする。
塩酸の1/100Nエタノール溶液を窒素雰囲気下で調製
し、滴定溶液とする。
(3) 滴 定 調製した被滴定溶液よおび空試験用被滴定溶液を調製
した滴定溶液を用いて室温で滴定する。滴下条件は自動
間欠滴定とし、電極を浸漬してから滴定開始までの待ち
時間を5分とする。
第1図のような二つの滴定曲線を得た後、(I)およ
び(II)式に従って末端基濃度を算出する。
A:被滴定溶液中のポリアミド重量(kg) a:空試験用被滴定溶液の第1中和点までに要した滴定溶
液中の強酸の量(mg当量) b:被滴定溶液の第1中和点までに要した滴定溶液中の強
酸の量(mg当量) c:空試験用被滴定溶液の第2中和点までに要した滴定溶
液中の強酸の量(mg当量) d:被滴定溶液の第2中和点までに要した滴定溶液中の強
酸の量(mg当量) 以上の方法で、3回測定を行い、その平均値を求めて
各末端基濃度の値とした。
末端基濃度の値から(III)式に従って、数平均分子
量(Mn)を算出する。
(実施例) 実施例1 数平均分子量15万のポリヘキサメチレンアジパミド
(N66)を10部、N−2−メチルピロリドン(NMP)を10
0部、そして、無水の塩化リチウム(LiCl)をN66のアミ
ド基に対して0.5mol/molを混合した。これを160℃で加
熱溶解し均一な原液を得た。
この原液を160℃で直径0.5mmの細孔から1g/分の吐出
量で紡出した。紡出した原液を空気層を通して、25℃の
ケロシン浴中に導き冷却した。冷却によりゲル状たとな
った線状体を引取りロールに引き取り、次に、この線状
体から酢酸エチルでNMPを抽出する工程を通した後、乾
燥し、巻き取った。
このキセロゲル線状体は、LiClをアミド基に対して0.
4mol/mol含んでいた。このキセロゲル線状体を210℃で
8倍に延伸した。次に、定長下でこの延伸した線状体か
らLiCl塩をメチルアルコールを用いて抽出した。さら
に、この線状体を210℃で2.5倍延伸した。
得られた線状体の初期弾性率は90g/d、切断伸度は13.
2%であった。
(効果) この発明により、高弾性率のポリアミド線状体提供す
ることができる。
この繊維は、既存の高弾性率の繊維に比べて、耐疲労
性が高く、またタフネスも大きいなど非常に優れた特性
を持った繊維である。
従って、これを例えば、タイヤコードに用いる場合、
これまでポリアミドはバイアスタイヤにしか使用できな
かったが、スチールが用いられていたラジアルタイヤ用
にも使用できるようになり、タイヤの軽量化がはかれる
などその効果は非常に大きなものである。
また、この発明は、このような高弾性率ポリアミド線
状体の新規な製造方法を提供するものである。
【図面の簡単な説明】 第1図は、数平均分子量の同定法における末端基の電位
差滴定曲線の例を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭60−36210(JP,A) 特開 昭63−243330(JP,A) 特開 昭52−56151(JP,A) 特公 昭60−47922(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) D01F 6/60

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】数平均分子量10万以上の脂肪族系ポリアミ
    ド重合体からなり、初期弾性率が80g/d以上、切断伸度1
    0%以上である高弾性率ポリアミド線状体
  2. 【請求項2】数平均分子量10万以上の脂肪族系ポリアミ
    ド重合体溶液を冷却固化させることにより未延伸体と
    し、この未延伸体を延伸することを特徴とする高弾性率
    ポリアミド線状体の製造方法
JP1120368A 1989-05-16 1989-05-16 高弾性率ポリアミド線状体及びその製造方法 Expired - Fee Related JP2763786B2 (ja)

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