JPH05214210A - 熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

熱可塑性樹脂組成物

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JPH05214210A
JPH05214210A JP4768192A JP4768192A JPH05214210A JP H05214210 A JPH05214210 A JP H05214210A JP 4768192 A JP4768192 A JP 4768192A JP 4768192 A JP4768192 A JP 4768192A JP H05214210 A JPH05214210 A JP H05214210A
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JP
Japan
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weight
resin
acid
meth
macromonomer
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JP4768192A
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English (en)
Inventor
Katsufumi Suga
克文 菅
Hiroaki Yoshitomi
博明 吉冨
Takashiro Azuma
貴四郎 東
Takashi Tsuda
隆 津田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toagosei Co Ltd
Eneos Corp
Original Assignee
Toagosei Co Ltd
Nippon Petrochemicals Co Ltd
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  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 耐衝撃性、耐熱性、耐薬品性、成形性および
寸法安定性に優れ、しかも良好な成形品外観を有する熱
可塑性樹脂組成物を提供する。 【構成】 (I)ABS系樹脂99〜1重量%、(II)
芳香族ポリエステル樹脂またはポリアミド樹脂から選ば
れた少なくとも1種の樹脂1〜99重量%と、上記
(I)+(II)100重量部に対して、(III)下記
(a)〜(c)からなるオレフィン系グラフト共重合体
0.1〜50重量部、を配合したことを特徴とする熱可
塑性樹脂組成物。オレフィングラフト共重合体; (a)オレフィンモノマー単位30〜99.5重量%: (b)数平均分子量が2,000〜20,000の重合
体の片末端に(メタ)アクリロイル基を有するマクロモ
ノマー単位0.5〜70重量%: (c)他のラジカル重合性モノマー単位0〜40重量
%:

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、優れた耐衝撃性、耐薬
品性、成形性、寸法安定性および成形品外観を有する熱
可塑性樹脂組成物に関するもので、工業部品、電気およ
び電子機械部品、自動車部品等の広い分野で使用される
ものである。
【0002】
【従来の技術】近年、エンジニアリングプラスチックに
対しては、種々の新しい機能が求められ様々な試みがな
されている。その一つとして、複数のエンジニアリング
プラスチックを組合せ、それぞれの長所を生かした組成
物がポリマーアロイとして知られている。例えば、AB
S系樹脂と芳香族ポリエステル樹脂のアロイが知られて
おり、これはABS系樹脂の欠点である耐薬品性の悪さ
を芳香族ポリエステル樹脂で補い、さらに耐熱性を付与
しようとしたものである。また、観点をかえると芳香族
ポリエステル樹脂の耐衝撃性をABS系樹脂によって改
良することでもある。同様にABS系樹脂とポリアミド
樹脂のそれぞれの特徴を生かしたアロイも考えることが
できる。
【0003】しかし、この2つの樹脂は相互に分散し難
く、特開昭51−42794号公報によれば芳香族ポリ
エステル樹脂に対してABS系樹脂が10重量%以上に
なると両樹脂は混合できないと述べられている。特開昭
60−63250号公報には分散を良好ならしめる方法
として変性ポリオレフィンを併用する例が開示されてい
る。この方法で両樹脂の相溶性は改良されるが、それで
もなお混合物の剛性、耐衝撃性、荷重たわみ温度(he
at distortion temperatur
e)等の改善が不十分である。一方、ABS系樹脂とポ
リアミドについては混合例は殆ど無く、両樹脂の相溶性
が改善出来るなら有用な材料が提供できる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、かかる従来
技術の課題を解決すべくなされたもので、耐衝撃性、耐
熱性、耐薬品性、成形性および寸法安定性に優れ、しか
も良好な成形品外観を有する熱可塑性樹脂組成物を提供
することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記の課題
を解決すべく鋭意研究した結果、特定構造のオレフィン
グラフト共重合体を配合することにより相溶性を改良
し、それぞれの樹脂の特徴を維持しつつ、耐衝撃性、耐
薬品性、寸法安定性、成形品外観の優れた組成物が得ら
れることを見いだし本発明を完成させるに至った。
【0006】すなわち、本発明は、(I)ABS系樹脂
99〜1重量%、(II)芳香族ポリエステル樹脂または
ポリアミド樹脂から選ばれた少なくとも1種の樹脂1〜
99重量%と、上記(I)+(II)100重量部に対し
て、(III)下記(a)〜(c)からなるオレフィン系
グラフト共重合体0.1〜50重量部、を配合したこと
を特徴とする熱可塑性樹脂組成物。オレフィングラフト
共重合体; (a)オレフィンモノマー単位30〜99.5重量%: (b)数平均分子量が2,000〜20,000の重合
体の片末端に(メタ)アクリロイル基を有するマクロモ
ノマー単位0.5〜70重量%: (c)他のラジカル重合性モノマー単位0〜40重量
%:
【0007】本発明で用いるABS系樹脂は、共役ジエ
ン系ゴムの存在下で、シアン化ビニル化合物、芳香族ビ
ニル化合物および不飽和カルボン酸アルキルエステル化
合物から選択された2種以上の化合物を重合させて得ら
れるグラフト共重合体(a)である。また必要に応じて
シアン化ビニル化合物、芳香族ビニル化合物および不飽
和カルボン酸アルキルエステル化合物から選択された2
種以上の化合物を重合させて得られる共重合体(b)を
含有することができる。グラフト共重合体(a)におけ
る共役ジエン系ゴムと上述の化合物との組成比は特に制
限はないが、共役ジエン系ゴム5〜80重量%、上述の
化合物95〜80重量%の組成比が好ましい。また上述
の化合物の組成比はシアン化ビニル化合物0〜30重量
%、芳香族ビニル化合物30〜80重量%、不飽和カル
ボン酸アルキルエステル化合物0〜70重量%であるこ
とが好ましい。なお、共役ジエン系ゴムの粒子径は特に
制限はないが、0.05〜1μmのものが好ましい。共
重合体(b)の上述の化合物の組成比はシアン化ビニル
化合物0〜30重量%、芳香族ビニル化合物50〜90
重量%、不飽和カルボン酸アルキルエステル化合物0〜
40重量%であることが好ましい。共重合体(b)の固
有粘度[30℃、ジメチルホルムアミド(DMF)]に
も特に制限はないが、0.25〜1.0dl/gが好ま
しい。
【0008】共役ジエン系ゴムとしては、ポリブタジエ
ン、ブタジエン−スチレン共重合体、ブタジエン−アク
リロニトリル共重合体等を挙げることができる。シアン
化ビニル化合物としては、アクリロニトリル、メタアク
リロニトリル等を、芳香族ビニル化合物としては、スチ
レン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、ジメチル
スチレン、クロルスチレン等を、不飽和カルボン酸アル
キルエステル化合物としては、メチルアクリレート、エ
チルアクリレート、ブチルアクリレート、メチルメタク
リレート、ヒドロキシエチルアクリレート等を挙げるこ
とができる。ABS系樹脂の製造方法としては、乳化重
合法、懸濁重合法、溶液重合法、塊状重合法、乳化−懸
濁重合法等を挙げることができる。
【0009】本発明で用いる芳香族ポリエステル樹脂と
は、芳香環を重合体の連鎖単位に有するポリエステル
で、芳香族ジカルボン酸(あるいはそのエステル形成性
誘導体)とジオール(あるいはそのエステル形成性誘導
体)とを主成分とする縮合反応により得られる重合体な
いし共重合体である。
【0010】ここで言う芳香族ジカルボン酸としては、
テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2,6−ナフ
タレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン
酸、ビス(p−カルボキシフェニル)メタン、アントラ
センジカルボン酸、4,4′−ジフェニルジカルボン
酸、4,4′−ジフェニルエーテルジカルボン酸、1,
2−ビス(フェノキシ)エタン4,4′−ジカルボン酸
あるいはそれらのエステル形成性誘導体等が挙げられ
る。またジオール成分としては、炭素数2〜10の脂肪
族ジオール、すなわちエチレングリコール、プロピレン
グリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグ
リコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサ
ンジオール、デカメチレンジグリコール、シクロヘキサ
ンジオール等、あるいは分子量400〜6,000の長
鎖グリコール、すなわちポリエチレングリコール、ポリ
−1,3−プロピレングリコール、ポリテトラメチレン
グリコール等およびそれらの混合物が挙げられる。
【0011】本発明で使用される好ましい熱可塑性芳香
族ポリエステル樹脂としては、具体的にはポリエチレン
テレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリ
ブチレンテレフタレート、ポリヘキサメチレンテレフタ
レート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート、ポリエ
チレン−1,2−ビス(フェノキシ)エタン−4,4′
−ジカルボキシレート等が挙げられる。さらに好ましく
は、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフ
タレートである。これらの熱可塑性芳香族ポリエステル
樹脂の固有粘度は、トリフルオル酸(25)/塩化メチ
レン(75)100ml中、0.32gの濃度として2
5±0.1℃下に測定される。好ましくは固有粘度が
0.4〜4.0dl/gである。0.4dl/g未満で
あると熱可塑性芳香族ポリエステル樹脂が十分な機械的
強度を発現できず好ましくない。また、4.0dl/g
を超えると、溶融時の流動性が低下し、成形物の表面光
沢が低下するため好ましくない。
【0012】本発明で用いるポリアミド樹脂とは、ナイ
ロン6、ナイロン6.6、ナイロン6.10、ナイロン
6.12、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン4.
6等のような脂肪族系ポリアミド樹脂:ポリヘキサメチ
レンジアミンテレフタルアミドポリヘキサメチレンジア
ミンイソフタルアミド、キシレン基含有ポリアミドのよ
うな芳香族系ポリアミド樹脂およびそれらの変性物また
はそれらの混合物等が挙げられる。特に好ましいポリア
ミド樹脂はナイロン6、ナイロン6.6等である。
【0013】本発明において使用されるオレフィン系グ
ラフト共重合体(以下、単にグラフト共重合体と称す)
とは、 (a)オレフィンモノマー単位30〜99,5重量%: (b)数平均分子量が2,000〜20,000の重合
体の片末端に(メタ)アクリロイル基を有するマクロモ
ノマー単位0. 5〜70重量%: (c)他のラジカル重合性モノマー単位0〜40重量
%: からなるものである。
【0014】上記(a)オレフィンモノマーの具体例と
しては、エチレン、プロピレン、ブテン−1、ヘキセン
−1、オクテン−1、デセン−1等が挙げられる。ま
た、(b)マクロモノマーは、片末端が、(メタ)アク
リロイル基からなり、数平均分子量が、2,000〜2
0,000のラジカル重合性マクロモノマーである。マ
クロモノマーの重合体骨格を構成するモノマーとして
は、不飽和芳香族モノマー、不飽和カルボン酸エステル
モノマー、シアノ基含有不飽和モノマー、シリコーン系
モノマー等が挙げられる。
【0015】上記不飽和芳香族モノマーとしては、スチ
レン、メチルスチレン、ジメチルスチレン、エチルスチ
レン、プロピルスチレン、クロルスチレン、αーメチル
スチレン、α−エチルスチレン等が挙げられる。これら
の中でもスチレンが最も好ましい。
【0016】前記不飽和カルボン酸エステルモノマーと
しては、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、アコニッ
ト酸、ビニル安息香酸、(メタ)ビニルフタル酸、ナフ
トエ酸ビニル、ナフテン酸ビニル等のエステル、あるい
は、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エ
チル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル
酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシ
ル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル
酸シクロヘキシル等がある。これらの中でも(メタ)ア
クリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)
アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、
(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アク
リル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル
等の(メタ)アクリル酸アルキルエステルが好ましい。
【0017】さらに、また、シアノ基含有不飽和モノマ
ーも使用可能であり、アクリロニトリル、メタアクリロ
ニトリル等の不飽和ニトリル化合物、およびそれらの誘
導体がある。
【0018】シリコーン系モノマーとしては、ヘキサメ
チルシクロトリシロキサン、オクタメチルテトラシロキ
サン、ヘキサエチルシクロトリシロキサン、オクタエチ
ルテトラシロキサン、ヘキサフェニルシクロトリシロキ
サン、オクタフェニルテトラシロキサン等の環状シロキ
サン等がある。これらのモノマーは、単独、または、2
種以上を組み合わせて使用することができる。
【0019】次にマクロモノマーの合成方法について説
明する。マクロモノマーは、ラジカル重合、イオン(ア
ニオン、カチオン)重合、配位重合、付加重合、重縮合
等の方法により合成される。例えば、ポリスチレン型マ
クロモノマーの合成は、アニオンリビング重合停止法あ
るいはアニオンリビング重合開始法により行うことがで
きる。すなわち、スチレンをアニオンリビング重合させ
所定の分子量の重合体にまで生長させた後、エチレンオ
キサイドを反応させて重合停止し、次いで得られた重合
体と(メタ)アクリル酸クロライドを反応させて、片末
端に(メタ)アクリロイル基が導入されたマクロモノマ
ーを得ることができる。
【0020】他方、ラジカル重合法によれば、エポキシ
基と反応性の官能基、例えば、カルボキシル基とメルカ
プト基とを併せもつメルカプタン化合物を連鎖移動剤と
して、スチレンをラジカル重合し、分子の片末端にエポ
キシ基と反応性の官能基が結合したポリスチレンを製造
し、次いで分子中にエポキシ基と(メタ)アクリロイル
基を有する化合物を付加反応させることにより、同様な
マクロモノマーを得ることができる。
【0021】また、上記合成法は、スチレン−アクリル
酸エステル、スチレンーメタクリル酸エステル、スチレ
ン−アクリロニトリル等の共重合体を重合骨格とするマ
クロモノマーの合成にも適用できる。
【0022】上記ラジカル重合法において使用されるエ
ポキシ基と反応性の官能基とメルカプト基を併せ持つメ
ルカプタン化合物としては、メルカプト酢酸、メルカプ
トプロピオン酸、2−アミノエタンチオール等が挙げら
れ、またエポキシ基と(メタ)アクリロイル基を併せて
持つ化合物としては、アクリル酸グリシジル、メタクリ
ル酸グリシジル等が挙げられる。
【0023】また、連鎖移動剤として、メルカプトエタ
ノールを用いて、前記の片末端にカルボキシル基を有す
る重合体の合成反応と同様の条件下で片末端に水酸基を
有する重合体をつくり、次にトルイレンジイソシアネー
トで該水酸基をイソシアネート化し、次いで2−ヒドロ
キシエチルメタクリレートでマクロモノマー化すること
もできる。
【0024】あるいはチオグリコール酸等の連鎖移動剤
の存在下にラジカル重合を行い、得られた低分子量ポリ
マーの末端に重合性官能基を導入する方法等も適用され
る。
【0025】または最近注目されているグループトラン
スファ重合法(GTP)によるラジカル重合性マクロモ
ノマーの製造法も好ましく用いることができる。
【0026】シリコーン型マクロモノマーの合成は、シ
リコーン系モノマーとして前述の環状シロキサン等を公
知のアニオン重合開始剤、例えばアルカリ金属の水酸化
物やアルコキシドないしシラノレート等を使用して、ア
ニオンリビング重合停止法によって行うことができる。
【0027】また他の方法としては、例えば、γ−(メ
タ)アクリルオキシプロピルトリクロロシラン、γ−
(メタ)アクリルオキシプロピルメチルジクロロシラ
ン、γ−(メタ)アクリルオキシプロピルジメチルクロ
ロシラン、γ−(メタ)アクリルオキシプロピルトリメ
トキシシラン、γ−(メタ)アクリルオキシプロピルト
リエトキシシラン等のアクリル系化合物と、末端ヒドロ
キシル基型シリコーンとを縮合させてアクリル変性シリ
コーン、すなわちシリコーン型マクロモノマーを得る方
法がある。
【0028】また、AS−6(スチレン型マクロモノマ
ー)、AN−6(スチレン−アクリロニトリル型マクロ
モノマー)、AA−6(メチルメタクリレート型マクロ
モノマー)、AB−6(ブチルアクリレート型マクロモ
ノマー)、AK−5(シリコーン型マクロモノマー)、
以上はいずれも東亞合成化学工業(株)製のマクロモノ
マー等の市販のマクロモノマーも使用することができ
る。
【0029】本発明に用いるマクロモノマーの数平均分
子量は、2,000〜20,000の範囲で使用され
る。マクロモノマーの数平均分子量が、2,000未満
では、得られるグラフト共重合体における枝成分(マク
ロモノマーの重合体骨格)の分子鎖長が短すぎ、芳香族
ポリエステル樹脂へのアンカー効果が不十分となり、一
方、20,000を超えるとラジカル重合を行う際、重
合性に劣り目的量のマクロモノマーをグラフト共重合体
中に導入することが困難となる。なお、本発明における
数平均分子量とは、ゲルパーミエーションクロマトグラ
フィ(以下、GPCと略す)によって測定されるポリス
チレン換算の数平均分子量を意味する。
【0030】また、本発明において用いることのできる
(c)他のラジカル重合性モノマーとは、不飽和芳香族
モノマー、不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸エステ
ル、ビニルエステル類、またはそれらの誘導体から選択
されたラジカル重合性モノマーであり、具体的には、ス
チレン、ビニルピリジン、ビニルナフタレン等、または
それらの誘導体からなる不飽和芳香族モノマー、アクリ
ル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、イタコン酸、フ
マル酸等、またはそれらの誘導体からなる不飽和カルボ
ン酸、アクリル酸またはメタクリル酸のメチル、エチ
ル、プロピル、ブチル、2−エチルヘキシル、シクロヘ
キシル、ドデシル、オクタデシル等のエステル類、マレ
イン酸、マレイン酸無水物、イタコン酸、フマル酸、マ
レイン酸モノエステルおよびジエステル、グリシジルア
クリレート、グリシジルメタクリレート、イタコン酸モ
ノグリシジルエステル、ブテントリカルボン酸モノグリ
シジルエステル、ブテントリカルボン酸ジグリシジルエ
ステル、ブテントリカルボン酸トリグリシジルエステ
ル、および、マレイン酸、クロトン酸、フマル酸等の不
飽和グリシジルエステル類等、またはそれらの不飽和カ
ルボン酸エステル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等
のビニルエステル類、ビニルメチルエーテル等のビニル
エーテル類、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等
の不飽和ニトリル類、塩化ビニル、塩化ビニリデン等の
ハロゲン化ビニル、ハロゲン化ビニリデン類、ビニルア
ルコール、アリルアルコール等の不飽和アルコール類、
さらには(メタ)アクリル酸アミド等の不飽和アミド
類、アミノ(メタ)アクリレート等の不飽和アミン類、
ビニルイソシアネート、アリルイソシアネート等の不飽
和イソシアネート類、2−ビニル−2−オキサゾリン、
2−イソプロペニル−2−オキサゾリン等の不飽和環状
イミニエーテル類、一酸化炭素等が挙げられるが、ポリ
アリレート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアリーレンサル
ファイド樹脂との相溶性の点からグリシジルアクリレー
ト、グリシジルメタクリレート、無水マレイン酸、アク
リル酸、メタクリル酸およびこれらの誘導体、2−ビニ
ル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−2−オキ
サゾリン等が好ましい。また、これらのモノマーは、単
独または2種以上組み合わせて使用することができる。
【0031】本発明におけるグラフト共重合体中のモノ
マー単位(a),(b)および(c)の含有割合は、
(a):30〜99.5重量%、(b):0.5〜70
重量%、(c):0〜40重量%(但し、(a)+
(b)+(c)=100重量%)である。上記グラフト
共重合体中の各モノマー単位の含有割合において(b)
ラジカル重合性マクロモノマー単位が0.5重量%未満
では、本発明の目的である(I)ABS系樹脂と、(I
I)芳香族ポリエステル樹脂またはポリアミド樹脂から
選ばれた少なくとも1種の樹脂とのブレンド体への改質
効果が発現し難く、70重量%を超えると(a)オレフ
ィンモノマーとの共重合の時にゲル化を招き易い。ま
た、(c)他のラジカル重合性モノマー単位の含有割合
が40重量%を超えると、(a)オレフィンモノマーの
使用に対する(c)ラジカル重合性モノマー単位の相対
的な使用割合が高くなり、グラフト共重合体とした時の
耐薬品性、耐熱性が低下するので好ましくない。
【0032】次に、本発明に係るグラフト共重合体の製
造方法について説明する。グラフト共重合体の製造方法
の一例としては、例えば、高圧ラジカル重合によって製
造する方法がある。高圧ラジカル重合において採用され
る好ましい重合圧力および温度は、500〜4,000
kg/cm2、より好ましくは1,000〜3,500
kg/cm2、反応温度50〜400℃、より好ましく
は100〜350℃であり、ラジカル重合開始剤の好ま
しい使用量は、マクロモノマーを含む全モノマーの総重
量を基準にして0.0001〜1重量%である。上記条
件下で、連鎖移動剤、必要に応じて助剤等を使用して、
槽型または管型反応器内で該モノマーを同時に、あるい
は段階的に接触、重合させる方法によって、グラフト共
重合体を得ることができる。
【0033】また、グラフト共重合体の他の製造方法と
して、ラジカル的後変性による方法が挙げられる。この
方法は、高圧ラジカル重合法により得られる低密度ポリ
エチレン(LDPE)、エチレン−酢酸ビニル共重合体
(EVA)、エチレン−アクリル酸エチル共重合体(E
EA)等のエチレン系重合体、あるいは各種触媒による
イオン重合法、例えばチーグラー系触媒またはフィリッ
プス触媒等により得られる線状低密度ポリエチレン(L
LDPE)、超低密度ポリエチレン(VLDPE)、ポ
リプロピレン(PP)、またはオレフィンと他の重合可
能なモノマーとの共重合等に前述のマクロモノマーを後
付加させる方法である。すなわち、上記ポリオレフィン
とマクロモノマー、および必要に応じて他のラジカル重
合性モノマー混合物を、ペルオキシド、ヒドロペルオキ
シド、アゾ化合物、アミンオキシド化合物、または酸素
等のラジカル反応開始剤の存在下に重合させる方法であ
る。上記方法の中でも、高圧ラジカル重合法によって得
られるグラフト共重合体を使用することがより好まし
い。
【0034】本発明に用いられるグラフト共重合体と
は、例えば AS−6:スチレン型マクロモノマー、AN−6:スチ
レン−アクリロニトリル型マクロモノマー、AA−6:
メチルメタクリレート型マクロモノマー、AB−6:ブ
チルアクリレート型マクロモノマー、AK−5:シリコ
ーン型マクロモノマー、(以上、東亞合成化学工業
(株)製のマクロモノマー) E:エチレン、MA:メチルアクリレート、MMA:メ
チルメタクリレート、EA:エチルアクリレート、EM
A:エチルメタクリレート、nBA:n−ブチルアクリ
レート、nBMA:n−ブチルメタクリレート、tB
A:t−ブチルアクリレート、tBMA:t−ブチルメ
タクリレート、VA:酢酸ビニル、VAL:ビニルアル
コール、AA:アクリル酸、MAA:メタクリル酸、M
AH:無水マレイン酸、GMA:グリシジルメタクリレ
ート、GA:グリシジルアクリレート、OX:2−ビニ
ル−2−オキサゾリン、HDPE:高密度ポリエチレ
ン、LLDPE:線状低密度ポリエチレン、PP:ポリ
プロピレン、VLDPE:超低密度ポリエチレン、と略
称した場合に、E−AS−6、E−AN−6、E−AA
−6、E−AB−6、E−AK−5等の2元共重合体、
E−AS−6−MA、E−AN−6−MA、E−AA−
6−MA、E−AB−6−MA、E−AK−5−MA、
E−AS−6−MMA、E−AN−6−MMA、E−A
A−6−MMA、E−AB−6−MMA、E−AK−5
−MMA、E−AS−6−EA、E−AN−6−EA、
E−AA−6−EA、E−AB−6−EA、E−AK−
5−EA、E−AS−6−EMA、E−AN−6−EM
A、E−AA−6−EMA、E−AB−6−EMA、E
−AK−5−EMA、E−AS−6−nBA、E−AN
−6−nBA、E−AA−6−nBA、E−AB−6−
nBA、E−AK−5−nBA、E−AS−6−tB
A、E−AN−6−tBA、E−AA−6−tBA、E
−AB−6−tBA、E−AK−5−tBA、E−AS
−6−tBMA、E−AN−6−tBMA、E−AA−
6−tBMA、E−AB−6−tBMA、E−AK−5
−tBMA、E−AS−6−VA、E−AN−6−V
A、E−AA−6−VA、E−AB−6−VA、E−A
K−5−VA、E−AS−6−VAL、E−AN−6−
VAL、E−AA−6−VAL、E−AB−6−VA
L、E−AK−5−VAL、E−AS−6−AA、E−
AN−6−AA、E−AA−6−AA、E−AB−6−
AA、E−AK−5−AA、E−AS−6−MAA、E
−AN−6−MAA、E−AA−6−MAA、E−AB
−6−MAA、E−AK−5−MAA、E−AS−6−
MAH、E−AN−6−MAH、E−AA−6−MA
H、E−AB−6−MAH、E−AK−5−MAH、E
−AS−6−GA、E−AN−6−GA、E−AA−6
−GA、E−AB−6−GA、E−AK−5−GA、E
−AS−6−GMA、E−AN−6−GMA、E−AA
−6−GMA、E−AB−6−GMA、E−AK−5−
GMA、E−AS−6−OX、E−AN−6−OX、E
−AA−6−OX、E−AB−6−OX、E−AK−5
−OX等の3元共重合体、HDPE−AS−6、HDP
E−AN−6、HDPE−AA−6、HDPE−AB−
6、HDPE−AK−5、LLDPE−AS−6、LL
DPE−AN−6、LLDPE−AA−6、LLDPE
−AB−6、LLDPE−AK−5、VLDPE−AS
−6、VLDPE−AN−6、VLDPE−AA−6、
VLDPE−AB−6、VLDPE−AK−5、PP−
AS−6、PP−AN−6、PP−AA−6、PP−A
B−6、PP−AK−5、HDPE−MAH−AS−
6、HDPE−MAH−AN−6、HDPE−MAH−
AA−6、HDPE−MAH−AB−6、HDPE−M
AH−AK−5、HDPE−GMA−AS−6、HDP
E−GMA−AN−6、HDPE−GMA−AA−6、
HDPE−GMA−AB−6、HDPE−GMA−AK
−5、LLDPE−MAH−AS−6、LLDPE−M
AH−AN−6、LLDPE−MAH−AA−6、LL
DPE−MAH−AB−6、LLDPE−MAH−AK
−5、LLDPE−GMA−AS−6、LLDPE−G
MA−AN−6、LLDPE−GMA−AA−6、LL
DPE−GMA−AB−6、LLDPE−GMA−AK
−5、VLDPE−MAH−AS−6、VLDPE−M
AH−AN−6、VLDPE−MAH−AA−6、VL
DPE−MAH−AB−6、VLDPE−MAH−AK
−5、VLDPE−GMA−AS−6、VLDPE−G
MA−AN−6、VLDPE−GMA−AA−6、VL
DPE−GMA−AB−6、VLDPE−GMA−AK
−5、PP−MAH−AS−6、PP−MAH−AN−
6、PP−MAH−AA−6、PP−MAH−AB−
6、PP−MAH−AK−5、PP−GMA−AS−
6、PP−GMA−AN−6、PP−GMA−AA−
6、PP−GMA−AB−6、PP−GMA−AK−5
等のグラフト変性共重合体等が挙げられる。これらのグ
ラフト共重合体は混合しても使用できる。
【0035】本発明においては、前記(I)および(I
I)の配合量は組成物の利用目的によって選択される。
すなわち、ABS系樹脂(I)の特徴を維持しつつその
欠点である耐薬品性を改良する目的ならば、ABS系樹
脂50〜99重量%、好ましくは60〜95重量%が必
要である。その理由は、ABS系樹脂が50重量%未満
では、ABS系樹脂の特徴である成形性、耐衝撃性が損
なわれ、99重量%を超えると本発明の目的の一つであ
る耐薬品性の改良効果がないからである。
【0036】また(II)に関しては、芳香族ポリエステ
ル樹脂の特徴を維持しつつ耐衝撃性を改良する目的なら
ば、芳香族ポリエステル樹脂50〜99重量%、好まし
くは60〜95重量%が必要である。芳香族ポリエステ
ル樹脂が50重量%未満では、芳香族ポリエステル樹脂
の特徴である耐薬品性、剛性が損なわれ、99重量%を
超えると本発明の目的の一つである耐衝撃性の改良効果
がない。
【0037】また、ポリアミド樹脂の特徴を維持しつつ
その欠点である吸水性、寸法安定性、耐衝撃性を改良す
る目的ならば、ポリアミド樹脂50〜99重量%、好ま
しくは60〜95重量%が必要である。ポリアミド樹脂
が50重量%未満では、ポリアミド樹脂の成形性、耐摩
耗性が損なわれ、99重量%を超えると本発明の目的の
一つである成形性、寸法安定性の改良効果がない。
【0038】本発明におけるグラフト共重合体は、
(I)+(II)100重量部に対して、0.1〜50重
量部である。グラフト共重合体樹脂量が0.1重量部未
満では、相溶化効果がなく衝撃強度が低下し、成形品に
層状剥離が生じたり外観を悪化させる。また、50重量
部を超えると組成物の剛性や耐熱性が低下するので好ま
しくない。
【0039】本発明においては、前記(I)+(II)+
(III)を含む樹脂成分100重量部に対して200重
量部以下の無機充填材(IV)を配合することができる。
上記無機充填材としては、粉粒状、平板状、鱗片状、針
状、球状または中空状、および繊維状等が挙げられ、具
体的には、硫酸カルシウム、珪酸カルシウム、クレー、
珪藻土、タルク、アルミナ、珪砂、ガラス粉、酸化鉄、
金属粉、グラファイト、炭化珪素、窒化珪素、シリカ、
窒化ホウ素、窒化アルミニウム、カーボンブラック等の
粉粒状充填材、雲母、ガラス板、セリサイト、パイロフ
ライト、アルミフレーク等の金属箔、黒鉛等の平板状も
しくは鱗片状充填材、シラスバルーン、金属バルーン、
ガラスバルーン、軽石等の中空状充填材、ガラス繊維、
炭素繊維、グラフアィト繊維、ウイスカー、金属繊維、
シリコンカーバイト繊維、アスベスト、ウォストナイト
等の鉱物繊維等の例を挙げることができる。
【0040】充填材の配合量は200重量部以下、好ま
しくは1〜200重量部である。配合量が200重量部
を超えると成形品の衝撃強度等の機械的強度が低下する
ので好ましくない。また該無機充填材の表面は、ステア
リン酸、オレイン酸、パルミチン酸またはそれらの金属
塩、パラフィンワックス、ポリエチレンワックスまたは
それらの変成物、有機シラン、有機ボラン、有機チタネ
ート等を使用して表面処理を施すことが好ましい。
【0041】また、本発明においては熱可塑性樹脂組成
物(I)+(II)+(III)100重量部に対して、
(V)難燃剤150重量部以下、好ましくは5〜150
重量部を配合することにより容易に難燃化することがで
きる。上記難燃剤としては、テトラブロモビスフェノー
ル(TBA)、ヘキサブロモベンゼン、デカブロモジフ
ェニルエーテル、テトラブロモエタン(TBE)、テト
ラブロモブタン(TBB)、ヘキサブロムシクロデカン
(HBCD)等の臭素系および塩素化パラフィン、塩素
化ポリフェニル、塩素化ポリエチレン、塩化ジフェニ
ル、パークロロペンタシクロデカン、塩素化ナフタレン
等の塩素系難燃剤、ハロゲン化ジフェニルスルフィド類
等の一般的なハロゲン系難燃剤、臭素化ポリスチレン、
臭素化ポリ−α−メチルスチレン等のハロゲン化ポリス
チレンまたはその誘導体、臭素化ポリカーボネート等の
ハロゲン化ポリカーボネート、ポリアルキレンテトラブ
ロモテレフタレート、臭素化テレフタル酸系ポリエステ
ル等のハロゲン化ポリエステル、ハロゲン化ビスフェノ
ール系エポキシ樹脂等のハロゲン化エポキシ化合物、ポ
リ(ジブロモフェニレンオキシド)等のハロゲン化ポリ
フェニレンオキシド化合物、ハロゲン化ビスフェノール
類のシアヌル酸エステル化合物等の高分子型ハロゲン含
有重合体からなる難燃剤が挙げられる。これらの中で特
に芳香族ハロゲン化合物からなるオリゴマー、ポリマー
型の難燃剤が好ましい。
【0042】またリン系難燃剤としては、トリクレジル
ホスフェート、トリ(β−クロロエチル)ホスフェー
ト、トリ(ジブロモプロピル)ホスフェート、2,3−
ジブロモプロピル−2,3−クロロプロピルホスフェー
ト等のリン酸エステルもしくはハロゲン化リン酸エステ
ル、ホスホン酸化合物、ホスフィン酸誘導体等が挙げら
れる。その他の難燃剤としては、窒化グアニジン等のグ
アニジン化合物等が挙げられる。該有機難燃剤は、単独
で使用してもよく、2種以上併用してもよい。上記有機
難燃剤配合量は、熱可塑性樹脂組成物(I)+(II)+
(III)100重量部に対して、50重量部以下、好ま
しくは5〜50重量部、さらに好ましくは7〜40重量
部の範囲で使用される。配合量を50重量部を超える量
を添加しても難燃効果はこれ以上向上しないので、かえ
ってコスト高となり好ましくない。
【0043】これらの有機難燃剤、特にハロゲン系難燃
剤は難燃助剤と併用することにより、相乗効果を発現せ
しめることができる。該難燃助剤としては、三酸化アン
チモン、五酸化アンチモン、三塩化アンチモン等のハロ
ゲン化アンチモン、三硫化アンチモン、五硫化アンチモ
ン、アンチモン酸ソーダ、酒石酸アンチモン、金属アン
チモン等のアンチモン化合物が代表的である。
【0044】さらに無機系難燃剤としては、水酸化アル
ミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化ジルコニウム、
塩基性炭酸マグネシウム、ドロマイト、ハイドロタルサ
イト、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、酸化スズの
水和物、ほう砂等の無機金属化合物の水和物、ほう酸亜
鉛、メタほう酸亜鉛、メタほう酸バリウム、炭酸亜鉛、
炭酸マグネシウム−カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸
バリウム、酸化マグネシウム、酸化モリブデン、酸化ジ
ルコニウム、酸化スズ、赤リン等が挙げられる。これら
は1種または2種以上併用してもよい。これらの中でも
特に、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸
化ジルコニウム、塩基性炭酸マグネシウム、ドロマイ
ト、ハイドロタルサイトからなる群から選ばれた少なく
とも1種の金属化合物の水和物、とりわけ水酸化アルミ
ニウム、水酸化マグネシウムが難燃効果がよく、経済的
にも有利である。またこれらの無機系難燃剤の粒径は、
種類によって異なるが、上記水酸化アルミニウム、水酸
化マグネシウム等においては、平均粒径が20μm以
下、好ましくは10μm以下が好ましい。
【0045】上記無機系難燃剤の配合量は、熱可塑性樹
脂組成物(I)+(II)+(III)100重量部に対し
て、150重量部以下、好ましくは30〜150重量
部、さらに好ましくは40〜120重量部の範囲で使用
される。配合量を150重量部を超える量を配合した場
合には、衝撃強度の低下等の機械的強度の劣化の原因と
なる。また、本発明では前記無機充填材と難燃剤とを併
用することにより、難燃剤の配合量を減少させることも
できるし、他の特性を付与させることもできる。
【0046】本発明の熱可塑性樹脂組成物は、前記
(I)+(II)+(III)を温度230〜350℃の範
囲で溶融混合することによって製造される。溶融混合す
る順序は全成分を同時に溶融混合してもよいが、好まし
くは前記(I)または(II)と(III)とを溶融混合し
た後、他のもう一つの樹脂とを溶融混合することが好ま
しい。特に分散相になる樹脂は均一で微細に分散させる
ことが望ましい。溶融混合の方法は、ミキシングロー
ル、バンバリーミキサー、ニーダーミキサー、混練押出
機、二軸押出機、ロール等の通例用いられる混練機によ
り行うことができる。
【0047】本発明では、さらに本発明の要旨を逸脱し
ない範囲において、他の熱可塑性樹脂、例えばポリオレ
フィン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン
樹脂、ポリカーボネート樹脂、フッ素樹脂、ポリフェニ
レンオキシド樹脂、ポリオキシメチレン樹脂、ポリスル
フォン樹脂、ポリアレーレンサルファイド樹脂、天然ゴ
ム、合成ゴムあるいは酸化防止剤、紫外線防止剤、滑
剤、分散剤、発泡剤、架橋剤、着色剤等の添加剤を添加
しても差し支えない。
【0048】
【実施例】次に、実施例により本発明をさらに詳しく説
明するが、本発明は、これらによって限定されるもので
はない。なお、表1〜9中、(III)成分およびこれに
相当する成分の配合量(重量部)は、(I)成分および
(II)成分の合計100重量部に対する量であり、無機
充填材等のその他の成分の配合量(重量部)は、(I)
〜(III)成分の合計100重量部に対する量であ
る。。
【0049】調製例1[グラフト共重合体(III)の調
製] 窒素で置換された内容量3.8リットルの撹拌機付オー
トクレーブ内に、n−ヘキサン150g、グリシジルメ
タクリレート30g、スチレン型マクロモノマ−AS−
6(東亞合成化学工業(株)製、末端重合性基:メタク
リロイル基)のトルエン溶液40g(マクロモノマーと
して10g)、および重合開始剤としてt−ブチルペル
オキシドを加え、次いでエチレンを1,700g仕込ん
だ後、重合圧力1,600kg/cm2、重合温度17
0℃、重合時間1時間で重合させた。得られたエチレン
系グラフト共重合体(E−AS−6−GMA)につい
て、トルエン−アセトン溶媒で再沈精製を行った後、N
MRスペクトルの測定を行いモノマー組成を求めた結果
は、エチレンモノマー単位86.0重量%、グリシジル
メタクリレートモノマー単位10.5重量%、スチレン
型マクロモノマーAS−6単位3.5重量%であった。
【0050】実施例1〜7 固有粘度3.5dl/gのポリブチレンテレフタレート
(以下、PBTと表中に表示)、アクリロニトリル20
重量%、スチレン55重量%、ポリブタジエン25重量
%からなるABS系樹脂および調製例1で得たグラフト
共重合体(III)を表1に示す割合で溶融混合した。溶
融混合の方法は、各樹脂のペレットをドライブレンドし
た後、シリンダー温度280℃に設定されたスクリュー
径30mmの同方向回転二軸押出機に供給し、押し出し
後造粒した。造粒した樹脂は、150℃の雰囲気下で3
時間乾燥させた。次いで、シリンダー温度320℃、金
型温度90℃に設定した射出成形機で試験片を成形し
た。試験片の大きさは次のようである。 アイゾット衝撃試験片13mm×65mm×6mm(ノ
ッチ付) 荷重たわみ温度試験片13mm×128mm×6mm 曲げ試験片13mm×220mm×6mm なお、試験法は次のようである。 (1)アイゾット衝撃値(ノッチ付)JIS K711
0 (2)荷重たわみ温度(18.6kg/cm2)JIS
K7207 (3)曲げ弾性率JIS K6758 (4)耐薬品性 試験片をメタノールに75℃で30日間浸漬した後、そ
の外観を観察した。 ○:変化なし △:表面に亀裂が発生したり一部が溶出 ×:表面の溶出が著しい また、試験片の破断部より樹脂が層状に剥離するかどう
かを調べ相溶性の良否の目安とした。
【0051】
【表1】
【0052】実施例8〜15 上記実施例の組成に、さらに平均繊維長さ5.0mm、
径10μmのガラス繊維を配合した例を表2に示した。
【0053】
【表2】
【0054】実施例16〜21 実施例8,9および14において難燃剤および助剤を表
3に示す組成で添加し、燃焼試験片(1/4″×1/
2″×5″)を作成し、UL−94規格に従って垂直燃
焼試験を行った。結果を表3に示す。なお、同表中、臭
素化ポリエチレンは下記化学式で示され、水酸化マグネ
シウムの平均粒子径は5μmである。
【0055】
【化2】
【0056】
【表3】
【0057】比較例1〜7 実施例1のグラフト共重合体の代わりに、エチレン/メ
タクリル酸グリシジル共重合体およびエチレン/酢酸ビ
ニル共重合体(酢酸ビニル含有量15重量%)に無水マ
レイン酸を0.5重量%付加した変性物を用いて実施例
1と同様に評価し、結果を表4に示した。
【0058】
【表4】
【0059】実施例22〜29 表5に示す組成のABS系樹脂、ポリアミド樹脂として
ナイロン6.6「商品名:アミランCM3001−N」
[東レ(株)製](以下、PAと表中に表示)および調
製例1で得たグラフト共重合体(III)を表6に示す割
合で溶融混合した。溶融混合の方法および試験片の作成
方法は、実施例1と同様である。さらに次の試験を付け
加えた。 (1)層状剥離状態 層状剥離状態は、成形品破断面に接着テープを付着さ
せ、その後、これを取り外す方法で剥離試験を行った後
の状態を肉眼で観察し、次のようにランク付けした。 ◎:剥離が全くなし ○:僅かに剥離あり ×:剥離あり 結果を表6に示す。
【0060】
【表5】
【0061】
【表6】
【0062】実施例30〜35 実施例22と同じ樹脂を用いて、さらに無機充填材とし
て平均繊維長さ5.0mm、径10μmのガラス繊維を
表7に示す割合で混合し、実施例1と同様に評価した結
果を表7に示した。
【0063】
【表7】
【0064】実施例36〜43 実施例30および31において、実施例16と同様の難
燃剤および助剤を配合した例を表8に示す。
【0065】
【表8】
【0066】比較例8〜12 前記実施例のグラフト共重合体の代わりにエチレン/メ
タクリル酸グリシジル共重合体および比較例3で使用し
たエチレン/酢酸ビニル共重合体の変性物を用いて実施
例1と同様に評価し、結果を表9に示した。
【0067】
【表9】
【0068】
【発明の効果】本発明の熱可塑性樹脂組成物は、異なる
性質を有する樹脂の長所をいかした組成物であり、成形
性、耐衝撃性、耐熱性、寸法安定性、耐薬品性等に優れ
ている。また、混合される樹脂およびその配合割合を変
えることにより、衝撃強度、耐熱性の度合を変えること
ができ、様々な要求に応じることが出来る。以上の観点
から、本発明の熱可塑性樹脂組成物は、例えば自動車部
品、電気及び電子機械部品、工業部品等の広い分野で使
用され得る。
【化1】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08L 77/00 LQS 9286−4J (72)発明者 東 貴四郎 愛知県名古屋市港区船見町1番地の1東亞 合成化学工業株式会社名古屋総合研究所内 (72)発明者 津田 隆 愛知県名古屋市港区船見町1番地の1東亞 合成化学工業株式会社名古屋総合研究所内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (I)ABS系樹脂99〜1重量%、 (II)芳香族ポリエステル樹脂またはポリアミド樹脂か
    ら選ばれた少なくとも1種の樹脂1〜99重量%と、 上記(I)+(II)100重量部に対して、 (III)下記(a)〜(c)からなるオレフィン系グラ
    フト共重合体0.1〜50重量部、を配合したことを特
    徴とする熱可塑性樹脂組成物。オレフィングラフト共重
    合体; (a)オレフィンモノマー単位30〜99.5重量%: (b)数平均分子量が2,000〜20,000の重合
    体の片末端に(メタ)アクリロイル基を有するマクロモ
    ノマー単位0.5〜70重量%: (c)他のラジカル重合性モノマー単位0〜40重量
    %:
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2002022715A2 (en) 2000-09-14 2002-03-21 Rohm And Haas Company A method of improving the melt processing of thermoplastic polymers and compositions produced thereby

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