JPH05213637A - フォトクロミック合わせガラス - Google Patents

フォトクロミック合わせガラス

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Publication number
JPH05213637A
JPH05213637A JP1782392A JP1782392A JPH05213637A JP H05213637 A JPH05213637 A JP H05213637A JP 1782392 A JP1782392 A JP 1782392A JP 1782392 A JP1782392 A JP 1782392A JP H05213637 A JPH05213637 A JP H05213637A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
photochromic
laminated glass
chemical
sheet
Prior art date
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Pending
Application number
JP1782392A
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English (en)
Inventor
Hitoshi Ito
仁 伊藤
Shuichi Maeda
修一 前田
Kazuo Mitsuhashi
和夫 三ツ橋
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nissan Motor Co Ltd
Mitsubishi Kasei Corp
Original Assignee
Nissan Motor Co Ltd
Mitsubishi Kasei Corp
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Filing date
Publication date
Application filed by Nissan Motor Co Ltd, Mitsubishi Kasei Corp filed Critical Nissan Motor Co Ltd
Priority to JP1782392A priority Critical patent/JPH05213637A/ja
Publication of JPH05213637A publication Critical patent/JPH05213637A/ja
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  • Joining Of Glass To Other Materials (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Non-Silver Salt Photosensitive Materials And Non-Silver Salt Photography (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 光耐久性が改善されたフォトクロミック合わ
せガラスを提供することである。 【構成】 特定のポリグリコールを可塑剤として用い、
フォトクロミック物質として特定のスピロオキサジン系
化合物を用いて成形したポリビニルブチラール樹脂シー
トを合わせガラス用中間膜に用いて成るフォトクロミッ
ク合わせガラス。 【効果】 従来の合わせガラスより一層長期間にわたる
使用に耐え、更に商品性の増した調光ガラスが得られ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、フォトクロミック合わ
せガラスに関するものであり、特に光耐久性が改善され
たフォトクロミック合わせガラスに関する。
【0002】
【従来の技術】合わせガラスは、2枚のガラスとこの2
枚のガラスに挟まれたポリビニルブチラール(以下PV
Bと省略する。)樹脂中間膜からなるが、本発明のフォ
トクロミック合わせガラスはスピロオキサジン系有機フ
ォトクロミック化合物をPVB中間膜に処理したタイプ
のものである。このタイプのフォトクロミック合わせガ
ラスを得る場合は主に2つの方法が考えられる。第1の
方法はフォトクロミック組成物をPVBと混練した後、
これを押し出し成形機などでシート状に加工して得られ
たシートを2枚のガラスで積層する方法、第2の方法
は、シート状に加工されたPVB中間膜上にフォトクロ
ミック組成物を印刷、スプレー塗布、キャスト等の操作
によって表面処理し、これを2枚のガラスで積層する方
法である。特に後者の場合は、フォトクロミズムのパタ
ーンを形成することも可能であるほか、フォトクロミッ
ク化合物を中間膜成形後に処理するので耐熱性の十分で
ない化合物を用いる場合は有力な方法である。このよう
にして得られたフォトクロミック合わせガラスの場合、
フォトクロミック化合物がPVB中間膜中に拡散するの
で、フォトクロミック反応はPVBをマトリックスとし
てフォトクロミック反応が起こることが特徴である。従
って、フォトクロミック反応はPVB中間膜組成の化学
的な性質の影響を受けることになる。また、自動車用の
合わせガラスに使われているPVBにはグリコールエス
テル系または脂肪酸エステル系のどちらかが可塑剤とし
て30〜40重量部含まれておりこれらの可塑剤の化学的な
性質の影響も受けることは言うまでもない。
【0003】フォトクロミック合わせガラスの自動車へ
の応用を考慮する場合、最大の問題となるのは光耐久性
である。暴露試験によってフォトクロミズムの機能が低
下するか、またはフォトクロミック化合物が劣化し変色
する。これが、自動車への応用を妨げている原因であ
る。フォトクロミック化合物の光耐久性を改良するた
め、フォトクロミック化合物の分子設計や劣化反応を防
止するための酸化防止剤や光安定剤の添加などが検討さ
れてきた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、長期間
の厳しい暴露条件に耐えなければならない自動車用ガラ
スに応用するには未だ十分な光耐久性が得られていない
のが現状である。従来のフォトクロミック合わせガラス
の考え方は自動車用として市販されているPVBシート
を流用してフォトクロミック組成物を処理する方法であ
った。しかし、一層の光耐久性を得るためにはフォトク
ロミック組成物の光耐久性が最大となるマトリックスを
提供しながら合わせガラス化する方法が必要である。
【0005】
【課題を解決するための手段】市販されているPVBシ
ートがフォトクロミック組成物の光耐久性にどのような
影響を与えているか、様々な予備実験を行なった。その
結果、PVBシート中の可塑剤であるグリコールエステ
ルおよび脂肪酸エステルがスピロオキサジン系フォトク
ロミック化合物の寿命を短くしていることが判明した。
【0006】次に、可塑剤と光耐久性の関係を明らかに
した予備実験について説明する。予備実験ではグリコー
ルエステル、脂肪酸エステルを含め、PVBの可塑剤と
して使用可能な様々の種類の化合物についてスピロオキ
サジン系フォトクロミック化合物と寿命の関係を調べ
た。
【0007】(予備実験) まず最初に酸素の影響を除外するため、試験に用い
る個々の可塑剤を十分脱気しアルゴン置換した。 試験に用いる可塑剤中にスピロオキサジンを10-3
ル/リットルの濃度で溶解し、 3.5 mLのスクリューキ
ャップバイヤル(GLサイエンス(株)製)の容器に移
した。(これらの操作は酸素が入らないようにアルゴン
置換したグローボックス中で行なった。) で調製した溶液に酸素が浸入しないようスクリュ
ーキャップバイヤルに密栓をした後、15 cm の距離で20
ワットの紫外線蛍光ランプを各サンプル共均一に光照射
した。 一定時間毎に各溶液中におけるフォトクロミズムを
確認した。 フォトクロミズムが確認できなくなった時間を記録
し、この時間を各可塑剤中におけるフォトクロミック化
合物の寿命とした。
【0008】ここで予備実験に用いたスピロオキサジン
は、次式
【化7】 で表わされるスピロオキサジンでR5 =H、R6 =CH
3 の化合物とR5 =CH 3 、R6 =Hの化合物を1:1
で混合したものである。また使用した可塑剤は以下の式
で表わされるものである。予備実験結果を表1に示す。
【化8】
【化9】
【化10】
【化11】
【化12】
【化13】
【化14】
【化15】
【化16】
【化17】
【化18】
【化19】
【化20】
【化21】
【化22】
【0009】
【表1】
【0010】以上に示した予備実験結果をみると、脂肪
族エステル、フタル酸エステル、グリコールエステル系
可塑剤中では10〜40時間でフォトクロミズムを示さなく
なるが、一方、ポリグリコール系の可塑剤中では100 時
間以上の経過後もフォトクロミズムを示している。フォ
トクロミズムの寿命はポリグリコール系の可塑剤中で最
も長くなることが判明した。
【0011】本発明は、このような従来の問題点に着目
してなされたもので、ポリグリコール系の化合物を可塑
剤として用いたPVB樹脂シートを合わせガラス用中間
膜に用いたフォトクロミック合わせガラスであることを
特徴としている。
【0012】以下、本発明を説明する。本発明は、光耐
久性が改善されたフォトクロミック合わせガラスに関す
る。本発明のフォトクロミック合わせガラスに用いるP
VB中間膜は、下記一般式
【化23】
【化24】
【化25】
【化26】
【化27】 (式中のR,R′は水素原子、またはアルキル基を示
し、一分子あたりのnの合計はいずれも2〜30以内であ
る)で表されるポリグリコール系可塑剤を用いた中間膜
であることを特徴としている。
【0013】可塑剤として用いるグリコールのnはいず
れも一分子あたりのnの合計が2〜30以内であり、より
好ましくは2〜15以内である。あまり重合度が大きくな
るとPVBと相分離し、または成形不可能になることが
あるので好ましくない。
【0014】本発明の合わせガラスに用いるフォトクロ
ミック感光性材料には、次の一般式
【化28】 (式中のR1 ,R2 およびR3 は、それぞれ独立して置
換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換の
アルケニル基、シクロアルキル基またはアリール基を示
し、R2 ,R3 は互いに結合環化してもよく、また、R
1 としてはアルキレン基またはアリーレン基を介しても
う1つのスピロオキサジン環を有し、全体として2量体
の化合物を形成してもよい。R4 としては水素原子また
はC1 〜C 5 のアルキル基を示す。環XおよびYはそれ
ぞれ独立して置換されてもよい炭化水素芳香環または複
素系芳香環を示す。Zは酸素原子または硫黄原子を示
す。)で表わされる化合物を用いる。
【0015】上記化28で表わされる化合物において
1 ,R2 およびR3 としてはC1 〜C 28のアルキル基
等のアルキル基、メトキシエチル基、エトキシエチル基
等のアルコキシアルキル基、メトキシエトキシエチル
基、n−ブトキシエトキシエチル基等のアルコキシアル
コキシアルキル基、メトキシエトキシエトキシエチル
基、エトキシエトキシエトキシエチル基等のアルコキシ
アルコキシアルコキシアルキル基、フェニルオキシエチ
ル基、ナフチルオキシエチル基、p−クロロフェニルオ
キシエチル基等の置換基を有していてもよいアリールオ
キシアルキル基、ベンジル基、フェネチル基、p−クロ
ロベンジル基、p−ニトロベンジル基等の置換基を有し
ていてもよいアリールアルキル基、シクロヘキシルメチ
ル基、シクロヘキシルエチル基、シクロペンチルメチル
基等のシクロアルキルアルキル基、アリルオキシエチル
基、3−ブロモアリルオキシエチル基等の置換もしくは
非置換のアルケニルオキシアルキル基、シアノエチル
基、シアノメチル基等のシアノアルキル基、ヒドロキシ
エチル基、ヒドロキシメチル基等のヒドロキシアルキル
基、テトラヒドロフルフリル基、テトラヒドロフリルエ
チル基等のテトラヒドロフリルアルキル基等の置換また
は非置換のアルキル基が挙げられ、アリル基、2−クロ
ロアリル基等の置換もしくは非置換のアルケニル基が挙
げられ、フェニル基、p−メチルフェニル基、ナフチル
基、m−メトキシフェニル基等の置換または非置換のア
リール基が挙げられ、シクロヘキシル基、シクロペンチ
ル基等のシクロアルキル基が挙げられるが、他方、
2 ,R3 は互いに連結し、シクロヘキシル基、シクロ
ヘプチル基等を形成していてもよい。
【0016】また、R1 としては、アルキレン基、アリ
ーレン基を介してもう一つのスピロオキサジン環を結合
し、全体として2量体の化合物を形成したものも挙げら
れる。R4 としては水素原子、メチル基、エチル基等の
1 〜C5 のアルキル基を示す。
【0017】環X,Yの置換されていてもよい炭化水素
芳香環または複素系芳香環としては、ベンゼン環、ナフ
タレン環、キノリン環、フェナンスレン環等があげら
れ、これらの環の置換基としては、塩素原子、臭素原
子、ヨウ素原子等のハロゲン原子、C1 〜C6 のアルキ
ル基、C1 〜C6 のアルコキシ基、アルコキシカルボニ
ル基、メトキシスルフォニル基、エトキシスルフォニル
基等のアルコキシスルフォニル基、シアノ基、アミノ
基、ジメチルアミノ基、ピペリジル基、モルフォリノ
基、ニトロ基等が挙げられる。
【0018】本発明において、上記化28でスピロオキサ
ジン系化合物の内次の一般式
【化29】 (式中R1 はC1 〜C20のアルキル基、またはアルコキ
シアルキル基、R4 は水素原子、またはメチル基、X,
Yは置換されていてもよい炭化水素芳香環、または複素
系芳香環を示す)で表わされるスピロオキサジン系化合
物を使用するのが更に好ましい。本発明のフォトクロミ
ック合わせガラスは、一般的に次の方法で得ることがで
きる。ポリビニルブチラール樹脂とポリグリコール系可
塑剤を高温で練り込み、押し出し機によってシート化す
る。これにスピロオキサジン系化合物を含有するフォト
クロミック組成物を、例えば、スクリーン印刷により塗
布し、乾燥した後、2枚のガラス板に挟み、加熱下、真
空圧着することによってフォトクロミック合わせガラス
を得ることができる。
【0019】本発明においては、使用する前記可塑剤は
ポリビニルブチラール樹脂に対して10〜60重量%、好ま
しくは15〜45重量%の範囲で用いられ、スピロオキサジ
ン系化合物は、フォトクロミック組成物中、その全量に
対して 0.5〜50重量%、好ましくは 0.3〜20重量%の範
囲で使用される。また、前記フォトクロミック組成物中
には、スピロオキサジン系化合物の劣化を防ぐために、
三重項消光剤、例えば、ニトロキシラジカルを含有する
のが好ましい。その場合のニトロキシラジカルの使用量
は、スヒロオキサジン系化合物と同量である。
【0020】
【実施例】本発明を次の実施例、比較例および試験例に
より説明する。実施例1 可塑剤としては化14のポリグリコール系可塑剤40重量
部、PVB 100重量部を用い、ミキサーを用い均一に混
練した。均一に混練した材料を押し出し成形機を用いて
180 ℃で630 μm のシートに加工した。この条件で得ら
れたシートは、相分離もなく均一なものであった。得ら
れたシート上にフォトクロミック組成物をスクリーン印
刷で表面処理した。スピロオキサジンとしては化7のス
ピロオキサジンでR5 =H、R6 =CH3 の化合物とR
5 =CH3 、R6 =Hの化合物を1:1で混合したもの
を用いた。表2に印刷処理に用いたインクの組成を示
す。
【0021】
【表2】
【0022】スクリーン印刷後、速やかに60℃、30分で
乾燥し、印刷に用いた溶剤を除去した。溶剤除去後のシ
ートが常温まで冷えてから、2mmの自動車用クリアガラ
ス2枚でシートを挟み込み、真空ゴムバック中で110 ℃
での予備接着、オートクレーブ中 140℃、12kg/cm2
の本接着工程を経てフォトクロミック合わせガラスを得
た。得られた合わせガラスは接着性も良好であり、ま
た、透明性も良好であり、外見上市販されている合わせ
ガラスと全く区別できない良好な状態であった。
【0023】比較例1 PVB 100重量部に対し、化8の可塑剤30重量部が含ま
れている中間膜を用い、フォトクロミック組成物の処理
には実施例1と同様にスクリーン印刷を用いた。スピロ
オキサジンとしては実施例1と同様に化7の化合物を用
いた。表3に印刷処理に用いたインクの組成を示す。
【0024】
【表3】
【0025】スクリーン印刷後、速やかに60℃、30分で
乾燥し、印刷に用いた溶剤を除去した。溶剤除去後のシ
ートが常温まで冷えてから、2mmの自動車用クリアガラ
ス2枚でシートを挟み込み、真空ゴムバック中で110 ℃
での予備接着、オートクレーブ中 140℃、12kg/cm2
の本接着工程を経てフォトクロミック合わせガラスを得
た。得られた合わせガラスは接着性も良好であり、ま
た、透明性も良好であり、外見上市販されている合わせ
ガラスと全く区別できない良好な状態であった。
【0026】比較例2 PVB 100重量部に対し、化12の可塑剤40重量部が含ま
れている中間膜を用い、フォトクロミック組成物の処理
には実施例1同様にスクリーン印刷を用いた。スピロオ
キサジンとしては実施例1と同様に化7の化合物を用い
た。以下に印刷処理に用いたインクの組成を示す。
【0027】
【表4】
【0028】スクリーン印刷後、速やかに60℃、30分で
乾燥し、印刷に用いた溶剤を除去した。溶剤除去後のシ
ートが常温まで冷えてから、2mmの自動車用クリアガラ
ス2枚でシートを挟み込み、真空ゴムバック中で 110℃
での予備接着、オートクレーブ中 140℃、12kg/cm2
の本接着工程を経てフォトクロミック合わせガラスを得
た。得られた合わせガラスは接着性も良好であり、ま
た、透明性も良好であり、外見上市販されている合わせ
ガラスと全く区別できない良好な状態であった。
【0029】試験例1 (フォトクロミック特性の評価)実施例1と比較例1,
2で得られたフォトクロミック合わせガラスに75Wのキ
セノンランプ(UXL−75D:ウシオ電機(株)製)
を6 mW/cm2 の紫外線光量で照射しながら、分光スペ
クトルを調べた。いずれの例でも620 nmをλmaxとする
フォトクロミズムに伴う吸収がみられた。光照射による
吸光度の変化量ΔOD(620 nm)は実施例1が0.9 、比
較例1は0.6 、比較例2は0.6 であった。
【0030】(光耐久試験)実施例1、比較例1,2の
サンプルをサンシャインカーボンアークウェザーオメー
タ(スガ試験機(株))中に入れ、一定時間毎にサンプ
ルを取り出し、フォトクロミック特性を評価した。フォ
トクロミズムに伴う吸光度の変化量が耐久試験前の70%
に低下する迄の時間を記録した。比較例1,2は600 時
間で70%以下に性能が低下したのに対し、実施例1は10
00時間後も70%以上の性能を保持していることが判明し
た。
【0031】次に他の実施例について説明する。実施例2〜9 実施例2〜9は実施例1で使用した化14のグリセリン
(PO)3 の代りに他のポリグリコール系化合物を可塑
剤として用いた例である。PVBにはB072(三菱化
成ポリテック製)、スピロオキサジンとしては実施例1
と同様に化7の化合物を使用した。実施例2〜9のポリ
グリコールを可塑剤とするPVBシートの調製は、実施
例1と同様に表5に示した組成で均一に混合し、押し出
し成形機を用いて630 μmのシートに加工した。
【0032】
【表5】
【0033】表5に示した条件で成形された実施例2〜
9のシートも実施例1と同様に相分離のない均一な良好
なものであった。フォトクロミック組成物の処理も実施
例1同様にスクリーン印刷を用いた。表6に各実施例の
印刷処理に用いたインクの組成を示す。
【0034】
【表6】
【0035】各実施例共に印刷後速やかに60℃、30分で
乾燥しインクに用いた溶剤を除去した。溶剤除去後のシ
ートが常温まで冷えてから、2mmの厚さを有する自動車
用クリアガラス2枚でシートを挟み込み、真空ゴムバッ
ク中で110 ℃での予備接着、オートクレーブ中140 ℃、
12kg/cm2 での本接着工程を経てフォトクロミック合わ
せガラスを得た。得られた合わせガラスは接着性も良好
であり、また、透明性も良好であり、外見上市販されて
いる合わせガラスと全く区別できない良好な状態であっ
た。
【0036】(フォトクロミック特性の評価と光耐久試
験)実施例2〜9で得られたフォトクロミック合わせガ
ラスに75Wのキセノンランプ(UXL−75D:ウシオ
電機(株)製)を 6 mW/cm2 の紫外線光量で照射しな
がら、分光スペクトルを調べた。いずれも620 nmをλ
max とするフォトクロミズムに伴う吸収がみられた。実
施例2〜9はいずれも0.8 〜0.9 の吸光度変化(ΔO
D)を示した。光耐久試験には、サンシャインカーボン
アークウェザーオメータ(スガ試験機(株))を用い、
一定時間毎にサンプルを取り出し、フォトクロミック特
性を評価した。フォトクロミズムに伴う吸光度の変化量
が耐久試験前の70%に低下する迄の時間を記録したが、
実施例2〜9はいずれも1000時間後も70%以上保持して
いることが判明した。
【0037】実施例10〜13および比較例3,4 実施例10, 12および比較例3はスピロオキサジンとして
次式
【化30】 で表される化合物を使用した例であり、また実施例11,
13および比較例4はスピロオキサジンとして、次式
【化31】 で表される化合物を使用した例である。
【0038】比較例3および比較例4においては、比較
例1と同様に化8の可塑剤を有する中間膜シートを用
い、フォトクロミック組成物の処理には実施例1と同様
にスクリーン印刷を用いた。以下の表7および表8に比
較例3および比較例4において印刷処理に用いたインク
の組成を示す。
【0039】
【表7】
【0040】
【表8】
【0041】いずれも印刷後速やかに、60℃、30分で乾
燥し、印刷に用いた溶剤を除去してフォトクロミックP
VBシートを得た。
【0042】次に実施例10、実施例11においては、中間
膜に、実施例1で調製したシートを用いた。フォトクロ
ミック組成物の処理は以下の表9および表10に示したイ
ンク組成でスクリーン印刷した。
【0043】
【表9】
【0044】
【表10】
【0045】印刷後、速やかに60℃、30分で乾燥し、イ
ンクに用いた溶剤を除去してフォトクロミックPVBシ
ートを得た。
【0046】更に実施例12、実施例13においては、中間
膜に、実施例2で調製したシートを用いた。フォトクロ
ミック組成物の処理は以下の表11および表12に示したイ
ンク組成でスクリーン印刷した。
【0047】
【表11】
【0048】
【表12】
【0049】印刷後、速やかに60℃、30分で乾燥し、イ
ンクに用いた溶剤を除去してフォトクロミックPVBシ
ートを得た。比較例3,4、実施例10〜13で得られたシ
ートが常温まで冷えてから、2mmの厚さを有する自動車
用クリアガラス2枚でシートを挟み込み、真空ゴムバッ
ク中で110 ℃での予備接着、オートクレーブ中140 ℃、
12kg/cm2 の圧力での本接着工程を経てフォトクロミッ
ク合わせガラスを得た。得られた合わせガラスは接着性
も良好であり、また、透明性も良好であり、外見上市販
されている合わせガラスと全く区別できない良好な状態
であった。
【0050】試験例2 比較例3,4と実施例10〜13で得られたフォトクロミッ
ク合わせガラスに75Wのキセノンランプ(UXL−75
D:ウシオ電機(株)製)を 6 mW/cm2 の紫外線光量
で照射しながら分光スペクトルを調べた。可塑剤の種類
に関係なく化30の化合物を用いた場合は610 nm、化31の
化合物を用いた場合は605 nmをλmax とするフォトクロ
ミズムに伴う吸収がみられた。化30の化合物を用いた光
照射による吸収度の変化量ΔOD(605 nm)は比較例3
が0.7 、実施例10は 1.0、実施例12は 1.0であった。一
方、化31の化合物を用いた例では、吸光度の変化量ΔO
D(610 nm)は比較例4が0.3 、実施例11は 0.5、実施
例13は 0.5であった。
【0051】(光耐久試験)実施例1と同様にサンシャ
インカーボンアークウェザーオメータ(スガ試験機
(株))中に入れ、200 時間毎にサンプルを取り出し、
フォトクロミック特性を評価した。フォトクロミズムに
伴う吸光度の変化量が耐久試験前の70%に低下する迄の
時間を記録した。比較例3,4は600 時間で70%以下に
性能が低下したのに対し、実施例10〜13は1000時間まで
は70%以上の性能を保持していることが判明した。
【0052】実施例14〜19および比較例5〜7 実施例14〜19および比較例5〜7は光安定剤としてニト
ロキシラジカルを添加した例である。スピロオキサジン
としては化7の化合物を用いた。比較例5〜7において
は、比較例1と同様に化8の可塑剤を含有する中間膜シ
ートを用い、フォトクロミック組成物の処理には実施例
1と同様にスクリーン印刷を用いた。光安定剤として用
いたニトロキシラジカルは次の構造式
【化32】
【化33】
【化34】 で表わされる。以下に印刷処理に用いたインクの組成を
示す。
【0053】
【表13】
【0054】
【表14】
【0055】
【表15】
【0056】いずれも印刷後速やかに、60℃、30分で乾
燥し、印刷に用いた溶剤を除去して、フォトクロミック
PVBシートを得た。実施例14〜16においては、中間膜
に、実施例1で調製したシートを用いた。フォトクロミ
ック組成物の処理には実施例1同様に以下に示したイン
ク組成でスクリーン印刷した。
【0057】
【表16】
【0058】
【表17】
【0059】
【表18】
【0060】実施例17〜19においては、中間膜には、実
施例2で調製したシートを用いた。フォトクロミック組
成物の処理は、以下に示したインク組成でスクリーン印
刷した。
【0061】
【表19】
【0062】
【表20】
【0063】
【表21】
【0064】実施例14〜19についても印刷後、速やかに
60℃、30分で乾燥し、インクに用いた溶剤を除去した。
比較例5〜7、実施例14〜19で得られたシートが常温ま
で冷えてから、2mmの厚さを有する自動車用クリアガラ
ス2枚でシートを挟み込み、真空ゴムバック中で110 ℃
での予備接着、オートクレーブ中140 ℃、 12 kg/cm2
での本接着工程を経てフォトクロミック合わせガラスを
得た。得られた合わせガラスは接着性も良好であり、ま
た、透明性も良好であり、外見上市販されている合わせ
ガラスと全く区別できない良好な状態であった。
【0065】試験例3 比較例5〜7と実施例14〜19で得られたフォトクロミッ
ク合わせガラスに75Wのキセノンランプ(UXL−75
D:ウシオ電機(株)製)を 6 mW/cm2 の紫外線光量
で照射しながら、分光スペクトルを調べた。可塑剤、光
安定剤の種類に関係なく620 nmをλmax とするフォトク
ロミズムに伴う吸収がみられた。比較例5〜7は光照射
による吸光度変化量ΔOD(620 nm)は0.6 〜0.7 であ
った。一方、実施例14〜19は0.8 〜0.9 であった。
【0066】(光耐久試験)実施例1と同様にサンシャ
インカーボンアークウェザーオメータ(スガ試験機
(株))中に入れ、200 時間毎にサンプルを取り出し、
フォトクロミック特性を評価した。フォトクロミズムに
伴う吸光度の変化量が耐久試験前の70%に低下する迄の
時間を記録した。光安定剤を用いると寿命がかなり延
び、可塑剤として化8のものを使用した比較例5〜7で
も偏差はあるが2000時間から3000時間の間で70%以下に
性能が低下する。一方、可塑剤にポリグリコール系を使
用した系(実施例14〜19)では3000時間までは70%以上
の性能を保持し、光安定剤との相乗効果が確認され非常
に長時間の耐久性能が得られることが判明した。実施例
を説明してきたが、必要に応じて可塑剤を混合して用
い、またはニトロキシラジカル以外の添加剤、例えば紫
外線吸収剤、酸化防止剤、ヒンダードアミン系の光安定
剤と併用しても構わない。
【0067】
【発明の効果】以上説明してきたように、本発明によれ
ばその構成をグリコールエステル、フタル酸エステルお
よび脂肪酸エステルを可塑剤とする従来用いられていた
PVB中間膜シートをそのまま用いるのではなく、フォ
トクロミック合わせガラス用としてポリグリコール系化
合物を可塑剤とするPVB中間膜を使用したことにより
一層長期間にわたる使用に耐えるフォトクロミック合わ
せガラスが得られる。更に、実施例から明らかなよう
に、可塑剤として従来のグリコールエステル、フタル酸
エステルおよび脂肪酸エステル系のPVB中間膜を使用
したものよりポリグリコール系化合物を可塑剤として使
用したことにより、フォトクロミズムに伴う変化量が1.
5 程度大きくなり、調光ガラスとしての商品性が増すこ
とが判明した。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 三ツ橋 和夫 神奈川県横浜市緑区鴨志田町1000番地 三 菱化成株式会社総合研究所内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式 【化1】 【化2】 【化3】 【化4】 【化5】 (式中のRおよびR′は水素原子またはアルキル基を示
    し、一分子あたりのnの合計は2〜30以内である)で表
    されるポリグリコールを可塑剤として用い、フォトクロ
    ミック物質として、次の一般式 【化6】 (式中のR1 ,R2 およびR3 は、それぞれ独立して置
    換もしくは非置換のアルキル基、アルケニル基、シクロ
    アルキル基またはアリール基を示し、R2 ,R3は互い
    に結合環化してもよく、また、R1 としてはアルキレン
    基またはアリーレン基を介してもう1つのスピロオキサ
    ジン環を有し、全体として2量体の化合物を形成しても
    よい。R4 としては水素原子またはC1 〜C5 のアルキ
    ル基を示す。環XおよびYはそれぞれ独立して置換され
    てもよい炭化水素芳香環または複素系芳香環を示す。Z
    は酸素原子または硫黄原子を示す。)で表わされるスピ
    ロオキサジン系化合物を用いて成形したポリビニルブチ
    ラール樹脂シートを合わせガラス用中間膜に用いて成る
    ことを特徴とするフォトクロミック合わせガラス。
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