JPH05205236A - 磁気記録媒体及び磁気記録装置 - Google Patents

磁気記録媒体及び磁気記録装置

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JPH05205236A
JPH05205236A JP1120992A JP1120992A JPH05205236A JP H05205236 A JPH05205236 A JP H05205236A JP 1120992 A JP1120992 A JP 1120992A JP 1120992 A JP1120992 A JP 1120992A JP H05205236 A JPH05205236 A JP H05205236A
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JP
Japan
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magnetic
magnetic recording
circuit
recording medium
signal
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Application number
JP1120992A
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English (en)
Inventor
Yasuo Tateno
安夫 舘野
Koji Naruse
宏治 成瀬
Mayumi Abe
真弓 阿部
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Sony Corp
Original Assignee
Sony Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 垂直磁気記録において対称性の良い単峰形の
再生信号が得られる磁気記録媒体を得る。 【構成】 非磁性支持体10上に、第1及び第2の磁性
層11及び12が被着形成されて成り、各磁性層11及
び12の膜厚は独別に500Å〜1500Åとされ、下
層側の第1の磁性層11は、磁化容易軸の垂直方向から
の角度が−40°〜−20°とされて成り、上層側の第
2の磁性層12は、磁化容易軸の垂直方向からの角度が
20°〜40°とされて成り、両第1及び第2の磁性層
11及び12の組成は、(Co1-x Nix 1-m m
表され、その組成範囲を、0.03≦x≦0.10、
0.10≦m≦0.30と選定して構成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ディジタルVTR等に
おいてディジタル信号の記録再生に適した磁気記録媒体
及び磁気記録装置に係わる。
【0002】
【従来の技術】磁気記録の分野において、年々高密度化
が要求されており、加えて信号形態もアナログ信号から
ディジタル信号に代わりつつあり、高密度化と共に信号
形態に合わせた媒体設計が必要とされている。
【0003】これまで、磁気記録の方式は、面内に磁化
の容易軸を持った磁気記録媒体を用いる、いわゆる面内
磁気記録方式が主であったが、この方式では記録密度を
上げれば上げるほど磁気記録媒体の磁化方向が互いに反
発し合うように並ぶため、高密度化には自ずと限度があ
り、要求されるような高密度化を図ることは困難であ
る。
【0004】更に、面内磁気記録方式では、磁化反転を
2回繰り返すパターンにおいて、それぞれの磁化反転の
間隔が詰まってくるほど(高密度化するほど)互いの磁
化反発及び波形干渉によるピークシフトが生じ、エラー
レートが悪化する等の欠点がある。
【0005】そこで近年、磁気記録の新しい方式とし
て、膜面に対して垂直方向に磁化容易軸を有する磁気記
録媒体を用いる垂直磁気記録方式が開発され、その実用
化が期待されている。
【0006】垂直磁気記録方式では、面内磁気記録方式
に比べて減磁作用が極めて少なく、記録密度を飛躍的に
増大することが可能となる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】このような垂直磁気記
録方式によりディジタル信号の記録再生する際の垂直磁
気記録媒体としては、優れた磁気特性を有するCo−O
系垂直磁気記録媒体が注目されているが、このCo−O
系垂直磁気記録媒体のうち媒体の全厚が10μm以下で
あるようなテープ状媒体の場合、いわゆるカッピング
(幅方向の湾曲)やカーリング(長手方向の湾曲)とい
った形状の問題があり、回転ドラムを用いて記録再生を
行うような磁気記録再生システムにおいてこのテープ形
状が媒体と記録再生用磁気ヘッドとのインターフェイス
に影響を及ぼし、その電磁変換特性を大きく左右するこ
とになる。
【0008】即ちカッピングの著しいテープ状媒体に対
して回転ドラムを用いたシステムで記録再生を行うと、
媒体と磁気ヘッドとの間のスペーシング量が大きくな
り、記録波長の短い領域(例えば記録波長λ=約0.5
μm)では著しくその電磁変換特性が低下し、本来の特
性を引き出すことができないといった不都合が生じる。
【0009】そこで本出願人は、先に特願平3−182
709号出願において、回転ドラムを用いたシステムで
記録再生を行ったときに、スペーシング量を低減するこ
とができ、優れた電磁変換特性を発揮することが可能な
垂直磁気記録媒体を提案した。
【0010】垂直磁気記録媒体、特にCo−O系磁気記
録媒体においては、CoにNiを少量添加することによ
ってその特性が変化して、例えばスチル特性が改善され
ることが知られていたが、本出願人はこのNiの添加が
カッピングの改善に役立つことを究明し、特にそのNi
のCoに対する添加量を3〜10原子%とするときに、
カッピングの改善効果により、媒体−ヘッド間のインタ
ーフェイスが改善され、回転ドラムを用いた磁気記録シ
ステムでは、むしろCo100%のCo−O系垂直磁気
記録媒体よりも優れた電磁変換特性を示すことを明らか
にした。
【0011】即ち、このCoNiO系磁気記録媒体の組
成を、(Co1-x Nix 1-m m(ただし、0.03
≦x≦0.10、0.10≦m≦0.30)と選定する
ことによって、Niを添加することによる垂直磁気異方
性エネルギーの低下を抑制し、垂直磁気記録媒体として
の優れた電磁変換特性を保持しつつ、上述したカッピン
グの改善をはかって媒体−ヘッド間のインターフェイス
を改善し、回転ドラムを用いた磁気記録システムにおい
て優れた電磁変換特性を示す磁気記録媒体を得ている。
【0012】ところで、垂直磁気記録方式を用いたディ
ジタル信号の記録再生は、従来主として磁化容易軸方向
が完全に垂直な磁気記録媒体とリング型磁気ヘッドの組
合せによって行われている。
【0013】しかしながら、磁化容易軸方向がほぼ垂直
な磁気記録媒体と、リング型磁気ヘッドの組合せで矩形
波信号の記録再生を行った場合、その孤立再生波は垂直
磁気記録方式特有のダイパルス波形となる。
【0014】このように、垂直磁気記録方式において
は、孤立再生波形がダイパルス波形となることによっ
て、波形の等化や信号検出法の工夫等が必要となる。例
えば信号の周波数特性や位相特性を補正する回路いわゆ
るイコライザーが必要となるが、このような回路構成は
長手磁気記録方式に比べ格段に複雑となり、信号のノイ
ズ特性を劣化させたり、高周波特性を低下させる可能性
があり、垂直磁気記録媒体の本来の特徴である高周波特
性、低ノイズ特性を損ねてしまう。
【0015】従って、このような垂直磁気記録媒体にお
いて、再生信号がダイパルスとならずに、対称性の良い
単峰形の再生信号が得られる磁気記録媒体または磁気記
録装置が望まれている。
【0016】一方、このような磁気記録媒体において、
特に例えば蒸着等により非磁性支持体いわゆるベース上
に磁性層が被着形成されて成るいわゆる蒸着テープにお
いては、その表面の粗さが電磁変換特性や、表面の摩擦
係数に影響を及ぼすことが知られている。
【0017】蒸着テープには、その支持体即ちいわゆる
ベースに内添されるベース内添フィラーや、ベース表面
に被着される高エマルジョン等の有機物又はSiO2
の無機物の微粒子の高さに応じて、その表面即ち磁性層
表面に種々の高さの突起が表出されて成る。即ちこの突
起の高さ及び密度を変えることによって、蒸着テープの
表面の粗さを変えることができる。
【0018】従来は、このような突起の平均粗さRaか
ら、電磁変換特性、摩擦係数を考慮して表面設計を行っ
ており、実際上は、上述の2種類の突起のうちベース表
面の突起の密度・高さの管理を行って、表面粗さを制御
するようにしていた。この表面粗さ即ち摩擦係数は、磁
気ヘッドと磁気記録媒体との耐久性を考慮して、比較的
小とすることが望ましいが、そのために例えば表面突起
の高さを大とすると、摩擦係数は減少するが、スペーシ
ング損失が大となって電磁変換特性の劣化を招くという
不都合が生じる。
【0019】このように、ベース表面の突起を平均的に
管理するのみでは充分に電磁変換特性や摩擦係数を操作
することができず、このような表面粗さの適切な管理に
よる電磁変換特性の向上、表面の摩擦係数の低減化が望
まれている。
【0020】本発明は、上述したような、垂直磁気記録
において対称性の良い単峰形の再生信号が得られる磁気
記録媒体または磁気記録装置を提供し、また磁気記録媒
体の表面の粗さを適切に選定して、電磁変換特性の向
上、摩擦係数の低減をはかり得る磁気記録媒体を得るこ
とを目的とする。
【0021】
【課題を解決するための手段】本発明磁気記録媒体は、
その一例の説明図を図1に示すように、非磁性支持体1
0上に、第1及び第2の磁性層11及び12が被着形成
されて成り、下層側の第1の磁性層11は、膜厚t1
500Å以上1500Å以下とされ、磁化容易軸E1
垂直方向からの角度θE1が−40°以上−20°以下と
されて成り、上層側の第2の磁性層12は、膜厚t2
500Å以上1500Å以下とされ、磁化容易軸E2
垂直方向からの角度θE2が20°以上40°以下とされ
て成り、両第1及び第2の磁性層11及び12の組成
は、(Co1-x Nix 1-m m で表され、その組成範
囲を、0.03≦x≦0.10、0.10≦m≦0.3
0と選定して構成する。
【0022】本発明の他の一の磁気記録装置は、上述の
磁気記録媒体20と、飽和磁束密度が10kG以上、ギ
ャップ長Lg が0.18μm以上0.21μm以下とさ
れたリング型磁気ヘッド21とを用いる。
【0023】更に本発明の他の一による磁気記録媒体2
0は、図2にその一例の略線的拡大断面図を示すよう
に、磁性層13の表面に、高さHが300Å以上500
Å以下の突起15を形成して、この突起15の密度を2
万個/mm2 〜4万個/mm2とし、この磁性層13の
組成が(Co1-x Nix 1-m m で表され、その組成
範囲を、0.03≦x≦0.10、0.10≦m≦0.
30と選定して構成する。
【0024】
【作用】本発明磁気記録媒体においては、その磁性層を
2層構成とし、上下各層の膜厚をそれぞれ500Å以上
1500Å以下として、下層側の第1の磁性層11の磁
化容易軸E1 の垂直方向からの角度θE1を−40°≦θ
E1≦−20°とし、上層側の第2の磁性層12の磁化容
易軸E2 の垂直方向からの角度θE2を20°≦θ E2≦4
0°とすることによって、上述した垂直磁気記録方式に
おいて矩形波信号を記録することにより得られる孤立再
生波形のダイパルス比が減少し、より単峰形に近い波形
を得ることができた。
【0025】このダイパルス比とは、図3A及びBに示
すように、再生波形の大きさaと、その前または後に付
随して生じる小波形の大きさcとの比c/aで表され
る。
【0026】そして本発明の他の一による磁気記録装
置、即ち上述の磁気記録媒体20に対し、飽和磁束密度
が10kG以上、ギャップ長Lg が0.18μm以上
0.21μm以下とされたリング型磁気ヘッドとを用い
て記録再生を行うことによって、上述のダイパルス比c
/aを、0.12以下とすることができた。
【0027】このため、図4に示すように、ディジタル
信号記録の特にNRZT方式において、信号0の間に一
対の1が存在する場合に、ピット間隔が小となるにつれ
て記録電流の反転間隔bより再生波形のパルス間隔b′
が広がるいわゆるピークシフトの発生が少なくなり、ま
た図5に示すように、ビット間隔の逆数である磁化反転
密度Dが、再生出力振幅E(b)/E0 が0.5に落ちる磁
化反転密度D50、または上述のピークシフトの値(b′
−b)/b×100が20を越える、即ち、(b′−
b)/b×100>20となる磁化反転密度Dps20が大
となって、高密度領域まで安定にディジタル信号の記録
再生を行うことが可能となる。
【0028】本発明の他の一における磁気記録媒体で
は、その磁性層13の表面に、高さHが300Å以上5
00Å以下の突起15を形成して、この突起15の密度
を2万個/mm2 〜4万個/mm2 として構成すること
によって、電磁変換特性の劣化を招くことなく、摩擦係
数を低減化することができた。
【0029】即ち本発明者等は、鋭意考察研究の結果、
磁気記録媒体の表面粗度に影響する表面突起のうち、そ
の電磁変換特性を損なうことなく摩擦係数を低減化する
ためには、特にその高さが300〜500Åとされた突
起の密度の制御が有効であることを見出し、これに基づ
いて突起密度を上述したように選定することによって、
VTRにおいて走行安定性を得るに必要な0.5以下程
度の低い摩擦係数を有し、かつ電磁変換特性に優れた磁
気記録媒体を得ることができたものである。
【0030】また本発明磁気記録媒体においては、その
磁性層の組成が、(Co1-x Nix1-m m で表さ
れ、その組成範囲を、0.03≦x≦0.10、0.1
0≦m≦0.30と選定して構成するため、前述の特願
平3−182709号において提案した磁気記録媒体と
同様に、そのカッピングを改善することができて、優れ
た電磁変換特性を得ることができた。
【0031】
【実施例】以下本発明磁気記録媒体及び磁気記録装置の
各例について詳細に説明する。各例共に、カラービデオ
信号をディジタル化して磁気テープ等の磁気記録媒体に
記録するディジタルVTRに適用した場合を示し、下記
の順序に従って説明する。 A.記録再生装置の構成 a.信号処理部 b.ブロック符号化 c.チャンネルエンコーダ及びチャンネルデコーダ d.走行系 B.記録再生特性の検討
【0032】A.記録再生装置の構成 ディジタルVTRとしては、放送局用のD1フォーマッ
トのコンポーネント形ディジタルVTR及びD2フォー
マットのコンポジット形ディジタルVTRが実用化され
ている。
【0033】前者のD1フォーマットディジタルVTR
は、輝度信号及び第1、第2の色差信号をそれぞれ1
3.5MHz、6.75MHzのサンプリング周波数で
A/D変換した後、所定の信号処理を行って磁気テープ
上に記録するもので、これらコンポーネント成分のサン
プリング周波数が4:2:2であることから、4:2:
2方式と称されている。
【0034】一方、後者のD2フォーマットディジタル
VTRは、コンポジットカラービデオ信号をカラー副搬
送波信号の周波数の4倍の周波数の信号でサンプリング
を行ってA/D変換し、所定の信号処理を行った後、磁
気テープに記録するようにしている。
【0035】いずれにしても、これらのディジタルVT
Rは、共に放送局用に使用されることを前提に設計され
ているために、画質優先とされ、1サンプルが例えば8
ビットにA/D変換されたディジタルカラービデオ信号
を実質的に圧縮することなしに記録するようになされて
いる。
【0036】従って、例えばD1フォーマットのディジ
タルVTRでは、大型のカセットテープを使用しても高
々1.5時間程度の再生時間しか得られず、一般家庭用
のVTRとして使用するには不適当である。
【0037】そこで本実施例においては、例えば5μm
のトラック幅に対して最短波長0.5μmの信号を記録
するようにし、記録密度4×105 bit/mm2
上、或いは8×105 bit/mm2 以上を実現すると
ともに、記録情報を再生歪みが少ないような形で圧縮す
る方法を併用することによって、テープ幅が8mm或い
はそれ以下の幅狭の磁気テープを使用しても長時間の記
録・再生が可能なディジタルVTRに適用するものとす
る。
【0038】a.信号処理部 図6は記録側の構成全体を示すものであり、1Y、1
U、1Vでそれぞれ示す入力端子に、例えばカラービデ
オカメラからの三原色信号R、G、Bから形成されたデ
ィジタル輝度信号Y、ディジタル色差信号U、Vが供給
される。この場合、各信号のクロックレートはD1フォ
ーマットの各コンポーネント信号の周波数と同一とされ
る。即ち、それぞれのサンプリング周波数が13.5M
Hz、6.75MHzとされ、且つこれらの1サンプル
当たりのビット数が8ビットとされている。従って、入
力端子1Y、1U、1Vに供給される信号のデータ量と
しては、約216Mbps(メガビット/秒)となる。
この信号のうちブランキング時間のデータを除去し、有
効領域の情報のみを取り出す有効情報抽出回路102に
よってデータ量が約167Mbpsに圧縮される。
【0039】そして、上記有効情報抽出回路102の出
力のうちの輝度信号Yが周波数変換回路103に供給さ
れ、サンプリング周波数が13.5MHzからその3/
4に変換される。周波数変換回路103としては、例え
ば間引きフィルターが使用され、折り返し歪みが生じな
いようになされている。この周波数変換回路103の出
力信号は、ブロック化回路105に供給され、輝度デー
タの順序がブロックの順序に変換される。ブロック化回
路105は、後段に設けられたブロック符号化回路10
8のために設けられている。
【0040】図7は、符号化の単位のブロックの構造を
示す。この例は、3次元ブロックであって、例えば2フ
レームに跨がる画面を分割することにより、同図に示す
ように(4ライン×4画素×2フレーム)の単位ブロッ
クが多数形成される。尚、図7において実線は奇数フィ
ールドのラインを示し、破線は偶数フィールドのライン
を示す。
【0041】また、有効情報抽出回路102の出力のう
ち、2つの色差信号U、Vがサブサンプリング及びサブ
ラインの回路104に供給され、サンプリング周波数が
それぞれ6.75MHzからその半分に変換された後、
2つのディジタル色差信号が互いにライン毎に選択さ
れ、1チャンネルのデータに合成される。従って、この
サブサンプリング及びサブライン回路104からは線順
次化されたディジタル色差信号が得られる。
【0042】このサブサンプリング及びサブライン回路
104によってサブサンプル及びサブライン化された信
号の画素構成を図8に示す。図8において、○は第1の
色差信号Uのサブサンプリング画素を示し、△は第2の
色差信号Vのサンプリング画素を示し、×はサブサンプ
ルによって間引かれた画素の位置を示す。
【0043】上記サンプリング及びサブライン回路10
4からの線順次化出力信号は、ブロック化回路106に
供給される。ブロック化回路106では一方のブロック
化回路105と同様に、テレビジョン信号の操作の順序
の色差データがブロックの順序のデータに変換される。
このブロック化回路106は、一方のブロック化回路1
05と同様に、色差データを(4ライン×4画素×2フ
レーム)のブロック構造に変換する。そしてこれらブロ
ック化回路105及び106の出力信号が合成回路10
7に供給される。
【0044】合成回路107では、ブロックの順序に変
換された輝度信号及び色差信号が1チャンネルのデータ
に変換され、この合成回路107の出力信号がブロック
符号化回路108に供給される。ブロック符号化回路1
08としては、後述するようにブロック毎のダイナミッ
クレンジに適応した符号化回路(ADRC(AdaptiveDyn
amic Range Coding) と称する)、DCT(Discrete Cos
ine Transform) 回路等が適用できる。前記ブロック符
号化回路108からの出力信号は、更にフレーム化回路
109に供給され、フレーム構造のデータに変換され
る。このフレーム化回路109では、画素系のクロック
と記録系のクロックとの乗り換えが行われる。
【0045】次に、フレーム化回路109の出力信号が
エラー訂正符号のパリティ発生回路110に供給され、
エラー訂正符号のパリティが生成される。パリティ発生
回路110の出力信号は、チャンネルエンコーダ111
に供給され、記録データの低域部分を減少させるような
チャンネルコーディングがなされる。チャンネルエンコ
ーダ111の出力信号が記録アンプ112A、112B
と回転トランスを介して一対の磁気ヘッド113A及び
113Bに供給され、磁気テープに記録される。尚、オ
ーディオ信号と、ビデオ信号とは別に圧縮符号化され、
チャンネルエンコーダ111に供給される。
【0046】上述の信号処理によって、入力のデータ量
216Mbpsが、有効走査期間のみを抽出することに
よって約167Mbpsに低減され、更に周波数変換と
サブサンプル、サブラインとによってこれが84Mbp
sに減少される。このデータは、ブロック符号化回路1
08で圧縮符号化することにより、約25Mbpsに圧
縮され、その後のパリティ、オーディオ信号等の付加的
な情報を加えて、記録データ量としては31.56Mb
psとなる。
【0047】次に、再生側の構成について図9を参照し
て説明する。再生の際には、図9に示すように、先ず磁
気ヘッド113A及び113Bからの再生データが回転
トランス及び再生アンプ114A及び114Bを介して
チャンネルデコーダ115に供給される。チャンネルデ
コーダ115においてチャンネルコーディングの復調が
なされ、チャンネルデコーダ115の出力信号がTBC
回路(時間軸補正回路)116に供給される。このTB
C回路116において、再生信号の時間軸変動成分が除
去される。TBC回路116からの再生データがECC
回路117に供給され、エラー訂正符号を用いたエラー
訂正とエラー修整とが行われる。ECC回路117の出
力信号がフレーム分解回路118に供給される。
【0048】フレーム分解回路118によって、ブロッ
ク符号化データの各成分がそれぞれ分離されると共に、
記録系のクロックから画素系のクロックへの乗り換えが
なされる。フレーム分解回路118で分離された各デー
タがブロック復号回路119に供給され、各ブロック単
位に原データと対応する復元データが復号され、復号デ
ータが分配回路120に供給される。この分配回路12
0で復号データが輝度信号と色差信号に分離される。輝
度信号及び色差信号がブロック分解回路121、122
にそれぞれ供給される。ブロック分解回路121、12
2は、記録側のブロック化回路105、106とは逆
に、ブロックの順序の復号データをラスター走査の順に
変換する。
【0049】ブロック分解回路121からの復号輝度信
号が補間フィルタ123に供給される。補間フィルタ1
23では、輝度信号のサンプリングレートが3fsから
4fs(4fs=13.5MHz)に変換される。補間
フィルター123からのディジタル輝度信号Yは出力端
子126Yに取り出される。
【0050】一方、ブロック分解回路122からのディ
ジタル色差信号が分配回路124に供給され、線順次化
されたディジタル色差信号U、Vがディジタル色差信号
U及びVにそれぞれ分離される。分配回路124からの
ディジタル色差信号U、Vが補間回路125に供給さ
れ、それぞれ補間される。補間回路125は、復元され
た画素データを用いて間引かれたライン及び画素のデー
タを補間するもので、補間回路125からはサンプリン
グレートが2fsのディジタル色差信号U及びVが得ら
れ、出力端子126U及び126Vにそれぞれ取り出さ
れる。
【0051】b.ブロック符号化 図6におけるブロック符号化回路108としては、AD
RCエンコーダが用いられる。このADRCエンコーダ
は、各ブロックに含まれる複数の画素データの最大値M
AXと最小値MINとを検出し、これら最大値MAX及
び最小値MINからブロックのダイナミックレンジDR
を検出し、このダイナミックレンジDRに適応した符号
化を行い、原画素データのビット数よりも少ないビット
数により、再量子化を行うものである。ブロック符号化
回路108の他の例としては、各ブロックの画素データ
をDCT処理した後、このDCTで得られた係数データ
を量子化し、量子化データをランレングス・ハフマン符
号化して圧縮符号化する構成を用いてもよい。
【0052】ここでは、ADRCエンコーダを用い、更
にマルチダビングしたときにも画質劣化が生じないエン
コーダの例を図10を参照して説明する。図10におい
て、入力端子27に例えば1サンプルが8ビットに量子
化されたディジタルビデオ信号(或いはディジタル色差
信号)が図6の合成回路107より入力される。入力端
子27からのブロック化データが最大値、最小値検出回
路29及び遅延回路30に供給される。最大値、最小値
検出回路29は、ブロック毎に最小値MIN、最大値M
AXを検出する。遅延回路30からは、最大値及び最小
値が検出されるのに要する時間、入力データを遅延させ
る。遅延回路30からの画素データが比較回路31及び
32に供給される。
【0053】最大値、最小値検出回路29からの最大値
MAXが減算回路33に供給され、最小値MINが加算
回路34に供給される。これらの減算回路33及び加算
回路34には、ビットシフト回路35から4ビット固定
長でノンエッジマッチング量子化した場合の1量子化ス
テップ幅の値(Δ=1/16DR)が供給される。ビッ
トシフト回路35は、(1/16)の割算を行うよう
に、ダイナミックレンジDRを4ビットシフトする構成
とされている。減算回路33からは(MAX−Δ)のし
きい値が得られ、加算回路34からは(MIN+Δ)の
しきい値が得られる。これらの減算回路33及び加算回
路34からのしきい値が比較回路31、32にそれぞれ
供給される。尚、このしきい値を規定する値Δは、量子
化ステップ幅に限らず、ノイズレベルに相当する固定値
としてもよい。
【0054】比較回路31の出力信号がANDゲート3
6に供給され、比較回路32の出力信号がANDゲート
37に供給される。ANDゲート36及び37には、遅
延回路30からの入力データが供給される。比較回路3
1の出力信号は、入力データがしきい値より大きいとき
にハイレベルとなり、従ってANDゲート36の出力端
子には、(MAX〜MAX−Δ)の最大レベル範囲に含
まれる入力データの画素データが抽出される。一方、比
較回路32の出力信号は、入力データがしきい値より小
さいときにハイレベルとなり、従ってANDゲート37
の出力端子には、(MIN〜MIN+Δ)の最小レベル
範囲に含まれる入力データの画素データが抽出される。
【0055】ANDゲート36の出力信号が平均化回路
38に供給され、ANDゲート37の出力信号が平均化
回路39に供給される。これらの平均化回路38、39
は、ブロック毎に平均値を算出するもので、端子40か
らブロック周期のリセット信号が平均化回路38、39
に供給されている。平均化回路38からは、(MAX〜
MAX−Δ)の最大レベル範囲に属する画素データの平
均値MAX′が得られ、平均化回路39からは(MIN
〜MIN+Δ)の最小レベル範囲に属する画素データの
平均値MIN′が得られる。平均値MAX′から平均値
MIN′が減算回路41で減算され、この減算回路41
からダイナミックレンジDR′が得られる。
【0056】また、平均値MIN′が減算回路42に供
給され、遅延回路43を介された入力データから平均値
MIN′が減算回路42において減算され、最小値除去
後のデータPDIが形成される。このデータPDI及び
修整されたダイナミックレンジDR′が量子化回路44
に供給される。この実施例では、量子化に割り当てられ
るビット数nが0ビット(コード信号を転送しない)、
1ビット、2ビット、3ビット、4ビットの何れかとさ
れる可変長のADRCであって、エッジマッチング量子
化がなされる。割り当てビット数nは、ブロック毎にビ
ット数決定回路45において決定され、ビット数nのデ
ータが量子化回路44に供給される。
【0057】可変長ADRCは、ダイナミックレンジD
R′が小さいブロックでは、割り当てビット数nを少な
くし、ダイナミックレンジDR′が大きいブロックで
は、割り当てビット数nを多くすることで、効率の良い
符号化を行うことができる。即ち、ビット数nを決定す
る際のしきい値をT1〜T4(T1<T2<T3<T
4)とすると、(DR′<T1)のブロックは、コード
信号が転送されず、ダイナミックレンジDR′の情報の
みが転送され、(T1≦DR′<T2)のブロックは、
(n=1)とされ、(T2≦DR′<T3)のブロック
は、(n=2)とされ、(T3≦DR′<T4)のブロ
ックは、(n=3)とされ、(DR′≧T4)のブロッ
クは、(n=4)とされる。
【0058】かかる可変長ADRCでは、しきい値T1
〜T4を変えることで、発生情報量を制御すること(い
わゆるバッファリング)ができる。従って、1フィール
ド或いは1フレーム当たりの発生情報量を所定値にする
ことが要求される本実施例のディジタルオーディオビデ
オテープレコーダのような伝送路に対しても可変長AD
RCを適用できる。
【0059】発生情報量を所定値にするためのしきい値
T1〜T4を決定するバッファリング回路46では、し
きい値の組(T1、T2、T3、T4)が複数例えば3
2組用意されており、これらのしきい値の組がパラメー
タコードPi (i=0、1、2、‥‥、31)により区
別される。パラメータコードPi の番号iが大きくなる
に従って、発生情報量が単調に減少するように設定され
ている。但し、発生情報量が減少するに従って、復元画
像の画質が劣化する。
【0060】バッファリング回路46からのしきい値T
1〜T4が比較回路47に供給され、遅延回路48を介
されたダイナミックレンジDR′が比較回路47に供給
される。遅延回路48は、バッファリング回路46でし
きい値の組が決定されるのに要する時間、DR′を遅延
させる。比較回路47では、ブロックのダイナミックレ
ンジDR′と各しきい値とがそれぞれ比較され、比較出
力がビット数決定回路45に供給され、そのブロックの
割り当てビット数nが決定される。量子化回路44では
ダイナミックレンジDR′と割り当てビット数nとを用
いて遅延回路49を介された最小値除去後のデータPD
Iがエッジマッチングの量子化により、コード信号DT
に変換される。量子化回路44は、例えばROMで構成
されている。
【0061】遅延回路48、50をそれぞれ介して修整
されたダイナミックレンジDR′、平均値MIN′が出
力され、更にコード信号DTとしきい値の組を示すパラ
メータコードPi が出力される。この例では、一旦ノン
エッジマッチ量子化された信号が新たにダイナミックレ
ンジ情報に基づいて、エッジマッチ量子化されているた
めに、ダビングしたときの画像劣化は少ないものとされ
る。
【0062】c.チャンネルエンコーダ及びチャンネル
デコーダ 次に、図6のチャネルエンコーダ111及びチャンネル
デコーダ115について説明する。チャンネルエンコー
ダ111においては、図11に示すように、図6におけ
るパリティ発生回路110の出力が供給される適応型ス
クランブル回路で、複数のM系列のスクランブル回路5
1が用意され、その中で入力信号に対し最も高周波成分
及び直流成分の少ない出力が得られるようなM系列が選
択されるように構成されている。52はパーシャルレス
ポンス・クラス4検出方式のためのプリコーダで、1/
1−D2 (Dは単位遅延用回路)の演算処理がなされ
る。このプリコーダ52の出力を記録アンプ112A、
112Bを介して磁気ヘッド113A及び113Bによ
り記録再生し、再生出力を再生アンプ114A、114
Bによって増幅するようになされている。
【0063】一方、チャンネルデコーダ115において
は、図12に示すように、パーシャルレスポンス・クラ
ス4の再生側の演算処理回路53は、1+Dの演算が再
生アンプ114A、114Bの出力に対して行われる。
また、いわゆるビタビ復号回路54においては、演算処
理回路53の出力に対してデータの相関性や確からしさ
等を用いた演算により、ノイズに強いデータの復号が行
われる。このビタビ復号回路54の出力がディスクラン
ブル回路55に供給され、記録側のスクランブル処理に
よって並び換えられたデータが元の系列に戻されて原デ
ータが復元される。この実施例において用いられるビタ
ビ復号回路54によって、ビット毎の復号を行う場合よ
りも、再生C/N換算が3dBで改良が得られる。
【0064】d.走行系 上述の磁気ヘッド113A及び113Bは、例えば図1
3Aに示すように、ドラム76に対して180°の対向
間隔で取り付けられるか、或いは図13Bに示すよう
に、例えば一体構造とされた形でドラム76に取り付け
られる。ドラム76の周面には、180°よりやや大き
いか、或いはやや小さい巻き付け角で磁気テープ(図示
せず)が斜めに巻き付けられている。図13Aに示すヘ
ッド配置では、磁気テープに対して磁気ヘッド113A
及び113Bがほぼ交互に接し、図13Bに示すヘッド
配置では、磁気ヘッド113A及び113Bが同時に磁
気テープを走査する。
【0065】また磁気ヘッド113A及び113Bのそ
れぞれのギャップの延長方向(アジマス角と称する)は
互いに異ならしめて構成されており、例えば図14に示
すように、磁気ヘッド113Aと113Bとの間に、±
20°のアジマス角が設定されて、このアジマス角の相
違により、磁気テープには、図15に記録パターンの一
例を示すように、隣り合う記録トラックTA及びTBに
おいて、アジマス角に相当する角度をもって互いに逆向
きに傾いて記録されるようになされる。従って、再生時
には、アジマス損失により、隣り合うトラック間のクロ
ストーク量を低減することができる。
【0066】図16及び図17は、磁気ヘッド113A
及び113Bを一体構造(いわゆるダブルアジマスヘッ
ド)とした場合のより具体的な構成を示す。例えば15
0rps(NTSC方式)の高速で回転される上ドラム
76に対して、一体構造の磁気ヘッド113A及び11
3Bが取り付けられ、下ドラム77が固定とされてい
る。従って、磁気テープ78には、1フィールドのデー
タが5本のトラックに分割して記録される。このセグメ
ント方式により、トラックの長さを短くすることができ
る。磁気テープ78の巻き付け角θが、例えば166°
とされ、ドラム径φが16.5mmとされている。
【0067】また、ダブルアジマスヘッドを使用し、同
時記録を行うこともできる。通常、上ドラム76の回転
部の偏心等により、磁気テープ78の振動が生じ、トラ
ックの直線性のエラーが発生する。図18Aにおいて矢
印dで示すように、磁気テープ78が下側に押さえつけ
られ、また、図18Bにおいて矢印uで示すように、磁
気テープ78が上側に引っ張られ、これにより磁気テー
プ78が振動し、トラックの直線性が劣化する。しかし
ながら、180°で一対の磁気ヘッドが対向配置された
ものと比較して、ダブルアジマスヘッドで同時記録を行
うことで、かかる直線性のエラー量を小さくできる。更
に、ダブルアジマスヘッドは、ヘッド間の距離が小さい
ので、ペアリング調整をより正確に行うことができる利
点がある。このようなテープ・ヘッド系により、幅狭の
トラックの記録再生を行うことができる。
【0068】B.記録再生特性の検討 次に、本発明磁気記録媒体及びこれを用いた磁気記録装
置における記録再生特性について測定した結果を示す。
【0069】先ず、図1に示す磁気記録媒体20この場
合磁気テープは、次の方法により製造される。例えばポ
リアミドフィルム等より成る非磁性支持体10上に、図
19に示す連続巻取蒸着装置によって、第1及び第2の
磁性層11及び12を被着形成した。図19において、
97は真空チャンバーで、排気口96から図示しないが
排気系によって排気される。81及び82は非磁性支持
体10をガイドする第1及び第2の冷却キャンで、83
はこの非磁性支持体10の供給ロール、84はガイドロ
ール、85は巻取りロールである。86、87はCo、
Ni等の蒸発源となる耐火ルツボで、88及び89は、
それぞれ耐火ルツボ86及び87に収められた蒸発源を
加熱する電子銃である。90及び91は酸素ガスの導入
管で、92、93、94及び95は後段で説明する蒸発
金属の入射角θ1 〜θ4 を制限する入射角制限マスクで
ある。
【0070】このような構成において、非磁性支持体1
0は、供給ロール83から第1の冷却キャン81、ガイ
ドロール84、第2の冷却キャン82、巻取りロール8
5の順に移送される。そして、第1の冷却キャン81に
おいて第1の磁性層11が入射角を垂直方向から−θ1
〜θ2 の範囲として斜め蒸着により被着され、第2の冷
却キャン82において第2の磁性層12が入射角を垂直
方向から−θ3 〜θ4の範囲として斜め蒸着により被着
される。
【0071】本実施例においては、後述の各例共に、非
磁性支持体10の移送速度を16m/min、各蒸発源
の組成をCo95Ni5 とし、また酸素導入管91からの
酸素ガスを380cc/minの割合で導入しながら蒸
着を行った。そして入射角制限マスク92、93、94
及び95による入射角、電子銃の出力を変化させて、第
1及び第2の磁性層11及び12の磁化容易軸E1 及び
2 の角度と膜厚を制御して蒸着を行った。
【0072】下記表1に、各実施例1〜4及び比較例1
〜18における、各磁性層11及び12の蒸着入射角θ
の範囲、最終的に得た磁性層11及び12の磁化容易軸
の傾斜角度θE1及びθE2、各磁性層11及び12の膜厚
を示す。ここで磁化容易軸の傾斜角度θE1及びθE2は、
図1に示すように、リング型磁気ヘッド21の相対的走
行方向をX軸とし、膜面に垂直な方向をY軸として、そ
れぞれこのY軸方向からの磁化容易軸E1 及びE2 の傾
斜角で表される。
【0073】
【表1】
【0074】これらのテープ状の磁気記録媒体20を、
下記表2にそれぞれ示すギャップ長Lg及び飽和磁束密
度Bsを有するリング型磁気ヘッド21を用い、図1に
示すように、X軸方向にこのリング型磁気ヘッド21を
相対的に走行させて、その電磁変換特性を評価した。リ
ング型磁気ヘッド21のトラック幅は10μm以下の例
えば7μmとした。また評価項目としては、ダイパルス
比、半値反転密度D50、ピークシフトが20%を越える
密度Dps20、そしてエラーレートとした。この結果を表
2に示す。
【0075】
【表2】
【0076】表2において、実施例1〜4は、膜厚及び
リング型磁気ヘッド21のギャップ長Lgを変化させた
場合で、比較例1〜4は、実施例1に対して磁化容易軸
の角度組合せを変化させた場合、比較例5〜8は磁化容
易軸の角度範囲を変化させた場合、比較例9〜14は膜
厚を変化させた場合、比較例15〜18はリング型磁気
ヘッド21のギャップ長Lg、飽和磁束密度Bsを変化
させた場合を示す。
【0077】この結果から、本発明実施例1〜4におい
て、即ち各磁性層11及び12の膜厚がそれぞれ500
Å〜1500Åの範囲とされ、またその第1の磁性層1
1の磁化容易軸が−40°〜−20°、第2の磁性層1
2の磁化容易軸が20°〜40°とされ、且つその組成
が(Co1-x Nix 1-m m と表され、0.03≦x
≦0.10、0.1≦m≦0.3として磁気記録媒体を
構成し、そしてこのような磁気記録媒体20に対し、そ
のギャップ長Lgが0.18〜0.21μmで飽和磁束
密度Bsが10kG以上とされ、特にこの場合トラック
幅が高密度記録に適した10μm以下の特に7μmとさ
れたリング型磁気ヘッド21を用いることにより、ダイ
パルス比が著しく小さく、対称性の良い再生波形が得ら
れることがわかる。
【0078】その結果、波形を補正するための回路が不
要となり、磁気記録装置の構成が簡略化され、また信号
のノイズ特性の劣化や高周波特性の劣化を招くことを回
避できる。更に、従来の波形に比してその半値幅が狭
く、高密度特性の向上がはかられることとなる。また、
対称性が良いため、隣接パルスとの干渉によるピークシ
フトの発生が少なく、D50やDps20が大となり、高密度
領域まで安定にディジタル信号の検出を行うことができ
る。
【0079】尚、上述の比較例4においては、第1及び
第2の磁性層11及び12の磁化容易軸の向きが、本発
明実施例1の磁気記録媒体20とは、それぞれ上下層逆
向きに設定されている。これは、実施例1の磁気記録媒
体20に対し、リング型磁気ヘッド21の走行方向を逆
向きにした場合に相当し、ヘッドの走行方向が電磁変換
特性に影響を与えることがわかる。
【0080】また本発明実施例では、エラーレートを3
〜5×10-5程度に抑えることができて、ディジタル画
像信号を記録した場合に、高密度記録が可能な磁気記録
装置が得られることがわかる。従って、本発明磁気記録
媒体及び磁気記録装置は、前述の図6〜図18において
説明した、回転ドラムを用いたディジタル画像信号の記
録再生に適したものであることがわかる。
【0081】更にこの場合、その各磁性層11及び12
の組成を(Co1-x Nix 1-m m と表され、0.0
3≦x≦0.10、0.1≦m≦0.3として磁気記録
媒体20を構成したことにより、前述の特願平3−18
2709号出願と同様に、カッピング量を抑制でき、ス
ペーシング損失の低減化をはかって、電磁変換特性の向
上をはかることができた。
【0082】次に、本発明の他の一による磁気記録媒体
についてその記録再生特性を測定した結果を示す。
【0083】この例においては、厚さ9.0μmのポリ
アミドベースを非磁性支持体10として用い、各種大き
さの内添フィラーをそれぞれ密度を変えて含有させて、
図2に示すように、この内添フィラー17の高さ及び密
度に対応して非磁性支持体10上の突起14の高さh及
び密度を制御して構成した。そしてこの非磁性支持体1
0上に、例えばSiO2 より成る高さ約130Å、密度
約1550万個/mm 2 の粒子(図示せず)を塗布して
表面に上述の突起14に比して小なる高さ及び密度の微
小突起を形成した。
【0084】更にこの非磁性支持体10上に、Co95
5 等より成る磁性層13を、酸素中において蒸着し、
その入射角を20°〜40°として被着形成した。この
場合、トルク計により測定した磁化容易軸は40°であ
った。
【0085】このようにして、内添付フィラー17の大
きさ及び密度を制御することによって、磁性層13の表
面に、所望の高さH及び密度をもって突起15を形成す
る。図示しないが、磁性層13の表面には、上述したS
iO2 等の微粒子の高さ及び密度に対応して生じる高さ
130Å程度の微小突起が形成されて成る。
【0086】そして更にこの非磁性支持体10の裏面側
に、カーボン及びウレタンバインダー等より成るバック
コートを施し、更に磁性層13の表面上に、図示しない
が例えばパーフルオロポリエーテルより成る潤滑剤を被
着し、8mm幅に裁断して磁気記録媒体20この場合磁
気テープを形成した。
【0087】このような磁気記録媒体20に対し、図2
0に示す摩擦測定機を用いて摩擦係数の測定を行った。
この摩擦測定機は、磁気記録媒体20の一端に重さWの
重り61をぶら下げて、検討用ガイド62に巻き付けて
これを矢印kで示すように図20において右方向に引っ
張り、このときのテンションTを磁気記録媒体20の他
端に設けたひずみゲージ63で測定するものである。
【0088】このような装置において、100パス摺動
させた後の摩擦係数μを測定した。この摩擦係数μは、
図21に示すように、重り61の重さWと、テンション
T、更に検討用ガイド62への磁気記録媒体20の抱き
角θ〔rad〕とを測定して、下記の数1によって求め
ることができる。
【数1】
【0089】そしてこの磁気記録媒体20に対し、ギャ
ップ長Lgが0.2μm、飽和磁束密度Bsが1100
0Gとされたリング型磁気ヘッドを用いて、また記録波
長λを0.5μmとし、電磁変換特性この場合輝度信号
Yの再生出力と、エラーレートとを測定した。再生出力
は比較例23における出力を0レベルとした。この結果
を下記の表3に示す。
【0090】
【表3】
【0091】この表3において、実施例5及び比較例2
0〜23においては、各例共に、磁性層13の表面の突
起15の高さH及び密度を、上述の内添フィラー17の
高さ及び密度を変えて制御した。尚、比較例19におい
ては、内添フィラー17を含まない状態で記録媒体20
を製造した場合で、はりつきがひどく、エラーレートは
測定不能であった。
【0092】また表3中突起の密度とは、指定する高さ
の範囲内の突起に比し、これより大なる高さの突起の密
度がほぼ2桁程度以上低い密度とされて成るように、そ
の内添フィラー17の高さ及び密度を制御して構成した
ことを示す。
【0093】以上の結果からわかるように、磁性層13
の表面の突起のうち、特に高さが300〜500Åの突
起の密度を2〜4万個/mm2 とした本発明磁気記録媒
体においては、再生出力の低下を伴うことなく、その摩
擦係数をVTRにおいて走行安定性を得るに必要とされ
る0.5以下の0.35程度とすることができた。
【0094】そして、比較例22からわかるように、高
さが300Å未満の突起については、その密度を変化さ
せても特に摩擦係数の低減に顕著な効果を示さず、一
方、実施例5及び比較例23からわかるように、高さが
500Åを越える突起については、その密度を格段に小
とすること、具体的には、500Å以下の高さの突起の
密度に比して2桁程度以上低い密度とすることが、摩擦
係数の改善に有利となることが明らかである。
【0095】更にこの実施例5においても、上述の実施
例1〜4と同様に、そのエラーレートが6×10-5程度
に抑えられ、ディジタル画像信号の高密度記録が可能と
なることがわかる。従って、この本発明磁気記録媒体
が、前述の図6〜図18において説明した、回転ドラム
を用いたディジタル画像信号の記録再生に適したもので
あることがわかる。
【0096】更にこの場合、その磁性層の組成が(Co
1-x Nix 1-m m と表され、0.03≦x≦0.1
0、0.1≦m≦0.3として磁気記録媒体20を構成
したことにより、前述の特願平3−182709号出願
と同様に、カッピング量を抑制でき、スペーシング損失
の低減化をはかって、電磁変換特性の向上をはかること
ができた。
【0097】尚、上述の実施例5及び比較例20〜23
においては、非磁性支持体10の表面の突起の高さ及び
密度を、この非磁性支持体10いわゆるベースフィルム
に内添させるフィラーの大きさ及び密度をもって制御し
たものであるが、この突起を得る構成としては内添フィ
ラーの高さ及び密度の制御に限定されるものではなく、
磁性層13の表面に表出される突起のうち比較的大なる
高さの突起が300〜500Å程度であって、且つ、そ
の密度が2万〜4万個/mm2 に選定される構成であれ
ばよい。
【0098】また、本発明は、上述の具体的な実施例に
限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範
囲で種々の変更が可能であることは言うまでもない。
【0099】
【発明の効果】上述したように、本発明磁気記録媒体に
よれば、その磁性層を二層構造とし、各磁性層の膜厚を
500〜1500Åとし、磁化容易軸の角度範囲を下層
については−40°〜−20°、上層については20°
〜40°に選定して構成し、更にこのような磁気記録媒
体に対して、本発明磁気記録装置によって、即ちギャッ
プ長が0.18〜0.21μmで飽和磁束密度が10k
G以上とされ、更に望ましくは高密度記録に適した10
μm程度以下の狭トラック幅を有するリング型磁気ヘッ
ドを、その相対的走行方向を図1においてX軸方向で示
す方向に選定して用いることによって、ダイパルス比が
0.12以下程度と著しく小さく、対称性の良い単峰形
の再生波形が得られた。
【0100】その結果、波形を補正するための回路が不
要となり、磁気記録装置の構成が簡略化され、また信号
のノイズ特性の劣化や高周波特性の劣化を招くことを回
避できる。更に、従来の波形に比してその半値幅が狭
く、高密度特性の向上がはかられることとなる。また、
対称性が良いため、隣接パルスとの干渉によるピークシ
フトの発生が少なく、D50やDps20が大となり、高密度
領域まで安定にディジタル信号の検出を行うことができ
る。
【0101】また本発明の他の一による磁気記録媒体に
よれば、その磁性層の表面に、高さが300〜500Å
の突起が形成され、その密度を2万〜4万個/mm2
選定することによって、電磁変換特性の劣化を招くこと
なく、摩擦係数を0.5以下に充分小とすることができ
る。
【0102】また上述の各磁気記録媒体及び磁気記録装
置によれば、エラーレートを3〜5×10-5程度に抑え
ることができて、ディジタル信号を記録した場合に高密
度記録が可能となり、ディジタル画像信号の記録再生に
適した記録再生装置を得ることができる。
【0103】更に、本発明においては、磁気記録媒体の
各磁性層の組成を(Co1-x Nix1-m m 、0.0
3≦x≦0.10、0.1≦m≦0.3として構成する
ことにより、前述の特願平3−182709号出願と同
様に、カッピング量を抑制でき、スペーシング損失の低
減化をはかって、電磁変換特性の向上をはかることがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明磁気記録媒体及び磁気記録装置の一例の
説明図である。
【図2】本発明磁気記録媒体の一例の略線的拡大断面図
である。
【図3】ダイパルス比の説明図である。
【図4】ピークシフトの説明図である。
【図5】半値反転密度D50の説明図である。
【図6】本発明磁気記録装置の記録側信号処理部の一例
の構成図である。
【図7】符号化の単位のブロックを示す図である。
【図8】信号の画素構成を示す図である。
【図9】本発明磁気記録装置の再生側信号処理部の一例
の構成図である。
【図10】本発明磁気記録装置のブロック符号化回路の
一例の構成図である。
【図11】チャンネルエンコーダの一例の構成図であ
る。
【図12】チャンネルデコーダの一例の構成図である。
【図13】ヘッド配置の説明図である。
【図14】回転ヘッドの説明図である。
【図15】記録パターンの説明図である。
【図16】ヘッド配置の説明図である。
【図17】ヘッド配置の説明図である。
【図18】磁気テープの振動の説明図である。
【図19】連続巻取蒸着装置の一例の構成図である。
【図20】摩擦測定機の一例の構成図である。
【図21】摩擦係数の説明図である。
【符号の説明】
10 非磁性支持体 11 第1の磁性層 12 第2の磁性層 13 磁性層 14 突起 17 内添フィラー 20 磁気記録媒体 21 リング型磁気ヘッド

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 非磁性支持体上に、第1及び第2の磁性
    層が被着形成されて成り、 下層側の上記第1の磁性層は、膜厚が500Å以上15
    00Å以下とされ、磁化容易軸が垂直方向から−40°
    以上−20°以下とされて成り、 上層側の上記第2の磁性層は、膜厚が500Å以上15
    00Å以下とされ、磁化容易軸が垂直方向から20°以
    上40°以下とされて成り、 上記両第1及び第2の磁性層の組成は、(Co1-x Ni
    x 1-m m で表され、その組成範囲が、 0.03≦x≦0.10 0.10≦m≦0.30 と選定されて成ることを特徴とする磁気記録媒体。
  2. 【請求項2】 非磁性支持体上に、第1及び第2の磁性
    層が被着形成されて成り、下層側の上記第1の磁性層
    は、膜厚が500Å以上1500Å以下とされ、磁化容
    易軸が垂直方向から−40°以上−20°以下とされて
    成り、上層側の上記第2の磁性層は、膜厚が500Å以
    上1500Å以下とされ、磁化容易軸が垂直方向から2
    0°以上40°以下とされて成り、上記両第1及び第2
    の磁性層の組成は、(Co1-x Nix 1-m m で表さ
    れ、その組成範囲が、0.03≦x≦0.10、0.1
    0≦m≦0.30と選定されて成る磁気記録媒体と、 飽和磁束密度が10kG以上、ギャップ長が0.18μ
    m以上0.21μm以下とされたリング型磁気ヘッドと
    を用いることを特徴とする磁気記録装置。
  3. 【請求項3】 磁性層の表面に、高さが300Å以上5
    00Å以下の突起が形成され、 上記突起15の密度が2万個/mm2 〜4万個/mm2
    とされ、 上記磁性層の組成が(Co1-x Nix 1-m m で表さ
    れ、その組成範囲が、 0.03≦x≦0.10 0.10≦m≦0.30 と選定されて成ることを特徴とする磁気記録媒体。
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