JP3185314B2 - 磁気記録媒体の製造方法 - Google Patents

磁気記録媒体の製造方法

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JP3185314B2
JP3185314B2 JP02536892A JP2536892A JP3185314B2 JP 3185314 B2 JP3185314 B2 JP 3185314B2 JP 02536892 A JP02536892 A JP 02536892A JP 2536892 A JP2536892 A JP 2536892A JP 3185314 B2 JP3185314 B2 JP 3185314B2
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【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高密度記録が可能で、
垂直磁気記録方式に適した磁気記録媒体、特にディジタ
ル画像信号の記録再生に好適な磁気記録媒体及びその製
造方法に係わる。
【0002】
【従来の技術】磁気記録の分野においては、年々高密度
化が要求されており、加えて信号形態もアナログ信号か
らディジタル信号に代わりつつあり、高密度化と共に信
号形態に合わせた媒体設計が必要とされている。
【0003】これまで、磁気記録の方式は、面内に磁化
の容易軸を持った磁気記録媒体を用いる、いわゆる面内
磁気記録方式が主であったが、この方式では記録密度を
上げれば上げるほど磁気記録媒体の磁化方向が互いに反
発し合うように並ぶため、高密度化には自ずと限度があ
り、要求されるような高密度化を図ることは困難であ
る。
【0004】更に、面内磁気記録方式では、磁化反転が
2回繰り返すパターンにおいて、それぞれの磁化反転の
間隔が詰まってくるほど(高密度化するほど)互いの磁
化反発及び波形干渉によるピークシフトが生じ、エラー
レートが悪化する等の欠点がある。
【0005】そこで近年、磁気記録の新しい方式とし
て、膜面に対して垂直方向に磁化容易軸を有する磁気記
録媒体を用いる垂直磁気記録方式が開発され、その実用
化が期待されている。この垂直磁気記録方式によれば、
面内磁気記録方式に比べて減磁作用が極めて少なく、記
録密度を飛躍的に増大することが可能となる。
【0006】そしてこのような垂直磁気記録方式により
ディジタル信号を記録再生する際の垂直磁気記録媒体と
しては、優れた磁気特性を有するCoCr系合金の磁性
層を用いた垂直磁気記録媒体が注目されている。
【0007】ところで、高密度化を進める中でトラック
ピッチは益々狭くなる傾向にあり、この場合媒体のノイ
ズはシステムのノイズに比べて相対的に小さくなること
から、媒体として求められる特性としては、C/N(キ
ャリア/ノイズ比)を大とするよりは、むしろC/Nが
同じでも高出力であることが求められている。記録媒体
内の磁気特性が製造方法によって急激に変化しない限り
においては、出力は残留磁化Mrにほぼ比例することが
知られている。
【0008】通常、垂直方向に配向されたCoCr系磁
性層を有する磁気記録媒体においては、反磁界を補正し
た垂直方向の残留磁化Mrは飽和磁化Ms及び垂直磁気
異方性Hkに密接な関係があり、下記の式で表される。 Mr=f(Hk)*Ms
【0009】ここでf(Hk)は、図19に示すよう
に、実効的な垂直磁気異方性Hkeffが300kA/m
未満で徐々に増大し、Hkeff が300kA/m以上の
ときにほぼ1となる関係にあり、飽和磁化Msと垂直磁
気異方性Hkとを共に大とすることによって、残留磁化
Mrを大とすることができる。
【0010】このようにCoCr系磁気記録媒体におい
てより大なる出力を得るには、飽和磁化Msと垂直磁気
異方性Hkとを共に増大させることが求められる。しか
しながら、実際的には、飽和磁化をあまり大きくする
と、磁性層自体の磁束に起因する反磁界の影響で、垂直
方向への結晶配向が乱れ、垂直磁気異方性Hkは小さく
なってしまう場合がある。
【0011】このような磁性層の磁気特性は、その成膜
方法に左右されることが知られている。例えば スパッ
タリング法により非磁性支持体上にCoCr磁性層を被
着して磁気記録媒体を構成する場合、下記表1に示すよ
うに、CoCr磁性層のCr含有量をより小とすると、
飽和磁化Msを大とすると実効的な垂直磁気異方性Hk
eff もまた大とすることができる。
【0012】またこれらの磁気記録媒体において、ディ
ジタルVTR(ビデオテープレコーダー)により再生出
力及びエラーレートを測定した。この場合、ギャップ長
0.15〜0.17μm、トラック幅7μm、飽和磁束
密度14.5kGのリング型磁気ヘッドを用いて相対速
度を7.5m/sとして波長0.45μmのディジタル
信号の記録再生を行った。
【0013】
【表1】
【0014】この結果からわかるように、Cr含有量を
小としてHkeff 及びMsを400kA/m程度以上と
する場合は再生出力が+3dB以上増加しており、更に
ディジタル信号のエラーレートが1×10-4以下とな
る。このように、エラー訂正符号の訂正処理の前の段階
のエラーレートが10-4以下となる場合は、20%程度
の冗長度のエラー訂正符号を使用したときに、訂正可能
な程度の量にエラーを抑えることができる。従って、こ
のような磁気記録媒体は高密度の垂直磁気記録を行うデ
ィジタル画像信号の記録再生に好適となる。
【0015】しかしながら、このスパッタリング法によ
り磁性層を被着する場合はその成膜速度が非常に遅く、
量産性に劣り、低コスト化をはかり難いという問題があ
る。このため、スパッタリング法に比して成膜速度が1
0倍程度大きく、大量生産に適した真空蒸着法による製
造が検討されている。
【0016】ところが、この蒸着により非磁性支持体上
にCoCr磁性層を被着して磁気記録媒体を構成する場
合は、被着した原子がスパッタリング原子に比べエネル
ギーが小さいため被着後の移動がほとんどなく、従って
結晶成長しにくいという傾向がある。従って、下記表2
に示すように、よりCr含有量が大きい場合においては
垂直磁気異方性Hkが大きく保たれているが、Cr含有
量を比較的小としてMsを300kA/m以上とする
と、垂直磁気異方性Hkeff が150kA/m以下と極
端に低下してしまい、再生出力もほとんど増加が見られ
なくなってしまう。また、エラーレートも7×10-4
2×10-3と格段に大となってしまう。
【0017】
【表2】
【0018】このため、従来は、大量生産に適した蒸着
法によってこのようなCoCr磁性層を有する磁気記録
媒体を得ることはできなかった。
【0019】この蒸着により成膜したCoCr磁性層を
垂直磁気記録に適した媒体とするために、例えば特開昭
58−77025号公開公報において、CoCr磁性層
の下に、Ti下地層を設ける構成が提案されている。
【0020】しかしながら、この場合は六方最密構造い
わゆるhcpを有するTi下地層のc軸方向の配向性を
良くする必要があり、高い垂直磁気異方性をもって磁性
層を構成することが難しい場合があった。例えば300
kA/m程度以上の高い飽和磁化Msを得るためにCr
含有量を小とすると、垂直磁気異方性Hkeff が低減化
してしまう場合があった。
【0021】またポリエチレンテレフタレート(PE
T)基板上に、この基板に熱歪みを生じることなくCo
Cr磁性層を蒸着するために、Ti、Si、或いはGe
下地層をスパッタリング法により成膜した後、CoCr
磁性層を蒸着して磁気記録媒体を得る製造方法が例えば
特開昭61−269226号公開公報において提案され
ている。
【0022】しかしながら、このようにGe下地層をス
パッタリングにより設けた場合においても、充分大なる
垂直磁気異方性が得られない場合があり、また実際上、
成膜速度に劣るスパッタリング法により下地層を設ける
場合は、生産性の劣化を招く恐れがある。
【0023】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上述したよ
うなCoCr系磁性層を用いた垂直磁気記録方式におい
て、高い飽和磁化及び高い垂直磁気異方性を得て高再生
出力が得られ、且つ生産性に優れた磁気記録媒体とその
製造方法を提供する。
【0024】本発明は、非磁性支持体上に、この非磁性
支持体の温度を150℃以下としてGeより成る下地層
を、膜厚20nm以下として蒸着する工程と、非磁性支
持体上の温度を150℃以上として、CoCrより成る
磁性層を、膜厚100nm以上300nm以下として蒸
着する工程とを有し、下地層を蒸着する際の非磁性支持
体の温度を、磁性層を蒸着する際の非磁性支持体の温度
より低い温度とする
【0025】
【0026】
【0027】
【0028】
【0029】
【0030】
【作用】上述したように、本発明磁気記録媒体の製造方
法により製造した磁気記録媒体は、非磁性支持体上に、
蒸着によりGe層より成る下地層が設けられ、この上に
蒸着によりCoCr層より成る磁性層が、被着形成され
て成る構成を採るものである。
【0031】
【0032】一般に、CoCr磁性層の結晶配向〈00
1〉を進めることによって、即ち(002)結晶面にお
けるX線回折強度I002 を大とする場合に、垂直磁気異
方性が大きくなることが知られている。CoCr磁性層
の場合、表面エネルギーがより低い結晶方位、即ち〈0
01〉配向し易い。しかしながら、一般にスパッタリン
グにより成膜する場合には結晶成長され易いが、蒸着に
より成膜する場合には結晶成長されにくいという傾向が
ある。このため、従来はスパッタリングにより磁性層を
被着した磁気記録媒体については飽和磁化Msを高めて
も垂直磁気異方性Hkをも大とすることができたが、蒸
着により成膜した記録媒体では、飽和磁化Msを大とす
ると垂直磁気異方性Hkが低下することとなっていたも
のと思われる。
【0033】本発明製法により製造した磁気記録媒体に
おいては、Ge下地層及びCoCr磁性層を蒸着により
成膜するものであるが、特にGeより成る下地層を蒸着
によって設ける構成とすることにより、垂直磁気異方性
を高め、〈001〉配向し易くすることができた。この
ときの表面のX線回折像は、図2にをの一例を示すよう
に、実線p2 で示す(002)結晶面の回折ピークのみ
がみられ、他の結晶面における回折はみられない。
【0034】一方、Ge下地層を設けずにCoCr磁性
層を被着した従来の磁気記録媒体においては、その表面
のX線回折像は、図3に示すように、実線P1 で示す
(100)結晶面における回折が、実線P2 で示す(0
02)結晶面における回折と共に比較的大きくみられる
こととなる。
【0035】このように本発明製法により製造した磁気
記録媒体において〈001〉配向しやすくすることがで
きたのは、次の理由によるものと思われる。一般に非晶
質の不均一な膜面上に成膜された層は、その表面エネル
ギーが低い結晶方位が成長し易いことが知られている。
本発明においては、蒸着Ge層より成る下地層を設ける
構成とするために、この下地層が確実に非晶質として成
膜されて、表面の原子配列の不均一さが緻密となる。即
ちこの場合スパッタリング成膜による場合や非磁性支持
体の表面等と比べてその不均一さにばらつきがなく、一
様で細かい不均一さを有する表面が形成されることとな
り、これの上に成膜される蒸着CoCr層より成る磁性
層が、その表面エネルギーの低い結晶方位である〈00
1〉配向となり易くなるものと思われる。これにより、
002 を大とできてX線回折強度比I002 /I100 を1
00以上として垂直磁気異方性を大とすることができ
る。
【0036】
【0037】
【0038】
【0039】そして、本発明磁気記録媒体の製造方法に
よれば、非磁性支持体を150℃以下として、Geより
成る下地層を、膜厚20nm以下として蒸着した後、こ
の上に、非磁性支持体の温度を150℃以上として蒸着
し、下地層を蒸着する際の非磁性支持体の温度を、磁性
層を蒸着する際の非磁性支持体の温度より低くすること
によって、高い垂直磁気異方性を得ると共に垂直方向の
保磁力Hcを充分大として、再生出力を高めることがで
きる。
【0040】
【実施例】以下本発明磁気記録媒体及び磁気記録装置の
各例について詳細に説明する。各例共に、カラービデオ
信号をディジタル化して磁気テープ等の垂直磁気記録媒
体に記録するディジタルVTRに適用した場合で、下記
の順序に従って説明する。
【0041】A.記録再生装置の構成 a.信号処理部 b.ブロック符号化 c.チャンネルエンコーダ及びチャンネルデコーダ d.走行系 B.記録再生特性の検討
【0042】A.記録再生装置の構成 ディジタルVTRとしては、放送局用のD1フォーマッ
トのコンポーネント形ディジタルVTR及びD2フォー
マットのコンポジット形ディジタルVTRが実用化され
ている。
【0043】前者のD1フォーマットディジタルVTR
は、輝度信号及び第1、第2の色差信号をそれぞれ1
3.5MHz、6.75MHzのサンプリング周波数で
A/D変換した後、所定の信号処理を行って磁気テープ
上に記録するもので、これらコンポーネント成分のサン
プリング周波数が4:2:2であることから、4:2:
2方式と称されている。
【0044】一方、後者のD2フォーマットディジタル
VTRは、コンポジットカラービデオ信号をカラー副搬
送波信号の周波数の4倍の周波数の信号でサンプリング
を行ってA/D変換し、所定の信号処理を行った後、磁
気テープに記録するようにしている。
【0045】いずれにしても、これらのディジタルVT
Rは、共に放送局用に使用されることを前提に設計され
ているために、画質優先とされ、1サンプルが例えば8
ビットにA/D変換されたディジタルカラービデオ信号
を実質的に圧縮することなしに記録するようになされて
いる。
【0046】従って、例えばD1フォーマットのディジ
タルVTRでは、大型のカセットテープを使用しても高
々1.5時間程度の再生時間しか得られず、一般家庭用
のVTRとして使用するには不適当である。
【0047】そこで本実施例においては、例えば5μm
のトラック幅に対して最短波長0.5μmの信号を記録
するようにし、記録密度4×105 bit/mm2
上、或いは8×105 bit/mm2 以上を実現すると
ともに、記録情報を再生歪みが少ないような形で圧縮す
る方法を併用することによって、テープ幅が8mm或い
はそれ以下の幅狭の磁気テープを使用しても長時間の記
録・再生が可能なディジタルVTRに適用するものとす
る。
【0048】a.信号処理部 図4は記録側の構成全体を示すものであり、1Y、1
U、1Vでそれぞれ示す入力端子に、例えばカラービデ
オカメラからの三原色信号R、G、Bから形成されたデ
ィジタル輝度信号Y、ディジタル色差信号U、Vが供給
される。この場合、各信号のクロックレートはD1フォ
ーマットの各コンポーネント信号の周波数と同一とされ
る。即ち、それぞれのサンプリング周波数が13.5M
Hz、6.75MHzとされ、且つこれらの1サンプル
当たりのビット数が8ビットとされている。従って、入
力端子1Y、1U、1Vに供給される信号のデータ量と
しては、約216Mbps(メガビット/秒)となる。
この信号のうちブランキング時間のデータを除去し、有
効領域の情報のみを取り出す有効情報抽出回路102に
よってデータ量が約167Mbpsに圧縮される。
【0049】そして、上記有効情報抽出回路102の出
力のうちの輝度信号Yが周波数変換回路103に供給さ
れ、サンプリング周波数が13.5MHzからその3/
4に変換される。周波数変換回路103としては、例え
ば間引きフィルターが使用され、折り返し歪みが生じな
いようになされている。この周波数変換回路103の出
力信号は、ブロック化回路105に供給され、輝度デー
タの順序がブロックの順序に変換される。ブロック化回
路105は、後段に設けられたブロック符号化回路10
8のために設けられている。
【0050】図5は、符号化の単位のブロックの構造を
示す。この例は、3次元ブロックであって、例えば2フ
レームに跨がる画面を分割することにより、同図に示す
ように(4ライン×4画素×2フレーム)の単位ブロッ
クが多数形成される。尚、図5において実線は奇数フィ
ールドのラインを示し、破線は偶数フィールドのライン
を示す。
【0051】また、有効情報抽出回路102の出力のう
ち、2つの色差信号U、Vがサブサンプリング及びサブ
ラインの回路104に供給され、サンプリング周波数が
それぞれ6.75MHzからその半分に変換された後、
2つのディジタル色差信号が互いにライン毎に選択さ
れ、1チャンネルのデータに合成される。従って、この
サブサンプリング及びサブライン回路104からは線順
次化されたディジタル色差信号が得られる。
【0052】このサブサンプリング及びサブライン回路
104によってサブサンプル及びサブライン化された信
号の画素構成を図6に示す。図6において、○は第1の
色差信号Uのサブサンプリング画素を示し、△は第2の
色差信号Vのサンプリング画素を示し、×はサブサンプ
ルによって間引かれた画素の位置を示す。
【0053】上記サンプリング及びサブライン回路10
4からの線順次化出力信号は、ブロック化回路106に
供給される。ブロック化回路106では一方のブロック
化回路105と同様に、テレビジョン信号の操作の順序
の色差データがブロックの順序のデータに変換される。
このブロック化回路106は、一方のブロック化回路1
05と同様に、色差データを(4ライン×4画素×2フ
レーム)のブロック構造に変換する。そしてこれらブロ
ック化回路105及び106の出力信号が合成回路10
7に供給される。
【0054】合成回路107では、ブロックの順序に変
換された輝度信号及び色差信号が1チャンネルのデータ
に変換され、この合成回路107の出力信号がブロック
符号化回路108に供給される。ブロック符号化回路1
08としては、後述するようにブロック毎のダイナミッ
クレンジに適応した符号化回路(ADRC(AdaptiveDyn
amic Range Coding) と称する)、DCT(Discrete Cos
ine Transform) 回路等が適用できる。前記ブロック符
号化回路108からの出力信号は、更にフレーム化回路
109に供給され、フレーム構造のデータに変換され
る。このフレーム化回路109では、画素系のクロック
と記録系のクロックとの乗り換えが行われる。
【0055】次に、フレーム化回路109の出力信号が
エラー訂正符号のパリティ発生回路110に供給され、
エラー訂正符号のパリティが生成される。パリティ発生
回路110の出力信号は、チャンネルエンコーダ111
に供給され、記録データの低域部分を減少させるような
チャンネルコーディングがなされる。チャンネルエンコ
ーダ111の出力信号が記録アンプ112A、112B
と回転トランスを介して一対の磁気ヘッド113A及び
113Bに供給され、磁気テープに記録される。尚、オ
ーディオ信号と、ビデオ信号とは別に圧縮符号化され、
チャンネルエンコーダ111に供給される。
【0056】上述の信号処理によって、入力のデータ量
216Mbpsが、有効走査期間のみを抽出することに
よって約167Mbpsに低減され、更に周波数変換と
サブサンプル、サブラインとによってこれが84Mbp
sに減少される。このデータは、ブロック符号化回路1
08で圧縮符号化することにより、約25Mbpsに圧
縮され、その後のパリティ、オーディオ信号等の付加的
な情報を加えて、記録データ量としては31.56Mb
psとなる。
【0057】次に、再生側の構成について図7を参照し
て説明する。再生の際には、図7に示すように、先ず磁
気ヘッド113A及び113Bからの再生データが回転
トランス及び再生アンプ114A及び114Bを介して
チャンネルデコーダ115に供給される。チャンネルデ
コーダ115においてチャンネルコーディングの復調が
なされ、チャンネルデコーダ115の出力信号がTBC
回路(時間軸補正回路)116に供給される。このTB
C回路116において、再生信号の時間軸変動成分が除
去される。TBC回路116からの再生データがECC
回路117に供給され、エラー訂正符号を用いたエラー
訂正とエラー修整とが行われる。ECC回路117の出
力信号がフレーム分解回路118に供給される。
【0058】フレーム分解回路118によって、ブロッ
ク符号化データの各成分がそれぞれ分離されると共に、
記録系のクロックから画素系のクロックへの乗り換えが
なされる。フレーム分解回路118で分離された各デー
タがブロック復号回路119に供給され、各ブロック単
位に原データと対応する復元データが復号され、復号デ
ータが分配回路120に供給される。この分配回路12
0で復号データが輝度信号と色差信号に分離される。輝
度信号及び色差信号がブロック分解回路121、122
にそれぞれ供給される。ブロック分解回路121、12
2は、記録側のブロック化回路105、106とは逆
に、ブロックの順序の復号データをラスター走査の順に
変換する。
【0059】ブロック分解回路121からの復号輝度信
号が補間フィルタ123に供給される。補間フィルタ1
23では、輝度信号のサンプリングレートが3fsから
4fs(4fs=13.5MHz)に変換される。補間
フィルター123からのディジタル輝度信号Yは出力端
子126Yに取り出される。
【0060】一方、ブロック分解回路122からのディ
ジタル色差信号が分配回路124に供給され、線順次化
されたディジタル色差信号U、Vがディジタル色差信号
U及びVにそれぞれ分離される。分配回路124からの
ディジタル色差信号U、Vが補間回路125に供給さ
れ、それぞれ補間される。補間回路125は、復元され
た画素データを用いて間引かれたライン及び画素のデー
タを補間するもので、補間回路125からはサンプリン
グレートが2fsのディジタル色差信号U及びVが得ら
れ、出力端子126U及び126Vにそれぞれ取り出さ
れる。
【0061】b.ブロック符号化 図4におけるブロック符号化回路108としては、AD
RCエンコーダが用いられる。このADRCエンコーダ
は、各ブロックに含まれる複数の画素データの最大値M
AXと最小値MINとを検出し、これら最大値MAX及
び最小値MINからブロックのダイナミックレンジDR
を検出し、このダイナミックレンジDRに適応した符号
化を行い、原画素データのビット数よりも少ないビット
数により、再量子化を行うものである。ブロック符号化
回路108の他の例としては、各ブロックの画素データ
をDCT処理した後、このDCTで得られた係数データ
を量子化し、量子化データをランレングス・ハフマン符
号化して圧縮符号化する構成を用いてもよい。
【0062】ここでは、ADRCエンコーダを用い、更
にマルチダビングしたときにも画質劣化が生じないエン
コーダの例を図8を参照して説明する。図8において、
入力端子27に例えば1サンプルが8ビットに量子化さ
れたディジタルビデオ信号(或いはディジタル色差信
号)が図4の合成回路107より入力される。入力端子
27からのブロック化データが最大値、最小値検出回路
29及び遅延回路30に供給される。最大値、最小値検
出回路29は、ブロック毎に最小値MIN、最大値MA
Xを検出する。遅延回路30からは、最大値及び最小値
が検出されるのに要する時間、入力データを遅延させ
る。遅延回路30からの画素データが比較回路31及び
32に供給される。
【0063】最大値、最小値検出回路29からの最大値
MAXが減算回路33に供給され、最小値MINが加算
回路34に供給される。これらの減算回路33及び加算
回路34には、ビットシフト回路35から4ビット固定
長でノンエッジマッチング量子化した場合の1量子化ス
テップ幅の値(Δ=1/16DR)が供給される。ビッ
トシフト回路35は、(1/16)の割算を行うよう
に、ダイナミックレンジDRを4ビットシフトする構成
とされている。減算回路33からは(MAX−Δ)のし
きい値が得られ、加算回路34からは(MIN+Δ)の
しきい値が得られる。これらの減算回路33及び加算回
路34からのしきい値が比較回路31、32にそれぞれ
供給される。尚、このしきい値を規定する値Δは、量子
化ステップ幅に限らず、ノイズレベルに相当する固定値
としてもよい。
【0064】比較回路31の出力信号がANDゲート3
6に供給され、比較回路32の出力信号がANDゲート
37に供給される。ANDゲート36及び37には、遅
延回路30からの入力データが供給される。比較回路3
1の出力信号は、入力データがしきい値より大きいとき
にハイレベルとなり、従ってANDゲート36の出力端
子には、(MAX〜MAX−Δ)の最大レベル範囲に含
まれる入力データの画素データが抽出される。一方、比
較回路32の出力信号は、入力データがしきい値より小
さいときにハイレベルとなり、従ってANDゲート37
の出力端子には、(MIN〜MIN+Δ)の最小レベル
範囲に含まれる入力データの画素データが抽出される。
【0065】ANDゲート36の出力信号が平均化回路
38に供給され、ANDゲート37の出力信号が平均化
回路39に供給される。これらの平均化回路38、39
は、ブロック毎に平均値を算出するもので、端子40か
らブロック周期のリセット信号が平均化回路38、39
に供給されている。平均化回路38からは、(MAX〜
MAX−Δ)の最大レベル範囲に属する画素データの平
均値MAX′が得られ、平均化回路39からは(MIN
〜MIN+Δ)の最小レベル範囲に属する画素データの
平均値MIN′が得られる。平均値MAX′から平均値
MIN′が減算回路41で減算され、この減算回路41
からダイナミックレンジDR′が得られる。
【0066】また、平均値MIN′が減算回路42に供
給され、遅延回路43を介された入力データから平均値
MIN′が減算回路42において減算され、最小値除去
後のデータPDIが形成される。このデータPDI及び
修整されたダイナミックレンジDR′が量子化回路44
に供給される。この実施例では、量子化に割り当てられ
るビット数nが0ビット(コード信号を転送しない)、
1ビット、2ビット、3ビット、4ビットの何れかとさ
れる可変長のADRCであって、エッジマッチング量子
化がなされる。割り当てビット数nは、ブロック毎にビ
ット数決定回路45において決定され、ビット数nのデ
ータが量子化回路44に供給される。
【0067】可変長ADRCは、ダイナミックレンジD
R′が小さいブロックでは、割り当てビット数nを少な
くし、ダイナミックレンジDR′が大きいブロックで
は、割り当てビット数nを多くすることで、効率の良い
符号化を行うことができる。即ち、ビット数nを決定す
る際のしきい値をT1〜T4(T1<T2<T3<T
4)とすると、(DR′<T1)のブロックは、コード
信号が転送されず、ダイナミックレンジDR′の情報の
みが転送され、(T1≦DR′<T2)のブロックは、
(n=1)とされ、(T2≦DR′<T3)のブロック
は、(n=2)とされ、(T3≦DR′<T4)のブロ
ックは、(n=3)とされ、(DR′≧T4)のブロッ
クは、(n=4)とされる。
【0068】かかる可変長ADRCでは、しきい値T1
〜T4を変えることで、発生情報量を制御すること(い
わゆるバッファリング)ができる。従って、1フィール
ド或いは1フレーム当たりの発生情報量を所定値にする
ことが要求される本実施例のディジタルオーディオビデ
オテープレコーダのような伝送路に対しても可変長AD
RCを適用できる。
【0069】発生情報量を所定値にするためのしきい値
T1〜T4を決定するバッファリング回路46では、し
きい値の組(T1、T2、T3、T4)が複数例えば3
2組用意されており、これらのしきい値の組がパラメー
タコードPi (i=0、1、2、‥‥、31)により区
別される。パラメータコードPi の番号iが大きくなる
に従って、発生情報量が単調に減少するように設定され
ている。但し、発生情報量が減少するに従って、復元画
像の画質が劣化する。
【0070】バッファリング回路46からのしきい値T
1〜T4が比較回路47に供給され、遅延回路48を介
されたダイナミックレンジDR′が比較回路47に供給
される。遅延回路48は、バッファリング回路46でし
きい値の組が決定されるのに要する時間、DR′を遅延
させる。比較回路47では、ブロックのダイナミックレ
ンジDR′と各しきい値とがそれぞれ比較され、比較出
力がビット数決定回路45に供給され、そのブロックの
割り当てビット数nが決定される。量子化回路44では
ダイナミックレンジDR′と割り当てビット数nとを用
いて遅延回路49を介された最小値除去後のデータPD
Iがエッジマッチングの量子化により、コード信号DT
に変換される。量子化回路44は、例えばROMで構成
されている。
【0071】遅延回路48、50をそれぞれ介して修整
されたダイナミックレンジDR′、平均値MIN′が出
力され、更にコード信号DTとしきい値の組を示すパラ
メータコードPi が出力される。この例では、一旦ノン
エッジマッチ量子化された信号が新たにダイナミックレ
ンジ情報に基づいて、エッジマッチ量子化されているた
めに、ダビングしたときの画像劣化は少ないものとされ
る。
【0072】c.チャンネルエンコーダ及びチャンネル
デコーダ次に、図4のチャネルエンコーダ111及びチ
ャンネルデコーダ115について説明する。チャンネル
エンコーダ111においては、図9に示すように、図4
におけるパリティ発生回路110の出力が供給される適
応型スクランブル回路で、複数のM系列のスクランブル
回路51が用意され、その中で入力信号に対し最も高周
波成分及び直流成分の少ない出力が得られるようなM系
列が選択されるように構成されている。52はパーシャ
ルレスポンス・クラス4検出方式のためのプリコーダ
で、1/1−D2 (Dは単位遅延用回路)の演算処理が
なされる。このプリコーダ52の出力を記録アンプ11
2A、112Bを介して磁気ヘッド113A及び113
Bにより記録再生し、再生出力を再生アンプ114A、
114Bによって増幅するようになされている。
【0073】一方、チャンネルデコーダ115において
は、図10に示すように、パーシャルレスポンス・クラ
ス4の再生側の演算処理回路53は、1+Dの演算が再
生アンプ114A、114Bの出力に対して行われる。
また、いわゆるビタビ復号回路54においては、演算処
理回路53の出力に対してデータの相関性や確からしさ
等を用いた演算により、ノイズに強いデータの復号が行
われる。このビタビ復号回路54の出力がディスクラン
ブル回路55に供給され、記録側のスクランブル処理に
よって並び換えられたデータが元の系列に戻されて原デ
ータが復元される。この実施例において用いられるビタ
ビ復号回路54によって、ビット毎の復号を行う場合よ
りも、再生C/N換算が3dBで改良が得られる。
【0074】d.走行系 上述の磁気ヘッド113A及び113Bは、例えば図1
1Aに示すように、ドラム76に対して180°の対向
間隔で取り付けられるか、或いは図11Bに示すよう
に、例えば一体構造とされた形でドラム76に取り付け
られる。ドラム76の周面には、180°よりやや大き
いか、或いはやや小さい巻き付け角で磁気テープ(図示
せず)が斜めに巻き付けられている。図11Aに示すヘ
ッド配置では、磁気テープに対して磁気ヘッド113A
及び113Bがほぼ交互に接し、図11Bに示すヘッド
配置では、磁気ヘッド113A及び113Bが同時に磁
気テープを走査する。
【0075】また磁気ヘッド113A及び113Bのそ
れぞれのギャップの延長方向(アジマス角と称する)は
互いに異ならしめて構成されており、例えば図12に示
すように、磁気ヘッド113Aと113Bとの間に、±
20°のアジマス角が設定されて、このアジマス角の相
違により、磁気テープには、図13に記録パターンの一
例を示すように、隣り合う記録トラックTA及びTBに
おいて、アジマス角に相当する角度をもって互いに逆向
きに傾いて記録されるようになされる。従って、再生時
には、アジマス損失により、隣り合うトラック間のクロ
ストーク量を低減することができる。
【0076】図14及び図15は、磁気ヘッド113A
及び113Bを一体構造(いわゆるダブルアジマスヘッ
ド)とした場合のより具体的な構成を示す。例えば15
0rps(NTSC方式)の高速で回転される上ドラム
76に対して、一体構造の磁気ヘッド113A及び11
3Bが取り付けられ、下ドラム77が固定とされてい
る。従って、磁気テープ78には、1フィールドのデー
タが5本のトラックに分割して記録される。このセグメ
ント方式により、トラックの長さを短くすることができ
る。磁気テープ78の巻き付け角θが、例えば166°
とされ、ドラム径φが16.5mmとされている。
【0077】また、ダブルアジマスヘッドを使用し、同
時記録を行うこともできる。通常、上ドラム76の回転
部の偏心等により、磁気テープ78の振動が生じ、トラ
ックの直線性のエラーが発生する。図16Aにおいて矢
印dで示すように、磁気テープ78が下側に押さえつけ
られ、また、図16Bにおいて矢印uで示すように、磁
気テープ78が上側に引っ張られ、これにより磁気テー
プ78が振動し、トラックの直線性が劣化する。しかし
ながら、180°で一対の磁気ヘッドが対向配置された
ものと比較して、ダブルアジマスヘッドで同時記録を行
うことで、かかる直線性のエラー量を小さくできる。更
に、ダブルアジマスヘッドは、ヘッド間の距離が小さい
ので、ペアリング調整をより正確に行うことができる利
点がある。このようなテープ・ヘッド系により、幅狭の
トラックの記録再生を行うことができる。
【0078】B.記録再生特性の検討 次に、本発明製造方法により製造した磁気記録媒体の各
例の磁気特性及び記録再生特性を測定した結果を示す。
【0079】先ず、連続真空蒸着装置を用いて、図1に
示すように、厚さ例えば9μmのポリイミドフィルム等
より成る非磁性支持体1上に、蒸着Ge層より成る下地
層2及び蒸着CoCr層より成る磁性層3を、作製条件
を変えて順次被着形成した。各層2及び3の各作製条件
を下記表3に示す。
【0080】
【表3】
【0081】この結果から得られた各磁気記録媒体のC
oCr磁性層3の膜厚は240〜300nmであり、組
成はCr含有量として10〜26wt%程度であった。
またGe下地層2の厚さは5〜100nm程度であっ
た。
【0082】これら各磁気記録媒体の磁気特性の特に垂
直磁気異方性Hkを振動試料型測定器において測定し、
更に結晶性をX線回折装置により測定した。X線解析の
測定条件を下記表4に示す。
【0083】
【表4】
【0084】各磁気記録媒体における磁気異方性Hkと
X線回折強度比I002 /I100 との関係を図17に示
す。図17からわかるように、本発明磁気記録媒体にお
いては、X線回折強度比I002 /I100 を100以上と
することから、400kA/m程度以上の充分大なる垂
直磁気異方性Hkを得ることができる。このようにX線
回折強度比I002 /I100 を高く、即ち〈001〉配向
を大とすることができたのは、前述したように、蒸着G
e層より成る下地層2の表面が、より一様で緻密な不均
一さをもって非晶質として形成されるため、確実にこれ
の上のCoCr磁性層3をその表面エネルギーの小さい
配向である〈001〉配向として成膜することができる
ものと思われる。
【0085】また、このとき前述の記録再生装置におい
てそのエラーレートを測定した。この場合、トラック幅
7μmに対して最短波長0.45μmのディジタルビデ
オ信号を記録し、ビデオギャップ長0.15〜0.17
μm、飽和磁束密度Bsが14.5kGのリング型磁気
ヘッドを用い、相対速度を7.5m/sとして測定し
た。この結果、本発明磁気記録媒体においては、そのエ
ラーレートは全て1×10-4以下となり、X線回折強度
比I002 /I100 が100未満の磁気記録媒体において
は、1×10-2〜5×10-3であった。このように、エ
ラー訂正符号の訂正処理前の段階のエラーレートが1×
10-4以下となる本発明磁気記録媒体においては、20
%程度の冗長度のエラー訂正符号を使用したときに、訂
正可能な程度の量にエラーを抑えることができることと
なり、ディジタル画像信号の記録再生に適し、高密度垂
直磁気記録に好適な磁気記録媒体を得ることができる。
【0086】次に、CoCr磁性層のCr含有量を変化
させた場合の、磁気記録媒体の各例を説明する。この場
合においても、上述の磁気記録媒体と同様に、連続真空
蒸着装置によって図1に示すように、ポリイミドフィル
ム等の非磁性支持体1上にその温度を40℃としてGe
層を例えば膜厚7nmとして蒸着して下地層2を形成し
た後、CoCr層より成る磁性層3を、その膜厚を20
0〜250nm程度とし、非磁性支持体1の温度を23
0℃としてCr含有量を変化させて蒸着し、磁気記録媒
体を作製した。これら各例のCr含有量と、飽和磁化M
s及び垂直磁気異方性Hk、更に上述の例と同一の条件
をもって測定したエラーレートとを表5に示す。
【0087】
【表5】
【0088】この結果からわかるように、CoCr磁性
層3のCr含有量を20at%(原子%)以下とする実
施例1〜3においては、ほぼ400kA/m程度以上の
高い飽和磁化Msを保ちつつ、400kA/m以上の高
い垂直磁気異方性Hkを得ることができ、これにより残
留磁化Mrを大とすることができて、再生出力の増大化
をはかることができる。更にこの場合においても前述の
リング型磁気ヘッドによりディジタルビデオ信号のエラ
ーレートを測定した結果、1×10-4以下とすることが
できて、高密度の垂直磁気記録に適した磁気記録媒体を
得ることができる。
【0089】次に、Geより成る下地層の膜厚を変化さ
せた場合の、磁気記録媒体の各例について説明する。こ
の場合においても、上述の蒸着装置において、厚さ例え
ば9μmのポリイミドフィルム等の非磁性支持体1上
に、蒸着Ge層より成る下地層2と、蒸着CoCr層よ
り成る磁性層3とを、下記の表6に示す作製条件をもっ
てそれぞれ作製した。
【0090】
【表6】
【0091】この場合、非磁性支持体1の温度を40℃
とし、蒸着Ge層より成る下地層2の膜厚を変化させて
磁気記録媒体を形成した。また比較のために、このGe
下地層を設けずに非磁性支持体1上に直接的にCoCr
磁性層3を、膜厚200〜250nm程度、非磁性支持
体1の温度を230℃として蒸着した従来構成の磁気記
録媒体を用意し、この従来構成の磁気記録媒体に対する
各磁気記録媒体の飽和磁化Msの比と、垂直磁気異方性
Hkの比とを測定した。この結果を下記の表7に示す。
【0092】
【表7】
【0093】この結果からわかるように、Ge下地層2
の膜厚dを大とすると、飽和磁化Msは、Ge下地層を
設けない場合に比して徐々に減少するが、20nm以下
程度とする本発明実施例4〜6においては、Ge下地層
を設けない場合に比し75%程度とできて実質的にMs
を400kA/m程度以上に保持できるが、膜厚dを2
0nmを越える例えば33nm以上とする比較例4〜6
においては、50%程度以下に落ち込んでしまい、充分
大なるMsが得られない。また、垂直磁気異方性Hk
eff については、膜厚dを20nm以下とするときにG
e下地層を設けない場合に比し大となり、特にGe下地
層の膜厚を小とする程、2〜3倍程度の高い垂直磁気異
方性Hkeff を得ている。しかしながら、膜厚dを33
nm程度以上とする場合は、垂直磁気異方性Hkeff
低下が顕著となっている。このように、膜厚を33nm
程度以上とする比較例4〜6において、著しく飽和磁化
Ms及び垂直磁気異方性Hkeff が低減化し、Ge下地
層を設けることによって磁気特性が悪化するのは、Ge
とCoが拡散しているためと思われる。従って、本発明
においてはGe下地層2の膜厚を20nm以下と選定す
るものである。またこの場合、Ge下地層2の蒸着によ
り垂直磁気異方性を大とする効果を得るために、その膜
厚は3nm以上程度とすることが望ましい。
【0094】更にこの場合、前述の例と同様の条件をも
ってエラーレートを測定したところ、本発明実施例4〜
6においてはいずれも1×10-4以下とすることがで
き、従って高密度の垂直磁気記録に適した磁気記録媒体
を得ることができた。
【0095】次に、Ge下地層を、その膜厚を7nm、
非磁性支持体の温度を40℃として蒸着した後、CoC
r磁性層を50nm〜500nm程度に膜厚δを変化さ
せて蒸着し、得られた各磁気記録媒体について、飽和磁
束密度Bsが12kGのリング型磁気ヘッドを用いて、
各磁気記録媒体の再生出力の波長依存性を調べた。この
結果を図18に示す。図18からわかるように、実線d
で示す膜厚δを50nmとする例では、実線cで示す膜
厚δを100nmとする例に比して、測定した全領域に
おいて5dB程度出力が低くなる。これに対し、膜厚δ
を大とすると出力は徐々に増大するが、実線bで示す膜
厚δを200nmとする場合と、実線aで示す膜厚δを
500nmとする場合とは殆ど出力差がないことがわか
る。
【0096】即ち、CoCr磁性層は、膜厚を大とする
ことによって徐々に出力が大となり、100nm程度で
充分高い出力が得られるが、200nm以上500nm
程度とすると出力の増加が見られなくなり、300nm
を越える膜厚とする場合はその成膜時間が長くなるため
に、生産性の低下を招く恐れがある。このため、本発明
においては、CoCr磁性層の膜厚は100nm以上3
00nm以下とするものである。
【0097】次に、各層の蒸着時の非磁性支持体の温度
を変化させた場合の、磁気記録媒体の各例について説明
する。この場合においても、表6に示す作製条件によ
り、Ge下地層蒸着時の非磁性支持体の温度即ち蒸着温
度と、CoCr磁性層の蒸着温度とをそれぞれ変化させ
て磁気記録媒体を作製し、それぞれ磁気特性の測定を行
った。
【0098】先ず、Ge下地層の蒸着温度を変えたとき
の垂直磁気異方性Hkeff を、この場合においてもGe
下地層を設けない場合との比として求めた。各例共に、
Ge下地層の膜厚を7nm、CoCr磁性層の膜厚を2
00〜250nm、CoCr磁性層の蒸着温度を230
℃として作製した。各例の磁気特性を表8に示す。
【0099】
【表8】
【0100】この結果からわかるように、蒸着温度を大
とするにつれ垂直磁気異方性Hkef f は増大するが、1
50℃を越えると低下してしまう。従って、本発明磁気
記録媒体の製造方法においては、Ge下地層の蒸着温度
を150℃以下とするものである。また、前述の記録再
生装置により、同様の測定条件をもってディジタル信号
のエラーレートを測定したところ、この場合においても
エラーレートを1×10-4以下とすることができた。
【0101】次に、Ge下地層の膜厚を7nm、蒸着温
度を40℃、CoCr磁性層の膜厚を200〜250n
m程度として、CoCr磁性層の蒸着温度を変化させて
磁気記録媒体を作製し、各例において膜面に垂直な方向
の保磁力を測定した。またこのときのディジタル信号の
エラーレートを、上述の例と同様に測定した。この結果
を表9に示す。
【0102】
【表9】
【0103】この結果から、CoCr磁性層の蒸着温度
を大とすると保磁力が大となる傾向があり、特に150
℃以上とする本発明実施例12及び13においては、4
0kA/m程度以上の充分高い保磁力を得ている。この
ように40kA/m程度以上の保磁力を有することによ
って、記録再生減磁が抑制されることとなる。前述の記
録再生装置によりディジタル信号の記録を行った後、1
分間再生を行ったときの出力減少は、垂直方向の保磁力
が40kA/mの場合は1dB以下であるが、保磁力が
24kA/m程度のときは3dBと比較的大となること
から、この垂直方向の保磁力を40kA/m程度以上と
なる場合に、記録再生減磁の少ない磁気記録媒体を得る
ことができる。また、特に実施例13において、即ちC
oCr磁性層の蒸着温度を150℃とした場合には、飽
和磁化Msは450kA/m程度と充分大とすることが
できた。
【0104】そしてこの場合においても、CoCr磁性
層3の蒸着温度を150℃以上とすることによって、エ
ラーレートをほぼ1×10-4以下とすることができて、
高密度の垂直磁気記録に適した磁気記録媒体を得ること
ができる。
【0105】そして前述の表8及び表9の結果からもわ
かるように、本発明磁気記録媒体の製造方法によれば、
Ge下地層の蒸着温度を150℃以下とし、CoCr磁
性層の蒸着温度を150℃として、Ge下地層の蒸着温
度をCoCr磁性層の蒸着温度より低くすることによっ
て、確実に、垂直磁気異方性、飽和磁化及び垂直方向の
保磁力を大とすることができて、残留磁化Mrを大とし
て記録再生出力の増大化をはかり、且つ記録再生減磁を
抑制することができる。更に、エラーレートを抑制でき
て、ディジタル画像信号の記録再生に適し、高密度垂直
磁気記録に好適な磁気記録媒体を得ることができる。
【0106】尚、本発明磁気記録媒体及びその製造方法
は、上述の各実施例に限ることなく、本発明の要旨を逸
脱しない範囲でその他種々の変更が可能である。。
【0107】
【発明の効果】上述したように、本発明磁気記録媒体の
製造方法によれば、非磁性支持体上に、非磁性支持体の
温度を150℃以下としてGeより成る下地層を、膜厚
20nm以下として蒸着した後、非磁性支持体上の温度
を150℃以上として、CoCrより成る磁性層を、膜
厚100nm以上300nm以下として蒸着し、下地層
の蒸着温度を磁性層の蒸着温度より低い温度として磁気
記録媒体を製造することによって、400kA/m程度
以上の飽和磁化Ms及び垂直磁気異方性Hkeffを得る
ことができ、高い残留磁化を得ることができることとな
って、広い波長帯域において記録再生出力の増大化をは
かることができて、且つ生産性の低下を回避することが
できる。
【0108】
【0109】
【0110】
【0111】また本発明磁気記録媒体の製造方法によれ
ば、Ge下地層の蒸着温度を150℃以下とし、CoC
r磁性層の蒸着温度を150℃以上とすることによっ
て、高い垂直磁気異方性を得、且つ垂直方向の保磁力を
大とすることでき、記録再生出力の増大化をはかること
ができる。
【0112】更に、本発明製造方法による磁気記録媒体
においては、ディジタルビデオ信号の記録再生における
エラーレートを1×10-4以下程度と低く抑えることが
できて、ディジタル画像信号の記録再生に適用して好適
な垂直磁気記録媒体を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明磁気記録媒体の一例の略線的拡大断面図
である。
【図2】本発明磁気記録媒体の一例のX線回折強度を示
す図である。
【図3】従来の磁気記録媒体の一例のX線回折強度を示
す図である。
【図4】磁気記録装置の記録側信号処理部の一例の構成
図である。
【図5】符号化の単位のブロックを示す図である。
【図6】信号の画素構成を示す図である。
【図7】磁気記録装置の再生側信号処理部の一例の構成
図である。
【図8】磁気記録装置のブロック符号化回路の一例の構
成図である。
【図9】チャンネルエンコーダの一例の構成図である。
【図10】チャンネルデコーダの一例の構成図である。
【図11】ヘッド配置の説明図である。
【図12】回転パターンの説明図である。
【図13】記録パターンの説明図である。
【図14】ヘッド配置の説明図である。
【図15】ヘッド配置の説明図である。
【図16】磁気テープの振動の説明図である。
【図17】垂直磁気異方性とX線回折強度比との関係を
示す図である。
【図18】再生出力の波長依存性を示す図である。
【図19】垂直磁気異方性の説明図である。
【符号の説明】
1 非磁性支持体 2 下地層 3 磁性層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G11B 5/62 - 5/858

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 非磁性支持体上に、 該非磁性支持体の温度を150℃以下としてGeより成
    る下地層を、膜厚20nm以下として蒸着する工程と、 該非磁性支持体上の温度を150℃以上として、CoC
    rより成る磁性層を、膜厚100nm以上300nm以
    下として蒸着する工程とを有し、 上記下地層を蒸着する際の上記非磁性支持体の温度は、
    上記磁性層を蒸着する際の上記非磁性支持体の温度より
    低い温度とする ことを特徴とする磁気記録媒体の製造方
    法。
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