JPH05202139A - エチレン共重合体の製造方法 - Google Patents

エチレン共重合体の製造方法

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JPH05202139A
JPH05202139A JP5012792A JP5012792A JPH05202139A JP H05202139 A JPH05202139 A JP H05202139A JP 5012792 A JP5012792 A JP 5012792A JP 5012792 A JP5012792 A JP 5012792A JP H05202139 A JPH05202139 A JP H05202139A
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JP
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compound
polymerization
aluminum
ethylene
olefin
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JP5012792A
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English (en)
Inventor
Takefumi Yano
武文 矢野
Shigeru Igai
滋 猪飼
Masanori Tamura
雅範 田村
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Ube Corp
Original Assignee
Ube Industries Ltd
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  • Transition And Organic Metals Composition Catalysts For Addition Polymerization (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】新規な触媒系を用いてエチレンとα−オレフィ
ンの共重合体の製造方法を提供する。 【構成】ハロゲン化アルミニウム、ケイ素化合物、グリ
ニヤール化合物の反応からの担体を非還元性化合物で処
理した後に、チタン化合物を担持し、有機金属化合物で
接触処理した固体成分と、有機アルミニウム成分からな
る触媒系を用いる。 【効果】安定的な重合反応を可能にし、さらに、優れた
物性を有する共重合体の製造方法を提供できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、エチレンとα−オレフ
ィンの共重合体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術及びその問題点】これまでチーグラーナッ
タ型触媒によるエチレンのα−オレフィンとの共重合
は、溶液重合、バルク重合、スラリー重合、気相重合な
どの重合方法によって行われている。近年、触媒活性を
高め、生成した共重合から触媒残渣を分離する工程を必
要としないプロセスが普及しており、触媒高活性化およ
び流動性の良好な触媒粒子を調製する目的で、無機固
体、さらには特定の粒子径を有する無機固体にチタン、
バナジウム等の遷移金属成分を担持した高活性触媒が多
く開示されている。特公昭54−129983号、同5
8−17206号、同59−49242号、特公平2−
33045号の各公報には、本発明が関係するエチレン
とα−オレフィンとの共重合用の担持型高活性触媒を提
案されている。エチレンとα−オレフィンとの共重合体
を流動床気相重合で製造する場合、粘着性を有する低分
子量成分が生成し、重合体粒子の流動性が悪くなり、そ
のため重合体の塊が生成したり、反応管の閉塞が生じる
可能性がある。また、共重合体におけるα−オレフィン
のランダム性が悪い、即ち、α−オレフィンユニットの
分布が偏ると、粘着性の共重合体が生成し、上記と同様
な問題点が生じる。従って、長期間の安定した共重合反
応ができなくなる。
【0003】一般にエチレンとα−オレフィンとの共重
合では、α−オレフィンの含有量を上げることによっ
て、より低密度の共重合体を製造することができる。し
かし、重合反応で低分子量成分が生成したり、共重合体
中のα−オレフィンの組成分布が広くなる、即ち、ポリ
マー鎖間の組成が不均一であると成形フィルムの表面が
粘着性を有し、さらに共重合体の分子量分布が広いと機
械強度が低下し、より薄いフィルムを製造することがで
きない問題点がある。エチレンとα−オレフィンとの共
重合において、上記の問題点を解決するために、特に、
組成分布を狭くし、低分子量成分の生成を抑制するため
に、Zr系触媒(特開昭62−121707号、同62
−121709号、特開平3−234712号、同3−
223306号、同3−217404号)、あるいは、
マグネシウム化合物担持触媒での電子供与体の使用(特
開昭61−271309号、同61−271310号、
同63−159411号、同63−142008号、同
63−117019号、特公平1−49296号)等が
提案されている。しかし、従来技術は上記の共重合体の
製造および物性の面で必ずしも満足できるものではな
く、さらに改善が望まれていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、エチレンと
α−オレフィンとの共重合体製造プロセスの問題点を改
良し、特に、流動床気相重合で製造する場合に長期安定
的な重合反応を可能にし、さらに、優れた物性を有する
共重合体の製造方法を提供しようとするものである。
【0005】
【問題点解決のための技術的手段】本発明は、ハロゲン
化アルミニウムと, 式 R Si(OR4−m (式中、Rは炭素数1〜8のアルキル基またはフェニ
ル基を示し、Rは炭素数1〜8のアルキル基を示し、
mは0,1,2または3である)で表される有機ケイ素
化合物との反応生成物に、 式 RMgX (式中、Rは炭素数1〜8のアルキル基を示し、X
はハロゲン原子を示す)で表されるグリニヤール化合物
を反応させ、得られる担体を、 式 MX (OR (式中、Mは、アルミニウム、マグネシウム、ホウ素、
ケイ素、炭素、またはリンを示し、RおよびRは炭
素数1〜8のアルキル基またはフェニル基を示し、X
はハロゲン原子を示し、p、qおよびrは、p+q≧1
およびr≧0であって、nがMの価数であるとき、n=
p+q+rを満足する)で表される非還元性化合物と接
触させた後、 式 Ti(OR 4−s (式中、Rは炭素数1〜8のアルキル基またはフェニ
ル基を示し、Xはハロゲン原子を示し、sは0,1,
2,3または4である)で表されるチタン化合物とを接
触させて得られる固体を、有機金属化合物で接触処理し
て得られる固体触媒成分(A)と、有機アルミニウム化
合物成分(B)とから得られる触媒の存在下に、エチレ
ンとα−オレフィンを共重合することを特徴とするエチ
レン共重合体の製造方法に関する。
【0006】以下、本発明の触媒の調製に用いられる各
成分及びその条件について詳細な説明を行う。本発明に
おいて、触媒成分の調製および重合は、すべて窒素、ア
ルゴンなどの不活性ガス雰囲気下に行われる。また触媒
成分の調製原料は実質的に無水であることが望ましい。
【0007】本発明におけるハロゲン化アルミニウムの
具体例としては、塩化アルミニウム、臭化アルミニウ
ム、沃化アルミニウムを挙げることができ、中でも塩化
アルミニウムが好適に使用される。
【0008】式 R Si(OR4−mで表され
る有機ケイ素化合物の具体例としては、テトラメトキシ
シラン、テトラエトキシシラン、テトラ−n−プロポキ
シシラン、テトラ−n−ブトキシシラン、テトラ−イソ
ペントキシシラン、テトラ−n−ヘキソキシシラン、メ
チルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、
メチルトリ−n−ブトキシシラン、メチルトリイソペン
トキシシラン、メチルトリ−n−ヘキソキシシラン、エ
チルトリエトキシシラン、エチルトリイソプロポキシシ
ラン、エチルトリイソペントキシシラン、n−ブチルト
リエトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、イ
ソペンチルトリエトキシシラン、イソペンチルトリ−n
−ブトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチ
ルジ−n−ブトキシシラン、ジメチルジイソペントキシ
シラン、ジエチルジエトキシシラン、ジエチルジイソペ
ントキシシラン、ジイソブチルジイソペントキシシラ
ン、ジ−n−ブチルジエトキシシラン、ジイソブチルジ
イソペントキシシラン、トリメチルメトキシシラン、ト
リメチルエトキシシラン、トリメチルイソブトキシシラ
ン、トリエチルイソプロポキシシラン、トリ−n−プロ
ピルエトキシシラン、トリ−n−ブチルエトキシシラ
ン、トリイソペンチルエトキシシラン、フェニルトリエ
トキシシラン、フェニルトリイソブトキシシラン、フェ
ニルトリイソペントキシシラン、ジフェニルジエトキシ
シラン、ジフェニルジイソペントキシシラン、ジフェニ
ルジオクトキシシラン、トリフェニルメトキシシラン、
トリフェニルエトキシシラン、トリフェニルイソペント
キシシラン、ベンジルトリエトキシシラン、ベンジルト
リブトキシシラン、ジベンジルジエトキシシランが挙げ
られる。中でも、メチルトリエトキシシランなどのアル
キルアルコキシシランが好適に用いられる。
【0009】ハロゲン化アルミニウムと有機ケイ素化合
物との反応に供するハロゲン化アルミニウムの割合は、
有機ケイ素化合物1モル当たり、0.1〜10モル、特
に、0.1〜2モルであることが好ましい。反応は、通
常、両化合物を不活性有機溶媒中で−50〜100℃の
範囲の温度で0.1〜2時間攪拌することによって行わ
れる。反応は発熱を伴って進行し、反応生成物は不活性
有機溶媒溶液として得られる。反応生成物は不活性有機
溶媒溶液として、ひき続きグリニヤール化合物との反応
に供される。
【0010】不活性有機溶媒としては、例えば、プロパ
ン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタ
ン、デカン、ドデカンなどのような脂肪族炭化水素、シ
クロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン
などのような脂環族炭化水素、あるいは、トルエン、ベ
ンゼン、キシレンなどのような芳香族炭化水素が挙げら
れる。これらの不活性有機溶媒は、以下の触媒固体成分
(A)の調整工程あるいは重合工程においても、同様に
用いることができる。
【0011】式 RMgXで表されるグリニヤール
化合物は、Xが塩素原子であるアルキルマグネシウム
クロライドが好適に使用され、その具体例としては、メ
チルマグネシウムクロライド、エチルマグネシウムクロ
ライド、n−ブチルマグネシウムクロライド、n−へキ
シルマグネシウムクロライドが挙げられる。グリニヤー
ル化合物の使用量は、反応生成物の調製に使用されたハ
ロゲン化アルミニウム1モル当たり、0.05〜4モ
ル、特に1〜3モルであることが好ましい。
【0012】ハロゲン化アルミニウムと有機ケイ素化合
物との反応生成物を、グリニヤール化合物と反応させる
方法については特に制限はないが、反応生成物の不活性
溶媒溶液に、グリニヤール化合物のエーテル溶液または
エーテルと芳香族炭化水素との混合溶媒溶液を徐々に添
加することにより、またはこれとは逆の順序で添加する
ことによって行うことができる。エーテルの具体例とし
ては、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジ
−n−ブチルエーテル、ジイソアミルエーテルが挙げら
れる。
【0013】前記反応の温度は通常−50〜100℃、
好ましくは−20〜25℃である。反応時間については
特に制限はないが、通常5分以上である。反応の進行に
伴って担体が析出してくる。こうして得られる担体は反
応混合物として、次の処理に供することもできるが、あ
らかじめ担体を分離し、不活性有機溶媒で洗浄した後、
次の式 MX (OR で表される非還元
性化合物との接触処理に供することが好ましい。
【0014】非還元性化合物の具体例としては、塩化ア
ルミニウム、塩化アルミニウムエトキサイド、アルミニ
ウムエトキサイド、ジエトキシマグネシウム、クロルエ
トキシマグネシウム、三塩化ホウ素、エトキシ二塩化ホ
ウ素、エチル二塩化ホウ素、ジエチル塩化ホウ素、テト
ラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−n
−プロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシシラン、テ
トライソペントキシシラン、テトラ−n−ヘキソキシシ
ラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシ
シラン、メチルトリ−n−ブトキシシラン、メチルトリ
イソペントキシシラン、メチルトリ−n−ヘキソキシシ
ラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリイソプロ
ポキシシラン、エチルトリイソペントキシシラン、n−
ブチルトリエトキシシラン、イソブチルトリエトキシシ
ラン、イソペンチルトリエトキシシラン、イソペンチル
トリ−n−ブトキシシラン、ジメチルジエトキシシラ
ン、ジメチルジ−n−ブトキシシラン、ジメチルジイソ
ペントキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジエチ
ルジイソペントキシシラン、ジイソブチルジイソペント
キシシラン、ジ−n−ブチルジエトキシシラン、ジイソ
ブチルジイソペントキシシラン、トリメチルメトキシシ
ラン、トリメチルエトキシシラン、トリメチルイソブト
キシシラン、トリエチルイソプロポキシシラン、トリ−
n−プロピルエトキシシラン、トリ−n−ブチルエトキ
シシラン、トリイソペンチルエトキシシラン、フェニル
トリエトキシシラン、フェニルトリイソブトキシシラ
ン、フェニルトリイソペントキシシラン、ジフェニルジ
エトキシシラン、ジフェニルジイソペントキシシラン、
ジフェニルジオクトキシシラン、トリフェニルメトキシ
シラン、トリフェニルエトキシシラン、トリフェニルイ
ソペントキシシラン、ベンジルトリエトキシシラン、ベ
ンジルトリブトキシシラン、ジベンジルジエトキシシラ
ン、トリメトキシクロルシラン、トリエトキシクロルシ
ラン、トリ−n−ブトキシクロルシラン、エチルジエト
キシクロルシラン、メチルジエトキシクロルシラン、エ
チルジイソプロポキシクロルシラン、エチルジ−n−ブ
トキシクロルシラン、ジクロルジエトキシシラン、ジク
ロルジ−n−ブトキシシラン、ジクロルジイソペントキ
シシラン、ジエチルエトキシクロルシラン、トリクロル
メトキシシラン、トリクロルエトキシシラン、トリクロ
ルイソブトキシシラン、ジメチルイソプロポキシクロル
シラン、テトラクロルシラン、テトラクロルメタン、三
塩化リンなどを挙げることができる。
【0015】中でも、クロルシラン、アルコキシシラン
などのシラン化合物が、好適に用いることができる。式
MX (OR で表される化合物のう
ち、アルミニウムおよびマグネシウムのアルキルあるい
はフェニル化合物は還元性化合物であり、本発明の非還
元性化合物から除かれる。
【0016】非還元性化合物の使用量は、担体の調製時
に使用したグリニヤール化合物1モル当たり、1モル以
上、特に2〜100モルであることが好ましい。担体と
非還元性化合物との接触処理は、以下の方法で行うこと
ができる。担体を、有機溶媒の存在下または不存在下
に、20〜200℃、好ましくは30〜140℃の温度
で、0.5〜3時間、非還元性化合物と接触させ、この
後、反応混合物から固体を分離し、必要に応じて有機溶
媒で洗浄する。
【0017】有機溶媒としては、例えば、プロパン、ブ
タン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカ
ン、ドデカンなどのような脂肪族炭化水素、シクロペン
タン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンなどのよ
うな脂環族炭化水素、あるいは、トルエン、ベンゼン、
キシレンなどのような芳香族炭化水素、ジエチルエーテ
ル、ジイソプロピルエーテル、ジ−n−ブチルエーテ
ル、ジイソアミルエーテルが挙げられる。この接触処理
は、複数回連続して行うことができる。
【0018】このようにして得られた担体と非還元性化
合物との接触処理固体は、次のチタン化合物との接触処
理に供することができる。チタン化合物の具体例として
は、メトキシトリクロルチタン、ジメトキシジクロルチ
タン、トリメトキシクロルチタン、エトキシトリクロル
チタン、ジエトキシジクロルチタン、プロポキシトリク
ロルチタン、ジプロポキシジクロルチタン、ブトキシト
リクロルチタン、ジブトキシジクロルチタン、フェノキ
シトリクロルチタン、ジフェノキシジクロルチタン、メ
トキシトリブロモチタン、フェノキシトリブロモチタ
ン、メトキシトリヨードチタン、フェノキシトリヨード
チタン、テトラクロルチタン、テトラブロモチタン、テ
トラヨードチタン、テトラメトキシチタン、テトラエト
キシチタン、テトラプロポキシチタンなどが挙げられ
る。
【0019】中でも、テトラクロルチタン、メトキシト
リクロルチタン、ジメトキシジクロルチタン、エトキシ
トリクロルチタン、ジエトキシジクロルチタン、プロポ
キシトリクロルチタン、ジプロポキシジクロルチタン、
ブトキシトリクロルチタン、ジブトキシジクロルチタン
が好適に使用される。これらのチタン化合物は、2種類
以上併用してもよい。
【0020】チタン化合物の使用量は、担体の調製時に
使用したグリニヤール化合物1モル当たり、1モル以
上、特に2〜100モルであることが好ましい。チタン
化合物との接触処理は、以下の方法で行うことができ
る。前記の担体と非還元性化合物との接触処理固体を、
不活性有機溶媒の存在下または不存在下に、20〜20
0℃、好ましくは60〜140℃の温度で、0.5〜3
時間、チタン化合物と接触させ、この後、反応混合物か
ら固体を分離し、必要に応じて不活性有機溶媒で洗浄す
る。このチタン化合物との接触処理は、複数回連続して
行うことができる。このようにして得られた担体とチタ
ン化合物との接触処理固体は、次の有機金属化合物との
接触処理に供することができる。
【0021】有機金属化合物としては、アルキルリチウ
ム、ジアルキルマグネシウム、アルキルマグネシウムハ
ライド、ジアルキル亜鉛、トリアルキルアルミニウム、
ジアルキルあるいはモノアルキルアルミニウムハライド
などが使用できるが、好ましいのはトリアルキルアルミ
ニウムであり、その具体例としては、トリメチルアルミ
ニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアル
ミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリオクチルア
ルミニウムなどが挙げられる。前記有機金属化合物類は
いずれも混合物としても使用することができる。また、
アルキルアルミニウムと水との反応によって得られるポ
リアルミノキサンも同様に使用することができる。
【0022】これらの有機金属化合物は、2種類以上併
用してもよい。また、有機金属化合物を2回以上段階的
用いて、前記のチタン化合物処理担体を接触処理しても
よい。
【0023】有機金属化合物の使用量は、チタン化合物
処理担体中のチタン原子に対して、金属/Tiモル比が
0.1〜1000、特に0.5〜500であることが好
ましい。有機金属化合物による接触処理方法としては、
不活性有機溶媒中で、反応温度は、0〜100℃、特に
5〜60℃であることが好ましく、接触時間については
特に制限はないが、通常5分以上である。
【0024】有機金属化合物によって、チタン化合物担
持固体中のTi原子価が4未満に還元される。従って、
有機金属化合物処理された固体触媒成分(A)を用いる
ことにより、重合開始時における重合活性に大きな変化
がなく、重合反応の制御が容易になり、高い触媒効率で
エチレン共重合体を得ることができる。こうして得られ
る処理固体を含む混合物から成分(A)を濾過、傾斜な
どによって分別し、必要に応じて不活性有機溶媒で洗浄
する。不活性有機溶媒としては、前記のチタン化合物処
理で使用したものと同じものを用いることができる。以
上の方法によって得られた固体触媒成分(A)を有機ア
ルミニウム化合物(B)と共に用いて、重合反応に供す
ることができる。
【0025】有機アルミニウム化合物成分(B)の具体
例としては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアル
ミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリ−n−ヘ
キシルアルミニウム、ジエチルアルミニウムクロリド、
ジブチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウム
ブロミド、エチルアルミニウムセスキクロリド、エチル
アルミニウムセスキブロミド、エチルアルミニウムジク
ロリド、プロピルアルミニウムジクロリド、ブチルアル
ミニウムジクロリド、エチルアルミニウムジブロミド、
プロピルアルミニウムジブロミド、ブチルアルミニウム
ジブロミド、ジエチルアルミニウムヒドリド、ジブチル
アルミニウムヒドリド、エチルアルミニウムジヒドリ
ド、プロピルアルミニウムジヒドリド、ブチルアルミニ
ウムジヒドリド、エチルアルミニウムエトキシクロリ
ド、エチルアルミニウムブトキシクロリド、エチルアル
ミニウムエトキシブロミドなどが挙げられる。また、ジ
イソブチルアルミニウムハイドライドとイソプレンとの
反応によって得られるイソプロペニルアルミニウムを用
いることができる。また、例えば、トリアルキルアルミ
ニウムと溶媒中に分散された水との反応あるいは無機化
合物の結晶水との反応によって得られるアルキルアルモ
キサンを用いることができる。中でも、トリエチルアル
ミニウムおよびトリイソブチルアルミニウムなどのトリ
アルキルアルミニウムが好適に使用される。
【0026】有機アルミニウム化合物成分(B)の使用
量は、固体触媒成分(A)中のチタン1グラム原子当た
り、通常1〜1000モルである。尚、二種類以上の有
機アルミニウム化合物を併用することもできる。
【0027】本発明においては、成分(A)及び成分
(B)からなる触媒を用いて、エチレンとα−オレフィ
ンを共重合させる。α−オレフィンの具体例としては、
プロピレン、ブテン−1、4−メチルペンテン−1、ヘ
キセン−1、オクテン−1などが挙げられる。
【0028】本発明においては、必要に応じて、成分
(A)及び成分(B)からなる触媒をエチレン、あるい
はエチレンとα−オレフィンとの混合物を用いて予備重
合処理してもよい。予備重合を行う場合は、予備重合体
グラム当たり0.0125〜0.04ミリモルのTi原
子を含有する粒子状の重合体が得られるまで重合を行う
のが好ましい。重合溶媒として不活性有機溶媒を使用し
てもよく、また液状のα−オレフィン自体を使用しても
よい。
【0029】予備重合体を製造するための好ましい条件
としては、重合圧力は、通常、大気圧〜10kg/cm
、重合温度は100℃以下、通常20〜70℃であ
る。重合時間は通常30分〜15時間、好ましくは2〜
10時間である。予備重合、あるいは、後述する本重合
における成分(A)と成分(B)の割合は、それぞれの
TiとAlのモル比率で、通常Al/Ti=0.1〜1
000、好ましくは0.5〜200である。予備重合に
おいて過剰量の成分(B)を用いた場合において、本重
合で成分(B)を追加使用しなくても、共重合体を製造
することができる。予備重合体は重合溶媒を、例えば不
活性ガスで蒸発して、乾燥除去し、粉体として得た後、
本重合に供することができる。
【0030】本重合反応は、通常のチーグラーナッタ型
触媒によるα−オレフィンの重合反応と同様にして行う
ことができる。本重合反応は液相または気相で固体触媒
成分(A)又は予備重合体を用いて行うことができる。
気相重合反応としては、流動床式重合法あるいは攪拌式
重合法を挙げることができる。
【0031】特に、流動床重合法で行う場合は、前記の
様にして製造された予備重合体の存在下、流動床重合反
応器でガス状のエチレンとα−オレフィンとを共重合す
ることが好ましい。本重合におけるα−オレフィンとし
ては、予備重合体製造と同様なもの、あるいは異なった
ものを使用することができる。本重合においては、予備
重合体がモノマーガスによって流動化されると同時に、
重合熱はモノマーガスによって除去され、通常50〜1
10℃で重合が行われる。本重合では、触媒として予備
重合体が使用される場合、さらに有機アルミニウム化合
物(B)を共に使用することができる。
【0032】重合反応は液相で行う場合、重合溶媒とし
て不活性有機溶媒を使用してもよく、また液状のα−オ
レフィン自体を使用してもよい。重合溶媒中の触媒濃度
については特に制限はないが、一般には、重合溶媒1L
当たり、固体触媒成分(A)についてはチタン金属換算
で0.001〜1ミリグラム原子であり、有機アルミニ
ウム化合物成分(B)については 0.01〜100ミ
リモルである。
【0033】重合反応は水分および酸素を実質的に絶っ
た状態で行われる。重合温度は通常30〜100℃であ
り、重合圧力は通常1〜80Kg/cmである。ま
た、生成重合体の分子量調節剤として水素を共存させる
ことができる。
【0034】
【発明の効果】本発明においては、特に、流動床気相重
合方法において、重合活性が高いので生成共重合体の脱
灰工程が不要である。さらに、低分子量粘着性生成物の
割合が小さく、又、共重合でα−オレフィンのブロック
共重合体の生成がほとんど無いので、本重合方法におい
て良好な重合体粒子の流動性を保ち、粒子同士の塊の生
成や反応器への付着が無く、安定的に長期間、重合反応
を行うことができる。また、生成した共重合体は、組成
分布および分子量分布が狭いため、α−オレフィン含量
を多くして低密度化しても成形フィルムの表面粘着性は
小さいこと、および、成形体の機械的強度が大きいこと
などの優れた物性を有している。
【0035】
【実施例】以下に本発明の実施例及び比較例を説明す
る。実施例において、「重合活性」とは、重合反応に使
用した固体触媒のTi成分1g当たりの共重合体収量
(kg)である。 「M.I.」とは、ASTM D−1238に従って
2.16kg/cmの荷重下に190℃で測定した重
合体の溶融指数である。触媒固体成分のチタン含有量
は、比色法によって測定した。分子量分布は、ポリスチ
レンを標準物質として用いたGPCから求めた、数平均
分子量Mおよび重量平均分子量Mの比M/M
よって評価した。α−オレフィンの含量は、NMRによ
って測定した。密度は、密度勾配管によって測定した。
共重合体の組成分布は、α−オレフィンの含量と密度の
関係で評価した。すなわち、一般に、α−オレフィンの
含量が同じ場合、ランダム性の大きい共重合体ほど、密
度は小さくなり、従って組成分布は狭いということがで
きる。
【0036】実施例1 (1)固体触媒成分の調製 無水塩化アルミニウム15ミリモルのトルエン懸濁液4
0mlにメチルトリエトキシシラン15ミリモルを添加
し、25℃で0.5時間反応させた後、60℃に昇温し
て1時間さらに反応させた。反応生成混合物を−5℃に
冷却し、n−ブチルマグネシウムクロライド30ミリモ
ルのジイソプロピルエーテル溶液18mlを0.5時間
で反応生成混合物に加えた後、30℃に昇温し、1時間
反応させた。析出した固体を濾別し、トルエンで洗浄し
た。得られた固体4.90gのトルエン懸濁液30ml
に、テトラクロルシラン10mlを加え、40℃で1時
間接触処理した。接触処理固体を90℃で濾別し、トル
エン30mlで3回洗浄した。得られた担体4.90g
のトルエン懸濁液30mlに、四塩化チタン150ミリ
モルを加え、90℃で1時間接触処理した。接触処理固
体を90℃で濾別し、ついでトルエン30mlで3回洗
浄した。上記で得られたチタン化合物担持固体のトルエ
ンスラリー30mlに、ついでトリエチルアルミニウム
をAl/Tiモル比が10であるように導入し、40℃
で1時間接触処理した。処理固体を濾別し、ついでn−
ヘプタン30mlで5回洗浄した後、n−ヘプタン80
mlのスラリーとした。固体触媒成分のチタン含有率は
4.28重量%であった。
【0037】(2)予備重合 窒素ガスで置換したSUS製2Lオートクレーブに、ヘ
プタン800ml添加し、トリ−n−オクチルアルミニ
ウム10.0ミリモル、触媒固体(Ti=2.5ミリモ
ル)を導入した。水素1.5kg/cmを圧入したの
ち、60℃まで昇温し、エチレンを導入して重合を開始
した。重合中は68℃に保ち、エチレン流速は0.93
L/min.として2時間重合し、グラム当たり0.0
18ミリモルのTi原子を含有する予備重合体を得た。
【0038】(3)エチレンと1−ブテンとの気相共重
合 あらかじめ製造したポリエチレン粉末500gを直径2
0cm、長さ50cmの攪拌式気相重合反応器に入れ、
粉末を300rpmで攪拌しながら、下部からトリエチ
ルアルミニウムを含むエチレン/ブテン−1/水素(3
/1/0.2モル比)の45℃の混合ガスを20cm/
secの速度で上昇させ、循環した。共重合は、上記
(2)で製造した予備重合体を10g/時間で導入し、
重合温度約75〜85℃、重合圧力2kg/cm、A
l/Ti原子比10で、10時間連続して行った。その
間エチレン/ブテン−1共重合体を連続して抜き出し、
活性および物性を評価した。結果を表1に示す。
【0039】実施例2 本重合での混合ガスのモル比を(エチレン/ブテン−1
/水素=2/1/0.2モル比)にした以外は実施例1
と同様してエチレン/ブテン−1共重合体を得た。結果
を表1に示す。
【0040】実施例3、4 トリエチルアルミニウムに替えてジエチルアルミニウム
クロライドを導入し、40℃で1時間接触を行った以外
は、実施例1と同様な条件と方法で固体触媒成分の調製
を行って、チタン含有率が4.30重量%の固体触媒成
分(A)を得た。次に、同様に予備重合を行い、グラム
当たり0.019ミリモルのTi原子を含有する予備重
合体を得た。さらに、実施例1および2と同様の条件と
方法でそれぞれ共重合を行って、エチレン/ブテン−1
共重合体を得た。結果を表1に示す。
【0041】実施例5、6 テトラクロルシランに替えて、テトラエトキシシランを
用いた以外は、実施例1と同様な条件と方法で固体触媒
成分の調製を行って、チタン含有率が4.46重量%の
固体触媒成分(A)を得た。次に、同様に予備重合を行
い、グラム当たり0.018ミリモルのTi原子を含有
する予備重合体を得た。さらに、実施例1および2と同
様の条件と方法でそれぞれ共重合を行って、エチレン/
ブテン−1共重合体を得た。結果を表1に示す。
【0042】比較例1、2 四塩化ケイ素処理を行わず、およびトリエチルアルミニ
ウムを使用しなかった以外は、実施例1と同様におこな
って、チタン含有率が 重量%の固体触媒成分(A)
を得た。次に、同様に予備重合を行い、グラム当たり
ミリモルのTi原子を含有する予備重合体を得た。
さらに、実施例1および2と同様の条件と方法でそれぞ
れ共重合を行って、エチレン/ブテン−1共重合体を得
た。結果を表1に示す。
【0043】実施例と比較例からわかる様に、実施例に
おいては、同一組成でいずれも密度がより低く、ブテン
−1が、ランダムにエチレンと共重合している。又、ブ
テン連鎖、あるいは低分子量成分による粘着粒子の生成
が見られず、従って、重合体粒子の流動性が良好であっ
た。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の重合方法及び重合に用いる触媒固体成
分の調製工程を示すフローチャートである。
【表1】

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ハロゲン化アルミニウムと, 式 R Si(OR4−m (式中、Rは炭素数1〜8のアルキル基またはフェニ
    ル基を示し、Rは炭素数1〜8のアルキル基を示し、
    mは0,1,2または3である)で表される有機ケイ素
    化合物との反応生成物に、 式 RMgX (式中、Rは炭素数1〜8のアルキル基を示し、X
    はハロゲン原子を示す)で表されるグリニヤール化合物
    を反応させ、得られる担体を、 式 MX (OR (式中、Mは、アルミニウム、マグネシウム、ホウ素、
    ケイ素、炭素、またはリンを示し、RおよびRは炭
    素数1〜8のアルキル基またはフェニル基を示し、X
    はハロゲン原子を示し、p、qおよびrは、p+q≧1
    およびr≧0であって、nがMの価数であるとき、n=
    p+q+rを満足する)で表される非還元性化合物と接
    触させた後、 式 Ti(OR 4−s (式中、Rは炭素数1〜8のアルキル基またはフェニ
    ル基を示し、Xはハロゲン原子を示し、sは0,1,
    2,3または4である)で表されるチタン化合物とを接
    触させて得られる固体を、有機金属化合物で接触処理し
    て得られる固体触媒成分(A)と、有機アルミニウム化
    合物成分(B)とから得られる触媒の存在下に、エチレ
    ンとα−オレフィンを共重合することを特徴とするエチ
    レン共重合体の製造方法。
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