JPH0520055B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

〔産業上の利用分野〕 本発明は、外面に美麗な装飾模様層が形成され
ており、噛咬後膨らませた際に、もとの模様に対
応する模様がチユーインガム風船膜に現れる装飾
性風船チユーインガムおよびその製法に関するも
のである。 〔従来の技術〕 風船チユーインガムのチユーインガム風船膜に
色彩模様を発現させる試みは、特公昭54−38189
号に開示されている。これは、風船用チユーイン
ガム中に、生糸、木綿、その他の植物性繊維質、
グルテン、動物の腸、魚のうろこ、コラーゲンを
混在させ、チユーインガムを膨らませた際、これ
らの装飾性物質をチユーインガム風船膜中に分布
させ、色彩模様を発現させるというものである。 〔発明が解決しようとする課題〕 しかしながら、この方法は、生糸、木綿糸、等
の装飾性物質を、風船チユーインガムの製造時に
原料と共に混練してチユーインガムをつくるた
め、上記装飾性物質はアトランダムにチユーイン
ガム中に分散してしまう。したがつて、複数個の
装飾性物質を所望の状態に配列させて所望の絵柄
の配列模様を、風船チユーインガムの風船膜に発
現させることはできない。しかも、生糸、木綿等
の装飾性物質は、おのずから形状が定まつている
ため、それによつてあらわされる模様の外形も定
まつてしまい、多くの異なる外形をもつ模様を発
現させることができない。すなわち、前記の方法
は、チユーインガム風船膜に現れる模様の外形な
らびに配列模様の絵柄を人為的に制御することが
できない。そのうえ、上記装飾性物質のうち、グ
ルテンは、風船チユーインガムの基材となるチユ
ーインガムベースに対する混和性が高いため、ガ
ムの噛咬と膨らませとを行つている間にチユーイ
ンガムベース中に混和してしまう。したがつて、
装飾模様を反復して現すことができにくいという
難点を有している。上記装飾性物質のうち、生
糸、木綿、その他の植物性繊維質、動物の腸、コ
ラーゲンは、ガムの噛咬の際、これらが歯に当た
り異物混入感を与えるため、ガムの食感を悪くす
るという難点を有している。また、魚のうろこは
チユーインガム基材であるチユーインガムベース
に対する親和性に欠けるためガムを膨らませた際
に、チユーインガム風船膜から剥離脱落するとい
う難点を有している。このように、上記特公昭54
−38189号に開示されている装飾性物質はいずれ
も難点を有しており、実用性に乏しいというのが
実情である。また、特開昭60−241855号公報に
も、風船チユーインガムの風船膜に模様を形成す
る方法が開示されているが、この方法によれば、
模様を形成する粒子状材料を風船ガム表面等に単
にちりばめる等するだけであることから、縞模
様、水玉模様、曲線模様等の連続模様を形成でき
ないという難点がある。 本発明は、このような事情に鑑みなされたもの
で、所望の連続模様を、風船チユーインガム自身
の外面だけでなく、そのチユーインガムを膨らま
した際のチユーインガム風船膜にも現すことがで
きる装飾性風船チユーインガムおよびその製法の
提供を目的とする。 〔課題を解決するための手段〕 上記の目的を達成するため、本発明は、風船チ
ユーインガムの外面の少なくとも一部に、高分子
弾性物質溶液の連続模様状塗工により、高分子弾
性物質を主体とする下記(A)が形成されていること
を特徴とする装飾性風船チユーインガムを第１の
要旨とし、 (A) 風船チユーインガムを膨らました際に、それ
自身の装飾模様に対応する模様をチユーインガ
ム風船膜に発現する装飾模様層。 高分子弾性物質と、これを溶解もしくは分散さ
せる液体と、必要に応じて用いられるその他の添
加物とを混和することにより、高分子弾性物質を
主成分とする混和物をつくり、これを風船チユー
インガムの外面に、全体的もしくは部分的に付着
させ、ついで乾燥させることにより装飾模様層を
形成して装飾性風船チユーインガムを得る装飾性
風船チユーインガムの製法を第２の要旨とするも
のである。 〔作 用〕 本発明者らは、風船チユーインガム自体の美観
を、装飾模様層の形成で高めるとともに、チユー
インガムを膨らませた際のチユーインガム風船膜
の美観を、この風船膜に上記装飾模様層の連続模
様を発現させて高めるよう一連の研究を重ねた。
その結果、上記装飾模様層を、高重合度の酢酸ビ
ニル樹脂や天然ゴム等の高分子弾性物質溶液の連
模様状塗工により構成すると、所期の目的を達成
しうるようになることを見いだし、本発明に到達
した。 つぎに、本発明を詳しく説明する。 高重合度の酢酸ビニル樹脂や天然ゴム等の高分
子弾性物質は、適度な弾性を有するため、風船チ
ユーインガムの噛咬時にチユーインガムと共に柔
軟に変形し、異物混入感を与えない。また、上記
高分子弾性物質は分子量が大であつて、チユーイ
ンガム基材であるチユーインガムベースに対する
混和性があまりないため、ガム噛咬と膨らませを
行つている間にチユーインガムベース中に混和し
てしまうこともない。しかも、前記の魚のうろこ
程チユーインガムベースに対する親和性に欠ける
ということもないため、チユーインガムを膨らま
せた際に風船膜から剥離脱落することもない。 このような優れた特性をもつ高分子弾性物質を
用いての、連続模様状の装飾模様層の形成は、例
えば、つぎのようにして行われる。すなわち、高
重合度の酢酸ビニル樹脂や天然ゴム等の高分子弾
性物質を溶剤に溶解し、食用色素等の着色物質を
添加して着色溶液をつくり、これを、常法により
得られた風船チユーインガムの外面（表面、裏
面）に印刷によつて所定の連続模様（例えば水玉
模様）になるように付着し、乾燥させることによ
り行われる。この場合、印刷は、スクリーン印
刷、凸版印刷、転写印刷、グラビア印刷等のいず
れでもよい。また、印刷に代えて、上記着色溶液
を模様状に噴霧してもよいし、コーテイングして
もよい。さらに、上記着色液を滴下してもよい
し、風船チユーインガムを部分的に上記着色液に
浸漬してもよい。しかしながら、印刷によるの
が、模様形成の正確さや形成速度の点で好まし
い。 特に、高分子弾性物質として、高重合度の酢酸
ビニル樹脂を用いる場合には、重合度が1000〜
10000の範囲内のものを用いることがチユーイン
ガム風船膜に対する模様の発現性や食感の点で好
ましい。このような高重合度の酢酸ビニル樹脂
は、溶液重合、懸濁重合、乳化重合等、公知の方
法でつくられたものを用いることができる。懸濁
重合で得られた酢酸ビニル樹脂を用いて前記の着
色液をつくるときは、溶剤として、エステル結合
を有するフルーツフレーバーを用いると、樹脂の
溶解性や賦香の点で効果的である。乳化重合によ
り得られた酢酸ビニル樹脂を用いる場合には、乳
化重合により得られた酢酸ビニル樹脂水溶液がそ
のまま用いられる。天然ゴムを用いる場合におい
ては、天然ゴムを溶剤に溶解して用いてもよい
し、天然ゴム溶液（ポリイソプレンのアンモニア
水溶液）を上記と同様そのまま用いてもよい。 なお、着色物質は、上記のような食用色素に限
定されるものではなくどのようなものを用いても
よい。しかし、透明模様を現したいときには、着
色物質の添加は取りやめられる。また、本発明に
おける模様には文字も含めるものである。 このようにして形成された連続模様状の装飾模
様層は、風船チユーインガムの外面の全体もしく
は一部に、飛石状に分布したり、線状に分布した
り等して存在し、適宜の連続模様（例えば、縞模
様、水玉模様、曲線模様）を形成する。このよう
に、常法により得られた風船チユーインガムの外
面に装飾模様層を形成することにより、本発明の
装飾性風船チユーインガムが得られる。この装飾
性風船チユーインガムは、それ自身の外面に形成
された装飾模様層の連続模様により美観が向上し
ており、これまでのものにない美麗で特異な外観
を呈する。そして、これを噛咬後膨らますと、当
初形成されていたとほぼ同様な連続模様がチユー
インガム風船膜に現れるようになる。すなわち、
本発明の装飾性風船チユーインガムは、所望の連
続模様を、風船チユーインガム自体のみならず、
チユーインガム風船膜にも現すことができるので
ある。これは、風船チユーインガム（チユーイン
ガムベースと糖類とを主成分とする）の外面に形
成された、高分子弾性物質を主体とする連続模様
状の装飾模様層が、噛咬時における風船チユーイ
ンガムの糖類の流失により、残つたチユーインガ
ムベース分の外面に元の状態をほぼ保つて移行
し、それが膨らましの際、チユーインガム風船膜
にそのまま現れるからと考えられる。噛咬時に装
飾模様層が元の連続模様状態をほぼ保つて移行す
るのは、その主体となる高分子弾性物質の弾性に
より、噛咬の際圧力を受けても元の状態に復元す
るからと思われる。チユーインガム風船膜に対す
る連続模様の再現性の観点からすれば、縞模様の
ような線状模様よりも、水玉模様のような斑点状
模様の方が好ましい。 このように、本発明の装飾性風船チユーインガ
ムは、風船チユーインガム自体に形成された模様
を、チユーインガム風船膜にほぼ再現することが
できるものであり、これが大きな特徴となつてい
る。 〔発明の効果〕 本発明の装飾性風船チユーインガムは、以上の
ように高分子弾性物質溶液の連続模様状塗工によ
り形成された、連続模様状の装飾模様層により連
続模様を形成するため、任意の連続模様を、風船
チユーインガムの表面だけでなく、それを膨らま
せて得られる風船膜にも現すことができる。より
詳しく説明すると、上記のように風船チユーイン
ガムの外面に形成された任意の連続模様は、高分
子弾性物質の作用により、チユーインガムを膨ら
ませた際の風船膜にほぼ再現される。すなわち、
本発明の装飾性風船チユーインガムは、風船チユ
ーインガム自体の表面に形成された任意の連続模
様を、ほぼそのままの状態でチユーインガム風船
膜に再現しうるという、これまでのものにみられ
ない優れた効果を奏するのである。また、本発明
の製造方法によれば、上記のような装飾性風船チ
ユーインガムを容易に製造しうるのである。 つぎに、実施例について説明する。 実施例 １ まず、下記のように原料を配合し、常法に従い
混合機に掛けて風船チユーインガムベースを製造
した。

【表】 つぎに上記チユーインガムベースに、下記のよ
うな割合で各原料を配合し、常法に従いニーダに
掛けて風船チユーインガムを製造し、これを成形
機に掛けて長方形の風船チユーインガムを得た。

【表】 このようにして得られた風船チユーインガムの
表面に下記のようにして装飾模様層を形成し装飾
性風船チユーインガムを得た。 実施例 ２ 下記の原料を下記のように配合し混合して着色
溶液をつくつた。

【表】 つぎに、この着色溶液を、前記のようにして得
られた風船チユーインガムの表面に、スクリーン
を用いて水玉模様状に印刷し、ついで熱風を吹き
つけ乾燥させ、装飾性風船チユーインガムを得
た。 このチユーインガムは、表面に水玉模様がきれ
いに印刷されており極めて美麗な外観を呈した。
ついで、これを噛咬して膨らませたところ、チユ
ーインガム風船膜に、当初とほぼ同様の水玉模様
（模様の一部のものの外形が僅かに楕円になつて
いた外は当初と同じ）が現われた。 実施例 ３ 着色溶液として下記の配合のものを用い、これ
をノズル付きタンクに入れて、ノズルから滴下さ
せて模様を形成した。それ以外は実施例１と同様
にして装飾性風船チユーインガムを得た。このも
のも実施例１のものと同様の特性を示した。

【表】 実施例 ４ 着色溶液として下記の配合のものを用いた。そ
れ以外は実施例１と同様にして装飾性風船チユー
インガムを得た。このものも実施例１のものと同
様の特性を示した。

【表】 実施例 ５ 着色溶液を、印刷でなく斑点状に噴霧した。そ
れ以外は実施例１と同様にして装飾性風船チユー
インガムを得た。このものも実施例１のものと同
様の特性を示した。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 風船チユーインガムの外面の少なくとも一部
   に、高分子弾性物質溶液の塗工により、高分子弾
   性物質を主体とする下記(A)が形成されていること
   を特徴とする装飾性風船チユーインガム。 (A) 風船チユーインガムを膨らました際に、それ
   自身の装飾模様に対応する模様をチユーインガ
   ム風船膜に発現する装飾模様層。 ２ 高分子弾性物質が、高重合度の酢酸ビニル樹
   脂および天然ゴムの少なくとも一方である特許請
   求の範囲第１項記載の装飾性風船チユーインガ
   ム。 ３ 高分子弾性物質と、これを溶解もしくは分散
   させる液体と、必要に応じて用いられるその他の
   添加物とを混和することにより、高分子弾性物質
   を主成分とする混和物をつくり、これを風船チユ
   ーインガムの外面に、全体的もしくは部分的に付
   着させ、ついで乾燥させることにより装飾模様層
   を形成して装飾性風船チユーインガムを得ること
   を特徴とする装飾性風船チユーインガムの製法。 ４ 高分子弾性物質を主成分とする混和物の付着
   が、印刷により行われる特許請求の範囲第３項記
   載の装飾性風船チユーインガムの製法。