JPH05199894A - 二重特異性抗体および抗体含有薬剤 - Google Patents

二重特異性抗体および抗体含有薬剤

Info

Publication number
JPH05199894A
JPH05199894A JP19681091A JP19681091A JPH05199894A JP H05199894 A JPH05199894 A JP H05199894A JP 19681091 A JP19681091 A JP 19681091A JP 19681091 A JP19681091 A JP 19681091A JP H05199894 A JPH05199894 A JP H05199894A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
antibody
antifungal
apb
hybrid
hybridoma
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP19681091A
Other languages
English (en)
Inventor
Susumu Iwasa
進 岩佐
Kaoru Harada
薫 原田
Takeshi Kiyota
剛 清田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Takeda Pharmaceutical Co Ltd
Original Assignee
Takeda Chemical Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Takeda Chemical Industries Ltd filed Critical Takeda Chemical Industries Ltd
Priority to JP19681091A priority Critical patent/JPH05199894A/ja
Publication of JPH05199894A publication Critical patent/JPH05199894A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【目的】毒性の強い抗真菌剤の毒性を軽減し、かつ真菌
に対する選択性を持たせることにより真菌症治療上有用
な抗真菌剤を提供する。 【構成】真菌および抗真菌剤に対する特異性を有する二
重特異性抗体を作製し、該抗体に抗真菌剤を免疫結合さ
せた抗真菌免疫複合体を提供する。 【効果】本発明の抗真菌免疫複合体により、強毒性の抗
真菌剤の毒性を軽減し、かつ抗真菌剤の真菌選択性を向
上させることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は二重特異性を有するハイ
ブリッド・モノクローナル抗体に関する。さらに詳しく
は二重特異性の一方が抗真菌剤に対し、他方が真菌、特
に真菌の細胞壁糖蛋白あるいは多糖類に対するハイブリ
ッド・モノクローナル抗体(以下、ハイブリッドMoAb
と略記することがある)およびそれを産生するポリドー
マに関する。本発明はまた、上記ハイブリッドMoAbに
抗真菌剤を免疫結合させてなる抗真菌免疫複合体を真菌
に特異的に結合させ、真菌に致死的作用を与えることを
可能とする真菌症治療剤に関する。
【0002】
【従来の技術】真菌による疾患は一般に難治とされ、し
かも近年この真菌症が急速に増加する傾向にある。例え
ば臓器移植患者、抗生物質やステロイド剤の多量長期投
与患者、エイズ患者、さらには白血病や癌の末期患者の
深在性真菌症の合併が数多く報告されている。これらの
疾患には(1)イミダゾール誘導体であるケトコナゾール,
ミコナゾール、 (2)フルオロピリミジン誘導体であるフ
ルサイトシン、 そして(3)ポリエン系抗生物質であるア
ムホテリシンB(以下、APBと略記することがある),
トリコマイシン,ナイスタチンなどが用いられている。
上記(1)および(2)に挙げたイミダゾール誘導体やフルオ
ロピリミジン誘導体などは比較的毒性は弱いとされてい
るものの十分な薬効が得られず、また上記(3)に挙げた
APBは真菌の細胞膜に著明な変化を惹起し強い抗菌性
を示すが、毒性が強いため大量投与あるいは長期の連続
投与ができないなどの欠点を有していた。一方、癌細胞
を選択的に殺す薬物として抗癌抗体と抗癌剤との複合体
が作製され、“ミサイル療法剤”として臨床応用されつ
つある。これらの複合体は、抗癌抗体が癌細胞表面上の
癌特異抗原と結合し、次いでその標的癌細胞を抗癌剤が
傷害するというもので、抗癌剤の標的腫瘍部位への効率
的運搬により劇的な副作用の軽減および抗癌効果の増強
をもたらすものである。このような抗癌−薬物複合体の
作製に関し、薬物を抗体に化学結合させる方法では、1)
薬物の薬理活性が低下する、2)品質の一定した複合体
の作製が困難である、 あるいは3)使用しうる薬物が限定
される、 などの欠点があった。そこで癌細胞と抗癌剤と
の双方に結合能を有する二重特異性抗体が作製され、か
かる抗体の出現により薬効の高い、品質の一定した抗体
−薬物複合体の作製が可能となった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】毒性が非常に強いため
に、十分な有効量を用いえない抗真菌剤の毒性を軽減
し、弱毒性でかつ効率的に真菌を溶解または除去可能な
抗真菌剤を提供する。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは抗真菌剤に
関わる上記の諸問題を解決するため、最近の蛋白結合技
術あるいは細胞融合技術の進歩により著しく発展した二
重特異性抗体を用いた新しいタイプの抗真菌剤について
鋭意検討し、抗真菌−抗薬物二重特異性抗体を開発し、
それを用いた副作用のきわめて少ない薬効の高い抗体−
薬物複合体を作製した。すなわち、本発明は二重特異性
を有するハイブリッドMoAbであって、二重特異性の一
方が抗真菌剤に対し、 他方が標的真菌(例えば、鵞口瘡
カンジダ( Candida albicans:CA)の細胞壁糖蛋白な
ど)に対する二重特異性抗体およびそれを産生するポリ
ドーマに関するものである。また、本発明はかかる二重
特異性抗体に抗真菌剤を免疫結合させてなる真菌症治療
剤に関するものである。本発明における真菌としては、
例えば(1)コクシジオイデス属菌(例、 Coccidioides im
mitis など)などの藻菌類、 (2)アスペルギルス属菌
(例、Aspergillusterreus, Aspergillus Fumigatus, A
spergillus nidulans など),スコプラリオプシス属菌
(例、 Scopulariopsis blochii など)などの子嚢菌類、
(3)クリプトコックス属菌(例、Cryptococcus neoforma
ns など),カンジダ属菌(例、Candida albicaus など),
トリコスポロン属菌(例、Trichosporon cutaneum, Tri
chosporon beigeliiなど)などのクリプトコックス科
菌,モニリア科菌(例、Sporotrichum schenckii, Acrem
onium potronii, Blastmyces dermatitidis, Blastmy
ces brasiliensis, Histoplasma capsulatum など),
デマチウム科菌(例、 Hormodendrum pedrosoi など)な
どの不完全菌類、 (4)小胞子菌属(例、 Microsporumaudou
inii, Microsporum canis, Microsporum gypseum な
ど), 白癬菌属(例、Trichophyton mentagrophytes, Tr
ichophyton interdigitale, Trichophyton pedis, T
richophyton rubrum, Trichophyton coccineum, Tric
hophytonschoenleinii, Trichophyton ferrugineum, Tr
ichophyton violaceum, Trichophyton concentricum
など),表皮菌属(例、Epidermophyton floccosum など)
などの皮膚糸状菌などの哺乳動物(例、マウス,ラット,
ネコ,ウサギ,イヌ,ブタ,ウマ,ウシ,サル,ヒトなど)に対
して病原性を示す真菌などが挙げられるが、なかでも
不完全菌類が好ましく、さらにクリプトコックス科菌が
好ましく、 とりわけカンジダ属菌(好ましくは Candida
albicans)が好ましく用いられる。
【0005】本発明で用いられる抗真菌剤としては、代
表的なものとして例えば、(1)グリセオフルビン、 ポリ
エン系抗生物質(例、 ナイスタチン,アムホテリシンB,
トリコマイシン,ピマリシンなど)、バリオチン、シカニ
ン、ピロールニトリン、エキノカンジン−アクレアシン
群抗生物質(例、エキノカンジンB,アクレアシンAな
ど)、 パプラカンジン群抗生物質(例、 パプラカンジンB
など)、アムブルチシンなどの抗生物質、(2)スチルバミ
ジン系化合物(例、 スチルバミジン・イセチオネート,2
−ヒドロキシスチルバミジン・イセチオネートなど)、
ジアムタゾール系化合物(例、ジアムタゾール・ジヒド
ロクロライドなど)、アルキルオキシベンツアミド系化
合物(例、2−n−ヘキシルオキシベンツアミドなど)、
ベンツイミダゾール系化合物(例、クロルイミダゾール
など)、チオカルバミン酸系化合物(例、トルナフテー
ト,トルシクレートなど)、3−ヨードプロパギル系化合
物(例、ハ ロプロギン,メチオジンなど)、フルオロピリ
ジン系化合物(例、フルサイトシン など)、ω−ヨード
アセチレン性脂肪酸系化合物(例、フェニル11−ヨー
ド−10−ウンデシノエートなど)、イミダゾール系化
合物(例、クロトリマゾール,ミ コナゾール,エコナゾー
ル,イソコナゾール,スルコナゾール,ブトコナゾール,チ
オコナゾール,ビホナゾール,クロコナゾール,オキシコ
ナゾール,ケトコナゾールなど)、N−ヒドロキシピリド
ン系化合物(例、シクロピロキソールアミンなど)、トリ
アゾール系化合物(例、ターコナゾール, ICI 15
3,066,ビブナゾール,フルコナゾール,イトラコナゾ
ールなど)、アリルアミン系化合物(例、ナフチフィン,
タービナフィンなど)、 トリヨードアリル系化合物(例、
ME−1207 など)などの合成化合物などが挙げられ
るが、なかでもポリエン系抗生物質が好 ましく用いら
れる。
【0006】本発明に用いられるポリエン系抗生物質と
しては、テトラエン抗生物質(例、アムホテリシンAな
ど)、ペンタエン抗生物質(例、ピマリシン,ペンタマイ
シンなど)、ヘキサエン抗生物質(例、ナイスタチンな
ど)、ヘプタエン抗生物質(例、アムホテリシンB,カン
ジシジン,ペリマイシン,ハアマイシン,トリコマイシン
など)などがあげられるが、 好ましくはヘプタエン抗生
物質であり、 なかでもアムホテリシンB類(好ましくは
アムホテリシンB)が好ましく用いられる。ここでアム
ホテリシンB類とは、アムホテリシンB,その誘導体お
よびこれらの塩を含むものである。 アムホテリシンBの
誘導体としては、例えば(1)N−アルキル誘導体( 例、
metaphosin, etaphosin, propamphosin, butamphosin
など[Kasumov, Kh. M. et.al, Antibiotiki(Moscow),
(),513(1984)]、あるいはN,N,N−トリメ
チルアムホテリシンBなど)、N−アシル誘導体(例、N
−アセチルアムホテリシンBなど)、O−シリル誘導体
(例、13,14−アン ヒドロアムホテリシンB[EP公
開第350164号公報]など)、N−アミノア シル誘
導体(例、N−グリシルアムホテリシンB,N−リシルア
ムホテリシンB, N−D−オルニチルアムホテリシンB
など)、N−アルキルアミノアシル誘導体(例、N,N−
ジメチルグリシルアムホテリシンBなど)、エナミン誘
導体、アミジン誘導体などあるいはN−チオプロピオニ
ルアムホテリシンB,N−フルクトシ ルアムホテリシン
B,N−グルコシルアムホテリシンB,1−(ジメチルア
ミノプ ロピル)−3−エチルカルボジイミドアムホテリ
シンBなどおよび(2)上記誘導体あるいはアムホテリシ
ンBのエステル(例、アムホテリシンBメチルエステル
な どのアルキルエステルなど)などがあげられる。ま
た、これらの塩としては、Na塩,HCl塩,N−メチルグ
ルカミン塩などがあげられる。
【0007】本発明の二重特異性を有するハイブリッド
MoAb作製にあたっては、 原料の一つとして抗真菌剤に
対するモノクローナル抗体産生ハイブリドーマが用いら
れるが、 かかるハイブリドーマ、 例えば抗APBモノク
ローナル抗体産生ハイブリドーマは下記の方法で作製さ
れる。まずAPB(下記式(I)参照)もしくはその誘導体
を動物に接種し、抗APB抗体の産生を促す。この場
合、通常APBもしくはその誘導体をそのまま免疫原と
して用いたのでは高力価の抗体産生を惹起しえないの
で、APBの有するカルボキシル基あるいはアミノ基を
介してキャリア蛋白である牛血清アルブミン(以下、B
SAと略記することがある)、キーホール・リンペット
・ヘモシアニン(以下、KLHと略記することがある)、
あるいはチログロブリンなどに結合させ免疫原 として
用いる。
【化1】 免疫動物としては、一般に哺乳類例えばウサギ,ラット,
マウス,モルモットなどが用いられるが、 MoAb 製造の
場合にはマウスが特に好ましく用いられる。接種方法と
しては、通常実施される方法に従えばよく、例えばマウ
スに1回1〜100μg、好ましくは10〜25μgを等
容量(0.1ml)の生理食塩水およびフロイントの完全ア
ジュバントで乳化して、背部,腹部の皮下あるいは腹腔
内に2〜3週毎に3〜6回接種する方法がとられる。
【0008】これらの免疫動物、例えばマウスから抗体
価の高い個体を選び、最終免疫3〜5日後に脾臓および
/あるいはリンパ節を採取し、それらに含まれる抗体産
生細胞を骨髄腫細胞と融合させる。融合操作は既知の方
法に従い実施でき、融合促進剤としてはポリエチレング
リコール(以下、PEGと略記することがある)やセンダ
イウイルスなどが挙げられるが、好ましくはPEGが用
いられる。骨髄腫細胞としてはNS−1、P3U1、S
P2/0など、特にP3U1が好ましく用いられる。例
えば脾臓細胞と骨髄腫細胞との好ましい比率は1:1〜
10:1で、これに分子量1,000〜9,000のPE
Gが10〜80%の濃度で添加され、20〜37℃、好
ましくは30〜37℃で3〜10分インキュベートする
のが良い。抗APBマウスモノクローナル抗体産生ハイ
ブリドーマのスクリーニングには種々の方法が使用でき
る。例えば、ヒト血清アルブミン(以下、HSAと略記
することがある)を結合させたAPBをマイクロプレー
トに吸着させ、固相化抗原を作製する。次いでハイブリ
ドーマ培養上清をこれらの抗原感作マイクロプレートに
添加し、プレートに結合した抗APB特異抗体を西洋ワ
サビ・ペルオキシダーゼ(以下、HRPと略記すること
がある)標識した抗マウス免疫グロブリン抗体により検
出する酵素免疫測定法(以下、EIAと略記することが
ある)により培養上清中の抗体価を測定する。HAT(ヒ
ポキサンチン・アミノプテリン・チミジン)添加培地で
選別、育種された抗体活性陽性のハイブリドーマは直ち
にクローニングに供されるが、通常これは限界希釈法な
どで容易に実施される。クローン化されたハイブリドー
マ培養上清の抗体価を上記の方法で測定し、安定的に力
価の高い抗体を産生するハイブリドーマを選択し、目的
とするモノクローナルな抗APB特異抗体産生ハイブリ
ドーマを取得することができる。以上のような製造法に
従って作製した抗APBマウスモノクローナル抗体(Ig
1,κ鎖)産生ハイブリドーマの例として、後述の実施
例1に示したマウスハイブリドーマATB1−114が
挙げられる。一方、原料の一つである抗真菌モノクロー
ナル抗体産生ハイブリドーマは下記の方法で作製され
る。
【0009】標的とする真菌の抗原としては、例えばカ
ンジダ症の病因菌である Candidaalbicans (以下、CA
と略記することがある)の加熱死菌やホルマリン処理死
菌そのもの、あるいはそれら死菌の細胞壁糖蛋白あるい
は多糖類(マンナン)が用いられる。後者のマンナン抗原
は公知の方法に従って精製され[ A. Cassone ら:ジャ
ーナル・オブ・メディカル・マイクロバイオロジー( J.
Med. Microbiol. ),27,233(1988)]、通常下
記の方法により調製される。1)菌体(CA)をオートクレ
ーブ処理し(120℃,90分)遠心分離後、 上清液にフ
ェーリング液を添加する。 2)得られた沈殿を遠心分離操
作により、採取後、 塩酸を加えて溶解しメタノール酢酸
混液に添加する。 3)遠心分離後、沈渣にメタノールを加
え洗浄する。 さらに遠心分離し沈渣に少量のエーテルを
加えて室温で風乾する。 マウスへの免疫操作において
は、例えば加熱死菌あるいはホルマリン処理死菌の場
合、一回に10〜108個/匹, 好ましくは0.5〜2
×107個をリン酸食塩緩衝液(以下、 PBSと略記する
ことがある)に懸濁して、2〜3週毎に3〜8回接種す
る方法が取られる。マンナン抗原の免疫は前述したAP
B−キャリア蛋白複合体の場合と同様にして実施され
る。以下、これらの免疫動物から採取した抗体産生細胞
と骨髄腫細胞との融合操作は、APBについて述べた方
法と同様にして実施できる。
【0010】抗真菌モノクローナル抗体産生ハイブリド
ーマのスクリーニングには種々の方法が使用できる。例
えば、加熱死菌あるいはホルマリン処理死菌をマイクロ
プレートに播き45℃で乾燥後、ホルマリンで固定した
ものを固相抗原として用いる。あるいは前述の方法で得
られたマンナン抗原を10〜100μg/mlの濃度でマ
イクロプレートに感作し抗原固相を得る方法も用いられ
る。以上のようにして作製された抗原感作マイクロプレ
ートにハイブリドーマ培養上清を添加し、プレートに結
合した抗真菌抗体をHRP標識第2抗体で検出するEI
Aにより培養上清中の抗体価を測定する。抗体活性陽性
のハイブリドーマは直ちに前述の方法によりクローニン
グに供され、真菌に結合能を有するモノクローナル抗体
産生ハイブリドーマを取得することができる。以上のよ
うな製造法に従って作製した抗真菌マウスモノクローナ
ル抗体(IgG1,κ鎖)産生ハイブリドーマの例として、
後述の実施例2に示したマウスハイブリドーマCA3−
2−12が挙げられる。
【0011】本発明の二重特異性を有するハイブリッド
MoAbを作製するにはいくつかの方法がある。 1つは化
学的な方法で、この場合抗真菌特異MoAbと抗真菌剤に
対するMoAbを共有結合させる。また別法として、抗真
菌特異MoAbおよび抗真菌剤に対するMoAbをそれぞれ
産生する2種のハイブリドーマを細胞融合し、ハイブリ
ッド・ハイブリドーマ(例、テトラオーマなど)を作製し
目的の二重特異性抗体を作製する方法がある。一定した
高い品質の抗体を大量に収率良く得る手段としては後者
のハイブリッド・ハイブリドーマ法が好ましく用いられ
る。2種のMoAbを化学的に結合させるために、抗体分
子中に存在している置換基、例えばアミノ基、カルボキ
シル基、ヒドロキシル基またはスルフヒドリル基などを
利用することができる。例えば、(1)一方の抗体の反応
性アミノ基と他方の反応性カルボキシル基とを水溶性カ
ルボジイミド試薬〔例、1−エチル−3−(3−ジメチ
ルアミノプロピル)−カルボジイミド,1−シクロヘキシ
ル−3−(2− モルホリノエチル)−カルボジイミド−p
−トルエンスルホネートなど〕を用いて水性溶媒中で脱
水縮合させる、(2)一方の抗体の反応性アミノ基をN−
ヒドロキ シスクシミドの活性エステル〔例、p−マレイ
ミドメチルシクロヘキサン−1− カルボキシル−N−
ヒドロキシスクシミドエステル,N−(ε−マレイミドカ
プロイロキシ)スクシミドエステルなど〕と反応させマ
レイミド化したのち、i)他方の抗体をジチオスレイト
ール(以下、DTTと略記することがある)で還元した抗
体、あるいはii)他方の抗体にN−スクシミジル−3−
(2−ピリジルジチオ)プ ロピオネート(以下、SPDP
と略記することがある)でスルフヒドリル基を導入した
抗体、あるいはiii)他方の抗体をペプシン処理後還元し
て得られるFab′画分のスルフヒドリル基とチオエーテ
ル結合させる、 (3)2種の抗体双方の反応性 アミノ基を
スクシンジアルデヒドやグルタルアルデヒドなどのジア
ルデヒド試薬を用いて結合させる、(4)2種の抗体をD
TTで還元あるいはSPDPでスルフ ヒドリル基を導
入し、再酸化によりヘテロダイマーを作製する、(5)2
種の抗体 をいずれもペプシン処理後還元し、Fab′とし
たのち再酸化しFab′ヘテロダイ マーを作製する、な
どの方法がある。またこれらの方法を種々組み合わせ
て、 2種の抗体活性をできるだけ損なわずに効率良く目
的のヘテロダイメリックな二重特異性抗体を作製する報
告があり〔 M. J. Glennie ら:ジャーナル・オブ・イ
ムノロジー( J. Immunol. ),139,2367(198
7);北川常広:有機合成 化学,42,283(198
4)〕、 本発明の二重特異性ハイブリッドMoAbの作製
に利用できる。以上のような結合反応終了後、二重特異
性抗体結合物はセファデックスG100もしくはG20
0,セファロース6Bもしくは4B、ウルトロゲル Ac
A44もしくは34,セファクリルS200などのゲル
濾過クロマトグラフィーにより精製または分取できる。
あるいは抗原結合カラムを用いるアフィニティークロマ
トグラフィーを組み合わせることにより選択的な分取も
可能である。
【0012】本発明の二重特異性を有するハイブリッド
モノクローナル抗体を産生するハイブリッドハイブリド
ーマの作製にはいくつかの手法があり〔 例、新本洋士
ら:蛋白質・核酸・酵素,33,217(1988)な
ど〕、 いずれの方法を用いてもよいが例えば、 前記し
たHAT抵抗性の抗真菌剤に対するMoAbを産生するハ
イブリドーマを、5−ブロモデオキシウリジン(以下、
BrdUと略記することがある)添加の培養液に段階的に
馴化させ、チミジンキナーゼ欠損株をクローン化しHA
T感受性とする。同様にHAT抵抗性の抗真菌特異Mo
Ab産生ハイブリドーマを8−アザグアニン(以下、AZ
Gと略記することがある)耐性とし、 ヒポキサンチン−
グアニン−ホスホリボシルトランスフェラーゼ欠損株を
クローン化しHAT感受性とする。次いで常法に従い両
者を融合して得られるテトラオーマをHAT添加培地で
選別後、真菌および抗真菌剤の両者に結合能を有するハ
イブリッドMoAbを分泌するテトラオーマをクローン化
する、抗真菌特異MoAb産生ハイブリドーマをフルオ
レセイン・イソチオシアネート(以下、FITCと略記
することがある)で標識し、もう一方の抗真菌剤に対す
るMoAbを産生するハイブリドーマをテトラメチル・ロ
ダミン・イソチオシアネート(以下、TRITCと略記
することがある)で標識後、常法に従い両者を融合す
る。得られた細胞懸濁液をフルオレセイン・アクティベ
イティッド・セルソーター(以下、FACSと略記する
ことがある)に供し、FITCの緑色およびTRITC
の赤色の蛍光を同時に有するテトラオーマを選別しクロ
ーン化するなどの方法が挙げられる。また両親株のマー
カーを全く逆にして使用し、テトラオーマを選別しクロ
ーン化することも可能である。これらの操作における細
胞融合に当ってはセンダイウイルス、PEGなどの融合
促進剤やあるいは電気刺激などの方法が用いられる。好
ましくはPEGが用いられ、以下にその一例を挙げる
が、もちろんこの方法に限定されるものではない。すな
わち、分子量約1,000〜9,000、濃度約10〜8
0%等のPEGが用いられ、処理時間は約0.5〜30
分であるが、好ましい条件の一例として、約35〜55
%のPEG6,000を約4〜10分間、37℃で細胞
と接触させ、効率よく融合させることができる。
【0013】ポリドーマ(例、テトラオーマなど)の選択
は、上記のHAT添加培地などで実施できるが、このた
め8−AZG、6−チオグアニン(6−TG)あるいは5
−BrdUなどの薬剤馴化法により、それぞれの薬物耐性
株が取得される。また新しいマーカーの融合細胞への導
入により、種々の選択培地が用いられる。このような例
として、ネオマイシンやハイグロマイシンB添加培地な
どが挙げられる〔 B.Sugden ら:モレキュラー・アンド
・セルラー・バイオロジー( Mol. Cell. Biol. ),,4
10(1985)〕。さらに前記したように、異った蛍光
色素で標識したハイブリドーマを融合し、FACSで二
重標識されたハイブリッド・ハイブリドーマをソーティ
ングする方法もある〔 L. Karawajew ら:ジャーナル・
オブ・イムノロジカル・メソッズ(J.Immunol. Methods
),96,265(1987)〕。ハイブリッドMoAb産生
ポリドーマのスクリーニングには種々の方法が使用でき
る。例えば、1)前述した抗真菌特異モノクローナル抗体
産生ハイブリドーマと抗真菌剤に対するモノクローナル
抗体を産生するハイブリドーマのスクリーニングのため
のEIAの併用、2)真菌あるいは真菌由来の糖蛋白また
は多糖類を結合したマイクロプレートに被検培養上清を
添加し、次にHRP標識した抗真菌剤−HSA複合体を
加えて二重特異性を有するハイブリッドモノクローナル
抗体検出のためのEIA、あるいは抗真菌特異マウスモ
ノクローナル抗体と異なるサブクラスに属する抗真菌剤
に対するマウスモノクローナル抗体を用いる場合は、3)
真菌あるいは真菌由来の糖蛋白または多糖類結合マイク
ロプレートに被検培養上清を添加し、次にHRP標識し
た該抗マウスIgGサブクラス特異抗体を加えて二重特
異性モノクローナル抗体を検出するEIA、およびこれ
らの変法などを適宜組み合せて用いることができる。
【0014】ハイブリッドMoAb活性陽性のポリドーマ
は直ちにクローニングに供されるが、これは通常限界希
釈法などで容易に実施される。クローン化されたポリド
ーマの培養上清については、上記の方法でその抗体価を
測定し、安定的に力価の高い抗体を産生するポリドーマ
を選択することにより、目的とするモノクローナルなハ
イブリッドMoAb産生ポリドーマを取得することができ
る。上記した本発明のポリドーマの培養は通常、液体培
地中、または動物の腹腔内(例えば、マウス等哺乳動物
の腹腔内)で公知の方法により実施できる。培養液およ
び腹水中の抗体の精製については公知の生化学的手法を
組み合わせて用いることによりできる。例えば、細胞培
養液もしくは腹水を遠心分離し、上清を取り出し、塩析
(通常は硫酸アンモニウムもしくは硫酸ナトリウムを用
いる)を実施する。得られたタンパク沈殿物を適当な溶
液に溶解し、透析後カラムクロマトグラフィー(イオン
交換カラム、ゲルろ過カラム、プロテインAカラム、ヒ
ドロキシアパタイトカラム等)に付し、目的とする抗体
を分離精製することができる。以上のような分離精製操
作により、例えば1リットルの培養上清からタンパク重
量比で80%以上の純度のハイブリッドMoAbを約1〜
5mg得ることができる。 また、 20mlの腹水液からは同
様の抗体が3〜10mg得られる。以上のようにして得ら
れた二重特異性を有するハイブリッドMoAbは蛋白質と
して均一であり、公知免疫グロブリン製剤と同様哺乳動
物に安全に投与することができる。また、蛋白分解酵素
(ペプシンなど)処理などにより、真菌および抗真菌剤に
対する結合能を保持するF(ab′)2断片などを得ること
ができ、これらは本発明のハイブリッドMoAbと同様の
目的で用いることができる。以上のような製造法に従っ
て作製したハイブリッド抗体産生ポリドーマの例とし
て、後述の実施例3に示したテトラオーマACT1−
1.18が挙げられる。なお、本発明のハイブリッドMo
Abを産生するポリドーマとして、抗真菌特異MoAb産
生ハイブリドーマと抗真菌剤に対するMoAbを産生する
ハイブリドーマとのテトラオーマの例を挙げたが、一方
のMoAbを産生するハイブリドーマと他方のMoAbを産
生する細胞とのトリオーマあるいはそれぞれのMoAbを
産生する細胞をエプスタイン・バー・ウイルスなどによ
り不滅化後、細胞融合して得られるハイブリドーマなど
であっても、本発明のハイブリッドMoAbを産生するも
のであれば、上記テトラオーマと同様の目的で用いるこ
とができる。また、これらのポリドーマがマウスIgG
MoAbを産生する場合には、該二重特異性ハイブリッ
ドMoAbの抗原認識部位を含む可変領域あるいは超可変
領域をコードするDNAを取得し、これに遺伝子操作技
術〔 Z. Steplewski ら:プロシーディングス・オブ・
ナショナル・アカデミー・サイエンス・ユーエスエー(
Proc. Natl. Acad. Sci. USA),85,4852(19
88)〕を用いてヒトIgGの定常領域,さらにはフレー
ム・ワーク領域をコードする遺伝子を結合させ、マウス
−ヒトキメラ抗体あるいはヒト型化抗体を作製すること
もできる。かかるキメラ抗体はヒトへの投与に際し、抗
原性が小さいため有利に用いられる。
【0015】本発明の二重特異性ハイブリッドMoAbあ
るいは抗真菌剤と該二重特異性ハイブリッドMoAbとか
ら作製される選択的な抗真菌免疫複合体を用いる真菌症
治療法においては、幾つかの方法が用いられる。例え
ば、1)本発明のハイブリッドMoAbを予め真菌症患者
に投与し、 患者体内で増殖する真菌に結合させるべく十
分な時間経過後に、抗真菌剤、(例えばAPB)を投与す
る、 2)該ハイブリッドMoAbと抗真菌剤とを同時に真菌
症患者に投与する。あるいは、 3)予め該ハイブリッド
MoAbと抗真菌剤とを反応させ未反応の抗真菌剤を分離
後、得られた選択的抗真菌免疫複合体を真菌症患者に投
与する、 などの方法が挙げられる。さらに、本発明の抗
真菌免疫複合体は2種以上(例えば、抗真菌抗APBハ
イブリッドMoAb−APB免疫複合体と抗真菌抗フルサ
イトシンハイブリッドMoAb−フルサイトシン免疫複合
体)を組み合わせて用いてもよく、また1種または2種
以上の毒性の低い抗真菌剤(例、フルサイトシンなど)と
本発明の抗真菌免疫複合体とを併用してもよい。本発明
のハイブリッドMoAbを含む抗真菌免疫複合体は、必要
により公知の方法例えばメンブレンフィルター等による
ろ過除菌操作の後に、それ自体あるいは適宜の薬理学的
に許容され得る担体,賦形剤,希釈剤などと混合し、注射
剤などとして製剤化して、哺乳動物(例、マウス,ラッ
ト,ネコ,ウサギ,イヌ,ブタ,ウマ,ウシ,サル,ヒトなど)
に投与し、例えばカンジダ症,クリプトコッカス症,アス
ペルギルス症あるいはムーコル症(好ましくは、カンジ
ダ症)などの治療に用いることができる。
【0016】本発明の抗真菌免疫複合体の投与量は、対
象となる疾患,症状あるいは投与ルートなどによって異
なるが、例えばカンジダ症の成人患者に静脈投与する場
合、ハイブリッドMoAbとして1日当り約1〜100mg
/kg,好ましくは約2〜30mg/ kg、抗真菌剤として1
日当りAPBでは約0.02〜1.5mg/kg,好ましくは
約0.04〜0.5mg/kgとなるように投与するのがよ
い。以上のようにして用いることにより本発明の抗真菌
免疫複合体は、標的真菌に対して特異的に結合可能で、
また抗真菌剤、特にAPBのような強い毒性を有する化
合物の副作用を、それと反応するハイブリッド抗体との
免疫結合により中和し、効率的に真菌を溶解または除去
できる、きわめて優れた真菌特異性を持つ真菌治療薬を
提供する。このようにAPBの持つ強力な抗真菌活性が
標的部位に特異的に発揮され、しかも標的部位到達以前
においては完全にその毒性が中和されていることは、従
来の化学療法剤と比べて際だった特性である。より少な
い投与量でより大きな治療効果を挙げることができるた
め従来は毒性が非常に強いため、十分な有効量を用い得
なかった抗真菌剤を、本発明のハイブリッドMoAbと併
用することにより、その毒性を大幅に軽減し、かつ該抗
真菌剤による選択的な真菌傷害が可能となる。
【0017】
【実施例】以下に参考例・実施例により本発明を具体的
に説明するが、これらが本発明の範囲を制限するもので
ないことは言うまでもない。なお、参考例および実施例
で用いられている動物細胞は、以下の〔表1〕に示すよ
うに寄託が行なわれている。
【表1】 ──────────────────────────── 動 物 細 胞 (IFO) (FRI) IFO No. FERM No. ──────────────────────────── マウスハイブリドーマ ATB1−114 50253 3069 マウスハイブリドーマ CA3−2−12 50252 3070 マウスハイブリッドハイブリドーマ ACT1−1.18 50343 12365 ──────────────────────────── IFO:財団法人発酵研究所(大阪) FRI:通商産業省工業技術院 微生物工業技術研究所
【0018】参考例1 抗アムホテリシンB抗体測定用
EIA (1)固相抗原の調製 N−(γ−マレイミドブチリルオキシサクシニミド)(以
下、GMBSと略記することがある)でマレイミド化し
たAPBを、予めSPDPとDTTとで修飾還元したH
SAに添加し、APB−HSA複合体を作製した。HS
A1モル当り7.6個のAPB分子が導入された。セフ
ァデックスG−25カラムで未反応のAPBおよび反応
試薬を除去し、次いでこの蛋白複合体50μg/mlを96
穴マイクロプレートに100μl/ウエルの割合で添加
し固相抗原を調製した。 (2)アッセイ法 被検マウスハイブリドーマ培養上清100μlを上記の
抗原感作プレートに添加し、室温で2時間反応させた。
0.05%Tween 20含有20mMリン酸食塩緩衝液(pH
7.3;以下,PBS−Twと略記号する)でプレートを十
分に洗浄後、HRP標識ウサギ抗マウスIgG抗体を添
加し、さらに室温で2時間反応させた。洗浄後、酵素基
質としてオルソーフェニレンジアミンおよびH22を含
有する0.1Mクエン酸緩衝液を各ウエルに加え、室温
で酵素反応を実施した。1N硫酸で反応停止後、マルチ
スキャン(フロー社製)を用いて波長492nmで発色色素
量を測定した。
【0019】参考例2 抗真菌抗体測定用EIA (1)固相抗原の調製 CAの菌体をオートクレーブ処理(120℃, 90分)
後、上清液にフエーリング液を攪拌しながら添加した。
得られた沈渣に3N−塩酸を加えて溶解後、メタノール
−酢酸(8:1)混液に滴下した。遠心分離後、沈渣をメ
タノールで数回洗浄し、さらにエーテルを少量加えてメ
タノールを除去し室温で感作することにより、CA細胞
壁由来マンナン抗原を取得した。このマンナン抗原液1
00μg/mlを96穴マイクロプレートに100μl/ウ
エルの割合で添加し固相抗原を調製した。 (2)アッセイ法 参考例1−(2)に記載の方法に従い実施した。
【0020】参考例3 抗APB−抗真菌二重特異性抗
体測定用EIA (1)標識抗原の調製 参考例1−(1)で作製したAPB−
HSA複合体をビオチン活性化エステル(ベクター社製)
を用いてビオチン化し、EIAに供した。 (2)アッセイ法 参考例2−(1)で作製したマンナン抗原感作マ イクロプ
レートに二重特異性抗体含有検液100μlを添加し、
室温で2時間反応させた。PBS−Twでプレートを洗
浄後、(1)で作製したビオチン化APB−HSA複合体
を添加し室温で1時間反応させた。さらにPBS−Tw
でプレートを十分に洗浄後、アビジン標識HRPを添加
し、室温で1時間反応させた。固相に結合した酵素活性
を参考例1−(2)に記載の方法で測定した。
【0021】参考例4 マンナン・カラムの作製 参考例2−(1)で調製したマンナン抗原を過ヨウ素酸ナ
トリウムで酸化・開裂し、生じたアルデヒド基をEAH
−セファロース4B(ファルマシア社製)のアミノ基と
反応・結合させた。次いでシアノ化ホウ素ナトリウムで
還元し、マンナン結合セファロースを作製した。
【0022】実施例1 マウス抗APB抗体産生ハイブ
リドーマの作製 (1)免疫原の調製 GMBSでマレイミド化したAPB 1.8mgを、予めS
PDPとDTTとでスルフヒドリル化したBSA 10m
gに加え、 5℃で一夜反応させた。セファデックスG−
25カラムで精製後、APB結合量を紫外吸収法で測定
したところ、BSA 1モル当り6.8個のAPB分子が
導入された。 (2)免 疫 APB−BSA複合体1mg/ml生理食塩水溶液に等量の
フロイント完全アジュバントを加え、マウス(0.1mg/
0.2ml/マウス)の背部および腹部皮下への免疫を開始
した。追加免疫は免疫原に等量のフロイント不完全アジ
ュバントを加えて、2−3週毎に4回接種し実施した。
4回の追加免疫10日後に、参考例1に記載のEIAで
最大の血清抗体価を示した個体について、同じAPB−
BSA複合体(200μg/0.1ml生理食塩水/マウス)
を静脈内投与した。 (3)細胞融合 最終免疫後3日で脾臓を摘出し、脾臓細胞懸濁液を常法
により調製した(約108個)。次いでマウス骨髄腫細胞
(P3U1)2×107個を添加し、PEG6000を用
いてケーラーとミルスタインの方法[ネーチャー(Natur
e),256,495(1975)]に準じて細胞融合に供し
た。融合終了後、細胞混液をヒポキサンチン・アミノプ
テリンおよびチミジンを含む、いわゆるHAT培地中に
懸濁し、10日間培養した。以後は、親細胞の選択が終
了次第、HAT培地からアミノプテリンを除いたHT培
地に代え培養を続けた。 (4)ハイブリドーマの選択およびクローニング 細胞増殖の見られたウエルについてハイブリドーマ培養
上清を採取し、参考例1に記載のEIAで抗体価を測定
した。特に結合能の強い抗体を産生するハイブリドーマ
について限界希釈法によるクローニングを実施し、抗A
PBモノクローナル抗体産生マウスハイブリドーマAT
B1−114を得た。本ハイブリドーマの産生する抗体
のサブクラスはIgG1(κ鎖)であった。 (5)抗体の精製 予め0.5ml鉱油を腹腔内投与したハイブリッド・ヌー
ドマウス(Jcl:AF−nu)に107個/匹のマウスハイ
ブリドーマATB1−114を腹腔内投与した。約10
−20日後に腹水の貯溜が見られたのでそれを採取し、
45%飽和硫酸アンモニウムで塩析してIgG画分を得
た。PBS(pH7.5)で透析後、プロテインAカラムに
供し、pH2.9のグリシン・塩酸緩衝液で溶出し精製抗
体を得た。腹水10mlより約34mgの抗APB特異マウ
スMoAb ATB1−114を取得した。 (6)抗体の性状(1) 上記(4)で取得したマウスハイブリドーマATB1−1
14の培養上清を参考例1に記載のEIAに供し、抗体
希釈曲線を作製した。得られた結果は図1に示した通り
であった。その結果、抗体ATB1−114は3,00
0倍以上に希釈した低抗体濃度においてもAPBに対す
る強い結合能を示した。 (7)抗体の性状(2) 上記(4)で取得したマウスハイブリドーマATB1−1
14の培養上清を遊離のAPB(25μg/ml)と室温で
1時間反応させ、次いでその混液を参考例1に記載のE
IAに供した。得られた結果は図1に示した通りであっ
た。その結果、遊離のAPBによる競合的結合阻害が見
られ、上記の抗体ATB1−114がAPBに特異的で
あることが示された。
【0023】実施例2 抗真菌抗体産生ハイブリドーマ
の作製 (1)免疫原の調製 免疫原として加熱死菌およびマンナン抗原の2種の抗原
を用いた。加熱死菌はCAの菌体を100℃で2時間処
理後、生理食塩水で洗浄することにより作製した。マン
ナン抗原は参考例2−(1)に示した方法で作製した。 (2)免 疫 加熱死菌108個/mlPBS懸濁液に等量のフロイント
完全アジュバントを加えて、マウス(107個/0.2ml
/マウス)の背部および腹部皮下に免疫した。3週間後
に同量の加熱死菌をフロイント不完全アジュバントと共
に免疫した。次いで2週間隔で、等量のフロイント不完
全アジュバントに懸濁したマンナン抗原(100μg/
0.2ml/マウス)を2−3回免疫した。10日後に、参
考例2に示し たEIAで最大の血清抗体価を示した個
体について、同じマンナン抗原液(10 0μg/0.1ml
/マウス)を静脈内投与した。 (3)細胞融合 実施例1−(3)に記載の方法に従い実施した。 (4)ハイブリドーマの選択およびクローニング 参考例2に記載のEIAによりハイブリドーマ培養上清
の抗体価を測定し、抗体陽性ウエルを実施例1−(4)に
記載の方法に従いクローニングに供した。その結果、 マ
ンナン抗原およびCA菌体に強い結合能を示す抗真菌抗
体産生マウスハイブリドーマCA3−2−12を得た。
本ハイブリドーマにより産生される抗体のサブクラスは
IgG1(κ鎖)であった。 (5)抗体の精製 実施例1−(5)に記載の方法に従い、ハイブリッド・ヌ
ードマウスを用いて腹水化した。さらにプロテインAカ
ラムにより抗体IgG画分を得た。腹水10mlより約29
mgの抗真菌特異MoAb CA3−2−12を取得した。 (6)抗体の性状(1) 上記(4)で取得したマウスハイブリドーマCA3−2−
12の培養上清を、参考例2に記載のEIAに供し抗体
希釈曲線を作製した。得られた結果は図2に示した通り
であった。その結果、マンナン抗原への強い結合能を有
することが示された。 (7)抗体の性状(2) 上記(6)に記載のハイブリドーマ培養上清に3×106
5×107個/mlの加熱死菌を添加し室温で1時間反応
させた。遠心分離後、その上清を参考例2に記載のEI
Aに供した。得られた結果は図3に示した通りであっ
た。その結果、菌体による抗体の吸収が見られ、上記の
抗真菌抗体が菌体表面の細胞壁マンナン抗原に対するも
のであることが示された。 (8)抗体の性状(3) 上記(6)に記載のハイブリドーマ培養上清に107個/ml
のCA菌体懸濁液を添加し、37℃で90分間反応させ
た。遠心分離操作により菌体を洗浄後、FITC標識ウ
サギ抗マウスIgG抗体を添加し4℃で60分間反応さ
せた。再び菌体を洗浄後、PBSに懸濁しFACSによ
り解析した。得られた結果は図4に示した通りであっ
た。その結果、新鮮培地および抗APB抗体産生マウス
ハイブリドーマATB1−114培養上清ではCA菌体
は全く蛍光染色されないが、抗真菌抗体産生マウスハイ
ブリドーマCA3−2−12培養上清では菌体表面が強
く蛍光染色され、菌体表面細胞壁に強く結合している抗
体が存在することが示された。
【0024】実施例3 抗APB−抗真菌二重特異性を
有するハイブリッド・モノクローナル抗体の製造(1) (1)細胞融合 実施例2で取得した抗真菌抗体産生マウスハイブリドー
マCA3−2−12および実施例1で取得した抗APB
抗体産生マウスハイブリドーマATB1−114を、そ
れぞれ0.5μg/mlFITCおよび1.5μg/mlTRI
TC含有イスコフ−ハムF12混合培地で37℃,30
分間インキュベートし、蛍光染色する。次いで、LSM
溶液(和光純薬工業K.K.販売)を添加し死細胞を除去
したのち、両ハイブリドーマを1:1の割合で混ぜ、P
EG6000を用いて細胞融合する。37℃で2時間イ
ンキュベート後、FACSに供することによりフルオレ
セインおよびローダミンで二重染色された細胞25,0
00個を分取し、次にフィーダーとしてマウス胸腺細胞
を5×105個/ウエル播種した96穴マイクロプレー
トに、上記の二重染色細胞を10個/ウエルの割合で播
種し培養する。 (2)ハイブリッド・ハイブリドーマの選択およびクロー
ニング 融合後1−2週で細胞増殖のみられたウエルの培養上清
を参考例1および2に記載のEIA,さらに参考例3に
記載の二重特異性抗体測定用EIAに供して抗体活性を
測定する。高いハイブリッド抗体活性を示したウエルに
ついて限界希釈法によるクローニングを実施し、目的の
二重特異性抗体産生テトラオーマを取得する。このよう
にして得られた二重特異性抗体産生マウスハイブリッド
ハイブリドーマACT1−1.18により産生される二
重特異性抗体のサブクラスは、IgG1(κ鎖)であっ
た。 (3)ハイブリッド抗体の精製(1) 予め0.5ml鉱油を腹腔内投与したハイブリッド・ヌー
ドマウスに107個/マウスのテトラオーマを腹腔内接
種する。約17−23日後に腹水の貯溜がみられるので
それを採取し、45−50%飽和硫酸アンモニウムで塩
析してIgG画分を得る。PBS(pH7.5)で透析後、
SPB−HSA結合セルロファインカラムに供し、pH
2.9の0.2Mグリシン・塩酸緩衝液で溶出する。酸溶
出画分をPBSで透析後、さらにヒドロキシ・アパタイ
トカラムを用いる高速液体クロマトグラフィーにより本
発明の抗APB−抗真菌二重特異性を有するハイブリッ
ド抗体を取得する。 (4)ハイブリッド抗体の精製(2) (3)と同様の方法により得られたIgG画分をPBS(pH
7.5)で透析後、参考例4で作製したマンナン結合セフ
ァロースカラムに供しPBSで十分に洗浄後、MAPS
−II溶出緩衝液(バイオラッド社製)で溶出した。溶出
画分をPBSで透析後、さらにDEAE−5PWカラム
〔7.5×75mm;トーソー(株)〕を用いる高速液体ク
ロマトグラフィーにより本発明の抗APB−抗真菌二重
特異性抗体ACT1−1.18を取得した。得られた結
果は〔図6〕に示した通りであった。参考例3に示した
方法で二重特異性抗体活性を示す単一のピークが得られ
た(図6−(C)参照)。腹水20mlより約12mgのハ
イブリッド抗体を取得した。 (5)ハイブリッド抗体の性状(1) 上記(4)に記載の精製ハイブリッド抗体ACT1−1.1
8に、107個/mlのホルマリン処理病原性酵母菌体懸
濁液を添加し、37℃で1時間反応させた。遠心分離操
作により菌体を洗浄後、実施例2−(8)の要領でハイブ
リッド抗体の反応性をFACSを用いて解析した。得ら
れた結果は図7〜14に示した通りであった。その結
果、ハイブリッド抗体ACT1−1.18は2種の Cand
ida albicans TAおよびCaNにはいずれも強く反応
するが、他の Candida5種には反応しなかった。また、
Cryptococcus neoformans に対してはわずかに反応性
を示した。 (6)ハイブリッド抗体の性状(2) ハイブリッド抗体ACT1−1.18のAPBに対する
毒性中和能を測定するため、APB溶血反応を利用した
〔吉岡史郎ら:真菌誌,29,127(1988)〕。
すなわち、各種濃度のAPBに洗浄ヒト赤血球3×10
6個を添加し37℃で10分間インキュベートした。遠
心分離後、上清液のヘモグロビン濃度を540nmで測定
した。得られた結果は図15に示した通りであった。A
PBは20ug/ml以上の濃度で強い溶血活性を示した。
次にAPB60ug/mlに種々の濃度の精製ハイブリッド
抗体ACT1−1.18を添加し、37℃で30分間イ
ンキュベートした。次いで洗浄ヒト赤血球3×106
を添加し、上記と同じ要領で溶血反応を実施し、上清に
遊離したヘモグロビン濃度を測定した。結果は図16に
示した通りであった。抗体1−2mg/mlで60ug/mlの
APBを完全に中和した。この結果から、本発明のハイ
ブリッド抗体が強い毒性中和能を有することが分かっ
た。 (7)ハイブリッド抗体の性状(3) CDF1マウス(♀:18−22g)に Candida albic
ans TA 8×LD50単位(LD50:50%致死量)の
0.2ml生理食塩水懸濁液を静脈注射した。感染2日後
にAPB(40ug/ml)もしくはAPB/二重特異性抗
体免疫複合体(モル比1:1、APBとして40ug/m
l)の生理食塩水溶液0.5mlを腹腔内投与し、生存率を
30日まで経過観察した。1群5匹のマウスを用いて得
られた結果は図17に示した通りであった。APB単剤
投与群においても薬剤非投与群よりも生存日数の延長が
見られたが、免疫複合体投与群ではさらにその改善が観
察された。
【0025】実施例4 抗APB−抗真菌二重特異性を
有するハイブリッド・モノクローナル抗体の製造(2) (1)抗APB抗体のマレイミド化 実施例1で取得した抗APB抗体ATB1−114 1
0mgを5mM酢酸緩衝液(pH5.0)2mlに溶解後、2倍
モルのN−(ε−マレイミドカプロイロキシ)スクシミド
エステルのジメチルホルムアミド溶液50μlを添加し
30℃で20分間反応させた。反応混液を0.1Mリン
酸緩衝液 (pH6.5)で平衡化したセファデックスG−
25カラムに供し結合試薬を除去した。 (2)抗真菌抗体のスルフヒドリル化 実施例2で取得した抗真菌抗体CA3−2−12 10
mgを2mlの0.05MPBS(pH7.3)に溶解後、2倍
モルのSPDPメタノール溶液50μlを添加した。3
0℃で30分間反応後、0.1M DTT水溶液50μl
を添加し還元後、 (1)に記載のセファデックスG−25
カラムに供して過剰の試薬を除去した。 (3)二重特異性抗体の作製 (1)で得たマレイミド化抗APB抗体8mgに、(2)で作製
したスルフヒドリル化抗真菌8mgを氷冷下攪拌しながら
ゆっくりと添加し、 一夜反応させた。 反応混液をセファ
クリルS−200カラムに供し、未反応の抗体を化学結
合二重特異性抗体から分離除去した結果、約7mgの抗A
PB−抗真菌二重特異性ハイブリッド抗体を取得した。 (4)二重特異性抗体の結合能 (3)で作製した二重特異性抗体を参考例3に記載のEI
Aに供し抗体希釈曲線を作製した。結果は図5に示した
通りであった。その結果、固相のマンナン抗原および液
相のAPB抗原の両者に強い結合能を示した。
【0026】
【図面の簡単な説明】
【図1】は実施例1で作製した抗APB抗体産生マウス
ハイブリドーマATB1−114の培養上清を参考例1
に記載のEIAに供して得た抗体希釈曲線(○)及び該培
養上清を予め遊離のAPB(25μg/ml)と反応させた
のち、EIAに供して得た結果(●)を示す。
【図2】は実施例2で作製した抗真菌抗体産生マウスハ
イブリドーマCA3−2−12の培養上清を参考例2に
記載のEIAに供して得た抗体希釈曲線を示す。
【図3】は実施例2で作製した抗真菌抗体産生マウスハ
イブリドーマCA3−2−12の培養上清50倍希釈液
にCA菌体の加熱死菌を添加して室温で1時間反応後、
その上清を参考例2に記載のEIAに供して得た結果を
示す。
【図4】新鮮培地、実施例1で作製した抗APB抗体産
生マウスハイブリドーマATB1−114の培養上清ま
たは実施例2で作製した抗真菌抗体産生マウスハイブリ
ドーマCA3−2−12の培養上清に107個/mlのC
A菌体の加熱死菌を添加して37℃で90分反応後、さ
らにFITC標識第2抗体を結合させFACSにより解
析した結果を示す。
【図5】実施例4で作製した二重特異性抗体を参考例3
に記載のEIAに供して得た抗体希釈曲線を示す。
【図6】実施例3−(4)記載の抗APB−抗真菌二重特
異性抗体ACT1−1.18の精製結果を表す。すなわ
ち、ハイブリッド抗体ACT1−1.18を含有する腹
水液の塩析処理によりIgG画分を取得し、さらにマン
ナン結合カラムで精製したのちDEAE−カラムに供し
た結果を表す〔実施例3−(4)参照〕。
【図7】精製ハイブリッド抗体ACT1−1.18に Ca
ndida albicans TAホルマリン処理死菌を添加した反
応後、FITC標識第2抗体を結合させFACSにより
解析した結果を示す。
【図8】精製ハイブリッド抗体ACT1−1.18に Ca
ndida toropicalisホルマリン処理死菌を添加した反応
後、FITC標識第2抗体を結合させFACSにより解
析した結果を示す。
【図9】精製ハイブリッド抗体ACT1−1.18に Ca
ndida krusei ホルマリン処理死菌を添加した反応後、
FITC標識第2抗体を結合させFACSにより解析し
た結果を示す。
【図10】精製ハイブリッド抗体ACT1−1.18に
Candida glabratr ホルマリン処理死菌を添加した反応
後、FITC標識第2抗体を結合させFACSにより解
析した結果を示す。
【図11】精製ハイブリッド抗体ACT1−1.18に
Candida albicans CaNホルマリン処理死菌を添加し
た反応後、FITC標識第2抗体を結合させFACSに
より解析した結果を示す。
【図12】精製ハイブリッド抗体ACT1−1.18に
Candida parapsilosisホルマリン処理死菌を添加した反
応後、FITC標識第2抗体を結合させFACSにより
解析した結果を示す。
【図13】精製ハイブリッド抗体ACT1−1.18に
Candida guillermondii ホルマリン処理死菌を添加し
た反応後、FITC標識第2抗体を結合させFACSに
より解析した結果を示す。
【図14】精製ハイブリッド抗体ACT1−1.18に
Cryptococcus neoformans ホルマリン処理死菌を添加
した反応後、FITC標識第2抗体を結合させFACS
により解析した結果を示す。
【図15】APBのヒト赤血球に対する溶血活性を示す
〔実施例3−(6)〕。
【図16】実施例3−(4)に記載の精製ハイブリッド抗
体ACT1−1.18のAPB溶血活性に対する中和能
を示す〔実施例3−(7)参照〕。
【図17】実施例3−(4)に記載の精製ハイブリッド抗
体ACT1−1.18のAPB抗真菌活性に対する増強
能を示す。すなわち、APB/ACT1−1.18免疫
複合体投与群(●)を、薬剤非投与群(コントロール)
(○)およびAPB単剤投与群(□)と生存率において
比較した〔実施例3−(7)〕。
【0027】
【符合の説明】
(a)は新鮮培地の解析結果を示す。 (b)実施例1で作製した抗APB抗体産生マウスハイ
ブリドーマATB1−114の培養上清の解析結果を示
す。 (c)実施例2で作製した抗真菌抗体産生マウスハイブ
リドーマCA3−2−12の培養上清の解析結果を示
す。 (A)はマンナンカラムに供する前のIgG画分を示
す。 (B)はマンナンカラムの素通り画分を示す。 (C)はマンナンカラムの溶出画分の抗体溶出パターン
を示す〔実施例3−(4)参照〕を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 (C12P 21/08 C12R 1:91)

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】二重特異性を有するハイブリッド・モノク
    ローナル抗体であって、二重特異性の一方が真菌に対す
    るものであり、他方が抗真菌剤に対するものである抗
    体。
  2. 【請求項2】抗真菌剤がポリエン系抗生物質である請求
    項1記載の二重特異性抗体。
  3. 【請求項3】ポリエン系抗生物質がアムホテリシンB類
    である請求項2記載の二重特異性抗体。
  4. 【請求項4】請求項1記載の抗体に、抗真菌剤を免疫結
    合させてなる抗真菌免疫複合体。
  5. 【請求項5】抗真菌剤がポリエン系抗生物質である請求
    項4記載の抗真菌免疫複合体。
  6. 【請求項6】ポリエン系抗生物質がアムホテリシンB類
    である請求項5記載の抗真菌免疫複合体。
  7. 【請求項7】請求項1記載のハイブリッド・モノクロー
    ナル抗体を産生するポリドーマ。
JP19681091A 1990-08-20 1991-08-06 二重特異性抗体および抗体含有薬剤 Withdrawn JPH05199894A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP19681091A JPH05199894A (ja) 1990-08-20 1991-08-06 二重特異性抗体および抗体含有薬剤

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2-219629 1990-08-20
JP21962990 1990-08-20
JP19681091A JPH05199894A (ja) 1990-08-20 1991-08-06 二重特異性抗体および抗体含有薬剤

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH05199894A true JPH05199894A (ja) 1993-08-10

Family

ID=26509998

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP19681091A Withdrawn JPH05199894A (ja) 1990-08-20 1991-08-06 二重特異性抗体および抗体含有薬剤

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH05199894A (ja)

Cited By (16)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP2289944A2 (en) 2003-10-10 2011-03-02 Chugai Seiyaku Kabushiki Kaisha Bispecific antibody substituting for functional proteins
EP2311945A1 (en) 2003-10-14 2011-04-20 Chugai Seiyaku Kabushiki Kaisha Bispecific antibodies substituting for functional proteins
WO2015046554A1 (ja) 2013-09-30 2015-04-02 中外製薬株式会社 改変されたヘルパーファージを用いて抗原結合分子を作製する方法
US9334331B2 (en) 2010-11-17 2016-05-10 Chugai Seiyaku Kabushiki Kaisha Bispecific antibodies
US9670269B2 (en) 2006-03-31 2017-06-06 Chugai Seiyaku Kabushiki Kaisha Methods of modifying antibodies for purification of bispecific antibodies
US9828429B2 (en) 2007-09-26 2017-11-28 Chugai Seiyaku Kabushiki Kaisha Method of modifying isoelectric point of antibody via amino acid substitution in CDR
US9975966B2 (en) 2014-09-26 2018-05-22 Chugai Seiyaku Kabushiki Kaisha Cytotoxicity-inducing theraputic agent
US10011858B2 (en) 2005-03-31 2018-07-03 Chugai Seiyaku Kabushiki Kaisha Methods for producing polypeptides by regulating polypeptide association
US10759870B2 (en) 2017-09-29 2020-09-01 Chugai Seiyaku Kabushiki Kaisha Multispecific antigen-binding molecules having blood coagulation factor VIII (FVIII) cofactor function-substituting activity and pharmaceutical formulations containing such a molecule as an active ingredient
US11046784B2 (en) 2006-03-31 2021-06-29 Chugai Seiyaku Kabushiki Kaisha Methods for controlling blood pharmacokinetics of antibodies
US11124576B2 (en) 2013-09-27 2021-09-21 Chungai Seiyaku Kabushiki Kaisha Method for producing polypeptide heteromultimer
US11142587B2 (en) 2015-04-01 2021-10-12 Chugai Seiyaku Kabushiki Kaisha Method for producing polypeptide hetero-oligomer
US11150254B2 (en) 2014-09-26 2021-10-19 Chugai Seiyaku Kabushiki Kaisha Method for measuring reactivity of FVIII
US11214623B2 (en) 2014-09-26 2022-01-04 Chugai Seiyaku Kabushiki Kaisha Antibody capable of neutralizing substance having activity alternative to function of coagulation factor VIII (FVIII)
US11352438B2 (en) 2016-09-06 2022-06-07 Chugai Seiyaku Kabushiki Kaisha Methods of using a bispecific antibody that recognizes coagulation factor IX and/or activated coagulation factor IX and coagulation factor X and/or activated coagulation factor X
US11649262B2 (en) 2015-12-28 2023-05-16 Chugai Seiyaku Kabushiki Kaisha Method for promoting efficiency of purification of Fc region-containing polypeptide

Cited By (24)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP2289944A2 (en) 2003-10-10 2011-03-02 Chugai Seiyaku Kabushiki Kaisha Bispecific antibody substituting for functional proteins
US8062635B2 (en) 2003-10-10 2011-11-22 Chugai Seiyaku Kabushiki Kaisha Bispecific antibody substituting for functional proteins
EP3085783A1 (en) 2003-10-10 2016-10-26 Chugai Seiyaku Kabushiki Kaisha Bispecific antibody substituting for functional proteins
EP2311945A1 (en) 2003-10-14 2011-04-20 Chugai Seiyaku Kabushiki Kaisha Bispecific antibodies substituting for functional proteins
US11168344B2 (en) 2005-03-31 2021-11-09 Chugai Seiyaku Kabushiki Kaisha Methods for producing polypeptides by regulating polypeptide association
US10011858B2 (en) 2005-03-31 2018-07-03 Chugai Seiyaku Kabushiki Kaisha Methods for producing polypeptides by regulating polypeptide association
US9670269B2 (en) 2006-03-31 2017-06-06 Chugai Seiyaku Kabushiki Kaisha Methods of modifying antibodies for purification of bispecific antibodies
US10934344B2 (en) 2006-03-31 2021-03-02 Chugai Seiyaku Kabushiki Kaisha Methods of modifying antibodies for purification of bispecific antibodies
US11046784B2 (en) 2006-03-31 2021-06-29 Chugai Seiyaku Kabushiki Kaisha Methods for controlling blood pharmacokinetics of antibodies
US11248053B2 (en) 2007-09-26 2022-02-15 Chugai Seiyaku Kabushiki Kaisha Method of modifying isoelectric point of antibody via amino acid substitution in CDR
US9828429B2 (en) 2007-09-26 2017-11-28 Chugai Seiyaku Kabushiki Kaisha Method of modifying isoelectric point of antibody via amino acid substitution in CDR
US9334331B2 (en) 2010-11-17 2016-05-10 Chugai Seiyaku Kabushiki Kaisha Bispecific antibodies
US10450381B2 (en) 2010-11-17 2019-10-22 Chugai Seiyaku Kabushiki Kaisha Methods of treatment that include the administration of bispecific antibodies
US11124576B2 (en) 2013-09-27 2021-09-21 Chungai Seiyaku Kabushiki Kaisha Method for producing polypeptide heteromultimer
WO2015046554A1 (ja) 2013-09-30 2015-04-02 中外製薬株式会社 改変されたヘルパーファージを用いて抗原結合分子を作製する方法
EP3940065A1 (en) 2013-09-30 2022-01-19 Chugai Seiyaku Kabushiki Kaisha Method for producing antigen-binding molecule using modified helper phage
US11214623B2 (en) 2014-09-26 2022-01-04 Chugai Seiyaku Kabushiki Kaisha Antibody capable of neutralizing substance having activity alternative to function of coagulation factor VIII (FVIII)
US11150254B2 (en) 2014-09-26 2021-10-19 Chugai Seiyaku Kabushiki Kaisha Method for measuring reactivity of FVIII
US11001643B2 (en) 2014-09-26 2021-05-11 Chugai Seiyaku Kabushiki Kaisha Cytotoxicity-inducing therapeutic agent
US9975966B2 (en) 2014-09-26 2018-05-22 Chugai Seiyaku Kabushiki Kaisha Cytotoxicity-inducing theraputic agent
US11142587B2 (en) 2015-04-01 2021-10-12 Chugai Seiyaku Kabushiki Kaisha Method for producing polypeptide hetero-oligomer
US11649262B2 (en) 2015-12-28 2023-05-16 Chugai Seiyaku Kabushiki Kaisha Method for promoting efficiency of purification of Fc region-containing polypeptide
US11352438B2 (en) 2016-09-06 2022-06-07 Chugai Seiyaku Kabushiki Kaisha Methods of using a bispecific antibody that recognizes coagulation factor IX and/or activated coagulation factor IX and coagulation factor X and/or activated coagulation factor X
US10759870B2 (en) 2017-09-29 2020-09-01 Chugai Seiyaku Kabushiki Kaisha Multispecific antigen-binding molecules having blood coagulation factor VIII (FVIII) cofactor function-substituting activity and pharmaceutical formulations containing such a molecule as an active ingredient

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JPH05199894A (ja) 二重特異性抗体および抗体含有薬剤
JP4187277B2 (ja) グリコシル化し得る抗原結合単鎖タンパク質、それらの生成および使用
EP0323805B1 (en) Novel antibodies
JPH10511085A (ja) 二重特異性抗体を用いる免疫応答を促進する方法
JP2540179B2 (ja) 非還元・非酵素的糖鎖形成蛋白に対するモノクロ―ナル抗体
WO2001087233A2 (en) Anti-idiotypic antibody against fimh adhesin of uropathogenic type i-fimbriated escherichia coli, compositions and method of use thereof
JPH04126094A (ja) ヒトIgEに対するモノクローナル抗体
JPS60155133A (ja) アンチ−イデイオタイプのモノクロナル抗体を採用したアンチ−イデイオタイプワクチン
JPH0235097A (ja) モノクローナル抗体
MXPA06009759A (es) Codocito para trastornos por linfocitos b.
JPH03198795A (ja) 種々のヒト白血病およびリンパ腫細胞上に広く存在する特有の抗原に反応するモノクローナル抗体、および診断および治療を目的とした該抗体の使用法
JP3940245B2 (ja) アセタミプリドのハプテン化合物、抗体及び測定方法
JP3595506B2 (ja) シクロスポリンおよびシクロスポリン代謝産物の、特定領域に対する抗体の生産方法
JPH06504031A (ja) アミノ酸輸送蛋白質、アミノ酸アナログ、アッセイ装置並びにその癌の治療及び診断への使用
FI111518B (fi) Menetelmä monoklonaalisten vasta-aineiden ja vasta-ainetta sisältävän farmaseuttisen koostumuksen valmistamiseksi
JPS59134734A (ja) 殺細胞性修飾免疫グロブリン及びその製造方法
RU2105062C1 (ru) Конъюгат на основе анти-jgm-антитела (варианты) и способ снижения секреции jgm антитела лимфоцитами (варианты)
JPH0630786A (ja) バイスペシフィック抗体
JPH03206894A (ja) 新規抗イディオタイプモノクローナル抗体
JPH08510116A (ja) 二重特異性抗原結合分子
JPH02135098A (ja) N−グリコリル型gm↓2を認識するモノクローナル抗体及びそれを産生するハイブリドーマ
JPH05176790A (ja) 脳ミオシンに対するモノクローナル抗体
JPH10262662A (ja) ホキシムのハプテン化合物、抗体及び測定方法
JPH0543358B2 (ja)
JP2673619B2 (ja) 抗ヒトセルロプラスミンモノクローナル抗体、それを用いたヒトセルロプラスミンの検出方法及びそれを産生するハイブリドーマ

Legal Events

Date Code Title Description
A300 Withdrawal of application because of no request for examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300

Effective date: 19981112