JPH05195588A - 鉄筋コンクリート建造物における鉄筋防蝕方法及び鉄筋の腐蝕状態検出方法 - Google Patents

鉄筋コンクリート建造物における鉄筋防蝕方法及び鉄筋の腐蝕状態検出方法

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JPH05195588A
JPH05195588A JP4045965A JP4596592A JPH05195588A JP H05195588 A JPH05195588 A JP H05195588A JP 4045965 A JP4045965 A JP 4045965A JP 4596592 A JP4596592 A JP 4596592A JP H05195588 A JPH05195588 A JP H05195588A
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Abstract

(57)【要約】 【構成】鉄筋コンクリート建造物に外部直流電源8を接
続して、鉄筋1をカソードに設定する。壁面に凹溝3を
刻み、電線4を埋設して通電性ボンド5で接着する。そ
の上面に電気良導体層6と通気性及び防水性を有する塗
料7を順次積層し、壁面全面をアノードに設定する。外
部直流電源8による電圧を1.0〜1.5Vに、電流密
度を10〜90mA/mの範囲内に設定する。また、
鉄筋1をカソード分極する際に通電を一時的に停止し、
外部直流電源系に組み込んだセンサー10で建造物内の
腐蝕電流又は電圧の有・無を検知する。 【効果】カソード分極によってFeを安域に持ち込める
ので、鉄筋自体を腐蝕しない性質に変化せしめることが
でき、簡便かつ確実に防蝕できる。また、腐蝕電流又は
電圧の有・無をセンサーで検知できるので、腐蝕の進行
を容易に判断でき、防蝕管理を円滑に行なえる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、鉄筋及び鉄骨コンクリ
ートの構造物又は建造物(以下「鉄筋コンクリート建造
物」という)における鉄筋防蝕方法並びに鉄筋の腐蝕状
態検出方法に関し、鉄筋をカソード分極して鉄材の腐蝕
を電気化学的に防止するとともに、当該腐蝕の進行の有
無を容易に検知できるものを提供する。
【0002】
【従来技術及びその問題点】一般に、鉄筋コンクリート
建造物においては、コンクリート壁中の水分は主に水酸
化カルシウム水溶液として存在するため、鉄はこの強い
アルカリ性環境(PH約12.5)の下で不動態皮膜をつ
くり、腐蝕作用から有効に保護される。
【0003】しかしながら、以下の諸理由により、コン
クリート壁中の鉄筋は徐々に腐蝕してゆく。
【0004】(1)空気中の炭酸ガスはコンクリート壁
中の水酸化カルシウムと反応して炭酸カルシウムにな
り、雨水等で炭酸カルシウムが溶出すると、コンクリー
ト壁は空気に触れる外壁から徐々に中性化してゆく。
【0005】(2)セメントに混入する砂は、骨材とし
て理想的な川砂に代えて、山砂や海砂を使用するように
なった。山砂は泥分が多く、それだけ水分を余分に必要
とするので、ヒビ割れの原因となり、組織に気泡が増え
上述のように、炭酸ガスがしみ込み易くなってコンクリ
ート壁を中性化する。また、海砂は塩分を含み、鉄筋を
内部から腐蝕してゆく。
【0006】(3)最近の交通量の増大に伴う車輌の微
振動や地震は建造物にクラックを生ぜしめる原因とな
る。一方、車輌や工場から排出されるガスはNOXやS
Xを発生させて酸性雨をもたらすので、上記クラック
から侵入した酸性雨はコンクリート壁を中性化してゆ
く。
【0007】(4)従って、(1)〜(3)に示すように、
コンクリート壁が中性化されてPH値が減少すると、当
該壁中の鉄筋は活性態となり、酸化を起こす方向に熱力
学的平衡がずれるので、鉄はクラックからコンクリート
壁内に侵入した雨水とこの雨水中に溶存する酸素によっ
て腐蝕してゆく。
【0008】また、鉄筋がさびると、このさびによって
鉄筋の体積が増え、これがさらにクラックを増大させ
て、次第に事態を悪化させてゆく。しかも、コンクリー
ト壁の外表面には通常、防水塗装を施すので、一旦コン
クリート壁内に侵入した雨水は壁外に出ることができず
に内部に残留し、鉄の腐蝕を一層進行せしめる。
【0009】ここで、鉄筋の腐蝕機構を述べると、模式
的には、以下に示すような一種の腐蝕電池が鉄筋の周囲
に形成されるものと想定できる。
【0010】即ち、鉄表面ではFeから電子が奪われて
(即ち、酸化されて)Fe2+になるアノード反応が、ま
た、水/酸素系では系内に電子を取り込んでO2の還元
が行われるカソード反応が各々進行するものと考えられ
る。 アノード反応 2Fe→2Fe2++4e-……(I) カソード反応 O2+2H2O+4e-→4OH-……(II) 全反応 2Fe+O2+H2O→2Fe2++4OH-
【0011】そこで、この鉄筋の腐蝕を防止する従来技
術としては、例えば、鉄筋をエポキシ樹脂で被覆した
り、亜鉛鍍金して鉄筋自体を防錆処理するものがある
が、これらは新たな建造物を造るときには適用できて
も、既存のコンクリート建造物には適用が困難である。
【0012】さらに、雨水の浸水を完全に防止して鉄筋
を防蝕する方法も考えられるが、都市環境が冒述した通
りである以上雨水を完全に遮断することは難しく、ま
た、炭酸ガスによるコンクリートの中性化は容易に抑制
できない。
【0013】因みに、最近行なわれている防蝕方法とし
てはリフリート工法があるが、当該工法はリチウムシリ
ケートを主成分とするアルカリ水溶液を劣化した下地や
老化塗膜からコンクリート壁内に緩やかに圧入して当該
アルカリ分により鉄筋の防錆を行うものであって、本質
的に、雨水の侵入を遮断するものではないので、再び雨
水の侵入が繰り返されてPH値の減少が進むと鉄のコン
クリート壁を防止し得ない。また、なによりも腐蝕の進
行状況を判断することもできない。本発明は、上記問題
点を解決することを技術的課題とする。
【0014】
【問題点を解決するための手段】本発明は鉄筋の腐蝕状
況を検知して、その腐蝕を電気化学的に防止して、簡
便、確実に鉄筋を防蝕するものである。即ち、本発明
は、鉄筋コンクリート建造物に外部直流電源を接続し
て、当該建造物のコンクリート壁面をアノードに、ま
た、鉄筋をカソードに各々設定し、鉄筋をカソード分極
してその腐蝕を防止する鉄筋コンクリート建造物におけ
る鉄筋防蝕方法並びにこのカソード分極に際し、外部直
流電源による通電を一時的に停止して、この外部電源系
に組み込んだセンサーで腐蝕電流又は、電圧の有無を検
知する鉄筋コンクリート建造物における鉄筋の腐蝕状態
検出方法である。
【0015】上記建造物は新規に建造するものでも、既
存のものでも良い。また、鉄筋は、一般に、コンクリー
ト壁の縦横に埋設されて接続部分を番線で巻き締めてい
るが、場合によっては、アーク熔接を行なったり、通電
性のボンド、例えば、通常のボンドに炭素繊維粉末を混
入したものを接着して当該接続部分の導電性を良好にし
てもよい。そして、これらの鉄筋群の所定箇所に外部直
流電源のカソード側を接続する。一方、新築の建造物で
は、これらの鉄筋間を電線で接続しておくと良い。
【0016】コンクリート壁の外表面には、例えば、導
電性の塗膜を装着、或いは、塗装したり、網目状の導体
を敷設して、略外壁全面を均一な導電状態に形成し、そ
の一端に外部直流電源のアノード側を接続する。外部直
流電源は、バッテリをはじめ、交流電源を整流したもの
でも差し支えない。
【0017】当該外部直流電源に組み込むセンサーは、
例えば、検流計や電位差計である。
【0018】
【作用】外部直流電源によって鉄筋に腐蝕電流を流す
と、Feに電子が供給されて、前記(I)式の標準電極電
位、即ち平衡電極電位より鉄筋の電位が低くなるので、
(I)式の平衡は左に傾き、Feは腐蝕図(図4参照)におけ
る安定域に持ちこされる。
【0019】また、外部電源による通電を停止した場
合、鉄筋の腐蝕が進行していると、上記(I)式及び(II)
式の酸化・還元反応による腐蝕電池がコンクリート壁内
に形成されることを意味するので、当該電池を起電力と
して腐蝕電流が鉄筋とコンクリート壁中の水/酸素系と
の間に流れ、外部電流系に組み込んだセンサーがこの電
流又は電圧を検知することになる。
【0020】
【発明の効果】直流電源によって外部から鉄筋に防蝕電
流を流すと、カソード分極によってFeを安定域に持ち込
めるので、鉄筋自体を腐蝕しない性質に変化せしめるこ
とができ、鉄筋を簡便、且つ、確実に防蝕できる。
【0021】また、腐蝕電流又は電圧の有・無をセンサ
ーで検知できるので、腐蝕が進行しているか停止してい
るかを容易に判断でき、防蝕管理を円滑に行なえる。即
ち、センサーが腐蝕電流(又は電圧)を検知しなければ、
防蝕電流の通電停止を継続すれば良いし、腐蝕電流(又
は電圧)を検知すれば、その大きさに応じて防蝕電流を
増減して、通電の継続を行なえれば良いので、適切な防
蝕を行なえるとともに、外部電源の節電ができる。
【0022】
【実施例】以下、図1及び図2に基いて本発明の防蝕方
法を順次説明し、比較例と対照しながら、鉄筋に本防蝕
法を施した場合の変化を調べた。
【0023】〈防蝕実施例〉 (1)コンクリート活性化工程 中性化したコンクリート壁面、或いは劣化した下地や塗
膜を鉄の腐蝕箇所まではつり、錆落としを行なったの
ち、コンクリート壁を真空引きしながら、圧入機により
1kg/cm2以内の圧力でリチウムシリケートを主成分と
する特殊調合の硅酸アルカリ水溶液を劣化部分から深部
にかけて徐々に圧入して、コンクリート壁の強化とアル
カリ化(即ち、活性化)を図った。
【0024】(2)接着剤注入工程 コンクリート壁を活性化し、壁内の乾燥を確認したの
ち、コンクリート壁の内部及び表面を走るクラックに接
着剤を注入した。即ち、まず、コンクリート壁内部に走
るクラックに対しては、壁面から深さ50mmの注入孔を
穿設し、この孔に通電性ボンドを注入した。この場合、
通常の絶縁性ボンドを使用すると、電蝕の虞れがあるの
で、電極抵抗の小さい通電性ボンドを使用した。
【0025】また、注入孔の内壁に通電性ボンドを付着
したままにしておくと、後述するコンクリート外壁の壁
面アノード電極とこの注入孔との間で外部流入電流が短
絡する虞れがあるので、当該通電性ボンドを除去したう
えで、注入孔に通常の絶縁性ボンドを注入した。他方、
外壁表面に走ったクラックに沿ってUカット溝を刻み、
絶縁性ボンドを注入して当該溝を閉塞した。
【0026】(3)カソード設定工程 コンクリート壁2内を縦横に走る鉄筋1間の接合部分は
電位変化が激しいので、この部位に通電性ボンドを注入
して通電を円滑にし、鉄筋の全てを一体化してこれをカ
ソードに設定した。また、鉄筋に腐蝕部分があれば、ア
ーク熔接をするか、或いは、この部分に番線を巻き付け
通電性ボンドを接着するなどして、鉄筋全体を電気的に
連続せしめる。
【0027】この場合、カソードに露出部分があると、
この露出部分とコンクリート外壁の壁面アノード電極と
の間で短絡が起こる虞れがあるので、鉄筋のむき出し部
分、或いは窓枠部分(この部分は鉄筋に接合させている)
等に絶縁性の樹脂又はボンドを塗布して短絡を防止する
ことが必要である。
【0028】(4)アノード設定工程 一般に、鉄筋コンクリート建造物はその日照、通気、建
造物の立地環境等により、建造物の四面の鉄筋の腐蝕状
態やクラックの状態も違うので、この建造物の側壁毎に
アノードを4分割した。
【0029】以下、建造物の一側壁を均質なアノードと
するための工程を述べる。
【0030】まず、コンクリート外壁面に沿って、略1
m間隔で碁盤状にUカット溝3を刻み、同じく1m間隔
の網目状に形成した電線4を当該Uカット溝3に嵌入し
たのち、通電性ボンド5を注入して電線をこの凹溝3に
接着した。
【0031】そして、網目状の当該送電幹線4上に、炭
素繊維層6を均一に積層して、これをアノードに設定し
た。上記炭素繊維層6は、炭素繊維で形成した1cm画の
ラス体を電線上に配置してモルタルを塗布するか、炭素
短繊維を混入したモルタルを塗布するか、或いは、炭素
繊維布地を通電性ボンドで接着して構成する。この炭素
繊維層6は通電の均一化を促進するとともに、その引張
り強さによりコンクリート外壁の強度を高めてクラック
の発生を防止するためのものである。しかも、炭素繊維
層6には、さらに通気性及び防水性のある塗料7、例え
ば、シリカ系樹脂塗料を塗布した。これは、外部からの
雨水の侵入を遮断するとともに、コンクリート壁内から
の水蒸気の拡散を促進してコンクリート壁内を乾燥状態
に保つためのものである。
【0032】(5)防蝕電流通電工程 バッテリ電源8のカソード側を鉄筋1に、また、アノー
ド側をコンクリート外壁面2に接続するとともに、当該
バッテリ電源8には電位差計10、開閉スイッチ11及
びタイマ12を各々接続した。 一般に、防蝕電流を流
すと、コンクリート壁中の水分は電気分解を受けて水
素、酸素を発生するので、鉄筋にはカソード分極による
水素が吸着して水素脆性を起こすとともに、水素及び酸
素の圧力で鉄筋とコンクリート壁との剥離が生ずる。
【0033】また、この傾向は、過防蝕、即ち、必要以
上のカソード分極によって必然的に助長され、特に、高
張力鋼材ほど敏感に反応してしまう。しかも、過防蝕で
はPH値が増大するので、亜鉛メッキをした鉄筋では亜
鉛が溶解し、また、樹脂塗装をした鉄筋では塗膜剥離を
起こす懸念がある。従って、上記電気防蝕には、コンク
リート壁の中性化、鉄筋の腐蝕状態、或いはコンクリー
ト壁面の膨張状態等の程度に合わせて適正な通電管理を
行なう必要がある。
【0034】因みに、鉄筋コンクリート建造物の腐蝕状
態測定方法としては、例えば、コンクリート壁面と鉄筋
との間を流れる微電流の変化を検知する方法や、鉄筋の
通電が悪い場合には、鉄筋に磁力を通じ、コンクリート
の外壁に放射される磁気を測定する方法等がある。
【0035】そこで、上記方法によって腐蝕状態を測定
したのち、外部直流電源により、防蝕電圧を1.0〜1.
5V(鉄に標準水素電極電位1.0V以上に設定)に設定
し、防蝕電流密度を10mA/m2から徐々に増加させ
て、当該腐蝕状態に合わせた通電を行なった。但し、過
防蝕を防ぐために、電流密度は90mA/m2以下に抑え
た。
【0036】また、通電を継続すると、記述したよう
に、カソード分極によって生ずる水素のために鉄筋が脆
化したり、鉄筋とコンクリートが剥離する虞れがあるの
で、1時間通電したならば10分間通電を停止するとい
う操作を繰り返して断続的な通電を行なった。
【0037】(6)腐蝕状態検出方法 一方、上記通電停止時には、外部電源系が作動しないの
で、鉄筋の腐蝕進行の有無、或いは、その程度を、コン
クリート壁内に形成される腐蝕電流若しくは電位差を測
定することによって確認することができる。
【0038】そこで、通電停止時に、外部電源系にセッ
トした電位差計10によって腐蝕電位差を検知し、電位
差を検知したならば腐蝕が進行しているので通電を継続
し、検知しなければ腐蝕が止まっているので通電停止を
継続するように外部電源系を操作する。この場合、建造
物の四壁面毎に電位差計を取り付けているので、各壁面
の腐蝕状態を個別に検出することができる。
【0039】以下、図2に基づいて具体的に防蝕並びに
腐蝕状態検出についてのシーケンス制御を述べる。
【0040】まず、バッテリ電源8をオンにしてタイマ
12を作動せしめ、1時間経過したならば当該電源8を
オフにして防蝕電流の通電を停止する。そして、電位差
計10により腐蝕電位差の有・無を測定し、電位差を検
知すれば、10分経過後タイマ12により通電停止が解
除され、バッテリ電源8からの通電が再び開始されて、
防蝕操作を継続する。
【0041】しかしながら、上記電位差計10が腐蝕電
位差を検知しなければ、10分経過しても防蝕電流の通
電再開はなされない。但し、この場合でも、その後に再
び腐蝕の進行があるかもしれないので、1ヵ月経過する
と、タイマ12によりバッテリ電源8がオンされて、鉄
筋への防蝕電流の通電が始まり、上記シーケンス操作を
繰り返すことになる。
【0042】〈防蝕試験例〉 塩分を多量に含む海砂をバラスとして加えた幅200mm
のコンクリート中に直径9mmの鉄筋4本を表面から30
mmの深さに埋設して、二つの鉄筋コンクリートブロック
を製造した。
【0043】そして、両ブロックの一方のコンクリート
表面に上記実施例の様に電線網、炭素繊維層及び塗料を
順次積層し、これをコンクリート供試体とした。次い
で、当該供試体にバッテリ電源を接続し、そのアノード
側を供試体の上側面に、また、そのカソード側を供試体
の鉄筋に各々接続し、防蝕電圧1.2V、防蝕電流密度
20mA/m2で通電を3カ月継続した。但し、当初の2
週間は0.1Nの硫酸水溶液中に片面が約5mm没した状
態を維持しながら上記ブロックを浸漬し、その後は硫酸
水溶液を水浴に代えて3〜4回水を入れ替えながら、合
計3ヵ月になるまで試験を続行した。
【0044】また、前記鉄筋コンクリートブロック体の
他方をそのままの状態で、上記供試体と同様に、硫酸水
溶液、次いで水浴中に浸して3ヵ月経過したものを比較
例とした。
【0045】そして、両コンクリート体を水浴から引き
上げ、(供試体ではバッテリ電源を取り除く)、これらの
上側面に水を含ませた濾紙を置き、その上に飽和硫酸銅
電極[CSE≒320mV(標準水素電極基準)]を照合
電極として接触させて、鉄筋との間の電位差を各々測定
した。また、上記電位差測定後、コンクリート表面をは
つり、鉄の腐蝕状態を目視により調べた。
【0046】図3は、その結果を示す図表であって、測
定電位E(V;飽和硫酸銅電極基準)は本発明方法を実施
した供試体では−120mV、比較体では−530mVを
示した。従って、供試体では測定電位が小さいので、鉄
の酸化方向への平衡のずれは少なく、もって腐蝕は進行
していないことが判る。
【0047】これに比べて比較例の測定電位は大きいの
で、腐蝕がかなり進行していることが判る。このこと
は、実際の鉄の腐蝕状態の目視試験でも確認でき、供試
体では赤さび(FeOOH)の発生はなく表面は黒褐色を
維持していたのに対し、比較例では赤さびの発生が明瞭
に認められた。
【図面の簡単な説明】
図1は外部電源による防蝕を示す概要図、図2は防蝕方
法並びに腐蝕状態検出方法のシーケンス、図3は防蝕試
験の結果を示す図表、図4は鉄の腐蝕図である。
【符号の説明】
1…鉄筋、2…コンクリート壁、3…凹溝、4…電線、
5…通電性ボンド、6…炭素繊維層、7…塗膜、8…外
部直流電源、10…センサー。
【手続補正書】
【提出日】平成4年3月3日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】明細書
【発明の名称】 鉄筋コンクリート建造物における鉄筋
防蝕方法及び鉄筋の腐蝕状態検出方法
【特許請求の範囲】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、鉄筋及び鉄骨コンクリ
ートの構造物又は建造物(以下「鉄筋コンクリート建造
物」という)における鉄筋防蝕方法並びに鉄筋の腐蝕状
態検出方法に関し、鉄筋をカソード分極して鉄材の腐蝕
を電気化学的に防止するとともに、当該腐蝕の進行の有
無を容易に検知できるものを提供する。
【0002】
【従来技術及びその問題点】一般に、鉄筋コンクリート
建造物においては、コンクリート壁中の水分は主に水酸
化カルシウム水溶液として存在するため、鉄はこの強い
アルカリ性環境(PH約12.5)の下で不動態皮膜を
つくり、腐蝕作用から有効に保護される。
【0003】しかしながら、以下の諸理由により、コン
クリート壁中の鉄筋は徐々に腐蝕してゆく。
【0004】(1)空気中の炭酸ガスはコンクリート壁
中の水酸化カルシウムと反応して炭酸カルシウムにな
り、雨水等で炭酸カルシウムが溶出すると、コンクリー
ト壁は空気に触れる外壁から徐々に中性化してゆく。
【0005】(2)セメントに混入する砂は、骨材とし
て理想的な川砂に代えて、山砂や海砂を使用するように
なった。山砂は泥分が多く、それだけ水分を余分に必要
とするので、ヒビ割れの原因となり、組織に気泡が増え
上述のように、炭酸ガスがしみ込み易くなってコンクリ
ート壁を中性化する。また、海砂は塩分を含み、鉄筋を
内部から腐蝕してゆく。
【0006】(3)最近の交通量の増大に伴う車輌の微
振動や地震は建造物にクラックを生ぜしめる原因とな
る。一方、車輌や工場から排出されるガスはN0やS
を発生させて酸性雨をもたらすので、上記クラック
から侵入した酸性雨はコンクリート壁を中性化してゆ
く。
【0007】(4) 従って、(1)〜(3)に示すよ
うに、コンクリート壁が中性化されてPH値が減少する
と、当該壁中の鉄筋は活性態となり、酸化を起こす方向
に熱力学的平衡がずれるので、鉄はクラックからコンク
リート壁内に侵入した雨水とこの雨水中に溶存する酸素
によって腐蝕してゆく。
【0008】また、鉄筋がさびると、このさびによって
鉄筋の体積が増え、これがさらにクラックを増大させ
て、次第に事態を悪化させてゆく。しかも、コンクリー
ト壁の外表面には通常、防水塗装を施すので、一旦コン
クリート壁内に侵入した雨水は壁外に出ることができず
に内部に残留し、鉄の腐蝕を一層進行せしめる。
【0009】ここで、鉄筋の腐蝕機構を述べると、模式
的には、以下に示すような一種の腐蝕電池が鉄筋の周囲
に形成されるものと想定できる。
【0010】即ち、鉄表面ではFeから電子が奪われて
(即ち、酸化されて)Fe2+になるアノード反応が、
また、水/酸素系では系内に電子を取り込んでOの還
元が行われるカソード反応が各々進行するものと考えら
れる。 アノード反応 2Fe→2Fe2++4e……(I) カソード反応 O2HO+4e→4OH……(II) 全反応 2Fe+O+HO=2Fe2++4OH−1
【0011】そこで、この鉄筋の腐蝕を防止する従来技
術としては、例えば、鉄筋をエポキシ樹脂で被覆した
り、亜鉛鍍金して鉄筋自体を防錆処理するものがある
が、これらは新たな建造物を造るときには適用できて
も、既存のコンクリート建造物には適用が困難である。
【0012】さらに、雨水の浸水を完全に防止して鉄筋
を防蝕する方法も考えられるが、都市環境が冒述した通
りである以上雨水を完全に遮断することは難しく、ま
た、炭酸ガスによるコンクリートの中性化は容易に抑制
できない。
【0013】因みに、最近行なわれている防蝕方法とし
てはリフリート工法があるが、当該工法はリチウムシリ
ケートを主成分とするアルカリ水溶液を劣化した下地や
老化塗膜からコンクリート壁内に緩やかに圧入して当該
アルカリ分により鉄筋の防錆を行うものであって、本質
的に、雨水の侵入を遮断するものではないので、再び雨
水の侵入が繰り返されてPH値の減少が進むと鉄のコン
クリート壁を防止し得ない。また、なによりも腐蝕の進
行状況を判断することもできない。本発明は、上記問題
点を解決することを技術的課題とする。
【0014】
【問題点を解決するための手段】本発明は鉄筋の腐蝕状
況を検知して、その腐蝕を電気化学的に防止して、簡
便、確実に鉄筋を防蝕するものである。即ち、本発明
は、鉄筋コンクリート建造物に外部直流電源を接続して
鉄筋をカソードに設定し、鉄筋をカソード分極してその
腐蝕を防止する鉄筋コンクリート建造物における鉄筋防
蝕方法であって、コンクリート壁面に凹溝を刻み、当該
凹溝に電線を埋設して通電性のボンドで接着し、その上
面に電気良導体層を、次いで、通気性及び防水性を有す
る塗料を順次積層してコンクリート壁面の全面をアノー
ドに設定し、上記外部直流電源による防蝕電圧を1.0
〜1.5Vに設定するとともに、防蝕電流密度を10〜
90mA/mの範囲内に設定する鉄筋コンクリート建
造物における鉄筋防蝕方法、並びに、このカソード分極
に際し、外部直流電源による通電を一時的に停止して、
この外部電源系に組み込んだセンサーで腐蝕電流又は、
電圧の有無を検知する鉄筋コンクリート建造物における
鉄筋の腐蝕状態検出方法である。
【0015】上記建造物は新規に建造するものでも、既
存のものでも良い。また、鉄筋は、一般に、コンクリー
ト壁の縦横に埋設されて接続部分を番線で巻き締めてい
るが、場合によっては、アーク熔接を行なったり、通電
性のボンド、例えば、通常のボンドに炭素繊維粉末を混
入したものを接着して当該接続部分の導電性を良好にし
てもよい。そして、これらの鉄筋群の所定箇所に外部直
流電源のカソード側を接続する。一方、新築の建造物で
は、これらの鉄筋間を電線で接続しておくと良い。
【0016】コンクリート壁の外表面には、例えば、導
電性の塗膜を装着、或いは、塗装したり、網目状の電気
良導体を敷設して、略外壁全面を均一な導電状態に形成
し、その一端に外部直流電源のアノード側を接続する。
外部直流電源は、バッテリをはじめ、交流電源を整流し
たものでも差し支えない。
【0017】当該外部直流電源に組み込むセンサーは、
例えば、検流計や電位差計である。
【0018】
【作用】コンクリート壁面に電気良導体層が積層されて
壁面の全面がアノードに形成されるので、外部直流電源
の僅かな防蝕電圧でも良好に防蝕電流が流れる。そし
て、外部直流電源によって、鉄筋に防蝕電流を流すと、
Feに電子が供給されて、前記(I)式の標準電極電
位、即ち平衡電極電位より鉄筋の電位が低くなるので、
(I)式の平衡は左に傾き、Feは腐蝕図(図4参照)
における安定域に持ちこされる。
【0019】また、外部電源による通電を停止した場
合、鉄筋の腐蝕が進行していると、上記(I)式及び
(II)式の酸化・還元反応による腐蝕電池がコンクリ
ート壁内に形成されることを意味するので、当該電池を
起電力として腐蝕電流が鉄筋とコンクリート壁中の水/
酸素系との間に流れ、外部電流系に組み込んだセンサー
がこの電流又は電圧を検知することになる。
【0020】
【発明の効果】直流電源によって外部から鉄筋に防蝕電
流を流すと、カソード分極によってFeを安定域に持ち
込めるので、鉄筋自体を腐蝕しない性質に変化せしめる
ことができ、鉄筋を簡便、且つ、確実に防蝕できる。
【0021】しかも、コンクリート壁面の全面をアノー
ドにこ形成するので、僅かな防蝕電圧で良好に防蝕電流
が流れることから、電流密度の低い防蝕電流により効果
的に防蝕することができる。そして、防蝕電流の電流密
度が極めて低いことから、過防蝕を防止できるうえ、人
体などの生命に危害を及ぼす虞れがなく、鉄筋コンクリ
ート建造物に対して安全に適用できる。
【0022】また、腐蝕電流又は電圧の有・無をセンサ
ーで検知できるので、腐蝕が進行しているか停止してい
るかを容易に判断でき、防蝕管理を円滑に行なえる。即
ち、センサーが腐蝕電流(又は電圧)を検知しなけれ
ば、防蝕電流の通電停止を継続すれば良いし、腐蝕電流
(又は電圧)を検知すれば、その大きさに応じて防蝕電
流を増減して、通電の継続を行なえれば良いので、適切
な防蝕を行なえるとともに、外部電源の節電ができる。
【0023】
【実施例】以下、図1及び図2に基いて本発明の防蝕方
法を順次説明し、比較例と対照しながら、鉄筋に本防蝕
法を施した場合の変化を調べた。
【0024】<防蝕実施例> (1)コンクリート活性化工程 中性化したコンクリート壁面、或いは劣化した下地や塗
膜を鉄の腐蝕箇所まではつり、錆落としを行なったの
ち、コンクリート壁を真空引きしながら、圧入機により
1kg/cm以内の圧力でリチウムシリケートを主成
分とする特殊調合の硅酸アルカリ水溶液を劣化部分から
深部にかけて徐々に圧入して、コンクリート壁の強化と
アルカリ化(即ち、活性化)を図った。
【0025】(2)接着剤注入工程 コンクリート壁を活性化し、壁内の乾燥を確認したの
ち、コンクリート壁の内部及び表面を走るクラックに接
着剤を注入した。即ち、まず、コンクリート壁内部に走
るクラックに対しては、壁面から深さ50mmの注入孔
を穿設し、この孔に通電性ボンドを注入した。この場
合、通常の絶縁性ボンドを使用すると、電蝕の虞れがあ
るので、電極抵抗の小さい通電性ボンドを使用した。
【0026】また、注入孔の内壁に通電性ボンドを付着
したままにしておくと、後述するコンクリート外壁の壁
面アノード電極とこの注入孔との間で外部流入電流が短
絡する虞れがあるので、当該通電性ボンドを除去したう
えで、注入孔に通常の絶縁性ボンドを注入した。他方、
外壁表面に走ったクラックに沿ってUカット溝を刻み、
絶縁性ボンドを注入して当該溝を閉塞した。
【0027】(3)カソード設定工程 コンクリート壁2内を縦横に走る鉄筋1間の接合部分は
電位変化が激しいので、この部位に通電性ボンドを注入
して通電を円滑にし、鉄筋の全てを一体化してこれをカ
ソードに設定した。また、鉄筋に腐蝕部分があれば、ア
ーク熔接をするか、或いは、この部分に番線を巻き付け
通電性ボンドを接着するなどして、鉄筋全体を電気的に
連続せしめる。
【0028】この場合、カソードに露出部分があると、
この露出部分とコンクリート外壁の壁面アノード電極と
の間で短絡が起こる虞れがあるので、鉄筋のむき出し部
分、或いは窓枠部分(この部分は鉄筋に接合させてい
る)等に絶縁性の樹脂又はボンドを塗布して短絡を防止
することが必要である。
【0029】(4)アノード設定工程 一般に、鉄筋コンクリート建造物はその日照、通気、建
造物の立地環境等により、建造物の四面の鉄筋の腐蝕状
態やクラックの状態も違うので、この建造物の側壁毎に
アノードを4分割した。
【0030】以下、建造物の一側壁を均質なアノードと
するための工程を述べる。
【0031】まず、コンクリート外壁面に沿って、略1
m間隔で碁盤状にUカット溝3を刻み、同じく1m間隔
の網目状に形成した電線4を当該Uカット溝3に嵌入し
たのち、通電性ボンド5を注入して電線をこの凹溝3に
接着した。
【0032】そして、網目状の当該送電幹線4上に、炭
素繊維層6を均一に積層して、これをアノードに設定し
た。この炭素繊維層6は、炭素繊維で形成した1cm画
のラス体を電線上に配置してモルタルを塗布するか、炭
素短繊維を混入したモルタルを塗布するか、或いは、炭
素繊維布地を通電性ボンドで接着して構成する。
【0033】上記炭素繊維層6は通電の均一化を促進す
るとともに、その引張り強さによりコンクリート外壁の
強度を高めてクラックの発生を防止するためのものであ
る。しかも、炭素繊維層6には、さらに通気性及び防水
性のある塗料7、例えば、シリカ系樹脂塗料を塗布し
た。これは、外部からの雨水の侵入を遮断するととも
に、コンクリート壁内からの水蒸気の拡散を促進してコ
ンクリート壁内を乾燥状態に保つためのものである。
【0034】またこの場合、アノードの設定は、建造物
の壁面の全面に設定できればよく、例えば、壁面にプラ
スチックの鋲を穴を空けて打ち込み、通電処理を施した
炭素網をこの鋲に引っ掛けて、当該炭素網の全体をアノ
ードに設定しても差し支えない。
【0035】(5)防蝕電流通電工程 バッテリ電源8のカソード側を鉄筋1に、また、アノー
ド側をコンクリート外壁面2に接続するとともに、当該
バッテリ電源8には電位差計10、開閉スイッチ11及
びタイマ12を各々接続した。 一般に、防蝕電流を流
すと、コンクリート壁中の水分は電気分解を受けて水
素、酸素を発生するので、鉄筋にはカソード分極による
水素が吸着して水素脆性を起こすとともに、水素及び酸
素の圧力で鉄筋とコンクリート壁との剥離が生ずる。
【0036】また、この傾向は、過防蝕、即ち、必要以
上のカソード分極によって必然的に助長され、特に、高
張力鋼材ほど敏感に反応してしまう。しかも、過防蝕で
はPH値が増大するので、亜鉛メッキをした鉄筋では亜
鉛が溶解し、また、樹脂塗装をした鉄筋では塗膜剥離を
起こす懸念がある。従って、上記電気防蝕には、コンク
リート壁の中性化、鉄筋の腐蝕状態、或いはコンクリー
ト壁面の膨張状態等の程度に合わせて適正な通電管理を
行なう必要がある。
【0037】因みに、鉄筋コンクリート建造物の腐蝕状
態測定方法としては、例えば、コンクリート壁面と鉄筋
との間を流れる微電流の変化を検知する方法や、鉄筋の
通電が悪い場合には、鉄筋に磁力を通じ、コンクリート
の外壁に放射される磁気を測定する方法等がある。
【0038】そこで、上記方法によって腐蝕状態を測定
したのち、外部直流電源により、防蝕電圧を1.0〜
1.5V(鉄に標準水素電極電位1.0V以上に設定)
に設定し、防蝕電流密度を10mA/mから徐々に増
加させて、当該腐蝕状態に合わせた通電を行なった。但
し、過防蝕を防ぐために、電流密度は90mA/m
下に抑えた。
【0039】また、通電を継続すると、記述したよう
に、カソード分極によって生ずる水素のために鉄筋が脆
化したり、鉄筋とコンクリートが剥離する虞れがあるの
で、1時間通電したならば10分間通電を停止する、或
いは、2秒通電して2秒停止するという操作を繰り返し
て断続的な通電を行なった。
【0040】(6)腐蝕状態検出方法 一方、上記通電停止時には、外部電源系が作動しないの
で、鉄筋の腐蝕進行の有無、或いは、その程度を、コン
クリート壁内に形成される腐蝕電流若しくは電位差を測
定することによって確認することができる。
【0041】そこで、通電停止時に、外部電源系にセッ
トした電位差計10によって腐蝕電位差を検知し、電位
差を検知したならば腐蝕が進行しているので通電を継続
し、検知しなければ腐蝕が止まっているので通電停止を
継続するように外部電源系を操作する。この場合、建造
物の四壁面毎に電位差計を取り付けているので、各壁面
の腐蝕状態を個別に検出することができる。
【0042】以下、図2に基づいて具体的に防蝕並びに
腐蝕状態検出についてのシーケンス制御を述べる。
【0043】まず、バッテリ電源8をオンにしてタイマ
12を作動せしめ、1時間経過したならば当該電源8を
オフにして防蝕電流の通電を停止する。そして、電位差
計10により腐蝕電位差の有・無を測定し、電位差を検
知すれば、10分経過後タイマ12により通電停止が解
除され、バッテリ電源8からの通電が再び開始されて、
防蝕操作を継続する。
【0044】しかしながら、上記電位差計10が腐蝕電
位差を検知しなければ、10分経過しても防蝕電流の通
電再開はなされない。但し、この場合でも、その後に再
び腐蝕の進行があるかもしれないので、1ヵ月経過する
と、タイマ12によりバッテリ電源8がオンされて、鉄
筋への防蝕電流の通電が始まり、上記シーケンス操作を
繰り返すことになる。
【0045】<防蝕試験例> 塩分を多量に含む海砂をバラスとして加えた幅200m
mのコンクリート中に直径9mmの鉄筋4本を表面から
30mmの深さに埋設して、二つの鉄筋コンクリートブ
ロックを製造した。
【0046】そして、両ブロックの一方のコンクリート
表面に上記実施例の様に電線網、炭素繊維層及び塗料を
順次積層し、これをコンクリート供試体とした。次い
で、当該供試体にバッテリ電源を接続し、そのアノード
側を供試体の上側面に、また、そのカソード側を供試体
の鉄筋に各々接続し、防蝕電圧1.2V、防蝕電流密度
20mA/mで通電を3カ月継続した。但し、当初の
2週間は0.1Nの硫酸水溶液中に片面が約5mm没し
た状態を維持しながら上記ブロックを浸漬し、その後は
硫酸水溶液を水浴に代えて3〜4回水を入れ替えなが
ら、合計3ヵ月になるまで試験を続行した。
【0047】また、前記鉄筋コンクリートブロック体の
他方をそのままの状態で、上記供試体と同様に、硫酸水
溶液、次いで水浴中に浸して3ヵ月経過したものを比較
例とした。
【0048】そして、両コンクリート体を水浴から引き
上げ、(供試体ではバッテリ電源を取り除く)、これら
の上側面に水を含ませた濾紙を置き、その上に飽和硫酸
銅電極[CSE≒320mV(標準水素電極基準)]を
照合電極として接触させて、鉄筋との間の電位差を各々
測定した。また、上記電位差測定後、コンクリート表面
をはつり、鉄の腐蝕状態を目視により調べた。
【0049】図3は、その結果を示す図表であって、測
定電位E(V;飽和硫酸銅電極基準)は本発明方法を実
施した供試体では−120mV、比較体では−530m
Vを示した。従って、供試体では測定電位が小さいの
で、鉄の酸化方向への平衡のずれは少なく、もって腐蝕
は進行していないことが判る。
【0050】これに比べて比較例の測定電位は大きいの
で、腐蝕がかなり進行していることが判る。このこと
は、実際の鉄の腐蝕状態の目視試験でも確認でき、供試
体では赤さび(FeOOH)の発生はなく表面は黒褐色
を維持していたのに対し、比較例では赤さびの発生が明
瞭に認められた。
【図面の簡単な説明】 図1は外部電源による防蝕を示す概要図、図2は防蝕方
法並びに腐蝕状態検出方法のシーケンス、図3は防蝕試
験の結果を示す図表、図4は鉄の腐蝕図である。
【符号の説明】 1…鉄筋、2…コンクリート壁、3…凹溝、4…電線、
5…通電性ボンド、6…炭素繊維層、7…塗膜、8…外
部直流電源、10…センサー。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鉄筋コンクリート建造物に外部直流電源
    を接続して、当該建造物のコンクリート壁面をアノード
    に、また、鉄筋をカソードに各々設定し、鉄筋をカソー
    ド分極してその腐蝕を防止することを特徴とする鉄筋コ
    ンクリート建造物における鉄筋防蝕方法。
  2. 【請求項2】 コンクリート壁面に凹溝を刻み、当該凹
    溝に電線を埋設して通電性のボンドで接着し、その上面
    に炭素繊維層を、次いで、通気性及び防水性を有する塗
    料を順次積層してコンクリート壁面の全面をアノードに
    することを特徴とする請求項1に記載の鉄筋コンクリー
    ト建造物における鉄筋防蝕方法。
  3. 【請求項3】 鉄筋の接合部分に通電性のボンドを注入
    して建造物の鉄筋の全てを一体的にカソードにすること
    を特徴とする請求項1又は請求項2に記載の鉄筋コンク
    リート建造物における鉄筋防蝕方法。
  4. 【請求項4】 外部直流電源により、防蝕電圧を1.0
    〜1.5Vに設定し、防蝕電流密度を10〜90mA/m2
    の範囲で漸次増加するように通電することを特徴とする
    請求項1、請求項2又は請求項3に記載の鉄筋コンクリ
    ート建造物における鉄筋防蝕方法。
  5. 【請求項5】 外部直流電源による通電を断続的に停止
    してカソード分極によって生ずる水素の分圧を低下させ
    ることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記
    載の鉄筋コンクリート建造物における鉄筋防蝕方法。
  6. 【請求項6】 外部直流電源系内にセンサーを組み込ん
    で、通電停止時に建造物内の腐蝕電流又は電圧の有・無
    をセンサーで検知し、腐蝕電流又は電圧の検知時には外
    部直流電源による通電を継続することを特徴とする請求
    項5に記載の鉄筋コンクリート建造物における鉄筋防蝕
    方法。
  7. 【請求項7】 鉄筋コンクリート建造物に外部直流電源
    を接続して、当該建造物のコンクリート壁面をアノード
    に、また、鉄筋をカソードに各々設定し、鉄筋をカソー
    ド分極する際に、外部直流電源による通電を一時的に停
    止して、この外部直流電源系に組み込んだセンサーで上
    記建造物内の腐蝕電流又は電圧の有・無を検知すること
    を特徴とする鉄筋コンクリート建造物における鉄筋の腐
    蝕状態検出方法。
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