JP3556631B2 - コンクリート修復時の鉄筋防食法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は,既設コンクリートの断面修復時の鉄筋防食法に関する。
【0002】
【従来の技術】
コンクリート構造物は,二酸化炭素,酸素,塩化物イオン,水などの劣化因子の浸入や拡散によってコンクリート中の鋼材が腐食し,その体積増などが原因してコンクリートにひび割れを発生させることがある。これを放置しておくとひび割れからの劣化因子の浸入や拡散が進行して劣化が加速し,構造物としての機能を損なうおそれがある。
【0003】
このような劣化部分の修復法として断面修復工法が普通に行われている。この工法は,劣化を起こした不健全部をはつり取り,露出した鉄筋に対して亜硝酸系などの防錆剤で防錆処理を行ったあと,そのはつり取った凹部(欠損部)に断面修復材料を装填するのが一般的である。
【0004】
この断面修復材料としては,樹脂系のものとし,SBR系,EVA系,PAE系などのポリマーセメント(防せい剤添加系,再乳化型粉末樹脂配合系を含む)に類するものと,ポリエステル樹脂系,エポキシ樹脂系,アクリル樹脂系などのポリマーモルタル(レジンモルタル)に類するものが知られている。またセメント系の修復材料としては普通ポルトランドセメント,早強ポルトランドセメント,超速硬セメントなどのセメント,骨材,コンクリート用混和剤などを配合した普通セメントモルタルまたはコンクリート等が知られている。
【0005】
いずれの修復材料を使用するにしても,旧コンクリートと修復材料とを完全に一体化させることは一般に困難である。旧コンクリートでは水和反応が既に終結してしまったものであり,あとで打ち込む修復材料とは,物理的・化学的にも,環境的にも同じ条件とはなり得ないからである。このことが,鉄筋の腐食を促進させることがある。
【0006】
すなわち,既設コンクリートの内部鉄筋は,断面修復を行ったあとでは,旧コンクリートと修復材料とに跨がった状態となり,両方の材料に接している鉄筋の表面において電位差が生じ,一方の材料に接する部分がアノード,他方がカソードとなる電池(マクロセル電池と呼ばれる)を形成して鉄筋の腐食が進行するようになる。修復した箇所の鉄筋が特に腐食し易いという現象は,修復の効果を半減する結果となるので非常に厄介である。
【0007】
このようなマクロセル電池の形成を阻止するには,鉄より卑な金属を防食用具として内部鉄筋に接合し,この防食用具で腐食を行わせる(卑な金属を優先的に酸化させる)方法が効果的である。このような防食用具を用いて鉄筋防食を図ること自体は良く知られており,例えば特表平8−511581号公報には,このような防食法に適する防食用具,並びにその使用の仕方例えば材料内に埋設しておく防食法等が記載されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
鉄筋腐食が主原因となっているコンクリートのひび割れ箇所の修復には,まずその欠陥部のコンクリートをはつり取ることが必要である。そして,露出鉄筋に防錆処理を施し,さらに露出鉄筋に防食用具を接続したあと,この防食用具を埋設するようにはつり箇所に修復材料を装填する場合には,この防食用具の効果を半永久的にするために,比較的大きな防食用具でなければならない。事実,市販されているコンクリート鉄筋用の防食用具は,最も小さいもので,厚さ3cm,直径6cm程度である。
【0009】
ところが,鉄筋腐食が原因のひび割れ箇所またはひび割れのおそれのある箇所は,鉄筋からコンクリート表面までの距離(コンクリートのかぶり厚)が高々3〜6cm程度のところが多いのが実状である。したがって,このような欠陥部分の断面修復時に,修復材料のかぶり内に市販の防食用具を取り付けることは実際上は困難である。
【0010】
他方,より形状の小さい少量の防食用具を取り付けたのでは防食性能を維持する期間が短くなることが考えられる。防食性能が枯渇するとマクロセル電池の形成により腐食が促進され,再び断面修復を行わねばならなくなるが,再度のはつり作業を行うことは先に行った断面修復工の不備を問われることになり,好ましいことではない。
【0011】
したがって,本発明の課題は,このような問題を解決し,鉄筋腐食が原因のひび割れ箇所の修復において,マクロセル電池の形成を阻止して鉄筋腐食を半永久的に防食できるように健全に修復することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば,既設コンクリートの欠陥部のコンクリートを取り除いて形成された鉄筋露出凹部に修復材料を装填するさいに,その修復材料装填部の表面部に,犠牲陽極を備えた防食用具の設置空間を形成するコンクリートの修復工法であって,該凹部に露出する鉄筋に導電線の一端を接続し,この導電線の他端が該防食用具設置空間に引き出されるように該凹部に修復材料を装填し,該防食用具設置空間内に防食用具を取替え可能に据え付けることを特徴とするコンクリート修復時の鉄筋防食法を提供する。さらに,本発明によれば,既設コンクリートの欠陥部のコンクリートを取り除いて形成された鉄筋露出凹部に修復材料を装填するさいに,その修復材料装填部の表面部に,犠牲陽極を備えた防食用具を設置するコンクリートの修復工法であって,該凹部に露出する鉄筋に導電線の一端を接続し,この導電線の他端が該修復材料の表面より外部に引き出されるように該凹部に修復材料を装填し,この導電線の他端に該防食用具を取替え可能に設置することを特徴とするコンクリート修復時の鉄筋防食法を提供する。
【0013】
ここで,防食用具は,多孔質材料で被覆された鉄より卑な金属からなり,具体的には多孔質のセメント系モルタルで被覆された亜鉛または亜鉛合金からなる。充填材料の装填部に形成する防食用具設置空間に対して防食用具を取替え可能に据え付けるには,それ自身では接着機能がないか,または接着機能が弱い非接着性吸湿材(吸水性物質またはゲル状物質)を介して防食用具を据え付ける方法を採用する。或いは,非接着性吸湿材が介在する部分と,軟接着剤が介在する部分を設けて,防食用具を該空間内に据え付ける方法でもよい。また,防食用具設置空間の内面に多孔質材料からなるライニング層を設け,防食用具と該ライニング層との間に非接着性吸湿材を介在させる構成としてもよい。導電線については,防食用具設置空間内において断続自在のコネクターを備えておくと,取替え時の導電線の接続が確実に行える。防食用具を据え付けるさいには,防食用具を被覆している多孔質材料にアルカリ物質を含浸させておくのが好ましい。またその全体の厚みは20mm以下であるのがよい。
【0014】
【発明の実施の形態】
断面修復工法では,劣化を起こした不健全な部分のコンクリートをはつり取って鉄筋を露出させた凹部(欠損部)に修復材料を打ち込むことが行われる。既設コンクリートの不健全な部分は局所に点在して発生し,不健全の程度もまちまちである。このため,はつり取った凹部の大きさやその形状,鉄筋の露出状態等もそれぞれが異なっている。
【0015】
このため,マクロセル作用による腐食電流を防止すべく,局所的で小規模な断面修復箇所ごとに防食用具を設置する場合には,その機能が何時まで維持できるかは,設置してみなくては判らないのが実際のところである。とくに,かぶりが少ないところでは,小さな防食用具しか取り付けられないのでなおさらである。そこで,本発明では,いったん修復した箇所を再び“はつる”ようなことはしないで,必要なときに防食用具だけを取替えできるように,防食用具を据え付けるようにした。また,鉄筋の電位の測定を何時でもできるようにして防食効果を確認できるようにした。
【0016】
図面に従って,本発明による防食用具の取り付け法を以下に具体的に説明しよう。図1は,本発明法で使用する代表的な防食用具5を示す斜視図であり,その全体的な寸法は厚みT=10〜20mm,幅D=20〜50mm,長さL=T×2〜T×7mm程度である。代表的なものはT=20mm,D=40mm,長さL=80mmである。この防食用具は,鉄より卑な金属1を多孔質材料2で被覆してなり,金属1に接続された導電線3a,3bを備えている。各導電線3a,3bには断続用コネクター4a,4bが取り付けられている。
【0017】
図2(a)は,図1に示した防食用具5を既設コンクリートの断面修復部の修復材料表面部に据え付けた状態を示した略断面図である。図2(a)において,6は旧コンクリート部分,7は内部の鉄筋,8は修復材料を示している。修復材料8は,コンクリートをはつり取って形成された凹部(破線9で囲われた部分)に装填されたものであるが,この修復材料8の装填に先立ち,鉄筋7に導電線3a,3bの一端を巻き付けて接続し,この導電線3a,3bの他端が,後述の防食用具の設置空間10(図2の(b)参照)に引き出された状態にしておく。
【0018】
修復材料8の表面部において,防食用具5を取り付けるための防食用具設置空間10を形成し,この防食用具設置空間10内に防食用具5を,接着機能のないか弱い吸水性物質またはゲル状物質(以下,これらを総称して「非接着性吸湿材11」と呼ぶ)と軟接着材12を介して据え付ける。具体的には,防食用具5の多孔質材料2の背面側と防食用具設置空間10の間に非接着性吸湿材11の層を設け,この非接着性吸湿材11の層を取り巻くように,軟接着材12の層を設ける。
【0019】
防食用具設置空間10は,防食用具5が収まるよりもやや大きな窪みとし,防食用具5を収容したときに生ずる隙間にはシール材13を充填する。このシール材13にはコンクリート目地用・防水処理用等に汎用されているシリコーン系樹脂等が使用できる。図2(b)は,防食用具設置空間10にこれらの材料を装填する状況を分解して示したものである。
【0020】
導電線3a,3bについては,コネクター4a,4bの箇所で防食用具5を切り離さないで修復材料の装填作業を行うことも可能であるが,実際には,コネクター4a,4bの箇所で,防食用具5と切り離した状態で,その一端を鉄筋7に接続し,他端を防食用具設置空間10となる部分にまで引き出して修復材料8の装填作業を行うのが好ましい。その後,防食用具設置空間10に引き出した導電線3a,3bの他端と,防食用具5に接続している導電線3a,3bとをコネクター4a,4bを介して接続する。
【0021】
このようにして,最後にシール材13を充填して防食用具5の設置が完了し,これによって,旧コンクリート6の欠陥部分ごとに防食用具付き断面修復がなされることになる。この設置方法では,防食用具5は修復材料8と軟接着材12とシール材13によってその位置が固定されている状況にある。したがって,軟接着材12とシール材13を錐状の刃物で剥がす操作を加えると,防食用具設置空間10から防食用具5がすっぽり剥がれる。導電線3a,3bについては防食用具設置空間10内で切断してもよいが,コネクター4a,4bを付けておけば,そこで切り離せばよい。
【0022】
図3は,装填した修復材料8はそのままにして,防食用具設置空間10から防食用具5を取り外した状態を示している。この状態において,一端が鉄筋7に接続されている導電線3a,3bの他端は防食用具設置空間10まで引き出されている。したがって,新たな防食用具5を,断面修復時の場合と全く同様にして防食用具設置空間10に入れ,旧導電線に新導電線を該空間10内で接続し,非接着性吸湿材11,軟接着材12およびシール材13を用いて固定すれば,修復材料8をはつり取ることなく,防食用具の取替え工事を簡単に実施できる。
【0023】
軟接着材12を用いる代わりに,ソケットとプラグ方式で防食用具5を嵌め込んで固定することもできる。この場合も,修復材料8と防食用具5とは非接着性吸湿材11を介して接続されていることが好ましい。ソケットとプラグはその一方を修復材料8に埋め込み,他方を防食用具5に取り付けておけばよい。ソケットとプラグは絶縁性のある樹脂製のものを使用する。このようなプラスチック製の固定具に代えて,開閉自在の蓋を用いて防食用具5を該空間10内に据え付けるようにしてもよい。
【0024】
このようにして,取替え可能な防食用具5の据え付けが完了するが,所定の時期が経過して防食用具としての効果が薄れた頃に,あるいは点検作業によって防食用具に不具合が見られる場合には,各修復箇所ごとに新たな防食用具と取替え作業を行えば,断面修復箇所のマクロセル電池作用による腐食の進行を半永久的に抑制できる。
【0025】
図4は,本発明に従う別の取替え可能な防食用具の据え付け方法を示したもので,この例では,修復材料8の表面部に形成する防食用具設置空間(図2や図3に10で示したのと同様の空間)に,多孔質材料からなる容器14をセットし,この多孔質容器14内に前記と同様の防食用具5と非接着性吸湿材11を装填したものである。
【0026】
図4の容器14は透水機能をもつ材料で形成されたものである。代表的には多孔質のセメント系モルタルで形成することができる。修復材料8が硬化する前に容器14をセットすると,容器14と修復材料8とは強固に接合することになり,容器14自身は取外しができない状態で固定される。この容器14内に図1の防食用具5と非接着性吸湿材11を装填し,容器14にはカバー15を被せる。このカバー15は仕上げモルタルやペーストであってもよい。容器14内には,図2の場合と同様に導電線3a,3bの他端を引き込んでおき,この他端に防食用具5がコネクター4a,4bを介して接続されている。
【0027】
図4の例では,カバー15を外し,導電線3a,3bを切り離すと,容器14はそのままの位置に残したまま,防食用具5を簡単に取り出すことができ,非接着性吸湿材11も容器14から削り出すことができる。そして,新しい防食用具と非接着性吸湿材11を装填してカバーをかければ取替えが完了する。したがって,この例の場合でもいったん装填された修復材料8をはつり取ることなく,防食用具5の取替え工事を簡単に行うことができ,防食性能の更新を図ることができる。
【0028】
図5は,防食用具5を修復材料8の表面に取替え可能に設置した例を示したものであり,図5において図2のものと同じ番号の部材は図2で説明したものと同じ内容のものである。この場合には,修復材料8内に防食用具設置用空間を形成しなくてもよいので,修復材料8の装填工事が容易になる。
【0029】
図5の場合には,修復箇所の凹部9に露出する鉄筋7に導電線3a,3bの一端を接続したあと,この導電線3a,3bの他端が修復材料8の表面より外部に引き出されるように凹部9に修復材料8を装填し,この導電線の他端3a,3bに防食用具5を取替え可能に設置すれはよい。その設置に際しては,図2で説明した方法をそのまま採用できる。代表的には,図示のように軟接着材12を用いて修復材料8との接合を図ったり,場合によっては,プラスチック製のプラグとソケット方式で固定することもできる。いずれにしても,防食用具5の多孔質材料2が非接着性吸湿材11を介して修復材料8と接続されるように設置するのがよい。導電線3a,3bの他端が修復材料8の表面より外部に引き出されているので,この接続作業は容易となり,またその外部端にコネクター4a.4bを取り付けておけば,取替えにあたっての旧導電線と新導電線との接続も簡易且つ確実に行うことができ,旧導電線に電位計を接続すれば鉄筋の電位の測定も簡単に行うことができる。
【0030】
このようにして,本発明においては,修復材料8の表面部に防食用具5を取替え可能に据え付けるものであるから,内部鉄筋とコンクリート表面までの距離の短い(コンクリートのかぶり厚の少ない)ところで発生することが多い既設コンクリートの欠陥部の断面修復工事においても,小型の防食用具5の取り付けが可能となると共に,その防食機能の更新を簡単に行うことができるようになり,断面修復箇所で多発したマクロセル電池作用による鉄筋腐食を施工性よく防止できる。本発明の前記の施工例において,防食用具5,非接着性吸湿材11(吸水性物質またはゲル状物質),軟接着材12等については,それ自身は知れている,下記のような材料で構成することができる。
【0031】
〔防食用具5について〕
犠牲陽極としての鉄より卑な金属1は,イオン化傾向が鉄より大きい金属,代表的なものとして例えば亜鉛,アルミニウム,マグネシウム等が挙げられる。もちろんこれらの金属を主成分とする合金であってもよい。また,卑な金属1を被覆する多孔質材料2は,湿分の通気ができるに十分な細孔を有し且つ保水機能をもつ材料の層とすればよい。代表的にはこの材料はセメント系モルタルで形成することができる。セメント系モルタルで多孔質材料2を構成する場合,混和材として起泡剤や膨張材,さらには多孔質軽量細骨材を使用したり,練混ぜ法を考慮して,まだ固まらないモルタル中の空気量を調整し,この空気量の多いモルタルで卑な金属を包み込む。これによって,モルタルが硬化した状態では,適度な透水性・保水性を示す多孔質な被覆を形成させることができる。通常のセメント系モルタルでは,硬化した段階でも適度なアルカリ度を示すが,より積極的にpHを上げるために,硬化したモルタル層にアルカリ溶液を含浸させた状態で,使用するのがよい。モルタルの練混ぜにさいして,練混ぜ水としてアルカリ金属を溶解した溶液を使用して硬化させると,これに水を含浸させたさいに,より高いアルカリ性を示すようになる。
【0032】
このように多孔質材料がアルカリ度を有することが,卑な金属の溶出を促進させる。すなわち,被覆層がアルカリ性を維持することにより,卑な金属の表面がその酸化被膜で覆われて不動態化することが防止され,長期にわたって防食用具としての作用を維持させることができる。とくに水酸化ナトリウム(NaOH),水酸化カリウム(KOH),水酸化リチウム(LiOH)等の溶液を含浸させておくと,卑な金属の溶出を促進することができる。このような溶液をモルタルの練混ぜ水として使用したうえ,さらにこれらの溶液を硬化した多孔質モルタルの被覆中に含浸させて,鉄筋と卑な金属とを導通させた状態で,断面修復材料の内部に埋設するか,その外部に設置して,鉄筋に対する防食用具を形成するのが好ましい。
【0033】
〔非接着性吸湿材11について〕
非接着性吸湿材11は,防食用具5を取外し可能にしながら且つ修復材料8と防食用具5との間でイオン移動の導通が妨げられないか,むしろイオン移動の導通を促進する材料で構成する。このため,接着機能はないかまたは弱い吸水性物質またはゲル状物質を使用する。この物質は高pHでも変性しないものであるのが好ましい。吸水性物質としては潮解性のある無機化合物例えば塩化カルシウム,塩化マグネシウムおよびこれに類する化合物,或いは除湿材として使用されている塩化リチウムなどが挙げられる。ゲル状物質としては,シリカゲル,ゲル状の吸水性樹脂,ゲル状の水溶性高分子,粘土,ベントナイト,微粉状のゼオライトや珪藻土などが挙げられる。
【0034】
〔軟接着材12について〕
軟接着材12は,防食用具5が修復材料の空間10から落下しないように固定するものであり,そのために接着機能を有することが肝要であるが,その機能があまり強いと防食用具5の取替えが困難になるので,その接着層を刃物等で簡単に破壊できる程度の軟接着性を示す材料で構成する。この軟接着材としてはアクリル系の接着材等を使用できる。そのほか,ウレタン,エポキシ,EVA等のポリマーディスパージョン,PVA(ポリビニルアルコール),澱粉のり等の天然糊等も使用できる。
【0035】
〔導電線3について〕
防食用具5の導電線3は一本だけでもよいが,複数本防食用具に設けおけば防食用具5の取り付けが安定すると共に防食機能も安定する。この導電線は鉄筋に電気的に導通するように接続することが必要であるが,鉄筋表面のスケール等を落とした金属表面に導電線を巻き付けて接続する方法が作業性の点で好ましい。このため,軟質で且つ鉄との電位が等しいなまし番線などが使用に適する。
【0036】
〔コネクター4について〕
防食用具5に接続された導電線3において,防食用具5の側に近い位置で導電線3を自在に断続できるコネクター4を取り付けておくと,修復材料8の装填時には,このコネクター4の部分で防食用具5の本体を切り離しておくことができ,これによって,修復材料8の装填作業に対して防食用具5の存在が支障となることが防止される。また,防食用具5の取替え時の旧導電線との接続も簡単に行える。コネクター4の構造については特に限定されるものではないが,ワンタッチ式の構造のものが便利である。コネクター4を取り付けておかなくとも,本発明は実施可能であり,適当なところで導電線3を切断し,それを接合するときには,切断された導電線3の端部同士を互いに捩じり結びして接合を図ってもよい。
【0037】
【発明の効果】
以上説明したように,本発明によると,コンクリートのかぶりが浅くて鉄筋腐食が進行しやすい箇所での断面修復工事において,その箇所ごとに鉄筋防食のための犠牲陽極を簡単に取り付けることができるようになり,断面修復した結果,その箇所にマクロセル電池が形成して腐食がかえって進行するという現象を抑制することができるようになった。また,小さな犠牲陽極の使用により,かぶりが浅いところでも,取り付けが安定して行うことができ,しかも,防食用具本体の取替えに際しては,いったん装填した修復材料をはつり取らなくとも,旧導電線をそのまま利用して,新しい防食用具で簡単に置換できるので,取替え工事が極めて簡易であると共に,修復箇所の鉄筋防食効果を半永久的に持続させることができる点で,既設コンクリートのひび割れ問題の解決に大きく貢献できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明法で使用する代表的な防食用具を示す斜視図である。
【図2】防食用具を既設コンクリートの断面修復部の修復材料表面部に取り付けた状態を示す略断面図(a)および取り付け状態の分解図(b)である。
【図3】防食用具を取り替えるために修復材料から防食用具を取り外した状態を示す略断面図である。
【図4】防食用具を既設コンクリートの断面修復部の修復材料表面部に取り付けた他の状態を示す略断面図である。
【図5】防食用具を既設コンクリートの断面修復部の修復材料の表面に取り付けた状態を示す略断面図(a)および取り付け状態の分解図(b)である。
【符号の説明】
1 犠牲陽極(鉄より卑な金属)
2 多孔質材料
3(3a,3b) 導電線
4(4a,4b) コネクター
5 防食用具
6 旧コンクリート
7 鉄筋
8 修復材料
9 コンクリートをはつり取って形成される凹部
10 防食用具設置空間
11 非接着性吸湿材
12 軟接着材
13 シール材
14 多孔質材料からなる容器
15 カバー(蓋)

Claims (13)

  1. 既設コンクリートの欠陥部のコンクリートを取り除いて形成された鉄筋露出凹部に修復材料を装填するさいに,その修復材料装填部の表面部に,犠牲陽極を備えた防食用具の設置空間を形成するコンクリートの修復工法であって,該凹部に露出する鉄筋に導電線の一端を接続し,この導電線の他端が該防食用具設置空間に引き出されるように該凹部に修復材料を装填し,該防食用具設置空間内に防食用具を取替え可能に据え付けることを特徴とするコンクリート修復時の鉄筋防食法。
  2. 既設コンクリートの欠陥部のコンクリートを取り除いて形成された鉄筋露出凹部に修復材料を装填するさいに,その修復材料装填部の表面部に,犠牲陽極を備えた防食用具を設置するコンクリートの修復工法であって,該凹部に露出する鉄筋に導電線の一端を接続し,この導電線の他端が該修復材料の表面より外部に引き出されるように該凹部に修復材料を装填し,この導電線の他端に該防食用具を取替え可能に設置することを特徴とするコンクリート修復時の鉄筋防食法。
  3. 防食用具は,多孔質材料で被覆された鉄より卑な金属からなり,該卑な金属に接続された1本または複数本の導電線を有するものである請求項1または2に記載の鉄筋防食法。
  4. 防食用具は,多孔質のセメント系モルタルで被覆された亜鉛または亜鉛合金からなり,該亜鉛または亜鉛合金に接続された1本または複数本の導電線を有するものである請求項1または2に記載の鉄筋防食法。
  5. 防食用具設置空間に,多孔質材料で被覆された鉄より卑な金属からなる防食用具を,修復材料と該多孔質材料との間に非接着性吸湿材を介して据え付ける請求項1に記載の鉄筋防食法。
  6. 修復材料の表面に,多孔質材料で被覆された鉄より卑な金属からなる防食用具を,該修復材料表面と該多孔質材料との間に非接着性吸湿材を介して設置する請求項2に記載の鉄筋防食法。
  7. 非接着性吸湿材は,吸水性物質またはゲル状物質からなる請求項5または6に記載の鉄筋防食法。
  8. 防食用具設置空間に,多孔質材料で被覆された鉄より卑な金属からなる防食用具を,修復材料と該多孔質材料との間に非接着性吸湿材を介して据え付ける請求項1に記載の鉄筋防食法。
  9. 防食用具設置空間に,多孔質材料で被覆された鉄より卑な金属からなる防食用具を,修復材料と該多孔質材料との間に非接着性吸湿材が介在する部分と軟接着材が介在する部分を設けて据え付ける請求項1に記載の鉄筋防食法。
  10. 防食用具設置空間の内面に多孔質材料からなるライニング層を設け,多孔質材料で被覆された鉄より卑な金属からなる防食用具と該ライニング層との間に非接着性吸湿材を介在させる請求項1に記載の鉄筋防食法。
  11. 導電線は,断続自在のコネクターを備えている請求項1ないし10のいずれかに記載の鉄筋防食法。
  12. 防食用具を被覆している多孔質材料にはアルカリ溶液が含浸される請求項3ないし11のいずれかに記載の鉄筋防食法。
  13. 防食用具は厚みが30mm以下である請求項1ないし12のいずれかに記載の鉄筋防食法。
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