JP6636761B2 - コンクリート構造物の断面修復工法 - Google Patents

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本発明は、コンクリート構造物のコンクリート内部にある鉄筋等の鋼材を腐食から長期間保護する、主に土木・建築分野において用いられる断面修復工法に関するものであって、特に、鋼材よりも標準電極電位の低い金属を犠牲電極として配置し、鋼材と犠牲電極を電気的に接続することにより、コンクリート内部にある鋼材の腐食を防止する断面修復工法に関する。
コンクリート構造物は、コンクリート構造物の内部に、鋼材が埋め込まれており、コンクリートと鋼材が一体となって、外力を受け持つものであるが、現在早期劣化が問題となっている。
コンクリート構造物の劣化要因としては、塩害、中性化、凍害、アルカリ骨材反応、及び化学的コンクリート腐食等が挙げられ、これら劣化に対する選択可能な補修工法として、断面修復工法、表面保護工法、ひび割れ補修工法、除塩工法、及びアルカリ再付与工法等が挙げられている。
塩害等で劣化したコンクリート構造物の補修工法として、一般に断面修復工法が広く用いられている。
断面修復工法は、コンクリート構造物の劣化しているコンクリートをはつり取り、はつり取った部分をポリマーセメントモルタルなどの劣化に対する耐久性の高い材料、断面修復材で埋め戻す工法である。
しかし、断面修復材とコンクリート硬化体との打継界面を貫通する鉄筋において、同じ鉄筋表面で劣化因子の濃度に濃淡が生じてしまう。例えば、塩害では、塩化物イオン量に、また、中性化では、pHに差異が生じる。同じ鉄筋表面でこれらの劣化因子の濃度に差異が生じた場合、主に打継界面付近のコンクリート硬化体側の鉄筋表面にマクロセル腐食が生じることが知られており、これにより断面修復部が施工後数年で再劣化してしまうことがある。
即ち、鉄筋のマクロセル腐食とは、連続する鉄筋の同じ表面において劣化因子の量が部分的に異なる場合に生じ、離れた位置にある陽極部(腐食部)と陰極部(非腐食部)の間をマクロセル電流が流れ、陽極部が腐食する現象である。
このため、土木・建築分野では、鉄よりもイオン化傾向の高い金属を陽極材とした犠牲陽極材を断面修復部に設置することにより、マクロセル腐食を防止する工法が知られている(特許文献1〜特許文献8参照)。
しかしながら、従来の方法は、断面修復材の内部に犠牲陽極材を埋め込むことを前提としており、犠牲陽極材から流れる防食電流は多くが断面修復材内部の鉄筋に流れ込み、最もマクロセル腐食が起こりやすい、打継界面近くのコンクリート硬化体側の鉄筋には、効率的に防食電流が供給されていなかった。また,犠牲陽極材のみでは起電力が小さいため,海岸に設置される桟橋など厳しい塩害を受けるコンクリート構造物などでは鉄筋防食効果が得られにくいという課題があった。また、陽極材が消耗し、防食効果がみられなくなった犠牲陽極材の交換も困難であり、長期耐久性を意図した場合には適用が難しい側面もあった。
特許第5388435号公報 特許第4801051号公報 特許第5437044号公報 特許第5631024号公報 特許第4091953号公報 特許第4648389号公報 特許第4574013号公報 特許第3099830号公報
本発明者は鋭意努力の結果、特定の材料や特定の工法を用いることによって、従来技術の持つ課題を解消し、断面修復工法の施工の際に危惧される鉄筋のマクロセル腐食を防ぎ、かつ、犠牲陽極材4の交換も容易で長期耐久性を考慮した断面修復工法に最適な効果が得られるとの知見を得て本発明を完成するに至った。
本発明は、上記課題を解決するために以下の手段を採用する。
(1)亜鉛又は亜鉛合金の陽極材3と、陽極材3周りに陽極の不導態の生成を避けるのに充分なpHを持った電解質溶液を含有するバックフィル材とで構成された犠牲陽極材4を、コンクリート硬化体2の表面に設置し、コンクリート硬化体2の内部の鉄筋1と犠牲陽極材4を電気的に接続する鉄筋コンクリート構造物の断面修復工法であって、犠牲陽極材4と鉄筋1とを導通させる金属線および/またはリード線の導通部13に、電位差1.0V以上9.0V以下で放電容量300mAh以上20000mAh以下の直流電池12を,陰極を鉄筋に陽極を犠牲陽極材に接続し、かつ、犠牲陽極材4の内部の陽極材3の打継界面側端部5の位置が、断面修復材6とコンクリート硬化体2との打継界面7上、もしくは、打継界面7から30cm以内のコンクリート硬化体2の表面となるように犠牲陽極材4を設置する鉄筋コンクリート構造物の断面修復工法である。
(2)犠牲陽極4の内部の陽極材3の打継界面側端部5の位置が、打継界面7上、もしくは、打継界面7から30cm以内のコンクリート硬化体2の表面となるように犠牲陽極材4を設置し、さらに、コンクリート硬化体2の表面の任意の位置に犠牲陽極材4を設置する前記(1)の断面修復工法である。
(3)犠牲陽極材4が、犠牲陽極材被覆材8で包み込んでなる前記(1)又は(2)の断面修復工法である。
(4)犠牲陽極材被覆材8の比抵抗が1〜300kΩ・cmである前記(3)の断面修復工法である。
(5)犠牲陽極材被覆材8の表面に有機−無機複合型エマルジョンを、1m2あたり50〜500g塗布する前記(3)又は(4)の断面修復工法である。
(6)犠牲陽極材4の表面に永久型枠を設置する前記(3)〜(5)いずれかの断面修復工法である。
(7)鉄筋1と犠牲陽極材4とを電気的に接続する導線が、取替え可能である前記(1)〜(6)いずれかの断面修復工法である。
(8)犠牲陽極材被覆材8が、CaO/Al2O3モル比が0.15〜0.7で、ブレーン比表面積値が2,000〜7,000cm2/gのカルシウムアルミネート化合物を含有する前記(1)〜(7)のいずれかの断面修復工法である。
本発明の断面修復工法は、断面修復工法を実施した際に問題となる鉄筋1のマクロセル腐食を防止し、さらに、犠牲陽極材4の交換も容易に可能な、長期にわたる耐久性を考慮できる断面修復工法である。
は、犠牲陽極材4をコンクリート硬化体2の表面に設置し、直流電池12を接続した供試体の断面図である。
以下、本発明を詳しく説明する。
本発明で使用する部や%は特に規定のない限り質量基準である。
なお、本発明でいうコンクリートとは、セメントペースト、セメントモルタル、及びセメントコンクリートを総称するものである。
本発明では、コンクリート硬化体2の内部の鉄筋1を陰極とし、コンクリート硬化体2の表面に犠牲陽極材4を設置して陽極とし、両者を電気的に接続することにより、鉄筋1に防食電流を供給し、鉄筋1を防食する。
犠牲陽極材4は、電気化学的防食工法で使用される一種であるが、電流量の調整や外部電源のメンテナンスは不要であり、設置後の維持管理の負担が少なく、塩害を受けるコンクリート構造物の断面修復工法と併用することで耐久性の向上が図れるものである。
ここで、陽極材3とは、鉄よりもイオン化傾向が高い金属を含み、鉄よりも先にイオン化することにより、鉄筋1を防食する材料をいう。
陽極材3を構成する金属としては、亜鉛、又は、亜鉛のアルミニウム及び/又はマグネシウム合金が挙げられ、本発明では、使い易さから亜鉛を陽極材3として使用する。
陽極材3の不動態化を避けるため、陽極材3の周囲を、バックフィル材(図示せず)で充分なpHに保持する必要がある。例えば、陽極材3が、亜鉛や、亜鉛−アルミニウム合金の場合には、pH値は13.3以上が好ましく、使用する金属によって不動態化を抑えるためのpH値は異なるが、通常、pH値は12以上である。
陽極材3の周りに付設されるバックフィル材中に含有する電解質溶液のpHが高いため、セメントモルタルなどのバックフィル材が接触するコンクリート部分でアルカリシリカ反応が懸念される。そのため、電解質溶液にアルカリシリカ反応抑制剤を存在させることが好ましい。
アルカリシリカ反応抑制剤としては、電解質溶液のpHの低下を避けるため、リチウムイオンが好ましく、水酸化リチウム、炭酸リチウム、又はリチウム型ゼオライトを使用することが好ましい。
本発明において、コンクリート硬化体2の内部の鉄筋1と、犠牲陽極材4とを電気的に接続する方法は、鉄筋1と犠牲陽極材4を構成する金属とが電気的に導通されていればよく、特に限定されるものではないが、鉄等の金属線の端部を犠牲陽極材4中の金属内に埋め込み、鉄筋1に巻き付ける方法が実用上簡便である。
本発明では、犠牲陽極材4と鉄筋1との導通部13に直流電池12を取り付けることで、犠牲陽極材だけでは対応できなかった厳しい劣化環境条件でも鉄筋防食効果を発揮することができる。具体的には、犠牲陽極材4と鉄筋1とを導通させる金属線および/またはリード線に、陰極を鉄筋側、陽極を犠牲陽極材側として直流電池12を取り付ける。
直流電池12は、電位差が0.5V以上9.0V以下が好ましく、1.0V以上1.5V以下がより好ましい。電位差が0.5V未満では、所定の鉄筋防食効果が得られない場合があり、9.0Vを超えると犠牲陽極材表面に不動態被膜が形成され、犠牲陽極材4の鉄筋防食機能を阻害する場合がある。直流電池から供給する放電容量は、300mAh以上20000mAh以下が好ましく、650mAh以上2500mAh以下がより好ましい。200mAh未満では、所定の鉄筋防食効果が得られない場合があり、20000mAhを超えると犠牲陽極材4が過剰に消耗し、犠牲陽極材の鉄筋防食機能を阻害する場合がある。これらの条件を満たすものであれば,公知のあらゆる電池が使用可能である。具体的には,マンガン乾電池、アルカリマンガン乾電池、ニッケル系一次電池、酸化銀電池、水銀電池、空気亜鉛電池、リチウム電池、海水電池、鉛蓄電池、リチウムイオン二次電池、ニッケル水素蓄電池、ニッケルカドミウム蓄電池、ナトリウム・硫黄蓄電池、ニッケル・亜鉛蓄電池、酸化銀・亜鉛蓄電池、レドックス・フロー電池などを単独または組み合わせて使用可能である.
本発明では、陽極材3表面を不動体被膜の生成を避けるのに充分なpHを持った電解質溶液を含有するセメントモルタルなどのバックフィル材で覆って犠牲陽極材4を作製し、劣化したコンクリート硬化体2の劣化部分をはつり取った後、コンクリート硬化体2の内部の鉄筋1に導線を電気的に接続し、断面修復材6を打設し、断面修復材6の打設後に、陽極材3の打継界面側端部5の位置が、コンクリート硬化体2と断面修復材6の打継界面7から30cm以内の範囲のコンクリート硬化体2の表面となるように、犠牲陽極材4をセメントモルタルなどの犠牲陽極材被覆材8で包み込んで設置し、犠牲陽極材4と導線とを電気的に接続するか、さらには、陽極材3と、断面修復材6を打設した断面修復部内部の鉄筋1を電気的に接続し、陽極材3の表面をバックフィル材で覆って犠牲陽極材4とし、犠牲陽極材4をモルタルなどで包み込む形で、陽極材3の打継界面側端部5の位置が、コンクリート硬化体2と断面修復材6の打継界面7から30cm以内の範囲のコンクリート硬化体2の表面になるように、設置することによって犠牲陽極材4とコンクリート硬化体2の内部の鉄筋1間に防食電流が流れ、コンクリート硬化体2の内部の鉄筋1が防食される。
本発明では、電位を測定することで、鉄筋1の防食効果を確認することができる。
コンクリート硬化体2の内部の鉄筋1に、それより標準電極電位の低い金属を電気的に接続すると、鉄筋1自体の電位が低くなる。そのため、電位を測定することで、その数値から鉄筋防食の有効性が判断できる。
電位の測定は、コンクリート硬化体2の鉄筋のかぶりが小さい方の面の1点を測定点とし、例えば、飽和硫酸銅を用いた照合電極を用いて測定する。このとき犠牲陽極材4と鉄筋1の接続を切り離せるようにしておき、接続を切り離した直後のインスタントオフ電位(Eio電位)と、24時間経過後の電位(24時間後オフ電位、Eof電位)を測定し、これらの差から復極量を算出する。復極量が大きいほど鉄筋1を防食する効果が大きく、一般にコンクリート硬化体2の内部の鉄筋1では100mV以上の復極量が得られれば防食が達成されているとされている。
本発明では、コンクリート硬化体2の表面に設定する犠牲陽極材4の設置位置を規定することにより、鉄筋1のマクロセル腐食を防止する効果を高めている。具体的には、犠牲陽極材4内部の陽極材3の打継界面側端部5の位置が、断面修復材6とコンクリート硬化体2の打継界面7上、もしくは、断面修復材6とコンクリート硬化体2の打継界面7から犠牲陽極材4に内包されている陽極材3の打継界面側端部5までの最短距離が30cm以内であり、陽極材3の打継界面側端部5の位置が、打継界面7から10cm以内の範囲内のコンクリート硬化体2の表面となるように、犠牲陽極材4を設置することが好ましい。この範囲内に犠牲陽極材4の全部もしくは一部がかかっていれば所定の鉄筋1のマクロセル腐食の防止効果が得られるが、この範囲を外して犠牲陽極材4を設置した場合、打継界面7からコンクリート硬化体側の鉄筋1に発生するマクロセル腐食の防止効果が得られない場合がある。
コンクリート硬化体2には、内部に鉄筋1が配置されているため、上記範囲内に犠牲陽極材4を配置し、さらに、コンクリート硬化体2の任意の表面に犠牲陽極材4を設置することは好ましい。コンクリート硬化体2の内部の鉄筋1の真上に設置しなくても、コンクリート硬化体2の内部の鉄筋1と犠牲陽極材4間に電気が流れるため有効である。
本発明では、犠牲陽極材4をコンクリート硬化体2の表面に設置する際に、犠牲陽極材被覆材8で包み込むことが好ましい。
犠牲陽極材被覆材8に用いる材料としては後述する比抵抗を満たせば特に限定されるものではないが、セメントモルタルとすることが好ましい。
犠牲陽極材被覆材8に用いる材料のセメントモルタルに使用するセメントとしては、普通、早強、超早強、低熱、及び中庸熱等の各種ポルトランドセメントや、これらポルトランドセメントに、高炉スラグ、フライアッシュ、又はシリカを混合した各種混合セメント、石灰石粉末や高炉徐冷スラグ微粉末等を混合したフィラーセメント、並びに、都市ゴミ焼却灰や下水汚泥焼却灰を原料として製造された環境調和型セメント(エコセメント)などのポルトランドセメントが挙げられ、これらのうちの一種又は二種以上が使用可能である。
犠牲陽極材被覆材8の比抵抗は、犠牲陽極材4からの防食電流が過剰に供給されることもなく、耐久性が期待でき、マクロセル腐食の防止に必要な防食電流量が供給できる面から、1〜300kΩ・cmが好ましく、10〜100kΩ・cmがより好ましい。
本発明では、犠牲陽極材4を包み込んだ犠牲陽極材被覆材8の表面に、有機‐無機複合型塗膜養生剤を塗布することが可能である。
本発明の有機−無機複合型塗膜養生剤とは、合成樹脂水性分散体、水溶性樹脂、及び膨潤性粘土鉱物を、また、さらに、これらと架橋剤とを主成分とするものである。
ここで、合成樹脂水性分散体とは、一般的には合成樹脂エマルジョンであり、芳香族ビニル単量体、脂肪族共役ジエン系単量体、エチレン系不飽和脂肪酸単量体、及びその他の共重合可能な単量体の内から一種又は二種以上を乳化重合して得られるものである。例えば、スチレンを主体としたスチレン・ブタジエン系ラテックス、スチレン・アクリル系エマルジョンや、スチレンと共重合したメチルメタクリレート・ブタジエン系ラテックス、エチレン・アクリルエマルジョンである。
合成樹脂エマルジョンには、カルボキシル基又はヒドロキシ基を有するものがより望ましい。
ここで、乳化重合とは、重合すべき単量体を混合し、これに乳化剤や重合開始剤等を加え水系で行なう一般的な乳化重合方法である。
膨潤性粘土鉱物との配合安定性を得るには、アンモニア、アミン類、及びカセイソーダなどの塩基性物質を使用し、pH5以上に調整したものが好ましい。
合成樹脂水性分散体の粒子径は、一般的に100〜300nmであるが、60〜100nm程度の小さい粒子径のものが好ましい。
水溶性樹脂としては、加工澱粉又はその誘導体、セルロース誘導体、ポリ酢酸ビニルの鹸化物又はその誘導体、スルホン酸基を有する重合体又はその塩、アクリル酸の重合体や共重合体又はこれらの塩、アクリルアミドの重合体や共重合体、ポリエチレングリコール、及びオキサゾリン基含有重合体等が挙げられ、そのうちの一種又は二種以上の使用が可能である。水溶性樹脂としては、純水への溶解度が常温で1%以上であるものであれば良く、樹脂単位重量当たりの水素結合性基又はイオン性基が10〜60%であることが好ましい。
また、平均分子量は2,000〜1,000,000が好ましい。
水溶性樹脂の使用量は、合成樹脂水性分散体の固形分100部に対して、固形分換算で0.05〜200部が好ましい。
膨潤性粘土鉱物としては、スクメタイト属に属する層状ケイ酸塩鉱物が挙げられる。例えば、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、フッ素雲母、及びベントナイトなどが挙げられる。これらは天然品、合成品、及び加工処理品のいずれであっても使用可能である。そのうち、日本ベントナイト工業会、標準試験方法 JBAS−104−77に準じた方法で測定した膨潤力が20ml/g以上の粘土鉱物、特に、フッ素雲母やベントナイトが好ましい。また、膨潤性粘土鉱物のイオン交換当量は100g当たり、10ミリ当量以上が好ましい。さらに、膨潤性粘土鉱物のアスペクト比が50〜5,000のものが好ましい。
アスペクト比とは、例えば、電子顕微鏡写真等により求めた層状に分散した粘土鉱物の粒子の長さ/厚みの比である。
膨潤性粘土鉱物の使用量は、合成樹脂水性分散体の固形分100部に対して、固形分換算で1〜50部が好ましい。
架橋剤とは、合成樹脂水性分散体や水溶性樹脂が有するカルボキシル基、アミド基、及び水酸基等の親水性官能基と反応して、架橋、高分子化(三次元網目構造化)、又は疎水化するものであり、カルボキシル基と付加反応を起こすオキサゾリン基を有するものが水溶性樹脂をも兼ねるので好ましい。
架橋剤の使用量は、合成樹脂水性分散体と水溶性樹脂の合計の固形分100部に対して、固形分換算で0.01〜30部が好ましい。
本発明では、合成樹脂水性分散体、水溶性樹脂、及び膨潤性粘土鉱物を混合して、また、さらに、これらと架橋剤とを反応させて、有機−無機複合型塗膜養生剤を調製する。
有機−無機複合型塗膜養生剤の合成方法は、水溶性樹脂と膨潤性粘土鉱物をあらかじめ水中で混合した後に、合成樹脂水性分散体と架橋剤を混合する方法が好ましい。
有機−無機複合型塗膜養生剤の被覆方法は、均一に養生被覆膜が形成できる方法であれば特に限定されるものではなく、撒布したり、塗布したり、吹付けしたりすることが可能である。有機−無機複合型塗膜養生剤は、断面修復材6の凝結が終結した後、表面に塗布することが好ましい。例えば、数時間から数日等、時間が経つと、モルタルの表面が乾燥し、ひび割れが発生しやすくなる。このような有機−無機複合型塗膜養生剤としては、電気化学工業社の「RISフルコート」や「クラッコフ」、東亞合成社の「CA2」シリーズなどを用いることができる。
本発明では、犠牲陽極材被覆材8の表面に、有機−無機複合型塗膜養生剤を塗布することにより、長さ変化率をさらに低減してひび割れを抑制するばかりでなく、長期的にコンクリート硬化体2の電気抵抗を一定に保ち、防食効果を高めることができる。
有機−無機複合型塗膜養生剤の使用量は特に限定されるものではないが、長期的に電気抵抗を小さく保つ効果を充分とする面から、セメントモルタル1m2当たり、50〜500gが好ましく、150〜300gがより好ましい。
本発明では、犠牲陽極材被覆材8の表面には、永久型枠を設置することによりその防食効果がより高まる。
永久型枠とは、型枠工事などの際に、打設をした後もコンクリート硬化体2の表面から取りはずすことがなく構造物の一部として使用することができる型枠のことであり、ここでは犠牲陽極材被覆材8を被覆する際に用いる型枠が該当する。
犠牲陽極材被覆材8の表面を永久型枠にすることにより、型枠が犠牲陽極材被覆材8からの水分逸散を抑制し、長期的にモルタルの比抵抗を一定に保つ効果が期待できる。
型枠に用いる材料としては、使用できれば、既存のいかなるものでも使用可能であるが、鉄板などの金属は腐食が考えられるため、プラスチック材料が好ましく、フッ素樹脂や塩化ビニルなどの耐候性に富むものがより好ましい。
本発明では、犠牲陽極材被覆材8に、カルシウムアルミネート化合物を混和することにより耐久性を高めることができる。
カルシウムアルミネート化合物(以下、CA化合物という)とは、カルシアを含む原料と、アルミナを含む原料等を混合して、キルンでの焼成や電気炉での溶融等の熱処理をして得られる、CaOとAl2O3を主成分とする化合物を総称するものである。
本発明では、CA化合物の化学組成がCaO/Al2O3モル比で0.15〜0.7の範囲にある。CA化合物が、例えば、SiO2やR2O(Rはアルカリ金属)を含有していても、本発明の目的を損なわない限り使用可能である。
本発明のCA化合物のCaO/Al2O3モル比は、塩化物イオンの遮蔽効果が充分に得られる面や、急硬性や可使時間確保の面から、0.15〜0.7が好ましく、0.4〜0.6がより好ましい。
本発明のCA化合物の粉末度は、ブレーン比表面積値(以下、ブレーン値という)で、塩化物イオンの遮蔽効果が充分に得られる面や、急硬性や可使時間確保の面から、2,000〜7,000cm2/gが好ましく、3,000〜6,000cm2/gがより好ましい。
また、CA化合物の混和量は、セメント100部に対して、2〜20部が好ましく、5〜10部がより好ましい。
本発明で使用する鉄筋1や犠牲陽極材4に接続し、導通させる金属線および/またはリード線は、市販のいかなるものでも使用可能であるが、長期耐久性を考慮し、チタン製の金属線やリード線の場合は、被覆材がフッ素樹脂やポリエチレンなどの耐久性の高いものが好ましい。また、コネクタなどを取り付け、取替えが容易な構造になるものが好ましい。
本発明で使用する断面修復材6は、断面修復に使用できれば、特に限定されるものではなく、既存のいかなるものも使用可能であるが、長期耐久性やコンクリート硬化体2との一体性を考慮した適量のセメント混和用ポリマーを混和したポリマーセメントモルタルが好ましい。
以下、実施例、比較例を挙げてさらに詳細に本発明の内容を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
「実験例1」
供試体としては、図1に示すように、部分断面修復を模擬し、セメントコンクリート硬化体2に断面修復材6を打ち継ぐような形で100×100×1,000mm供試体を作製した。供試体作製は20℃の恒温室内にて実施した。
内部には10本の鉄筋1を配置しており、各々の鉄筋間と供試体端部はエポキシ樹脂11を充填し、電気的に絶縁した。長さ75mmの10本の鉄筋1は、断面修復材6側から、鉄筋No.1、鉄筋No.2、鉄筋No.3、・・・鉄筋No.10とし、鉄筋間隔を20mmとした。各々の鉄筋1について電気化学的測定を行うことで、犠牲陽極材4の防食範囲を明確にすることが可能となる。
図1の供試体は、コンクリートを打設後、翌日に脱型し、コンクリート硬化体2の端部に断面修復材6を打設し、10×10×1,000mmの供試体を作製し、その翌日に犠牲陽極材4を鉄筋No.2のかぶり側真上に設置した。犠牲陽極材4に被覆した犠牲陽極材被覆材8の大きさは、直径9cm×高さ5cmの円柱状で、中央部に犠牲陽極材4を配置した。犠牲陽極材4は、鉄筋No.2の直上、すなわち、打継界面から3cm離れたコンクリート硬化体2の表面に、犠牲陽極材4に内包される陽極材3の打継界面側端部5がくるように設置した。
犠牲陽極材と鉄筋の導通には市販のポリエチレン製の被覆材のリード線を用いた。リード線には市販の電池ケースを取り付け、直流電池12の陰極を鉄筋1に同じく陽極を犠牲陽極材4となるように接続させた、試験中において電池の取替えは行わなかった。
コンクリート硬化体2と断面修復材6との打継界面7の処理は、60番のサンドペーパーで目粗し処理した後、プライマーは使用せず水湿しのみを行い、断面修復材6を打設した。供試体作製から28日間20℃室内で乾燥養生を行った。養生期間内は、分割鉄筋1どうしの電気的接続は行った(図1のA2〜A10を接続する)が、犠牲陽極材4と鉄筋1との接続は行わなかった。養生完了後、犠牲陽極材4と鉄筋1との接続を行った(図1のA1を接続する)後、35℃、90%RHの恒温恒湿室内に供試体を静置し、電位測定の試験を開始した。
コンクリート配合は、表1に示す圧縮強度24N/mm2と、PC構造物で通常規定される強度である40N/mm2の二種類とした。混和する塩化物イオン量は15kg/m3を目標として試薬のNaClを外割で混和した。なお、目標スランプは12±2.5cmとした。
試験開始から、1か月ごとに12ヶ月まで電位を測定した。電位測定の準備として、前日に濡れタオルを供試体にかけ、測定位置のコンクリートを充分に湿らせた。
電位の測定は、図1で示す★印の電位・分極抵抗値測定点9の位置で照合電極を押し当て、セメントコンクリート硬化体2の内部の鉄筋1又は犠牲陽極材4の電位をデジタルマルチメータの電圧測定モードにて測定した。なお、使用したデジタルマルチメータの電圧の分解能は0.1mVで、確度は±0.5%である。照合電極には飽和硫酸銅電極(CSE電極)を用いた。電位は犠牲陽極材4と鉄筋1を接続したままの状態のEon電位、犠牲陽極材4と鉄筋1とを切断した直後のEio電位、及び犠牲陽極材4と鉄筋1とを切断してから24時間後のEof電位を測定し、Eio電位からEof電位の差を復極量として算出した。試験結果は、12ヶ月時点で復極量が100mVを示す鉄筋番号で評価した。結果を表2に示す。
(使用材料)
セメント(C):普通ポルトランドセメント、市販品、密度3.15g/cm3
細骨材(S):新潟県姫川産川砂、密度2.62g/cm3
粗骨材(G):新潟県姫川産砕石、Gmax15mm、密度2.66g/cm3
混和材(Add):メラミンスルホン酸塩系高性能減水剤
NaCl :試薬1級
犠牲陽極材α:直径3.9cm×高さ0.7cmの円盤状の亜鉛塊を2本の軟鋼線で導通させ、砂/セメント比3/1、水/セメント比60%のモルタルで、練り混ぜ水は飽和水酸化リチウム水溶液を用いて、モルタル内部のpHが常に13以上になるようにしたバックフィル材で被覆し、直径6cm×高さ3.5cmの円柱状としたもの
犠牲陽極材被覆材A:砂/セメント比=1/1、水/セメント比=60%の普通セメントを用いたモルタルで、材齢28日の比抵抗が20kΩ・cmのもの
直流電池A:市販のアルカリマンガン単5電池,放電容量750mAh,電圧1.5V
断面修復材:市販のポリアクリル酸エステル(PAE)系ポリマーセメントモルタルで、ポリマー/セメント比(P/C)=5%、水/セメント比(W/C)=45%のもの


1 鉄筋
2 コンクリート硬化体
3 陽極材
4 犠牲陽極材
5 陽極材の打継界面側端部
6 断面修復材
7 打継界面
8 犠牲陽極材被覆材
9 電位・分極抵抗値測定点
10 測定機器接続ポイント
11 エポキシ樹脂
12 直流電池
13 導通部(金属線および/またはリード線)


「実験例2」
実験例1のコンクリート強度が21N/mm2の供試体において、電池の種類を変えたこと以外は実験例1の供試体と同様に行った。結果を表3に示す。
(使用材料)
直流電池B:市販のアルカリマンガン単1電池を2本並列で接続、放電容量30000mAh、電圧1.5V
直流電池C:市販のアルカリマンガン単1電池を1本使用、放電容量15000mAh、電圧1.5V
直流電池D:市販のアルカリマンガン単2電池を1本使用、放電容量6500mAh、電圧1.5V
直流電池E:市販のアルカリマンガン単3電池を1本使用、放電容量2500mAh、電圧1.5V
直流電池F:市販のアルカリマンガン単4電池を1本使用、放電容量1100mAh、電圧1.5V
直流電池G:市販のマンガン単5電池を1本使用、放電容量300mAh、電圧1.5V
直流電池H:市販のアルカリボタン電池、放電容量105 mAh、電圧1.5V


「実験例3」
実験例1の圧縮強度が21N/mm2のコンクリート配合を用いた外部設置供試体において、犠牲陽極材4に内包される陽極材3の打継界面側端部5の位置を、コンクリート硬化体2と断面修復材6との打継界面7からコンクリート側に−5cm、0cm、3cm、10cm、20cm、30cm、及び35cmとしたこと以外は、実験例1の外部設置供試体を使用した実験と同様に行った。
また、犠牲陽極材4を変えて、陽極材3の打継界面側端部5の設置位置を打継界面7から10cmとして同様に実験した。結果を表4に示す。
(使用材料)
犠牲陽極材β:亜鉛金属が90部、アルミニウム金属が10部となるように調合して投入したるつぼを約700℃に熱した電気炉に入れ、溶解し、直径3.9cm×高さ0.7cmの円盤状に成形したものを、砂/セメント比=3/1で、水/セメント比=60%のモルタルで、練り混ぜ水は飽和水酸化リチウム水溶液を用いて、モルタル内部のpHが常に13以上になるようにしたバックフィル材で被覆し、直径6cm×高さ3.5cmの円柱状としたもの
犠牲陽極材γ:亜鉛粉末が90部、マグネシウム粉末が10部となるように調合して投入したるつぼを約700℃に熱した電気炉に入れ、溶解し、直径3.9cm×高さ0.7cmの円盤状に成形したものを、砂/セメント比=3/1で、水/セメント比=60%のモルタルで、練り混ぜ水は飽和水酸化リチウム水溶液を用いて、モルタル内部のpHが常に13以上になるようにしたバックフィル材で被覆し、直径6cm×高さ3.5cmの円柱状としたもの
「実験例4」
実験例1の圧縮強度が21N/mm2のコンクリート配合を用いた外部設置供試体において、犠牲陽極材4の設置位置を鉄筋No.2の直上の他にも設置し、犠牲陽極材4同士を導線で電気的に接続したこと以外は、実験例1の外部設置供試体を使用した実験と同様に行った。結果を表5に示す。


「実験例5」
実験例1の圧縮強度が21N/mm2のコンクリート配合を用いた外部設置供試体において、水/セメント比を変え、炭素繊維の有無で比抵抗を変えた犠牲陽極材被覆材8を使用したこと以外は、実験例1の外部設置供試体を使用した実験と同様に行った。結果を表6に示す。
(使用材料)
犠牲陽極材被覆材B:砂/セメント比=1/1、水/セメント比=70%の普通セメントを用いたモルタルで、炭素繊維を混和し材齢28日の比抵抗が0.1kΩ・cmのもの
犠牲陽極材被覆材C:砂/セメント比=1/1、水/セメント比=70%の普通セメントを用いたモルタルで、材齢28日の比抵抗が1kΩ・cmのもの
犠牲陽極材被覆材D:砂/セメント比=1/1、水/セメント比=65%の普通セメントを用いたモルタルで、材齢28日の比抵抗が10kΩ・cmのもの
犠牲陽極材被覆材E:砂/セメント比=1/1、水/セメント比=50%の普通セメントを用いたモルタルで、材齢28日の比抵抗が100kΩ・cmのもの
犠牲陽極材被覆材F:砂/セメント比=1/1、水/セメント比=40%の普通セメントを用いたモルタルで、材齢28日の比抵抗が300kΩ・cmのもの
犠牲陽極材被覆材G:砂/セメント比=1/1、水/セメント比=30%の普通セメントを用いたモルタルで、材齢28日の比抵抗が500kΩ・cmのもの
「実験例6」
実験例1の圧縮強度が21N/mm2のセメントコンクリート配合を用いた外部設置供試体の犠牲陽極材被覆材8に、有機−無機複合型塗膜養生剤を塗布するか、犠牲陽極材被覆材8を下記に示す永久型枠で覆うようにしたこと以外は実験例1の外部設置供試体を使用した実験と同様に行った。結果を表7に示す。
(使用材料)
有機−無機複合型塗膜養生剤:アクリル樹脂−フッ素雲母の複合型塗膜養生剤
永久型枠A:厚み1mmの鉄板
永久型枠B:厚み1mmのアクリル樹脂
永久型枠C:厚み1mmの塩化ビニル樹脂


「実験例7」
実験例1の圧縮強度が21N/mm2のコンクリート配合を用いた外部設置供試体において、犠牲陽極材被覆材Aに、CaO/Al2O3モル比が異なるCA化合物を、セメント100部に対して、5部混和したこと以外は実験例1の外部設置供試体を使用した実験と同様に行った。結果を表8に示す。
(使用材料)
CA化合物A:CaO/Al2O3モル比0.1、ブレーン値3,000cm2/g
CA化合物B:CaO/Al2O3モル比0.15、ブレーン値3,000cm2/g
CA化合物C:CaO/Al2O3モル比0.4、ブレーン値3,000cm2/g
CA化合物D:CaO/Al2O3モル比0.6、ブレーン値3,000cm2/g
CA化合物E:CaO/Al2O3モル比0.7、ブレーン値3,000cm2/g
CA化合物F:CaO/Al2O3モル比0.8、ブレーン値3,000cm2/g


「実験例8」
実験例1の圧縮強度が21N/mm2のコンクリート配合を用いた外部設置供試体において、犠牲陽極材被覆材Aに、ブレーン値の異なるCA化合物をセメント100部に対して、5部混和したこと以外は実験例1の外部設置供試体を使用した実験と同様に行った。結果を表9に示す。
(使用材料)
CA化合物G:CaO/Al2O3モル比0.4、ブレーン値1,500cm2/g
CA化合物H:CaO/Al2O3モル比0.4、ブレーン値2,000cm2/g
CA化合物C:CaO/Al2O3モル比0.4、ブレーン値3,000cm2/g
CA化合物I:CaO/Al2O3モル比0.4、ブレーン値6,000cm2/g
CA化合物J:CaO/Al2O3モル比0.4、ブレーン値7,000cm2/g
CA化合物K:CaO/Al2O3モル比0.4、ブレーン値8,000cm2/g


本発明の断面修復工法を使用することにより、断面修復工法において再劣化の原因として懸念されるマクロセル腐食が大幅に抑制され、耐久性が大幅に向上する。また、犠牲陽極材4の交換が容易となり、長期耐久性を必要とする場合の維持管理が容易となるので土木、建築分野に好適である。

Claims (5)

  1. 亜鉛又は亜鉛合金の陽極材3と、陽極材3の周りに陽極の不動態の生成を避けるのに充分なpHを持った電解質溶液を含有するバックフィル材とで構成された犠牲陽極材4を、コンクリート硬化体2の表面に設置し、コンクリート硬化体2の内部の鉄筋1と犠牲陽極材4を電気的に接続する鉄筋コンクリート構造物の断面修復工法であって、犠牲陽極材4と鉄筋1とを導通させる金属線および/またはリード線の導通部13に、電位差1.0V以上9.0V以下で放電容量300mAh以上20000mAh以下の直流電池12を、陰極を鉄筋に陽極を犠牲陽極材に接続し、かつ、犠牲陽極材4内部の陽極材3の打継界面側端部5の位置が、断面修復材6とコンクリート硬化体2との打継界面7上、もしくは、打継界面7から20cm以内のコンクリート硬化体2の表面となるように設置し、さらにコンクリート硬化体2の表面の任意の位置に犠牲陽極材4を設置することを特徴とし、
    犠牲陽極材4が、比抵抗が1〜300kΩ・cmである犠牲陽極材被覆材8で包み込まれる、鉄筋コンクリート構造物の断面修復工法。
  2. 犠牲陽極材被覆材8の表面に有機−無機複合型エマルジョンを、1m2あたり50〜500g塗布することを特徴とする請求項1に記載の断面修復工法。
  3. 犠牲陽極材被覆材8の表面に永久型枠を設置することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の断面修復工法。
  4. 鉄筋1と犠牲陽極材4とを電気的に接続する導線が、取替え可能であることを特徴とする請求項1〜請求項3のうちのいずれか1項に記載の断面修復工法。
  5. 犠牲陽極材被覆材8が、CaO/Al2O3モル比が0.15〜0.7で、ブレーン比表面積値が2,000〜7,000cm2/gのカルシウムアルミネート化合物を含有することを特徴とする請求項1〜請求項4のうちのいずれか1項に記載の断面修復工法。
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