JP2003129671A - コンクリート修復時の鉄筋防食法 - Google Patents
コンクリート修復時の鉄筋防食法Info
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Abstract
く,該鉄筋の腐食が進行しやすい既設コンクリートの欠
陥部分を断面修復するさいに,その修復箇所ごとに電気
化学的防食手段を用いて鉄筋防食を図り,且つその防食
手段の取替え更新を簡単に行えるようして修復箇所のマ
クロセル電池作用による鉄筋腐食の促進を半永久的に防
止する。 【解決手段】 既設コンクリートの欠陥部のコンクリー
トを取り除いて形成された鉄筋露出凹部に修復材料を装
填するさいに,その修復材料装填部の表面部に,犠牲陽
極を備えた防食用具の設置空間を形成するコンクリート
の修復工法であって,該凹部に露出する鉄筋に導電線の
一端を接続し,この導電線の他端が該防食用具設置空間
に引き出されるように該凹部に修復材料を装填し,該防
食用具設置空間内に防食用具を取替え可能に据え付ける
ことを特徴とするコンクリート修復時の鉄筋防食法。
Description
の断面修復時の鉄筋防食法に関する。
素,塩化物イオン,水などの劣化因子の浸入や拡散によ
ってコンクリート中の鋼材が腐食し,その体積増などが
原因してコンクリートにひび割れを発生させることがあ
る。これを放置しておくとひび割れからの劣化因子の浸
入や拡散が進行して劣化が加速し,構造物としての機能
を損なうおそれがある。
復工法が普通に行われている。この工法は,劣化を起こ
した不健全部をはつり取り,露出した鉄筋に対して亜硝
酸系などの防錆剤で防錆処理を行ったあと,そのはつり
取った凹部(欠損部)に断面修復材料を装填するのが一
般的である。
とし,SBR系,EVA系,PAE系などのポリマーセ
メント(防せい剤添加系,再乳化型粉末樹脂配合系を含
む)に類するものと,ポリエステル樹脂系,エポキシ樹
脂系,アクリル樹脂系などのポリマーモルタル(レジン
モルタル)に類するものが知られている。またセメント
系の修復材料としては普通ポルトランドセメント,早強
ポルトランドセメント,超速硬セメントなどのセメン
ト,骨材,コンクリート用混和剤などを配合した普通セ
メントモルタルまたはコンクリート等が知られている。
コンクリートと修復材料とを完全に一体化させることは
一般に困難である。旧コンクリートでは水和反応が既に
終結してしまったものであり,あとで打ち込む修復材料
とは,物理的・化学的にも,環境的にも同じ条件とはな
り得ないからである。このことが,鉄筋の腐食を促進さ
せることがある。
は,断面修復を行ったあとでは,旧コンクリートと修復
材料とに跨がった状態となり,両方の材料に接している
鉄筋の表面において電位差が生じ,一方の材料に接する
部分がアノード,他方がカソードとなる電池(マクロセ
ル電池と呼ばれる)を形成して鉄筋の腐食が進行するよ
うになる。修復した箇所の鉄筋が特に腐食し易いという
現象は,修復の効果を半減する結果となるので非常に厄
介である。
るには,鉄より卑な金属を防食用具として内部鉄筋に接
合し,この防食用具で腐食を行わせる(卑な金属を優先
的に酸化させる)方法が効果的である。このような防食
用具を用いて鉄筋防食を図ること自体は良く知られてお
り,例えば特表平8−511581号公報には,このよ
うな防食法に適する防食用具,並びにその使用の仕方例
えば材料内に埋設しておく防食法等が記載されている。
っているコンクリートのひび割れ箇所の修復には,まず
その欠陥部のコンクリートをはつり取ることが必要であ
る。そして,露出鉄筋に防錆処理を施し,さらに露出鉄
筋に防食用具を接続したあと,この防食用具を埋設する
ようにはつり箇所に修復材料を装填する場合には,この
防食用具の効果を半永久的にするために,比較的大きな
防食用具でなければならない。事実,市販されているコ
ンクリート鉄筋用の防食用具は,最も小さいもので,厚
さ3cm,直径6cm程度である。
またはひび割れのおそれのある箇所は,鉄筋からコンク
リート表面までの距離(コンクリートのかぶり厚)が高
々3〜6cm程度のところが多いのが実状である。した
がって,このような欠陥部分の断面修復時に,修復材料
のかぶり内に市販の防食用具を取り付けることは実際上
は困難である。
取り付けたのでは防食性能を維持する期間が短くなるこ
とが考えられる。防食性能が枯渇するとマクロセル電池
の形成により腐食が促進され,再び断面修復を行わねば
ならなくなるが,再度のはつり作業を行うことは先に行
った断面修復工の不備を問われることになり,好ましい
ことではない。
問題を解決し,鉄筋腐食が原因のひび割れ箇所の修復に
おいて,マクロセル電池の形成を阻止して鉄筋腐食を半
永久的に防食できるように健全に修復することにある。
ンクリートの欠陥部のコンクリートを取り除いて形成さ
れた鉄筋露出凹部に修復材料を装填するさいに,その修
復材料装填部の表面部に,犠牲陽極を備えた防食用具の
設置空間を形成するコンクリートの修復工法であって,
該凹部に露出する鉄筋に導電線の一端を接続し,この導
電線の他端が該防食用具設置空間に引き出されるように
該凹部に修復材料を装填し,該防食用具設置空間内に防
食用具を取替え可能に据え付けることを特徴とするコン
クリート修復時の鉄筋防食法を提供する。さらに,本発
明によれば,既設コンクリートの欠陥部のコンクリート
を取り除いて形成された鉄筋露出凹部に修復材料を装填
するさいに,その修復材料装填部の表面部に,犠牲陽極
を備えた防食用具を設置するコンクリートの修復工法で
あって,該凹部に露出する鉄筋に導電線の一端を接続
し,この導電線の他端が該修復材料の表面より外部に引
き出されるように該凹部に修復材料を装填し,この導電
線の他端に該防食用具を取替え可能に設置することを特
徴とするコンクリート修復時の鉄筋防食法を提供する。
れた鉄より卑な金属からなり,具体的には多孔質のセメ
ント系モルタルで被覆された亜鉛または亜鉛合金からな
る。充填材料の装填部に形成する防食用具設置空間に対
して防食用具を取替え可能に据え付けるには,それ自身
では接着機能がないか,または接着機能が弱い非接着性
吸湿材(吸水性物質またはゲル状物質)を介して防食用
具を据え付ける方法を採用する。或いは,非接着性吸湿
材が介在する部分と,軟接着剤が介在する部分を設け
て,防食用具を該空間内に据え付ける方法でもよい。ま
た,防食用具設置空間の内面に多孔質材料からなるライ
ニング層を設け,防食用具と該ライニング層との間に非
接着性吸湿材を介在させる構成としてもよい。導電線に
ついては,防食用具設置空間内において断続自在のコネ
クターを備えておくと,取替え時の導電線の接続が確実
に行える。防食用具を据え付けるさいには,防食用具を
被覆している多孔質材料にアルカリ物質を含浸させてお
くのが好ましい。またその全体の厚みは20mm以下で
あるのがよい。
た不健全な部分のコンクリートをはつり取って鉄筋を露
出させた凹部(欠損部)に修復材料を打ち込むことが行
われる。既設コンクリートの不健全な部分は局所に点在
して発生し,不健全の程度もまちまちである。このた
め,はつり取った凹部の大きさやその形状,鉄筋の露出
状態等もそれぞれが異なっている。
を防止すべく,局所的で小規模な断面修復箇所ごとに防
食用具を設置する場合には,その機能が何時まで維持で
きるかは,設置してみなくては判らないのが実際のとこ
ろである。とくに,かぶりが少ないところでは,小さな
防食用具しか取り付けられないのでなおさらである。そ
こで,本発明では,いったん修復した箇所を再び“はつ
る”ようなことはしないで,必要なときに防食用具だけ
を取替えできるように,防食用具を据え付けるようにし
た。また,鉄筋の電位の測定を何時でもできるようにし
て防食効果を確認できるようにした。
り付け法を以下に具体的に説明しよう。図1は,本発明
法で使用する代表的な防食用具5を示す斜視図であり,
その全体的な寸法は厚みT=10〜20mm,幅D=2
0〜50mm,長さL=T×2〜T×7mm程度であ
る。代表的なものはT=20mm,D=40mm,長さ
L=80mmである。この防食用具は,鉄より卑な金属
1を多孔質材料2で被覆してなり,金属1に接続された
導電線3a,3bを備えている。各導電線3a,3bに
は断続用コネクター4a,4bが取り付けられている。
既設コンクリートの断面修復部の修復材料表面部に据え
付けた状態を示した略断面図である。図2(a)におい
て,6は旧コンクリート部分,7は内部の鉄筋,8は修
復材料を示している。修復材料8は,コンクリートをは
つり取って形成された凹部(破線9で囲われた部分)に
装填されたものであるが,この修復材料8の装填に先立
ち,鉄筋7に導電線3a,3bの一端を巻き付けて接続
し,この導電線3a,3bの他端が,後述の防食用具の
設置空間10(図2の(b)参照)に引き出された状態
にしておく。
を取り付けるための防食用具設置空間10を形成し,こ
の防食用具設置空間10内に防食用具5を,接着機能の
ないか弱い吸水性物質またはゲル状物質(以下,これら
を総称して「非接着性吸湿材11」と呼ぶ)と軟接着材
12を介して据え付ける。具体的には,防食用具5の多
孔質材料2の背面側と防食用具設置空間10の間に非接
着性吸湿材11の層を設け,この非接着性吸湿材11の
層を取り巻くように,軟接着材12の層を設ける。
まるよりもやや大きな窪みとし,防食用具5を収容した
ときに生ずる隙間にはシール材13を充填する。このシ
ール材13にはコンクリート目地用・防水処理用等に汎
用されているシリコーン系樹脂等が使用できる。図2
(b)は,防食用具設置空間10にこれらの材料を装填
する状況を分解して示したものである。
4a,4bの箇所で防食用具5を切り離さないで修復材
料の装填作業を行うことも可能であるが,実際には,コ
ネクター4a,4bの箇所で,防食用具5と切り離した
状態で,その一端を鉄筋7に接続し,他端を防食用具設
置空間10となる部分にまで引き出して修復材料8の装
填作業を行うのが好ましい。その後,防食用具設置空間
10に引き出した導電線3a,3bの他端と,防食用具
5に接続している導電線3a,3bとをコネクター4
a,4bを介して接続する。
填して防食用具5の設置が完了し,これによって,旧コ
ンクリート6の欠陥部分ごとに防食用具付き断面修復が
なされることになる。この設置方法では,防食用具5は
修復材料8と軟接着材12とシール材13によってその
位置が固定されている状況にある。したがって,軟接着
材12とシール材13を錐状の刃物で剥がす操作を加え
ると,防食用具設置空間10から防食用具5がすっぽり
剥がれる。導電線3a,3bについては防食用具設置空
間10内で切断してもよいが,コネクター4a,4bを
付けておけば,そこで切り離せばよい。
して,防食用具設置空間10から防食用具5を取り外し
た状態を示している。この状態において,一端が鉄筋7
に接続されている導電線3a,3bの他端は防食用具設
置空間10まで引き出されている。したがって,新たな
防食用具5を,断面修復時の場合と全く同様にして防食
用具設置空間10に入れ,旧導電線に新導電線を該空間
10内で接続し,非接着性吸湿材11,軟接着材12お
よびシール材13を用いて固定すれば,修復材料8をは
つり取ることなく,防食用具の取替え工事を簡単に実施
できる。
とプラグ方式で防食用具5を嵌め込んで固定することも
できる。この場合も,修復材料8と防食用具5とは非接
着性吸湿材11を介して接続されていることが好まし
い。ソケットとプラグはその一方を修復材料8に埋め込
み,他方を防食用具5に取り付けておけばよい。ソケッ
トとプラグは絶縁性のある樹脂製のものを使用する。こ
のようなプラスチック製の固定具に代えて,開閉自在の
蓋を用いて防食用具5を該空間10内に据え付けるよう
にしてもよい。
の据え付けが完了するが,所定の時期が経過して防食用
具としての効果が薄れた頃に,あるいは点検作業によっ
て防食用具に不具合が見られる場合には,各修復箇所ご
とに新たな防食用具と取替え作業を行えば,断面修復箇
所のマクロセル電池作用による腐食の進行を半永久的に
抑制できる。
食用具の据え付け方法を示したもので,この例では,修
復材料8の表面部に形成する防食用具設置空間(図2や
図3に10で示したのと同様の空間)に,多孔質材料か
らなる容器14をセットし,この多孔質容器14内に前
記と同様の防食用具5と非接着性吸湿材11を装填した
ものである。
成されたものである。代表的には多孔質のセメント系モ
ルタルで形成することができる。修復材料8が硬化する
前に容器14をセットすると,容器14と修復材料8と
は強固に接合することになり,容器14自身は取外しが
できない状態で固定される。この容器14内に図1の防
食用具5と非接着性吸湿材11を装填し,容器14には
カバー15を被せる。このカバー15は仕上げモルタル
やペーストであってもよい。容器14内には,図2の場
合と同様に導電線3a,3bの他端を引き込んでおき,
この他端に防食用具5がコネクター4a,4bを介して
接続されている。
3a,3bを切り離すと,容器14はそのままの位置に
残したまま,防食用具5を簡単に取り出すことができ,
非接着性吸湿材11も容器14から削り出すことができ
る。そして,新しい防食用具と非接着性吸湿材11を装
填してカバーをかければ取替えが完了する。したがっ
て,この例の場合でもいったん装填された修復材料8を
はつり取ることなく,防食用具5の取替え工事を簡単に
行うことができ,防食性能の更新を図ることができる。
取替え可能に設置した例を示したものであり,図5にお
いて図2のものと同じ番号の部材は図2で説明したもの
と同じ内容のものである。この場合には,修復材料8内
に防食用具設置用空間を形成しなくてもよいので,修復
材料8の装填工事が容易になる。
する鉄筋7に導電線3a,3bの一端を接続したあと,
この導電線3a,3bの他端が修復材料8の表面より外
部に引き出されるように凹部9に修復材料8を装填し,
この導電線の他端3a,3bに防食用具5を取替え可能
に設置すれはよい。その設置に際しては,図2で説明し
た方法をそのまま採用できる。代表的には,図示のよう
に軟接着材12を用いて修復材料8との接合を図った
り,場合によっては,プラスチック製のプラグとソケッ
ト方式で固定することもできる。いずれにしても,防食
用具5の多孔質材料2が非接着性吸湿材11を介して修
復材料8と接続されるように設置するのがよい。導電線
3a,3bの他端が修復材料8の表面より外部に引き出
されているので,この接続作業は容易となり,またその
外部端にコネクター4a.4bを取り付けておけば,取
替えにあたっての旧導電線と新導電線との接続も簡易且
つ確実に行うことができ,旧導電線に電位計を接続すれ
ば鉄筋の電位の測定も簡単に行うことができる。
材料8の表面部に防食用具5を取替え可能に据え付ける
ものであるから,内部鉄筋とコンクリート表面までの距
離の短い(コンクリートのかぶり厚の少ない)ところで
発生することが多い既設コンクリートの欠陥部の断面修
復工事においても,小型の防食用具5の取り付けが可能
となると共に,その防食機能の更新を簡単に行うことが
できるようになり,断面修復箇所で多発したマクロセル
電池作用による鉄筋腐食を施工性よく防止できる。本発
明の前記の施工例において,防食用具5,非接着性吸湿
材11(吸水性物質またはゲル状物質),軟接着材12
等については,それ自身は知れている,下記のような材
料で構成することができる。
鉄より卑な金属1は,イオン化傾向が鉄より大きい金
属,代表的なものとして例えば亜鉛,アルミニウム,マ
グネシウム等が挙げられる。もちろんこれらの金属を主
成分とする合金であってもよい。また,卑な金属1を被
覆する多孔質材料2は,湿分の通気ができるに十分な細
孔を有し且つ保水機能をもつ材料の層とすればよい。代
表的にはこの材料はセメント系モルタルで形成すること
ができる。セメント系モルタルで多孔質材料2を構成す
る場合,混和材として起泡剤や膨張材,さらには多孔質
軽量細骨材を使用したり,練混ぜ法を考慮して,まだ固
まらないモルタル中の空気量を調整し,この空気量の多
いモルタルで卑な金属を包み込む。これによって,モル
タルが硬化した状態では,適度な透水性・保水性を示す
多孔質な被覆を形成させることができる。通常のセメン
ト系モルタルでは,硬化した段階でも適度なアルカリ度
を示すが,より積極的にpHを上げるために,硬化した
モルタル層にアルカリ溶液を含浸させた状態で,使用す
るのがよい。モルタルの練混ぜにさいして,練混ぜ水と
してアルカリ金属を溶解した溶液を使用して硬化させる
と,これに水を含浸させたさいに,より高いアルカリ性
を示すようになる。
ることが,卑な金属の溶出を促進させる。すなわち,被
覆層がアルカリ性を維持することにより,卑な金属の表
面がその酸化被膜で覆われて不動態化することが防止さ
れ,長期にわたって防食用具としての作用を維持させる
ことができる。とくに水酸化ナトリウム(NaOH),
水酸化カリウム(KOH),水酸化リチウム(LiO
H)等の溶液を含浸させておくと,卑な金属の溶出を促
進することができる。このような溶液をモルタルの練混
ぜ水として使用したうえ,さらにこれらの溶液を硬化し
た多孔質モルタルの被覆中に含浸させて,鉄筋と卑な金
属とを導通させた状態で,断面修復材料の内部に埋設す
るか,その外部に設置して,鉄筋に対する防食用具を形
成するのが好ましい。
吸湿材11は,防食用具5を取外し可能にしながら且つ
修復材料8と防食用具5との間でイオン移動の導通が妨
げられないか,むしろイオン移動の導通を促進する材料
で構成する。このため,接着機能はないかまたは弱い吸
水性物質またはゲル状物質を使用する。この物質は高p
Hでも変性しないものであるのが好ましい。吸水性物質
としては潮解性のある無機化合物例えば塩化カルシウ
ム,塩化マグネシウムおよびこれに類する化合物,或い
は除湿材として使用されている塩化リチウムなどが挙げ
られる。ゲル状物質としては,シリカゲル,ゲル状の吸
水性樹脂,ゲル状の水溶性高分子,粘土,ベントナイ
ト,微粉状のゼオライトや珪藻土などが挙げられる。
は,防食用具5が修復材料の空間10から落下しないよ
うに固定するものであり,そのために接着機能を有する
ことが肝要であるが,その機能があまり強いと防食用具
5の取替えが困難になるので,その接着層を刃物等で簡
単に破壊できる程度の軟接着性を示す材料で構成する。
この軟接着材としてはアクリル系の接着材等を使用でき
る。そのほか,ウレタン,エポキシ,EVA等のポリマ
ーディスパージョン,PVA(ポリビニルアルコー
ル),澱粉のり等の天然糊等も使用できる。
3は一本だけでもよいが,複数本防食用具に設けおけば
防食用具5の取り付けが安定すると共に防食機能も安定
する。この導電線は鉄筋に電気的に導通するように接続
することが必要であるが,鉄筋表面のスケール等を落と
した金属表面に導電線を巻き付けて接続する方法が作業
性の点で好ましい。このため,軟質で且つ鉄との電位が
等しいなまし番線などが使用に適する。
続された導電線3において,防食用具5の側に近い位置
で導電線3を自在に断続できるコネクター4を取り付け
ておくと,修復材料8の装填時には,このコネクター4
の部分で防食用具5の本体を切り離しておくことがで
き,これによって,修復材料8の装填作業に対して防食
用具5の存在が支障となることが防止される。また,防
食用具5の取替え時の旧導電線との接続も簡単に行え
る。コネクター4の構造については特に限定されるもの
ではないが,ワンタッチ式の構造のものが便利である。
コネクター4を取り付けておかなくとも,本発明は実施
可能であり,適当なところで導電線3を切断し,それを
接合するときには,切断された導電線3の端部同士を互
いに捩じり結びして接合を図ってもよい。
コンクリートのかぶりが浅くて鉄筋腐食が進行しやすい
箇所での断面修復工事において,その箇所ごとに鉄筋防
食のための犠牲陽極を簡単に取り付けることができるよ
うになり,断面修復した結果,その箇所にマクロセル電
池が形成して腐食がかえって進行するという現象を抑制
することができるようになった。また,小さな犠牲陽極
の使用により,かぶりが浅いところでも,取り付けが安
定して行うことができ,しかも,防食用具本体の取替え
に際しては,いったん装填した修復材料をはつり取らな
くとも,旧導電線をそのまま利用して,新しい防食用具
で簡単に置換できるので,取替え工事が極めて簡易であ
ると共に,修復箇所の鉄筋防食効果を半永久的に持続さ
せることができる点で,既設コンクリートのひび割れ問
題の解決に大きく貢献できる。
視図である。
復材料表面部に取り付けた状態を示す略断面図(a)お
よび取り付け状態の分解図(b)である。
用具を取り外した状態を示す略断面図である。
復材料表面部に取り付けた他の状態を示す略断面図であ
る。
復材料の表面に取り付けた状態を示す略断面図(a)お
よび取り付け状態の分解図(b)である。
Claims (13)
- 【請求項1】 既設コンクリートの欠陥部のコンクリー
トを取り除いて形成された鉄筋露出凹部に修復材料を装
填するさいに,その修復材料装填部の表面部に,犠牲陽
極を備えた防食用具の設置空間を形成するコンクリート
の修復工法であって,該凹部に露出する鉄筋に導電線の
一端を接続し,この導電線の他端が該防食用具設置空間
に引き出されるように該凹部に修復材料を装填し,該防
食用具設置空間内に防食用具を取替え可能に据え付ける
ことを特徴とするコンクリート修復時の鉄筋防食法。 - 【請求項2】 既設コンクリートの欠陥部のコンクリー
トを取り除いて形成された鉄筋露出凹部に修復材料を装
填するさいに,その修復材料装填部の表面部に,犠牲陽
極を備えた防食用具を設置するコンクリートの修復工法
であって,該凹部に露出する鉄筋に導電線の一端を接続
し,この導電線の他端が該修復材料の表面より外部に引
き出されるように該凹部に修復材料を装填し,この導電
線の他端に該防食用具を取替え可能に設置することを特
徴とするコンクリート修復時の鉄筋防食法。 - 【請求項3】 防食用具は,多孔質材料で被覆された鉄
より卑な金属からなり,該卑な金属に接続された1本ま
たは複数本の導電線を有するものである請求項1または
2に記載の鉄筋防食法。 - 【請求項4】 防食用具は,多孔質のセメント系モルタ
ルで被覆された亜鉛または亜鉛合金からなり,該亜鉛ま
たは亜鉛合金に接続された1本または複数本の導電線を
有するものである請求項1または2に記載の鉄筋防食
法。 - 【請求項5】 防食用具設置空間に,多孔質材料で被覆
された鉄より卑な金属からなる防食用具を,修復材料と
該多孔質材料との間に非接着性吸湿材を介して据え付け
る請求項1に記載の鉄筋防食法。 - 【請求項6】 修復材料の表面に,多孔質材料で被覆さ
れた鉄より卑な金属からなる防食用具を,該修復材料表
面と該多孔質材料との間に非接着性吸湿材を介して設置
する請求項2に記載の鉄筋防食法。 - 【請求項7】 非接着性吸湿材は,吸水性物質またはゲ
ル状物質からなる請求項5または6に記載の鉄筋防食
法。 - 【請求項8】 防食用具設置空間に,多孔質材料で被覆
された鉄より卑な金属からなる防食用具を,修復材料と
該多孔質材料との間に非接着性吸湿材を介して据え付け
る請求項1に記載の鉄筋防食法。 - 【請求項9】 防食用具設置空間に,多孔質材料で被覆
された鉄より卑な金属からなる防食用具を,修復材料と
該多孔質材料との間に非接着性吸湿材が介在する部分と
軟接着材が介在する部分を設けて据え付ける請求項1に
記載の鉄筋防食法。 - 【請求項10】 防食用具設置空間の内面に多孔質材料
からなるライニング層を設け,多孔質材料で被覆された
鉄より卑な金属からなる防食用具と該ライニング層との
間に非接着性吸湿材を介在させる請求項1に記載の鉄筋
防食法。 - 【請求項11】 導電線は,断続自在のコネクターを備
えている請求項1ないし10のいずれかに記載の鉄筋防
食法。 - 【請求項12】 防食用具を被覆している多孔質材料に
はアルカリ溶液が含浸される請求項3ないし11のいず
れかに記載の鉄筋防食法。 - 【請求項13】 防食用具は厚みが30mm以下である
請求項1ないし12のいずれかに記載の鉄筋防食法。
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JP2001325158A JP3556631B2 (ja) | 2001-10-23 | 2001-10-23 | コンクリート修復時の鉄筋防食法 |
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JP2001325158A JP3556631B2 (ja) | 2001-10-23 | 2001-10-23 | コンクリート修復時の鉄筋防食法 |
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JP3556631B2 JP3556631B2 (ja) | 2004-08-18 |
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