JPH05194913A - 接着剤組成物 - Google Patents

接着剤組成物

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JPH05194913A
JPH05194913A JP2885092A JP2885092A JPH05194913A JP H05194913 A JPH05194913 A JP H05194913A JP 2885092 A JP2885092 A JP 2885092A JP 2885092 A JP2885092 A JP 2885092A JP H05194913 A JPH05194913 A JP H05194913A
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JP
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meth
acrylate
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peroxide
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JP2885092A
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Yasushi Isobe
安司 磯部
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Toagosei Co Ltd
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Toagosei Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 本発明は、(メタ)アクリロイル基を有する
単量体、有機過酸化物、還元剤及び特定構造のリン酸エ
ステル系化合物からなり、かつ該化合物は、有機重合体
及び無機質ゾルからなる壁膜によるカプセル体として存
在していることを特徴とする接着剤組成物。 【効果】 本発明の接着剤組成物は、接着速度が大き
く、室温下で高い接着強度を発揮し、かつポットライフ
の長いアクリル系接着剤で、特にネジの弛み止め用接着
剤として好適である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は常温硬化型接着剤に関す
るものであり、特に材質による影響を受け難く、接着速
度が大きく、高い接着強度を発現し、かつポットライフ
が長いアクリル系接着剤に関するものである。本発明の
接着剤組成物のうち、化合物〔A〕の他に特に有機過酸
化物をもカプセル体として存在させた一液型接着剤は、
被着材表面に予め塗布して、接着剤組成物による皮膜を
形成させて使用する分野、例えばネジの弛み止め用接着
剤として好適なものである。
【0002】
【従来の技術】従来、ボルト・ナットの固着を目的とす
る常温硬化型接着剤としては、アクリロイル基及び/又
はメタクリロイル基を有する単量体を主体とし、これに
必要に応じ過酸化物或いは還元剤等の硬化促進剤を配合
してなるアクリル系嫌気性接着剤組成物が用いられてき
た。
【0003】しかし上記接着剤組成物は、締結時のボル
ト・ナット間の本質的な締結力を示す破壊トルクは低
く、締結を止めてナットを外そうとする時に要する脱出
トルクが高いという欠点を有するものであった。
【0004】斯かる欠点を解決するためにアクリル系嫌
気性接着剤に、ある種のリン酸エステル系化合物を直接
加えた接着剤組成物が提案されている(特公昭52−3
9694号)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記接
着剤組成物を用いると、破壊トルクの若干の向上は見ら
れるものも、逆に脱出トルクが著しく高くなり、また接
着速度の低下及び接着剤組成物の経時変化が大きく、品
質の安定性を欠くという欠点を有していた。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、化合物〔A〕
以外のアクリロイル基及び/又はメタクリロイル基を有
する単量体(以下「(メタ)アクリレート単量体」と称
する。)と、その100重量部あたり、有機過酸化物
0.2〜10重量部、該有機過酸化物とレドックスを形
成する還元剤(以下「還元剤」と称する。)0.1〜5
重量部、及び化合物〔A〕(以下「リン酸エステル系化
合物」と称する。)0.1〜30重量部からなり、且つ
該化合物は、有機重合体及び無機質ゾルからなる壁膜に
よるカプセル体(以下「複合カプセル体」と称する。)
として存在していることを特徴とする接着剤組成物であ
る。以下、本発明を詳細に説明する。
【0007】((メタ)アクリレート単量体)本発明に
使用される(メタ)アクリレート単量体としては、メチ
ル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレー
ト、n−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキ
シル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル
(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)
アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、ジメチル
アミノエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メ
タ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレー
ト、エトキシエチル(メタ)アクリレート、n−ブトキ
シエチル(メタ)アクリレート、スルホプロピル(メ
タ)アクリレート、スルホエチル(メタ)アクリレー
ト、アセトキシエチル(メタ)アクリレート及びメチル
カルビノール(メタ)アクリレート等のモノ(メタ)ア
クリレート;エチレングリコールジ(メタ)アクリレー
ト、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、
1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、多塩
基酸とポリオール及び(メタ)アクリル酸を脱水縮合し
ポリエステル化反応により得られるポリエステルジ(メ
タ)アクリレート、エポキシ化ビスフェノールAジ(メ
タ)アクリレート、エチレングリコール、ジエチレング
リコール又はトリエチレングリコールとエポキシ化ビス
フェノールAからなる縮合体と(メタ)アクリル酸より
得られるジ(メタ)アクリレート、ジイソシアネート、
グリコール及びヒドロキシアルキル(メタ)アクリレー
トより得られるポリウレタンジ(メタ)アクリレート等
のジ(メタ)アクリレート;更にグリセリン、トリメチ
ロールプロパン又はペンタエリスリトール等と(メタ)
アクリル酸から得られる(メタ)アクリレート構造を2
個以上含む化合物等が挙げられる。
【0008】これらの(メタ)アクリレート単量体のう
ち、エチレングリコール、トリエチレングリコール又は
テトラエチレングリコールのジ(メタ)アクリレート;
エチレングリコール、ジエチレングリコール又はトリエ
チレングリコールとエポキシ化ビスフェノールAからな
る縮合体と(メタ)アクリル酸より得られるジ(メタ)
アクリレートが接着剤組成物とした場合の接着力が大き
く、またポットライフが長くなり好ましい。
【0009】本発明に用いられる(メタ)アクリレート
単量体は、直接本発明を構成する他の成分と物理的に均
一な混合を行えば使用可能であるが、下記の方法で水中
で乳化させると、薬傷の危険性が減り、また塗工性も大
幅に改良することができるので好ましい。即ち、界面活
性剤及び/又は界面活性を持つ重合体水溶液中に高撹拌
下で、(メタ)アクリレート単量体を徐々に添加すれ
ば、該単量体は容易に乳化されるが、界面活性剤を用い
た場合は、乳化液の安定性が悪く、安定性を保つために
は、液の増粘を要するため、界面活性を持つ重合体の使
用の方がより好ましい。
【0010】この際、皮膜形成能を持つ水溶性重合体及
び/又は水分散性重合体を、(メタ)アクリレート単量
体の乳化と同時、又は予め乳化させた後に添加すると、
得られる接着剤組成物は、塗工後の表面が樹脂皮膜で被
われた、所謂ドライタッチな塗工面になり、取り扱い易
くかつ接着剤組成物のポッライフの向上がより一層高ま
るので好ましい。
【0011】また後述のような皮膜形成能を持ち且つ
(メタ)アクリレート単量体を乳化し得る、水溶性又は
水分散性重合体を用いた場合には、一段の方法で乳化と
ドライタッチな塗工面を得ることができるので最も好ま
しい。
【0012】界面活性剤としては、脂肪酸塩、アルキル
硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アル
キルナフタレンスルホン酸塩、アルキルスルホコハク酸
塩、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩、ポリ
オキシエチレンアルキルアリールエーテル、ソルビタン
脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル又はポリオ
キシエチレンアルキルアミン等が挙げられる。
【0013】次に、皮膜形成能を持ち、(メタ)アクリ
レート単量体を水中に乳化し得る重合体は、水溶液状態
又は水分散状態で界面活性があり且つ数平均分子量が3
000〜100000程度の重合体であり、例えば(メ
タ)アクリル酸20〜50重量%を共重合体の構成単位
とするアクリル酸エステル系樹脂、酢酸ビニル系共重合
体或いはメチルビニルエーテル系共重合体、ポリビニル
ピロリドン、ケン化度が70〜99モル%のポリビニル
アルコール、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセ
ルロース、メトキシヒドロキシプロピルセルロース、エ
チレン−マレイン酸無水物共重合体、水溶性又は水とア
ルコールとの混合溶媒に可溶なナイロン重合体、尿素樹
脂、メラミン樹脂、或いはポリエチレンオキサイドとポ
リプロピレンオキサイドとのブロック共重合体等の水溶
性重合体;アクリル酸エステル樹脂エマルジョン、ウレ
タンエマルジョン、クロロプレン共重合体エマルジョン
又はブタジエン−アクリロニトリル共重合体エマルジョ
ン等の水分散性重合体が挙げられる。
【0014】これらの重合体のうちケン化度が70〜9
9モル%のポリビニルアルコール、水溶性又は水とアル
コールとの混合溶媒に可溶なナイロン重合体、若しくは
これらの混合物を用いると、得られた接着剤組成物は、
接着強度が大きく、かつポットライフが長くなり好まし
い。
【0015】(メタ)アクリレート単量体の乳化におい
て、(メタ)アクリレート単量体100重量部に対して
皮膜形成能を持つ水溶性又は水分散性重合体は0.5〜
30重量部配合した接着剤組成物は、これの塗工後に表
面に良好な樹脂皮膜を形成する。より好ましくは2〜2
0重量部である。また(メタ)アクリレート単量体10
0重量部に対して、ベースとなる水は50〜250重量
部の割合で用いることが好ましく、得られたエマルジョ
ンは、B型粘度計により20rpmで3000〜800
00cpsの粘度を示し、かつ乳化された(メタ)アク
リレート単量体の油滴の径は1〜200μmであること
が好ましい。
【0016】(有機過酸化物)本発明で用いる有機過酸
化物としては、ハイドロパーオキサイド、ケトンパーオ
キサイド、ジアルキルパーオキサイド、パーオキシエス
テル或いはジアシルパーオキサイド等を使用することが
できる。ベンゾイルパーオキサイド或いはm−トルオイ
ルパーオキサイドのようなレドックス反応性の強い有機
過酸化物を用いると接着性能は高くなるが、ポットライ
フが短くなるので、下記の方法を用いてカプセル化して
使用するのが好ましい。
【0017】粉末状又は液状の有機過酸化物は、そのま
ま本発明を構成する成分と物理的に均一な混合を行えば
使用可能であるが、コアセルベーション法又は界面活性
法を用いてカプセル化することにより、ポットライフが
良好となり一液型接着剤として更に優れた組成物を得る
ことができる。
【0018】コアセルベーション法を用いる場合は、ゼ
ラチン−アラビアゴム皮膜を付与する方法が挙げられる
が、耐水性を向上させるためにコアセルベーションの
後、尿素−ホルマリン−メラミンのプレポリマーを存在
させて界面重合を続けて行う二段カプセル化法が好まし
い。
【0019】微粉末状の有機過酸化物の場合は、界面重
合法を採用することが好ましい。具体的にはメチロール
化反応で得たpH7.5〜9の尿素−ホルマリンのプレ
ポリマー中に有機過酸化物を分散させてから、pHを2
〜3に下げかつ反応温度を40〜50℃に維持すること
で、メチレン化反応により過酸化物粉末に生成ポリマー
を沈積させながらカプセル化ができ、この方法で生成し
たカプセルは耐水性及び耐油性が優れていて好ましい。
【0020】水中に乳化された(メタ)アクリレート単
量体との混合時の安定性及び接着作業時のカプセル体の
破壊の必要性から、カプセルの粒径は5〜100μmが
好ましく、更にカプセル中における過酸化物の含有量は
5〜30重量%が好ましい。
【0021】有機過酸化物の使用量は(メタ)アクリレ
ート単量体100重量部に対して、0.2〜10重量部
が必要であり、好ましくは0.5〜4重量部である。
0.2重量部に満たないときは接着性能が充分に発揮さ
れず、他方10重量部を超える場合は接着剤組成物のポ
ットライフが著しく低下する恐れがあり各々不適当であ
る。
【0022】(還元剤)通常のレドックス反応に使用さ
れる還元剤、例えばエチレンチオ尿素、ジメチル−p−
トルイジン、p−トリルジエタノールアミン又はo−ス
ルホ安息香酸イミド等が使用できる。当該化合物の使用
量は、(メタ)アクリレート単量体100重量部に対し
て0.1〜5重量部が必要で、好ましくは0.2〜2重
量部である。0.1重量部に満たないときは、室温下で
の接着速度が著しく低下し、他方5重量部を超える場合
はレドックス反応機構のバランスを失い接着剤組成物の
ポットライフが著しく短くなり、各々不適当である。
【0023】(リン酸エステル系化合物)当該化合物の
具体例としては、例えば次の化合物が挙げられる。
【0024】
【化2】
【0025】
【化3】
【0026】
【化4】
【0027】
【化5】
【0028】
【化6】
【0029】
【化7】
【0030】
【化8】
【0031】これらのうち、上記式〔C〕で示される化
合物が保存安定性が良く好ましい。当該化合物は、以下
で述べる構成のカプセル体として配合することが必要で
ある。即ち、これを直接接着剤組成物に配合すると、当
該化合物は接着剤組成物中に存在する還元剤としてのア
ミン類、後述の重合促進剤として用いられる金属塩、或
いは(メタ)アクリレート単量体等と経時的に反応を
し、接着速度の低下或いはポットライフの低下をもたら
すことがあり、またねじの弛み止め用接着剤として用い
た場合には、脱出トルクを上昇させる傾向がある。
【0032】一方、通常のゼラチン又は尿素樹脂壁膜か
らなるカプセル体は、生成時に厳密なpH調整を要する
等カプセル化が難しく、またその生成に長時間を要する
ため、リン酸エステル系単量体が変性する恐れがあり、
更に壁膜の耐油性も劣り、接着剤組成物のポットライフ
が短いという欠点を有する。
【0033】これに対して、当該化合物を複合カプセル
体として使用するときには、接着速度が大きく、高い接
着強度を発現し、かつポットライフの長い接着剤組成物
を得ることができ、ねじの弛み止め用接着剤として用い
ると、締結時には強い固着強度を示し、ナットを外す際
の脱出トルクは小さくなるという理想的な特性を発揮す
る。
【0034】リン酸エステル系化合物は、(メタ)アク
リレート系単量体100重量部に対して0.1〜30重
量部が必要であり、好ましくは0.3〜5重量部であ
る。0.1重量部未満及び30重量部を超えると、接着
強度が低下し不適当である。
【0035】(複合エマルジョン)本発明で配合される
上記リン酸エステル系化合物を芯材とする複合カプセル
体は、その壁膜が有機重合体と無機質ゾルからなるもの
であり、壁膜は耐油性及び耐熱性が高いため、結果とし
て接着剤組成物のポットライフ性を高めることができ
る。該壁膜を無機質ゾルを構成する無機質微粒子を表面
に担持させた有機重合体のエマルジョン(以下「複合エ
マルジョン」と称する。)から形成させる方法は、カプ
セル化が容易で好ましい。
【0036】本発明で壁膜材として用いる有機重合体と
しては、従来知られた熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂を
使用できるが、水中で容易に乳化しゴム弾性を有するも
のが好ましい。このような有機重合体としては、例えば
アクリロニトリル−ブタジエンゴム、アクリルゴム、ス
チレン−ブタジエンゴム又はエチレン−酢酸ビニルゴ
ム;或いは塩化ビニル系樹脂、塩化ビニリデン系樹脂、
フッ素系樹脂、シリコーン重合体又はスチレン−アクリ
ル酸共重合体等が挙げられる。
【0037】複合エマルジョンは、例えば上記有機重合
体を構成する単量体を通常の方法で乳化重合し、得られ
た有機重合体粒子の表面に無機質微粒子を担持させて得
ることができる。この際、該重合体粒子の表面と無機質
微粒子間に充分な親和力を有することが必要である。例
えば、該重合体粒子の表面に無機質微粒子としてコロイ
ダルシリカを担持させるためには、該重合体粒子の表面
にシラノール基を存在させることが必要となる。上記の
ように表面を変性させた有機重合体粒子の製法は、種々
あるが、コア−シェル型エマルジョン重合法によって得
たものは、乳化状態での安定性が高く、またカプセル化
の際の成膜性が良く好ましい。
【0038】コア−シェル型エマルジョン重合法は、予
めコアとなる有機重合体のエマルジョンを生成し、次に
該エマルジョン中に、シェルとなる重合体の原料である
単量体を添加し、共重合させて得ることができる。コア
となる有機重合体のエマルジョンの生成のために使用さ
れる界面活性剤としては、アニオン系界面活性剤、特に
スルホン酸ナトリウム又は硫酸ナトリウムの誘導体を用
いると分子量が大きい有機重合体を得ることができ好ま
しい。またコアとなる有機重合体成分は、得られるコア
−シェル型重合体のうち、10〜90重量%含まれるこ
とが好ましく、より好ましくは50〜90重量%であ
る。10重量%未満では、カプセル体の壁膜とした際に
有機重合体自体の特性が十分発揮されず好ましくない。
【0039】シェルとなる重合体の原料である単量体と
しては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、N
−ビニルピロリドン又はN−ビニルカプロラクタム;
アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基又はビ
ニルオキシ基を有するアルコキシシラン;並びにスチ
レン、ビニルトルエン、メチルメタクリレート又はエチ
ルメタクリレート等の他のビニル基を有する単量体の3
成分を組み合わせて用いると、重合体粒子の安定なエマ
ルジョンが形成され易く好ましい。
【0040】アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオ
キシ基又はビニルオキシ基を有するアルコキシシランの
具体例としては、γ−アクリロイルオキシプロピルトリ
メトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルト
リメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピル
トリス(トリメチルシロキシ)シラン、ビニルトリメト
キシシラン、ビニルトリス(メトキシエトキシ)シラン
又はビニルトリクロロシラン等が挙げられる。
【0041】表面を変性させた有機重合体粒子の他の製
造方法としては、有機重合体のエマルジョンを生成し、
これにシラン系カップリング剤、チタネート系カップリ
ング剤又はアルミニウム系シランカップリング剤を添加
し反応させる方法がある。
【0042】本発明において、他の壁膜材として用いら
れる無機質ゾルとしては、コロイダルシリカ、アルミナ
ゾル、ジルコニアゾル、酸化アンチモンゾル、酸化スズ
ゾル等が挙げられる。これらを水中に分散せしめたコロ
イド状の形態であると、複合エマルジョンを形成し易
い。
【0043】複合エマルジョンは、例えば前記の無機質
ゾルを直接又は水系媒体に分散させておき、これを前記
の有機重合体エマルジョン中に攪拌下に徐々に添加して
得られる。この際系を室温〜60℃に加温すると担持が
容易に行われるので好ましい。
【0044】有機重合体エマルジョンと無機質ゾルの割
合は、最終のカプセル体の壁膜に求められる特性に応じ
て調整されるが、エマルジョン中の有機重合体成分10
0重量部に対して、無機質ゾル1〜150重量%が好ま
しい。
【0045】(複合カプセル体)前記リン酸エステル系
化合物を、水溶性分散剤、例えばメトキシヒドロキシプ
ロピルセルロースの水溶液中に分散させ、前記複合エマ
ルジョンを少量ずつ添加する。その後、50℃で3時間
程度攪拌を続けると、有機重合体と無機質ゾルの複合皮
膜が、リン酸エステル系化合物からなる芯材の上に形成
され、マイクロカプセル体スラリーが得られる。この際
有機重合体の成膜温度が高いときには加温した方がよ
い。該スラリーは乾燥機にかけると、粘着性のない強靱
な壁膜を有する微粉末状のマイクロカプセル体が得られ
るが、接着剤組成物が水中分散体であるときは、混合が
容易な点からスラリー状のカプセル体のまま使用するこ
とが好ましい。
【0046】芯材であるリン酸エステル系化合物100
重量部に対して、壁膜の量が10〜200重量%のカプ
セル体を用いると、接着力及びポットライフの優れた接
着剤組成物を得ることができ好ましい。
【0047】(本発明の接着剤組成物に配合し得る他の
物質)接着剤組成物の性質の改良を目的として、例えば
長時間のポットライフ性を保つ為に、銅クロロフィルナ
トリウム、エチレンジアミン四酢酸四ナトリウム塩、チ
タン酸カリウム、ハイドロキノン、メチルハイドロキノ
ン、2,4−ジニトロアニソール或いは2,6−ジター
シャリーブチル−p−クレゾール等を、またボルト・ナ
ット間の締結力を保持する、締め付けトルク調製剤とし
てシリカ微粉末、酸化チタン微粉末又は無機質の中空微
粒子等を用いることができる。
【0048】
【作用】本発明の接着剤組成物は、接着力が大きくかつ
ポットライフが長いという特長を有する。この理由は物
理的又は化学的に不安定なリン酸エステル系化合物が、
無機質ゾル及び有機重合体の複合皮膜に覆われているた
め、外界の影響を受け難いためと推測される。
【0049】
【実施例】以下に実施例及び比較例を挙げて本発明を更
に詳しく説明する。なお、評価方法として、ネジへの接
着性能は次の試験方法によって行った。 (接着剤組成物のネジへの塗工)10mm径、長さ40mm
の黄色クロメート及びステンレス(SUS304)ネジ
に溝部が満たされるように、水中分散型接着剤組成物
0.2gを均一に塗布し、次いで80℃で20分間乾燥
を行って、表面にタックのない皮膜を形成し、接着締め
付け型のネジを得た。 (接着性試験)前記の塗工されたネジを300kg重・cm
のトルクにてナットを締め付け、23℃で1時間放置後
及び24時間放置後の破壊トルク及び脱出トルクを測定
した。 (接着性能ポットライフ試験)前記の塗工されたネジを
50℃、相対湿度95%の状態に7日間放置した後、上
記の接着性試験を行った。
【0050】実施例1 (1)(メタ)アクリレート単量体乳化液の調製 2リットルビーカーに純水860g、ゴーセノールGM
−14(ケン化度86モル%、平均重合度1400の部
分ケン化ポリビニルアルコール、日本合成化学工業
(株)製)100g、銅クロロフィル2g及びo−スル
ホ安息香酸イミド5gを仕込み水溶液にした。その後プ
ロペラ型撹拌翼を用いて650rpm撹拌下にて、NK
BPE−200{2,2ビス〔4−(メタクリロキシ
・ジエトキシ)フェニル〕プロパン、新中村化学工業
(株)製}1000g、ジメチル−p−トルイジン5g
及びAQ−ナイロン A−90(ジメチルアミノ置換型
ナイロン、東レ(株)製)20gを仕込み、2時間撹拌
を続け水性状乳化液を得た。この乳化液は粒径2〜6μ
mの乳化粒子を有し、B型粘度計において6rpmにて
8000cpsの粘度であった。
【0051】(2)カプセル化された有機過酸化物の製
造 1リットルフラスコに、37重量%濃度のホルマリン水
溶液350g、尿素131g及びトリエタノールアミン
1.7gを仕込み、70℃にてプロペラ型撹拌翼を用い
て300rpmで2時間撹拌、反応させて、pH8.1
及びB型粘度計による20rpmの粘度が8.3cps
であるプレポリマー水溶液(ジメチロール体35重量
%)を得た。
【0052】次いで、室温下で2リットルビーカーに前
記のプレポリマー水溶液257g及び純水525gを仕
込み、1N硫酸水溶液でpHを2.6に調整後、ベンゾ
イルパーオキサイドの微粉末(平均粒径20μm)1
2.8gを投入し、40℃に昇温し、ホモジナイザーで
9000rpmの撹拌下で6時間反応させた後、プロペ
ラ型攪拌翼を用いて300rpmの攪拌下で14時間反
応を続けた。得られたスラリーを1Nの苛性ソーダ水溶
液で中和し、純水及びメタノールで洗浄して、40℃に
て棚段乾燥を行った結果、ベンゾイルパーオキサイドを
15重量%含み尿素−ホルマリン樹脂を壁膜とする粒径
5〜30μmの、カプセル体85.3gを得た。
【0053】(3)コア・シェル型エマルジョンの合成 2リットル4つ口フラスコに、純水1000cc、レベ
ノールWZ(ポリオキシエチレンアルキルフェニルエー
テル硫酸ナトリウムの26重量%水溶液、花王(株)
製)19.2g、過硫酸カリウム0.8g、ブチルアク
リレート250g、メトキシエチルアクリレート250
g及びアリルメタクリレート0.5gを仕込み、プロペ
ラ型攪拌翼で350rpmの攪拌下、70℃にて3時間
反応を行い、その後レベノールWZ19.2g、過硫酸
カリウム0.5g、スチレン60g、アクリロニトリル
30g及びγ−メタクリロイルオキシプロピルトリメト
キシシラン10gを仕込み、更に70℃で4時間乳化重
合を続けた。
【0054】得られたエマルジョンは、ブチルアクリレ
ート/メトキシエチルアクリレート共重合体のゴム粒子
をコアとして、シェル部分にシラノール基を結合したス
チレン/アクリロニトリル共重合体が形成されており、
固形分は36重量%であった。
【0055】(4)複合エマルジョンの調製 1リットルビーカーに、上記のコア・シェル型エマルジ
ョン230g、スノーテックスUP(固形分20重量
%、径5〜20μm、長さ40〜300μmの細長い形
状のコロイド状シリカの水性ゾル。日産化学工業(株)
製)170g、消泡剤として2,4,7,9−テトラメ
チル−5−デシル−4,7−ジオール0.6gを仕込
み、プロペラ型攪拌翼で200rpmにて、40℃で3
0分間攪拌を続け複合エマルジョンを得た。
【0056】(5)複合カプセル体の合成 1リットルビーカーに、メトキシヒドロキシプロピルセ
ルロースの0.2重量%水溶液440gを仕込み、プロ
ペラ型攪拌翼で600rpmの攪拌下で前記式〔H〕で
示されるリン酸エステル系化合物(商品名:ホスマーP
P、ユニケミカル(株)製)116gを5分間かけて添
加した。更にアルミナゾル200(アルミナ成分10重
量%の陽性に荷電した超微粒子アルミナコロイドの水性
ゾル。日産化学工業(株)製)116gを添加し、次い
で前記の複合エマルジョン全量を5分間かけて添加し
て、50℃に昇温し、3時間維持した。その結果、芯材
として前記リン酸エステル系化合物100重量部に対
し、壁膜が109重量部の複合カプセル体を含有する、
固形分22.6重量%のスラリー状複合カプセル体を得
た。
【0057】(6)接着剤組成物の調製 前記で得られた(メタ)アクリレート単量体乳化液の全
量に、前記カプセル化された有機過酸化物全量及び前記
のスラリー状複合カプセル体88gを3リットルビーカ
ーに投入して、ラボミキサーで2000rpmにて5分
間撹拌を行い、水中分散型接着剤組成物を得た。当該液
を前記の評価方法に従って評価した結果を表1に記す。
【0058】比較例1 実施例1において、リン酸エステル系化合物の複合カプ
セル体を使用せず、他の条件は実施例1と全く同様に行
った場合の試験結果を表1に記す。
【0059】比較例2 実施例1において、リン酸エステル系化合物10gをカ
プセル化せずに使用し、他の条件は実施例1と全く同様
に行った場合の試験結果を表1に記す。
【0060】実施例2〜7 実施例1において、カプセルに内包されたリン酸エステ
ル系化合物の種類、或いは複合カプセル体の量を表1の
ように変更し、他の条件は実施例1と全く同様に行った
場合の試験結果を表1に記す。
【0061】
【表1】
【0062】
【発明の効果】本発明の接着剤組成物は、接着速度が大
きく、室温下で高い接着強度を発揮し、かつポットライ
フの長いアクリル系接着剤である。本発明の接着剤組成
物は、被着材表面に予め塗布して、接着剤組成物による
皮膜を形成させて使用する分野、例えばネジの弛み止め
用接着剤として特に好適なものである。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記化合物〔A〕以外のアクリロイル基
    及び/又はメタクリロイル基を有する単量体と、その1
    00重量部あたり、有機過酸化物0.2〜10重量部、
    該有機過酸化物とレドックスを形成する還元剤0.1〜
    5重量部、及び下記一般式に示す構造を有する化合物
    〔A〕0.1〜30重量部からなり、かつ該化合物
    〔A〕は、有機重合体及び無機質ゾルからなる壁膜によ
    るカプセル体として存在していることを特徴とする接着
    剤組成物。 【化1】
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH10130587A (ja) * 1996-10-28 1998-05-19 Three Bond Co Ltd ねじ部材などに用いられるプレコート型接着剤組成物
JPH1150013A (ja) * 1997-07-31 1999-02-23 Three Bond Co Ltd 硬化性組成物
JP2003105044A (ja) * 2001-09-27 2003-04-09 Denki Kagaku Kogyo Kk 鋼棒のねじ継手用硬化性樹脂組成物、それを用いた鋼棒のねじ継手および鋼棒の接合方法
WO2016059823A1 (ja) * 2014-02-12 2016-04-21 住友電気工業株式会社 蓄電デバイス

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JP2003105044A (ja) * 2001-09-27 2003-04-09 Denki Kagaku Kogyo Kk 鋼棒のねじ継手用硬化性樹脂組成物、それを用いた鋼棒のねじ継手および鋼棒の接合方法
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