JPH05193247A - インク印刷可能なシート - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 機械印刷装置に用いるに適したインク印刷可
能なシートを提供する。 【構成】 その表面にインク吸収層を有する基材を含
み、前記インク吸収層の基材とは反対面が、その上に水
滴が付着した際に吸収層が 100°を越えない前進接触角
を示しかつインク吸収層のグラムあたり 35gを越えない
インク吸収能を有するような表面である、インク印刷可
能なシート。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】本発明は、インク印刷可能なシートに関
し、より詳細には、機械印刷装置、例えばインクジェッ
トプリンターもしくはペンプロッターに用いるに適した
インク印刷可能なシートに関する。

【０００２】マイクロコンピューター及びカラーモニタ
ーの最近の増加により、色の表示に有効な情報の量が増
してきた。そのような情報の表示は、例えば紙シート上
のハードコピーの要求を発生させ、透過性モードにおけ
るイメージ透明画として作用できる透明ポリマーフィル
ムにおいて高まっている。所望のハードコピーの製造は
従来、例えば水性もしくは水−有機溶剤ベースインクを
用いるインクジェットプリンターもしくはペンプロッタ
ーにより行われている。

【０００３】ペンプロッターは設計事務所、特にコンピ
ューター補助デザインの形成において広く用いられてい
る。透明なポリマー記録シートの出現は、特別な、そし
て高価なペンの開発を必要とする許容される品質のイン
ク書きイメージの形成を実現した。それでもなお、パタ
ーン解像度には問題が残っている。

【０００４】インクジェットプリントは、住所ラベル、
多色グラフィック等のような種々の情報をプリントする
技術としてすでに確立されている。インクジェットプリ
ンターの簡単な形状は、インク溜めに接続したオリフィ
スプレート及び電圧パルスを加えた際にヒーターに隣接
したインクを蒸発させ、それによりインク受容シートに
高速（例えば20m/s)でオリフィスを通しインク粒子を噴
射するプレート上の角オリフィス用の加熱ヒーターを含
む。インクジェットの動きはコンピューター制御され、
新しい特徴が形成され、高速でプリントされる。この高
速操作能からの利点を得るため、高速インク粒子をシミ
もしくはにじみを起こさず速く吸収し、好適なイメージ
品質を与える適当な表面特性を有するインク受容シート
の使用が必要である。

【０００５】イメージ解像度を改良するため、より高い
密度、例えば約 300ドット／インチ(dpi) のインク粒子
を与えることのできるインクジェットプリンターが開発
された。与えられた粒子サイズにおいて、そのようなプ
リンターの高められたdpi は、低い解像度のものと比
べ、記録媒体に吸収されるインクの単位面積あたりの体
積が増す効果を有する。

【０００６】許容されるイメージ品質を与えることに加
え、インク受容シートが適用されるイメージが速く乾燥
する特徴を有し、そしてシートが特にインク塗布量の多
い領域においてその機械的結着性を保つことが望まし
い。

【０００７】インク受容シートに付着したインクの量が
増すほど、その乾燥時間が長くなり、そしてシートの機
械的結着性が許容できないほど低下する点（これは、例
えばシートにしわがよることにより示され、取扱い及び
保存の間に基材フィルムからコーティング材料が失われ
る）が長くなると考えられる。約180dpiのドット密度を
有するインクジェトプリンターにより許容されるイメー
ジ品質を与えるインク受容シートが約300dpiのドット密
度を有するインクジェットプリンターにより用いた場
合、機械的結着性が低下し、低いイメージ品質及び低い
取扱性を与えることがわかった。

【０００８】さらに、高い解像度のプリンター、特にオ
フィイスに用いるためのもの、は約95％までの水分含量
を有する水性ベースインクを用いる。従って、そのよう
なプリンターに用いるに適したインク受容シートは水性
ベースインクと共に用いることができることが望まし
い。

【０００９】従って、より高いレベルのイメージ解像度
に対する市場の要求の観点から、多量のインクを受容で
き、それにより高い解像度のイメージを与えるが、その
機械的結着性を保ちかつ許容される乾燥時間を与えるイ
ンク受容シートの要求がある。

【００１０】シートのインク量が増すと、イメージ乾燥
時間の望ましくない増加を避けるために吸収されるイン
クの量を高めるため、シート上の吸収層のインク吸収能
の増加が必要であると考えられる。

【００１１】しかし、我々は、比較的親水性の表面を有
し低いインク吸収能を有するインク印刷可能なシートを
提供することにより、特に高いインク量における低い機
械的結着性による問題が低下するか又は実質的に排除さ
れることを発見した。そのようなインク印刷可能なシー
トは優れたイメージ品質及び高いインク量において満足
な乾燥時間を与える。

【００１２】従って、本発明は、その表面にインク吸収
層を有する基材を含み、前記インク吸収層の基材とは反
対面が、その上に水滴が付着した際に吸収層が 100°を
越えない前進接触角を示しかつインク吸収層のグラムあ
たり 35gを越えないインク吸収能を有するような表面で
ある、インク印刷可能なシートを提供する。

【００１３】本発明に係るインク印刷可能なシートは、
高いインク量を提供するインクジェットプリンターもし
くはペンプロッターのような自動プリント装置に用いる
に適した記録シートとして特に適している。

【００１４】本発明はまた、基材の表面にインク吸収材
料及びキャリヤーを含むコーティング媒体を塗布し、そ
して実質量、例えば少なくとも95％、好ましくは実質的
にすべてのキャリヤーを除去し前記コーティング媒体を
乾燥することにより基材の表面にインク吸収層を形成
し、ここで吸収層が付着した水滴が 100°を越えない前
進接触角を示すような層であり、吸収層が 35g/gを越え
ないインク吸収能を有していることを含む、インク印刷
可能なシートの製造方法を提供する。

【００１５】接触角、インク吸収能及び乾燥時間は以下
のテスト法により測定される。望ましくは、本発明に係
るインク印刷可能なシートを製造する際に、インク吸収
能及び接触角は、シート形成の１日、望ましくは１時間
内に前記範囲内にある。

【００１６】本発明はまた、シートのインク吸収層が本
質的に親水性であり、水ベースインクに対し著しい親和
性を示し、水ベースインクを吸収及び保持する、水ベー
スインクに用いるに適した前記のインク受容シートを提
供する。

【００１７】本発明に係るインク印刷可能なシートは、
１〜35、好ましくは１〜30、とりわけ１〜15g/g のイン
ク吸収能を有する。この範囲のインク吸収能を有するシ
ートは、高いインク量、例えば300dpiにおいてさえ優れ
た機械的結着性を有する。

【００１８】本発明に係るインク印刷可能なシートは、
好ましくは50〜 100°、望ましくは65〜95°、とりわけ
70〜85°の接触角を有する。

【００１９】とても低い接触角を有する吸収層を有する
インク印刷可能なシートは、特に吸収層が低いインク吸
収能を有する場合、浮き色を起こしやすい。これは隣接
するインク粒子を凝集させ、イメージ解像度を許容出来
ないものにしてしまう。さらに、低いインク吸収能とと
もに比較的高い接触角を有するインク印刷可能なシート
は許容されないほど薄いイメージを与える。

【００２０】従って、接触角の最適な範囲を選ぶことに
より、浮き色を起こしにくいが許容されるイメージ強さ
を与えるシートが得られる。

【００２１】本発明の係るインク印刷可能なシートのイ
ンク吸収能と接触角の組合せは、改良された機械的結着
性及びイメージ品質に加え、さらに利点を与える。すな
わち、工業上有効な自動プリント装置により提供される
高いインク量に対し、望ましい乾燥時間が得られる。乾
燥時間はシートに加えられるインク及びシート自身によ
りきまる。好適には、本発明に係るシートは15分以下、
好ましくは５分以下、より好ましくは１分以下の乾燥時
間を与える。望ましくは、本発明に係るシートは可能な
限り短い乾燥時間を有する。

【００２２】インク吸収層は好適にはインク受容性樹脂
を含む。例えば、インク吸収層は基材に塗布され、例え
ば膨潤により水性−有機インク溶媒を吸収及び保持でき
る吸収層を形成し、そして良好な透明度及び好ましくは
低い曇り度を有する吸収層を提供できる、好適にはヒド
ロキシル、カルボキシル、アミノ、エポキシ、ビニル、
無水物もしくはスルホン酸のような親水性部分を少なく
とも１つ有する親水性樹脂又はそのブレンドを含む。

【００２３】本発明に係る本質的に親水性のインク吸収
層の製造用の好適な樹脂は、EP-A-0156532、EP-A-02320
40及びEP-A-0233703に記載されているようなセルロー
ス、例えばニトロセルロース、カルボキシメチルセルロ
ース及びヒドロキシエチルセルロース、ゼラチン、ビニ
ル、例えばポリビニルアセテート、及び塩化ビニルと酢
酸ビニルとのコポリマー、アクリル、例えばポリアクリ
ル酸、並びにポリビニルピロリドンを含む。

【００２４】好ましい樹脂は、ヒドロキシエチルセルロ
ース樹脂、例えばAqualon より入手可能なヒドロキシエ
チルセルロースであるNATROSOL 250L 、及びヒドロカル
ビル基、例えば２〜25、望ましくは５〜18、最適には９
〜15個の炭素原子を有するアルキル基のような疎水性基
を有する改質ヒドロキシエチルセルロース樹脂を含む。
特に好ましい樹脂は、Aqualon より入手可能な改質ヒド
ロキシエチルセルロースであるNATROSOL PLUS である。

【００２５】望ましくは、インク吸収層はヒドロキシエ
チルセルロースと改質ヒドロキシエチルセルロース樹脂
のブレンドを含み、改質樹脂は層の少なくとも55重量
％、最適には55〜65重量％存在し、残りは好ましくはヒ
ドロキシエチルセルロースを含む。より好ましい樹脂組
成物は60％のNATROSOL PLUS 樹脂及び40％のNATROSOL 2
50L 樹脂を含む。

【００２６】低いインク吸収能を有するインク印刷可能
なシートを得るため、吸収層は高分子量ポリマー、例え
ばNATROSOL 250HHX もしくはNATROSOL 250H のようなヒ
ドロキシエチルセルロースを含む。しかし、そのような
ポリマーの溶液の比較的高い粘度は連続法による基材フ
ィルムへの適用を不適当にするが、注入成形もしくは高
温適用法は許容されるインク吸収層を与える。

【００２７】望ましくは、低いインク吸収能は、インク
吸収層にそれ自身により及び／又は架橋剤の添加により
架橋できるポリマーを混入することにより得られる。
「架橋」とは、分子間及び／又は分子内共有及び／又は
イオン結合を意味する。

【００２８】従って、本発明の他の態様は、架橋性ポリ
マー及び所望により架橋剤を含むインク吸収層をその表
面に有する基材を含むインク印刷可能なシートであっ
て、インク吸収層の基材とは反対面が水滴が付着した際
に吸収層が 100°を越えない前進接触角を示しインク吸
収層のグラムあたり35g を越えない水のインク吸収能を
示すような面であるシートを提供する。

【００２９】架橋剤の選択はインク吸収層を形成する他
の物質の特性によりきまり、必要なインク吸収能を与え
るために十分な架橋を吸収層に与えるよう選ばれる。好
適な架橋剤の例は、ポリエポキシ、ポリカルボキシ、ポ
リイソシアネート、ポリアルデヒド、ポリオール化合物
及び酸無水物を含む。

【００３０】インク吸収層が、ヒドロキシエチルセルロ
ース、例えばAqualon より入手可能なNATROSOL 250L 樹
脂のようなヒドロキシル基を有する樹脂を含む場合、、
ポリイミン、例えばBASFより入手可能なPOLYMIN ポリエ
チレンイミン、及び／又はホルムアルデヒド、例えばAm
erican Cyanamid より入手可能なCYMEL 1172は特に望ま
しい架橋剤を与える。

【００３１】架橋剤がインク吸収層に存在する場合、そ
の量は層中の特定の成分によりきまるが、好適にはイン
ク吸収層の30重量％を越えない量、好ましくは0.1 〜10
重量％、特に0.5 〜５重量％、最適には１〜2.5 重量％
存在する。

【００３２】架橋はインク吸収層に隣接する層からイン
ク吸収層への架橋剤の移動によっても行われ、従って、
架橋の量、及びインク吸収層の特性は時間によって大き
く異なる。

【００３３】好適な自己架橋ポリマーは、架橋性官能
基、例えばヒドロキシル、アミノ及びカルボキシル基を
有するものを含む。

【００３４】所望のインク吸収能を得るため、架橋に加
え、インク吸収層は好適にはネットワーク形成基を含む
ポリマーを含む。

【００３５】「ネットワーク形成」とは、例えば疎水性
置換基、望ましくはヒドロカルビル基、特に脂肪族炭化
水素鎖の間の弱い分子間及び／又は分子内非共有結合、
例えば水素結合及びファンデルワース結合の形成を意味
する。

【００３６】従って、本発明の他の態様は、ネットワー
ク形成ポリマーを含むインク吸収層をその表面に有する
基材を含むインク印刷可能なシートであって、インク吸
収層の基材とは反対面が水滴が付着した際に吸収層が 1
00°を越えない前進接触角を示しインク吸収層のグラム
あたり35g を越えない水のインク吸収能を示すような面
であるシートを提供する。

【００３７】インク吸収層がネットワーク形成基を有す
るポリマーを含む場合、インク吸収能が20g/g を越えな
い、好ましくは15g/g を越えない場合に特に有利なイン
ク印刷可能なシートが得られることを発見した。

【００３８】ポリマー樹脂又はその樹脂のブレンドの溶
液粘度はネットワーク形成度を示す。従って、好適なイ
ンク吸収能がネットワーク形成により得られる場合、存
在する他の成分を除くインク吸収層を形成する成分の溶
液粘度は、スピンドルNo.4を備え、12rpm で操作するブ
ルックフィールド粘度計を用いて２％水溶液で測定し、
100000以下、好ましくは300 〜50000 、より好ましくは
500 〜10000 、特に700 〜5000mPa である。この範囲の
粘度を有する溶液は必要なインク吸収能を得るに十分な
ネットワーク形成を与えるが基材への塗布における問題
を避けるに十分な液体である。

【００３９】所望により、インク吸収樹脂は、可塑剤、
すなわちその軟度、加工性及び柔軟度を改良するためポ
リマー材料に加えられる添加剤のような添加化合物も含
んでよい。それは当該分野、特にポリ塩化ビニルの特性
の改良において公知であり、通常高分子量液体もしくは
低融点固体の形状の有機材料である。最も一般的に、そ
れはカルボン酸もしくはリン酸のエステルを含むが、EP
-A-0232040に記載されているように、炭化水素、ハロゲ
ン化炭化水素、エーテル、グリコール、ポリグリコール
及び水素化もしくはエポキシ化乾性油（例えば大豆油）
も用いてよい。

【００４０】インク吸収層の老化挙動を改良し、その後
塗布されるインクの吸収及び乾燥を促進するため界面活
性剤のような添加剤を用いてもよい。好適な界面活性剤
は、非イオン性フルオロカーボン界面活性剤又はカチオ
ン界面活性剤、例えば４級アンモニウム塩を含む。さら
に保湿剤、例えばグリセロールを用いてもよい。

【００４１】所望により、インク吸収層はシートの取扱
性を改良するためさらに粒条充填剤を含んでよい。好適
な充填剤は、所望により20μm 未満、好ましくは12μm
未満、例えば８μm の粒度のシリカのような金属もしく
はメタロイドの酸化物を含む。用いられる充填剤の量は
シートの所望の特性により決定されるが、通常シートの
光学特性（例えば曇り度）が損なわれないほど少ない。
典型的な充填剤量は樹脂成分の2.0 重量％未満、好まし
くは0.5 〜1.0 重量％である。

【００４２】インク印刷可能なシートのインク吸収層に
従来用いられる他の添加化合物を、本発明に係るインク
印刷可能なシートのインク吸収層に混入してよい。

【００４３】インク吸収層は従来のコーティング方法、
例えば水性もしくは有機溶媒のような揮発性媒体中の樹
脂の溶液もしくは分散液からの付着により基材に塗布さ
れる。

【００４４】塗布されたインク吸収層の乾燥は、従来の
乾燥法、例えば塗布された基材を適当な温度に保たれた
熱風オーブン内にいれることにより行われる。約120 ℃
の乾燥温度がポリエステル基材に好適である。

【００４５】乾燥インク吸収層の厚さは広範囲に及ぶ
が、好ましくは50μm 未満、特に８〜30μm 、さらに好
ましくは10〜20μm 、例えば12μm である。

【００４６】本発明に係るインク印刷可能なシートの製
造に用いるための基材は、好適には自立、不透明、好ま
しくは透明フィルムもしくはシートを形成できるポリマ
ー材料を含む。

【００４７】「自立フィルムもしくはシート」とは、基
材が存在しなくても独立に存在できるフィルムもしくは
シートを意味する。

【００４８】基材の製造に用いるに適した熱可塑性材料
は、セルロースエステル、例えばセルロースアセテー
ト、ポリスチレン、塩化ビニルのポリマー及びコポリマ
ー、ポリスルホン、エチレン、プロピレン及びブテ−１
−エンのような１−オレフィンのホモポリマーもしくは
コポリマー、ポリアミド、ポリカーボネート、並びに、
特に１種以上のジカルボン酸もしくはその低級アルキル
（炭素原子６個以下）ジエステル、例えばテレフタル
酸、イソフタル酸、フタル酸、2,5-、2,6-もしくは2,7-
ナフタレンジカルボン酸、琥珀酸、セバシン酸、アジピ
ン酸、アゼライン酸、4,4'- ジフェニルジカルボン酸、
ヘキサヒドロテレフタル酸もしくは1,2-ビス-p- カルボ
キシフェノキシエタン（所望によりピバル酸のようなモ
ノカルボン酸を含む）と１種以上のグリコール、特に脂
肪族グリコール、例えばエチレングリコール、1,3-プロ
パンジオール、1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリ
コール及び1,4-シクロヘキサンジメタノールとの縮合に
より得られる合成線状ポリエステルを含む。GB-A-83870
8 に記載されているようなポリエチレンテレフタレート
フィルム、とりわけ、典型的には70〜125 ℃の温度にお
いて互いに垂直方向に延伸することにより二軸延伸さ
れ、好ましくは、典型的には150 〜250 ℃の温度で加熱
硬化されたフィルムが特に好ましい。

【００４９】基材は、ポリアリールエーテルもしくはそ
のチオ同族体、特にポリアリールエーテルケトン、ポリ
アリールエーテルスルホン、ポリアリールエーテルエー
テルケトン、ポリアリールエーテルエーテルスルホン、
又はそのコポリマーもしくはチオ同族体を含んでよい。
このポリマーの例は、EP-A-1879 、EP-A-184458 及びUS
A 4008308に開示されており、特に好適な材料はICI PL
C より商標STABARとして販売されているものである。こ
れらのポリマーのブレンドも用いてよい。

【００５０】好適な熱硬化性基材は、付加重合樹脂、例
えば、アクリル、ビニル、ビスマレイミド及び不飽和ポ
リエステル、ホルムアルデヒド縮合樹脂、例えばウレ
ア、めらみんもしくはフェノールの縮合体、シアネート
樹脂、官能化ポリエステル、ポリアミド又はポリイミド
を含む。基材は好適には25〜300 、特に50〜175 、さら
には75〜125 μm の厚さを有する。

【００５１】ポリマー基材へのインク吸収層の接着を促
進するため、まず、基材の表面を下塗媒体で処理するこ
とが望ましい。下塗層の形成は、基材ポリマーに対し溶
媒もしくは膨潤作用を有することが公知の物質でポリマ
ー基材の表面を処理することにより行われる。ポリエス
テル基材の処理に特に適したそのような物質の例は、通
常の有機溶媒に溶解したハロゲン化フェノール、例えば
p-クロロ-m- クレゾール、2,4-ジクロロフェノール、2,
4,5-もしくは2,4,6-トリクロロフェノールもしくは4-ク
ロロレゾルシノールのアセトンもしくはメタノール溶液
を含む。さらに、そして好ましくは、下塗溶液は部分加
水分解した塩化ビニル−酢酸ビニルコポリマーを含む。
そのようなコポリマーは、コポリマーの重量の60〜98％
の塩化ビニル、及び0.5 〜３％のヒドロキシルユニット
を含む。コポリマーの分子量（数平均）は10,000〜30,0
00、好ましくは16,500〜25,000である。望ましくは、下
塗層はポリエステルを含む。

【００５２】所望により、多くの下塗層を順次基材に塗
布してよい。下塗層は好適には、比較的薄い乾燥コート
厚さ、例えば２μｍ未満、好ましくは１μｍ未満を有す
る下塗層を与える濃度レベルで塗布される。

【００５３】本発明に係るインク印刷可能なシートは、
スーパーコート及び／又は裏打層を含んでよく、これら
は同じであってもよく異なっていてもよい。スーパーコ
ートは機械取扱性を改良しそしてインク吸収層を保護す
るため塗布される。さらに、スーパーコートの提供は、
望ましくはインク吸収能をを実質的に同じに保ちながら
フィルムの表面の前進接触角を変えるために与えられ
る。従って、フィルムの機械的結着性は損なわれない
が、特定のスーパーコートを用いることにより、塗布さ
れるインク粒子のより大きな調節が得られる。

【００５４】従って、本発明のさらに他の態様は、その
表面にインク吸収層のグラムあたり35g を越えない水の
インク吸収能を有するインク吸収層を有し、インク吸収
層上にシートに塗布されたインクに対し透過性であり、
それにより少なくとも一部、好ましくは実質的にすべて
のインクがスーパーコートを通過しそしてインク吸収層
に吸収されるスーパーコートを有する基材を含むインク
印刷可能なシートを提供する。

【００５５】スーパーコートの特性はインク粒子の形状
に影響を与えるので、インク粒子の形状のより大きな調
節を与えるため、スーパーコートはインクによって選ば
れる。この調節の利点は、粒子の早期凝集及び望ましく
ないインクたまりの形成が低下し、プリントされるイメ
ージの高い解像度を可能にする。スーパーコートの透過
性及びインク吸収層のインク吸収能はインクの保持及び
シートのその機械的結着性の保持を可能にする。

【００５６】スーパーコートは望ましくは、45〜120
°、好ましくは50〜100 °の接触角を示す。所望によ
り、スーパーコートは0.1 〜３μｍ、好ましくは0.25〜
２μｍ、特に0.5 〜1.5 μｍの厚さを有する。

【００５７】スーパーコートはセルロース材料、例えば
カルボキシメチルセルロース及びヒドロキシエチルセル
ロース、アクリル、例えばポリアクリルアミド、例えば
アクリル酸とアクリルアミドのアクリルコポリマー、ポ
リアルキレンオキシド、例えばポリエチレンオキシド、
ポリエチレンオキシドとポリプロピレンオキシドのコポ
リマー、ビニルポリマー、例えばポリビニルピロリド
ン、並びにポリビニルピロリドンとヒドロキシル化カル
ボン酸の混合物、またはそのような材料のあらゆる混合
物を含んでよい。

【００５８】スーパーコートは好ましくは充填剤、特に
上記記載の充填剤を含む。スーパーコート内の充填剤量
は、通常樹脂成分の２重量％未満であり、好ましくはい
んく吸収層の重量未満、例えば0.1 〜0.5 重量％であ
る。

【００５９】裏打層は、機械取扱特性を改良しインク印
刷可能なシートのカールを減少させるために、基材のイ
ンク吸収層と反対面に塗布される。裏打層は、好適には
インク吸収層の形成に適したあらゆる材料を含む。

【００６０】本発明に係るインク印刷可能なシートは、
例えばオーバーヘッドプロジェクターによる伝送モード
において用いるためのインク付き透明画の形成における
使用に適する。塗布されたインクの溶媒のインク吸収層
への吸収は、フィルムの表面をはやく乾燥させ、イメー
ジ付きシートをすぐに用いることを可能にする。

【００６１】本発明を以下の実施例によりさらに説明す
る。テスト法 １．接触角 10cm×２cmのフィルムのストリップを型締めし、支持体
を水平に対し45°に傾け、フィルムの表面に10〜50μl
の蒸留水を小さな水滴として 500μl/min の速度で付着
させる。フィルムに沿った水滴の動きをビデオカメラ及
びプリンターを用いて記録した。このビデオ記録を観察
することにより、水滴の先端とフィルムの表面の間の角
度を測定した。この角度は前進接触角として公知であ
り、フィルムの接触角と呼ぶ。

【００６２】２．インク吸収能 ベースプレートと金属リングの間に公知の厚さのコーテ
ィングを有する計量した直径11.5cmの円形シートを型締
めし、次いでフィルムコーティング上に100mlの蒸留水
を付着することにより、Cobb吸収テストをベースとする
方法によって測定した。10秒後、フィルム上の過剰の水
を除去し、フィルムを再計量し、差により吸収された水
の量を測定する。コーティングの吸収能はコーティング
のグラムあたりの吸収された水のグラムで表された。

【００６３】３．乾燥時間 テストするフィルムをプリンター（Canon BJ 10-e 及び
Hewlett-Packard Deeskjet 500C)に通し、フィルムに最
大のインク量で１平方ｃｍのインクをプリントすること
により測定した。次いでインクをきれいな指で軽く拭き
取り、指の拭き取りによって汚れない時間をフィルムの
乾燥時間と記録した。乾燥時間は20℃の温度及び60％の
相対湿度で測定する。

【００６４】４．機械的結着性 テストするフィルムをCanon BJ 10-e プリンターに通
し、フィルムに、グレーから最大のインク量までの増加
するインク量で２平方ｃｍの黒色インクをプリントし
た。このインクを乾燥させ、次いでフィルムを縮みにつ
いて観察した。許容される機械的結着性を得るため、フ
ィルムは最も多量のインク量の領域において縮みを示さ
ないことが必要である。

【００６５】５．インク粒子凝集性 インク印刷可能なシートをHewlett-Packard Deeskjet 5
00C プリンターに通し、フィルム上に、10％充填〜100
％充填の種々の充填パターンを有する２平方ｃｍのイン
クの配列をプリントすることにより測定した。次いでこ
のフィルムをマイクロフィッシュリーダーで観察し、イ
ンク凝集の頻度を調べた。

【００６６】例１ 厚さ約 100μｍの２軸延伸した、未コート、ポリエチレ
ンテレフタレートフィルムの片面にポリエステル溶液を
下塗し、約 0.2μｍの厚さの下塗層を与えた。次いでこ
の下塗表面に以下の成分を含むコーティング組成物を塗
布した。 NATROSOL PLUS 647g （Aqualon より入手可能な改質 ヒドロキシエチルセルロース） NATROSOL 250L 432g （Aqualon より入手可能なヒドロキシエチルセルロース） メタノール 15.9リットル 蒸留水 2.0リットル

【００６７】コートした基材を 110℃で５分間乾燥し、
厚さ約７μｍのネットワーク形成インク吸収層を得た。
６部のNATROSOL PLUS と４部のNATROSOL 250L のブレン
ドの５％溶液（85:15 メタノール：水）の粘度を25℃で
ブルックフィールド粘度計で測定し、16000cPsであっ
た。

【００６８】例２ 下塗シートを以下の成分を含む組成物でコートすること
を除き、例１の方法を繰り返した。 NATROSOL PLUS 1064g POLYMIN 15g （BASFより入手可能なポリエチレンイミン） メタノール 15.9リットル 蒸留水 2.0リットル コートした基材を 110℃で５分間乾燥し、厚さ約７μｍ
の架橋したインク吸収層を得た。

【００６９】例３ 下塗シートを以下の成分を含む組成物でコートすること
を除き、例１の方法を繰り返した。NATROSOL 250L
1064g CYMEL 1172 15g （American Cyanamid より入手可能なテトラメチルグリ
コールウリルホルムアルデヒド） メタノール 15.9リットル 蒸留水 2.0リットル コートした基材を 110℃で５分間乾燥し、厚さ約７μｍ
の架橋したインク吸収層を得た。

【００７０】例４ 例１により製造したインク印刷可能なシートをさらに処
理し、インク吸収層の上にスーパーコートを形成した。
このスーパーコートはメタノール中のポリアルキルアミ
ンの0.2%w/w 分散液を付着させ、85℃でこの分散液を乾
燥し、厚さ約0.5 μｍのスーパーコートを形成すること
により得た。

【００７１】例５ スーパーコート（厚さ約0.5 μｍ）をメタノール中のポ
リビニルピロリドンの0.2%w/w 分散液より形成すること
を除き例４の方法を繰り返した。

【００７２】例６ スーパーコート（厚さ約0.5 μｍ）をメタノール中のポ
リビニルピロリドンとヒドロキシル化カルボン酸の混合
物の0.2%w/w 分散液より形成することを除き例４の方法
を繰り返した。

【００７３】例７ スーパーコート（厚さ約0.5 μｍ）をメタノール中のポ
リエチレンオキシドの0.2%w/w 分散液より形成すること
を除き例４の方法を繰り返した。

【００７４】例８（比較） これは本発明の例ではない。下塗シートを以下の成分を
含む組成物でコートすることを除き、例１の方法を繰り
返した。 NATROSOL 250L 1079g メタノール 15.9リットル 蒸留水 2.0リットル コートした基材を 110℃で５分間乾燥し、厚さ約７μｍ
の架橋したインク吸収層を得た。

【００７５】例９ 例１〜７及び比較例８で製造したインク印刷可能なシー
トのインク吸収能、接触角、乾燥時間、インク粒子凝集
性及び縮みの量を前記テスト法を用いて測定した。結果
を表１に示す。 表１ 例 接触角（°） 吸収能(g/g) 凝集性 乾燥時間（分） 縮み Canon HPDeskjet １ 85 10 低 １ ４ 無 ２ 70 12 中 − − 無 ３ 60 20 高 − − 無 ４ 84 10 低 １ ５ 無 ５ 75 10 低 １ ４ 無 ６ 118 10 低 １ ４ 無 ７ 48 10 高 １ ４ 無 ８ 60 50 高 １ ４ 有 （比較）

【００７６】上記結果は、本発明に係るインク印刷可能
なシートが優れた機械的結着性を示し、許容されるイン
クの乾燥時間を保つことを示している。この結果はさら
に、スーパーコートの提供により接触角が改良され、許
容される粒子凝集性がインク吸収能及びシートの縮みに
影響を及ぼすことなく得られることを示している。

【００７７】好ましい特徴 本発明に係るインク印刷可能なシートは、好ましくは以
下の好ましい特徴を１つ以上示す。 １．存在する場合、インク印刷可能なシートのスーパー
コートは45〜 120°の前進接触角を示す。 ２．インク吸収層は、インク吸収層のグラムあたり15g
の水を越えないインク吸収能を有する。 ３．インク吸収層はネットワーク形成基を含むポリマー
を含む。 ４．添加化合物を除く、インク吸収層を形成する成分
は、スピンドルNo.4を備え12rpm で操作するブルックフ
ィールド粘度計を用い２％水溶液で測定し、25℃におい
て100000mPa 以下の溶液粘度を有する。 ５．インク吸収層はセルロース樹脂、好ましくはヒドロ
キシエチルセルロース樹脂及び／又は改質ヒドロキシエ
チルセルロース樹脂を含む。 ６．インク吸収層は、インク吸収層の少なくとも55重量
％存在する改質ヒドロキシエチルセルロース樹脂を含
む。 ７．インク吸収層は架橋性ポリマー及び所望により、好
ましくはポリイミン及び／又はホルムアルデヒドを含む
架橋剤を含む。

【図面の簡単な説明】

【図１】片面にインク吸収層(2) が結合した基材層(1)
を含むインク印刷可能なシートの一部の略立面図であ
る。

【図２】インク吸収層(2) が中間下塗層(3) により基材
層(1) に結合した、図１に示すものと同様のシートの略
立面図である。

【図３】さらに裏打層(4) が基材(1) の他の面に結合し
た、図２に示すものと同様のシートの略立面図である。

【図４】スーパーコート(5) がインク吸収層(2) の基材
(1) と反対の面に結合している、図３に示すものと同様
のシートの略立面図である。

【符号の説明】

１…基材層 ２…インク吸収層 ３…下塗層 ４…裏打層 ５…スーパーコート

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 スティーブン マン イギリス国，シーオー11 １エヌエル，エ セックス，マンニングトゥリー，ブランザ ム，アイシーアイ イメージデータ（番地 なし) (72)発明者 ロジャー ニコラス バーカー イギリス国，シーオー11 １エヌエル，エ セックス，マンニングトゥリー，ブランザ ム，アイシーアイ イメージデータ（番地 なし) (72)発明者 グラハム アリステアー ペイジ イギリス国，シーオー11 １エヌエル，エ セックス，マンニングトゥリー，ブランザ ム，アイシーアイ イメージデータ（番地 なし) (72)発明者 スティーブン フィリップ コール イギリス国，シーオー11 １エヌエル，エ セックス，マンニングトゥリー，ブランザ ム，アイシーアイ イメージデータ（番地 なし)

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 その表面にインク吸収層を有する基材を
   含み、前記インク吸収層の基材とは反対面が、その上に
   水滴が付着した際に吸収層が 100°を越えない前進接触
   角を示しかつインク吸収層のグラムあたり 35gを越えな
   いインク吸収能を有するような表面である、インク印刷
   可能なシート。
2. 【請求項２】 その表面にインク吸収層のグラムあたり
   35gを越えないインク吸収能を有するインク吸収層を、
   そしてインク吸収層上に、シートに塗布したインクに透
   過性であるスーパーコートを有する基材を有し、インク
   の少なくとも一部がスーパーコートを通過し、インク吸
   収層により吸収される、インク印刷可能なシート。
3. 【請求項３】 基材の表面にインク吸収材料及びキャリ
   ヤーを含むコーティング媒体を塗布し、そして実質量の
   キャリヤーを除去し前記コーティング媒体を乾燥するこ
   とにより基材の表面にインク吸収層を形成し、ここで吸
   収層が 35g/gを越えないインク吸収能を有し、所望によ
   り、このインク吸収層に第二のキャリヤー媒体中のポリ
   マー樹脂を含む第二のコーティング媒体を塗布し、実質
   量の前記第二のキャリヤーを除去することにより前記第
   二の媒体を乾燥することによりインク透過性スーパーコ
   ートを形成し、ここでスーパーコートの不存在ではイン
   ク吸収層に付着した水滴が 100°を越えない前進接触角
   を示すことを含む、インク印刷可能なシートの製造方
   法。