JPH0518830U - 吸水・保水性シート - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 （修正有） 【構成】熱融着可能な発泡軟質ポリウレタンシート１の
連続気泡内に吸水性樹脂粉末２が充填保持され、該ポリ
ウレタンシートの少なくとも片面が熱融着可能な基材３
と部分的に加熱圧着して一体成型されていることを特徴
とする吸水・保水性シート。 【効果】本考案の吸水・保水性シートは、従来の吸水性
樹脂を利用した吸水性シートに比べて、吸水性樹脂の充
填、固定化が容易であり、性能面でも吸水速度が速く、
吸水・保水量も優れたものであり、紙や不織布に比べ
て、強度や保形性が高く、柔軟性、クッション性もあ
り、緩衝効果、断熱効果さらに通気性も優れたものであ
る。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、生鮮食料品等の鮮度保持材、結露防止材等の産業資材、紙オムツや メディカル用シーツ等の医療・衛材関係用途等に用いる吸水・保水性シートに関 する。

【０００２】

【従来の技術及び考案が解決しようとする課題】

従来、吸水・保水性シートとして発泡ポリウレタンフォームが知られている。 しかし、これらは吸水速度が遅かったり、吸水・保水性能についても圧力がかか った場合、簡単に水を放出するなど満足できるものではなかった。 また、吸水性樹脂をバインダー（接着剤）を使用して紙や不織布の間に挟み込 んだものや水不溶性の基材にコーティングしたものが開発されているが、基材上 への吸水性樹脂の分散、固着が困難であったり、吸水時に吸水性樹脂が脱落する などの欠点がある。 本考案の目的は、吸水速度が速く、吸水時にゲルの脱離が全く無い、吸水・保 水性能の優れた、且つ緩衝作用、断熱作用さらに通気性を兼ね備えた熱成型可能 な吸水・保水性シートを提供することにある。

【０００３】

【課題を解決するための手段】

本考案の要旨は、熱融着可能な発泡軟質ポリウレタンシートの連続気泡内に吸 水性樹脂粉末が充填保持され、該ポリウレタンシートの少なくとも片面が熱融着 可能な基材と部分的に加熱圧着して一体成型されていることを特徴とする吸水・ 保水性シートに関するものである。

【０００４】

【作用】

本考案の吸水・保水性シートは、発泡軟質ポリウレタンシートの連続気泡内に 吸水性樹脂粉末が充填保持されていることから、吸水性樹脂の充填、固定化が容 易であり、性能面でも吸水速度が速く、吸水・保水量も優れたものとすることが できる。また、該ポリウレタンシートの少なくとも片面が熱融着可能な基材と部 分的に加熱圧着して一体成型されていることから、吸水時に吸水性樹脂が脱落す る心配もなく、また強度や保形性が高く、柔軟性、クッション性もあり、緩衝効 果、断熱効果、さらに通気性を有する。

【０００５】

【実施例】

以下に、図面に基づいて本考案について説明する。 図１〜３において、図１は本考案の吸水・保水性シートの断面の概略図であり 、発泡軟質ポリウレタンシート１の連続気泡内に吸水性樹脂粉末２が充填保持さ れ、端部（図中のＡ）で基材３と加熱圧着している状態を示した例である。図２ はそれにエンボス加工を施すことにより部分的にシート中を加熱圧着した例の断 面の概略図であり、図３は本考案の吸水・保水性シートにおいて端部を加熱圧着 処理し、表面全体に格子状のエンボス加工を施した吸水・保水性シートの概略図 である。

【０００６】 本考案で用いる熱融着可能な連続気泡を有する発泡軟質ポリウレタンシートと しては、密度が１０〜１００ｋｇ／ｍ³ で厚みが１〜２０ｍｍｔのものが望まし い。気泡の大きさについては、使用する吸水性樹脂粉末の粒度（通常１０〜２０ ０メッシュ）と同程度のものが好ましい。 本考案で用いる発泡軟質ポリウレタンシートとしては、連続気泡を有するもの であれば特に限定されるものではないが、好ましくは吸水性を有するものが好ま しい。例えば、ポリオール、発泡剤、触媒、整泡剤、吸水性樹脂粉末及びその他 の通常の助剤からなる均一な混合液にポリイソシアネートを加えて発泡させるい わゆるワンショット法にて製造したもの（特願平１−３４４３８６号）などを用 いることができる。このような吸水性の発泡軟質ポリウレタンシートを用いた場 合、該シートが有する吸水性とシート気泡内に充填保持された吸水性樹脂粉末の 吸水性とを合わせ有することとなり、吸水・保水性シートとして好ましい効果が 得られる。

【０００７】 かかる発泡軟質ポリウレタンシートに吸水性樹脂粉末を充填保持させるには、 例えば、以下の方法により行なわれる。 すなわち、熱融着可能な発泡軟質ポリウレタンシート上に吸水性樹脂粉末を散 布し、表面をならしたり、発泡軟質ポリウレタンシートの裏側から吸引したりす る方法により吸水性樹脂粉末は発泡軟質ポリウレタンシートの気泡内に充填され 、気泡内に吸水性樹脂粉末を保持してなる熱融着可能な発泡軟質ポリウレタンシ ートが得られる。気泡内に充填されなかった余剰の吸水性樹脂粉末は適当な方法 、例えば邪魔板でかき落とす等により除去される。 かくすることより特にバインダー等を用いなくとも発泡軟質ポリウレタンシー ト中に吸水性樹脂粉末は充填保持され固定化される。

【０００８】 用いる吸水性樹脂の粒度は、通常１０〜２００メッシュである。２００メッシ ュより小さいと一旦保持された吸水性樹脂粉末の脱離量が多くなる、等の問題が あり、１０メッシュより大きいと樹脂粉末の充填保持それ自身が困難となる。添 加量については、通常５〜５００ｇ／ｍ² である。５ｇより少ない場合には、従 来の発泡ポリウレタンフォームと効果の違いは見られず、吸水・保水性が充分得 られない。また５００ｇより多くを用いた場合、吸収する水が少量の場合には問 題ないが多量の水を吸収した場合シートが膨潤し、その形状がいびつなものとな る。

【０００９】 本考案で用いる吸水性樹脂の種類については、吸水能１０〜１０００倍程度を 有するものであれば、特に限定するものではない。 その具体例としては、アクリル酸塩重合体の架橋物、ビニルアルコール−アク リル酸塩共重合体の架橋物、無水マレイン酸グラフトポリビニルアルコールの架 橋物、アクリル酸塩−メタクリル酸塩共重合体の架橋物、アクリル酸メチル−酢 酸ビニル重合体のケン化物の架橋物、デンプン−アクリル酸塩グラフト共重合体 の架橋物、デンプン−アクリロニトリル共重合体の加水分解物の架橋物、デンプ ン−アクリル酸エチルグラフト共重合体のケン化物の架橋物、カルボキシメチル セルロース架橋物等をあげることができる。 このような吸水性樹脂は、既に市販されており、本考案においては、用途に応 じて前記吸水性樹脂中からまたは耐電解質タイプに加工したもの等から適宜選択 使用すればよい。また、吸水速度を速くするため界面活性剤処理を施したもので あってもよい。その他、用途によって防臭機能や防黴機能を付加する必要がある 場合には、防臭剤や防黴剤を吸水性樹脂と適宜混合使用すればよい。

【００１０】 本考案で用いる基材は、吸水性樹脂粉末を充填保持する発泡軟質ポリウレタン シートと部分的に加熱圧着する基材であり、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナ イロン、ポリウレタン、エチレン・酢酸ビニル共重合体等をフィルム、不織布等 シート状に加工したものあるいは熱融着可能な処理をした紙または布等が使用さ れる。また、このような基材は前記の発泡軟質ポリウレタンシートと同様なもの であってもよく、また吸水性樹脂を充填保持させた発泡軟質ポリウレタンシート であってもよい。特に後者の場合、吸水性樹脂を散布した側同士を合わせ端部な どを部分的に加熱圧着させれば、吸水保水性能に優れたシートが得られる。

【００１１】 本考案の吸水・保水性シートは、連続気泡を有する発泡軟質ポリウレタンシー トの片面の気泡中に吸水性樹脂を充填保持させた後、前記のような熱融着可能な 基材を置き、例えば端部をヒートシールしたり、エンボスロールやエンボスプレ ート等を用いて加熱加圧下にロール成型あるいはプレス成型する等の方法により エンボス加工すれば接着剤等のバインダーを使用することなく基材と加熱圧着さ せ任意の形状のものに一体成型することができる。この加熱圧着は、発泡軟質ポ リウレタンシートと基材とを全面にわたって行なうものではなく、例えば該シー トの端部やシート内を格子状のようにして部分的に行なうものである。 この場合、吸水性樹脂粉末を散布した側を他の熱融着可能な基材で覆って部分 的に加熱圧着すれば、吸水性樹脂粉末が脱落する心配はない。また吸水性樹脂粉 末を散布した側のみならず、散布していない面も部分的に加熱圧着してもよい。 さらに用途に応じてこれらの片面又は両面を加熱圧着したシートを多層構造に積 層して用いてもよい。

【００１２】 このようにして得られる本考案の吸水・保水性シートの利用方法については、 生鮮食料関係では、鮮度保持用保冷材、肉や魚のドリップ吸収シート、果物用パ ットシート、塩乾物の製造および貯蔵保存シート等、産業用として、油水分離シ ート、結露防止シート、雨水吸収材、保冷材、吸湿材等土木建築用途としてコン クリート余剰水吸水材等医療・衛生用途として、メディカル用シーツ、紙オムツ 、ウォーターベッド等、農園芸用途として、育苗用保水材等あらゆる用途に使用 でき、すぐれた効果を発揮するものである。

【００１３】

【考案の効果】

本考案の吸水・保水性シートは、従来の吸水性樹脂を利用した吸水性シートに 比べて、吸水性樹脂の充填、固定化が容易であり、性能面でも吸水速度が速く、 吸水・保水量も優れたものであり、紙や不織布に比べて、強度や保形性が高く、 柔軟性、クッション性もあり、緩衝効果、断熱効果さらに通気性も優れたもので ある。

【図面の簡単な説明】

【図１】図１は本考案の吸水・保水性シートの断面の概
略図であり、発泡軟質ポリウレタンシートの連続気泡内
に吸水性樹脂粉末を充填保持してなる状態を示す図であ
る。

【図２】図２は本考案の吸水・保水性シートにおいて、
エンボス加工により部分的に加熱圧着をした例を示した
断面図である。

【図３】図３は本考案の吸水・保水性シートにおいて、
端部を加熱圧着処理し、表面全体に格子状のエンボス加
工により部分的に加熱圧着した吸水・保水性シートの概
略図である。

【符号の説明】

１ 発泡軟質ポリウレタンシート ２ 吸水性樹脂粉末 ３ 基材 Ａ 加熱圧着の部位

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 熱融着可能な発泡軟質ポリウレタンシー
   トの連続気泡内に吸水性樹脂粉末が充填保持され、該ポ
   リウレタンシートの少なくとも片面が熱融着可能な基材
   と部分的に加熱圧着して一体成型されていることを特徴
   とする吸水・保水性シート。