JPH05186820A - 伸び特性の優れた高靱性高強度鋼の製造法 - Google Patents
伸び特性の優れた高靱性高強度鋼の製造法Info
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- JPH05186820A JPH05186820A JP1934992A JP1934992A JPH05186820A JP H05186820 A JPH05186820 A JP H05186820A JP 1934992 A JP1934992 A JP 1934992A JP 1934992 A JP1934992 A JP 1934992A JP H05186820 A JPH05186820 A JP H05186820A
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Abstract
る引張強さ686MPa級以上で伸び特性の優れた低降
伏比で高靱性高強度鋼の製造法を提供する。 【構成】 重量%で、C:0.02〜0.11%,S
i:0.05〜0.50%,Mn:0.3〜2.0%,
Ni:0.3〜4.0%,B:0.0003%以下,C
u:0.5〜4.0%,Al:0.005〜0.10
%,N:0.0010〜0.012%,H:0.9pp
m以下を必須基本成分とし、この鋼板を、オーステナイ
ト単相から急冷する焼入れ処理を施した後、さらにAc
1点超Ac3点未満の2相域から急冷する焼入れ処理を
施し、Ac1以下の任意の温度で焼戻し処理して製造す
る。 【効果】 均質かつ伸び特性と低温靱性に優れ、構造物
の品質,溶接施工能率が向上し、さらには構造物の安全
性向上を図ることができる。
Description
温靱性を有し、伸び特性に優れ、建築,橋梁,海洋構造
物,圧力容器等に使用可能な引張強さ686MPa級以
上で伸び特性の優れた高靱性高強度鋼の製造法に関する
ものである。
強度鋼においてはB添加を行ない、焼入れ焼戻し処理を
施すことにより製造されている。
金添加を行なわなければならず、その結果、溶接割れ感
受性の高い鋼となる。そこで少しでも改善するために、
例えば特開昭62−139815号公報や特開平1−2
19121号公報に開示されるような、Bの焼入れ性向
上効果をより有効に活用するプロセスが検討されてい
る。
製造法として、特開昭63−33521号公報や特開昭
62−54019号公報で、B添加鋼やB添加鋼にCu
析出硬化を併用する方法により、より溶接性に優れた高
強度鋼の製造法も提案されている。
れるB添加鋼では、溶接HAZの高硬度化を避けること
は出来ず、溶接割れ感受性の向上には限界がある。
平2−129317号公報においては、Bを含有しない
で溶接性に優れた鋼板を製造する方法が開示されてお
り、溶接割れ感受性の改善には一定の成果を得ている。
の改善は可能であるが、本発明で述べる伸び特性の優れ
た高靱性高強度鋼板の製造は出来ない。
は、低降伏比となる高強度鋼の製造方法が開示されてい
るが、これは伸び特性を向上する技術を述べたものでは
ない。総じて、従来技術および知見では本発明で述べる
伸び特性向上を達成することは出来ない。
全性を一層高めるために、使用鋼材に高い伸び特性と靱
性が必要とされている。しかし上記従来技術では、伸び
特性と低温靱性を合せて向上することはできず、新たに
高強度鋼における伸び特性向上と低温靱性向上に関する
解決方法が待たれている。
溶接性に優れ、かつ伸び特性の優れた高靱性高強度鋼の
製造法を提供するものである。
ろは、重量%で、C:0.02〜0.11%,Si:
0.05〜0.50%,Mn:0.3〜2.0%,N
i:0.3〜4.0%,B:0.0003%以下,C
u:0.5〜4.0%,Al:0.005〜0.10
%,N:0.0010〜0.012%,H:0.9pp
m以下を必須基本成分として含有し、残部が鉄および不
可避不純物元素からなる鋼板を、1050℃以下のオー
ステナイト単相から急冷する焼入れ処理を1回または2
回施した後、さらにAc1点超Ac3点未満の2相域か
ら急冷する焼入れ処理を施し、Ac1以下の任意の温度
で焼戻し処理をすることを特徴とする伸び特性の優れた
高靱性高強度鋼の製造法である。
重量%で、Cr:0.05〜2.5%,Mo:0.15
〜1.5%,V:0.005〜0.10%,Nb:0.
003〜0.07%からなる強度改善元素群のうちの1
種又は2種以上を含有するものである。
重量%で、Ti:0.004〜0.05%,Ca:0.
0005〜0.006%,稀土類元素:0.03%以下
の低温靱性向上・均質化元素群のうちの1種又は2種以
上を含有するものである。
重量%で、Cr:0.05〜2.5%,Mo:0.15
〜1.5%,V:0.005〜0.10%,Nb:0.
003〜0.07%からなる強度改善元素群のうちの1
種又は2種以上と、Ti:0.004〜0.05%,C
a:0.0005〜0.006%,稀土類元素:0.0
3%以下の低温靱性向上・均質化元素群のうちの1種又
は2種以上を含有するものである。
々合金元素と熱処理法の影響を調査した結果、まず第一
にCu添加が伸び特性を向上すること、第二にCuを添
加した上で、焼入れと焼戻しの中間に2相域から焼入れ
る熱処理を加え、かつ鋼材の水素含有量を低く抑えるこ
とにより、Cu添加と組織と低水素との相乗効果によ
り、著しい伸び特性向上が達成できることを知見した。
水素量と熱処理プロセスの影響を示した図面である。
上することが判る。また通常Hレベルの鋼では、2相域
温度からの焼入れ処理を加えると、若干の一様伸びの向
上が認められるが、Hレベルを抑えた鋼では一様伸びの
向上が著しい。
るCuを含むフェライト−マルテンサイト−残留オース
テナイト組織中のフェライトの延性が、低水素とするこ
とにより相乗的に向上することによると思われる。
に、Cu量の増加に伴い強度も上昇する。従来一般には
強度と伸び特性は相反する特性であり、強度が上昇すれ
ば伸びは低下するとされる。しかし本発明法によれば、
強度を高くしつつ伸び特性も合せて向上できるという画
期的なことが可能となる。
の良好な高強度鋼の製造が可能となる。本発明はこのよ
うな知見に基づいて構成したものである。
る。先ず本発明に適用する鋼を、上記の鋼成分に限定し
た理由を述べる。
であり、その効果を出すには0.02%以上必要である
が、反面溶接性を阻害する元素であり、上限を0.11
%とする。
あり、また強度確保のため0.05%以上必要である。
一方0.50%を超えると溶接性および母材と溶接熱影
響部(HAZ)の靱性を低下させるため、含有量を0.
05〜0.50%とした。
・靱性確保するため0.3%以上必要であるが、2.0
%以上では靱性を損なうと共にHAZの硬化を生じ、溶
接性を損なうので0.3〜2.0%に限定する。
に、地の靱性を向上させる効果を持つが、その効果を得
るのに0.3%以上必要である。一方4.0%を越える
と、高価になり過ぎるのでこの値を上限とする。
性を高めるため実質的には添加しないが、0.0003
%までは無害であり、これを上限とする。
り、2相域焼入れ組織中のフェライトと水素量との相乗
効果により、添加とともに伸び特性を向上させる。また
強度の向上も可能な元素である。0.5%未満では効果
が小さいため下限を0.5%とする。また多すぎると溶
接時に高温割れを生じ易くなるため、上限を4.0%と
する。
り、また細粒化にも有効であるが、その効果を得るには
0.005%以上必要である。また0.10%を越えた
添加は、アルミナ系介在物が増加して鋼板の清浄性・靱
性を損なうので、0.005〜0.10%に限定する。
成し、オーステナイト粒の粗大化防止に有効であり、そ
のために0.0010%以上必要である。また多くなる
と溶接HAZ靱性を阻害するので、0.012%を上限
とする。
抑えることにより、Cu2相域焼入れ組織と相乗して、
一様伸びの著しい向上をもたらす。しかし0.9ppm
を超えると効果が薄れるために、上限を0.9ppmと
する。
求される鋼の特性に応じて、以下の元素群の1種または
2種以上を選択的に含有させることができる。
を向上させるという均等的作用をもつもので、必要に応
じて1種または2種以上を含有させるが、それぞれ含有
下限量をCr:0.05%,Mo:0.15%,V:
0.005%,およびNb:0.003%とする必要が
ある。しかしそれぞれCr:2.5%,Mo:1.5
%,V:0.10%,Nb:0.07%を超えて含有さ
せると溶接性を阻害し、かつ高価になりすぎる悪影響が
あり、上記値を強度向上元素の成分上限とする。
低温靱性を向上・均質化させるという均等的作用をもつ
もので、必要に応じて1種または2種以上を含有させる
が、所望の効果を確保するためにはそれぞれ含有下限量
をTi:0.004%,Ca:0.0005%とする必
要がある。しかしそれぞれTi:0.10%,Ca:
0.005%および稀土類元素:0.03%を超えて含
有させてもいたずらに高価となり、かつ溶接性や均質性
を阻害する。このため、上記の上限および下限を定め
る。
て、P,S等は本発明の特性である低温靱性を低下させ
る有害な元素であるから、その量は少ない方が良い。好
ましくはそれぞれ0.01%以下である。
法について述べる。上記のような鋼成分に加え、高強度
鋼板としての良好な特性を得るためには、熱処理法が適
切でなければならない。ここで、熱処理条件の限定理由
につき説明する。
れ−焼戻しである。焼入れに際しては、十分な焼入性を
得るためにオーステナイト単相域からの水冷を行なう
が、オーステナイト温度が1050℃を越えるとオース
テナイト粒が粗大化し過ぎ、靱性を阻害するので105
0℃以下とする。この焼入れ処理は、必要に応じて2回
行なってもかまわない。
ンサイト−残留オーステナイト組織中にフェライトを分
散析出させることが目的である。この熱処理によって、
Cuを含有した分散したフェライトにより一様伸び向上
と低温靱性向上が図れるとともに、降伏比の低下も合せ
て可能となる。本目的に沿う温度としてAc1点超、A
c3点未満の上限下限が必要である。
十分な析出を図るとともに、焼入れ組織の回復・軟化を
行ない、靱性を得るためである。Ac1点を超えた温度
では強度・靱性が著しく低下するので、Ac1点の温度
を上限とする。
イン焼入れでもオンライン焼入れ(いわゆる直接焼入
れ)でもよい。またオフライン焼入れの前に、1回のオ
ンライン焼入れ、もしくはオフライン焼入れを施すいわ
ゆる二重焼入れ処理を施してもよい。
製後、板厚35〜125mmの鋼板を製造した。引き続
いて表5,6,7に示す本発明法と比較法の各々の熱処
理法を施し、高強度鋼板を製造した。これらについて母
材の機械的性質を調査し、更に溶接性については溶接H
AZ最高硬さ試験を行なった。その結果を表8,9,1
0に示す。
く低温靱性も良好で、かつ溶接HAZ最高硬さが十分に
低く、溶接性が大幅に改善されている。
学組成範囲を逸脱した比較鋼(AA,AB,AC,A
D)においては、例AA1,AB1では、Cu量が少な
く、一様伸びが小さい。またCが多くかつB添加であ
り、低温靱性が低くHAZ硬さが高く溶接性も良くな
い。
加であるので溶接性は良好であるが、Cu添加が少ない
ので一様伸びが良くなく、AC2では強度も不足してい
る。
比べて高いので、一様伸びは増加しているがNiが無添
加であり、強度−靱性バランスが良くない。
プロセスが本発明に規定された範囲を逸脱した例AA
2,AB2,AC3,AD3では、Cu添加,組織,低
水素の相乗効果が活かされないため、伸びおよび靱性が
良くない。
Ar3点,Ac1点,Ac3点は下記それぞれの式によ
り計算した。
+Ni/40+Mo/4+V/14
20+Ni/60+Cr/20+Mo/15+V/10
+5B
(%)−68.1Mn(%)−36.1Ni(%)−2
0.7Cu(%)−24.8Cr(%)+29.6Mo
(%)+868(℃)
(%)−27.5Mn(%)−15.9Ni(%)+1
2.7Cr(%)−5.5Cu(%)+3.4Mo
(%)+751(℃)
(%)−15.0Mn(%)−20.1Ni(%)−
0.7Cr(%)−26.5Cu(%)+41.1Mo
(%)+881(℃)
よび製造法により、均質かつ伸び特性と低温靱性に優れ
た高靱性高張力鋼の製造が可能になり、その結果、これ
ら鋼を建築,橋梁,海洋構造物,圧力容器等に使用され
る引張強さ686MPa級以上の鋼に適用することによ
り、構造物の品質,溶接施工能率が向上し、さらには構
造物の安全性向上を図ることができる。
と高H材(H=1.2ppm) の熱処理プロセスによる一様伸び
の変化を示す図面である。
す図面である。
Claims (4)
- 【請求項1】 重量%で、 C :0.02〜0.11% Si :0.05〜0.50% Mn :0.3〜2.0% Ni :0.3〜4.0% B :0.0003%以下 Cu :0.5〜4.0% Al :0.005〜0.10% N :0.0010〜0.012% H :0.9ppm以下 を含有し、残部が鉄および不可避不純物元素からなる鋼
板を、1050℃以下のオーステナイト単相から急冷す
る焼入れ処理を1回または2回施した後、さらにAc1
点超Ac3点未満の2相域から急冷する焼入れ処理を施
し、Ac1以下の任意の温度で焼戻し処理をすることを
特徴とする伸び特性の優れた高靱性高強度鋼の製造法。 - 【請求項2】 重量%で、 Cr :0.05〜2.5% Mo :0.15〜1.5% V :0.005〜0.10% Nb :0.003〜0.07% からなる強度改善元素群のうちの1種又は2種以上を含
有する請求項1記載の伸び特性の優れた高靱性高強度鋼
の製造法。 - 【請求項3】 重量%で、 Ti :0.004〜0.05% Ca :0.0005〜0.006% 稀土類元素:0.03%以下 の低温靱性向上・均質化元素群のうちの1種又は2種以
上を含有する請求項1記載の伸び特性の優れた高靱性高
強度鋼の製造法。 - 【請求項4】 重量%で、 Cr :0.05〜2.5% Mo :0.15〜1.5% V :0.005〜0.10% Nb :0.003〜0.07% からなる強度改善元素群のうちの1種又は2種以上と、 Ti :0.004〜0.05% Ca :0.0005〜0.006% 稀土類元素:0.03%以下 の低温靱性向上・均質化元素群のうちの1種又は2種以
上を含有する請求項1記載の伸び特性の優れた高靱性高
強度鋼の製造法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP01934992A JP3215955B2 (ja) | 1992-01-09 | 1992-01-09 | 伸び特性の優れた高靱性高強度鋼板の製造法 |
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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Publications (2)
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JPH05186820A true JPH05186820A (ja) | 1993-07-27 |
JP3215955B2 JP3215955B2 (ja) | 2001-10-09 |
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ID=11996918
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP01934992A Expired - Lifetime JP3215955B2 (ja) | 1992-01-09 | 1992-01-09 | 伸び特性の優れた高靱性高強度鋼板の製造法 |
Country Status (1)
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---|---|---|---|---|
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JP4572002B1 (ja) * | 2009-10-28 | 2010-10-27 | 新日本製鐵株式会社 | 強度、延性の良好なラインパイプ用鋼板およびその製造方法 |
KR101054601B1 (ko) * | 2007-09-11 | 2011-08-04 | 가부시키가이샤 고베 세이코쇼 | 모재 저온 인성이 우수한 대입열 용접용 고장력 강판 |
WO2015022729A1 (ja) | 2013-08-13 | 2015-02-19 | 新日鐵住金株式会社 | 鋼板 |
-
1992
- 1992-01-09 JP JP01934992A patent/JP3215955B2/ja not_active Expired - Lifetime
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WO2011052095A1 (ja) * | 2009-10-28 | 2011-05-05 | 新日本製鐵株式会社 | 強度、延性の良好なラインパイプ用鋼板およびその製造方法 |
EP2397570A1 (en) * | 2009-10-28 | 2011-12-21 | Nippon Steel Corporation | Steel plate for line pipes with excellent strength and ductility and process for production of same |
EP2397570A4 (en) * | 2009-10-28 | 2012-08-22 | Nippon Steel Corp | STEEL SHEET FOR PIPING PIPES HAVING EXCELLENT RESISTANCE AND EXCELLENT DUCTILITY AND METHOD OF MANUFACTURING THE SAME |
US8641836B2 (en) | 2009-10-28 | 2014-02-04 | Nippon Steel & Sumitomo Metal Corporation | Steel plate for line pipe excellent in strength and ductility and method of production of same |
WO2015022729A1 (ja) | 2013-08-13 | 2015-02-19 | 新日鐵住金株式会社 | 鋼板 |
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