JPH059570A - 高溶接性高強度鋼の製造法 - Google Patents

高溶接性高強度鋼の製造法

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JPH059570A
JPH059570A JP18824691A JP18824691A JPH059570A JP H059570 A JPH059570 A JP H059570A JP 18824691 A JP18824691 A JP 18824691A JP 18824691 A JP18824691 A JP 18824691A JP H059570 A JPH059570 A JP H059570A
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less
steel
strength
weldability
toughness
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JP18824691A
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Ryota Yamaba
良太 山場
Hidetaka Chiba
秀隆 千葉
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Nippon Steel Corp
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Nippon Steel Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は、建築分野等で適用される超大入熱
溶接に耐える、強度70キロ以上の高強度鋼の製造法を
提供する。 【構成】 Cu:0.04〜2.5%,Ni:0.5〜
5.0%,Cu+Ni:1.5%以上および低P(0.
01%以下),低H(1.0ppm以下)を含有する鋼
に焼入れ,焼戻し、あるいは二相域熱処理,焼戻し処理
を施す。 【効果】 溶接熱影響部ミクロ組織の細分化と延性の向
上が生じ、溶接熱影響部上部ベーナイトの靱性が向上す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、均質で優れた強度・靱
性を有し、入熱の大きな溶接が適用可能な引張強さ70
kgf/mm2 級以上の高溶接性高強度鋼の製造法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来、引張強さ70kgf/mm2 級以上の
高強度鋼が、タンク,建機,橋梁,海洋構造物等の鋼構
造物に使用され、溶接施工による組立てが行われる。こ
の高強度鋼は、一般に溶接入熱が高いと溶接部熱影響部
(以下HAZと称す)靱性が低下する問題があり、極力
入熱を低く抑えて使用される。
【0003】この種高強度鋼の製造方法としては、特開
昭62−139815号や特開平1−219121号公
報に開示の技術があるが、これらはいづれも母鋼板の焼
入れ性を高めるための製造法を述べたものであり、溶接
部特性を向上する技術ではない。
【0004】一方溶接性を向上する高強度鋼の製造方法
として、特開昭62−54019号公報があるが、これ
はCuの析出硬化を利用した高強度鋼の製造方法を提案
するものであり、結果として最高硬さと斜めy型割れ試
験で表現される溶接割れ性は向上しているが、本発明が
提案する大入熱溶接に耐える高強度鋼の製造法ではな
い。
【0005】また大入熱溶接用鋼の製造法としては、例
えば特開昭62−170459号公報がある。これは引
張強さが50kgf/mm2 クラスの鋼であり、やはり本発
明が提案する大入熱溶接に耐える引張強さ70kgf/mm
2 級以上の高強度鋼の製造法ではない。
【0006】このように、従来の技術では大入熱溶接に
耐え得る高強度鋼の製造法は全く無いのが現状である。
このようなことから、従来の引張強さ70kgf/mm2
以上の高強度鋼は、一般には非常に使いにくい鋼と考え
られてきている。
【0007】そこで使い易い、言い替えると、大入熱溶
接など溶接施工の能率がよい引張強さ70kgf/mm2
以上の高強度鋼の製造方法が強く求められており、また
この種の鋼を用いて安全な鋼構造物を建てる上で、さら
に低降伏比鋼の供給が望まれている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】引張強さ70kgf/mm
2 級以上の高強度鋼は、基地のミクロ組織が焼戻し下部
ベーナイト+マルテンサイト組織であり、本組織により
高強度と高靱性を達成している。HAZにおいても低温
靱性を向上させるためには、下部ベーナイト組織とする
ことが必要である。
【0009】そのために溶接入熱を低く抑えることによ
り、冷却速度を早め下部ベーナイト組織をできるだけ多
く生成することが行われる。しかしながら大入熱溶接を
施こすと、HAZにおいては冷却速度が小さくなり、上
部ベーナイト組織の占める割合が大きくなり、低温靱性
が著しく低下する問題が生じる。
【0010】単にこれを防ぐためには鋼材への合金添加
量を多くし、上部ベーナイト組織の生成を減少,防止す
ることが考えられるが、しかし、この方法では化学組成
が過剰なものとなり、また溶接割れ性を阻害することに
なり、製造コストがかかると同時に手の掛かる溶接予熱
を十分行なわねばならず、問題が多く、使用に耐えな
い。
【0011】このことから、引張強さ70kgf/mm2
以上の高強度鋼を大入熱溶接し、且つHAZ部の靱性を
高めるためには、HAZ部で避けることが困難な上部ベ
ーナイト組織の靱性を向上する手段が必要となる。
【0012】本発明は、上記課題に鑑みなされたもの
で、均質で優れた強度・靱性を有し、入熱の大きな溶接
が適用可能な引張強さ70kgf/mm2 級以上の高溶接性
高強度鋼の製造法を提供する。
【0013】
【課題を解決するための手段】ここにおいて発明者ら
は、大入熱溶接でも良好なHAZ靱性を示す引張強さ7
0kgf/mm2 級以上の高強度鋼を開発することを目的
に、鋼およびその製造方法につき種々実験した結果、所
期の目的を達成する製造法を見出した。
【0014】即ち本発明者らは、大入熱溶接によって生
成する溶接HAZ部の粗大上部ベーナイトの靱性が、C
u,Niの同時添加に低燐化と低水素化を同時に複合さ
せることにより、著しく向上することを知見したもので
ある。
【0015】即ち図1に示すように、P量があまり低く
ないレベルではCu+Niを増加しても靱性の向上代は
少ないのに対し、P量を低くし、さらに水素量を低くし
た場合、Cu+Niの高い側では靱性向上が著しい。
【0016】この理由は、まず低燐と低水素化によりマ
トリクスの延性が向上する。そしてCu+Niを増す
と、ある量以上で上部ベーナイト組織が細かくなる現象
が生じる。そのため、低燐と低水素化およびCu+Ni
の添加を複合させることにより、上記の効果が相俟っ
て、Cu+Niの高い側で靱性向上効果が顕著に大きく
なるのである。
【0017】本発明はかかる知見に基づきなされたもの
で、その要旨は次の通りである。
【0018】第1の本発明は、重量%にて、C:0.0
4〜0.25%,Si:0.05〜0.60%,Mn:
0.3〜2.0%,Cu:0.04〜2.5%,Ni:
0.5〜5.0%,Cu+Ni:1.5%以上,Cr:
0.04〜2.0%,Mo:0.04〜1.0%,A
l:0.02〜0.1%,B:0.0003〜0.00
50%,N:0.002〜0.012%,P:0.01
0%以下,H:1.0ppm以下を基本成分とし、残部
鉄および不可避不純物からなる鋼板を、1000℃以下
のオーステナイト一相域から水冷する焼入れ処理を施し
た後、Ac1 点以下の任意の温度で焼戻し処理すること
を特徴とする高溶接性高強度鋼の製造法である。
【0019】第2の本発明は、重量%にて、C:0.0
4〜0.25%,Si:0.05〜0.60%,Mn:
0.3〜2.0%,Cu:0.04〜2.5%,Ni:
0.5〜5.0%,Cu+Ni:1.5%以上,Cr:
0.04〜2.0%,Mo:0.04〜1.0%,A
l:0.02〜0.1%,B:0.0003〜0.00
50%,N:0.002〜0.012%,P:0.01
0%以下,H:1.0ppm以下を基本成分とし、これ
にV:0.1%以下,Nb:0.1%以下,W:1.5
%以下,Ta:0.05%以下からなる強度向上元素群
のうちの1種または2種以上を含有し、残部鉄および不
可避不純物からなる鋼板を、1000℃以下のオーステ
ナイト一相域から水冷する焼入れ処理を施した後、Ac
1 点以下の任意の温度で焼戻し処理することを特徴とす
る高溶接性高強度鋼の製造法である。
【0020】第3の本発明は、重量%にて、C:0.0
4〜0.25%,Si:0.05〜0.60%,Mn:
0.3〜2.0%,Cu:0.04〜2.5%,Ni:
0.5〜5.0%,Cu+Ni:1.5%以上,Cr:
0.04〜2.0%,Mo:0.04〜1.0%,A
l:0.02〜0.1%,B:0.0003〜0.00
50%,N:0.002〜0.012%,P:0.01
0%以下,H:1.0ppm以下を基本成分とし、これ
にTi:0.1%以下,Ca:0.0005〜0.00
60%,稀土類元素:0.03%以下の低温靱性向上・
均質化元素群のうちの1種または2種以上を含有し、残
部鉄および不可避不純物からなる鋼板を、1000℃以
下のオーステナイト一相域から水冷する焼入れ処理を施
した後、Ac1 点以下の任意の温度で焼戻し処理するこ
とを特徴とする高溶接性高強度鋼の製造法である。
【0021】第4の本発明は、重量%にて、C:0.0
4〜0.25%,Si:0.05〜0.60%,Mn:
0.3〜2.0%,Cu:0.04〜2.5%,Ni:
0.5〜5.0%,Cu+Ni:1.5%以上,Cr:
0.04〜2.0%,Mo:0.04〜1.0%,A
l:0.02〜0.1%,B:0.0003〜0.00
50%,N:0.002〜0.012%,P:0.01
0%以下,H:1.0ppm以下を基本成分とし、これ
にV:0.1%以下,Nb:0.1%以下,W:1.5
%以下,Ta:0.05%以下からなる強度向上元素群
のうちの1種または2種以上と、Ti:0.1%以下,
Ca:0.0005〜0.0060%,稀土類元素:
0.03%以下の低温靱性向上・均質化元素群のうちの
1種または2種以上を含有し、残部鉄および不可避不純
物からなる鋼板を、1000℃以下のオーステナイト一
相域から水冷する焼入れ処理を施した後、Ac1 点以下
の任意の温度で焼戻し処理することを特徴とする高溶接
性高強度鋼の製造法である。
【0022】また上記第1〜第4の発明において、焼入
れ処理と焼戻し処理の間に、Ac1 〜Ac3 に加熱して
水冷する焼入れ処理を施すことを特徴とする高溶接性高
強度鋼の製造法である。
【0023】
【作用】以下本発明を作用とともに詳細に説明する。ま
ず本発明において、鋼成分を上記のように限定した理由
を述べる。
【0024】Cは焼入れ性を向上させ強度確保に必要で
あり、その効果を出すために0.04%以上必要である
が、0.25%を超えると溶接性を低下させると共に、
靱性を低下させることから、0.04〜0.25%に限
定する。
【0025】Siは製鋼上脱酸元素として必要であり、
また強度確保のため0.05%以上必要である。一方
0.60%を超えると、溶接性,および母材とHAZの
靱性が低下するため、0.05〜0.60%に限定す
る。
【0026】Mnは焼入れ性を向上させ、強度・靱性を
確保するため0.3%以上必要であるが、2.0%以上
では靱性を損なうと共に、HAZの硬化を生じ溶接性を
損なうので、0.3〜2.0%に限定する。
【0027】Cuは焼入れ性や強度を上げるのに有用な
元素であり、その効果を出すのに0.04%以上必要で
あるが、一方2.5%を超えると溶接時に熱間割れを生
じ易くなる故、これを上限とする。
【0028】Niは焼入れ性を向上させると共に、地の
靱性を向上させる効果を持ち、その効果を得るのに0.
5%以上必要であるが、一方5.0%を超えると高価に
なり過ぎるので、これを上限とする。
【0029】更にCuとNiは、同時添加により上部ベ
ーナイトを細かくするのに効果があり、且つ低燐および
低水素との複合効果と相俟って、HAZ部上部ベーナイ
トの靱性向上に有効であるが、その効果を出すのにCu
+Niで1.5%以上必要である。
【0030】Crは焼入れ性や強度を上げるのに有用
で、この効果を出すのに0.04%以上必要であるが、
一方2.0%を超えると溶接性,靱性を低下させる故、
これを上限とする。
【0031】Moは焼入れ性を向上させ、強度を上げ、
且つ焼戻し脆性を防止するのに有用であり、その効果を
出すのに0.04%以上必要であるが、一方1.0%を
超えるとHAZを著しく硬化させ、溶接性,靱性を低下
させるので、これを上限とする。
【0032】Alは細粒化を図り、且つ焼入れ性に有効
なBを得るのに必要で、その効果を奏するには0.02
%以上必要であるが、0.1%を超えた添加はアルミナ
系介在物が増加して、鋼板の清浄性・靱性を損なうの
で、0.02〜0.1%に限定した。
【0033】Bは鋼の焼入れ性を向上するのに必須の元
素であり、0.0003%以上必要であるが、0.00
5%を超える添加はB系介在物を多くし、靱性を損なう
ので、0.0003〜0.005%に限定する。
【0034】NはAlやTiと結合して窒化物を形成
し、オーステナイト粒の粗大化防止に有効で、そのため
0.002%以上必要であるが、一方0.012%を超
えると、Bと結びついてBNとなり、焼入れ性を阻害す
るBを減少せしめると共に溶接HAZ靱性を阻害するの
で、0.0020〜0.012%に限定する。
【0035】PはHと共に低くすることにより延性を高
める効果を持ち、且つCu+Niの添加と複合させるこ
とによりHAZ部の上部ベーナイトの靱性向上を果たす
ことができるが、その効果を得るためにそれぞれPは
0.010%以下、Hは1.0ppm以下とする必要が
ある。
【0036】本発明では、上記必須基本成分の他に、要
求される鋼の特性に応じて以下の元素を1種または2種
以上選択的に含有させることができる。
【0037】V,Nb,WおよびTaは、鋼の強度を向
上させるという均等的作用を持つもので、必要に応じて
1種または2種以上含有させるが、それぞれV:0.1
%,Nb:0.1%,W:1.5%およびTa:0.0
5%の上限を超えて含有させても溶接性を阻害し、且つ
高価になり過ぎる悪影響が出るため、上記強度向上元素
のそれぞれの成分上限を定める。
【0038】またTi,Caおよび稀土類元素は、鋼の
低温靱性を向上・均質化させるという均等的作用を持つ
もので、必要に応じて1種または2種以上含有させる
が、それぞれTi:0.1%,Ca:0.0060%,
および稀土類元素:0.03%の上限を超えて含有させ
ても、いたずらに高価となり、且つ溶接性や均質性を阻
害する。またCaはその作用を発揮するのに0.000
5%以上が必要である。このことから、上記靱性向上・
均質化元素群のそれぞれの上限および下限を定める。
【0039】上記の成分のほかに、不可避不純物として
Sは本発明の特性である靱性を低下させる有害な元素で
あるから少ない方が良く、好ましくはS≦0.005%
である。
【0040】次に本発明鋼の熱処理法につき述べる。
【0041】上記のような鋼成分に加え、高強度鋼とし
ての良好な特性を得るためには熱処理法が適切でなけれ
ばならない。ここで熱処理条件の限定理由につき説明す
る。
【0042】熱処理法はいわゆる焼入れ,焼戻しを施こ
す。加えて低降伏比鋼にするためには、焼入れ,焼戻し
の間に二相域熱処理を施こす必要がある。
【0043】焼入れに際しては、十分な焼入れ性を得る
ためにオーステナイト一相域からの水冷を行なうが、オ
ーステナイト化温度が1000℃を超えるとオーステナ
イト粒の粗大化が生じ、靱性を阻害するので1000℃
以下とする。
【0044】焼戻し処理は、焼入れ組織からの析出強化
元素の十分な析出を図るためであると同時に、焼入れ組
織の回復,軟化を行ない、靱性を得るためである。Ac
1 を超えた温度では、強度,靱性が著しく低下するので
Ac1 を上限とする。
【0045】焼入れ処理は、オフライン焼入れでもオン
ライン焼入れ、いわゆる直接焼入れでもよい。またオフ
ライン焼入れの前にもう一度オフライン焼入れ、もしく
はオンライン焼入れを施すいわゆる二重焼入れを施こし
てもよい。
【0046】二相域熱処理は降伏比を下げるために必要
である。この熱処理により硬いマルテンサイトと軟かい
フェライトの二相組織とする。従って二相組織とするた
めに、Ac1 〜Ac3 間の二相域に加熱し、その後水冷
する焼入れ熱処理を行なう。
【0047】
【実施例】次に本発明の実施例について説明する。
【0048】実施例1として、表1,2に示す組成を有
する本発明法による鋼、比較法による鋼を溶製して得た
鋼片を厚板圧延し、さらに表3に示す熱処理条件で板厚
25〜150mm鋼板に製造した。これらの母材および
溶接熱影響部の機械的性質を表4,5に示す。
【0049】鋼No.A1,A3,C1,E1,F1,
G1,H1,J1,K1,L1,N1,O1,Q1は本
発明法の焼入れ−焼戻し処理材であり、鋼No.D1,
I,M1,P1は本発明法のオンライン焼入れ−焼戻し
処理材である。また鋼No.A2,F2,K2は本発明
法の二重焼入れ−焼戻し材、鋼No.C2,J2,Q2
は二重焼入れ処理の一回目をオンライン焼入れで実施
し、その後、焼入れ−焼戻し処理を行なったもの、鋼N
o.S1,T1,U1,V1は比較法である。
【0050】本発明法による鋼板は、いづれも引張強さ
70kgf/mm2 以上であり、そして優れた母材機械的性
質を示すと共に、比較法による鋼材に較べ熱影響部シャ
ルピー衝撃試験結果の溶接入熱100kJ/cmにおい
て著しく優れ、また入熱1000kJ/cmにおいても
良好な値が得られていることが判る。
【0051】
【表1】
【0052】
【表2】
【0053】
【表3】
【0054】
【表4】
【0055】
【表5】
【0056】実施例2として、表6,7に示す組成を有
する本発明法による鋼と、比較法による鋼を溶製して得
た鋼片を厚板圧延し、さらに表8に示す熱処理条件にて
板厚25〜150mm鋼板に製造した。これらの母材お
よび溶接熱影響部の機械的性質を表9,10に示す。
【0057】鋼No.a1,c1,e1,f1,h1,
i1,k1,m1,p1は焼入れ−二相域熱処理−焼戻
し材であり、鋼No.a2,b1,d1,g1,j1,
l1,n1,o1,q1はオンライン焼入れ−二相域熱
処理−焼戻し材である。また鋼No.r1,s1,t
1,u1は比較法である。
【0058】本発明法による鋼は、いづれも引張強さ7
0kgf/mm2 以上で、強度・靱性が良好であり、且つ8
5%以下の低降伏比鋼であると共に、熱影響部シャルピ
ー衝撃試験結果が、比較法に較べ溶接入熱100kJ/
cmでも1000kJ/cmでもはるかに優れることが
判る。
【0059】
【表6】
【0060】
【表7】
【0061】
【表8】
【0062】
【表9】
【0063】
【表10】
【0064】
【発明の効果】以上説明したごとく本発明の製造法によ
る鋼は、いづれも引張強さ70kgf/mm2 以上で強度・
靱性が良好であり、且つ85%以下の低降伏比という優
れた機械的性質を示すと共に、溶接時の熱影響部衝撃試
験結果にも示すように、溶接入熱100kJ/cmにお
いても従来に比較して著しく優れ、また入熱1000k
J/cmにおいても良好な値が得られ、溶接施工により
組立が行われるタンク,建機,橋梁,海洋構造物等の構
造物に適した高溶接性高強度の鋼を提供することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】溶接入熱1000kJ/cmの溶接HAZ部の
シャルピー衝撃値をCu+Niとの関係で示した図面で
ある。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量%にて、 C:0.04〜0.25%,Si:0.05〜0.60
    %,Mn:0.3〜2.0%,Cu:0.04〜2.5
    %,Ni:0.5〜5.0%,Cu+Ni:1.5%以
    上,Cr:0.04〜2.0%,Mo:0.04〜1.
    0%,Al:0.02〜0.1%,B:0.0003〜
    0.0050%,N:0.002〜0.012%,P:
    0.010%以下,H:1.0ppm以下を基本成分と
    し、残部鉄および不可避不純物からなる鋼板を、100
    0℃以下のオーステナイト一相域から水冷する焼入れ処
    理を施した後、Ac1 点以下の任意の温度で焼戻し処理
    することを特徴とする高溶接性高強度鋼の製造法。
  2. 【請求項2】 重量%にて、 C:0.04〜0.25%,Si:0.05〜0.60
    %,Mn:0.3〜2.0%,Cu:0.04〜2.5
    %,Ni:0.5〜5.0%,Cu+Ni:1.5%以
    上,Cr:0.04〜2.0%,Mo:0.04〜1.
    0%,Al:0.02〜0.1%,B:0.0003〜
    0.0050%,N:0.002〜0.012%,P:
    0.010%以下,H:1.0ppm以下を基本成分と
    し、これにV:0.1%以下,Nb:0.1%以下,
    W:1.5%以下,Ta:0.05%以下からなる強度
    向上元素群のうちの1種または2種以上を含有し、残部
    鉄および不可避不純物からなる鋼板を、1000℃以下
    のオーステナイト一相域から水冷する焼入れ処理を施し
    た後、Ac1 点以下の任意の温度で焼戻し処理すること
    を特徴とする高溶接性高強度鋼の製造法。
  3. 【請求項3】 重量%にて、 C:0.04〜0.25%,Si:0.05〜0.60
    %,Mn:0.3〜2.0%,Cu:0.04〜2.5
    %,Ni:0.5〜5.0%,Cu+Ni:1.5%以
    上,Cr:0.04〜2.0%,Mo:0.04〜1.
    0%,Al:0.02〜0.1%,B:0.0003〜
    0.0050%,N:0.002〜0.012%,P:
    0.010%以下,H:1.0ppm以下を基本成分と
    し、これにTi:0.1%以下,Ca:0.0005〜
    0.0060%,稀土類元素:0.03%以下の低温靱
    性向上・均質化元素群のうちの1種または2種以上を含
    有し、残部鉄および不可避不純物からなる鋼板を、10
    00℃以下のオーステナイト一相域から水冷する焼入れ
    処理を施した後、Ac1 点以下の任意の温度で焼戻し処
    理することを特徴とする高溶接性高強度鋼の製造法。
  4. 【請求項4】 重量%にて、 C:0.04〜0.25%,Si:0.05〜0.60
    %,Mn:0.3〜2.0%,Cu:0.04〜2.5
    %,Ni:0.5〜5.0%,Cu+Ni:1.5%以
    上,Cr:0.04〜2.0%,Mo:0.04〜1.
    0%,Al:0.02〜0.1%,B:0.0003〜
    0.0050%,N:0.002〜0.012%,P:
    0.010%以下,H:1.0ppm以下を基本成分と
    し、これにV:0.1%以下,Nb:0.1%以下,
    W:1.5%以下,Ta:0.05%以下からなる強度
    向上元素群のうちの1種または2種以上と、Ti:0.
    1%以下,Ca:0.0005〜0.0060%,稀土
    類元素:0.03%以下の低温靱性向上・均質化元素群
    のうちの1種または2種以上を含有し、残部鉄および不
    可避不純物からなる鋼板を、1000℃以下のオーステ
    ナイト一相域から水冷する焼入れ処理を施した後、Ac
    1 点以下の任意の温度で焼戻し処理することを特徴とす
    る高溶接性高強度鋼の製造法。
  5. 【請求項5】 焼入れ処理と焼戻し処理の間に、Ac1
    〜Ac3に加熱して水冷する焼入れ処理を施すことを特
    徴とする請求項1,2,3又は4記載の高溶接性高強度
    鋼の製造法。
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