JPH05186311A - 水硬性リン酸カルシウムセメント硬化液 - Google Patents
水硬性リン酸カルシウムセメント硬化液Info
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- JPH05186311A JPH05186311A JP3293455A JP29345591A JPH05186311A JP H05186311 A JPH05186311 A JP H05186311A JP 3293455 A JP3293455 A JP 3293455A JP 29345591 A JP29345591 A JP 29345591A JP H05186311 A JPH05186311 A JP H05186311A
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Abstract
シウムとのCa/Pモル比が1.40〜1.498であ
る混合物を主成分とする粉剤と、液剤とからなり、該液
剤が、NaF、KF、NH4F及びこれらの混合物から
なる群より選択されるフッ化物を含有することを特徴と
するリン酸カルシウムセメント。 【効果】 本発明のリン酸カルシウムセメントは、生体
親和性に富む特定組成のリン酸カルシウムセメントを主
成分とする粉剤と、特定のフッ化物を含有する液剤とを
基材としているため、生体親和性に優れ、高強度且つ強
度のばらつきが少なく、また硬化時間が短く、耐酸性に
優れる。また歯科用セメントとして用いた場合には、徐
々に放出される溶存フッ素イオンによる虫歯予防効果を
有する。
Description
裏層剤並びに歯牙根管充填剤等の歯科用セメント等の硬
化液として利用可能な水硬性リン酸カルシウムセメント
硬化液に関する。
結硬化によって生体内の歯及び骨の主成分に近似した化
合物に転化するために、歯及び骨の修復材料として有用
であり、更には生体高分子や生体中の有害な有機物又は
無機質イオンの吸着剤として有用なものであることが知
られている。
トにおいて用いる硬化液としては、特開昭59−883
51号公報において、塩類及び希薄酸を組合せた硬化液
が、また特開昭60−253454号公報において、不
飽和カルボン酸を含有する酸性溶液を使用する硬化液等
が提案されている。しかしながら、前記水硬性リン酸カ
ルシウムセメントの硬化液においては、硬化液が酸を含
有するため、前記水硬性リン酸カルシウムセメントが硬
化する際に生体にかなりの刺激を及ぼすという問題があ
る。
して水のみを用いる水硬性リン酸カルシウムセメントが
開発されている(例えば、FC REPORT,vo
l.6(1988),p.475〜480「バイオセラミ
ックスとしての水硬性アパタイト」)。前記水のみによ
り硬化する水硬性リン酸カルシウムセメントとしては、
特開昭64−37445号公報において、単に水と練和
するのみで37℃にて、10分程度で硬化する水硬性リ
ン酸カルシウムセメントが提案されている。前記水硬性
リン酸カルシウムセメントはpHがほぼ中性であり、生
体に対する刺激も少なく、従来の水硬性リン酸カルシウ
ムセメントの問題点を解消するものである。 しかしな
がら、前記水硬性リン酸カルシウムセメントは、生体親
和性に優れるものの、薬理作用に関しては、何ら検討さ
れていないのが現状である。
患した象牙質においては、崩壊及び軟化が生じ、軟化し
た部分は、修復物の保持力の低下や歯髄損傷の可能性が
あるために除去することが原則であるが、仮に軟化象牙
質を再硬化させることができれば臨床上非常に有益であ
る。しかしながら、前記水硬性リン酸カルシウムセメン
トは、生体親和性に優れ、硬化後ヒドロキシアパタイト
に転化して新生骨生成能を示すものの、軟化した象牙質
自体を再硬化させる能力が小さいという問題がある。
は、水硬性リン酸カルシウムセメントの有する生体親和
性及び物性を損なわずに、軟化した象牙質を再硬化させ
ることができる薬理作用をセメント硬化体に付与するこ
とができるリン酸カルシウムセメント硬化液を提供する
ことにある。
リン酸カルシウムセメントを硬化させるための硬化液で
あって、該硬化液がフッ素イオンを含有する水溶液から
なることを特徴とする水硬性リン酸カルシウムセメント
硬化液が提供される。
硬化液は、フッ素イオンを含有する水溶液であり、前記
フッ素イオンは、軟化象牙質に作用して再硬化させるこ
とができる成分である。該フッ素イオンの軟化象牙質に
対する作用について説明すると、通常の象牙質は、ヒド
ロキシアパタイトを主成分とするが、齲蝕に罹患して軟
化した場合には、該ヒドロキシアパタイトは、結晶性が
低下し、また一部が第3リン酸カルシウム、第2リン酸
カルシウム、リン酸8カルシウム等に分解する。しかし
ながら、該軟化象牙質にフッ素イオンが作用すると、結
晶性の低下したヒドロキシアパイトの結晶性が向上し、
また前記第3リン酸カルシウム、第2リン酸カルシウ
ム、リン酸8カルシウムが結晶性の良いフッ素アパタイ
トに転化して、軟化象牙質が再硬化する。
例えば水溶性フッ化物等を溶解した水溶液などを好まし
く挙げることができる。前記水溶性フッ化物としては、
具体的には例えば、NaF、NH4F、KF等を好まし
く挙げることができ、使用に際しては、単独若しくは混
合物として用いることができる。
硬化液におけるフッ素イオン濃度は、1.0〜1000
ppmとするのが好ましい。前記濃度が1.0ppm未
満場合には、軟化象牙質の再硬化が十分に行なわれず、
1000ppmを超えるとフッ素イオンの毒性が無視で
きなくなるので好ましくない。該フッ素イオン濃度は、
微量であるので、得られるセメントの生体親和性や物性
に影響を与えることはない。
おいては、セメントの練和時に適度な稠度及び良好な操
作性を発揮させたり、セメント泥に十分な流動性や濡れ
性を付与する目的のために、更に水溶性高分子を含有さ
せることもできる。該水溶性高分子としては、生体高分
子である多糖類や、高分子界面活性剤等を好ましく挙げ
ることができる。具体的には例えば、溶性デンプン、グ
リコーゲン、アラビアゴム、アルギン酸、ヒアルロン
酸、コンドロイチン硫酸及びこれらの塩、ポリプロピレ
ングリコール、ポリエチレングリコール、ポリビニルア
ルコール、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロ
ース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等を挙げる
ことができ、使用に際しては単独若しくは混合物として
用いることができる。前記水溶性高分子の含有量は、前
記目的を達成するために必要な最低量から、粘度の増加
によって操作性を損なうことのない最高量までの範囲で
用いることができる。
硬化液の使用量は、硬化させる水硬性リン酸カルシウム
セメントの種類により異なるが前記水硬性リン酸カルシ
ウムセメント100重量部に対して35〜70重量部と
するのが好ましい。
硬化液を用いて硬化させることができる水硬性リン酸カ
ルシウムセメントとしては、水により硬化するリン酸カ
ルシウムセメントであれば特に限定されるものではない
が、具体的には例えば、α型第3リン酸カルシウム、第
4リン酸カルシウム、第2リン酸カルシウム2水和物、
第1リン酸カルシウム1水和物及びこれらの混合物から
なる群より選択されるリン酸カルシウムを主成分とする
セメント等を好ましく挙げることができる。特に前述の
フッ素イオンによる軟化象牙質の再硬化が、カルシウム
及びリンの補給によって促進されるので、α型第3リン
酸カルシウムや第4リン酸カルシウムを主成分とする水
硬性リン酸カルシウムセメント、具体的には、α型第3
リン酸カルシウム、第4リン酸カルシウムの単独物又は
これらの混合物、α型第3リン酸カルシウムと第2リン
酸カルシウム2水和物又は第1リン酸カルシウム1水和
物との混合物、第4リン酸カルシウムと第2リン酸カル
シウム2水和物又は第1リン酸カルシウム1水和物との
混合物を主成分として含み、必要に応じて、ヒドロキシ
アパタイト、β型第3リン酸カルシウム、ピロリン酸カ
ルシウム、フッ素アパタイト等を含有させた水硬性リン
酸カルシウムセメントを特に好ましく挙げることができ
る。更に必要に応じて該セメントには、X線造影性、抗
菌性を付与するために、例えば硫酸バリウム、塩基性炭
酸ビスマス等のX線造影剤、ヨードホルム、クロロヘキ
シジン等の抗菌剤を含有させても良い。
ト硬化液は、生体に体する毒性を示さない程度の微量の
フッ素イオンを含有する水溶液であるため、水硬性リン
酸カルシウムセメントの生体親和性及び物性を損なわず
に、軟化象牙質を再硬化させることができるという薬理
作用を有し、特に歯科医療分野において、患者の歯質が
より多く保存でき、後に修復処置が必要な場合でも術式
がより簡便、且つ確実となる。また深部齲蝕で軟化象牙
質を完全に取り除くと、露髄の危険性がある場合等に
は、軟化象牙質を一部残し、再硬化させた後使用するこ
とによって露髄を回避することができる等臨床上非常に
有用である。更には、セメント硬化体の結晶性や耐酸性
をも向上させることが可能である。
詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるもので
はない。
うに、水に、NaF、NH4F、KF(全て和光純薬工
業(株)製、特級)を夫々溶解し、水硬性リン酸カルシ
ウムセメント硬化液を調製した。
酸カルシウムとをCa/Pモル比で1.33に(以下セ
メント1と称す)、α型第3リン酸カルシウムと第2リ
ン酸カルシウム2水和物(和光純薬工業株式会社製,特
級)とをCa/Pモル比で1.45に(以下セメント2
と称す)、第4リン酸カルシウムと第1リン酸カルシウ
ム1水和物(和光純薬工業株式会社製,食品添加用)と
をCa/Pモル比で1.80に(以下セメント3と称
す)、それぞれ混合し、水硬性リン酸カルシウムセメン
トを得た。
メント100重量部と、水硬性リン酸カルシウムセメン
ト硬化液60重量部とを、夫々ガラス練板及びセメント
ヘラを用いて1分間練和し硬化させた。得られたセメン
ト硬化体の圧縮強度を測定した。結果を表1に示す。な
お圧縮強度は、セメント硬化体(7mmφ,14mmL)
を、37℃に保持した水中に24時間浸漬した後、取り
出して濡れた状態でインストロン社製万能試験機112
5型を使用して測定した。
同様にしてセメント硬化体を作成し、圧縮強度を測定し
た。結果を表1に示す。
2×1.5mm)、該象牙質中の象牙細管の横断面をエ
メリーペーパー4000番で研磨し、測定面とした。次
いで該測定面を、1N乳酸水溶液(pH4.0)に15
時間浸漬した後、更に象牙質粉末を蒸留水に入れて調製
したカルシウム及びリンの飽和水溶液に1時間浸漬し、
人工的に象牙質を軟化させた。次いで軟化した測定面
に、表2に示す水硬性リン酸カルシウムセメント100
重量部と、実施例1で調製した水硬性リン酸カルシウム
セメント硬化液60重量部とを練和して得たセメントペ
ーストを接触させ、37℃、湿度100%の状態にて1
か月放置した。1か月経過後取り出し、測定面のヌープ
硬さを測定し、硬度回復の様子を調べた。また別に単な
る水のみを硬化液として練和したセメントペーストを用
いて全く同様にヌープ硬さを測定した。その結果、軟化
させた直後のヌープ硬さが10(KHN)程度であった
のに対して、本発明の硬化液を用いたものは、水のみを
硬化液とした場合に比して、明らかに正常の象牙質のヌ
ープ硬さ(40〜50(KHN))に近い硬度にまで回
復していた。結果を表2に示す。なお、ヌープ硬さは、
明石社の微小硬度計を使用した。
1.0ppm、50ppm及び1000ppmとなるよ
うに水硬性リン酸カルシウム硬化液を各々調製した。一
方α型第3リン酸カルシウムと第2リン酸カルシウムと
をCa/Pモル比が1.45となるように混合して、水
硬性リン酸カルシウムセメントを調製した。該水硬性リ
ン酸カルシウムセメント100重量部に、前記水硬性リ
ン酸カルシウム硬化液を夫々60重量部混合し、実施例
2と同様にして軟化させた象牙質測定面のヌープ硬さを
測定した。その結果いずれの場合も軟化象牙質が再硬化
されていた。結果を表3に示す。
Claims (1)
- 【請求項1】 水硬性リン酸カルシウムセメントを硬化
させるための硬化液であって、該硬化液がフッ素イオン
を含有する水溶液からなることを特徴とする水硬性リン
酸カルシウムセメント硬化液。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP29345591A JP3455551B2 (ja) | 1991-11-08 | 1991-11-08 | 水硬性リン酸カルシウムセメント硬化液 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP29345591A JP3455551B2 (ja) | 1991-11-08 | 1991-11-08 | 水硬性リン酸カルシウムセメント硬化液 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH05186311A true JPH05186311A (ja) | 1993-07-27 |
JP3455551B2 JP3455551B2 (ja) | 2003-10-14 |
Family
ID=17794978
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP29345591A Expired - Fee Related JP3455551B2 (ja) | 1991-11-08 | 1991-11-08 | 水硬性リン酸カルシウムセメント硬化液 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3455551B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007525240A (ja) * | 2003-04-16 | 2007-09-06 | カルシテク・インコーポレーテッド | リン酸カルシウムセメントと、その使用法及び調合法。 |
-
1991
- 1991-11-08 JP JP29345591A patent/JP3455551B2/ja not_active Expired - Fee Related
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007525240A (ja) * | 2003-04-16 | 2007-09-06 | カルシテク・インコーポレーテッド | リン酸カルシウムセメントと、その使用法及び調合法。 |
Also Published As
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JP3455551B2 (ja) | 2003-10-14 |
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