JPH06172008A - 硬化性組成物 - Google Patents

硬化性組成物

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JPH06172008A
JPH06172008A JP4350691A JP35069192A JPH06172008A JP H06172008 A JPH06172008 A JP H06172008A JP 4350691 A JP4350691 A JP 4350691A JP 35069192 A JP35069192 A JP 35069192A JP H06172008 A JPH06172008 A JP H06172008A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】硬化性組成物において硬化体が生体親和性に優
れ、形態付与性があり、かつ臨床応用可能な20分以内
の硬化時間を持つ硬化性組成物を提供することを目的と
する。 【構成】リン酸水素カルシウム、リン酸三カルシウム、
リン酸八カルシウム、リン酸二水素カルシウムの群から
選ばれた少なくとも一つとリン酸四カルシウム、酸化カ
ルシウム、水酸化カルシウムの群から選ばれた少なくと
も一つの混合物からなる粉末部と練和液を基本構成とす
る硬化性組成物において練和時における練和液中のリン
酸イオン濃度が30ミリモル濃度以上あるいはpHが3
以下あるいはpHが10以上となる硬化性組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【産業上の利用分野】本発明は新規な硬化性組成物、詳
しくは医療用硬化性組成物あるいは充填、補填材料組成
物に関する。より詳しくは病的あるいは外的原因等によ
り生じた骨や歯などの硬組織の欠損部や空隙部に適応
し、当該個所に所望の形態のリン酸カルシウム硬化体を
形成させ、欠損空隙部の機能を補綴することと共に新生
硬組織の発生を誘発する硬組織組成物に関する。
【従来の技術】医療用硬化性組成物は医科用としては主
に骨欠損部充填材、骨接合材などに歯科用としては合着
用、金属修復物の断熱、暫間あるいは永久充填、根管充
填や覆髄などに用いられる。現在用いられている医科用
硬化性組成物である骨セメントは粉末部にメタアクリル
酸メチル重合体を主成分として含み、メタアクリル酸メ
チルモノマーを練和液とし両者を混合練和することによ
りメタアクリル酸メチル重合体を硬化物として得るもの
である。歯科用硬化性組成物には酸化亜鉛を粉末部にリ
ン酸水溶液を練和液に持つリン酸亜鉛セメント、酸化亜
鉛を粉末部にポリカルボン酸水溶液を練和液とするカル
ボキシレートセメント、酸化亜鉛を粉末部にユージノー
ルを練和液に持つユージノールセメントなどがありいず
れも粉末部を練和液で練和することにより硬化物を得
る。これら現在の医療用硬化性組成物は粉末部を練和液
で練和することにより所望の形態の硬化物を得ることが
できるが、生成する硬化物は生体組織とは異質なもので
あり硬化体は生体親和性を示さない。しかも骨セメント
の場合では残留モノマーのために周辺の組織に炎症が起
きることが報告されている。一方、生体硬組織はハイド
ロキシアパタイトを主成分とするリン酸カルシウムであ
り、ハイドロキシアパタイト、リン酸三カルシウムなど
のリン酸カルシウムは優れた生体親和性を示すことが知
られている。これらのリン酸カルシウムは燒結体とし
て、あるいは顆粒状、紛体として現在臨床応用されてい
るが形態付与性はない。リン酸カルシウムの優れた生体
親和性に形態付与を目的とした硬化性を持たせるために
例えば特開昭58ー83605、特開昭59ー8825
1、特開昭59ー182263、特開昭61ー2366
44、特開昭62ー72363に見られるようにリン酸
カルシウムを重合性ポリマーあるいは酸化亜鉛などと混
合する試みがなされたが硬化体がポリマーあるいは酸化
亜鉛などを含むためにやはり生体親和性を期待できない
ものであった。
【発明が解決しようとする課題】従来の医療用硬化性組
成物である骨セメント、歯科用セメントは形態付与性が
あるが生体親和性に乏しく、リン酸カルシウム焼結体な
どは生体親和性に優れるが形態付与性に乏しい。またリ
ン酸カルシウムを重合性ポリマーあるいは酸化亜鉛と混
合したものは形態付与性を獲得したがやはり生体親和性
に劣っており形態付与性ならびに生体親和性を持つ臨床
応用可能な材料はなかった。本発明は生体親和性に優
れ、かつ形態付与性があり、かつ臨床応用可能な20分
以内の硬化時間を持つ硬化性組成物を提供するものであ
る。
【課題を解決するための手段】前項に記載した医療用硬
化性組成物の生体親和性に関する問題点を解決するため
に本発明者は新たな硬化性組成物を種々検討した結果、
リン酸水素カルシウム、リン酸三カルシウム、リン酸八
カルシウム、リン酸二水素カルシウムの群から選ばれた
少なくとも一つとリン酸四カルシウム、酸化カルシウ
ム、水酸化カルシウムの群から選ばれた少なくとも一つ
の混合物からなる粉末部と練和液を基本構成とする硬化
性組成物において練和時における練和液中のリン酸イオ
ン濃度が30ミリモル濃度以上となる硬化性組成物が優
れた生体親和性を示し、臨床応用可能な硬化性組成物で
あることを見いだし本発明を完成した。即ち、本発明の
硬化性組成物とはリン酸水素カルシウム、リン酸三カル
シウム、リン酸八カルシウム、リン酸二水素カルシウム
の群から選ばれた少なくとも一つとリン酸四カルシウ
ム、酸化カルシウム、水酸化カルシウムの群から選ばれ
た少なくとも一つの混合物からなる粉末部と練和液を基
本構成とする硬化性組成物において練和時における練和
液中のリン酸イオン濃度が30ミリモル濃度以上になる
ように設計された硬化性組成物である。本発明でいうリ
ン酸水素カルシウムとはCaHPO4、CaHPO4・2
2Oなどであり化学薬品として購入可能である。本発
明でいうリン酸三カルシウムはCa3(PO42であり
α−Ca3(PO42、β−Ca3(PO42のいずれで
もよいが、α−Ca3(PO42がより迅速な硬化反応
を与えるので好ましい。リン酸三カルシウムの製造法と
してはカルシウム源とリン酸源を3:2のモル比に混合
し加熱する。1200度以上ではα型リン酸三カルシウ
ムが1000度以下ではβ型リン酸三カルシウムが主に
生成することが公知となっている。本発明でいうリン酸
八カルシウムはCa82(PO46・5H20であり公
知の方法で合成される。本発明でいうリン酸二水素カル
シウムはCa(H2PO42、Ca(H2PO42・2H
20などであり化学薬品として購入可能である。本発明
でいうリン酸四カルシウムはCa4(PO42O、であ
り、いかなる方法で製造したものでも良い。原料のカル
シウムとリン酸の比が2:1になるように混合し120
0度以上で焼成後急冷あるいは窒素等不活性ガス雰囲気
下で1200度に焼成すれば良好なリン酸四カルシウム
が得られる。例えば原料としてリン酸水素カルシウムと
炭酸カルシウムを等モル混合したもの例示される。強度
向上などを目的としてリン酸四カルシウムにリン酸三カ
ルシウムを混合させるためにカルシウムとリン酸の比を
2:1より小さくすることも可能である。本発明でいう
酸化カルシウムはCaOであり、化学薬品として購入可
能である。本発明でいう水酸化カルシウムはCa(O
H)2であり、化学薬品として購入可能である。本発明
でいう水溶性リン酸塩とは水に溶解してリン酸イオンを
生成するものでありP25、H3PO4、(NH43PO
4、(NH42HPO4、NH42PO4、Na3PO4
Na2HPO4、NaH2PO4、K3PO4、K2HPO4
KH2PO4などで代表されるリン酸塩である。本発明で
いう水溶性酸性塩とは水に溶解して酸性を示すものであ
りSO3、CrO3、クエン酸、乳酸などで代表される酸
性塩である。本発明でいう水溶性塩基塩とは水に溶解し
て塩基性を示すものでありNaOH、KOHなどで代表
される塩基性塩である。また本発明でいうリン酸イオン
濃度とは練和液中のH2PO4 -、HPO4 2-、PO4 3-
ど溶解しているリン酸イオン成分の合計の濃度をいう。
本発明は下に記述する原理で構成される。リン酸水素カ
ルシウム、リン酸三カルシウム、リン酸八カルシウム、
リン酸二水素カルシウムの群から選ばれた少なくとも一
つとリン酸四カルシウム、酸化カルシウム、水酸化カル
シウムの群から選ばれた少なくとも一つの混合物からな
る粉末部は水に代表される練和液で練和すると粉末部の
リン酸カルシウム塩が溶解する。その結果、リン酸カル
シウム塩の中で熱力学的に最も安定であるハイドロキシ
アパタイトが生成し、その生成したハイドロキシアパタ
イトが絡み合って硬化する。ハイドロキシアパタイトは
Ca10(PO46(OH)2の基本構造をもち、その生
成には10モルのCaに対し6モルのPO4が必要であ
る。すなわちカルシウムとリン酸の比(以下Ca/PO
4と言う)が10/6、約1.67となることが必要で
ある。リン酸カルシウム塩の中で非常に水に溶解しやす
いリン酸四カルシウムはCa/PO4が2.0であり、
また酸化カルシウムはカルシウムのみを供給するのでハ
イドロキシアパタイト生成にはPO4が不足する。この
PO4の不足をリン酸水素カルシウム、リン酸三カルシ
ウム、リン酸八カルシウム、リン酸二水素カルシウムか
ら供給する。例えばリン酸水素カルシウムの場合Ca/
Pは1.0であり、先のリン酸四カルシウムと1:1の
モル比で混合したとすればハイドロキシアパタイト生成
に必要なCaとPO4が供給されることになる。しかし
リン酸四カルシウムとリン酸水素カルシウムのモル比で
1:1の混合物ではリン酸水素カルシウムがリン酸四カ
ルシウムと比較して溶解しにくいため、リン酸供給源で
あるリン酸水素カルシウムの溶解反応がハイドロキシア
パタイト生成、従って硬化反応における律速段階とな
る。反応系中に当初よりリン酸イオンを添加しておけば
溶解度の小さいリン酸水素カルシウムあるいはリン酸三
カルシウムあるいはリン酸八カルシウムあるいはリン酸
二水素カルシウムの溶解によるリン酸イオンの供給でな
く溶解度の大きいリン酸四カルシウムあるいは酸化カル
シウムあるいは水酸化カルシウムの溶解によるカルシウ
ムイオンの供給が律速段階となり全体の硬化反応が著し
く加速される。ハイドロキシアパタイトの生成、従って
硬化反応の律速段階は特に初期において重要である。本
硬化性組成物は硬化反応の初期においてハイドロキシア
パタイトの生成が必要であるが、いったんハイドロキシ
アパタイトが生成されるとハイドロキシアパタイトはそ
れ自信が種結晶となり、以後ハイドロキシアパタイトが
生成されやすくなる。したがって練和液中に存在すべき
リン酸イオン濃度は当初のハイドロキシアパタイト生成
に必要な30ミリモル濃度以上であることが必要であ
る。上述したように練和時の練和液中のリン酸イオン濃
度を30ミリモル濃度以上とすることが本発明で必要と
される要件であるので練和液にリン酸あるいはリン酸塩
を溶解する方法、および粉末部に水溶性リン酸塩を混合
し練和液と練和した時に粉末部の水溶性リン酸塩が練和
液に溶解し30ミリモル濃度以上のリン酸イオン濃度を
確保する方法、あるいはそれらを組み合わせた方法は本
質的に同一である。本発明の原理は前述した様に練和時
における練和液中のリン酸イオン濃度を30ミリモル濃
度以上とする事にあるので、外部からリン酸イオンを添
加する方法以外にも粉末部のリン酸カルシウム塩の溶解
度自体を大きくする事によっても目的の達成が可能であ
る。リン酸イオンの供給源であるリン酸水素カルシウ
ム、リン酸三カルシウム、リン酸八カルシウム、リン酸
二水素カルシウムの溶解度を大きくするには練和時の練
和液のpHを3以下あるいは10以上にすることで達成
される。これはリン酸カルシウム塩の溶解度がpHに大
きく依存する性質を利用したものである。リン酸カルシ
ウム塩は中性付近で溶解度が小さくpHが低い領域ある
いは高い領域で溶解度が大きくなる特異な性質を持つ。
具体的には練和時における練和液のpHが3以下あるい
はpHが10以上であるとリン酸水素カルシウム、リン
酸三カルシウム、リン酸八カルシウム、リン酸二水素カ
ルシウムは大きな溶解度を持ち、本発明の目的である臨
床応用可能な硬化時間を持つ硬化性組成物を提供するこ
とが可能となる。この方法でも重要であることは練和時
の練和液のpHを3以下あるいは10以上にすることで
あり、練和液のpHを始めから3以下あるいは10以上
にする方法と粉末部に水溶性酸性塩あるいは水溶性塩基
性塩を混合し練和液と練和した時に水溶性酸性塩、水溶
性塩基性塩が練和液に溶解し練和液のpHを3以下ある
いは10以上にする方法、あるいはこの両者を組み合わ
せた方法は本質的に同一である。本発明の硬化性組成物
は以下に記載する方法で製造される。リン酸水素カルシ
ウム、リン酸三カルシウム、リン酸八カルシウム、リン
酸二水素カルシウムの群から選ばれた少なくとも一つと
リン酸四カルシウム、酸化カルシウム、水酸化カルシウ
ムの群から選ばれた少なくとも一つの混合物はそれぞれ
をそのまま、あるいはボールミル等で粉砕したものを用
いる。リン酸水素カルシウム、リン酸三カルシウム、リ
ン酸八カルシウム、リン酸二水素カルシウムの群から選
ばれた少なくとも一つとリン酸四カルシウム、酸化カル
シウム、水酸化カルシウムの群から選ばれた少なくとも
一つの混合物は十分に混合する。粉末部に水溶性リン酸
塩あるいは水溶性酸性塩あるいは水溶性塩基性塩を混合
する場合はこれも十分に混合する。混合が十分でない場
合には粉末部と練和液と練和しても不均一な硬化反応が
おこり、硬化速度が遅くなったり、硬化体の機械的強度
が低下する。リン酸水素カルシウム、リン酸三カルシウ
ム、リン酸八カルシウム、リン酸二水素カルシウムの群
から選ばれた少なくとも一つとリン酸四カルシウム、酸
化カルシウム、水酸化カルシウムの群から選ばれた少な
くとも一つの混合比は混合物のCa/PO4が0.5から
1.9とする。硬化速度および硬化体の機械的強度の観
点から見れば好ましくはCa/PO4が0.8から1.
8がよく、Ca/PO4が1.0から1.8がより好ま
しい。リン酸水素カルシウム、リン酸三カルシウム、リ
ン酸八カルシウム、リン酸二水素カルシウムの群から選
ばれた少なくとも一つとリン酸四カルシウム、酸化カル
シウム、水酸化カルシウムの群から選ばれた少なくとも
一つの混合物である粉末部あるいは練和液には機械的強
度の向上、X線造影性、練和性向上、薬物等の除放等を
目的として第三の成分を添加することができる。第三の
成分としてはハイドロキシアパタイト、フルオロアパタ
イト、リン酸三カルシウム、シリカ、硫酸バリウム、酸
化ジルコニウム、次炭酸ビスマス、フッ化カルシウム、
フッ化スズ、フッ化ナトリウム、ケイフッ化ナトリウム
などの無機物あるいはポリメタクリル酸メチル、グリセ
リン、シリコ−ンオイル等の有機物さらに薬品の薬物の
除放性を期待するために抗生物質などの医薬品を粉末部
あるいは練和液に混合することも有効である。ハイドロ
キシアパタイトなど添加物自身が生体親和性を有するも
のについては60重量パーセント以下、シリカなど骨誘
導能はないが生体違害性を示さないものについては50
重量パーセント以下、生体為害性が考えられるポリメタ
クリル酸メチル等については40重量パーセント以下の
添加が望ましい。本硬化性組成物は粉末部を練和液で練
和することにより硬化反応が開始するが、粉末と練和液
の重量パーセント混合比(以下P/Lと言う)は硬化性
組成物の練和性、硬化時間、硬化体の機械的強度、気孔
率などに影響を及ぼす。P/Lが大きくなりすぎると硬
化性組成物の練和性が悪くなり、P/Lが小さくなりす
ぎると硬化体の機械的強度が小さくなる。また気孔率の
大きい硬化体を作成したいときにはP/Lを小さくし、
気孔率の小さい硬化体を作成したいときにはP/L比を
大きくする。一般的にはP/Lが0.5から8であり、
P/Lが1から6であることがより望ましい。本発明を
実施例で更に詳しく説明する。なお本硬化性組成物の硬
化時間、機械的強度の測定は日本工業規格T6602に
規定されている歯科用りん酸亜鉛セメントの凝固試験お
よび破砕抗力試験に準じて測定した。ただし、この規格
は歯科用りん酸亜鉛セメント用であり、日本工業規格T
6602に規定は「標準ちょう度のセメントを練和を開
始してから3分を経過したときに恒温器中に移す」と規
定されているが本硬化性組成物の場合には本硬化性組成
物の臨床応用を考慮してP/Lを4.0とし、練和を開
始して1分で恒温器中に試料を移した。また破砕抗力試
験は24時間後に行うと規定されているが本硬化性組成
物の有効性を示すため24時間以内でも同様に破砕抗力
試験を行い、実施例に時間を記載して示した。また硬化
後における硬化性組成物の成分は粉末X線回折法により
分析した。
【実施例1】リン酸水素カルシウムとリン酸四カルシウ
ムを1:1のモル比で混合したものを粉末部とし、30
ミリモル濃度のNa2HPO4水溶液を練和液とした。本
硬化性組成物の硬化時間は5分間で、24時間後の破砕
抗力は950kgf/cm2であった。また硬化体の主
成分はハイドロキシアパタイトであった。なお5分後の
破砕抗力は600kgf/cm2であり既に主成分はハ
イドロキシアパタイトであった。
【実施例2】リン酸水素カルシウムとリン酸四カルシウ
ムを1:1のモル比で混合したものを粉末部とし、pH
が7.0である蒸留水を練和液とした。本硬化性組成物
の硬化時間は90分間で、24時間後の破砕抗力は88
0kgf/cm2であった。また硬化体の主成分はハイ
ドロキシアパタイトであった。しかし20分後の破砕抗
力は0kgf/cm2でありハイドロキシアパタイトは
検出されなかった。90分後の破砕抗力は180kgf
/cm2であり硬化体の一部はハイドロキシアパタイト
であった。
【実施例3】リン酸水素カルシウムとリン酸四カルシウ
ムを1:1のモル比で混合し、その混合物に水溶性リン
酸塩としてNa2HPO4を混合し粉末部とした。練和液
としてはpHが7.0である蒸留水を用いた。なお混合
するNa2HPO4の量は粉末部1gに含まれるNa2
PO4が蒸留水0.25gに完全に溶解した場合の練和液
中におけるリン酸イオン濃度が30ミリモル濃度となる
ように決定した。本硬化性組成物の硬化時間は5分間
で、24時間後の破砕抗力は930kgf/cm2であ
った。また硬化体の主成分はハイドロキシアパタイトで
あった。なお5分後の破砕抗力は570kgf/cm2
であり既に主成分はハイドロキシアパタイトであった。
【実施例4】リン酸水素カルシウムとリン酸四カルシウ
ムを1:1のモル比で混合し粉末部とし、pHの値が
3.0であるHCl水溶液を練和液とした。本硬化性組
成物の硬化時間は12分間で、24時間後の破砕抗力は
810kgf/cm2であった。また硬化体の主成分は
ハイドロキシアパタイトであった。なお12分後の破砕
抗力は480kgf/cm2であり既に主成分はハイド
ロキシアパタイトであった。
【実施例5】リン酸水素カルシウムとリン酸四カルシウ
ムを1:1のモル比で混合し粉末部とし、pHの値が1
0.0であるNaOH水溶液を練和液とした。本硬化性
組成物の硬化時間は8分間で、24時間後の破砕抗力は
770kgf/cm2であった。また硬化体の主成分は
ハイドロキシアパタイトであった。なお8分後の破砕抗
力は430kgf/cm2であり既に主成分はハイドロ
キシアパタイトであった。
【実施例6】リン酸水素カルシウムとリン酸四カルシウ
ムを1:1のモル比で混合し、その混合物に水溶性酸性
塩として三酸化イオウを混合し粉末部とした。練和液と
してはpHが7.0である蒸留水を用いた。なお混合す
る三酸化イオウの量は粉末部1gに含まれる三酸化イオ
ウが蒸留水0.25gに完全に溶解した場合のpHが
3.0となるように決定した。本硬化性組成物の硬化時
間は12分間で、24時間後の破砕抗力は780kgf
/cm2であった。また硬化体の主成分はハイドロキシ
アパタイトであった。なお12分後の破砕抗力は510
kgf/cm2であり既に主成分はハイドロキシアパタ
イトであった。
【実施例7】リン酸水素カルシウムとリン酸四カルシウ
ムを1:1のモル比で混合し、その混合物に水溶性塩基
性塩としてNaOHを混合し粉末部とした。練和液とし
てはpHが7.0である蒸留水を用いた。なお混合する
NaOHの量は粉末部1gに含まれるNaOHが蒸留水
0.25gに完全に溶解した場合のpHが10.0とな
るように決定した。本硬化性組成物の硬化時間は8分間
で、24時間後の破砕抗力は750kgf/cm2であ
った。また硬化体の主成分はハイドロキシアパタイトで
あった。なお8分後の破砕抗力は510kgf/cm2
であり既に主成分はハイドロキシアパタイトであった。
【実施例8】リン酸三カルシウムとリン酸四カルシウム
を1:2のモル比で混合したものを粉末部とし、30ミ
リモル濃度のNa2HPO4水溶液で練和した。本硬化性
組成物の硬化時間は12分間で、24時間後の破砕抗力
は500kgf/cm2であった。また硬化体の主成分
はハイドロキシアパタイトであった。なお12分後の破
砕抗力は300kgf/cm2であり既に主成分はハイ
ドロキシアパタイトであった。
【実施例9】実施例8の粉末部を蒸留水で練和した。本
硬化性組成物は24時間以内に硬化しなかった。
【実施例10】リン酸八カルシウムとリン酸四カルシウ
ムを3:1のモル比で混合したものを粉末部とし、30
ミリモル濃度のNa2HPO4水溶液で練和した。本硬化
性組成物の硬化時間は19分間で、24時間後の破砕抗
力は400kgf/cm2であった。また硬化体の主成
分はハイドロキシアパタイトであった。なお19分後の
破砕抗力は220kgf/cm2であり既に主成分はハ
イドロキシアパタイトであった。
【実施例11】実施例10の粉末部を蒸留水で練和し
た。本硬化性組成物は24時間以内に硬化しなかった。
【実施例12】リン酸二水素カルシウムとリン酸四カル
シウムを2:7のモル比で混合したものを粉末部とし、
30ミリモル濃度のNa2HPO4水溶液で練和した。本
硬化性組成物の硬化時間は16分間で、24時間後の破
砕抗力は420kgf/cm2であった。また硬化体の
主成分はハイドロキシアパタイトであった。なお16分
後の破砕抗力は240kgf/cm2であり既に主成分
はハイドロキシアパタイトであった。
【実施例13】実施例12の粉末部を蒸留水で練和し
た。本硬化性組成物は24時間以内に硬化しなかった。
【実施例14】リン酸水素カルシウムとリン酸四カルシ
ウムを1:1のモル比で混合したものを粉末部とし、3
0ミリモル濃度のNaH2PO4水溶液を練和液とした。
本硬化性組成物の硬化時間は5分間で、24時間後の破
砕抗力は960kgf/cm2であった。また硬化体の
主成分はハイドロキシアパタイトであった。なお5分後
の破砕抗力は610kgf/cm2であり既に主成分は
ハイドロキシアパタイトであった。
【実施例15】リン酸水素カルシウムとリン酸四カルシ
ウムを1:1のモル比で混合したものを粉末部とし、3
0ミリモル濃度のK2HPO4水溶液を練和液とした。本
硬化性組成物の硬化時間は5分間で、24時間後の破砕
抗力は960kgf/cm2であった。また硬化体の主
成分はハイドロキシアパタイトであった。なお5分後の
破砕抗力は610kgf/cm2であり既に主成分はハ
イドロキシアパタイトであった。
【実施例16】リン酸水素カルシウムとリン酸四カルシ
ウムを1:1のモル比で混合したものを粉末部とし、3
0ミリモル濃度の(NH42HPO4水溶液を練和液と
した。本硬化性組成物の硬化時間は5分間で、24時間
後の破砕抗力は980kgf/cm2であった。また硬
化体の主成分はハイドロキシアパタイトであった。なお
5分後の破砕抗力は630kgf/cm2であり既に主
成分はハイドロキシアパタイトであった。
【実施例17】リン酸水素カルシウムとリン酸四カルシ
ウムを1:1のモル比で混合したものを粉末部とし、3
00ミリモル濃度のNaH2PO4水溶液を練和液とし
た。本硬化性組成物の硬化時間は5分間で、24時間後
の破砕抗力は960kgf/cm2であった。また硬化
体の主成分はハイドロキシアパタイトであった。なお5
分後の破砕抗力は610kgf/cm2であり既に主成
分はハイドロキシアパタイトであった。
【実施例18】リン酸水素カルシウムとリン酸四カルシ
ウムを1:1のモル比で混合したものを粉末部とし、2
000ミリモル濃度のNaH2PO4水溶液を練和液とし
た。本硬化性組成物の硬化時間は5分間で、24時間後
の破砕抗力は900kgf/cm2であった。また硬化
体の主成分はハイドロキシアパタイトであった。なお5
分後の破砕抗力は550kgf/cm2であり既に主成
分はハイドロキシアパタイトであった。
【実施例19】リン酸水素カルシウムと酸化カルシウム
を3:2のモル比で混合したものを粉末部とし、30ミ
リモル濃度のNa2HPO4水溶液を練和液とした。本硬
化性組成物の硬化時間は7分間で、24時間後の破砕抗
力は700kgf/cm2であった。また硬化体の主成
分はハイドロキシアパタイトであった。なお7分後の破
砕抗力は430kgf/cm2であり既に主成分はハイ
ドロキシアパタイトであった。
【実施例20】リン酸三カルシウムと酸化カルシウムを
3:1のモル比で混合したものを粉末部とし、30ミリ
モル濃度のK2HPO4水溶液を練和液とした。本硬化性
組成物の硬化時間は6分間で、24時間後の破砕抗力は
750kgf/cm2であった。また硬化体の主成分は
ハイドロキシアパタイトであった。なお6分後の破砕抗
力は460kgf/cm2であり既に主成分はハイドロ
キシアパタイトであった。
【実施例21】リン酸水素カルシウムとリン酸四カルシ
ウムを1:1のモル比で混合したものを粉末部とし、1
0ミリモル濃度のNa2HPO4水溶液を練和液とした。
本硬化性組成物の硬化時間は22分間で、24時間後の
破砕抗力は920kgf/cm2であった。しかし5分
後の破砕抗力は0kgf/cm2でありハイドロキシア
パタイトは検出されなかった。なお30分後の破砕抗力
は400kgf/cm2であり硬化体の一部はハイドロ
キシアパタイトであった。
【実施例22】リン酸水素カルシウムと水酸化カルシウ
ムを3:2のモル比で混合したものを粉末部とし、30
ミリモル濃度のNa2HPO4水溶液を練和液とした。本
硬化性組成物の硬化時間は7分間で、24時間後の破砕
抗力は440kgf/cm2であった。また硬化体の主
成分はハイドロキシアパタイトであった。なお7分後の
破砕抗力は180kgf/cm2であり既に主成分はハ
イドロキシアパタイトであった。
【実施例23】実施例22の粉末部を蒸留水で練和し
た。本硬化性組成物は24時間以内に硬化しなかった。
【実施例24】リン酸三カルシウムと水酸化カルシウム
を3:1のモル比で混合したものを粉末部とし、30ミ
リモル濃度のNa2HPO4水溶液を練和液とした。本硬
化性組成物の硬化時間は8分間で、24時間後の破砕抗
力は400kgf/cm2であった。また硬化体の主成
分はハイドロキシアパタイトであった。なお8分後の破
砕抗力は160kgf/cm2であり既に主成分はハイ
ドロキシアパタイトであった。
【実施例25】実施例24の粉末部を蒸留水で練和し
た。本硬化性組成物は24時間以内に硬化しなかった。

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 リン酸水素カルシウム、リン酸三カルシ
    ウム、リン酸八カルシウム、リン酸二水素カルシウムの
    群から選ばれた少なくとも一つとリン酸四カルシウム、
    酸化カルシウム、水酸化カルシウムの群から選ばれた少
    なくとも一つの混合物からなる粉末部とリン酸イオン濃
    度が30ミリモル濃度以上である練和液からなる硬化性
    組成物。
  2. 【請求項2】 リン酸水素カルシウム、リン酸三カルシ
    ウム、リン酸八カルシウム、リン酸二水素カルシウムの
    群から選ばれた少なくとも一つとリン酸四カルシウム、
    酸化カルシウム、水酸化カルシウムの群から選ばれた少
    なくとも一つの混合物に水溶性リン酸塩を混合した粉末
    部と練和液からなり、粉末部の水溶性リン酸塩が練和液
    に全量溶解した場合の練和液におけるリン酸イオン濃度
    が30ミリモル濃度以上である硬化性組成物。
  3. 【請求項3】 リン酸水素カルシウム、リン酸三カルシ
    ウム、リン酸八カルシウム、リン酸二水素カルシウムの
    群から選ばれた少なくとも一つとリン酸四カルシウム、
    酸化カルシウム、水酸化カルシウムの群から選ばれた少
    なくとも一つの混合物からなる粉末部とpHが3以下あ
    るいは10以上の練和液からなる硬化性組成物。
  4. 【請求項4】 リン酸水素カルシウム、リン酸三カルシ
    ウム、リン酸八カルシウム、リン酸二水素カルシウムの
    群から選ばれた少なくとも一つとリン酸四カルシウム、
    酸化カルシウム、水酸化カルシウムの群から選ばれた少
    なくとも一つの混合物に水溶性酸性塩あるいは水溶性塩
    基性塩を混合した粉末部と練和液からなり、粉末部の水
    溶性酸性塩あるいは水溶性塩基性塩が練和液に全量溶解
    した場合の練和液におけるpHがそれぞれ3以下あるい
    は10以上である硬化性組成物。
  5. 【請求項5】 リン酸四カルシウムとリン酸水素カルシ
    ウムの混合物からなる粉末部とリン酸イオン濃度が30
    ミリモル濃度以上である練和液からなる請求項1の硬化
    性組成物。
  6. 【請求項6】 リン酸四カルシウムとリン酸水素カルシ
    ウムと水溶性リン酸塩を混合した粉末部と練和液からな
    り、粉末部の水溶性リン酸塩が練和液に全量溶解した場
    合の練和液におけるリン酸イオン濃度が30ミリモル濃
    度以上である請求項2の硬化性組成物。
  7. 【請求項7】 リン酸四カルシウムとリン酸水素カルシ
    ウムの混合物からなる粉末部とpHが3以下あるいは1
    0以上の練和液からなる請求項3の硬化性組成物。
  8. 【請求項8】 リン酸四カルシウムとリン酸水素カルシ
    ウムの混合物に水溶性酸性塩あるいは水溶性塩基性塩を
    混合した粉末部と練和液からなり、粉末部の水溶性酸性
    塩あるいは水溶性塩基性塩が練和液に全量溶解した場合
    の練和液におけるpHがそれぞれ3以下あるいは10以
    上である請求項4の硬化性組成物。
  9. 【請求項9】 酸化カルシウムとリン酸水素カルシウム
    の混合物からなる粉末部とリン酸イオン濃度が30ミリ
    モル濃度以上である練和液からなる請求項1の硬化性組
    成物。
  10. 【請求項10】 酸化カルシウムとリン酸水素カルシウ
    ムと水溶性リン酸塩を混合した粉末部と練和液からな
    り、粉末部の水溶性リン酸塩が練和液に全量溶解した場
    合の練和液におけるリン酸イオン濃度が30ミリモル濃
    度以上である請求項2の硬化性組成物。
  11. 【請求項11】 酸化カルシウムとリン酸水素カルシウ
    ムの混合物からなる粉末部とpHが3以下あるいは10
    以上の練和液からなる請求項3の硬化性組成物。
  12. 【請求項12】 酸化カルシウムとリン酸水素カルシウ
    ムの混合物に水溶性酸性塩あるいは水溶性塩基性塩を混
    合した粉末部と練和液からなり、粉末部の水溶性酸性塩
    あるいは水溶性塩基性塩が練和液に全量溶解した場合の
    練和液におけるpHがそれぞれ3以下あるいは10以上
    である請求項4の硬化性組成物。
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