JPH05184371A - ジヒドロジピコリン酸シンセターゼをコードする遺伝子dna及びその利用 - Google Patents

ジヒドロジピコリン酸シンセターゼをコードする遺伝子dna及びその利用

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JPH05184371A
JPH05184371A JP4024401A JP2440192A JPH05184371A JP H05184371 A JPH05184371 A JP H05184371A JP 4024401 A JP4024401 A JP 4024401A JP 2440192 A JP2440192 A JP 2440192A JP H05184371 A JPH05184371 A JP H05184371A
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JP
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plasmid
dna
gene
lysine
coryneform bacterium
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JP4024401A
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Kazuhisa Hatakeyama
和久 畠山
Miki Kobayashi
幹 小林
Yasurou Kurusu
泰朗 久留主
Hideaki Yugawa
英明 湯川
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Mitsubishi Petrochemical Co Ltd
Original Assignee
Mitsubishi Petrochemical Co Ltd
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  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)
  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【構成】 ブレビバクテリウム・フラバムMJ−233
からジヒドロジピコリン酸シンセターゼをコードするD
NAを単離し、この遺伝子の塩基配列を決定した。 【効果】 このジヒドロジピコリン酸シンセターゼをコ
ードする遺伝子DNAを導入したコリネ型細菌内で複製
増殖可能なプラスミドで形質転換されたブレビバクテリ
ウム・フラバムMJ−233株は、L−リジンの生成量
が増加した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ジヒドロジピコリン酸
シンセターゼ(E.C.4.2.1.52)をコードする遺
伝子を含むコリネ型細菌由来の遺伝子DNA、該遺伝子
DNAを含む組換えプラスミド、該プラスミドで形質転
換されたコリネ型細菌、及び該コリネ型細菌を用いるL
−リジンの製造法に関する。
【0002】L−リジンは、必須アミノ酸として蛋白質
中にその存在が知られ、医薬や食品添加物等として用い
られている。
【0003】
【従来の技術】従来、L−リジンの工業的製造法として
は、グルタミン生産菌であるコリネ型細菌の各種栄養要
求株、各種薬剤耐性株、各種薬剤感受性株を用いてL−
リジンを製造する方法等が知られている[例えば、特公
昭51−21078号公報、特公昭53−1833号公
報、特公昭62−8692号公報等参照]。また、組換
え菌を用いた製造法も提案されている[特開昭56−1
60997号公報、特開昭60−62994号公報、特
開昭62−79788号公報等参照]。しかしながら、
従来提案されている方法によるL−リジンの製造法で
は、対糖収率が低く及び/又はL−リジンの蓄積に限界
があり、新たな観点から、遺伝子工学的手法による菌株
の改良等を含め、L−リジンをより効率的に生成させる
方法の提供が強く求められている。
【0004】一方、ジヒドロジピコリン酸シンセターゼ
(E.C.4.2.1.52)をコードする遺伝子として
は、エシェリヒア・コリ(Escherichia coli)由来の遺
伝子[Journal of Bacteriology,105,p844〜
p854,1971参照]がよく研究されている。ま
た、コリネ型細菌由来のジヒドロジピコリン酸シンセタ
ーゼ(E.C.4.2.1.52)としては、コリネバクテ
リウム・グルタミカム(Corynebacterium glutamicum)
が知られている[Molecular General Genetics,21
,p105〜p111,1988;Melecular Genera
l Genetics,220,p478〜480,1990等参
照]。しかしながら、ブレビバクテリウム・フラバム
(Brevibacterium flavum)由来のジヒドロジピコリン
酸シンセターゼ(E.C.4.2.1.52)をコードする
遺伝子については従来の報告例は見当らない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、コリ
ネ型細菌由来のジヒドロジピコリン酸シンセターゼ
(E.C.4.2.1.52)をコードする遺伝子を単離
し、該遺伝子を同種であるコリネ型細菌に導入し、該コ
リネ型細菌を用いて、新たな観点から効率的にL−リジ
ンを製造することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、コリネ型細菌染色
体よりジヒドロジピコリン酸シンセターゼ遺伝子を単離
し、該遺伝子を適当なベクタープラスミドに導入して、
コリネ型細菌を形質転換し、該形質転換されたコリネ型
細菌を用いると、効率的にL−リジンを製造しうること
を見い出し本発明を完成するに至った。
【0007】かくして、本発明によれば、 (1) コリネ型細菌由来のジヒドロジピコリン酸シン
セターゼをコードする遺伝子DNA; (2) 該遺伝子DNAが導入された組換えプラスミ
ド; (3) 該組換えプラスミドで形質転換されたコリネ型
細菌;及び (4) 該形質転換されたコリネ型細菌を用い、グルコ
ースを原料としてL−リジンを製造する方法 が提供される。
【0008】以下、本発明についてさらに詳細に説明す
る。
【0009】本発明の「ジヒドロジピコリン酸シンセタ
ーゼをコードする遺伝子DNA」は、アスパルテートセ
ミアルデヒドにピルビン酸を付加して、ジヒドロジピコ
リン酸を合成する酵素、すなわちジヒドロジピコリン酸
シンセターゼ(E.C.4.2.1.52)をコードする遺
伝子DNAを意味する。
【0010】ジヒドロジピコリン酸シンセターゼをコー
ドする遺伝子を含むDNA断片(以下、これを「A断
片」と略称することがある)は、その塩基配列が決定さ
れた後は合成することも可能であるが、一般にはジヒド
ロジピコリン酸シンセターゼ生産性を有する微生物から
クローニングすることができ、その供給源となる微生物
としては、コリネ型細菌、殊にブレビバクテリウム・フ
ラバムMJ233(FERM BP−1497)および
その由来株が有利に使用される。
【0011】これらの供給源微生物からA断片を調製す
るための基本的操作の一例を述べれば次のとおりであ
る:A断片は、上記コリネ型細菌、例えばブレビバクテ
リウム・フラバムMJ−233(FERM BP−14
97)株の染色体上に存在し、この染色体を適当な制限
酵素で切断することにより生ずる切断断片の中から以下
に述べる方法で分離、取得することができる。
【0012】先ず、ブレビバクテリウム・フラバムMJ
−233株の培養物から染色体DNAを抽出する。この
染色体DNAを適当な制限酵素、例えばEcoRIを用
いて染色体DNAを完全に分解する。
【0013】得られるDNA断片をクローニングベクタ
ー、例えばpHSG399(宝酒造製)に挿入し、この
ベクターを用いてジヒドロジピコリン酸シンセターゼ遺
伝子が欠損した大腸菌(エシェリヒア・コリ)変異株J
E7627(国立遺伝学研究所遺伝実験微生物保存研究
センター 〒411 三島市谷田1111番地保存菌株)
を形質転換し、選択培地に塗抹することにより、形質転
換株を取得する。 得られる形質転換株よりプラスミド
DNAを抽出し、制限酵素で解析することにより挿入さ
れたブレビバクテリウム・フラバムMJ−233株染色
体由来のA断片を確認・取得することができる。
【0014】かくして得られるA断片をさらに適当な制
限酵素を用いて切断し、得られるDNA断片を、大腸菌
で複製可能なベクタープラスミドに挿入し、このベクタ
ープラスミドを通常用いられる形質転換法、例えば、塩
化カルシウム法、電気パルス法等による形質転換により
前記ジヒドロジピコリン酸シンセターゼが欠損した大腸
菌変異株に導入し、選択培地に塗抹する。
【0015】得られる形質転換体よりプラスミドDNA
を抽出し、制限酵素で解析することにより、挿入された
ブレビバクテリウム・フラバムMJ−233株染色体由
来のA断片を確認・取得することができる。
【0016】このようにして得られるA断片の一つは、
上記ブレビバクテリウム・フラバムMJ−233株の染
色体DNAを制限酵素BamHIの完全分解により切り
出し、さらにそれを制限酵素SalIで切断することに
よって得られる大きさが約2.5kbのDNA断片を挙
げることができる。
【0017】この約2.5kbのジヒドロジピコリン酸
シンセターゼをコードする遺伝子を含むDNA断片を、
各種の制限酵素で切断したときの認識部位数及び切断断
片の大きさを下記表1に示す。
【0018】
【表1】 なお、本明細書において、制限酵素による「認識部位
数」は、DNA断片又はプラスミドを、制限酵素の存在
下で完全分解し、それらの分解物をそれ自体既知の方法
に従い1%アガロースゲル電気泳動および5%ポリアク
リルアミドゲル電気泳動に供し、分離可能な断片の数か
ら決定した値を採用した。
【0019】また、「切断断片の大きさ」及びプラスミ
ドの大きさは、アガロースゲル電気泳動を用いる場合に
は、エシェリヒア・コリのラムダファージ(λphage)
のDNAを制限酵素Hind IIIで切断して得られ
る分子量既知のDNA断片の同一アガロースゲル上での
泳動距離で描かれる標準線に基づき、また、ポリアクリ
ルアミドゲル電気泳動を用いる場合には、エシェリヒア
・コリのファイ・エックス174ファージ(φx174
phage)のDNAを制限酵素Hae IIIで切断して
得られる分子量既知のDNA断片の同一ポリアクリルア
ミドゲル上での泳動距離で描かれる標準線に基づき、切
断DNA断片又はプラスミドの各DNA断片の大きさを
算出する。プラスミドの大きさは、切断断片それぞれの
大きさを加算して求める。なお、各DNA断片の大きさ
の決定において、1kb以上の断片の大きさについて
は、1%アガロースゲル電気泳動によって得られる結果
を採用し、約0.1kbから1kb未満の断片の大きさ
については4%ポリアクリルアミドゲル電気泳動によっ
て得られる結果を採用した。
【0020】一方、上記したブレビバクテリウム・フラ
バムMJ−233の染色体DNAを制限酵素BamH
I、SalIによって切断することにより得られる大き
さが約2.5kbのDNA断片については、その塩基配
列をプラスミドpUC118またはpUC119(宝酒
造製)を用いるジデオキシヌクレオチド酵素法(dideox
y chain termination 法、Sanger,F.et.al.,Proc.Nat
l.Acad.Sci.USA,74,p5463,1977)により
決定することができる。このようにして決定した上記約
2.5kbのDNA断片の塩基配列のオープンリーディ
ングフレームの存在から決定したジヒドロジピコリン酸
シンセターゼをコードする遺伝子は、次に示す配列を有
するものであり、301個のアミノ酸をコードする90
3塩基対から構成されている。
【0021】
【化3】上記の塩基配列を包含して成る本発明のジヒド
ロジピコリン酸シンセターゼをコードする遺伝子を含む
DNA断片は、天然のコリネ型細菌染色体DNAから分
離されたもののみならず、通常用いられるDNA合成装
置、例えばベックマン社製 System-1 Plus を用いて合
成されたものであってもよい。
【0022】また、前記の如くブレビバクテリウム・フ
ラバムMJ−233の染色体DNAから取得される本発
明のDNA断片は、ジヒドロジピコリン酸シンセターゼ
をコードする機能を実質的に損なうことがない限り、塩
基配列の一部の塩基が他の塩基と置換されていてもよく
又は削除されていてもよく、或いは新たに塩基が挿入さ
れていてもよく、さらに塩基配列の一部が転位されてい
るものであってもよく、これらの誘導体のいずれもが、
本発明のジヒドロジピコリン酸シンセターゼをコードす
る遺伝子を含むDNA断片に包含されるものである。
【0023】以上に詳述した大きさが約2.5kbのD
NA断片の制限酵素による切断点地図を図1に示す。
【0024】本発明のジヒドロジピコリン酸シンセター
ゼをコードする遺伝子を含むDNA断片(A断片)は、
適当なプラスミドベクター、例えば、コリネ型細菌内で
プラスミドの複製増殖機能を司る遺伝子を少くとも含む
プラスミドベクターに導入することにより、コリネ型細
菌内でジヒドロジピコリン酸シンセターゼの高発現可能
な組換えプラスミドを得ることができる。
【0025】また、本発明のジヒドロジピコリン酸シン
セターゼをコードする遺伝子を発現させるためのプロモ
ーターは、コリネ型細菌が保有する該遺伝子自身のプロ
モーターであることができるが、それに限られるもので
はなく、ジヒドロジピコリン酸シンセターゼ遺伝子の転
写を開始させるための原核生物由来の塩基配列であれ
ば、いかなるプロモーターであってもよい。
【0026】本発明のA断片を導入することができる、
コリネ型細菌内での複製増殖機能を司る遺伝子を少くと
も含むプラスミドベクターとしては、例えば、特開平3
−210184号公報に記載のプラスミドpCRY3
0;特開平2−276575号公報に記載のプラスミド
pCRY21、pCRY2KE、pCRY2KX、pC
RY31、pCRY3KE及びpCRY3KX;特開平
1−191686号公報に記載のプラスミドpCRY2
及びpCRY3;特開昭58−67679号公報に記載
のpAM330;特開昭58−77895号公報に記載
のpHM1519;特開昭58−192900号公報に
記載のpAJ655、pAJ611及びpAJ184
4;特開昭57−134500号に記載のpCG1;特
開昭58−35197号公報に記載のpCG2;特開昭
57−183799号公報に記載のpCG4及びpCG
11等を挙げることができる。
【0027】中でもコリネ型細菌の宿主ベクター系で用
いられるプラスミドベクターとしては、コリネ型細菌内
でプラスミドの複製増殖機能を司る遺伝子とコリネ型細
菌内でプラスミドの安定化機能を司る遺伝子とをもつも
のが好ましく、例えばプラスミドpCRY30、pCR
Y21、pCRY2KE、pCRY2KE、pCRY2
KX、pCRY31、pCRY3KE及びpCRY3K
X等が好適に使用される。
【0028】上記プラスミドベクターpCRY30を調
製する方法としては、ブレビバクテリウム・スタチオニ
ス(Brevibacterium stationis)IFO12144(F
ERM BP−2515)からプラスミドpBY503
(このプラスミドの詳細については特開平1−9578
5号公報参照)DNAを抽出し、制限酵素XhoIで大
きさが約4.0kbのプラスミドの複製増殖機能を司る
遺伝子を含むDNA断片を切り出し、制限酵素EcoR
IおよびKpnIで大きさが約2.1kbのプラスミド
の安定化機能を司る遺伝子を含むDNA断片を切り出
す。これらの両断片をプラスミドpHSG298(宝酒
造製)のEcoRI、KpnI部位及びSalI部位に
組み込むことにより、プラスミドベクターpCRY30
を調製することができる。
【0029】次に、上記プラスミドベクターへの本発明
のA断片の導入は、例えば、プラスミドベクター中に1
個所だけ存在する制限酵素部位を該制限酵素で開裂し、
そこに前記A断片および開裂したプラスミドベクターを
必要に応じてS1ヌクレアーゼで処理して平滑末端とす
るか、または適当なアダプターDNAの存在下にDNA
リガーゼ処理で連結させることにより行うことができ
る。
【0030】プラスミドpCRY30への本発明のA断
片の導入は、プラスミドpCRY30を制限酵素Eco
RIで開裂させ、そこに前記ジヒドロジピコリン酸シン
セターゼをコードする遺伝子を含むDNA断片(A断
片)をDNAリガーゼで連結させることにより行うこと
ができる。
【0031】このようにして造成されるプラスミドpC
RY30に本発明の大きさが約2.5kbのA断片を導
入した組換えプラスミドは、L−リジンの製造に好適に
用いることができる組換えプラスミドの一つであり、本
発明者らはこれをプラスミドpCRY30−dapAと
命名した。プラスミドpCRY30−dapAの作成方
法の詳細については、後記実施例4で説明する。
【0032】このようにして造成されるジヒドロジピコ
リン酸シンセターゼをコードする遺伝子を含むコリネ型
細菌内で複製増殖可能なプラスミドを、宿主微生物に導
入して該微生物の培養物を用いてL−リジンを安定に効
率よく生産することが可能となる。
【0033】本発明によるプラスミドで形質転換しうる
宿主微生物としては、コリネ型細菌、例えばブレビバク
テリウム・フラバムMJ−233(FERM BP−1
497)、ブレビバクテリウム・フラバムMJ−233
−AB−41(FERM BP−1498)、ブレビバ
クテリウム・フラバムMJ−233−ABT−11(F
ERM BP−1500)、ブレビバクテリウム・フラ
バムMJ−233−ABD−21(FERM BP−1
499)等が挙げられる。
【0034】なお、上記のFERM BP−1498の
菌株は、FERM BP−1497の菌株を親株として
DL−α−アミノ酪酸耐性を積極的に付与されたエタノ
ール資化性微生物である(特公昭59−28398号公
報第3〜4欄参照)。また、FERM BP−1500
の菌株は、FERM BP−1497の菌株を親株とし
たL−α−アミノ酪酸トランスアミナーゼ高活性変異株
である(特開昭62−51998号公報参照)。さら
に、FERM BP−1499の菌株はFERM BP−
1497の菌株を親株としたD−α−アミノ酪酸デアミ
ナーゼ高活性変異株である(特開昭61−177993
号公報参照)。
【0035】これらの微生物の他に、ブレビバクテリウ
ム・アンモニアゲネス(Brevibacterium ammoniagene
s)ATCC6871、同ATCC13745、同AT
CC13746;ブレビバクテリウム・デバリカタム
(Brevibacterium divaricatum)ATCC14020;
ブレビバクテリウム・ラクトファーメンタム(Brevibac
terium lactofermentum)ATCC13869;コリネ
バクテリウム・グルタミカム(Corynebacterium glutam
icum)ATCC31831等を宿主微生物として用いる
こともできる。
【0036】なお、宿主としてブレビバクテリウム・フ
ラバムMJ−233由来の菌株を用いる場合、本菌株が
保有するプラスミドpBY502(特開昭63−367
87号公報参照)のため、形質転換が困難である場合が
あるので、そのような場合には、本菌株よりプラスミド
pBY502を除去することが望ましい。そのようなプ
ラスミドpBY502を除去する方法としては、例え
ば、継代培養を繰り返すことにより自然に欠失させるこ
とも可能であるし、人為的に除去することも可能である
[Bact.Rev.,36,p.361〜405(1972)参
照]。上記プラスミドpBY502を人為的に除去する
方法の一例を示せば次のとおりである。
【0037】宿主ブレビバクテリウム・フラバムMJ−
233の生育を不完全に阻害する濃度のアクリジンオレ
ンジ(濃度:0.2〜50μg/ml)もしくはエチジ
ウムブロミド(濃度:0.2〜50μg/ml)等を含
む培地に、1ml当り約10細胞になるように植菌し、
生育を不完全に阻害しながら、約24時間約35℃で培
養する。培養液を希釈後寒天培地に塗布し、約35℃で
約2日培養する。出現したコロニーから各々独立にプラ
スミド抽出操作を行い、プラスミドpBY502が除去
されている株を選択する。この操作によりプラスミドp
BY502が除去されたブレビバクテリウム・フラバム
MJ−233由来菌株が得られる。
【0038】このようにして得られるブレビバクテリウ
ム・フラバムMJ−233由来菌株への前記プラスミド
の形質転換法としては、エシェリヒア・コリ及びエルビ
ニア・カロトボラについて知られているように[Calvi
n,N.M.and Hanawalt,P.C.,Journal of Bacteriolog
y,170,2796(1988);Ito,K.,Nishid
a,T.and Izaki.K.,Agricultural and Biological C
hemistry,52,293(1988)参照]、DNA受
容菌へのパルス波通電[Satoh,Y.et al.,Journal of
Industrial Microbiology,,159(1990)参
照]によりプラスミドを導入することが可能である。
【0039】上記の方法で形質転換して得られるジヒド
ロジピコリン酸シンセターゼ産生能を有するコリネ型細
菌、例えばブレビバクテリウム・フラバムMJ−233
由来株の培養方法を以下に述べる。
【0040】培養は炭素源、窒素源、無機塩等を含む通
常の栄養培地で行うことができ、炭素源としては、例え
ばグルコース、エタノール、メタノール、廃糖蜜等が、
そして窒素源としては、例えばアンモニア、硫酸アンモ
ニウム、塩化アンモニウム、硝酸アンモニウム、尿素等
がそれぞれ単独もしくは混合して用いられる。また、無
機塩としては、例えばリン酸一水素カリウム、リン酸二
水素カリウム、硫酸マグネシウム等が用いられる。この
他にペプトン、肉エキス、酵母エキス、コーンスティー
プリカー、カザミノ酸、ビオチン等の各種ビタミン等の
栄養素を培地に添加することができる。
【0041】培養は、通常、通気撹拌、振盪等の好気条
件下に、約20〜約40℃、好ましくは約25℃〜約3
5℃の温度で行うことができる。培養途中のpHは5〜
10、好ましくは7〜8付近とすることができ、培養中
のpH調整は酸又はアルカリを添加して行うことができ
る。
【0042】培養開始時の炭素源濃度は、好ましくは1
〜5容量%、更に好ましくは2〜3容量%である。ま
た、培養期間は通常1〜7日間とすることができ、最適
期間は3日間である。
【0043】このようにして得られる培養物から各々菌
体を集めて、水又は適当な緩衝液で洗浄し、L−リジン
生成反応に使用することができる。
【0044】L−リジン生成反応においては、これらの
菌体をそのまま用いることができ、あるいは超音波処理
等を加えた菌体破砕物又はそれから分離された粗酵素も
しくは精製酵素として、あるいは適当な担体に固定化し
て用いることができる。以上に述べた如き菌体の破砕
物、粗もしくは精製酵素、固定化物等を本明細書ではま
とめて「菌体処理物」という。
【0045】しかして本発明に従えば、グルコースを、
上記培養菌体又は菌体処理物と接触させて、L−リジン
を生成せしめることからなるL−リジンの製造法が提供
される。
【0046】グルコースと上記の培養菌体又は菌体処理
物との接触は、通常の酵素反応と同様に、水性媒体中で
好ましくは約20〜約40℃、特に約25〜約35℃の
温度で行なうことができる。
【0047】生成するL−リジンはそれ自体既知の手
段、例えば、高速液体クロマトグラフィー等の手段によ
り反応液から分離回収することができる。
【0048】
【実施例】以上に本発明を説明してきたが、下記の実施
例によりさらに具体的に説明する。
【0049】実施例1 ブレビバクテリウム・フラバムMJ−233由来のジヒ
ドロジピコリン酸シンセターゼをコードする遺伝子を含
むDNA断片(A断片)のクローン化 (A) ブレビバクテリウム・フラバムMJ−233の
全DNAの抽出 半合成培地A培地[組成:尿素2g、(NH4)2SO4
g、K2HPO4 0.5g、KH2PO4 0.5g、MgS
4 0.5g、FeSO4 ・7H2O 6mg、MnSO4
4〜6H2O 6mg、酵母エキス2.5g、カザミノ酸
5g、ビオチン200μg、塩酸チアミン200μg、
グルコース20g、蒸留水1l]1lに、ブレビバクテ
リウム・フラバムMJ−233(FERM BP−14
97)を対数増殖期後期まで培養し、菌体を集めた。得
られた菌体を10mg/mlの濃度にリゾチームを含む
10mM NaCl−20mMトリス緩衝液(pH8.
0)−1mM EDTA−2Na溶液15mlに懸濁し
た。次にプロテナーゼKを、最終濃度が100μg/m
lになるように添加し、37℃で1時間保温した。さら
にドデシル硫酸ナトリウムを最終濃度が0.5%になる
ように添加し、50℃で6時間保温して容菌した。この
溶菌液に、等量のフェノール/クロロホルム溶液を添加
し、室温で10分間ゆるやかに振盪した後、全量を遠心
分離(5,000×g、20分間、10〜12℃)し、
上清画分を分取し、酢酸ナトリウムを0.3Mとなるよ
うに添加した後、2倍量のエタノールをゆっくりと加え
た。水層とエタノール層の間に存在するDNAをガラス
棒でまきとり、70%エタノールで洗浄した後、風乾し
た。得られたDNAに10mMトリス緩衝液(pH7.
5)−1mM EDTA・2Na溶液5mlを加え、4
℃で一晩静置し、以後の実験に用いた。
【0050】(B) 組換え体の創製 上記(A)項で得たブレビバクテリウム・フラバムMJ
−233の全DNA溶液の90μlを制限酵素BamH
I 50units を用い、37℃で1時間反応させ完全分
解した。このBamHI分解DNAにクローニングベク
ターpHSG399(宝酒造より市販)を制限酵素Ba
mHIで切断した後、脱リン酸化処理したものを混合
し、50mMトリス緩衝液(pH7.6)、10mMジ
チオスレイトール、1mM ATP、10mM MgCl
及びTDNAリガーゼ1unitの各成分を添加し(各
成分の濃度は最終濃度である)、4℃で15時間反応さ
せ、結合させた。
【0051】(C) ジヒドロジピコリン酸シンセター
ゼをコードする遺伝子を含むプラスミドの選択 上記遺伝子の選抜に用いた欠損大腸菌変異株は、エシェ
リヒア・コリJE7627(dapA)である[( )
内はジヒドロジピコリン酸シンセターゼ遺伝子型(Geno
type)を示す]。上記(B)項で得られたプラスミド混
液を用い、塩化カルシウム法(Journalof Molecular Bi
ology,53,159,1970)により前記エシェリ
ヒア・コリJE7627株を形質転換し、クロラムフェ
ニコール50mgを含む選択培地[K2HPO4 7g、
KH2PO4 2g、(NH4)2SO4 1g、MgSO4
7H2O 0.1g、グルコース20g、リジン20mg
及び寒天16gを蒸留水1lに溶解]に塗抹した。
【0052】この培地上の生育株を常法により液体培養
し、培養液よりプラスミドDNAを抽出し、該プラスミ
ドを制限酵素により切断し、アガロースゲル電気泳動を
用いて調べたところ、プラスミドpHSG399の長さ
2.2kbのDNA断片に加え、長さ約8kbの挿入D
NA断片が認められた。
【0053】本プラスミドをpHSG399−dapA
と命名した。
【0054】(D) ジヒドロジピコリン酸シンセター
ゼをコードする遺伝子を含むDNA断片(A)断片のサ
ブクローニング 上記(C)項で得たプラスミドpHSG399−dap
に含まれるDNA挿入断片を、必要な部分だけに小型化
するために、プラスミドpUC119(宝酒造より市
販)へジヒドロジピコリン酸シンセターゼをコートする
遺伝子を含むDNA断片を下記のとおりサブクローニン
グした。
【0055】上記(C)項で得たプラスミドpHSG3
99−dapAを制限酵素BamHI、SalIで切断
したものと、プラスミドpUC119を制限酵素Bam
HI、SalIで切断したものを混合し、50mMトリ
ス緩衝液(pH7.6)、10mMジチオスレイトー
ル、1mM ATP、10mM MgCl及びT4 D
NAリガーゼ1unit の各成分を添加し(各成分の濃度
は最終濃度である)、12℃で15時間反応させ、結合
させた。
【0056】得られたプラスミド混液を用い、塩化カル
シウム法(Journal of Molecular Biology,53,15
9,1970)により前記エシェリヒア・コリJE76
27株を形質転換し、アンピシリン50mgを含む選択
培地[K2HPO4 7g、KH2PO4 2g、(NH4)2
SO4 1g、MgSO4・7H2O 0.1g、グルコース
20g、リジン20mg及び寒天16gを蒸留水1lに
溶解]に塗抹した。
【0057】この培地上の生育株を常法により液体培養
し、培養液よりプラスミドDNAを抽出し、該プラスミ
ドを制限酵素により切断し、アガロースゲル電気泳動を
用いて調べたところ、プラスミドpUC119の長さ
3.2kbのDNA断片に加え、長さ約2.5kbの挿入
DNA断片が認められた。各種の制限で切断したとき
の、長さ約2.5kbのDNA断片の制限酵素認識部位
数および切断断片の大きさは前記表1に示したとおりで
あった。このDNA断片の制限酵素切断点地図を図1に
示す。
【0058】また上記で得たプラスミドを各種制限酵素
で切断して、切断断片の大きさを測定した。その結果を
下記の表2に示す。
【0059】
【表2】 上記の制限酵素により特徴づけられるプラスミドをpU
C119−dapAと命名した。
【0060】以上によりジヒドロジピコリン酸シンセタ
ーゼをコードする遺伝子を含む大きさが約2.5kbの
DNA断片(BamHI−SalI断片)を得ることが
できた。
【0061】実施例2 ジヒドロジピコリン酸シンセターゼをコードする遺伝子
の塩基配列の決定 実施例1の(D)項で得られたジヒドロジピコリン酸シ
ンセターゼをコードする遺伝子を含む長さが約2.5k
bのDNA断片について、その塩基配列をプラスミドp
UC118またはpUC119を用いるジデオキシヌク
レオチド酵素法(dideoxy chain termination 法)(Sa
hger,F.et al.,Proc.Nat.Acad.Sci.USA 74、54
63、1977)により図2に示した戦略図に従って決
定した。
【0062】その塩基配列中のオープンリーディングフ
レームの存在から、ジヒドロジピコリン酸シンセターゼ
をコードする遺伝子は、下記配列に示す塩基配列を有す
る301個のアミノ酸をコードする906の塩基対より
構成されていることが判明した。
【0063】
【化4】実施例3 コリネ型細菌内で複製し安定なプラスミドベクターpC
RY30の作成 (A) プラスミドpBY503の調製 プラスミドpBY503は、ブレビバクテリウム・スタ
チオニスIFO12144(FERM BP−251
5)から分離された分子量約10メガダルトンのプラス
ミドであり、特開平1−95785号公報に記載のよう
にして調製した。半合成培地A培地[尿素2g、(NH
4)2SO4 7g、K2HPO4 0.5g、KH2PO4 0.
5g、MgSO4 0.5g、FeSO4・7H2O 6m
g、MnSO4・4〜6H2O 6mg、酵母エキス2.5
g、カザミノ酸5g、ビチオン200μg、塩酸チアミ
ン200μg、グルコース20g及び蒸留水1l]1l
に、ブレビバクテリウム・スタチオニスIFO1214
4を対数増殖期後期まで培養し、菌体を集めた。得られ
た菌体を10mg/mlの濃度にリゾチームを含む緩衝
液[25mMトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタ
ン、10mMのEDTA、50mMグルコース]20m
lに懸濁し、37℃で1時間反応させた。反応液にアル
カリ−SDS液[0.2N NaOH、1%(W/V)S
DS]40mlを添加し、緩やかに混和して室温にて1
5分間静置した。次に、この反応液に酢酸カリウム溶液
[5M酢酸カリウム溶液60ml、酢酸11.5ml、
蒸留水28.5mlの混合液]30mlを添加し、充分
混和してから氷水中に15分間静置した。
【0064】溶菌物全量を遠心管に移し、4℃で10分
間、15,000×gの遠心分離にかけ、上澄液を得
た。
【0065】これに等量のフェノール−クロロホルム液
(フェノール:クロロホルム=1:1混和液)を加え懸
濁した後、遠心管に移し、室温下で5分間、15,00
0×gの遠心分離にかけ、水層を回収した。水層に2倍
量のエタノールを加え、−20℃で1時間静置後、4℃
で10分間、15,000×gの遠心分離にかけ、沈澱
を回収した。
【0066】沈澱を減圧乾燥後、TE緩衝液[トリス1
0mM、EDTA 1mM;HClにてpH8.0に調
整]2mlに溶解した。溶解液に塩化セシウム溶液[5
倍濃度のTE緩衝液100mlに塩化セシウム170g
を溶解させた液]15mlと10mg/mlエチジウム
ブロマイド溶液1mlを加えて、密度を1.392g/
mlに合わせた。この溶液を12℃で42時間、11
6,000×gの遠心分離を行った。
【0067】プラスミドpBY503は紫外線照射によ
り遠心管内で下方のバンドとして見い出される。このバ
ンドを注射器で遠心管の側面から抜きとることにより、
プラスミドpBY503を含む分画液を得た。
【0068】次いでこの分画液を等量のイソアミルアル
コールで4回処理してエチジウムブロマイドを抽出除去
し、その後にTE緩衝液に対して透析を行つた。このよ
うにして得られたプラスミドpBY503を含む透析液
に3M酢酸ナトリウム溶液を最終濃度30mMに添加し
た後、2倍量エタノールを加え、−20℃1時間静置し
た。この溶液を15,000×gの遠心分離にかけてD
NAを沈降させ、プラスミドpBY503を50μg得
た。
【0069】(B) プラスミドベクターpCRY30
の作成 プラスミドpHSG298(宝酒造製)0.5μgに制
限酵素SalI(5units)を37℃1時間反応させ、
プラスミドDNAを完全に分解した。
【0070】前記(A)項で調製したプラスミドpBY
503の2μgに制限酵素XhoI(1unit)を37℃
で30分間反応させ、プラスミドDNAを部分分解し
た。両者のプラスミドDNA分解物を混合し、制限酵素
を不活性化するために65℃で10分間加熱処理した
後、該失活溶液中の成分が最終濃度として各々50mM
トリス緩衝液pH7.6、10mM MgCl2、10m
Mジチオスレイトール、1mM ATP及びT4 DNA
リガーゼ1unit になるように各成分を強化し、16℃
で15時間保温した。この溶液を用いてエシェリヒア・
コリJM109コンピテントセル(宝酒造製)を形質転
換した。
【0071】形質転換株は30μg/ml(最終濃度)
のカナマイシン、100μg/ml(最終濃度)のIP
TG(イソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシ
ド)100μg/ml(最終濃度)のX−gal(5−
ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−β−D−ガラク
トピラノシド)を含むL培地(トリプトン10g、酵母
エキス5g、NaCl 5g及び蒸留水1l、pH7.
2)で37℃にて24時間培養し、生育株として得られ
た。これらの生育株のうち、白いコロニーで生育してき
たものを選択し、各々プラスミドをアルカリ−SDS法
[T.Maniatis,E.F.Fritsch,J.Sambrook,“Molecular
cloning"(1982)p90〜91参照]により抽出
した。
【0072】その結果、プラスミドpHSG298のS
alI部位にプラスミドpBY503由来の約4.0k
bの断片が挿入されたプラスミドpHSG298−or
iが得られた。
【0073】次に同様の方法を用い、前記(A)項で得
られたプラスミドpBY503DNAを制限酵素Kpn
I及びEcoRIにて処理して得られる約2.1kbの
DNA断片を上記プラスミドpHSG298−oriの
KpnI及びEcoRI部位にクローニングし、プラス
ミドベクターpCRY30を調製した。
【0074】実施例4 プラスミドpCRY30−dapAの作成及びコリネ型
細菌への導入 実施例1の(C)項で得られたプラスミドpHSG39
9−dapA 5μgを制限酵素BamHI、SalI
を各5units 用い、37℃で1時間反応させ分解し、平
滑末端処理したものと、BamHIリンカー(宝酒造よ
り市販)1μlを混合し、50mMトリス緩衝液(pH
7.6)、10mMジチオスレイトール、1mM AT
P、10mM MgClおよびT4 DNAリガーゼ1
unit の各成分を添加し(各成分の濃度は最終濃度であ
る)、12℃で15時間反応させ結合させた。
【0075】このDNAを制限酵素BamHI 3units
を用い37℃で1時間反応させ分解したものと、実施
例3の(B)項で得られたプラスミドpCRY30 1
μgを制限酵素BamHI 1unit を用い、37℃で1
時間反応させ分解したものを混合し、50mMトリス緩
衝液(pH7.6)、10mMジチオスレイトール、1
mM ATP、10mM MgClおよびT4 DNA
リガーゼ1unit の各成分を添加し(各成分の濃度は最
終濃度である)、12℃で15時間反応させ結合させ
た。このプラスミドを用いて、前記方法に従い前記エシ
ェリヒア・コリJE7627株を形質転換し、カナマイ
シン50μg/mlを含む選択培地[K2HPO4
g、KH2PO4 2g、(NH4)2SO4 1g、MgSO
4・7H2O 0.1g、グルコース20g、リジン20m
g及び寒天16gを蒸留水1lに溶解]に塗抹した。
【0076】この培地上の生育株を常法により液体培養
し、培養液よりプラスミドDNAを抽出し、該プラスミ
ドを制限酵素により切断し、アガロースゲル電気泳動を
用いて調べたところ、プラスミドpCRY30の長さ
8.6kbのDNA断片に加え、大きさ2.5kbの挿入
DNA断片が認められた。
【0077】上記の如く調製されたプラスミドDNA
を、コリネ型細菌へ形質転換した。
【0078】形質転換は、電気パルス法を用いて次のと
おり行った。
【0079】ブレビバクテリウム・フラバムMJ−23
3(FERM BP−1497)プラスミドpBY50
2除去株を100mlの前記A培地で対数増殖初期まで
培養し、ペニシリンGを1ユニット/mlになるように
添加して、さらに2時間振盪培養し、遠心分離により菌
体を集め、菌体を20mlのパルス用溶液(272mM
Sucrose、7mM KH2PO4、1mM MgCl2;p
H7.4)にて洗浄した。さらに菌体を遠心分離して集
め、5mlのパルス用溶液に懸濁し、0.75mlの細
胞と、前記で得られたプラスミドDNA溶液50μlと
を混合し、水中にて20分間静置した。ジーンパルサー
(バイオラド社製)を用いて、2500ボルト、25μ
FDに設定し、パルスを印加後氷中に20分間静置し
た。全量を3mlの前記A培地に移し30℃にて1時間
培養後、カナマイシン15μg/ml(最終濃度)を含
む前記A寒天培地に植菌し30℃で2〜3日間培養し
た。出現したカナマイシン耐性株より、前記実施例3
(A)項に記載の方法を用いてプラスミドを得た。この
プラスミドを各種制限酵素で切断して、切断断片の大き
さを測定した。その結果を下記の表3に示す。
【0080】
【表3】 上記制限酵素により特徴づけられるプラスミドをpCR
Y30−dapAと命名した。
【0081】なお、プラスミドpCRY30−dapA
により形質転換されたブレビバクテリウム・フラバムM
J233−dapAは、茨城県つくば市東1丁目1番3
号の工業技術院微生物工業技術研究所に、平成3年12
月16日付で:微工研菌寄第12659号(FERM
P−12659)として寄託されている。
【0082】実施例5 プラスミドpCRY30−dapAの安定性 前記のA培地100mlを500ml容三角フラスコに
分注し、120℃で15分間滅菌処理したものに、実施
例4で得た形質転換株ブレビバクテリウム・フラバムM
J233−dapAを植菌し、30℃にて24時間振盪
培養を行つた後、同様にして調製したA培地100ml
を500ml容三角フラスコに分注し、120℃で15
分間滅菌したものに、1ml当たり50cells の割合に
なるように植継し、同じく30℃にて24時間振盪培養
を行った。次に遠心分離して集菌し、菌体を洗浄後、カ
ナマイシンを15μg/mlの割合で添加したA培地及
び無添加のA培地を用いて調製した平板培地に一定量塗
抹し、30℃にて1日培養後生育コロニーをカウントし
た。
【0083】この結果、カナマイシン添加および無添加
培地に生育したコロニーは同数であること、さらにA培
地生育コロニーは全てカナマイシン添加培地に生育する
こと、すなわち該プラスミドの高度の安定性を確認し
た。
【0084】実施例6 L−リジンの生産 培地(尿素0.4%、硫酸アンモニウム1.4%、KH2
PO4 0.05%、K2HPO4 0.05%、MgSO4
7H2O 0.05%、CaCl2・2H2O 2ppm、F
eSO4・7H2O 2ppm、MnSO4・4〜6H2
2ppm、ZnSO4・7H2O 2ppm、NaCl 2
ppm、ビオチン200μg/l、チアミン・HCl
100μg/l、カザミノ酸0.1%、酵母エキス0.1
%)100mlを500ml容三角フラスコに分注、滅
菌(滅菌後pH7.0)した後ブレビバクテリウム・フ
ラバム(Brevibacterium flavum)MJ−233−da
pA(FERM P−12659)を植菌し、無菌的に
グルコースを5g/lの濃度になるように加え、30℃
にて2日間振盪培養を行つた。
【0085】次に、本培養培地(グルコース5%、硫酸
アンモニウム2.3%、KH2PO40.05%、K2HP
4 0.05%、MgSO4・7H2O 0.05%、Fe
SO4・7H2O 20ppm、MnSO4・4〜6H2
20ppm、ビオチン200μg/l、チアミン・HC
l 100μg/l、カザミノ酸0.3%、酵母エキス
0.3%)の1000mlを2l容通気撹拌槽に仕込
み、滅菌(120℃、20分間)後、前記前培養物の2
0mlを添加して、回転数1000rpm、通気量1v
vm、温度33℃、pH7.6にて24時間培養を行っ
た。
【0086】培養終了後、培養物500mlから遠心分
離にて集菌後、脱塩蒸留水にて2度洗浄した菌体を反応
液[(NH4)2SO4 2g/l;KH2PO4 0.5g/
l;KH2PO4 0.5g/l;MgSO4・7H2O 0.
5g/l;FeSO4・7H2O 20ppm;MnSO4
・4〜6H2O 20ppm;チアミン塩酸塩100μg
/l;pH7.6]の1000mlに懸濁後、該懸濁液
を2l容通気撹拌槽に仕込み、グルコース9gを添加し
て、回転数300rpm、通気量0.1vvm、温度3
3℃、pH7.6にて24時間反応を行った。
【0087】反応終了後、遠心分離(4000rpm、
15分間、4℃)にて除菌した上清液中のL−リジンを
定量した。その結果、上清液中のL−リジン生成量は
1.1g/lであった。
【0088】この反応終了後の培養液500mlを、強
酸性陽イオン交換樹脂(H+ 型)のカラムに通してL−
リジンを吸着させ、水洗後、0.5Nアンモニア水で溶
出させた後、L−リジン画分を濃縮し、冷エタノールで
L−リジンの結晶を折出させた。その結果、300mg
のL−リジン結晶が得られた。
【0089】また、比較例として、同様の条件にて、ブ
レビバクテリウム・フラバム(Brevibacterium flavu
m)MJ−233(FERM BP−1497)を培養
し、同様の条件にて反応させた後上清液中のL−リジン
を定量した。その結果、上清液中のL−リジン生成量は
0.6g/lであった。
【0090】
【化5】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のジヒドロジピコリン酸シンセターゼを
コードする遺伝子を含むDNA断片の制限酵素による切
断点地図。
【図2】大きさが約2.5kbの本発明DNA断片の塩
基配列決定のための概略図。
【化2その1】
【化2その2】
【化3その1】
【化3その2】
【化3その3】
【化4その1】
【化4その2】
【化4その3】
【化5その1】
【化5その2】
【化5その3】
【化5その4】
フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C12P 13/08 A 8931−4B //(C12N 15/60 C12R 1:13) (C12N 9/88 C12R 1:13) (C12P 13/08 C12R 1:13) (72)発明者 湯川 英明 茨城県稲敷郡阿見町中央8丁目3番1号三 菱油化株式会社筑波総合研究所内

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 コリネ型細菌由来のジヒドロジピコリン
    酸シンセターゼ(E.C.4.2.1.52)をコードする
    遺伝子DNA。
  2. 【請求項2】 コリネ型細菌がブレビバクテリウム・フ
    ラバム(Brevibacterium flavum)MJ233である請
    求項1記載の遺伝子DNA。
  3. 【請求項3】 次のDNA塩基配列 【化1】 で示されるジヒドロジピコリン酸シンセターゼ(E.C.
    4.2.1.52)をコードする遺伝子DNA。
  4. 【請求項4】 次のアミノ酸配列 【化2】で示されるジヒドロジピコリン酸シンセターゼ
    (E.C.4.2.1.52)をコードする遺伝子DNA。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれかに記載の遺伝子
    DNAが導入された組換えプラスミド。
  6. 【請求項6】 請求項1〜4のいずれかに記載の遺伝子
    DNAと、コリネ型細菌内で複製増殖機能を司る遺伝子
    を含むDNAを保有する組換えプラスミド。
  7. 【請求項7】 請求項6記載の組換えプラスミドで形質
    転換されたコリネ型細菌。
  8. 【請求項8】 グルコースを、請求項7記載のコリネ型
    細菌の培養菌体又は菌体処理物と接触させて、L−リジ
    ンを生成させることを特徴とするL−リジンの製造法。
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