JPH05178809A - 抗生物質tan−1434、その製造法および用途 - Google Patents

抗生物質tan−1434、その製造法および用途

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JPH05178809A
JPH05178809A JP4141753A JP14175392A JPH05178809A JP H05178809 A JPH05178809 A JP H05178809A JP 4141753 A JP4141753 A JP 4141753A JP 14175392 A JP14175392 A JP 14175392A JP H05178809 A JPH05178809 A JP H05178809A
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tan
antibiotic
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gray
culture
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JP4141753A
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Masayuki Muroi
正之 室井
Seiji Hakoda
聖二 箱田
Masaru Suzuki
勝 鈴木
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Takeda Pharmaceutical Co Ltd
Original Assignee
Takeda Chemical Industries Ltd
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  • Acyclic And Carbocyclic Compounds In Medicinal Compositions (AREA)
  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】真菌感染症に対する治療薬を提供する。 【構成】抗生物質TAN−1434、その塩、それらの
製造法および用途。 【効果】本発明のTAN−1434は、真菌に抗菌作用
を示し、例えば人および他の動物の真菌感染症の治療に
用いることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、真菌感染症の治療剤と
して有用な新規化合物TAN−1434またはその塩、
それらの製造法および用途に関する。
【0002】
【従来の技術】抗生物質TAN−1434の赤外線吸収
スペクトル、1Hおよび13C核磁気共鳴スペクトル等か
ら、既知の抗真菌化合物とは異なる新規化合物と判断さ
れた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】近年、癌化学療法剤,
免疫療法剤,副腎皮質ホルモン剤の繁用などによる生体
内免疫能の低下や抗菌剤投与による菌交代現象等によ
り、深在性の真菌症が増加し、医療の面で大きな問題と
なりつつある。深在性或いは表在性の真菌症に対して
は、ポリエン系抗生物質、フルシトシン、イミダゾール
系抗真菌剤などによる化学療法が行われているが、従来
の抗真菌剤は副作用の強いものや耐性菌の出現し易いも
のなど不満足なものが多く、真菌感染症は化学療法分野
で大きな問題となっている。このように真菌感染症に対
する治療薬は、未だ極めて不満足なものであり、副作用
が強く臨床上有効な新しい抗真菌剤、或いはそれらを合
成する原料となる新しい骨格を有する化合物が求められ
ている。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは多数の土壌
試料から微生物を分離し、それらの代謝産物から新しい
抗真菌剤を得るための探索研究を行ってきた。その結
果、ある種の放線菌が培養物中に抗真菌活性を有する抗
生物質を産生することを見出し、この物質を培養物中か
ら純粋に単離し、その物理化学的性質から、該抗生物質
が新規物質であることを確かめ、これを抗生物質TAN
−1434と称することにした。本発明者らは、これら
の知見に基づいてさらに研究を重ねた結果、本発明を完
成した。
【0005】即ち、(1)本発明は抗生物質TAN−14
34またはその塩、(2)ストレプトミセス(Streptomyce
s)属に属し、抗生物質TAN−1434を生産する能力
を有する微生物を培地に培養し、培養物中に抗生物質T
AN−1434を生成蓄積せしめ、これを採取すること
を特徴とする抗生物質TAN−1434またはその塩の
製造法、(3)抗生物質TAN−1434を生産する能力
を有するストレプトミセス・エスピー 25AF−58
および(4)抗生物質TAN−1434またはその塩を
含有してなる抗真菌剤に関する。なお、本明細書におい
て「抗生物質TAN−1434」を単に「TAN−14
34」と称することもある。抗生物質TAN−1434
の生産菌としては、抗生物質TAN−1434を産生す
る能力を有するものであれば如何なる微生物でも良い
が、たとえば本発明者らが分離し、ストレプトミセス・
エスピー 25AF−58(Streptomyces sp.25AF
−58)と名付けた菌株またはそれに類縁の菌株などは
もっとも有効に用いられる一例である。以後本菌を25
AF−58株と略称することもある。25AF−58株
について、インターナショナル・ジャーナル・オブ・シ
ステマティック・バクテリオロジー(International Jou
rnal of Systematic Bacteriology),16,313-340(196
6)記載の方法に準じて検討した菌学的性状を以下に示
す。
【0006】なお、培地上の所見は特に記載のないかぎ
り、28℃において14日間培養し、観察したものであ
る。気菌糸は、よく伸長分岐した基生菌糸から単純分枝
状に伸長しており、その先端から形成された胞子連鎖
(通常10〜50個以上)は、緻密ならせん状を呈し、
時には解放したらせん状が認められる。輪生糸は認めら
れない。胞子は円筒形(φ0.6〜0.8×0.9〜1.1
μm)を示し、その表面は平滑である。
【0007】本菌の分類培地上の生育状態は〔表1〕の
とおりである。色の記載について()で示す標準色調記
号は、コンティナー・コーポレーション・オブ・アメリ
カ(Container Coropration of America)のザ・カラー・
ハーモニー・マニュアル(The Color Harmony Manual)第
4版、1985年によった。
【0008】
【表1】 25AF−58株の分類培地上の培養所見 ─────────────────────────────────── シュークロース・ G :貧弱〜中程度、淡灰黄色(2ic) 硝酸塩寒天培地 AM:貧弱、白色 R :淡灰黄色(2ic) SP:なし ─────────────────────────────────── グルコース・アスパラギン G :貧弱〜中程度、象牙色(2ca) 寒天培地 AM:貧弱〜中程度、白色〜淡灰色(3ba) 灰色(3dc)〜黒灰色(2ih) R :象牙色(2ca)〜淡褐黄色(2ga) SP:なし ─────────────────────────────────── グリセリン・アスパラギン G :中程度、象牙色(2ca) 寒天培地 AM:貧弱〜中程度、白色〜淡灰色(3ba) 〜灰色(3dc) R :象牙色(2ca)〜淡褐黄色(2ga) SP:なし ─────────────────────────────────── スターチ・無機塩 G :中程度、象牙色(2ea) 寒天培地 AM:貧弱〜中程度、白〜淡灰色(3ba)〜 灰色(3ih) R :象牙色(2ea)〜黄褐色(2lc) SP:なし ─────────────────────────────────── チロジン寒天培地 G :中程度、褐灰色(2ie) AM:中程度、白〜淡灰色(3ba)〜灰色(3fe) R :褐灰色(2gc)〜暗灰褐色(3ni) SP:淡灰褐色(3lc) ─────────────────────────────────── 栄養寒天培地 G :貧弱〜中程度、淡黄灰色(2gc) AM:なし R :淡黄灰色(2gc) SP:なし ─────────────────────────────────── イースト・麦芽 G :中程度、淡黄灰色(2gc) 寒天培地 AM:中程度、白色〜淡灰色(3ba) R :淡黄褐色(3ga)〜黄褐色(3nc) SP:淡灰黄色(2ic) ─────────────────────────────────── オートミール G :中程度、淡灰黄色(2ic) 寒天培地 AM:貧弱〜中程度、白色〜灰色(3fe) R :淡黄灰色(2ic)〜淡黄灰褐色(3ic) SP:なし ─────────────────────────────────── ペプトン・イースト・鉄 G :貧弱、暗褐灰色(2nl) 寒天培地 AM:なし R :暗褐灰色(2nl) SP:暗褐灰色(4pn) ─────────────────────────────────── 略号; G:生育,AM:気生菌糸,R:裏面の色調,SP:可溶性色素
【0009】25AF−58株の生理学的性質は次のと
おりである。 (1)生育温度範囲:18〜40℃で生育するが26〜3
8℃でより良好な生育を示す。 (2)ゼラチンの液化:陽性 (3)スターチ加水分解:陽性 (4)脱脂牛乳の凝固:陰性 ペプトン化:弱い陽性 (5)メラニン様色素の生成:陽性(ペプトン・イースト
・鉄寒天培地)陰性(チロシン寒天培地) (6)硝酸塩還元:陰性 (7)炭素源の利用性(プリドハム・ゴットリーブ寒天培
地) よく利用される炭素源 イノシトール,D−グルコース,D−フラクトース,シ
ュークロース 25AF−58株菌体の塩酸加水分解物中にはLL−ジ
アミノピメリン酸が検出された。このことから本菌はス
トレプトミセス属に属すると考えられる。以上の結果か
ら本菌株は、白〜灰色の気菌糸の色を呈し、胞子連鎖は
らせん状、胞子表面は平滑、メラニン色素を産生するこ
と及びジアミノピメリン酸がLL−体であるなどの諸性
質からストレプトミセス(Streptomyces)属に、属する
ことが明らかであり、ストレプトミセス・エスピー 2
5AF−58(Streptomyces sp. 25AF−58)と称
することにした。本発明に使用されるストレプトミセス
・エスピー 25AF−58株は平成3年4月24日か
ら財団法人発酵研究所(IFO)に受託番号IFO 1
5171として寄託されている。また該微生物は平成3
年5月27日から通商産業省工業技術院微生物工業技術
研究所(FRI)にブダペスト条約に基づいて受託番号
FERM BP−3424として寄託されている。
【0010】ストレプトミセス属菌の一般的性状として
菌学上の性質はきわめて変異しやすく、ストレプトミセ
ス・エスピー 25AF−58株もその例外ではない。
したがって、本菌の性質も上述のとおりに一定のもので
はなく種々の変異株が容易に得られる。しかしこれらの
変異株にあっても抗生物質TAN−1434を生産する
性質を失わないかぎり本発明の方法に使用することがで
きる。もちろんそれらの変異が自然の原因に由来するも
のであっても各種変異誘起剤(例えば紫外線,エックス
線,放射線,ニトロソグアニジン等)を用いて人工的に
行なわれたものであってもさしつかえない。
【0011】本発明の方法において培養に際しては、一
般に微生物が同化しうる炭素源、消化しうる窒素源およ
び無機塩などを含有させた培地が使用される。また培地
には必要に応じて微量栄養素、発育促進物質、前駆物質
などの微量有効物質を添加してもよい。一般に微生物が
同化しうる炭素源としてはブドウ糖,シュークロース,
糖みつ,でんぷん,デキストリン,グリセリンなどがあ
り、消化しうる窒素源としては肉エキス,大豆粉,コー
ン・スティープ・リカー,ペプトン,カゼイン,綿実粕
など、および硝酸塩類,アンモニウム化合物などの無機
窒素化合物などがあり、それらはいずれも有効に利用さ
れる。培養は表面培養法によってもよいが、深部通気培
養法によるのが通常である。深部通気培養法による場
合、培地の性質は中性付近にするのがよく、培地時の温
度は20〜36℃付近、好ましくは24〜30℃に保つ
のがよい。しかしこれらの培養組成物,培地の液性,培
養温度,撹拌数などの培養条件は使用する菌株の種類や
外部の条件などに応じて好ましい結果が得られるように
適宜調節,選択されることはいうまでもない。
【0012】本発明のTAN−1434を培養液から採
取するには、後述する実施例に示すように当該物質が水
溶性両性物質であることを考慮して、そのような微生物
代謝産物を採取するのに通常用いられる分離,精製の手
段が適宜利用される。例えば、夾雑物との溶解度の差を
利用する方法、或いはクロマトグラフィーに付す方法な
どが、単独または組合わせて用いられる。クロマトグラ
フィーで用いられる担体としては、慣用の無機及び有機
の担体、例えば活性炭、ハイポーラスの合成吸着樹脂、
イオン交換樹脂、アルミナ、セルロース、イオン交換セ
ルロース、セファデックス、イオン交換セファデックス
等が利用される。TAN−1434を培養液から採取す
る方法を具体的に例示すると、まず予め遠心分離或いは
濾過等の方法で分離して得られた培養上清或いは培養濾
液のpHを弱酸性として、陽イオン交換樹脂アンバーラ
イトIR−120(H+型)のカラムに通し、水洗した
後、希アンモニア水で溶出する。溶出液を濃縮した後、
アンバーライトCG−50(H+型)のカラムを通過さ
せ、水で洗い、通過液 と水洗液を合わせて濃縮する。
この濃縮液を陽イオン交換樹脂ダウエックス50W×2
(H+型)のカラムに通し、水及び0.1N塩酸で洗浄し
た後、0.5N塩 酸で溶出する。溶出液は、陰イオン交
換樹脂アンバーライトIR−45(OH- 型)のカラム
を通し、水洗する。通過液及び水洗液を合わせて濃縮し
た後、凍結乾燥すると、粗物質が得られる。次に、これ
を水に溶解して、セルロース(アビセル)のカラムクロ
マトグラフィーに付し、含水プロパノールで展開して分
画し、活性画分を集めて濃縮するとTAN−1434を
含む粗結晶が得られる。更に、これをエタノール−水か
ら結晶化し、析出する結晶を濾過して除いた母液を濃縮
し、再度エタノール−水から結晶化すると、TAN−1
434が無色の結晶として得られる。
【0013】このようにして得られたTAN−1434
遊離体の物理化学的性状は次の通りである。 1) 外観:無色柱状結晶 2) 融点:230.5〜232.5℃(分解) 4) 質量分析値(SIMS法):m/z 143(M+
H) 5) 分子式:C61022 6) 元素分析値(C61022として): 計算値:C,50.69; H,7.09; N,19.
70 実測値:C,50.42; H,7.06; N,19.
65 7) 紫外線吸収スペクトル:末端吸収 8) 赤外線吸収スペクトル(KBr錠剤中での主な吸
収,cm-1):3430, 3245, 2980, 2940, 2910, 2700, 25
90, 2240, 2045, 1655,1585, 1495, 1440, 1410, 1355,
1320, 1300, 1275, 1175, 1145,1120, 1100, 1040, 9
80, 910, 880, 850, 820, 760, 655 9) 1H核磁気共鳴スペクトル(300MHz,D2O中での
ケミカルシフト,δppm):1.41(3H,d,J=7.0),2.05(1H,
ddd,J=5.1,9.8,14.8),2.34(1H,ddd,J=5.7,8.7,14.6),3.
03(1H,ddq,J=5.7,9.8,7.0),3.85(1H,dd,J=5.2,8.7) 10) 13C核磁気共鳴スペクトル(75MHz,D2O中での
ケミカルシフト,δppm):19.9(q), 25.4(d), 37.5
(t), 55.7(d), 125.9(s), 176.1(s) 但し、s:シングレット,d:ダブレット,t:トリプ
レット,q:クワルテットを表わす。 11) 溶解性: 易溶:水 難溶:メタノール,エタノール,n−プロパノール,ア
セトン 12) 薄層クロマトグラフィー(担体,シリカゲル・ガラ
スプレート60F254,0.25mm,ドイツ・メルク社
製): 13) 高速液体クロマトグラフィー 担体:LiChrospher 100RP-18(e) 5μm 4×125mm(ドイツ・メルク社製) 溶媒系:10%メタノール−0.01M酢酸緩衝液(p
H5.6) (0.4mM酢酸銅及び0.8mMオクタンスルホン酸ナト
リウムを含む) 流速:1.0ml/分 保持時間:7.1分 14) 呈色反応: 陽性;ニンヒドリン,エールリッヒ,グレイグ・リーバ
ック,ヨード,KMnO4試薬 陰性;坂口,バートン,ドラーゲンドルフ,リン・モリ
ブデン試薬 15) 酸性,中性,塩基性の別:両性 TAN−1434は以上の物理化学的性質及び二次元核
磁気共鳴スペクトルの解析などから、下記式で示される
新規化合物と判断された。
【化2】 又、当該化合物は両性物質であるので、それ自体公知の
方法で、例えばナトリウム、カリウム等のアルカリ金属
との塩、例えばカルシウム、マグネシウム等のアルカリ
土類金属との塩、例えばアンモニウム塩のような無機塩
基塩類、例えばメチルアミン、エチルアミン、プロピル
アミン、イソプロピルアミン、ブチルアミン、第3級ブ
チルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、トリメ
チルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、ピコリン、
ジシクロヘキシルアミン、N,N′−ジベンジルエチレ
ンジアミン等の有機塩基との塩、例えば酢酸、マレイン
酸、酒石酸、メタンスルホン酸等の有機酸付加塩、例え
ば塩酸、臭化水素酸、硫酸等の無機酸付加塩、例えばグ
ルタミン酸等のアミノ酸との塩などの生理学的に許容さ
れる塩を形成させることができる。
【0014】次にTAN−1434の生物学的性状につ
いて述べる。抗生物質TAN−1434の1000μg
/ml水溶液に浸漬したペーパー・ディスク(東洋瀘紙
製、直径8mm)を各種真菌および細菌の含菌寒天平板に
はりつけ、28℃で48時間培養後、ペーパー・ディス
クのまわりに生じた生育阻止円の直径を〔表2〕に示
す。表中“0”は阻止円の認められなかったことを示
す。培地には、イースト・ナイトロジェン・ベース培地
(米国・ディフコ社製)にグルコース2%および寒天
(米国・ディフコ社製)1.5%を添加したものを用い
る。
【表2】 抗生物質TAN−1434の抗菌スペクトル ────────────────────────────────── 試 験 菌 阻止円直径(mm)* ────────────────────────────────── カンディダ・アルビカンス IFO 0583 10 カンディダ・ウティリス IFO 0619 13 トルロプシス・グラブラータ IFO 1085 0 クリプトコッカス・ネオホルマンス IFO 0410 34 フイロバシディウム・ユニグットラートム IFO 0699 36 サッカロミセス・セレビシエ IFO 0209 32 アスペルギルス・ニガー IFO 4066 15 アスペルギルス・フミガータス IFO 6344 0 スポロスリックス・シエンキー IFO 8158 20 ミクロスポルム・ギプセウム IFO 6075 55 トリコフィトン・メンタグロフィテス IFO 7522 17 バチルス・ズブチルス NIHJ PCI 219 42 エシェリヒア・コリ NIHJ JC-2 13 ────────────────────────────────── *TAN−1434の1000μg/ml水溶液を用いた。 このように抗生物質TAN−1434はある種の真菌類
に対して抗菌力を示す。また、TAN−1434を投与
量400mg/kgでマウスに腹腔内あるいは経口投与して
も急性毒性は全く認められなかった。これらのデータか
ら明らかなようにTAN−1434は真菌に対して抗菌
性を示し、哺乳動物などに毒性を示さない抗生物質であ
ると云える。したがってTAN−1434はヒト、家畜
および家きんなどの真菌感染症の治療に用いることがで
きる。この治療用に、TAN−1434は公知の製剤化
技術、たとえば日本薬局方などに記載の方法に従って種
々の剤形の医薬組成物に処方して用いることができる。
剤形としては、たとえばテープ剤,パッチ剤,パップ
剤,軟膏剤(クリームも含む),硬膏剤,ローション
剤,液剤,懸濁剤,乳剤,噴霧剤などである。軟膏剤
(クリームを含む),硬膏剤,ローション剤,液剤,懸
濁剤,乳剤,噴霧剤は、TAN−1434またはその塩
を、製剤分野において自体公知の溶剤,懸濁化剤,乳化
剤,界面活性剤,噴射剤,軟膏基剤,硬膏基剤などの基
剤に必要により防腐剤(例、パラオキシ安息香酸ブチ
ル,塩化ベンザルコニウム等),経皮吸収促進剤(例、
エイゾン,2−ピロリドン等),炎症防止剤などととも
に添加し調製される。テープ剤,パッチ剤,パップ剤
は、TAN−1434またはその塩および製剤分野にお
いて自体公知の基剤と混合した後、必要に応じて防腐
剤,経皮吸収促進剤,炎症防止剤などを加えた後、適当
な担持体に吸収または付着させ調製することができる。
担持体としては高分子膜,織布,不織布,紙などがあげ
られ、テープ剤,パッチ剤,パップ剤に使用される粘着
剤としてはポリアルキルビニルエーテル系,ポリアルキ
ルアクリレート系,ポリイソブチレン系,天然ゴム系,
合成ゴム系粘着剤があげられる。また適度の可塑性と粘
着性を保持させるために動物油(例、スクワレン,スク
ワラン等),植物油(例、オリーブ油,ホホバ油等),
ワセリン,ラノリンなどが加えられてもよい。
【0015】軟膏剤,硬着剤,テープ剤,パッチ剤,パ
ップ剤などを調製する際には、経皮吸収を調節する成
分、たとえばレシチン等のリン脂質、スルファタイド,
固形パラフィン,ミツロウ,カルナウバロウ,硬化ヒマ
シ油,ラノリン,ポリビニルアルコール,ポリエチレン
グリコール,グリセリン脂肪酸エステル(例、グリセリ
ンモノステアレート等),コレステロール,カーボポー
ル,カルボキシメチルセルロース,カルボキシエチルセ
ルロース,シリコン樹脂,低級(C1-5)アルコール
(例、エタノール,イソプロピルアルコール等)などを
配合することができる。溶剤としては水,エタノール,
グリセリンなどがあげられる。懸濁化剤および乳化剤と
してはアラビアゴム,カルボキシメチルセルロース,メ
チルセルロース,アルギン酸ナトリウム,カラギーナン
などがあげられる。界面活性剤としてはTween 80(ポ
リソルベート80),Span 60(ソルビタンモノステ
アレート)などがあげられる。噴霧剤としては不燃性液
化ガス(例、フレオン等)などがあげられる。軟膏基剤
としてはワセリン,パラフィン,植物油,動物油,ラノ
リン,ろう類,マクロゴール類などがあげられる。硬膏
基剤としてはミツろう,パラフィン,カーボワックス,
グリセリン脂肪酸エステル類などがあげられる。TAN
−1434またはその塩を含む製剤は、外用殺菌剤とし
て用いることができる。たとえばTAN−1434を通
常約0.1〜10w/v%,好ましくは約0.5〜5w/v%の
濃度で蒸留水などに溶解した液剤、またはワセリン,ラ
ノリンを基剤とし、1gあたりTAN−1434を通常
約0.2〜100mg、好ましくは約1〜20mg含有する
軟膏剤などの外用殺菌剤として用いることができる。外
用殺菌剤をヒトおよび動物の皮膚あるいは粘膜などに投
与し、これらの殺菌、消毒に用いることができる。
【0016】
【実施例】次に実施例をもってさらに詳細に本発明を説
明するが、これによって本発明が限定されるものではな
い。パーセントは、特にことわりのないかぎり重量/容
量%を示す。 実施例1 3リットル容量の坂口コルベンにグルコース2.0%,
可溶性デンプン3.0%,コーン・スティープ・リカー
1.0%,生大豆粉1.0%,ペプトン0.5%,塩化ナ
トリウム0.3%,炭酸カルシウム0.5%(pH7調
整)からなる培地500mlを注入後滅菌し、これにスト
レプトミセス・エスピー 25AF−58株(IFO
15171,FERM BP−3424)の斜面培養か
ら1白金耳を接種したのち120往復/分の往復振盪機
上28℃で48時間培養した。200リットル容量のス
テンレス・タンクにグリセロール3%,乾燥酵母2%,
プロフロ2%,K2HPO4 0.0025%,KH2PO
4 0.112%,CoCl2 0.00013%からなる培
地120リットルを調製滅菌したものに前記種培養液5
00mlを接種し、通気量120リットル/分,撹拌数1
50rpmで24℃,90時間培養を行った。
【0017】実施例2 実施例1で得られた培養液(105リットル)を塩酸で
pH3に調整し、ラヂオライト600(昭和化学工業社
製,日本)を用いて濾過する。濾液(96リットル)を
pH3.0としてアンバーライトIR−120(H+型,
5リットル)のカラムを通過させ、水洗(25リット
ル)後、0.2N−アンモニア水(30リットル)で溶
出した。溶出液を10リットルになるまで濃縮してアン
モニアを除去した後、アンバーライトCG−50(H+
型,2リットル)のカラムを通過させ、水(6リット
ル)で洗浄した。通過液及び水洗液を合わせて(16リ
ットル)濃縮した。濃縮液(4.9リットル)は、ダウ
エックス50W×2(100〜200メッシュ,H
+型,1リットル)のカラムに通し、水(3リットル)
及び0.1N−塩酸(5リットル)で洗浄した後、0.5
N−塩酸(5リットル)で溶出した。溶出液をアンバー
ライトIR−45(OH-型,1リットル)のカラムを
通過させ、水(6リットル)で洗浄し、通過液及び水洗
液を合わせて濃縮、凍結乾燥し、粗物質(24.3g)
を得た。粗物質を水(40ml)に溶かし、セルロース
(アビセル,旭化成,1リットル)カラムクロマトグラ
フィーに付し、90%n−プロパノールで展開して、2
00mlずつ分画した。フラクションNo.12〜23
(2.4リットル)を集めて濃縮し、粗結晶(2.39
g)を得た。更に、これを低温(4℃)でエタノール−
水から結晶化して析出する不純物を含む混晶を濾過して
除いた後、母液を濃縮し、再度エタノール−水より低温
(4℃)で結晶化することにより、TAN−1434の
無色柱状結晶(356mg)を得た。
【0018】
【発明の効果】本発明の新規抗生物質TAN−1434
およびその塩は、真菌に抗菌作用を示し、例えば、人及
び他の動物に外用的に投与することによって、これらの
真菌感染症の治療に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】は赤外線吸収スペクトル(KBr錠)を示す。
フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C12R 1:465) 7804−4B

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】式 【化1】 で表される抗生物質TAN−1434またはその塩。
  2. 【請求項2】ストレプトミセス属に属し、抗生物質TA
    N−1434を生産する能力を有する微生物を培地に培
    養し、培養物中に抗生物質TAN−1434を生成蓄積
    せしめ、これを採取することを特徴とする抗生物質TA
    N−1434またはその塩の製造法。
  3. 【請求項3】抗生物質TAN−1434を生産する能力
    を有するストレプトミセス・エスピー 25AF−5
    8。
  4. 【請求項4】抗生物質TAN−1434またはその塩を
    含有してなる抗真菌剤。
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