JP2913101B2 - 抗生物質tan―1171およびその製造法 - Google Patents

抗生物質tan―1171およびその製造法

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Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、真菌感染症の治療剤として有用な新規化合
物TAN−1171およびその塩、それらの製造法ならびに関
連する微生物に関する。
従来の技術 近年、癌化学療法剤、免疫療法剤,副腎皮質ホルモン
剤の繁用などによる生体内免疫能の低下や抗菌剤投与に
よる菌交代現象等により、深在性の真菌症が増加し、医
療の面で大きな問題となりつゝある。深在性或いは表在
性の真菌症に対しては、ポリエン系抗生物質,フルシト
シン,イミダゾール系抗真菌剤などによる化学療法が行
われているが、従来の抗真菌剤は副作用の強いものや耐
性菌の出現し易いものなど、不満足なものが多く、真菌
感染症は化学療法分野で大きな問題となっている。
発明が解決しようとする課題 真菌感染症に対する治療薬は、未だ極めて不満足なも
のであり、副作用が弱く臨床上有効な新しい抗真菌剤が
求められている。
課題を解決するための手段 本発明者らは多数の土壌試料から微生物を分離し、そ
れらの代謝産物から新しい抗真菌剤を得るための探索研
究を行ってきた。その結果、ある種の放射菌が培養物中
に抗真菌活性を有する抗生物質を産生することを見出
し、この物質を培養物中から純粋に単離し、その理化学
的性質から、当該抗生物質が新規物質であることを確か
め、これをTAN−1171と称することにした。
本発明者らは、これらの知見に基づいてさらに研究を
重ねた結果、本発明を完成した。
即ち、(1)本発明は抗生物質TAN−1171およびその
塩,(2)ストレプトミセス(Streptomyces)属に属
し、抗生物質TAN−1171を生産する能力を有する微生物
を培地に培養し、培養物中に該抗生物質を生成蓄積せし
め、これを採取することを特徴とする抗生物質TAN−117
1またはその塩の製造法,および(3)ストレプトミセ
ス・チャートルイシス A−344に関する。
なお、本明細書において「抗生物質TAN−1171」を単
に「TAN−1171」と称することもある。
抗生物質TAN−1171の生産菌としては、抗生物質TAN−
1171を産生する能力を有するものであれば如何なる微生
物でも良いが、たとえば本発明者らが鹿児島県種子島の
土壌から分離し、ストレプトミセス・チャートルイシス
A−344(Streptomyces Chartreusis A−344)と名付
けた菌株またはそれに類縁の菌株などはもっとも有効に
用いられる一例である。以後本菌をA−344菌と略称す
ることもある。
該菌の形態的特徴および分類培地上の培養所見はたと
えば次のとおりである。
本菌においては通常の分類培地上で気菌糸が形成さ
れ、それらは単純分枝を示し、また胞子形成菌糸は螺旋
状を呈する。胞子は10個以上連鎖しており、その表面は
とげ状で、大きさは1.4〜1.8μm×0.8〜1.2μmであ
る。通常の分類培地上で胞子のう,鞭毛胞子,菌核など
の形成は認められない。
本菌の分類培地上の生育状態はつぎのとおりである。
とくに記載しない限り28℃で21日間観察した培養所見で
ある。なお、記載中( )内はカラー・ハーモニー・マ
ニュアル第4版(コンティナー・コーポレーション・オ
ブ・アメリカ1958年)による色名の記載である。
A−344菌の生理的性質は次のとおりである。
(1)生育温度範囲:13.2〜38.5℃で生育するが35〜35.
8℃でより良好な生育を示す。
(2)ゼラチンの液化:陽性 (3)スターチ加水分解:陽性 (4)脱脂牛乳の凝固・ペプトン化:陰性 (5)メラニン様色素の生成:陽性(ペプトン・イース
ト・鉄寒天培地およびトリプトン・イースト液体培地) (6)硝酸塩還元:陰性(インターナショナル・ストレ
プトミセス・プロジェクトNo.8培地) (7)炭素源の利用性(プリドハム・ゴットリーブ寒天
培地) よく利用される炭素源 イノシトール,D−マンニトール,D−グルコース,D−フ
ラクトース,ラフィノース 中程度に利用される炭素源 L−アラビノース,D−キシロース 利用されな炭素源 ラムノース,シュークロース A−344菌菌体の塩酸加水分解物中にはLL−ジアミノ
ピメリン酸が検出された。このことから本菌はストレプ
トミセス属に属すると考えられる。A−344菌の形態的
特徴,培養所見,生理的性質に基き既存の菌種との比較
を試みた結果、本菌をストレプトミセス・チャートルイ
シスと同定し、ストレプトミセス・チャートルイシス
A−344(Streptomyces Chartreusis A−344)と名付け
た。本発明に使用されるストレプトミセス・チャートル
イシス A−344は平成1年12月5日から財団法人発酵
研究所(IFO)に受託番号IFO 14976として、また平成
1年12月8から通商産業省工業技術院微生物工業技術研
究所(FRI)に受託番号FERM BP−2691としてそれぞれ寄
託されている。
ストレプトミセス属菌の一般的性状として菌学上の性
質はきわめて変異しやすく、ストレプトミセス・チャー
トルイシス A−344もその例外ではない。したがっ
て、本菌の性質も上述のとおりに一定のものではなく種
々の変異株が容易に得られる。しかしこれらの変異株に
あっても抗生物質TAN−1171を生産する性質を失わない
かぎり本発明の方法に使用することができる。もちろん
それらの変異が自然の原因に由来するものであっても各
種変異誘起剤(例えば紫外線,エックス線,放射線,ニ
トロソグアニジン等)を用いて人工的に行なわれたもの
であってもさしつかえない。
本発明の方法において培養に際しては、一般に微生物
が同化しうる炭素源、消化しうる窒素源および無機塩な
どを含有させた培地が使用される。また培地には必要に
応じて微量栄養素、発育促進物質,前駆物質などの微量
有効物質を添加してもよい。一般に微生物が同化しうる
炭素源としては、ぶどう糖,しょ糖,糖みつ,でんぷ
ん,デキストリン、グリセリンなどがあり、消化しうる
窒素源としては肉エキス,大豆粉,コーンスティープリ
カー、ペンプトン,カゼイン,綿実粕など、および硝酸
塩類,アンモニウム化合物などの無機窒素化合物などが
あり、それらはいずれも有効に利用される。培養は表面
培養法によってもよいが、深部通気培養法によるのが通
常である。深部通気培養法による場合、培地の性質は中
性付近にするのがよく、培養時の温度は20〜36℃付近、
好ましくは24〜30℃に保つのがよい。しかしこれらの培
養組成物,培地の液性,培養温度,攪拌数などの培養条
件は使用する菌株の種類や外部の条件などに応じて好ま
しい結果が得られるように適宜調節,選択されることは
いうまでもない。
本発明のTAN−1171を培養液から採取するには、後述
する実施例に示すように当該物質が水溶性良性物質であ
ることを考慮して、そのような微生物代謝産物を採取す
るのに通常用いられる分離・精製の手段が適宜利用され
る。例えば、夾雑物との溶解度の差を利用する方法,或
いはクロマトグラフィーなどが単独或いは組合わせて用
いられる。
クロマトグラフィーで用いられる担体としては、慣用
の無機及び有機の担体、例えば活性炭,ハイポーラス樹
脂,イオン交換樹脂,アルミナ,セルロース,イオン交
換セルロース,セファデックス,イオン交換セファデッ
クス等が利用される。
特に、化合物TAN−1171は水溶性両性物質であるの
で、イオン交換能を有する担体、例えばイオン交換樹
脂,イオン交換セファデックスなどが有効に用いられ
る。イオン交換樹脂としては、陽イオン交換樹脂,例え
ば,アンバーライトIR−120,IRC−50,CG−50(以上ロー
ム・アンド・ハース社製,米国),ダウエックス50W
(ダウ・ケミカル社製,米国)など、陰イオン交換樹
脂、例えばアンバーライトIRA−402,IRA−68(以上ロー
ム・アンド・ハース社製,米国)などが用いられ、又、
イオン交換セファデックスとしては例えばCM−セファデ
ックスC−25(ファルマシア社製,スウェーデン)など
が利用される。
更に具体的に培養液からTAN−1171を採取する方法を
例示すると、まず予め遠心分離或いは過等で分離して
得られた培養上清或いは培養液を、イオン交換樹脂ア
ンバーライトIR−120(アンモニウム型)のカラムに通
し、水洗した後、希アンモニア水で活性物質を溶出す
る。溶出液を濃縮してアンモニアを除去した後、更にア
ンバーライトIRC−50(H型)のカラムを通過させる。
カラムを水洗後、希アンモニア水で溶出し、活性画分を
集めて濃縮し、CM−セファデックスC−25(Na型)のカ
ラムクロマトグラフィーに対して、水で展開する。活性
画分を集めて濃縮,凍結乾燥すると、粗粉末が得られ
る。
得られた粗粉末を水にとかして更にCM−セファデック
スC−25(H型)のカラムに吸着させ、希塩化ナトリウ
ム水で展開し、活性画分を集めて濃縮する。濃縮液を脱
塩装置を用いて脱塩した後、凍結乾燥して中間精製粉末
を得る。
これを水にとかして再びCM−セファデックス(H型)
のカラムクロマトグラフィーに付し、希塩化ナトリウム
水で展開し、HPLCで単一ピークを示す画分を集めて濃縮
し、脱塩装置で脱塩後、凍結乾燥すると、TAN−1171
(遊離体)の精製粉末が得られる。
なお上記の単一ピークで示す画分を脱塩後、希塩酸で
pH3としてバイオゲルP−2(バイオラッド社,米国)
のカラムに通し、水で展開し、単一ピークを示す画分を
集めて濃縮、凍結乾燥すると、TAN−1171・塩酸塩の白
色粉末を得ることができる。
又、このようなカラムクロマトグラフィーで精製粉末
を得ることが困難な場合(含量が少なく、夾雑物が多い
場合)には、高速液体クロマトグラフィーを利用するこ
ともできる。
このようにして得られたTAN−1171遊離体の物理化学
的性状は次の通りである。
1)形状:白色粉末 2)比旋光度▲[α]26 D▼−95.4°(c=0.28,0.2N・
塩酸) 3)質量分析値(SI−MS法):m/z244 (M+H) 4)分子式:C10H17N3O4 5)元素分析値:(C10H17N3O4・H2Oとして) 計算値:C,45.97;H,7.33;N,16.08 実測値:C,46.26;H,7.54;N,16.03 6)紫外線吸収スペクトル:末端吸収(水溶液中) 7)赤外線吸収スペクトル(KBr錠法による;cm-1): 3410,3050,1665,1590,1390,1265,1110 (第1図参照) 8)1H核磁気共鳴スペクトル(300MHz,重水中): 5.90(1H,dq,J=5.9,2.2),5,56(1H,dq,J=5.8,2.2),
4.45(1H,d,J=4.7),4.11(1H,q,J=7.1),3.62(1H,d
t,J=7.8,3.2),3.23(1H,m),2.63(1H,ddq,J=17.9,
8.0,2.4),2.23(1H,br d,J=17.9),1.55(3H,d,J=7.
1) 9)13C核磁気共鳴スペクトル(75MHz,重水中でのケミ
カルシフト,δppm): 179.7(s),175.4(s),135.5(d),130.5(d),6
5.9(d),59.8(d),54.9(d),52.2(d),39.0
(t),20.3(q) 10)溶解性: 易溶:水 可溶:ジメチルスルホキシド 難溶:メタノール 11)薄層クロマトグラフィー(担体;シリカゲルガラス
プレート60F254,0.25mm,西独,メルク社製) 展開溶媒 Rf n−ブタノール−酢酸−水(2:1:1)0.32 アセトニトリル−水 (2:1)0.17 12)高速液体クロマトグラフィー: 担体:LiChrospher 100RP−18(e)5μm(メルク)4
×125mm 溶媒系:3%アセトニトリル/0.02Mリン酸緩衝液(pH5.
0)−0.005Mオクタンスルホン酸ナトリウム 流速:1.0ml/分 保持時間(tR):6.1分 13)呈色反応: 陽性;ニンヒドリン,エールリッヒ,バートン,グレイ
グ・リーバック,リンモリブデン酸試薬 陰性:坂口,ドラーゲンドルフ試薬 14)酸性,中性、塩基性の別:両性 又、TAN−1171は両性物質であるので、それ自体公知の
方法で、塩酸,硫酸,リン酸,ギ酸,酢酸,酒石酸,ク
エン酸等の無機或いは有機の酸と酸付加塩を、またナト
リウム塩,カリウム塩,カルシウム塩,トリエチルアミ
ン塩などの生理学的に許容される塩を形成させることが
できる。
例えば、実施例2の方法で得られた塩酸塩の物理化学
的性状は次の通りである。
1)形状:白色粉末 2)比旋光度▲[α]26 D▼−92.7°(c=0.47,0.2N・
塩酸) 3)質量分析値(SI−MS法):m/z 244 4)分子式:C10H17N3O4・HCl 5)元素分析値:(C10H17N3O4・HCl・H2Oとして) 計算値:C,40.34;H,6.77;N,14.11;Cl,11.91 実測値:C,40.53;H,6.65;N,14.32;Cl,12.28 6)紫外線吸収スペクトル:末端吸収(水溶液中) 7)赤外線吸収スペクトル(KBr錠法による;cm-1): 3400,2930,1670,1540,1385,1260,1210,1110,1000,795,7
20 (第2図参照) 8)1H核磁気共鳴スペクトル(300MHz,重水中): 5.93(1H,dq,J=5.9,2.1),5,61(1H,dq,J=5.9,2.1),
4.48(1H,d,J=5.4),4.12(1H,q,J=7.1),3.97(1H,d
t,J=8.2,3.3),3.56(1H,m),2.82(1H,ddq,J=18.5,
8.3,2.3),2.53(1H,br d,J=18.4),1.55(3H,d,J=7.
1) 9)13C核磁気共鳴スペクトル(75MHz,重水中でのケミ
カルシフト,δppm): 178.7(s),173.5(s),134.7(d),130.4(d),6
5.8(d),59.6(d),53.0(d),52.0(d),37.2
(t),19.4(q) 10)溶解性: 易溶:水 可溶:ジメチルスルホキシド 難溶:メタノール 11)薄層クロマトグラフィー(担体;シリカゲルガラス
プレート60F254,0.25mm,西独,メルク社製) 展開溶媒 Rf n−ブタノール−酢酸−水(2:1:1)0.32 アセトニトリル−水 (2:1)0.17 12)高速液体クロマトグラフィー 担体:LiChrospher 100RP−18(e) 5μm,4×125mm(メルク) 溶媒系:3%アセトニトリル/0.02Mリン酸緩衝液(pH5.
0)−0.005 Mオクタンスルホン酸ナトリウム 流速:1.0ml/分 保持時間(tR):6.1分 13)呈色反応: 陽性;ニンヒドリン,エールリッヒ,バートン,グレイ
グーリーバック,リンモリ ブデン酸試薬 陰性:坂口,ドラーゲンドルフ試薬 14)酸性,中性、塩基性の別:両性 化合物TAN−1171は酸加水分解により、アラニンと未
知のアミノ酸を生成し、又、他の物理化学的性状と合せ
て、新規なジペプチドと判断された。
次にTAN−1171の生物学的性状について述べる。
抗生物質TAN−1171の1000μg/ml水溶液に浸漬したろ
紙円板(東洋製作所製、直径8mm)を各種真菌の含菌寒
天平板にはりつけ、所定濃度で所定時間培養後、ろ紙円
板のまわりに生じた生育抑制円の直径を第1表に示す。
表中“0"は阻止円の認められなかったことを示す。用い
た培地は次のとおりである。
イースト・ナイトロゲン・ベース(ディフコ社、米
国)にグルコース2.0%,寒天1.5%添加 第1表に示すように抗生物質TAN−1171は、ある種の
真菌類に対して抗菌力を示す。
さらに、TAN−1171を投与量400mg/kgでマウスに腹腔
内投与しても急性毒性は全く認められなかった。
これらのデータから明らかなようにTAN−1171は真菌
に対して抗菌性を示し、哺乳動物などに毒性を示さない
抗生物質であると云える。したがってTAN−1171はヒト
および家畜、家きんなどの真菌感染症の治療に用いるこ
とが出来る。
この治療用に、TAN−1171は公知の製剤化技術に従っ
て種々の剤形の医薬組成物に処方して用いることができ
る。
TAN−1171をたとえばアスペルギルス感染症の治療薬
として通常用いるには、たとえばTAN−1171を生理的食
塩水に溶解して注射剤として非経口的に静脈内,皮下ま
たは筋肉内に通常1〜50mg/kg/日、好ましくは5〜20mg
/kg/日投与する。また経口剤として、抗生物質TAN−117
1を乳糖と混合してカプセル剤、あるいは公知の方法に
よって製造される糖衣錠とし、TAN−1171として通常1
〜100mg/kg/日、好ましくは5〜50mg/kg/日投与する。
また、本発明によって得られるTAN−1171は、外用殺
菌剤として用いることができる。たとえばTAN−1171を
通常0.1〜10W/V%,好ましくは0.5〜5W/V%の濃度で蒸
留水などに溶解した液剤、またはワセリン,ラノリンを
基剤とし、1gあたりTAN−1171を通常0.2〜100mg、好ま
しくは1〜20mg含有する軟膏剤として、ヒトおよび動物
の皮膚あるいは粘膜などの殺菌、消毒に用いることがで
きる。
抗生物質TAN−1171はまた新しい医薬品の合成中間体
としても有望な化合物である。
実施例 次に実施例をもってさらに詳細に本発明を説明する
が、これによって本発明が限定されるものではない。パ
ーセントは、特にことわりのないかぎり重量/容量%を
示す。
実施例1 3l容量の坂口コルベンにグルコース2.0%,可溶性デ
ンプン3.0%,コーン・スチープ・リカー1.0%,脱脂大
豆粉1.0%,ペプトン0.5%,塩化ナトリウム0.3%,炭
酸カルシウム0.5%(pH7調整)からなる培地500mlを注
入後滅菌し、これにストレプトミセス・チャートルイシ
ス A−344(IFO 14976,FERM P−2691)の斜面培養か
ら1白金耳を接種したのち120往復/分の往復振盪機上2
8℃で48時間培養した。50l容量のステンレスタンクに上
記培地組成にアクトコール(消泡剤,武田薬品工業社
製、日本)0.05%加えた培地30lを調製,滅菌し、先に
培養した坂口コルベンの全培養液500mlをこれに接種し
て通気量30l/分,攪拌数280rpmで28℃,48時間深部培養
を行い種培養液を得た。
200l容量のステンレスタンクにグルコース0.5%,デ
キストリン5%,脱脂綿実粉3.5%,炭酸カルシウム0.7
%(pH6.5)からなる培地120lを調製滅菌したものに前
記種培養液6lを接種し、通気量120l/分,攪拌数180rpm
で28℃,90時間培養を行った。
実施例2 実施例1で得られた培養液(100l)をpH3として、ハ
イフロスーパーセル(Johns−Manville社,米国)をろ
過助剤として用いてろ過して得られた液(83l)を再
びpH3に調整して、アンバーライトIR−120(NH4 +型,10
l:ローム・アンドハース社,米国)のカラムに通した。
カラムを水洗(30l)した後、0.2N−アンモニア水(50
l)で溶出した。
溶出液を濃縮してアンモニアを除去した後、アンバー
ライトIRC−50(H+型,5l)のカラムを通過させた。カラ
ムを水洗(15l)した後、0.5N−アンモニア水(40l)で
溶出し、後半の20lのみ集めて1/20迄濃縮した。濃縮後
(1)のpHを6に調整してCM−セファデックスC−25
(Na+型,3l,ファイルマシア社,スウェーデン)のカラ
ムクロマトグラフィーに付し、水で展開して200ml宛分
画した。フラクションNo.8〜15(1.6l)を集めて濃縮し
た後、凍結乾燥して粗粉末13.9gを得た。このうち13gを
150mlの水に溶解して、CM−セファデックスC−25(H+
型,1.2l)のカラムに通し、水洗(3.6l)した後、0.02N
−塩化ナトリウム水溶液で展開し、200ml宛分画した。
フラクションNo.33〜45(2.6l)を集めて、50ml迄濃
縮し、脱塩装置マイクロアシライザーG1(アシプレック
ス カートリッジ,AC−110−10,旭化成工業社,日本)
を用いて脱塩した後、凍結乾燥して粗粉末1.14gを得
た。
このうち500mgを10mlの水に溶解し、再びCM−セファ
デックス(H+型,100ml)のカラムクロマトグラフィーに
付し、水洗(300ml)した後、0.02M塩化ナトリウム水で
展開し、10ml宛分画した。フラクションNo.24〜50(270
ml)を集めて濃縮し、うち半量を4℃の低温室でマイク
ロアシライザーG1を用いて完全脱塩した後凍結乾燥する
と、TAN−1171の白色粉末(17.7mg)が得られた。
上記濃縮液の残りの半量をマイクロアシライザーで脱
塩した後、pHを希塩酸で3として低温室内(4℃)で、
バイオゲルP−2(500ml,バイオラッド社,米国)のカ
ラムに通し、水で展開し10ml宛分画した。フラクション
No.40〜44(50ml)を集め、濃縮後凍結乾燥すると、TAN
−1171の塩酸塩の白色粉末(38.3mg)が得られた。
発明の効果 本発明の新規抗生物質TAN−1171およびその塩は、真
菌に抗菌作用を示し、たとえばヒトおよび他の動物に経
口的,非経口的または外用的に投与することによってこ
れらの真菌感染症の治療に有利に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
第1図はTAN−1171遊離体の赤外線吸収スペクトルを、
第2図はTAN−1171・塩酸塩の赤外線吸収スペクトルを
それぞれ示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C12R 1:465) (C12P 21/00 C12R 1:465) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C07K 4/00 - 4/12 C12P 21/00 - 21/02 BIOSIS(DIALOG) WPI(DIALOG)

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】遊離体として次の物理化学的性質を有し、
    抗真菌作用を有する抗生物質TAN−1171、またはその
    塩。 1)形状:白色粉末 2)分子式:C10H17N3O4 3)紫外線吸収スペクトル:末端吸収(水溶液中) 4)1H核磁気共鳴スペクトル(300MHz,重水中でのケミ
    カルシフト,δppm): 5.90(1H,dq,J=5.9,2.2),5,56(1H,dq,J=5.8,2.2),
    4.45(1H,d,J=4.7),4.11(1H,q,J=7.1),3.62(1H,d
    t,J=7.8,3.2),3.23(1H,m),2.63(1H,ddq,J=17.9,
    8.0,2.4),2.23(1H,brd,J=17.9),1.55(3H,d,J=7.
    1) 5)13C核磁気共鳴スペクトル(75MHz,重水中でのケミ
    カルシフト,δppm): 179.7(s),175.4(s),135.5(d),130.5(d),6
    5.9(d),59.8(d),54.9(d),52.2(d),39.0
    (t),20.3(q) 6)赤外線吸収スペクトル(KBr錠法による;cm-1): 3410,3050,1665,1590,1390,1265,1110
  2. 【請求項2】ストレプトミセス属に属し、請求項1記載
    の抗生物質TAN−1171を生産する能力を有する微生物を
    培地に培養し、培養物中に請求項1記載の抗生物質TAN
    −1171を生成、蓄積せしめ、これを採取することを特徴
    とする請求項1記載の抗生物質TAN−1171またはその塩
    の製造法。
  3. 【請求項3】ストレプトミセス・チャートルイシス A
    −344(FERM P−2691)。
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