JP2714665B2 - 抗生物質tan−950aおよびその製造法 - Google Patents

抗生物質tan−950aおよびその製造法

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Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は真菌感染症の治療剤として有用な新規抗生物
質TAN-950Aおよびその塩、それらの製造法ならびにTAN-
950A生産菌に関する。
従来の技術 本発明の新規抗生物質TAN-950Aはその物理化学的およ
び生物学的データなどから新規アミノ酸系抗生物質であ
り、このような抗真菌性抗生物質は未だ報告されていな
い。
発明が解決しようとする課題 真菌によって惹起される疾病は抗生物質投与による治
療法の発達によってかなり克服されている。しかし、従
来の抗生物質は毒性(副作用)が強いものが多く、また
それらを長期あるいは大量に投与することによる起因菌
の変化(菌交代現象)あるいは耐性菌の出現(耐性化現
象)などは現在の真菌感染症治療医学分野で大きな問題
となっている。これらの問題を克服するために、当分野
では、常に毒性(副作用)が弱く、新規骨格を有し、新
しい生物活性を示す抗生物質、あるいはそれらを合成す
るための中間原料が求められている。
課題を解決するための手段 本発明者らは、新規な抗生物質の探索を目的として多
数の微生物を土壌より分離し、その生産する抗生物質を
分離探索したところ、ある種の微生物が新規な抗生物質
を生産すること、該微生物がストレプトミセス属に属す
る菌種であること、該微生物を適宜の培地に培養するこ
とによって真菌に対して抗菌力を示す抗生物質を培地中
に蓄積しうることなどを知り、この抗生物質を単離し、
その物理化学的および生物学的諸性質から、当該抗生物
質が新規な抗生物質であることを確かめ、これを抗生物
質TAN-950Aと称することにした。
本発明者らは、これらの知見に基づいてさらに研究を
重ねた結果、本発明を完成した。
本発明は、(1)抗生物質TAN-950Aまたはその塩、
(2)ストレプトミセス(Streptomyces)属に属し、抗
生物質TAN-950Aを生産する能力を有する微生物を培地に
培養し、培養物中に該抗生物質を生成蓄積せしめ、これ
を採取することを特徴とする抗生物質TAN-950Aまたはそ
の塩の製造法、(3)抗生物質TAN-950Aを生産する能力
を有するストレプトミセス・プラテンシスA-136および
(4)抗生物質TAN-950Aを含有してなる真菌感染症治療
剤に関する。
なお、本明細書において「抗生物質TAN-950A」を単に
「TAN-950A」と称することもある。
抗生物質TAN-950Aの生産菌としては、抗生物質TAN-95
0Aを産生する能力を有するものであれば如何なる微生物
でも良いが、たとえば本発明者らが分離し、ストレプト
ミセス・プラテンシスA-136(Streptomyces platensis
A-136)と名付けた菌株またはそれに類縁の菌株などは
もっとも有効に用いられる一例である。以後本菌をA-13
6菌と略称することもある。
該菌の形態的特徴および分類培地上の培養所見はたと
えば次のとおりである。
本菌においては通常の分類培地上で気菌糸が形成さ
れ、それらは単純分枝を示し、また胞子形成菌糸は螺旋
状を呈する。胞子は10個以上連鎖しており、その表面は
平滑で、大きさは0.8〜1.2μm×0.9〜1.3μmである。
通常の分類培地上で胞子のう,鞭毛胞子,菌核などの形
成は認められない。
本菌の分類培地上の生育状態はつぎのとおりである。
とくに記載しない限り28℃で21日間観察した培養所見で
ある。なお、記載中( )内はカラー・ハーモニー・マ
ニュアル第4版(コンティナー・コーポレーション・オ
ブ・アメリカ1958年)による色名の記載である。
A-136菌の生理的性質は次のとおりである。
(1)生育温度範囲:10〜36℃で生育するが28〜32℃で
より良好な生育を示す。
(2)ゼラチンの液化:陽性 (3)スターチ加水分解:陽性 (4)脱脂牛乳の凝固・ペプトン化:陰性 (5)メラニン様色素の生成:陰性(ペプトン・イース
ト・鉄寒天培地およびチロシン寒天培地) (6)硝酸塩還元:陰性(インターナショナル・ストレ
プトミセス・プロジェクトNo.8培地) (7)炭素源の利用性(プリドハム・ゴットリーブ寒天
培地) よく利用される炭素源 イノシトール,D−マンニトール,D−キシロース,D−グ
ルコース,D−フラクトース,ラフィノース 中程度に利用される炭素源 L−アラビノース 利用されない炭素源 ラムノース,シュークロース A-136菌菌体の塩酸加水分解物中にはLL−ジアミノピ
メリン酸が検出された。このことから本菌はストレプト
ミセス属に属すると考えられる。A-136菌の形態的特
徴,培養所見,生理的性質に基き既存の菌種との比較を
試みた結果、本菌をストレプトミセス・プラテンシスと
同定し、ストレプトミセス・プラテンシスA-136(Strep
tomyces platensis A-136)と名付けた。本発明に使用
されるストレプトミセス・プラテンシスA-136は昭和62
年4月22日から財団法人発酵研究所(IFO)に受託番号I
FO 14603として寄託されている。また該微生物は昭和62
年4月30日から通商産業省工業技術院微生物工業技術研
究所(FRI)に受託番号FERM P-9358として寄託され、該
寄託がブダペスト条約に基づく寄託に切換えられて受託
番号FERM BP-1786として同研究所に保管されている。
本発明においては、上記菌以外に公知菌株ストレプト
ミセス・ハイグロスコピクス(Streptomyces hygroscop
icus)A-300(FERM P-1312),ストレプトミセス・ハイ
グロスコピクス・サブスピーシス・アウグストミセティ
クス(Streptomyces hygroscopicus subsp.augustmycet
icus)IFO 3934およびIFO 3935,ストレプトミセス・ハ
イグロスコピクス・サブスピーシス・ハイグロスコピク
ス(Streptpomyces subsp.hygroscopicus)IFO 14102等
を用いてもよい。
ストレプトミセス属菌の一般的性状として菌学上の性
質はきわめて変異しやすく、ストレプトミセス・プラテ
ンシスA-136もその例外ではない。したがって、本菌の
性質も上述のとおりに一定のものではなく種々の変異株
が容易に得られる。しかしこれらの変異株にあっても抗
生物質TAN-950Aを生産する性質を失わないかぎり本発明
の方法に使用することができる。もちろんそれらの変異
が自然の原因に由来するものであっても各種変異誘起剤
(例えば紫外線,エックス線,放射線,ニトロソグアニ
ジン等)を用いて人工的に行なわれたものであってもさ
しつかえない。
本発明の方法において培養に際しては、一般に微生物
が同化しうる炭素源、消化しうる窒素源および無機塩な
どを含有させた培地が使用される。また培地には必要に
応じて微量栄養素,発育促進物質,前駆物質などの微量
有効物質を添加してもよい。一般に微生物が同化しうる
炭素源としてはぶどう糖,しょ糖,糖みつ,でんぷん,
デキストリン,グリセリンなどがあり、消化しうる窒素
源としては肉エキス,大豆粉,コーンスティープリカ
ー,ペプトン,カゼイン,綿実粕など、および硝酸塩
類,アンモニウム化合物などの無機窒素化合物などがあ
り、それらはいずれも有効に利用される。培養は表面培
養法によってもよいが、深部通気培養法によるのが通常
である。深部通気培養法による場合、培地の性質は中性
付近にするのがよく、培養時の温度は20〜36℃付近、好
ましくは24〜30℃に保つのがよい。しかしこれらの培養
組成物,培地の液性,培養温度,攪拌数などの培養条件
は使用する菌株の種類や外部の条件などに応じて好まし
い結果が得られるように適宜調節,選択されることはい
うまでもない。
培養物から目的とする抗生物質TAN-950Aを採取するに
は微生物の生産する代謝物をその微生物培養物から採取
するのに通常使用される分離手段が適宜利用される。た
とえば抗生物質TAN-950Aは水溶性両性物質の性質を示
し、主として培養ろ液中に含まれるので、まず培養液に
ろ過補助剤を加えてろ過、あるいは遠心分離によって菌
体を除去し、得られた培養ろ液を適宜担体に接触させて
ろ液中の有効成分を吸着させ、ついで適宜の溶媒で有効
物質を脱着させ、分別採取する手段が有利に利用され
る。クロマトグラフィーの担体としては活性炭、シリカ
ゲル、粉末セルロース、吸着性樹脂など化合物の吸着性
の差を利用、またはイオン交換樹脂、イオン交換セルロ
ース、イオン交換セファデックスなど化合物の官能基の
差を利用、あるいは分子ふるい性担体類など化合物の分
子量の差を利用するもの等が有利に用いられる。これら
担体から目的とする化合物を溶出するためには担体の種
類、性質によって組み合わせが異なるが、たとえば水溶
性有機溶媒の含水溶液すなわち、含水アセトン、含水ア
ルコール類など、あるいは酸、アルカリ、緩衝液もしく
は無機あるいは有機塩を含む水溶液などが適宜組み合わ
せて用いられる。
さらに詳しくは、担体として陽イオン交換樹脂たとえ
ばアンバーライトIR-120(ローム・アンド・ハース社
製、米国),ダウエックス50W(ダウ・ケミカル社製、
米国),ダイヤイオンSK1A(三菱化成社製、日本)また
は陰イオン交換樹脂たとえばアンバーライトIRA-402,IR
A-68(ローム・アンド・ハース社製、米国),ダウエッ
クス1(ダウ・ケミカル社製、米国),ダイヤイオンSA
10B,PA-404,WA-30(三菱化成社製、日本)などを用いる
とろ液中の本抗生物質が吸着され、塩,アルカリあるい
は酸含有の水溶液あるいは緩衝液などで溶出される。ま
た、イオン交換分子ふるい性樹脂たとえばQAEまたはCM
−セファデックス(ファルマシア社製、スウェーデン)
などの担体に本抗生物質を吸着せしめ、塩類,アルカリ
あるいは酸含有の水溶液あるいは緩衝液などによって溶
出させることが出来る。これらの溶出液中の塩類、着色
物質などを取り除くためにはクロマト用活性炭(武田薬
品工業社製、日本),吸着性樹脂たとえばダイヤイオン
HP-20,SP-207(三菱化成社製、日本),アンバーライト
XAD-II(ローム・アンド・ハース社製、米国),分子ふ
るい性樹脂セファデックス(ファルマシア社製、スウェ
ーデン)あるいは結晶セルロース(旭化成社製、日本)
などが有利に用いられる。またろ液中あるいは溶出液中
の脂溶性物質などを取り除くために活性炭あるいは吸着
性樹脂などのカラム中を通過させる、あるいは水と混和
しない有機溶媒、たとえばジクロロメタン,酢酸エチ
ル,メチルイソブチルケトンなどでこれらを除去するこ
となども適宜組合わせて行われる。
さらに化合物を最終的に精製する場合に分取用高速液
体クロマトグラフィー(HPLC)法も有利に用いられる。
この方法を適用する場合、担体としては逆相系樹脂たと
えばYMCゲル(山村化学研究所製、日本)あるいはTSKゲ
ル(東洋曹達工業社製、日本)などが用いられ、移動相
としては緩衝液にイオン・ペアード試薬たとえばテトラ
ブチルアンモニウムハイドライドなどを添加した溶媒系
などを用いる。
以上のようにして精製、分画された溶出区分は濃縮、
凍結乾燥あるいは晶出などの工程を経てTAN-950Aを粉末
化あるいは結晶化することが出来る。
TAN-950Aはモノナトリウム塩として単離されたが、こ
の化合物の遊離体は次のようにして調製される。すなわ
ちTAN-950Aモノナトリウム塩を水に溶かし、1当量の塩
酸を加え、結晶セルロースのカラムクロマトグラフィー
に付し、含水アルコール類たとえばメタノール水、プロ
パノール水などで溶出すると、TAN-950A(遊離体)が得
られる。また抗生物質含有溶液をアンバーライトIR-120
(H+型)等のカラムクロマトグラフィーに付し、アンモ
ニア水等で溶出する方法も適宜用いられる。遊離体から
薬理学的に許容される塩(例えば、カリウム塩,カルシ
ュウム塩等)を調製するには自体公知の方法によって行
われる。
培養ろ液を酢酸エチルで処理し、水層をキャンディダ
・アルビカンスを用いたTLC−バイオオートグラフィー
に付すと[担体:セルロースf,東京化成社製,溶媒系:
アセトニトリル:水(3:1)],2個の阻止ゾーンが検出
され、1個はTAN-950Aのそれと一致した[Rf=0.16
(A)]し、もう一方はRf=0.44を示した[TAN-950Bと
仮称]。Aのスポットは254nmのUVランプで検出された
が、Bのスポットは検出不可能であった。一方IR-120B
クロマトグラフィーの溶出液をHPLC[担体:YMC-Pack AM
324(山村化学研究所製、日本、移動相:0.005Mテトラブ
チルアンモニウム・ハイドライド/0.02Mリン酸緩衝液
(pH6.0)、流速:2ml/分)]に付すと214nmの検出器で
主として2本のピークが認められ、1個はTAN-950Aのそ
れと一致(Rt=4.8分)し、もう1個はRt=5.0分を示し
た。このHPLCの溶出画分をろ液の場合と同様のTLC−バ
イオオートグラフィーに付すと、Rt=4.8のピーク溶出
画分はAのRf値と、Rt=5.0のピーク画分はBのそれと
一致した。精製されたTAN-950Aを0.05Mリン酸緩衝液(p
H7.0)に溶解し(1mg/ml),60℃で加温,HPLCのピーク高
で経時変化を調べると、30分後ではTAN-950Aは25%減少
し、Bは20%増加、2時間後ではAは34%減少し、Bは
28%増加した。またTAN-950Bを単離するためにQAE−セ
ファデックスA-25カラムクロマトグラフィー(後述の実
施例2参照)の溶出液中、AとBがほぼ同程度混在して
いる画分を集め、濃縮すると、濃縮液中にはBがほとん
ど認められず、Bの減少にほぼ見合う量のAの増加が認
められた。以上述べた事実からろ液中にはTAN-950Aと容
易に相互変換する抗真菌物質TAN-950Bの存在が示唆され
た。
また、TAN-950Aにはアミノ基が存在しており、この官
能基をアシル化することが出来る。N−アシル化は自体
公知の方法で行われるが、たとえばベンゾイル化の場
合、TAN-950Aをアルカリ性水溶液たとえば2%炭酸水素
ナトリウム溶液にとかし、2〜3モルのベンゾイルクロ
ライドを反応させることによって行なわれる。
後記する実施例2で得られるTAN-950A(モノナトリウ
ム塩)の物理化学的性状はつぎのとおりである。
1)外観:白色固体 3)元素分析値(%) 実測値 計算値 C, 33.46 C, 33.97 H, 4.31 H, 4.28 N, 12.72 N, 13.21 O, 37.82 Na,11.0 Na,10.66 (水分1モルを含むとして計算) 4)測定分子量値:SI-MS法による m/z 195(M+H), 217(M+Na), 239(M+2Na), 5)分子式:C6H7N2O4Na 6)UVスペクトル:水中(第1図参照) (N/10HCl中) (N/10NaOH中) 7)IRスペクトル:KBr錠剤中(第2図参照)、主な波数
(cm-1) 3430,1640,1500,1410,1350,1180,1070,930,870,810,75
0,610,530 8)-1H-NMRスペクトル:400MHz,重水中(第3図参照) 下記のシグナルが認められる(δppm(Hz)) 2.70(1H,dd,J=7.3,15.6), 2.80(1H,dd,J=4.4,15.6), 3.86(1H,dd,J=4.4,7.3), 7.98(1H,s) (ただし、dd:ダブルダブレット,s:シングレット) 9)13C-NMRスペクトル:100MHz,重水中(第4図参
照)、下記のシグナルが認められる(δppm) 180.6(s),177.1(s),158.5(d),82.9(s),58.
5(d),26.5(t) (ただし、s:シングレット,d:ダブレット,t:トリプレ
ット) 10)溶解性: 可溶:水、ジメチルスルフォキサイド、メタノール 難溶:酢酸エチル、アセトン、クロロフォルム 11)呈色反応: 陽性:ニンヒドリン,エールリッヒ(酸性),リンモ
リブデン酸,ジメチルアミノベンツアルデヒド反応 陰性:グレーグ・リーバック,ドラーゲンドルフ反応 12)薄層クロマトグラフィー(TLC): 13)高速液体クロマトグラフィー(HPLC):担体;YMC-P
ack AM-324、山村化学研究所製、移動相;0.005Mテトラ
ブチルアンモニウムハイドライド/0.02Mリン酸緩衝液
(pH6.0)、流速:2ml/min.;Rt=4.8(min.) 14)物質区分:両性物質 15)アミノ酸分析:TAN-950Aを6NHCl中、16時間、110℃
で加温後、アミノ酸分析に付すと、グルタミン酸が検出
された。
以上のデータおよびNMRスペクトルの詳細な検討によ
り、TAN-950Aは下記構造式と決定された。
次にTAN-950Aの生物学的性状について述べる。
抗生物質TAN-950A(モノナトリウム塩)の1000μg/ml
水溶液に浸漬したろ紙円板(東洋製作所製、直径8mm)
を各種真菌および細菌の含菌寒天平板にはりつけ、所定
濃度で所定時間培養後、ろ紙円板のまわりに生じた生育
抑制円の直径を第1表に示す。表中“0"は阻止円の認め
られなかったことを示す。用いた培地は次のとおりであ
る。
A:サブロー・デキストロース・寒天培地 B:イースト・ナイトロゲン・ベース寒天培地(ディフコ
社、米国)にL−アスパラギン0.17%添加 C:トリプチカーゼ・ソイ・アガー(ベクトン ディッキ
ンソン社、米国) D:イースト・ナイトロゲン・ベース寒天培地(ディフコ
社、米国)にグルコース2%および寒天1.5%を添加 第1表に示すように抗生物質TAN-950Aはある種の真菌
類に対して抗菌力を示す。
またTAN-950Aモノナトリウム塩の実験的マウス感染症
における治療効果は第2表に示すとおりである。
さらに、TAN-950A(モノナトリウム塩)を投与量4000
mg/kgでマウスに静注,皮下,腹腔内あるいは経口投与
しても急性毒性は全く認められなかった。
これらのデータから明らかなようにTAN-950Aは真菌に
対して抗菌性を示し、哺乳動物などに毒性を示さない抗
生物質であると云える。したがってTAN-950Aはヒトおよ
び家畜、家きんなどの真菌感染症の治療に用いることが
出来る。
この治療用に、TAN-950Aは公知の製剤化技術に従って
種々の剤形の医薬組成物に処方して用いることができ
る。
TAN-950Aをたとえばキャンデイダ感染症の治療薬とし
て通常用いるには、たとえばTAN-950Aを生理的食塩水に
溶解して注射剤として非経口的に静脈内,皮下または筋
肉内に通常1〜50mg/kg/日、好ましくは5〜20mg/kg/日
投与する。また経口剤として、抗生物質TAN-950Aを乳糖
と混合してカプセル剤、あるいは公知の方法によって製
造される糖衣錠とし、TAN-950Aとして通常1〜100mg/kg
/日、好ましくは5〜50mg/kg/日投与する。
また、本発明によって得られるTAN-950Aは、外用殺菌
剤として用いることができる。たとえばTAN-950Aを通常
0.1〜10W/V%,好ましくは0.5〜5W/V%の濃度で蒸留水
などに溶解した液剤、またはワセリン,ラノリンを基剤
とし、1gあたりTAN-950Aを通常0.2〜100mg、好ましくは
1〜20mg含有する軟膏剤として、ヒトおよび動物の皮膚
あるいは粘膜などの殺菌、消毒に用いることができる。
抗生物質TAN-950Aはまた新しい医薬品の合成中間体と
しても有望な化合物である。
以上述べた化学的および生物学的諸性質から明らかな
ごとく、TAN-950Aは新規抗生物質である。
実施例 次に実施例をもってさらに詳細に本発明を説明する
が、これによって本発明が限定されるものではない。パ
ーセントは、特にことわりのないかぎり重量/容量%を
示す。なおHPLCは前記と同様の条件下で行った。
実施例1 3l容量の坂口コルベンにグルコース2.0%,可溶性デ
ンプン3.0%,コーン・スチープ・リカー1.0%,脱脂大
豆粉1.0%,ペプトン0.5%,塩化ナトリウム0.3%,炭
酸カルシウム0.5%(pH7調整)からなる培地500mlを注
入後滅菌し、これにストレプトミセス・プラテンシスA-
136(IFO 14603,FERM BP-1786)の斜面培養から1白金
耳を接種したのち120往復/分の往復振盪機上28℃で48
時間培養した。50l容量のステンレスタンクに上記培地
組成にアクトコール(消泡剤,武田薬品工業社製、日
本)0.05%加えた培地30lを調製,滅菌し、先に培養し
た坂口コルベンの全培養液500mlをこれに接種して通気
量30l/分,攪拌数280rpmで28℃,48時間深部培養を行い
種培養液を得た。
200l容量のステンレスタンクにグルコース0.5%,デ
キストリン5%,脱脂大豆粉3.5%,炭酸カルシウム0.7
%(pH7.0)からなる培地120lを調製滅菌したものに前
記種培養液6lを接種し、通気量120l/分,攪拌数200rpm
で28℃,90時間培養を行った。
実施例2 実施例1によって得られた培養液(100l)をpH8.0に
調整後、ハイフロスーパーセル(ジョンズ・マンビル社
製;米国)を加えて、ろ過しろ液(85l)を得た。ろ液
をpH3に調整後、酢酸エチル(40l)を加えて攪拌後、酢
酸エチル層を除いた。得られた水層を濃縮、濃縮液(50
l)をpH5に調整後アンバーライトIR-120(H+型,8l)の
カラムクロマトグラフィーに付した。抗生物質を2%ア
ンモニア水で溶出し、溶出液(40l)を濃縮後、濃縮液
(18l)をダイヤイオンHP-20(8l)のカラム中を通過さ
せ、水洗(12l)した。通過液と水洗液を合わせて濃縮
後、濃縮液(3.3l)をダイヤイオンSP-207(2l)のカラ
ムクロマトグラフィーに付し、水で溶出、分画した。抗
生物質を含む画分を集め(4l),QAE−セファデックスA-
25(Cl-,2.5l)のカラムクロマトグラフィーに付し、0.
02〜0.04M食塩水で溶出、分画した。活性区分を集め(5
l)、濃縮後、濃縮液(0.4l)を結晶セルロース(旭化
成社製、日本)のクロマトグラフィーに付した。アセト
ニトリル:水(9:1〜4:1)の溶媒系で溶出、分画した。
HPLCで単一ピークを示す画分を集め濃縮し、白色粉末の
TAN-950Aモノナトリウム塩(2.59g)を得た。
実施例3 200ml容量のエルレンマイヤーフラスコ10本にグルコ
ース2.0%,可溶性デンプン3.0%,コーン・スチープ・
リカー1.0%,脱脂大豆粉1.0%,ペプトン0.5%,塩化
ナトリウム0.3%,炭酸カルシウム0.5%からなる培地
(pH7調整)を40mlずつ注入後、滅菌し、これにストレ
プトミセス・ハイグロスコピクスA-300(FERM P-1312
号)の斜面培養から1白金耳ずつ接種し、200回転/分
の回転振盪機上、28℃で48時間培養し、これをあわせて
種培養液とした。
一方、グリセリン5%,プロフロ(脱脂綿実粉,米国
トレイダース・オイル・ミル・カンパニー社製)3.5
%,沈降性炭酸カルシウム0.7%からなる培地(pH7)5l
を調製後、200ml容量のエルレンマイヤーフラスコ1本
当り40mlずつ注入し、滅菌した。冷却後フラスコ1本当
り上記種培養液を2mlずつ接種し、200回転/分の回転盪
機上、28℃で5日間培養を行った。
得られた培養液をろ過し、ろ液(4.3l)を得た。ろ液
をpH3に調整後、酢酸エチル(2l)を加え、30分間攪拌
した。ろ過後分別された水層をさらに酢酸エチル(1.5
l)で洗滌し、水層ろ液(4.2l)を得た。この水層ろ液
をアンバーライトIR-120(H+型,1)のカラムクロマト
グラフィーに付し、活性成分を2%アンモニア水で溶出
した。溶出液(5l)を濃縮後、濃縮液をダイヤイオンSP
-207(0.3l)のカラムクロマトグラフィーに付し、水で
溶出した。抗菌活性区分(350ml)をQAE−セファデック
ス(Cl-型,100ml)のカラムクロマトグラフィーに付
し、0.02〜0.03M食塩水で溶出分画した。活性画分(100
ml)を結晶セルロース(70ml)のカラムクロマトグラフ
ィーに付し、アセトニトリル(85〜70):水(15〜30)
の溶媒系で抗菌物質を溶出分画した。ついで分析用HPLC
でTAN-950Aのみを含む画分を集め、濃縮、凍結乾燥し
た。得られた粉末(180mg)はTAN-950A(ナトリウム
塩)の標品と物理化学的性状が一致した。
また、ストレプトミセス・ハイグロスコピクス・サブ
スピーシス・ハイグロスコピクス(Streptomyces hygro
scopics subsp.hygroscopicus)IFO 14012を上記と同様
の条件で4日間培養した。培養ろ液(2.8l)を上記と同
様の方法で精製し、TAN-950A(ナトリウム塩)(302m
g)が得られた。
発明の効果 本発明の新規抗生物質TAN-950Aおよびその塩は、真菌
に抗菌作用を示し、たとえばヒトおよび他の動物に経口
的,非経口的または外用的に投与することによってこれ
らの真菌感染症の治療に有利に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は実施例2で得られた抗生物質TAN-950A(モノナ
トリウム塩)の紫外部吸収スペクトル(水中)、第2図
は赤外部吸収スペクトル(KBr法)、第3図は1H核磁気
共鳴スペクトル(400MHz、重水中)、第4図は13C核磁
気共鳴スペクトル(100MHz,重水中)をそれぞれ示す。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C12R 1:585) (C12P 17/14 C12R 1:585)

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】式 で表されるアミノ酸系抗生物質TAN-950Aまたはその塩。
  2. 【請求項2】ストレプトミセス属に属し、抗生物質TAN-
    950Aを生産する能力を有する微生物を培地に培養し、培
    養物中に抗生物質TAN-950Aを生成蓄積せしめ、これを採
    取することを特徴とする抗生物質TAN-950Aまたはその塩
    の製造法。
  3. 【請求項3】抗生物質TAN-950Aを生産する能力を有する
    ストレプトミセス・プラテンシスA-136。
  4. 【請求項4】抗生物質TAN-950Aを含有してなる真菌感染
    症治療剤。
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