JPH0517855A - 導電用高耐熱性アルミニウム合金の製造方法 - Google Patents
導電用高耐熱性アルミニウム合金の製造方法Info
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- JPH0517855A JPH0517855A JP22510591A JP22510591A JPH0517855A JP H0517855 A JPH0517855 A JP H0517855A JP 22510591 A JP22510591 A JP 22510591A JP 22510591 A JP22510591 A JP 22510591A JP H0517855 A JPH0517855 A JP H0517855A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 導電率が59%以上,連続使用温度が230
℃で、所定の強度を有する導電用高耐熱性Al合金(X
TAl)を効率よく製造する方法を提供する。 【構成】 Al−Zr系合金にFe,Si,Beを所定
量含有させたAl合金を750℃以上の温度で鋳造し
て、Zrが強制固溶した鋳塊となし、この鋳塊を所定温
度で熱間加工して、鋳造組織と巨大晶出物が破壊・粉砕
され且つZrの析出サイトとなる転位が増殖した荒引線
となし、この荒引線に時効処理を施してZrを前記転位
上に均一微細に析出させ、次いでこの荒引線を冷間加工
後、加熱処理して残存する固溶Zrを析出させて、導電
率,引張り強さ,耐熱性がバランスした導電用高耐熱性
Al合金を製造する。Zrは、Si及びBeの析出促進
作用により比較的短時間の時効処理及び加熱処理により
均一微細に析出する。
℃で、所定の強度を有する導電用高耐熱性Al合金(X
TAl)を効率よく製造する方法を提供する。 【構成】 Al−Zr系合金にFe,Si,Beを所定
量含有させたAl合金を750℃以上の温度で鋳造し
て、Zrが強制固溶した鋳塊となし、この鋳塊を所定温
度で熱間加工して、鋳造組織と巨大晶出物が破壊・粉砕
され且つZrの析出サイトとなる転位が増殖した荒引線
となし、この荒引線に時効処理を施してZrを前記転位
上に均一微細に析出させ、次いでこの荒引線を冷間加工
後、加熱処理して残存する固溶Zrを析出させて、導電
率,引張り強さ,耐熱性がバランスした導電用高耐熱性
Al合金を製造する。Zrは、Si及びBeの析出促進
作用により比較的短時間の時効処理及び加熱処理により
均一微細に析出する。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、導電率,強度,耐熱性
に優れた導電用高耐熱性アルミニウム合金を短時間で効
率よく製造する方法に関する。
に優れた導電用高耐熱性アルミニウム合金を短時間で効
率よく製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】架空送電線には、一般に鋼線の周囲に電
気用アルミ線を撚合わせた鋼芯アルミ撚線が用いられて
いる。特に耐熱性が要求される所には、電気用アルミ線
に代えてAl−Zr系の耐熱アルミ線を用いた鋼芯耐熱
アルミ撚線が用いられている。通常の耐熱アルミ線はA
lにZrを微量添加し、これを固溶させて耐熱性を持た
せており、例えば連続使用温度が150℃で,導電率が
60%の耐熱アルミ合金(60TAl)が知られてい
る。
気用アルミ線を撚合わせた鋼芯アルミ撚線が用いられて
いる。特に耐熱性が要求される所には、電気用アルミ線
に代えてAl−Zr系の耐熱アルミ線を用いた鋼芯耐熱
アルミ撚線が用いられている。通常の耐熱アルミ線はA
lにZrを微量添加し、これを固溶させて耐熱性を持た
せており、例えば連続使用温度が150℃で,導電率が
60%の耐熱アルミ合金(60TAl)が知られてい
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、近年、架空
送電線の通電容量を増大させる要望が強く出されるよう
になったが、前述のZr固溶型耐熱Al合金では高い導
電率を維持したまま耐熱性を大きく向上させるのは困難
であった。そこで、Zrを固溶させた荒引線を時効処理
することによりZrを微細に析出させたAl合金線材が
開発されたが、この線材は長時間にわたる加熱処理を必
要とする為生産性に劣るという問題があった。
送電線の通電容量を増大させる要望が強く出されるよう
になったが、前述のZr固溶型耐熱Al合金では高い導
電率を維持したまま耐熱性を大きく向上させるのは困難
であった。そこで、Zrを固溶させた荒引線を時効処理
することによりZrを微細に析出させたAl合金線材が
開発されたが、この線材は長時間にわたる加熱処理を必
要とする為生産性に劣るという問題があった。
【0004】
【課題を解決する為の手段及び作用】本発明はかかる状
況に鑑み鋭意研究を行って、導電率及び強度が高く維持
され、耐熱性が連続使用温度で230℃のAl合金(X
TAl)を、比較的短時間の加熱処理で製造できる製造
方法を開発したものである。即ち、本発明は、Zrを
0.15〜0.4WT%,Feを0.1〜0.5WT%,S
iを0.05〜0.2WT%,Beを0.005〜0.0
5WT%含有し、且つSiとBeの含有量が次の関係式、
0.3X+Y≧0.035WT%,0.4X+Y≦0.1
1WT%(但し、式中X及びYは各々Si及びBeのWT%
で示される含有量。)を満足し、残部がAlと不可避不
純物からなるAl合金を加熱溶融し、この加熱溶融した
Al合金を750℃以上の温度で鋳造して鋳塊となし、
次いでこの鋳塊に550℃以下の温度で熱間圧延を開始
し、仕上がり温度が350℃以下の温度となる間に減面
率80%以上の加工を施して荒引線となし、次いでこの
荒引線に300〜450℃の温度範囲で1〜70時間の
時効処理を施したのち、減面率65%以上の冷間加工を
施して加工線材となし、しかるのちこの加工線材に35
0〜500℃の温度範囲で0.5〜10時間の加熱処理
を施すことを特徴とするものである。
況に鑑み鋭意研究を行って、導電率及び強度が高く維持
され、耐熱性が連続使用温度で230℃のAl合金(X
TAl)を、比較的短時間の加熱処理で製造できる製造
方法を開発したものである。即ち、本発明は、Zrを
0.15〜0.4WT%,Feを0.1〜0.5WT%,S
iを0.05〜0.2WT%,Beを0.005〜0.0
5WT%含有し、且つSiとBeの含有量が次の関係式、
0.3X+Y≧0.035WT%,0.4X+Y≦0.1
1WT%(但し、式中X及びYは各々Si及びBeのWT%
で示される含有量。)を満足し、残部がAlと不可避不
純物からなるAl合金を加熱溶融し、この加熱溶融した
Al合金を750℃以上の温度で鋳造して鋳塊となし、
次いでこの鋳塊に550℃以下の温度で熱間圧延を開始
し、仕上がり温度が350℃以下の温度となる間に減面
率80%以上の加工を施して荒引線となし、次いでこの
荒引線に300〜450℃の温度範囲で1〜70時間の
時効処理を施したのち、減面率65%以上の冷間加工を
施して加工線材となし、しかるのちこの加工線材に35
0〜500℃の温度範囲で0.5〜10時間の加熱処理
を施すことを特徴とするものである。
【0005】本発明方法において、合金元素のZrは耐
熱性を向上させる作用を果たすもので、その含有量を
0.15〜0.4WT%(以下%と略記する。)の範囲に
限定した理由は、Zr含有量が0.15%未満では十分
な耐熱性が得られず、0.4%を超えると鋳造時にZr
が粗大なAl3 Zr化合物として晶出して、かえって耐
熱性を害する上に強度及び導電率を下げ、又コスト的に
も不利である。又合金元素のFeは強度を高める作用を
果たすもので、その含有量を0.1〜0.5%に限定し
た理由は,0.1%未満では、十分な強度が得られず、
0.5%を超えるとその効果が飽和するのみならず、導
電率や耐熱性が低下する為である。又SiはZrの析出
を促進し、強度を向上させる為に添加するものであり、
その含有量を0.05〜0.2%に限定した理由は、
0.05%未満ではその効果が認められず、0.2%を
超えるとその効果が飽和する上、導電率を害し、更に鋳
塊の脆化を招くからである。又BeはZrの析出を促進
し、又導電率をあまり下げずに強度を向上させる作用を
果たすもので、その含有量を0.005〜0.05%に
限定した理由は、0.005%未満では、その効果が十
分には認められず、0.05%を超えるとBeは高価故
にコスト的に不利になる為である。更にSiとBeの含
有量については、次の関係式、0.3X+Y≧0.03
5%,0.4X+Y≦0.11%(但し、式中X及びY
は各々Si及びBeの%で示される含有量。)を満足す
るように限定したが、その限定理由は、SiとBeの含
有量が前者の関係式を外れて少なく含有されると、Zr
の析出を促進する作用が十分でなくなって耐熱性が低下
し、又後者の関係式を外れて多く含有されるとZrの析
出を促進する作用が飽和する上、高価なBeを過剰に添
加することになりコスト的不利を招き、又過剰のSiは
導電率に悪影響を及ぼす為である。尚、本発明方法にお
いて、上記合金元素を添加するAl地金には、一般電気
用Al地金が用いられる。前記地金に含まれる不可避不
純物が、得られるAl合金の特性を損なうようなことは
ない。
熱性を向上させる作用を果たすもので、その含有量を
0.15〜0.4WT%(以下%と略記する。)の範囲に
限定した理由は、Zr含有量が0.15%未満では十分
な耐熱性が得られず、0.4%を超えると鋳造時にZr
が粗大なAl3 Zr化合物として晶出して、かえって耐
熱性を害する上に強度及び導電率を下げ、又コスト的に
も不利である。又合金元素のFeは強度を高める作用を
果たすもので、その含有量を0.1〜0.5%に限定し
た理由は,0.1%未満では、十分な強度が得られず、
0.5%を超えるとその効果が飽和するのみならず、導
電率や耐熱性が低下する為である。又SiはZrの析出
を促進し、強度を向上させる為に添加するものであり、
その含有量を0.05〜0.2%に限定した理由は、
0.05%未満ではその効果が認められず、0.2%を
超えるとその効果が飽和する上、導電率を害し、更に鋳
塊の脆化を招くからである。又BeはZrの析出を促進
し、又導電率をあまり下げずに強度を向上させる作用を
果たすもので、その含有量を0.005〜0.05%に
限定した理由は、0.005%未満では、その効果が十
分には認められず、0.05%を超えるとBeは高価故
にコスト的に不利になる為である。更にSiとBeの含
有量については、次の関係式、0.3X+Y≧0.03
5%,0.4X+Y≦0.11%(但し、式中X及びY
は各々Si及びBeの%で示される含有量。)を満足す
るように限定したが、その限定理由は、SiとBeの含
有量が前者の関係式を外れて少なく含有されると、Zr
の析出を促進する作用が十分でなくなって耐熱性が低下
し、又後者の関係式を外れて多く含有されるとZrの析
出を促進する作用が飽和する上、高価なBeを過剰に添
加することになりコスト的不利を招き、又過剰のSiは
導電率に悪影響を及ぼす為である。尚、本発明方法にお
いて、上記合金元素を添加するAl地金には、一般電気
用Al地金が用いられる。前記地金に含まれる不可避不
純物が、得られるAl合金の特性を損なうようなことは
ない。
【0006】本発明方法において、前記Al合金の鋳造
温度を750℃以上に限定した理由は、Alマトリック
ス中にZrをできるだけ多く強制固溶させて耐熱性の向
上を計る為で、750℃未満では粗大なZr晶出物が晶
出してAlマトリックス中へのZrの固溶量が十分でな
く、依って後の荒引線以降で施す時効処理において析出
するZrが量的に不足して目的とする耐熱性及び強度が
得られない。本発明方法において、前記Al合金を鋳造
して得た鋳塊を熱間加工するのは、脆い鋳造組織を破壊
し、又固溶しきれずに晶出したZr,Fe,Si等を含
む粗大な晶出物を粉砕し均一微細に分布させて強度向上
に役立たせ、且つ後の荒引線の時効処理においてZrの
析出サイトとなる転位を増殖させる為である。そして前
記の熱間圧延を、550℃以下の温度で開始し、350
℃以下の温度で終了するようにした理由は、熱間圧延の
開始温度が、550℃を超えるとZr等の強制固溶した
合金元素が粗大に析出してしまい耐熱性や強度等の特性
向上に寄与しなくなり、又熱間圧延の終了温度が350
℃以上では、Zrの析出サイトとなる転位の増殖が十分
になされない為である。又前記熱間圧延時の減面率を8
0%以上に限定した理由は、80%未満では上記鋳造組
織の破壊、粗大晶出物の粉砕、転位の増殖等が十分にな
されない為である。
温度を750℃以上に限定した理由は、Alマトリック
ス中にZrをできるだけ多く強制固溶させて耐熱性の向
上を計る為で、750℃未満では粗大なZr晶出物が晶
出してAlマトリックス中へのZrの固溶量が十分でな
く、依って後の荒引線以降で施す時効処理において析出
するZrが量的に不足して目的とする耐熱性及び強度が
得られない。本発明方法において、前記Al合金を鋳造
して得た鋳塊を熱間加工するのは、脆い鋳造組織を破壊
し、又固溶しきれずに晶出したZr,Fe,Si等を含
む粗大な晶出物を粉砕し均一微細に分布させて強度向上
に役立たせ、且つ後の荒引線の時効処理においてZrの
析出サイトとなる転位を増殖させる為である。そして前
記の熱間圧延を、550℃以下の温度で開始し、350
℃以下の温度で終了するようにした理由は、熱間圧延の
開始温度が、550℃を超えるとZr等の強制固溶した
合金元素が粗大に析出してしまい耐熱性や強度等の特性
向上に寄与しなくなり、又熱間圧延の終了温度が350
℃以上では、Zrの析出サイトとなる転位の増殖が十分
になされない為である。又前記熱間圧延時の減面率を8
0%以上に限定した理由は、80%未満では上記鋳造組
織の破壊、粗大晶出物の粉砕、転位の増殖等が十分にな
されない為である。
【0007】本発明方法において、前記熱間圧延により
得られた荒引線に時効処理を施すのは、固溶したZrを
Alマトリックス中に均一微細に析出させて析出硬化さ
せるとともに導電率と耐熱性を向上させる為であり、そ
の時効処理条件を300〜450℃の温度範囲で1〜7
0時間に限定した理由は、時効処理温度が450℃を超
えても又時効処理時間が70時間を超えても過時効現象
を起こして、得られる線材の強度並びに耐熱性が低下す
る為である。又時効処理温度が300℃未満ではZrの
析出に長時間を要して実用性に欠け、又時効処理時間が
1時間未満では、Zrがかなりの量固溶したまま残る為
である。本発明方法において、前記時効処理後の荒引線
に冷間加工を施して加工線材となす理由は、荒引線を所
定径の線材に加工する他に、前記線材に強度をもたせ、
且つZrの析出サイトとなる転位を増殖する為である。
冷間加工の減面率を65%以上に限定した理由は、65
%未満では十分な強度並びに高い転位密度が得られない
為である。又本発明方法において、前記加工線材に35
0〜500℃の温度範囲で0.5〜10時間の加熱処理
を施すのは、Zrを更に析出させて、導電率,強度,耐
熱性のバランスを計る為である。加熱処理条件が350
℃未満又は0.5時間未満では、その析出効果が十分に
現れず、又前記条件が500℃を超え又は10時間を超
えると過時効となって、強度及び耐熱性が低下する。本
発明方法において、加熱溶融したAl合金を鋳造し荒引
線に熱間加工する方法としては、ベルトホイール式連続
鋳造圧延方法等により製造するのが、生産性に富み、又
鋳造時の冷却速度が速い為Zrが強制固溶され易く好ま
しい。
得られた荒引線に時効処理を施すのは、固溶したZrを
Alマトリックス中に均一微細に析出させて析出硬化さ
せるとともに導電率と耐熱性を向上させる為であり、そ
の時効処理条件を300〜450℃の温度範囲で1〜7
0時間に限定した理由は、時効処理温度が450℃を超
えても又時効処理時間が70時間を超えても過時効現象
を起こして、得られる線材の強度並びに耐熱性が低下す
る為である。又時効処理温度が300℃未満ではZrの
析出に長時間を要して実用性に欠け、又時効処理時間が
1時間未満では、Zrがかなりの量固溶したまま残る為
である。本発明方法において、前記時効処理後の荒引線
に冷間加工を施して加工線材となす理由は、荒引線を所
定径の線材に加工する他に、前記線材に強度をもたせ、
且つZrの析出サイトとなる転位を増殖する為である。
冷間加工の減面率を65%以上に限定した理由は、65
%未満では十分な強度並びに高い転位密度が得られない
為である。又本発明方法において、前記加工線材に35
0〜500℃の温度範囲で0.5〜10時間の加熱処理
を施すのは、Zrを更に析出させて、導電率,強度,耐
熱性のバランスを計る為である。加熱処理条件が350
℃未満又は0.5時間未満では、その析出効果が十分に
現れず、又前記条件が500℃を超え又は10時間を超
えると過時効となって、強度及び耐熱性が低下する。本
発明方法において、加熱溶融したAl合金を鋳造し荒引
線に熱間加工する方法としては、ベルトホイール式連続
鋳造圧延方法等により製造するのが、生産性に富み、又
鋳造時の冷却速度が速い為Zrが強制固溶され易く好ま
しい。
【0008】
【実施例】以下に本発明を実施例により詳細に説明す
る。99.8%純度の電気用Al地金を加熱溶融し、こ
れに合金元素としてZr,Fe,Si,Beを種々の量
含有させて溶製し、この溶製したAl合金をベルトホイ
ール式連続鋳造圧延方法により鋳造及び熱間圧延を行っ
て荒引線に加工した。次いでこの荒引線に時効処理を施
したのち、室温で伸線加工して加工線材となし、次いで
この加工線材に加熱処理を施してAl合金線材を製造し
た。上記において、鋳塊,荒引線,加工線材のサイズ、
及び鋳造温度,熱間圧延温度,及び時効処理と加熱処理
の温度・時間条件は種々に変化させた。このようにして
製造した各々のAl合金線材について、導電率,引張り
強さ,耐熱性を調べた。導電率はケルビンダブルブリッ
ジ法により電気抵抗を測定して求めた。引張強度はイン
ストロン型引張り試験機により測定した。又耐熱性は4
00℃×4時間加熱し、加熱前後の引張強度比で示し
た。結果は表1に示した。
る。99.8%純度の電気用Al地金を加熱溶融し、こ
れに合金元素としてZr,Fe,Si,Beを種々の量
含有させて溶製し、この溶製したAl合金をベルトホイ
ール式連続鋳造圧延方法により鋳造及び熱間圧延を行っ
て荒引線に加工した。次いでこの荒引線に時効処理を施
したのち、室温で伸線加工して加工線材となし、次いで
この加工線材に加熱処理を施してAl合金線材を製造し
た。上記において、鋳塊,荒引線,加工線材のサイズ、
及び鋳造温度,熱間圧延温度,及び時効処理と加熱処理
の温度・時間条件は種々に変化させた。このようにして
製造した各々のAl合金線材について、導電率,引張り
強さ,耐熱性を調べた。導電率はケルビンダブルブリッ
ジ法により電気抵抗を測定して求めた。引張強度はイン
ストロン型引張り試験機により測定した。又耐熱性は4
00℃×4時間加熱し、加熱前後の引張強度比で示し
た。結果は表1に示した。
【0009】
【表1】
【0010】
【表2】
【0011】
【表3】
【0012】表1〜表3より明らかなように、本発明方
法品(NO. 1〜25)は、いずれも導電率59.0%IA
CS以上,引張強さ17.0kgf/mm2 (但し、
3.8mmφ)以上,耐熱性93.0%以上の値をクリ
ヤーするものであった。尚、400℃×4時間加熱での
耐熱性が90.0%以上ということは、連続使用温度2
30℃の耐熱性を保証するものである。他方、比較例品
のNO.25 はZrの含有量が0.12%と少なかった為、
NO.40,41は時効処理の温度が高すぎたか又は時間が長す
ぎて過時効現象を起こしてZrの析出物が粗大化した
為、NO.35 は鋳造温度が低く鋳塊中にZrが粗大に晶出
した為、NO.36 は鋳塊の熱延温度が高すぎてZrが粗大
に析出した為、NO. 41は荒引線の時効処理時間が長すぎ
為、いずれも耐熱性及び強度に劣るものとなった。又、
NO.26 はZrが多すぎた為導電率、耐熱性及び強度が低
下し、NO. 28,33はそれぞれFe,Siの含有量が多す
ぎた為、いずれも導電率が低い値のものとなった。又、
NO.29,30,31 はSi又は/及びBeの含有量が少なすぎ
て、NO.34はBeが含有されずに、いずれもZrの析出
が遅くなりZrが固溶したまま残り、その結果導電率、
引張強さ及び耐熱性が低下した。NO. 32はSi及びBe
の量が多かった為導電率が低下した。又、NO.39,42は時
効処理の温度が低すぎるか又は時間が短すぎた為、NO.3
7 は鋳塊の熱間圧延の終了温度が高すぎた為、NO.38は
熱間圧延時の減面率が小さかった為、いずれもZrが十
分な量析出せずに導電率、耐熱性及び強度が低い値のも
のとなった。又、NO.27 はFeの含有量が少なかった
為、NO.43 は最終の冷間加工での減面率が小さすぎて、
いずれも引張強度が低下した。又、No.44,47は加工線材
の加熱処理温度が低いか、時間が短かった為、導電率,
引張り強さ, 耐熱性がいずれも低い値のものとなった。
又、No.45,46は加熱処理温度が高すぎるか、時間が長す
ぎて、引張り強さと耐熱性が低下した。尚、NO.34 は従
来のXTAlであるが、この合金の導電率を、引張り強
さを低下させずに、59.0%以上に回復させるには荒
引線での時効処理を110時間以上行う必要があった。
法品(NO. 1〜25)は、いずれも導電率59.0%IA
CS以上,引張強さ17.0kgf/mm2 (但し、
3.8mmφ)以上,耐熱性93.0%以上の値をクリ
ヤーするものであった。尚、400℃×4時間加熱での
耐熱性が90.0%以上ということは、連続使用温度2
30℃の耐熱性を保証するものである。他方、比較例品
のNO.25 はZrの含有量が0.12%と少なかった為、
NO.40,41は時効処理の温度が高すぎたか又は時間が長す
ぎて過時効現象を起こしてZrの析出物が粗大化した
為、NO.35 は鋳造温度が低く鋳塊中にZrが粗大に晶出
した為、NO.36 は鋳塊の熱延温度が高すぎてZrが粗大
に析出した為、NO. 41は荒引線の時効処理時間が長すぎ
為、いずれも耐熱性及び強度に劣るものとなった。又、
NO.26 はZrが多すぎた為導電率、耐熱性及び強度が低
下し、NO. 28,33はそれぞれFe,Siの含有量が多す
ぎた為、いずれも導電率が低い値のものとなった。又、
NO.29,30,31 はSi又は/及びBeの含有量が少なすぎ
て、NO.34はBeが含有されずに、いずれもZrの析出
が遅くなりZrが固溶したまま残り、その結果導電率、
引張強さ及び耐熱性が低下した。NO. 32はSi及びBe
の量が多かった為導電率が低下した。又、NO.39,42は時
効処理の温度が低すぎるか又は時間が短すぎた為、NO.3
7 は鋳塊の熱間圧延の終了温度が高すぎた為、NO.38は
熱間圧延時の減面率が小さかった為、いずれもZrが十
分な量析出せずに導電率、耐熱性及び強度が低い値のも
のとなった。又、NO.27 はFeの含有量が少なかった
為、NO.43 は最終の冷間加工での減面率が小さすぎて、
いずれも引張強度が低下した。又、No.44,47は加工線材
の加熱処理温度が低いか、時間が短かった為、導電率,
引張り強さ, 耐熱性がいずれも低い値のものとなった。
又、No.45,46は加熱処理温度が高すぎるか、時間が長す
ぎて、引張り強さと耐熱性が低下した。尚、NO.34 は従
来のXTAlであるが、この合金の導電率を、引張り強
さを低下させずに、59.0%以上に回復させるには荒
引線での時効処理を110時間以上行う必要があった。
【0013】
【効果】以上述べたように本発明方法によれば、Al−
Zr系の高耐熱性Al合金のZrが、短時間の時効処理
及び加熱処理により均一微細に析出して導電率の回復と
耐熱性の向上が計れ、又合金元素のFe等の作用により
強度が高く維持され、依って導電用高耐熱性Al合金が
効率よく製造でき、工業上顕著な効果を奏する。
Zr系の高耐熱性Al合金のZrが、短時間の時効処理
及び加熱処理により均一微細に析出して導電率の回復と
耐熱性の向上が計れ、又合金元素のFe等の作用により
強度が高く維持され、依って導電用高耐熱性Al合金が
効率よく製造でき、工業上顕著な効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明方法にて用いるAl合金に含有されるS
iとBeの組成範囲図である。
iとBeの組成範囲図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C22C 21/00 A 8928−4K
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 【請求項1】 Zrを0.15〜0.4WT%,Feを
0.1〜0.5WT%,Siを0.05〜0.2WT%,B
eを0.005〜0.05WT%含有し、且つSiとBe
の含有量が次の関係式、0.3X+Y≧0.035WT
%,0.4X+Y≦0.11WT%(但し、式中X及びY
は各々Si及びBeのWT%で示される含有量。)を満足
し、残部がAlと不可避不純物からなるAl合金を加熱
溶融し、この加熱溶融したAl合金を750℃以上の温
度で鋳造して鋳塊となし、次いでこの鋳塊に550℃以
下の温度で熱間圧延を開始し、仕上がり温度が350℃
以下の温度となる間に減面率80%以上の加工を施して
荒引線となし、次いでこの荒引線に300〜450℃の
温度範囲で1〜70時間の時効処理を施したのち、減面
率65%以上の冷間加工を施して加工線材となし、しか
るのちこの加工線材に350〜500℃の温度範囲で
0.5〜10時間の加熱処理を施すことを特徴とする導
電用高耐熱性アルミニウム合金の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP22510591A JPH0517855A (ja) | 1991-05-08 | 1991-08-09 | 導電用高耐熱性アルミニウム合金の製造方法 |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP13354391 | 1991-05-08 | ||
JP3-133543 | 1991-05-08 | ||
JP22510591A JPH0517855A (ja) | 1991-05-08 | 1991-08-09 | 導電用高耐熱性アルミニウム合金の製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0517855A true JPH0517855A (ja) | 1993-01-26 |
Family
ID=26467866
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP22510591A Pending JPH0517855A (ja) | 1991-05-08 | 1991-08-09 | 導電用高耐熱性アルミニウム合金の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0517855A (ja) |
-
1991
- 1991-08-09 JP JP22510591A patent/JPH0517855A/ja active Pending
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