JPH0517854A - 導電用高耐熱性アルミニウム合金の製造方法 - Google Patents
導電用高耐熱性アルミニウム合金の製造方法Info
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- JPH0517854A JPH0517854A JP19707891A JP19707891A JPH0517854A JP H0517854 A JPH0517854 A JP H0517854A JP 19707891 A JP19707891 A JP 19707891A JP 19707891 A JP19707891 A JP 19707891A JP H0517854 A JPH0517854 A JP H0517854A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 導電率が60.0%以上,連続使用温度が2
10℃で、所定の強度を有する高耐熱性Al合金(ZT
Al)を効率よく製造する方法を提供する。 【構成】 Al−Zr系合金にFe,Si,Beを所定
量含有させたAl合金を750℃以上の温度で鋳造し
て、Zrが強制固溶した鋳塊となし、この鋳塊を所定温
度で熱間圧延して、鋳造組織の破壊と巨大晶出物の粉砕
がなされ且つZrの析出サイトとなる転位が増殖した荒
引線となし、次いでこの荒引線に時効処理と冷間加工を
施す。 【効果】 荒引線の時効処理にて、Zrが、合金元素の
SiとBeの析出促進効果により転位上に短時間のうち
に均一微細に析出し、導電率の回復と耐熱性の向上が計
れる。又鋳造組織の破壊、粉砕した晶出物、Fe等の合
金元素、冷間加工等の作用により所定の強度が得られ
る。
10℃で、所定の強度を有する高耐熱性Al合金(ZT
Al)を効率よく製造する方法を提供する。 【構成】 Al−Zr系合金にFe,Si,Beを所定
量含有させたAl合金を750℃以上の温度で鋳造し
て、Zrが強制固溶した鋳塊となし、この鋳塊を所定温
度で熱間圧延して、鋳造組織の破壊と巨大晶出物の粉砕
がなされ且つZrの析出サイトとなる転位が増殖した荒
引線となし、次いでこの荒引線に時効処理と冷間加工を
施す。 【効果】 荒引線の時効処理にて、Zrが、合金元素の
SiとBeの析出促進効果により転位上に短時間のうち
に均一微細に析出し、導電率の回復と耐熱性の向上が計
れる。又鋳造組織の破壊、粉砕した晶出物、Fe等の合
金元素、冷間加工等の作用により所定の強度が得られ
る。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、導電率,強度,耐熱性
に優れた導電用高耐熱性アルミニウム合金を短時間で効
率よく製造する方法に関する。
に優れた導電用高耐熱性アルミニウム合金を短時間で効
率よく製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】架空送電線には、一般に鋼線の周囲に電
気用アルミ線を撚合わせた鋼芯アルミ撚線が用いられて
いる。特に耐熱性が要求される所には、電気用アルミ線
に代えてAl−Zr系の耐熱アルミ線を用いた鋼芯耐熱
アルミ撚線が用いられている。通常の耐熱アルミ線はA
lにZrを微量添加し、これを固溶させて耐熱性を持た
せており、例えば連続使用温度が150℃で,導電率が
60%の耐熱アルミ合金(60TAl)が知られてい
る。
気用アルミ線を撚合わせた鋼芯アルミ撚線が用いられて
いる。特に耐熱性が要求される所には、電気用アルミ線
に代えてAl−Zr系の耐熱アルミ線を用いた鋼芯耐熱
アルミ撚線が用いられている。通常の耐熱アルミ線はA
lにZrを微量添加し、これを固溶させて耐熱性を持た
せており、例えば連続使用温度が150℃で,導電率が
60%の耐熱アルミ合金(60TAl)が知られてい
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、近年、架空
送電線の通電容量を増大させる要望が強く、これに呼応
して導電率を従来と同じ60%に維持し、連続使用温度
を210℃に向上させた高耐熱性Al合金線材(ZTA
l)の開発が活発になされるようになった。この高耐熱
性Al合金は、従来のAl−Zr系合金のZrの添加量
を増やし、更にこれにSiを添加した合金を連続鋳造圧
延方法により荒引線に加工し、この荒引線を時効処理し
てZrを均一微細に析出させて製造していたが、この方
法ではZrを析出させる為の時効処理に長時間を要し、
生産性に劣るという問題があった。
送電線の通電容量を増大させる要望が強く、これに呼応
して導電率を従来と同じ60%に維持し、連続使用温度
を210℃に向上させた高耐熱性Al合金線材(ZTA
l)の開発が活発になされるようになった。この高耐熱
性Al合金は、従来のAl−Zr系合金のZrの添加量
を増やし、更にこれにSiを添加した合金を連続鋳造圧
延方法により荒引線に加工し、この荒引線を時効処理し
てZrを均一微細に析出させて製造していたが、この方
法ではZrを析出させる為の時効処理に長時間を要し、
生産性に劣るという問題があった。
【0004】
【課題を解決する為の手段及び作用】本発明はかかる状
況に鑑み鋭意研究を行って、Al−Zr系合金にSiと
Beを所定量含有せしめ、これに所定の条件で熱間加工
及び時効処理を施すと固溶Zrが比較的短時間で均一微
細に析出することを見出し、更に研究を進めて本発明を
完成させるに到ったものである。即ち、本発明は、Zr
を0.15〜0.4WT%,Feを0.1〜0.5WT%,
Siを0.05〜0.2WT%,Beを0.005〜0.
05WT%含有し、且つSiとBeの含有量が次の関係
式、0.3X+Y≧0.035WT%,0.4X+Y≦
0.11WT%(但し、式中X及びYは各々Si及びBe
のWT%で示される含有量。)を満足し、残部がAlと不
可避不純物からなるAl合金を加熱溶融し、この加熱溶
融したAl合金を750℃以上の温度で鋳造して鋳塊と
なし、次いでこの鋳塊に550℃以下の温度で熱間圧延
を開始し、仕上がり温度が350℃以下の温度となる間
に減面率80%以上の加工を施して荒引線となし、次い
でこの荒引線に350〜500℃の温度範囲で10〜7
0時間の時効処理を施したのち、減面率65%以上の冷
間加工を施すことを特徴とするものである。
況に鑑み鋭意研究を行って、Al−Zr系合金にSiと
Beを所定量含有せしめ、これに所定の条件で熱間加工
及び時効処理を施すと固溶Zrが比較的短時間で均一微
細に析出することを見出し、更に研究を進めて本発明を
完成させるに到ったものである。即ち、本発明は、Zr
を0.15〜0.4WT%,Feを0.1〜0.5WT%,
Siを0.05〜0.2WT%,Beを0.005〜0.
05WT%含有し、且つSiとBeの含有量が次の関係
式、0.3X+Y≧0.035WT%,0.4X+Y≦
0.11WT%(但し、式中X及びYは各々Si及びBe
のWT%で示される含有量。)を満足し、残部がAlと不
可避不純物からなるAl合金を加熱溶融し、この加熱溶
融したAl合金を750℃以上の温度で鋳造して鋳塊と
なし、次いでこの鋳塊に550℃以下の温度で熱間圧延
を開始し、仕上がり温度が350℃以下の温度となる間
に減面率80%以上の加工を施して荒引線となし、次い
でこの荒引線に350〜500℃の温度範囲で10〜7
0時間の時効処理を施したのち、減面率65%以上の冷
間加工を施すことを特徴とするものである。
【0005】本発明方法において、合金元素のZrは耐
熱性を向上させる作用を果たすもので、その含有量を
0.15〜0.4WT%(以下%と略記する。)の範囲に
限定した理由は、Zr含有量が0.15%未満では十分
な耐熱性が得られず、0.4%を超えると鋳造時にZr
が粗大なAl3 Zr化合物として晶出して、かえって耐
熱性を害する上に強度及び導電率を下げ、又コスト的に
も不利である。又合金元素のFeは強度を高める作用を
果たすもので、その含有量を0.1〜0.5%に限定し
た理由は,0.1%未満では、十分な強度が得られず、
0.5%を超えるとその効果が飽和するのみならず、導
電率や耐熱性が低下する為である。又SiはZrの析出
を促進し、強度を向上させる為に添加するものであり、
その含有量を0.05〜0.2%に限定した理由は、
0.05%未満ではその効果が認められず、0.2%を
超えるとその効果が飽和する上、導電率を害し、更に鋳
塊の脆化を招くからである。又BeはZrの析出を促進
し、又導電率をあまり下げずに強度を向上させる作用を
果たすもので、その含有量を0.005〜0.05%に
限定した理由は、0.005%未満では、その効果が十
分には認められず、0.05%を超えるとBeは高価故
にコスト的に不利になる為である。更にSiとBeの含
有量については、次の関係式、0.3X+Y≧0.03
5%,0.4X+Y≦0.11%(但し、式中X及びY
は各々Si及びBeの%で示される含有量。)を満足す
るように限定したが、その限定理由は、SiとBeの含
有量が前者の関係式を外れて少なく含有されると、Zr
の析出を促進する作用が十分でなくなって耐熱性が低下
し、又後者の関係式を外れて多く含有されるとZrの析
出を促進する作用が飽和する上、高価なBeを過剰に添
加することになりコスト的不利を招き、又過剰のSiは
導電率に悪影響を及ぼす為である。尚、本発明方法にお
いて、上記合金元素を添加するAl地金には、一般電気
用Al地金が用いられる。前記地金に含まれる不可避不
純物が、得られるAl合金線材の特性を損なうようなこ
とはない。
熱性を向上させる作用を果たすもので、その含有量を
0.15〜0.4WT%(以下%と略記する。)の範囲に
限定した理由は、Zr含有量が0.15%未満では十分
な耐熱性が得られず、0.4%を超えると鋳造時にZr
が粗大なAl3 Zr化合物として晶出して、かえって耐
熱性を害する上に強度及び導電率を下げ、又コスト的に
も不利である。又合金元素のFeは強度を高める作用を
果たすもので、その含有量を0.1〜0.5%に限定し
た理由は,0.1%未満では、十分な強度が得られず、
0.5%を超えるとその効果が飽和するのみならず、導
電率や耐熱性が低下する為である。又SiはZrの析出
を促進し、強度を向上させる為に添加するものであり、
その含有量を0.05〜0.2%に限定した理由は、
0.05%未満ではその効果が認められず、0.2%を
超えるとその効果が飽和する上、導電率を害し、更に鋳
塊の脆化を招くからである。又BeはZrの析出を促進
し、又導電率をあまり下げずに強度を向上させる作用を
果たすもので、その含有量を0.005〜0.05%に
限定した理由は、0.005%未満では、その効果が十
分には認められず、0.05%を超えるとBeは高価故
にコスト的に不利になる為である。更にSiとBeの含
有量については、次の関係式、0.3X+Y≧0.03
5%,0.4X+Y≦0.11%(但し、式中X及びY
は各々Si及びBeの%で示される含有量。)を満足す
るように限定したが、その限定理由は、SiとBeの含
有量が前者の関係式を外れて少なく含有されると、Zr
の析出を促進する作用が十分でなくなって耐熱性が低下
し、又後者の関係式を外れて多く含有されるとZrの析
出を促進する作用が飽和する上、高価なBeを過剰に添
加することになりコスト的不利を招き、又過剰のSiは
導電率に悪影響を及ぼす為である。尚、本発明方法にお
いて、上記合金元素を添加するAl地金には、一般電気
用Al地金が用いられる。前記地金に含まれる不可避不
純物が、得られるAl合金線材の特性を損なうようなこ
とはない。
【0006】本発明方法において、前記Al合金の鋳造
温度を750℃以上に限定した理由は、Alマトリック
ス中にZrをできるだけ多く強制固溶させて耐熱性の向
上を計る為で、750℃未満では粗大なZr晶出物が晶
出してAlマトリックス中へのZrの固溶量が十分でな
く、依って後の荒引線以降で施す時効処理において析出
するZrが量的に不足して目的とする耐熱性及び強度が
得られない。本発明方法において、前記Al合金を鋳造
して得た鋳塊を熱間圧延するのは、脆い鋳造組織を破壊
し、又固溶しきれずに晶出したZr,Fe,Si等を含
む粗大な晶出物を粉砕し均一微細に分布させて強度向上
に役立たせ、且つ後の荒引線の時効処理においてZrの
析出サイトとなる転位を増殖させる為である。そして前
記の熱間加工を、550℃以下の温度で熱間圧延を開始
し、350℃以下の温度で加工を終了させて行うように
した理由は、熱間圧延の開始温度が、550℃を超える
とZr,Si,Be等の強制固溶した合金元素が粗大に
析出してしまい耐熱性や強度等の特性向上に寄与しなく
なり、又熱間圧延の終了温度が350℃以上では、Zr
の析出サイトとなる転位の増殖が十分になされない為で
ある。又前記熱間圧延時の減面率を80%以上に限定し
た理由は、80%未満では上記鋳造組織の破壊、粗大晶
出物の粉砕、転位の増殖等が十分になされない為であ
る。
温度を750℃以上に限定した理由は、Alマトリック
ス中にZrをできるだけ多く強制固溶させて耐熱性の向
上を計る為で、750℃未満では粗大なZr晶出物が晶
出してAlマトリックス中へのZrの固溶量が十分でな
く、依って後の荒引線以降で施す時効処理において析出
するZrが量的に不足して目的とする耐熱性及び強度が
得られない。本発明方法において、前記Al合金を鋳造
して得た鋳塊を熱間圧延するのは、脆い鋳造組織を破壊
し、又固溶しきれずに晶出したZr,Fe,Si等を含
む粗大な晶出物を粉砕し均一微細に分布させて強度向上
に役立たせ、且つ後の荒引線の時効処理においてZrの
析出サイトとなる転位を増殖させる為である。そして前
記の熱間加工を、550℃以下の温度で熱間圧延を開始
し、350℃以下の温度で加工を終了させて行うように
した理由は、熱間圧延の開始温度が、550℃を超える
とZr,Si,Be等の強制固溶した合金元素が粗大に
析出してしまい耐熱性や強度等の特性向上に寄与しなく
なり、又熱間圧延の終了温度が350℃以上では、Zr
の析出サイトとなる転位の増殖が十分になされない為で
ある。又前記熱間圧延時の減面率を80%以上に限定し
た理由は、80%未満では上記鋳造組織の破壊、粗大晶
出物の粉砕、転位の増殖等が十分になされない為であ
る。
【0007】本発明方法において、前記熱間圧延により
得られた荒引線を時効処理するのは、固溶したZrをA
lマトリックス中に均一微細に析出させて析出硬化させ
るとともに導電率と耐熱性を向上させる為であり、その
時効処理条件を350〜500℃の温度範囲で10〜7
0時間に限定した理由は、時効処理温度が500℃を超
えても又時効処理時間が70時間を超えても過時効現象
を起こして、得られる線材の強度並びに耐熱性が低下す
る為である。又時効処理温度が350℃未満ではZrの
析出に長時間を要して実用性に欠け、又時効処理時間が
10時間未満では、Zrがかなりの量固溶したまま残
り、導電率、強度、耐熱性が低下する為である。本発明
方法において、前記時効処理後の荒引線に冷間加工を施
す理由は、荒引線を所定径の線材に加工する他に、前記
線材に強度をもたせ、且つZrの析出サイトとなる転位
を増殖する為である。冷間加工の減面率を65%以上に
限定した理由は、65%未満では十分な強度並びに高い
転位密度が得られない為である。本発明方法において、
加熱溶融したAl合金を鋳造し荒引線に熱間加工する方
法としては、ベルトホイール式連続鋳造圧延方法等によ
り製造するのが、生産性に富み、又鋳造時の冷却速度が
速い為Zrが強制固溶され易く好ましい。
得られた荒引線を時効処理するのは、固溶したZrをA
lマトリックス中に均一微細に析出させて析出硬化させ
るとともに導電率と耐熱性を向上させる為であり、その
時効処理条件を350〜500℃の温度範囲で10〜7
0時間に限定した理由は、時効処理温度が500℃を超
えても又時効処理時間が70時間を超えても過時効現象
を起こして、得られる線材の強度並びに耐熱性が低下す
る為である。又時効処理温度が350℃未満ではZrの
析出に長時間を要して実用性に欠け、又時効処理時間が
10時間未満では、Zrがかなりの量固溶したまま残
り、導電率、強度、耐熱性が低下する為である。本発明
方法において、前記時効処理後の荒引線に冷間加工を施
す理由は、荒引線を所定径の線材に加工する他に、前記
線材に強度をもたせ、且つZrの析出サイトとなる転位
を増殖する為である。冷間加工の減面率を65%以上に
限定した理由は、65%未満では十分な強度並びに高い
転位密度が得られない為である。本発明方法において、
加熱溶融したAl合金を鋳造し荒引線に熱間加工する方
法としては、ベルトホイール式連続鋳造圧延方法等によ
り製造するのが、生産性に富み、又鋳造時の冷却速度が
速い為Zrが強制固溶され易く好ましい。
【0008】
【実施例】以下に本発明を実施例により詳細に説明す
る。99.8%純度の電気用Al地金を加熱溶融し、こ
れに合金元素としてZr,Fe,Si,Beを種々の量
含有させて溶製し、この溶製したAl合金をベルトホイ
ール式連続鋳造圧延方法により鋳造し熱間圧延して荒引
線に加工した。次いでこの荒引線に種々条件にて時効処
理を施したのち、室温で伸線加工して種々線径のAl合
金線材を製造した。このようにして製造した各々のAl
合金線材について、導電率,引張強度,耐熱性を調べ
た。導電率はケルビンダブルブリッジ法により電気抵抗
を測定して求めた。引張強度はインストロン型引張り試
験機により測定した。又耐熱性は280℃×1時間加熱
し、加熱前後の引張強度比率で示した。用いた合金の組
成は表1に、又特性試験の結果は表2及び表3にそれぞ
れ示した。
る。99.8%純度の電気用Al地金を加熱溶融し、こ
れに合金元素としてZr,Fe,Si,Beを種々の量
含有させて溶製し、この溶製したAl合金をベルトホイ
ール式連続鋳造圧延方法により鋳造し熱間圧延して荒引
線に加工した。次いでこの荒引線に種々条件にて時効処
理を施したのち、室温で伸線加工して種々線径のAl合
金線材を製造した。このようにして製造した各々のAl
合金線材について、導電率,引張強度,耐熱性を調べ
た。導電率はケルビンダブルブリッジ法により電気抵抗
を測定して求めた。引張強度はインストロン型引張り試
験機により測定した。又耐熱性は280℃×1時間加熱
し、加熱前後の引張強度比率で示した。用いた合金の組
成は表1に、又特性試験の結果は表2及び表3にそれぞ
れ示した。
【0009】
【表1】
【0010】
【表2】
【0011】
【表3】
【0012】表2より明らかなように、本発明方法品
(NO. 1〜26)は、いずれも導電率60.0%以上,引
張強度16.2kg/mm2(但し、3.8mmφ)以
上,耐熱性90%以上の基準値をクリヤーするものであ
った。尚、280℃×1時間加熱での耐熱性が90%以
上ということは、連続使用温度210℃の耐熱性を保証
するものである。他方、表3より明らかなように比較例
品のNO.27 はZrの含有量が少なかった為、NO.41,43は
時効処理の温度が高すぎたか又は時間が長すぎて過時効
現象を起こしてZrの析出物が粗大化した為、NO.37 は
鋳造温度が低く鋳塊中にZrが粗大に晶出した為、NO.3
9 は鋳塊の熱延温度が高すぎてZrが粗大に析出した
為、いずれも耐熱性及び強度に劣るものとなった。又、
NO.28 はZrが多すぎた為導電率、耐熱性及び強度が低
下し、NO. 30,35はそれぞれFe,Siの含有量が多す
ぎた為、導電率が低い値のものとなった。又、NO.31,3
2,33 はSi又は/及びBeの含有量が少なすぎて、NO.
36 はBeが含有されずに、いずれもZrの析出速度が
遅くなりZrが固溶したまま残り、その結果導電率、引
張強さ及び耐熱性が低下した。NO. 34はSi及びBeの
量が多かった為導電率が低下した。又、NO.42,44は時効
処理の温度が低すぎるか又は時間が短すぎた為、NO.40
は鋳塊の熱間圧延の終了温度が高すぎた為、NO.38 は熱
間圧延時の減面率が小さかった為、いずれもZrが十分
な量析出せずに導電率、耐熱性及び強度が低い値のもの
となった。又、NO.29 はFeの含有量が少なかった為、
NO.45 は最終の冷間加工での減面率が小さすぎて、いず
れも引張強度が低下した。尚、NO.36 は従来のZTAl
であるが、引張り強さを低下させずに、この合金の導電
率を60.0%以上に回復させるには荒引線での時効処
理を110時間以上行う必要があった。
(NO. 1〜26)は、いずれも導電率60.0%以上,引
張強度16.2kg/mm2(但し、3.8mmφ)以
上,耐熱性90%以上の基準値をクリヤーするものであ
った。尚、280℃×1時間加熱での耐熱性が90%以
上ということは、連続使用温度210℃の耐熱性を保証
するものである。他方、表3より明らかなように比較例
品のNO.27 はZrの含有量が少なかった為、NO.41,43は
時効処理の温度が高すぎたか又は時間が長すぎて過時効
現象を起こしてZrの析出物が粗大化した為、NO.37 は
鋳造温度が低く鋳塊中にZrが粗大に晶出した為、NO.3
9 は鋳塊の熱延温度が高すぎてZrが粗大に析出した
為、いずれも耐熱性及び強度に劣るものとなった。又、
NO.28 はZrが多すぎた為導電率、耐熱性及び強度が低
下し、NO. 30,35はそれぞれFe,Siの含有量が多す
ぎた為、導電率が低い値のものとなった。又、NO.31,3
2,33 はSi又は/及びBeの含有量が少なすぎて、NO.
36 はBeが含有されずに、いずれもZrの析出速度が
遅くなりZrが固溶したまま残り、その結果導電率、引
張強さ及び耐熱性が低下した。NO. 34はSi及びBeの
量が多かった為導電率が低下した。又、NO.42,44は時効
処理の温度が低すぎるか又は時間が短すぎた為、NO.40
は鋳塊の熱間圧延の終了温度が高すぎた為、NO.38 は熱
間圧延時の減面率が小さかった為、いずれもZrが十分
な量析出せずに導電率、耐熱性及び強度が低い値のもの
となった。又、NO.29 はFeの含有量が少なかった為、
NO.45 は最終の冷間加工での減面率が小さすぎて、いず
れも引張強度が低下した。尚、NO.36 は従来のZTAl
であるが、引張り強さを低下させずに、この合金の導電
率を60.0%以上に回復させるには荒引線での時効処
理を110時間以上行う必要があった。
【0013】
【効果】以上述べたように、本発明方法によれば、Al
−Zr系の高耐熱性Al合金のZrが、合金元素のSi
とBeの析出促進効果と増殖転位の作用により短時間の
時効処理で均一微細に析出して導電率の回復と耐熱性の
向上が計れ、又合金元素のFe等の作用により強度が維
持され、依って導電用高耐熱性Al合金が効率よく製造
でき、工業上顕著な効果を奏する。
−Zr系の高耐熱性Al合金のZrが、合金元素のSi
とBeの析出促進効果と増殖転位の作用により短時間の
時効処理で均一微細に析出して導電率の回復と耐熱性の
向上が計れ、又合金元素のFe等の作用により強度が維
持され、依って導電用高耐熱性Al合金が効率よく製造
でき、工業上顕著な効果を奏する。
【図1】本発明方法にて用いるAl合金に含有されるS
iとBeの組成範囲図である。
iとBeの組成範囲図である。
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 【請求項1】 Zrを0.15〜0.4WT%,Feを
0.1〜0.5WT%,Siを0.05〜0.2WT%,B
eを0.005〜0.05WT%含有し、且つSiとBe
の含有量が次の関係式、0.3X+Y≧0.035WT
%,0.4X+Y≦0.11WT%(但し、式中X及びY
は各々Si及びBeのWT%で示される含有量。)を満足
し、残部がAlと不可避不純物からなるAl合金を加熱
溶融し、この加熱溶融したAl合金を750℃以上の温
度で鋳造して鋳塊となし、次いでこの鋳塊に550℃以
下の温度で熱間圧延を開始し、仕上がり温度が350℃
以下の温度となる間に減面率80%以上の加工を施して
荒引線となし、次いでこの荒引線に350〜500℃の
温度範囲で10〜70時間の時効処理を施したのち、減
面率65%以上の冷間加工を施すことを特徴とする導電
用高耐熱性アルミニウム合金の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP19707891A JPH0517854A (ja) | 1991-07-10 | 1991-07-10 | 導電用高耐熱性アルミニウム合金の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP19707891A JPH0517854A (ja) | 1991-07-10 | 1991-07-10 | 導電用高耐熱性アルミニウム合金の製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0517854A true JPH0517854A (ja) | 1993-01-26 |
Family
ID=16368355
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP19707891A Pending JPH0517854A (ja) | 1991-07-10 | 1991-07-10 | 導電用高耐熱性アルミニウム合金の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0517854A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN115386754A (zh) * | 2022-08-18 | 2022-11-25 | 大连理工大学 | 一种二硼化钛增强7系铝合金及其制备方法和应用 |
-
1991
- 1991-07-10 JP JP19707891A patent/JPH0517854A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN115386754A (zh) * | 2022-08-18 | 2022-11-25 | 大连理工大学 | 一种二硼化钛增强7系铝合金及其制备方法和应用 |
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