JPH05176771A - ブタ卵透明帯pzp−3をコードするdna - Google Patents

ブタ卵透明帯pzp−3をコードするdna

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JPH05176771A
JPH05176771A JP34231891A JP34231891A JPH05176771A JP H05176771 A JPH05176771 A JP H05176771A JP 34231891 A JP34231891 A JP 34231891A JP 34231891 A JP34231891 A JP 34231891A JP H05176771 A JPH05176771 A JP H05176771A
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JP
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pzp
dna
amino acid
zona pellucida
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JP34231891A
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Yuichi Okazaki
祐一 岡崎
Hiromi Kawai
ひろみ 川合
Masanobu Sugimoto
正信 杉本
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Tonen General Sekiyu KK
Original Assignee
Tonen Corp
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  • Medicines Containing Antibodies Or Antigens For Use As Internal Diagnostic Agents (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【構成】 ブタ卵透明帯PZP−3蛋白質の部分アミノ
酸配列をコードするDNA、及びこのDNAを発現させ
て得られるPZP−3関連組換えペプチドの製造方法。 【効果】 PZP−3関連組換えペプチドはブタを含む
哺乳動物の避妊又は不妊用のワクチン抗原として有用で
ある。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ブタ卵透明帯PZP−
3蛋白質の部分アミノ酸配列をコードするDNA、この
DNAの発現によるPZP−3関連組換えペプチドの製
造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】哺乳動物の卵透明帯(zona pellucida)
は、卵母細胞を取り囲む細胞外マトリックスであり、通
常、ZP−1、ZP−2、ZP−3、ZP−4等のZP
糖蛋白質から構成されている。これらのZP糖蛋白質
は、卵母細胞の成長初期段階及び卵胞の細胞分化の初期
段階で形成され、子宮壁に着床するまでの間、卵母細胞
及び胎児を保護する役割をもつ。また、精子が卵透明帯
のZP糖蛋白質に付着し、卵透明帯に侵入する受精過程
においても、これらのZP糖蛋白質は重要な機能を有し
ている。特に、ZP−3蛋白質は、受精過程において最
初に精子と結合することが知られている(Wassarman P.
M., Ann. Rev. Biochem. 1988, 57:415-442).従って、
精子が結合し得るZP糖蛋白質をブロックすることによ
り、受精を阻害し、その結果、避妊又は不妊が可能とな
る(メルクの特開昭53−26311号公報;C.A. Mah
i-Brown ら (1985) Biol. Reprod. 32, 761〜772; Sac
co A.G.ら (1987) Biol. Reprod. 36: 481-490 ; Wood,
D.M.ら (1981) Biol. Reprod.25, 439-450 )。もし、
ZP糖蛋白質を含む卵透明帯蛋白質をワクチン抗原とし
て雌の哺乳動物に投与すると、該抗原に対する抗体が
vivo生成され、それがブロック剤となって受精
または、卵胞の発育が阻害される。(Skinner S.M.ら
(1984) Endocrinology 115 : 2418-2432 )これらの抗
原はいわゆる避妊ワクチンとして知られ、また、このワ
クチンによる避妊法は、従来の避妊法であるピル、IU
D、コンドーム、リズム法、不妊手術等による方法とは
異なり免疫学的避妊法として知られる。
【0003】避妊ワクチンとしては、例えば、特開昭5
3−26311号公報(メルク)に記載の可溶化透明
帯、C.A. Mahi-Brown ら(上掲)に記載の天然ブタZP
−3、特表平3−502571号公報(ゾナゲン)及び
S.E. Millarら、Science 246, 935〜938 (1989)に
記載の組換え透明帯ポリペプチド、合成ペプチドなどが
開示されている。さらにまた、ZP−3蛋白質をコード
するDNAとしては、マウス(M. J. RinguetteJら、上
掲)及びヒト(M.E.ChamberlinとJ. Dean (1990)Proc.
Natl. Acad. Sci. USA 87, 6014〜6018)由来のものが
報告されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ワクチン抗原として天
然卵透明帯を直接使用する哺乳動物の避妊法において
は、該抗原を得るために大量の卵巣を必要とする欠点が
あり、また、卵透明帯を精製するうえで他の卵巣組織が
混在し、これが副作用の原因となる可能性を有してい
る。
【0005】これに対して、遺伝子工学技術を用いて得
られる組換え透明帯ポリペプチドを使用する避妊法は、
該ポリペプチドを高純度で且つ安価に製造することがで
きる利点をもつ。しかしながら、ブタに関しては、卵透
明帯ZP−3蛋白質の一次構造は充分に解明されておら
ず、該天然蛋白質のシークエンシングによりN末端アミ
ノ酸約10-20 残基が決定されているにすぎない(特表平
3−502571号公報;Yurewicz,E.C. ら (1987) J.
Biol. Chem. 262, 564-571 )。
【0006】本発明者らは、ブタ卵透明帯cDNAライ
ブラリーからZP−3遺伝子を取得し、これをクローニ
ングして、該ZP−3遺伝子の塩基配列及び推定アミノ
酸配列を決定した。
【0007】従って、本発明の目的は、ブタ卵透明帯P
ZP−3蛋白質又はその断片をコードするDNAを提供
することである。
【0008】本発明の目的はまた、該DNAを適当な発
現系で発現させて、PZP−3関連組換えペプチドを製
造する方法を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、配列番号1で
表わされる、ブタ卵透明帯PZP−3蛋白質の部分アミ
ノ酸配列の全部又は一部をコードする塩基配列を含むD
NAを提供する。
【0010】ブタ卵透明帯PZP−3遺伝子のクローニ
ングは、一般的な組換えDNA技術を用いて行うことが
できる。このような技術の中には、細胞又は組織からの
全RNAの抽出、オリゴ−dTによるmRNAの精製、
mRNAのcDNAへの変換、PCR(Polymerase Cha
in Reaction)増幅、表現型マーカーを含むベクター内
へのDNAの挿入、コンピテント宿主細胞の形質転換、
コロニーライブラリーからの目的cDNAクローンのス
クリーニング、陽性cDNAクローンからのベクターD
NAの単離、DNAの配列決定などが含まれる。
【0011】具体的なDNA配列決定手順の例を以下に
示す。
【0012】5週齢のブタ卵巣から得た全RNAを、例
えばWardら(J.Virol., 9, 61(1972) )の方法に従
って抽出する。即ち、凍結、粉砕した卵巣をホモジナイ
ズし、遠心した後、細胞を溶解し、遠心により核をペレ
ット化し、全RNAを含む上清をフェノール/クロロホ
ルム抽出により精製し、塩化ナトリウムの存在下水相に
エタノールを加えて全RNAを沈殿させる。次に、オリ
ゴーdTセルロースクロマトグラフィーを用いて、全R
NA調製物からmRNAを精製する(Oppermann ら、Vi
rology, 108, 47 (1981) )。
【0013】ポリ(A)+ mRNAに対してランダムプ
ライマー、オリゴ−dTプライマー等を用いて逆転写酵
素により相補鎖DNAを伸長し、さらにRNAase
HによりRNAを分離し、DNAポリメラーゼIを用い
て二本鎖cDNAを合成する。
【0014】cDNAライブラリーを作るため、得られ
た二本鎖cDNAの両末端にリンカーを連結して、λフ
ァージベクターに導入し、さらにin vitroパッ
ケージングを行い、ファージ粒子を得る。このファージ
粒子を大腸菌株に感染させ、寒天培地上に培養して、λ
ファージの溶菌プラークを形成させる。プラークをニト
ロセルロース膜に移動、固定した後、イムノスクリーニ
ングまたは、DNAプローブによるハイブリダイゼーシ
ョンによりPZP−3蛋白質をコードするDNAが組み
込まれたファージプラークを同定する。
【0015】得られたファージDNAを制限酵素消化
し、得られるDNA断片を同様の制限酵素部位をもつプ
ラスミドにサブクローニングする。
【0016】得られたPZP−3蛋白質をコードするD
NAを含むプラスミドを各種の制限酵素により消化し、
各フラグメントをM13ファージベクターにサブクロー
ニングする。
【0017】得られたファージプラークから一本鎖DN
Aを調製し、M13ジデオキシ法により各フラグメント
の塩基配列を決定する。
【0018】この操作段階中λファージベクターに導入
することなく、PZP−3蛋白質をコードする遺伝子を
増幅するために、該遺伝子を含むcDNAをPCR法
(Saiki,R.K.ら(1985) Science 230, 1350-1354 ;Lee,
C.C. ら (1988) Science 239, 1288-1291;Frohman,M.A.
ら (1988) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85, 8998-900
2)に掛けることができる。使用されるプライマーは、
マウス卵透明帯MZP−3(M. J. Ringuette ら(198
8) Dev. Biol. 127, 287〜295 )又はヒト卵透明帯
HZP−3(M. E. Chamberlinと J. Dean (1990) Pro
c. Natl. Acad. Sci USA 87, 6014〜6018)の公知の遺
伝子配列に基づいて推定され、作製し得る。例えば、プ
ライマーとして、 プライマー1:5’GATGCCCTGGTGTACA
GCACCTTCCT3’ プライマー2:5’AGGAA[G,T]ATCAG
[G,T]GGCCC[C,T]AC[G,A]GTG
ACATC[T,A]GCTTC3’ を使用し得る([]はミックスを表わす)。
【0019】上述の手順に従って決定されたブタ卵透明
帯PZP−3蛋白質をコードするDNA配列は、PZP
−3リーディングフレーム全長の50%以上に相当する
と予想される、配列番号1の配列で示される774 bp
のヌクレオチド配列から成る。このDNA配列から推定
されるアミノ酸配列も同様に配列番号1として示されて
おり、Asp1 ………Leu258 の258アミノ酸から
構成される。
【0020】本発明のDNAの1つの具体例が、配列番
号1で表わされる塩基配列の全部又は一部である。その
他の例として、配列番号1の配列中、アミノ酸の遺伝コ
ドンの縮重に基づく対応する全ての塩基を含む全ての可
能な塩基配列が挙げられる。これらの塩基配列はいずれ
も、本発明の一部を構成するものである。
【0021】図1、図2及び図3、並びに図4、図5及
び図6に、本発明のブタ卵透明帯PZP−3蛋白質の推
定アミノ酸配列を、M. J. Ringuette ら ( Dev. Biol.
127,287 〜295 )の報告したマウス卵透明帯MZP−3
蛋白質の推定アミノ酸配列及び M. E. Chamberlin ら(P
roc. Natl. Acad. Sci. USA 87, 6014-6018)の報告して
いるヒト卵透明帯HZP−3蛋白質の推定アミノ酸配列
と比較して示しているが、比較の範囲内での両アミノ酸
配列の相同性は高く、その相同率はプライマー領域も含
めるとそれぞれ71.5%及び80%であることが判明
した。 S. E. Millar(Science 246, 935〜938 ;I.
J. Eastら(1985) Dev. Biol. 109,268 )らは、MZ
P−3アミノ酸配列中(図3)Phe336 ………Arg
342 の16アミノ酸から成るペプチドに貝由来の蛋白質
KLH(Keyhole Limpet Hemocyanin )を結合したもの
を雌マウスに免疫することによってその雌マウスを不妊
にすることができることを報告しており、従って、本発
明のDNAを発現させて得られるPZP−3関連組換え
ペプチドも雌ブタに免疫すればマウスの場合と同様にブ
タを避妊又は不妊にすることができると推測される。ま
た、天然のPZP−3を雌イヌ(C.A.Mahi-Brownら (19
85) Biol. Reprod. 32, 761〜772 )又は雌ザル(Sacc
o, A.G. ら (1987) Biol. Reprod., 36, 481-490) 、哺
乳動物間でアミノ酸レベルでかなり相同性が高いと予想
され、従って、PZP−3関連組換えペブチドは種々の
哺乳動物例えばヒト及び、、特にネコ、イヌ、ウサギ、
モルモット等のペット類の避妊又は不妊にも使用できる
と考えられる。
【0022】本発明はさらに、配列番号1で表わされ
る、ブタ卵透明帯PZP−3蛋白質の部分アミノ酸配列
の全部又は一部を含む組換えペプチドの製造方法を提供
する。この方法は、配列番号1で表わされるアミノ酸配
列の全部又は一部をコードする塩基配列を含むDNA
を、複製可能な適切な発現ベクターに組み込む工程、得
られた発現ベクターで適切な宿主を形質転換する工程、
得られた形質転換体を適切な培地中で培養し、前記DN
Aを発現させる工程、及び得られた組換えペプチドを回
収する工程、を包含する。
【0023】本明細書中「ペプチド」なる用語は、短鎖
及び長鎖ペプチドの両方を意味する。ここで、長鎖ペプ
チドは蛋白質をも包含する。
【0024】本発明DNAを発現させるためのベクター
は、ファージ又はプラスミドであり、通常、複製部位と
選択マーカー配列を含む。複製部位は、形質転換される
宿主細胞に適合するプロモーター、ターミネーター、複
製起点、リボソーム結合部位などの配列を適宜含み得
る。特に、プロモーターとしては、原核生物を宿主とす
る場合には常用のlacプロモーター、trpプロモー
ター、バクテリオファージλプロモーター等が、酵母を
宿主とする場合にはアルコールデヒドロゲナーゼや解糖
系酵素類に対するプロモーター等が、動物細胞を宿主と
する場合にはSV40ウイルスプロモーターのようなウ
イルスプロモーター等が挙げられる。また、選択マーカ
ー配列としては、アンピシリン、テトラサイクリン耐性
遺伝子等の抗生物質耐性遺伝子が常用される。
【0025】発現すべき外来遺伝子は、プロモーターの
下流に挿入される。
【0026】宿主細胞は、原核及び真核生物の両方を使
用し得る。原核生物には、大腸菌、枯草菌、放線菌等の
細菌類が含まれ、また、真核生物には、酵母、昆虫細
胞、植物細胞、動物細胞等が含まれる。これらの宿主細
胞は、対象とするペプチドの糖鎖構造の有無に応じて適
宜選択され、一般に、糖鎖を含むペプチドを合成したい
場合には、真核生物が利用される。しかし、その糖鎖構
造は、必要な免疫能が達成される限り、対象とする天然
ペプチドと必ずしも一致していなくてもよい。
【0027】本発明方法で得られる組換えペプチドは、
避妊ワクチン抗原として雌ブタに投与したときに、in
vivoでブタ卵透明帯PZP−3糖蛋白質に結合し
て精子の結合、または、卵胞の発育を阻止することが可
能な該ペプチドに対する抗体を生成するものであればよ
い。従って、このような機能を損わない範囲で置換、欠
失、付加、リン酸化や硫酸化のような修飾等の改変を前
記ペプチドに施してもよい。この改変は、遺伝子レベ
ル、ペプチドレベルの両方で実施し得る。
【0028】本発明の範囲外であるが、上記のペプチド
は化学的ペプチド合成によっても作り得ることは、当業
者には自明であろう。
【0029】PZP−3組換えペプチドは、前述したよ
うに、マウス由来のMZP−3と高い相同性をもつこと
が判明しており、避妊ワクチンとして使用し得る。この
とき、ワクチンは、組換えペプチドの他に、通常、水酸
化アルミニウム、ムラミルジペプチド、Freundの完全又
は不完全アジュバント等のアジュバント、油類及び適切
な希釈剤を含み、溶液、乳濁又は懸濁形態で処方され得
る。
【0030】また、別の種類のワクチン抗原としては、
PZP−3組換えペプチド中のPZP−3精子結合領域
関連エピトープまたは、卵胞の発育抑制を招くような抗
体を誘導するエピトープに対するポリクローナル又はモ
ノクローナル抗体の抗イディオタイプ抗体が挙げられ
る。これらの抗体は常法に従って調製し得る。
【0031】
【実施例】本発明を以下の実施例によりさらに詳細に説
明する。
【0032】実施例 ブタ卵透明帯PZP−3 cDNAライブラリーの作
:5週齢のブタ卵巣1gを液体窒素中で凍結した後、
ブレンダーを用いて粉末状に粉砕した。これを、市販の
mRNA抽出用キット(FastTrack mRNA ISOLATIONKIT,
Invitrogen)の指示された抽出方法に従って、ブタ卵
巣mRNAを調製した。具体的には、凍結粉末状の卵巣
1gに対しキット中のLysis溶液10mlを加えDo
unce Honmogenizerでホモジナイズ
(10−12ストローク)する。これをさらに18Gの
注射筒を通過させた後45℃で2時間ゆっくりと振盪さ
せる。インキュベーション終了後4000×g,10分
間遠心し、沈殿をとらないように注意して上清を回収す
る。この上清に0.5Mとなるように5M NaCl溶
液を加え、混合後生じた白沈殿を21Gの注射筒に通し
て切断する。これに、別途にキット内のBinding
溶液で調製してあるオリゴdTセルロース50mgを加え
室温で1時間転倒混和して反応させる。反応終了後20
00×g,10分間遠心しオリゴdTセルロースを回収
する。このセルロースペレットを再度20mlのBind
ing溶液に懸濁させて洗う。この操作を3回繰り返し
てオリゴdTセルロースを洗浄する。こうして洗浄の終
了したセルロースをキットについているスピンオカラム
につめる。このスピンオカラムにつめた段階でさらにB
inding溶液で洗い、スピンカラムを2000×
g,10秒間遠心し回収溶液のOD280 が0.05以下
になるまで繰り返し洗う。洗浄終了後Binding溶
液を遠心除去し、キット内の溶出溶液0.2mlを加えて
セルロースペレットを十分に懸濁させる。2000×
g,10秒間遠心し溶出液を回収する、再びこのセルロ
ースペレットに0.15mlの溶出溶液を加え再度懸濁後
2000×g,1分間遠心して完全に溶出液をセルロー
スペレットより回収する。この2回の溶出操作で0.3
5mlの回収液が得られる。これにキットについている2
M酢酸ナトリウム溶液を0.15容加え、さらに100
%エタノールを2.5容追加して混合後、−70℃に凍
るまで放置する。凍結後16000×g,15分間遠心
しmRNAを回収する。冷70%エタノールで2回mR
NAペレットを洗浄、真空エバポレーターで乾燥させた
後、適当量の滅菌水に溶解する。一部を適当に希釈して
OD320-230 間のスキャンニングを行ないOD260 の吸
光度値よりmRNA量を算出する。こうして1gの卵巣
より7.7μgのmRNAを精製した。取り扱う試薬、
器具等はすべてRNaseによる分解を防ぐための処理
を施しておいた。
【0033】次に、得られたmRNAを市販の Gubler
& Hoffman 法に基づいたcDNA合成キット(Pharmaci
a Oligo-dT)を用いて、メーカーの指示に従ってcDN
Aに変換し、PCR法の鋳型DNAとした。具体的に
は、mRNA1μgをdTプライマー0.5μgと混合
後70℃、5分間インキュベートし、その後室温に戻し
これにキットのファーストストランド合成試薬(ファー
ストストランドバッファー,ジチオスレイトール溶液,
デオキシヌクレオシド三リン酸混液,リボヌクレアーゼ
インヒビター溶液,ピロリン酸ナトリウム溶液,AMV
逆転写酵素)を加え、42℃,1時間反応した。次にキ
ットのセカンドストランド合成試薬(セカンドストラン
ドバッファー,ジチオスレイトール,NAD溶液,DN
AポリメラーゼI,RNaseH,リガーゼ)を追加し
て14℃,2時間反応させた。反応終了後、70℃,1
0分間の加温処理をした後、氷冷しさらにこれにT4D
NAポリメラーゼIを加え37℃,10分間反応させ、
0.2M EDTAで反応を終了させた。こうして作製
したcDNAを次のPCRの鋳型DNAとして使用す
る。
【0034】得られた鋳型DNAを増幅するために、市
販のPCRキット試薬(GeneAmp DNA Amplification Re
agent Kit, Perkin Elmer Cetus )及びPCR自動化装
置(DNA Thermal Cycler, Perkin Elmer Cetus)を用い
て、メーカーの指示に従ってPCR反応を実施した。反
応条件は次のとおりである。1)熱変性ステップ:94
℃,1分間、2)プライマーのアニーリングステップ:
60℃,2分間、3)プライマーの伸長ステップ:72
℃,3分間から成る3つのステップを1サイクルとして
合計30サイクル行った後、72℃,7分間のプライマ
ーの伸長ステップを1回行って1ラウンドのPCRを終
了した。
【0035】このとき使用したプライマーは、マウス卵
透明帯由来MZP−3(M. J. Chamberlinら(1988) De
v. Biol. 127, 287〜295 )及びヒト卵透明帯由来H
ZP−3(M. E. ChamberlinとJ. Dean (1990) Proc. N
atl. Acad. Sci. USA 87, 6014〜6018)の遺伝子配列か
ら推定した、 プライマー1:5’GATGCCCTGGTGTACA
GCACCTTCCT3’ プライマー2:5’AGGAA[G,T]ATCAG
[G,T]GGCCC[C,T]AC[G,A]GTG
ACATC[T,A]GCTTC3’ (但し、[]はミックスを表わす。)である。
【0036】増幅生成物を、0.8%アガロースゲル電
気泳動に掛け、エチジウムブロマイド染色により約80
0 bp 程度のDNA が増幅されているのを確認した。この
DNAをゲルから市販のDNA抽出キット(GENECLEAN
II, BIO101)を用いて、メーカーの指示に従って精製
し、市販のベクターへサブクローニングを行なった。
【0037】PZP−3 cDNAの配列決定 得られたcDNAを DNA Blunting Kit (TAKARA)を用
いて、メーカーの指示に従って平滑末端化し、DNAラ
イゲーションキット(TAKARA)を用いてpUC119ベ
クターのSmaI部位に連結した。その後、コンピテン
トセルcoli DH5αに常法に従って形質転換
した。形質転換株を、20μg/mlのXgal,100
μg/mlのアンピシリンを含むLB−プレートに播いて
増えてきた白色のコロニーを拾い上げた後、培養培地
(アピシリン−LB培地)中で小スケール培養を行った。
【0038】市販のプラスミド調製用キット(QIAGEN H
i Purity Plasmid Kit, QIAGEN)を用いて、メーカーの
指示に従ってプラスミドを回収し、常用の二本鎖DNA
シークエンス法に従ってアルカリ変性処理を行った後、
ジデオキシ終止鎖法のDNAシークエンスキット(SEQU
ENSE VERSION 2.07-deaza-dGTP Kit, USB )を用いてP
ZP−3 cDNAの塩基配列及び推定アミノ酸配列を
決定した。決定されたこれらの配列はともに、配列表中
配列番号1として示した。得られたPZP−3遺伝子
は、258アミノ酸をコードする774 bp のヌクレオ
チド配列を構成するものであった。
【0039】
【発明の効果】ブタ卵透明帯PZP−3蛋白質の部分ア
ミノ酸配列をコードするDNA配列を発現させて得られ
るPZP−3関連組換えペプチドは、ブタ避妊又は不妊
用のワクチン抗原として有用である。また、他の哺乳動
物の卵透明帯ZP−3蛋白質と相同なアミノ酸配列を該
ワクチン抗原として用いる場合には、ブタ以外の哺乳動
物の避妊又は不妊も可能となろう。
【0040】
【配列表】
配列番号:1 配列の長さ:774 配列の型:核酸 鎖の数:二本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:cDNA to mRNA 起 源: 生物名:雌ブタ 組織の種類:卵巣 配列: GAT GCC CTG GTG TAC AGC ACC TTC CTG CGC CAT GAC CCC CGC CCT GCA 48 Asp Ala Leu Val Tyr Ser Thr Phe Leu Arg His Asp Pro Arg Pro Ala 1 5 10 15 GGA AAC CTG TCC ATC CTG AGG ACG AAC CGT GCG GAG GTC CCC ATC GAG 96 Gly Asn Leu Ser Ile Leu Arg Thr Asn Arg Ala Glu Val Pro Ile Glu 20 25 30 TGT CAC TAC CCC AGG CAG GGC AAC GTG AGC AGC TGG GCC ATC CTG CCC 144 Cys His Tyr Pro Arg Gln Gly Asn Val Ser Ser Trp Ala Ile Leu Pro 35 40 45 ACC TGG GTG CCC TTC AGG ACC ACT GGT GTC TCC GAG GAG AAG CTG GTG 192 Thr Trp Val Pro Phe Arg Thr Thr Gly Val Ser Glu Glu Lys Leu Val 50 55 60 TTC TCT CTG CGC CTG ATG GAG GAA AAC TGG AGC GCC GAG AAG ATG ACG 240 Phe Ser Leu Arg Leu Met Glu Glu Asn Trp Ser Ala Glu Lys Met Thr 65 70 75 80 CCC ACC TTC CAG CTG GCG GAC AGA GCC CAC CTC CAG GCC CAA GTC CAC 288 Pro Thr Phe Gln Leu Ala Asp Arg Ala His Leu Gln Ala Gln Val His 85 90 95 ACC GGC AGC CAC GTG CCA CTG AGG CTG TTT GTG GAC CAC TGT GTG GCC 336 Thr Gly Ser His Val Pro Leu Arg Leu Phe Val Asp His Cys Val Ala 100 105 110 ACG CTG ACG CCG GAC TGG AAC ACC TCC CCC TCT CAC ACC ATC GTG GAC 384 Thr Leu Thr Pro Asp Trp Asn Thr Ser Pro Ser His Thr Ile Val Asp 115 120 125 TTC CAC GGC TGT CTC GTG GAC GGT CTC ACT GAG GCC TCA TCT GCT TTC 432 Phe His Gly Cys Leu Val Asp Gly Leu Thr Glu Ala Ser Ser Ala Phe 130 135 140 AAA GCA CCT AGA CCT GGA CCA GAG ACG CTC CAG TTC ACC GTG GAT GTG 480 Lys Ala Pro Arg Pro Gly Pro Glu Thr Leu Gln Phe Thr Val Asp Val 145 150 155 160 TTC CAT TTT GCT AAT GAT TCC AGA AAC ACG ATC TAC ATC ACC TGC CAT 528 Phe His Phe Ala Asn Asp Ser Arg Asn Thr Ile Tyr Ile Thr Cys His 165 170 175 CTG AAG GTC ACT CCG GCT GAC CGA GTC CCG GAC CAA CTC AAC AAA GCC 576 Leu Lys Val Thr Pro Ala Asp Arg Val Pro Asp Gln Leu Asn Lys Ala 180 185 190 TGT TCC TTC AGC AAG TCC TCC AAC AGG TGG TCC CCG GTG GAA GGG CCT 624 Cys Ser Phe Ser Lys Ser Ser Asn Arg Trp Ser Pro Val Glu Gly Pro 195 200 205 GCT GTT ATC TGT CGT TGC TGT CAC AAG GGG CAG TGT GGT ACC CCA AGC 672 Ala Val Ile Cys Arg Cys Cys His Lys Gly Gln Cys Gly Thr Pro Ser 210 215 220 CTT TCC AGG AAG CTG TCT ATG CCG AAG AGA CAG TCT GCT CCC CGC AGT 720 Leu Ser Arg Lys Leu Ser Met Pro Lys Arg Gln Ser Ala Pro Arg Ser 225 230 235 240 CGC AGG CAC GTG ACA GAT GAA GCA GAT GTC ACT GTA GGG CCA CTG ATA 768 Arg Arg His Val Thr Asp Glu Ala Asp Val Thr Val Gly Pro Leu Ile 245 250 255 TTC CTG 774 Phe Leu
【図面の簡単な説明】
【図1】この図は、遺伝子工学手法により決定されたマ
ウス及びブタ卵透明帯ZP−3の推定アミノ酸配列の比
較を示す。
【図2】この図は、遺伝子工学手法により決定されたマ
ウス及びブタ卵透明帯ZP−3の推定アミノ酸配列(図
1の配列の続き)の比較を示す。
【図3】この図は、遺伝子工学手法により決定されたマ
ウス及びブタ卵透明帯ZP−3の推定アミノ酸配列(図
2の配列の続き)の比較を示す。
【図4】この図は、遺伝子工学手法により決定されたヒ
ト及びブタ卵透明帯ZP−3の推定アミノ酸配列の比較
を示す。
【図5】この図は、遺伝子工学手法により決定されたヒ
ト及びブタ卵透明帯ZP−3の推定アミノ酸配列(図4
の配列の続き)の比較を示す。
【図6】この図は、遺伝子工学手法により決定されたヒ
ト及びブタ卵透明帯ZP−3の推定アミノ酸配列(図5
の配列の続き)の比較を示す。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 配列番号1で表わされる、ブタ卵透明帯
    PZP−3蛋白質の部分アミノ酸配列の全部又は一部を
    コードする塩基配列を含むDNA。
  2. 【請求項2】 前記塩基配列が、配列番号1で表わされ
    る塩基配列の全部又は一部である請求項1記載のDN
    A。
  3. 【請求項3】 配列番号1で表わされる、ブタ卵透明帯
    PZP−3蛋白質の部分アミノ酸配列の全部又は一部を
    含む組換えペプチドの製造方法であって、請求項1又は
    2記載のDNAを複製可能な適切な発現ベクターに組み
    込み、得られた発現ベクターで適切な宿主を形質転換
    し、得られた形質転換体を適切な培地中で培養し、前記
    DNAを発現させ、及び得られた組換えペプチドを回収
    する、ことを包含する方法。
JP34231891A 1991-11-29 1991-11-29 ブタ卵透明帯pzp−3をコードするdna Pending JPH05176771A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO1996006113A1 (en) * 1994-08-22 1996-02-29 Akzo Nobel N.V. New immunocontraceptive peptides

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO1996006113A1 (en) * 1994-08-22 1996-02-29 Akzo Nobel N.V. New immunocontraceptive peptides

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