JPH0517495Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔考案の目的〕 （産業上の利用分野） この考案は、自動２輪車などの変速装置に用い
られるミツシヨンギアの潤滑装置に関する。

（従来の技術） 自動２輪車の変速装置などには、ミツシヨンギ
ア機構が多く用いられている。その一般的な構成
としては、クランク軸から開閉クラツチを介して
回転を伝えられるカウンタ軸にドラブギア列を軸
装し、これに並列されたドライブ軸にドリブンギ
ア列を軸装して噛合わせ、所定のギアシフトによ
つて変速するようになつている。

ミツシヨンギア機構はミツシヨン室内に収納さ
れて潤滑される。潤滑の方法は、第５図に示すよ
うに、軸とギアとの間の相対回転、軸とドツグク
ラツチとの間のスライド運動などに対しては、カ
ウンタ軸ａ、ドライブ軸ｂの軸心にあけたオイル
通路ｃ，ｄから所要の位置にオイルが圧送して供
給される。ドライブギア列ｅとドリブンギア列ｆ
の噛合に対する潤滑は、ミツシヨン室内底部にプ
ールしたオイルｇにギアの下部を浸漬して歯部を
濡らせる方法があるが、より直接的にオイルを供
給するため、軸方向に多数の滴下穴ｈを配列した
オイルパイプｉを両ギア列ｅ，ｆの噛合部上方に
沿つて横架し、オイルパイプ内に供給したオイル
を滴下させるようにする。

しかしながら、このオイルパイプ方式では、滴
下穴が確実に下を向いていないと、オイルがミツ
シヨンギア噛合部以外のところに落ちて潤滑不良
を招く心配があり、このための姿勢制御の機構を
含め、ミツシヨンケース内にこのようなオイルパ
イプを配置するのは実公昭60−145660号公報に示
されたように複雑な加工と組付手数とを要すると
いう問題があつた。

（考案が解決しようとする問題点） このように、ミツシヨンギアの噛合部上部に沿
つてオイルパイプを横架し、その下部に配列した
滴下穴からオイルを滴下するようにしたミツシヨ
ンギアの潤滑装置では、オイルパイプの滴下穴を
確実に下を向けて設置するのには加工性や組付性
がよくないという問題があるのに鑑み、この考案
は、滴下穴の位置に関係なく確実にミツシヨンギ
ア噛合部にオイルを滴下させることができるよう
にして、加工性、組付性よくオイルパイプをミツ
シヨン室内に架設できるミツシヨンギアの潤滑装
置を提供することを目的とする。

〔考案の構成〕

（問題点を解決するための手段） 上記の目的を達成するため、この考案のミツシ
ヨンギアの潤滑装置は、ミツシヨンギア機構のド
ライブギア列とドリブンギア列の噛合部ラインの
上方に沿つて、ミツシヨンケース上壁から延設さ
れた２条のリブによつ下向きの溝を形成し、この
溝内に多数の滴下孔を配列したオイルパイプを架
設した構成をとる。

（作用） このように構成したもので、オイルパイプの架
設のとき、滴下穴が必ずしも下向きにならない場
合でも、その横向き、上向きの滴下穴から噴出し
たオイルが溝壁に当り、飛び散ることなくリブ下
縁から滴下するので、確実にミツシヨンギア噛合
部に落ちる。

したがつてオイルパイプの姿勢を考慮すること
なく架設でき、その架設のための構造を極めて単
純にして加工性や組付性を向上する。

（実施例） 以下この考案の実施例を示す図に就いて説明す
る。

先ず自動２輪車のエンジン動力伝導系は第３
図、第４図に示すように、次のようにレイアウト
される。エンジンのクランク軸１端のプライマリ
ドライブギア２がカウンタ軸３上のプライマリド
リブンギア４と噛合い、このプライマリドリブン
ギア４とカウンタ軸３との間には開閉クラツチ５
が介装される。

カウンタ軸３にはミツシヨンギア機構のドライ
ブギア列６が軸装され、ドライブ軸７のドリブン
ギア列８と噛合い、そのギアシフトされた減速比
によりドライブ軸７が駆動される。ドライブ軸７
端にはドライブスプロケツトホイール９が固定さ
れ、チエーンを介して駆動輪に動力を伝える。

上記クランク軸１はクランクケース１０に軸架
され、カウンタ軸３およびドライブ軸７はクラン
クケース１０に連設されたミツシヨンケース１１
に軸架される。

このミツシヨンケース１１は一側が側壁１２に
よつて閉塞され、他側が開放された凹室に形成さ
れ、開放端面１３にミツシヨンカバー１４が被着
されてミツシヨン室１１ａを形成する。１５は被
着用の締着ビスを示す。

上記カウンタ軸３およびドライブ軸７は側壁１
２とミツシヨンカバー１４に跨架される。組付け
の順序としては、先にミツシヨンカバー１４に軸
合し、ドライブ、ドリブンギア列６，８を組付け
て置き、ミツシヨンカバー１４を被せると同時に
側壁１２へ挿し込んで軸合する。ミツシヨンカバ
ー１４を外すとミツシヨンギヤ機構が軸と共に抜
き出すことができるようにしたものである。

カウンタ軸尾端３ａはミツシヨンカバー１４か
ら突出し前記プライマリドリブンギア４および開
閉クラツチ５が軸合される。ドライブ軸先端７ａ
は側壁１２から突出して前記ドライブスプロケツ
トホイール９が固定される。

ミツシヨンケース１１の開放端面１３はミツシ
ヨンカバー１４との合わせ面になつている。その
合わせ面の外周からクラツチケース１６が広拡し
て延設され、クラツチカバー１７を被せてクラツ
チ室１６ａが形成される。クラツチ室１６ａには
上記開閉クラツチ５などと共に、プライマリドラ
イブギア２およびキツク軸１８が収容される。

次に、１９はミツシヨン潤滑用オイルポンプ、
２０はエンジン潤滑用オイルポンプを示し、両ポ
ンプ１９，２０はドリブンギアの１つ８ａに噛合
う共通のオイルポンプドリブンギア２１により駆
動される。ミツシヨン潤滑用オイルポンプ１９に
より圧送されたオイルは、オイル通路２２を経
て、ミツシヨンケース１１やミツシヨンカバー１
４の肉厚部を通る図示しないオイル通路に導か
れ、さらにカウンタ軸３、ドライブ軸７の軸心を
通るオイル通路２３，２４を通つて、軸受部２５
ａ，２５ｂ，２６ａ，２６ｂやドライブ、ドリブ
ンギア列６，８の軸合部などを潤滑する。

さらにミツシヨンギア機構のドライブギア列
６、ドリブンギア列８が噛合う一連のラインの上
方に沿つて、ミツシヨンケース上壁２７から延設
された一対のリブ２８ａ，２８ｂによつて下向き
の溝２８が形成されていて、その中にオイルパイ
プ２９が架設される。

オイルパイプ２９は、多数の滴下穴３０が開設
され、先端がミツシヨンケース側壁１２内面にあ
けためくら穴３１に挿嵌される。めくら穴３１に
はミツシヨンケース１１肉厚内を通つて導かれた
オイル通路３２が連通し、オイルパイプ２９にオ
イルを供給する。一方尾端はプラグ３４で閉塞さ
れたミツシヨンカバー１４の貫通孔３３を抜けて
クラツチ室側に突出し、ねじ３６で取着けられた
リテーナ３５により軸方向を位置決めされる。周
方向の位置は規制がない。

オイルパイプ２９に導入されたオイルは、滴下
穴３０から噴出する。この場合、第２図に示すよ
うに、滴下穴３０が横向きであつても、リブ２８
ａ，２８ｂに当つて飛び散ることがなく、その下
縁から滴下して、正確にミツシヨンギアの噛合部
に落ちる。

したがつて、オイルパイプ２９の架設には、滴
下穴３０の位置を考慮しないで、貫通孔３３から
挿し込んで止着するだけでよい。

〔考案の効果〕

上記の通り、この考案に係るミツシヨンギアの
潤滑装置は、ミツシヨンギア機構のドライブギア
列とドリブンギア列の噛合部ラインの上方に沿つ
て、ミツシヨンケース上壁から延設された２条の
リブによつて下向きの溝を形成し、この溝内に多
数の滴下孔を配列したオイルパイプを架設したも
ので、構造の簡素化、部品点数の削減によつて加
工性、組付性を改善した上で、オイルを正確にミ
ツシヨンギア噛合部に供給して、潤滑性能を向上
する効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案の実施例を示すミツシヨンギ
ア機構の第３図Ａ−Ａ矢視拡大断面図、第２図は
第１図のＣ−Ｃ矢視断面図、第３図は自動２輪車
伝導系を示す側面図、第４図は第３図のＢ−Ｂ矢
視断面図、第５図はミツシヨンギアの潤滑装置の
基本構造を示す説明図である。 ３……カウンタ軸、６……ドライブギア列、７
……ドライブ軸、８……ドリブンギア列、１１…
…ミツシヨンケース、１２……側壁、１４……ミ
ツシヨンカバー、１９……ミツシヨン潤滑用オイ
ルポンプ、２７……ミツシヨンケース上壁、２８
……溝、２８ａ，２８ｂ……リブ、２９……オイ
ルパイプ、３０……滴下穴。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ミツシヨンギア機構のドライブギア列とドリブ
   ンギア列の噛合部ラインの上方に沿つて、ミツシ
   ヨンケース上壁から延設された２条のリブによつ
   て下向きの溝を形成し、この溝内に多数の滴下孔
   を配列したオイルパイプを架設したことを特徴と
   するミツシヨンギアの潤滑装置。