JPH05172081A - 揚水ポンプ装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 大容量高揚程での排水を可能にし、同時に、
ポンプ出力の低減を図って省エネルギーを達成する。 【構成】 共通の回転軸１６を介して駆動される低揚程
上段ポンプ４と高揚程下段ポンプ９とを、各別の揚水通
路８，１３と各別の流入路６，１１に連通する。開閉弁
１５を有する空気管１４を低揚程上段ポンプ４の羽根車
室に接続する。高水位時には両方のポンプを運転して大
容量での揚水運転を行うか、あるいは空気管１４で低揚
程上段ポンプ４の羽根車室に外気を連通させ、低揚程上
段ポンプ４を気水混合待機運転状態して高揚程下段ポン
プ９での揚水を行う。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、高揚程での揚水運転が
要求される揚水ポンプ装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】近時の都市部の密集化傾向により、洪水
対策用の排貯水路を地上に設けることが困難な状況にな
ってきた。そこで、大深度地下利用の一貫として、地下
に排貯水機能を備えた大規模なポンプ場を建設するとい
う構想が打ち出されている。

【０００３】たとえば地下５０ｍといった大深度地下に
ポンプ場を設ける場合、地下の排貯水路に溜まった水を
地上の吐出槽などに排出するには、高揚程のポンプ設備
が必要になる。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】このための対策とし
て、揚水通路の始端部に高揚程専用ポンプを設けること
が考えられたが、そのようにするとポンプ駆動用原動機
に大出力が要求され、省エネルギーを図ることが難しく
なる。

【０００５】本発明は以上の問題に鑑みてなされたもの
で、高揚程での排水が可能であるにもかかわらず、ポン
プに要求される出力の低減を図って省エネルギーを達成
することの可能な揚水ポンプ装置を提供することを目的
とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明による揚水ポンプ
装置は、吸水槽と、吸水槽の高さの異なる箇所に具備さ
れた上部取水口および下部取水口と、吐出口が揚水通路
に連通された低揚程上段ポンプと、吐出口が別の揚水通
路に連通された高揚程下段ポンプと、上部取水口と低揚
程上段ポンプの吸込口とを連通する上部流入路と、下部
取水口と高揚程下段ポンプの吸込口とを連通する下部流
入路と、低揚程上段ポンプの内部空間と外気中とを連通
する空気管と、空気管に介設された開閉弁とを備え、低
揚程上段ポンプと高揚程下段ポンプとが共通の回転軸に
連結されているものである。

【０００７】

【作用】上記構成の揚水ポンプ装置によれば、低揚程上
段ポンプと高揚程下段ポンプの両方を運転して大容量で
の揚水運転が可能になる。また、低揚程上段ポンプの吸
込口に水が流入する程度に吸水槽の水位が高くても、低
揚程上段ポンプの内部空間を空気管を介して外気に連通
させると、低揚程上段ポンプの運転状態が気水混合待機
運転状態に設定され、揚水を主に高揚程下段ポンプで行
わせることができる。吸水槽が低水位のときには高揚程
下段ポンプだけが揚水に寄与するので低揚程上段ポンプ
に負荷を受けにくい。

【０００８】

【実施例】図１は本発明の実施例による揚水ポンプ装置
を示し、１は地下５０ｍといった大深度地下に設けられ
た吸水槽である。図示していないが、この吸水槽１には
地上の河川からの分流水が立坑や地下の排貯水路を通し
て流れ込むようになっている。また、吸水槽１は高さの
異なる２箇所に上部取水口２と下部取水口３とを具備す
る。４は低揚程上段ポンプで、その吸込口５が上部流入
路６で上記上部取水口２に連通され、その吐出口７が揚
水通路８に連通されている。この揚水通路８は地上に設
けられた吐出槽（不図示）に臨んでいる。９は高揚程下
段ポンプで、その吸込口１０が下部流入路１１で上記下
部取水口３に連通され、その吐出口１２が揚水通路１３
に連通されている。この揚水通路１３も地上に設けられ
た上記吐出槽に臨んでいる。１４は空気管で、低揚程上
段ポンプ４の内部空間（たとえば羽根車室）と地上の外
気中とを連通しており、しかも開閉弁１５を備える。

【０００９】低揚程上段ポンプ４と高揚程下段ポンプ９
とは共通の回転軸１６に連結され、この回転軸１６が原
動機（不図示）で回転駆動される。

【００１０】以上の構成で、開閉弁１５が閉じられ、か
つ吸水槽１の水面が上部取水口２よりも上にある高水位
時には、上部流入路６と下部流入路１１に吸水槽１の水
が流入する。したがって、原動機を運転して回転軸１６
を回転させると、高揚程下段ポンプ９では下部流入路１
１の水が吸込口１９から吸い込まれ、吐出口１２から吐
出されて揚水通路１３を揚水される一方、低揚程上段ポ
ンプ４では下部流入路６の水が吸込口５から吸い込ま
れ、吐出口７から吐出されて揚水通路８を揚水される。
したがって、両方のポンプ４，９によって大容量の水が
揚水される。

【００１１】また、吸水槽１の水面が上部取水口２より
も上にある高水位時に、開閉弁１５を開けて外気中と低
揚程上段ポンプ４の羽根車室とを空気管１４で連通させ
ておくと、高揚程下段ポンプ９での揚水は上述したとこ
ろと同様に行われるけれども、低揚程上段ポンプ４では
気水混合待機運転状態になる。したがって、高揚程下段
ポンプ９の性能に見合った容量の揚水が行われ、しかも
そのときに低揚程下段ポンプ４が原動機の負荷になりに
くい。すなわち、低揚程上段ポンプ４が気水混合待機運
転状態になることにより、吸水槽１の水位が上部取水口
２より上にあるにもかかわらず、原動機に加わる負荷
は、吸水槽１の水位が上部取水口２より下にある場合と
同等の大きさになる。

【００１２】吸水槽１の水位が上部取水口２より下にあ
る低水位時には、低揚程上段ポンプ４は気中運転にな
り、揚水は高揚程下段ポンプ９のみによって行われる。
この場合にも、低揚程上段ポンプ４は気中運転状態であ
るから、原動機にな負荷が加わらない。

【００１３】

【発明の効果】本発明によれば、吸水槽の水位に応じて
高揚程下段ポンプと低揚程上段ポンプとを組み合わせた
大容量揚水運転が可能になるだけでなく、空気管の開閉
弁を制御することにより吸水槽が高水位時でも低水位時
の出力での運転が可能になり、このことが、省エネルギ
ーにつながる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施例による揚水ポンプ装置を断面で
示した説明図である。

【符号の説明】

１ 吸水槽 ２ 上部取水口 ３ 下部取水口 ４ 低揚程上段ポンプ ６ 上部流入路 ７ 低揚程上段ポンプの吐出口 ８ 揚水通路 ９ 高揚程下段ポンプ １１ 下部流入路 １２ 高揚程下段ポンプの吐出口 １３ 揚水通路 １４ 空気管 １５ 開閉弁 １６ 回転軸

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 吸水槽と、吸水槽の高さの異なる箇所に
   具備された上部取水口および下部取水口と、吐出口が揚
   水通路に連通された低揚程上段ポンプと、吐出口が別の
   揚水通路に連通された高揚程下段ポンプと、上部取水口
   と低揚程上段ポンプの吸込口とを連通する上部流入路
   と、下部取水口と高揚程下段ポンプの吸込口とを連通す
   る下部流入路と、低揚程上段ポンプの内部空間と外気中
   とを連通する空気管と、空気管に介設された開閉弁とを
   備え、低揚程上段ポンプと高揚程下段ポンプとが共通の
   回転軸に連結されていることを特徴とする揚水ポンプ装
   置。