JPH05171267A - 高靭性パーライト鋼の製造法 - Google Patents
高靭性パーライト鋼の製造法Info
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- JPH05171267A JPH05171267A JP24951691A JP24951691A JPH05171267A JP H05171267 A JPH05171267 A JP H05171267A JP 24951691 A JP24951691 A JP 24951691A JP 24951691 A JP24951691 A JP 24951691A JP H05171267 A JPH05171267 A JP H05171267A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 レール鋼などの共析炭素鋼の靭性向上。
【構成】 共析炭素量および各種合金を限定添加したB
=5〜40ppm(鉄の炭硼化物を析出させる)、N=3
0〜50ppm含む鋼を溶体化後急冷(窒化物を分解)し
た後、1000℃前後に加熱(NをAlNとして固定)
圧延後、800℃まで急冷(BNの析出を抑制)し、8
00〜750℃を徐冷(鉄の炭硼化物を析出させる)し
た後、放冷または加速冷却(強度の向上)することを特
徴とする高靭性パーライト鋼の製造法。 【効果】 鉄の炭硼化物の析出物をパーライトの変態核
として作用させ、パーライトのγ粒内変態を促進させ
る。その結果、パーライトが微細となり、靭性が向上す
る。鋼中の合金添加量および変態時の加速冷却を併用す
ると高強度も同時に得られる。これにより高靭性の耐摩
耗鋼の製造が可能となった。
=5〜40ppm(鉄の炭硼化物を析出させる)、N=3
0〜50ppm含む鋼を溶体化後急冷(窒化物を分解)し
た後、1000℃前後に加熱(NをAlNとして固定)
圧延後、800℃まで急冷(BNの析出を抑制)し、8
00〜750℃を徐冷(鉄の炭硼化物を析出させる)し
た後、放冷または加速冷却(強度の向上)することを特
徴とする高靭性パーライト鋼の製造法。 【効果】 鉄の炭硼化物の析出物をパーライトの変態核
として作用させ、パーライトのγ粒内変態を促進させ
る。その結果、パーライトが微細となり、靭性が向上す
る。鋼中の合金添加量および変態時の加速冷却を併用す
ると高強度も同時に得られる。これにより高靭性の耐摩
耗鋼の製造が可能となった。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は機械、建築、橋梁、鉄道
その他の産業構造用材料として使用される強度と耐摩耗
性に優れた高炭素パーライト組織を呈した鋼に靭性を付
与した高靭性パーライト鋼の製造法に関するものであ
る。
その他の産業構造用材料として使用される強度と耐摩耗
性に優れた高炭素パーライト組織を呈した鋼に靭性を付
与した高靭性パーライト鋼の製造法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】高炭素でパーライトの金属組織を呈した
鋼は強度が高く、耐摩耗性が良好なことから構造用材料
として使用され、中でも鉄道車両の重量増加に伴う高軸
荷重化や高速輸送化に対応してレールが特に多く使用さ
れている。このような鋼材の製造に関しては、例えば特
開昭55−276号公報には「パーライト組織を呈し易
い特定成分の鋼を、Ac3 点以上の加熱温度から冷却し
て450〜600℃の温度で恒温変態させて、微細パー
ライト組織を生成させる硬質レールの製造法」が、また
特開昭58−221229号公報では「C:0.65〜
0.85%、Mn:0.5〜2.5%を含有して高温度
の熱を保有したMn鋼レールを急冷し、レールまたはレ
ールヘッドの組織を微細なパーライトとして耐摩耗性を
改善したレールの熱処理法」を、さらに特開昭59−1
33322号公報においては「安定してパーライト組織
が得られる特定成分の圧延レールを、Ar3 点以上の温
度から特定温度の溶融塩浴中に浸漬して、レール頭頂部
表面下約10mmまでにHv>350の硬さをもつ微細な
パーライト組織を呈するレールの熱処理方法」が開示さ
れているように、多くの技術が知られている。
鋼は強度が高く、耐摩耗性が良好なことから構造用材料
として使用され、中でも鉄道車両の重量増加に伴う高軸
荷重化や高速輸送化に対応してレールが特に多く使用さ
れている。このような鋼材の製造に関しては、例えば特
開昭55−276号公報には「パーライト組織を呈し易
い特定成分の鋼を、Ac3 点以上の加熱温度から冷却し
て450〜600℃の温度で恒温変態させて、微細パー
ライト組織を生成させる硬質レールの製造法」が、また
特開昭58−221229号公報では「C:0.65〜
0.85%、Mn:0.5〜2.5%を含有して高温度
の熱を保有したMn鋼レールを急冷し、レールまたはレ
ールヘッドの組織を微細なパーライトとして耐摩耗性を
改善したレールの熱処理法」を、さらに特開昭59−1
33322号公報においては「安定してパーライト組織
が得られる特定成分の圧延レールを、Ar3 点以上の温
度から特定温度の溶融塩浴中に浸漬して、レール頭頂部
表面下約10mmまでにHv>350の硬さをもつ微細な
パーライト組織を呈するレールの熱処理方法」が開示さ
れているように、多くの技術が知られている。
【0003】しかしながら、パーライト鋼の強度や耐摩
耗性は合金元素の添加によって所要の規格品が容易に得
られるとは言え、靭性はフェライト組織を主体とした鋼
に比較して著しく低く、例えばパーライトレール鋼では
JIS3号Uノッチシャルピー試験での常温試験値で1
〜3 kgf・m程度である。このように靭性の低い鋼を、
繰り返し荷重や振動が懸かる分野で構造部材として使用
した場合、早い時期に破壊を引き起こす問題があった。
耗性は合金元素の添加によって所要の規格品が容易に得
られるとは言え、靭性はフェライト組織を主体とした鋼
に比較して著しく低く、例えばパーライトレール鋼では
JIS3号Uノッチシャルピー試験での常温試験値で1
〜3 kgf・m程度である。このように靭性の低い鋼を、
繰り返し荷重や振動が懸かる分野で構造部材として使用
した場合、早い時期に破壊を引き起こす問題があった。
【0004】一般に、鋼の靭性を向上させる手段には、
金属組織の細粒化つまりオーステナイト組織の細粒化や
粒内変態によって達成されるものと言われている。一般
にオーステナイト組織の細粒化は、例えば圧延時の低温
加熱あるいは特開昭63−277721号公報のように
制御圧延と加熱処理の組合せ、また圧延後の低温加熱処
理などが利用されている。しかし、レールの製造法にお
いては、成形性確保の観点から圧延時の低温加熱や制御
圧延の適用が困難な理由から、今日においても従来から
低温加熱処理法による靭性向上が図られている。ところ
が、この方法も、近来の各鋼製品における省力化・生産
性向上技術の開発が進められる中で、製造コストが高
く、生産性も低いなど、早期解決すべき問題がある。
金属組織の細粒化つまりオーステナイト組織の細粒化や
粒内変態によって達成されるものと言われている。一般
にオーステナイト組織の細粒化は、例えば圧延時の低温
加熱あるいは特開昭63−277721号公報のように
制御圧延と加熱処理の組合せ、また圧延後の低温加熱処
理などが利用されている。しかし、レールの製造法にお
いては、成形性確保の観点から圧延時の低温加熱や制御
圧延の適用が困難な理由から、今日においても従来から
低温加熱処理法による靭性向上が図られている。ところ
が、この方法も、近来の各鋼製品における省力化・生産
性向上技術の開発が進められる中で、製造コストが高
く、生産性も低いなど、早期解決すべき問題がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記問題を解
決するために、鋼中に特殊化合物を安定して析出する処
理を行いこれによって、レール等の共析炭素鋼の靭性を
向上する方法を提供するものである。
決するために、鋼中に特殊化合物を安定して析出する処
理を行いこれによって、レール等の共析炭素鋼の靭性を
向上する方法を提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、細粒のパ
ーライト組織を得て靭性を向上させた鋼を製造するため
に鋼成分とその製造法から多くの実験を試みた結果の中
から、不可避的不純物のN成分を含有する共析炭素鋼に
B成分を添加した鋼片を窒化物溶体化処理を施して制御
冷却すると、パーライト変態時にオーステナイト粒内に
パーライトの変態核となる鉄炭硼化物〔Fe23(CB)
6 〕を析出し、これによって、結果的に細粒パーライト
組織が得られることを知見した。
ーライト組織を得て靭性を向上させた鋼を製造するため
に鋼成分とその製造法から多くの実験を試みた結果の中
から、不可避的不純物のN成分を含有する共析炭素鋼に
B成分を添加した鋼片を窒化物溶体化処理を施して制御
冷却すると、パーライト変態時にオーステナイト粒内に
パーライトの変態核となる鉄炭硼化物〔Fe23(CB)
6 〕を析出し、これによって、結果的に細粒パーライト
組織が得られることを知見した。
【0007】本発明はこの知見に基づいて構成したもの
で、その要旨とするところは、重量%として、 C :0.60〜1.00%、 Si:0.10
〜1.00%、 Mn:0.40〜1.50%、 Al:0.02
0%以下、 B :0.0005〜0.0040%、N :0.00
30〜0.0050% を含有し、あるいは必要により Cr:0.05〜2.00%、 Mo:0.05
〜0.5%、 V :0.02〜0.1%、 Nb:0.01
〜0.005%、 Co:0.1〜2.0% の1種または2種以上を含有して残部がFeおよび不可
避的不純物からなる鋼片を1100〜1200℃に加熱
した後60℃/min以上の速度で600℃以下の温度に
冷却する溶体化を施した後、950〜1050℃の温度
に加熱して各種の製品形状に圧延する過程または圧延を
完了するあるいは完了した後の900〜800℃の温度
間を空冷以上の速さで冷却し、続いて800〜750℃
を50℃/min以下の速さで冷却した後、750〜70
0℃の温度から放冷または100〜300℃/minで5
00℃以下まで冷却する高靭性パーライト鋼の製造法で
ある。
で、その要旨とするところは、重量%として、 C :0.60〜1.00%、 Si:0.10
〜1.00%、 Mn:0.40〜1.50%、 Al:0.02
0%以下、 B :0.0005〜0.0040%、N :0.00
30〜0.0050% を含有し、あるいは必要により Cr:0.05〜2.00%、 Mo:0.05
〜0.5%、 V :0.02〜0.1%、 Nb:0.01
〜0.005%、 Co:0.1〜2.0% の1種または2種以上を含有して残部がFeおよび不可
避的不純物からなる鋼片を1100〜1200℃に加熱
した後60℃/min以上の速度で600℃以下の温度に
冷却する溶体化を施した後、950〜1050℃の温度
に加熱して各種の製品形状に圧延する過程または圧延を
完了するあるいは完了した後の900〜800℃の温度
間を空冷以上の速さで冷却し、続いて800〜750℃
を50℃/min以下の速さで冷却した後、750〜70
0℃の温度から放冷または100〜300℃/minで5
00℃以下まで冷却する高靭性パーライト鋼の製造法で
ある。
【0008】以下、本発明について詳細に説明をする。
先ず本発明において鋼成分を上記のように限定した理由
について説明する。Cは強度を向上させ、さらにはパー
ライト組織を生成させて耐摩耗性を確保するに有効な成
分として0.60%以上の含有が必要である。しかし
1.00%を越える高い含有量ではセメンタイト組織が
多く析出して硬度は増加するが、延性は著しく低下し、
靭性も劣化する。
先ず本発明において鋼成分を上記のように限定した理由
について説明する。Cは強度を向上させ、さらにはパー
ライト組織を生成させて耐摩耗性を確保するに有効な成
分として0.60%以上の含有が必要である。しかし
1.00%を越える高い含有量ではセメンタイト組織が
多く析出して硬度は増加するが、延性は著しく低下し、
靭性も劣化する。
【0009】Siはパーライト組織を強化する有効な成
分として、0.10%以上を含有させる。しかし1.0
0%を越える含有量はマルテンサイト組織を呈して鋼を
脆化する問題がある。従って、Siは、パーライト組織
の強化成分として0.10〜1.00%の含有量に限定
した。
分として、0.10%以上を含有させる。しかし1.0
0%を越える含有量はマルテンサイト組織を呈して鋼を
脆化する問題がある。従って、Siは、パーライト組織
の強化成分として0.10〜1.00%の含有量に限定
した。
【0010】Mnはパーライト組織の強化成分である。
0.4%より少ない含有量はその効果が小さく、反対に
1.50%を越えるとベイナイト組織やマルテンサイト
組織を生成してパーライト組織の生成が減じられ本発明
の目的の鋼が得られ難くなる。
0.4%より少ない含有量はその効果が小さく、反対に
1.50%を越えるとベイナイト組織やマルテンサイト
組織を生成してパーライト組織の生成が減じられ本発明
の目的の鋼が得られ難くなる。
【0011】Alは製鋼過程で脱酸剤として使用され鋼
中に残存する成分で、介在物を形成し疲労亀裂の発生起
点となるため、本発明においては不純物として0.02
0%以下で、それも少ない程好ましい。
中に残存する成分で、介在物を形成し疲労亀裂の発生起
点となるため、本発明においては不純物として0.02
0%以下で、それも少ない程好ましい。
【0012】Bは、先に述べたようにパーライト変態核
の鉄炭硼化物〔Fe23(CB)6 〕の形で鋼中に析出す
る重要な成分で、0.0005%未満の少ない含有量は
鉄炭硼化物の析出が少なく細粒パーライト組織が得られ
ず、その反対に0.0040%を越える過剰な含有量は
鉄炭硼化物がオーステナイト組織粒内だけでなく粒界に
も多く析出し鋼の粒界脆化が生じ易くする。共析炭素鋼
近傍の炭素量を含有する鋼の金属組織は、パーライト組
織を呈し高強度で耐摩耗性の良い性質を有するため、レ
ール鋼のうな産業構造用鋼として広く使用されている。
しかしながら、これまでの鋼のパーライト組織はセメン
タイト組織を主体とした組織のため、フェライト組織を
主体にした金属組織に較べ脆い性質の問題があった。こ
のような問題からパーライト組織の靭性を改善するため
には、その結晶の一つの単位であるパーライトブロック
を細かくすることにある。その細かいパーライトブロッ
クは、パーライト組織変態がオーステナイト組織粒界か
ら発生することから、オーステナイト組織を細粒化せし
める手段が従来から採られている。しかし、本発明は、
このようにオーステナイト組織を細粒化しなくても、オ
ーステナイト組織粒内にパーライト変態核鉄炭硼化物
〔Fe23(CB)6 〕を析出させることによって、該粒
内から多数のパーライト組織変態せしめ、かつパーライ
トブロックを細かくすることが可能であることを知見し
たものである。本発明においてBは、このような作用効
果が顕著に得られる含有量として、0.0005〜0.
0040%に限定した。
の鉄炭硼化物〔Fe23(CB)6 〕の形で鋼中に析出す
る重要な成分で、0.0005%未満の少ない含有量は
鉄炭硼化物の析出が少なく細粒パーライト組織が得られ
ず、その反対に0.0040%を越える過剰な含有量は
鉄炭硼化物がオーステナイト組織粒内だけでなく粒界に
も多く析出し鋼の粒界脆化が生じ易くする。共析炭素鋼
近傍の炭素量を含有する鋼の金属組織は、パーライト組
織を呈し高強度で耐摩耗性の良い性質を有するため、レ
ール鋼のうな産業構造用鋼として広く使用されている。
しかしながら、これまでの鋼のパーライト組織はセメン
タイト組織を主体とした組織のため、フェライト組織を
主体にした金属組織に較べ脆い性質の問題があった。こ
のような問題からパーライト組織の靭性を改善するため
には、その結晶の一つの単位であるパーライトブロック
を細かくすることにある。その細かいパーライトブロッ
クは、パーライト組織変態がオーステナイト組織粒界か
ら発生することから、オーステナイト組織を細粒化せし
める手段が従来から採られている。しかし、本発明は、
このようにオーステナイト組織を細粒化しなくても、オ
ーステナイト組織粒内にパーライト変態核鉄炭硼化物
〔Fe23(CB)6 〕を析出させることによって、該粒
内から多数のパーライト組織変態せしめ、かつパーライ
トブロックを細かくすることが可能であることを知見し
たものである。本発明においてBは、このような作用効
果が顕著に得られる含有量として、0.0005〜0.
0040%に限定した。
【0013】Nは、Bと結合してパーライト変態核の鉄
炭硼化物の析出を阻害する有害な成分として少ない程好
ましいが、製鋼時の吹錬作業や鋳込作業などにおいて空
気に曝されて止むを得ず0.0030〜0.0050%
程度が混入されてくる。この他に鋼を製造する上で不可
避的成分のS,Pなどは、鋼の靭性を著しく劣化する有
害な成分としてできるだけ低減する必要がある。
炭硼化物の析出を阻害する有害な成分として少ない程好
ましいが、製鋼時の吹錬作業や鋳込作業などにおいて空
気に曝されて止むを得ず0.0030〜0.0050%
程度が混入されてくる。この他に鋼を製造する上で不可
避的成分のS,Pなどは、鋼の靭性を著しく劣化する有
害な成分としてできるだけ低減する必要がある。
【0014】さらに本発明は、上記のような成分組成の
鋼の強化元素としてCr,Mo,V,Nb,Coを選択
的に含有させる。CrおよびMoはパーライト組織の強
化に有効な成分である。しかし、CrおよびMoの0.
05%未満の少ない含有量はその効果が小さく、Crの
1.0%またはMoの0.5%を越える過剰な含有量は
マルテンサイト組織を生成させて鋼の靭性を劣化する傾
向にある。Vの0.02〜0.1%、Nbの0.01〜
0.05%およびCoの0.1〜2.0%は、各成分が
パーライト組織を強化する有効な含有量であって、下限
以下の少ない含有量では強化効果が小さくまた上限を越
える過剰な含有量では強化効果が小さく飽和域に達す
る。
鋼の強化元素としてCr,Mo,V,Nb,Coを選択
的に含有させる。CrおよびMoはパーライト組織の強
化に有効な成分である。しかし、CrおよびMoの0.
05%未満の少ない含有量はその効果が小さく、Crの
1.0%またはMoの0.5%を越える過剰な含有量は
マルテンサイト組織を生成させて鋼の靭性を劣化する傾
向にある。Vの0.02〜0.1%、Nbの0.01〜
0.05%およびCoの0.1〜2.0%は、各成分が
パーライト組織を強化する有効な含有量であって、下限
以下の少ない含有量では強化効果が小さくまた上限を越
える過剰な含有量では強化効果が小さく飽和域に達す
る。
【0015】本発明は、転炉、電気炉など通常の溶解炉
を使用して溶製された上記のような成分組成の溶鋼を造
塊分解法あるいは連続鋳造法を経て製造された鋼片を、
先ず、温度1100〜1200℃に加熱した後60℃/
min以上の速度で600℃以下の温度に冷却する溶体化
処理を施す。溶体化処理は、後段の製造過程においてオ
ーステナイト組織粒内に多数のパーライト変態核を促進
させるものであって、デンドライト組織の鋳造組織を破
壊すると共に鋼片鋳造過程において析出したAl,Bな
どの合金元素の窒化物を1100〜1200℃に加熱し
て再溶解した後急冷して単一な固溶体とする熱処理であ
る。従って、それぞれの条件は窒化物を完全溶解し単一
な固溶体が得られる範囲であって、この条件から逸脱す
る熱サイクルの溶体化処理は固溶体が望めない。
を使用して溶製された上記のような成分組成の溶鋼を造
塊分解法あるいは連続鋳造法を経て製造された鋼片を、
先ず、温度1100〜1200℃に加熱した後60℃/
min以上の速度で600℃以下の温度に冷却する溶体化
処理を施す。溶体化処理は、後段の製造過程においてオ
ーステナイト組織粒内に多数のパーライト変態核を促進
させるものであって、デンドライト組織の鋳造組織を破
壊すると共に鋼片鋳造過程において析出したAl,Bな
どの合金元素の窒化物を1100〜1200℃に加熱し
て再溶解した後急冷して単一な固溶体とする熱処理であ
る。従って、それぞれの条件は窒化物を完全溶解し単一
な固溶体が得られる範囲であって、この条件から逸脱す
る熱サイクルの溶体化処理は固溶体が望めない。
【0016】このような溶体化処理が施された鋼片は、
フリーとなったN(窒化物として固定されていないN)
が再びBNに形成しないようにNをAlNとして固定す
る優先析出温度である950〜1050℃の温度に加熱
した後、任意な寸法と各種の製品形状例えば棒鋼、レー
ル形鋼あるいはその他の形鋼に圧延する。
フリーとなったN(窒化物として固定されていないN)
が再びBNに形成しないようにNをAlNとして固定す
る優先析出温度である950〜1050℃の温度に加熱
した後、任意な寸法と各種の製品形状例えば棒鋼、レー
ル形鋼あるいはその他の形鋼に圧延する。
【0017】このようにして各種の製品形状に圧延され
た材料は、圧延される過程、または圧延を完了するま
で、あるいは完了した後において900〜800℃の温
度間を空冷以上の速さで冷却する。この間の温度は、鋼
中の硼素が窒素と結合して優先的に窒化物(BN)を析
出し、本発明において有効な鉄炭硼化物の析出を阻害す
る。従って、この間で窒化物の析出を避けるために、空
冷以上しかも可能な限り速い速度で冷却するか、鋼に存
在するフリーN(窒化物として固定されていないN)を
低減する必要がある。
た材料は、圧延される過程、または圧延を完了するま
で、あるいは完了した後において900〜800℃の温
度間を空冷以上の速さで冷却する。この間の温度は、鋼
中の硼素が窒素と結合して優先的に窒化物(BN)を析
出し、本発明において有効な鉄炭硼化物の析出を阻害す
る。従って、この間で窒化物の析出を避けるために、空
冷以上しかも可能な限り速い速度で冷却するか、鋼に存
在するフリーN(窒化物として固定されていないN)を
低減する必要がある。
【0018】このような硼素の窒化物生成温度域を急冷
して通過した材料は、冷却過程の800〜750℃を5
0℃/min以下の速さで冷却する。この範囲の温度は、
この温度に到達するまで析出を抑制した硼素を50℃/
min以下の遅い速度で、一気にオーステナイト組織粒内
にパーライト変態核となる鉄炭硼化物〔Fe23(CB)
6 〕の形で析出させるものである。この時の析出温度と
その間の冷却速度は、本発明者らの実験によって求めら
れた〔Fe23(CB)6 〕の温度−時間関係析出曲線か
ら定めたものであって、何れも〔Fe23(CB)6 〕の
析出量が多く、しかも工業的に採用し得る生産可能範囲
から決めたものである。
して通過した材料は、冷却過程の800〜750℃を5
0℃/min以下の速さで冷却する。この範囲の温度は、
この温度に到達するまで析出を抑制した硼素を50℃/
min以下の遅い速度で、一気にオーステナイト組織粒内
にパーライト変態核となる鉄炭硼化物〔Fe23(CB)
6 〕の形で析出させるものである。この時の析出温度と
その間の冷却速度は、本発明者らの実験によって求めら
れた〔Fe23(CB)6 〕の温度−時間関係析出曲線か
ら定めたものであって、何れも〔Fe23(CB)6 〕の
析出量が多く、しかも工業的に採用し得る生産可能範囲
から決めたものである。
【0019】このようにして鉄炭硼化物〔Fe23(C
B)6 〕を析出した材料は、保有する温度の750〜7
00℃から放冷または100〜300℃/minの速度で
500℃以下の低温度まで冷却する。この冷却開始温度
は鋼内部に冷却歪みを大ならしめることもなく鋼質を調
整し易い温度範囲であって、その温度からの放冷は鋼内
部から復熱しながら軟質化を図るものであり、500℃
以下、すなわち鋼内部からの復熱作用によって受ける硬
さのバラツキを減少せしめる低温度に硬質化し得る冷却
速度100℃/min以上で、しかもマルテンサイト組織
を生じさせることもない300℃/minの速度で冷却す
る必要がある。上記のような本発明法によれば、細粒の
パーライト組織を得て靭性を向上させた鋼を製造するこ
とができる。
B)6 〕を析出した材料は、保有する温度の750〜7
00℃から放冷または100〜300℃/minの速度で
500℃以下の低温度まで冷却する。この冷却開始温度
は鋼内部に冷却歪みを大ならしめることもなく鋼質を調
整し易い温度範囲であって、その温度からの放冷は鋼内
部から復熱しながら軟質化を図るものであり、500℃
以下、すなわち鋼内部からの復熱作用によって受ける硬
さのバラツキを減少せしめる低温度に硬質化し得る冷却
速度100℃/min以上で、しかもマルテンサイト組織
を生じさせることもない300℃/minの速度で冷却す
る必要がある。上記のような本発明法によれば、細粒の
パーライト組織を得て靭性を向上させた鋼を製造するこ
とができる。
【0020】
【実施例】次に、本発明の実施例について説明をする。
表1に示す各成分組成に製造された鋼片を、本発明法に
おいては1250℃の温度に加熱して550℃まで急速
冷却(水冷)する溶体化処理を施した後、同表に示すプ
ロセス条件で各温度に加熱し各種の製品形状に熱間圧延
し、各温度まで冷却または制御冷却しした。得られた各
製品の衝撃値と表面硬さを表2に示した。
表1に示す各成分組成に製造された鋼片を、本発明法に
おいては1250℃の温度に加熱して550℃まで急速
冷却(水冷)する溶体化処理を施した後、同表に示すプ
ロセス条件で各温度に加熱し各種の製品形状に熱間圧延
し、各温度まで冷却または制御冷却しした。得られた各
製品の衝撃値と表面硬さを表2に示した。
【0021】
【表1】
【0022】
【表2】
【0023】表から明らかのように、本発明法で得られ
た製品の衝撃値と表面硬さは、本発明から逸脱した鋼成
分または製造法の比較製品に比し、共に安定して高い。
このことは、本発明の製品に多数の細粒パーライト組織
を呈していることを意味するものである。このような組
織と鋼特性の本発明は、高靭性であり、しかもレールに
使用した場合に高靭性で優れた耐摩耗性を示す。
た製品の衝撃値と表面硬さは、本発明から逸脱した鋼成
分または製造法の比較製品に比し、共に安定して高い。
このことは、本発明の製品に多数の細粒パーライト組織
を呈していることを意味するものである。このような組
織と鋼特性の本発明は、高靭性であり、しかもレールに
使用した場合に高靭性で優れた耐摩耗性を示す。
【0024】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、鋼中に、
鉄炭硼化物の析出物を安定して形成し、これをパーライ
ト変態核として作用させ、パーライトのオーステナイト
粒内変態を促進させて微細な粒内パーライトを生成させ
ることによりすぐれた靭性と耐摩耗性を有する各種形状
の鋼材の製造が可能となった。
鉄炭硼化物の析出物を安定して形成し、これをパーライ
ト変態核として作用させ、パーライトのオーステナイト
粒内変態を促進させて微細な粒内パーライトを生成させ
ることによりすぐれた靭性と耐摩耗性を有する各種形状
の鋼材の製造が可能となった。
Claims (2)
- 【請求項1】 重量%として、 C :0.60〜1.00%、 Si:0.10〜1.00%、 Mn:0.40〜1.50%、 Al:0.020%以下、 B :0.0005〜0.0040%、 N :0.0030〜0.0050% を含有して残部がFeおよび不可避的不純物からなる鋼
片を1100〜1200℃に加熱した後60℃/min以
上の速度で600℃以下の温度に冷却する溶体化を施し
た後、950〜1050℃の温度に加熱して各種の製品
形状に圧延する過程、あるいは圧延を完了するまで、ま
たは完了した後における900〜800℃の温度間を空
冷以上の速さで冷却し、続いて800〜750℃を50
℃/min以下の速さで冷却した後、750〜700℃の
温度から放冷または100〜300℃/minで500℃
以下まで冷却することを特徴とする高靭性パーライト鋼
の製造法。 - 【請求項2】 重量%として、 C :0.60〜1.00%、 Si:0.10〜1.00%、 Mn:0.40〜1.50%、 Al:0.020%以下、 B :0.0005〜0.0040%、 N :0.0030〜0.0050% を含有し、さらに Cr:0.05〜2.00%、 Mo:0.05〜0.5%、 V :0.02〜0.10%、 Nb:0.01〜0.05%、 Co:0.1〜2.0% の1種または2種以上を含有して残部がFeおよび不可
避的不純物からなる鋼片を1100〜1200℃に加熱
した後60℃/min以上の速度で600℃以下の温度に
冷却する溶体化を施した後、950〜1050℃の温度
に加熱して各種の製品形状に圧延する過程、あるいは圧
延を完了するまで、または完了した後における900〜
800℃の温度間を空冷以上の速さで冷却し、続いて8
00〜750℃を50℃/min以下の速さで冷却した
後、750〜700℃の温度から放冷または100〜3
00℃/minで500℃以下まで冷却することを特徴と
する高靭性パーライト鋼の製造法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP24951691A JPH05171267A (ja) | 1991-09-27 | 1991-09-27 | 高靭性パーライト鋼の製造法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP24951691A JPH05171267A (ja) | 1991-09-27 | 1991-09-27 | 高靭性パーライト鋼の製造法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH05171267A true JPH05171267A (ja) | 1993-07-09 |
Family
ID=17194139
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP24951691A Withdrawn JPH05171267A (ja) | 1991-09-27 | 1991-09-27 | 高靭性パーライト鋼の製造法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH05171267A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2002302737A (ja) * | 2001-04-09 | 2002-10-18 | Nippon Steel Corp | 耐摩耗性と靭性に優れたパーライト系レール |
JP2007514086A (ja) * | 2003-12-16 | 2007-05-31 | アンデッシュ・スンドグレン | 複合型ガイドレールおよび複合型ガイドレールを製造する方法 |
CN104204255A (zh) * | 2012-03-29 | 2014-12-10 | 株式会社神户制钢所 | 线材以及使用其的钢丝 |
JP2016079478A (ja) * | 2014-10-20 | 2016-05-16 | Jfeスチール株式会社 | 曲げ加工性及び耐衝撃摩耗性に優れた耐摩耗鋼板およびその製造方法 |
-
1991
- 1991-09-27 JP JP24951691A patent/JPH05171267A/ja not_active Withdrawn
Cited By (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2002302737A (ja) * | 2001-04-09 | 2002-10-18 | Nippon Steel Corp | 耐摩耗性と靭性に優れたパーライト系レール |
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JP4733051B2 (ja) * | 2003-12-16 | 2011-07-27 | アンデッシュ・スンドグレン | 複合型ガイドレールおよび複合型ガイドレールを製造する方法 |
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JP2016079478A (ja) * | 2014-10-20 | 2016-05-16 | Jfeスチール株式会社 | 曲げ加工性及び耐衝撃摩耗性に優れた耐摩耗鋼板およびその製造方法 |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
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Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 19981203 |