JP3325146B2 - 低降伏比高張力鋼板の製造方法 - Google Patents

低降伏比高張力鋼板の製造方法

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JP3325146B2
JP3325146B2 JP05371295A JP5371295A JP3325146B2 JP 3325146 B2 JP3325146 B2 JP 3325146B2 JP 05371295 A JP05371295 A JP 05371295A JP 5371295 A JP5371295 A JP 5371295A JP 3325146 B2 JP3325146 B2 JP 3325146B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は溶接構造用鋼としての十
分な性能を有し、降伏比が低く塑性変形能に優れた低降
伏比高張力鋼板の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来の低降伏比鋼の製造方法は、焼入れ
と焼戻し熱処理の間にフェライト(α)+オーステナイ
ト(γ)二相域に加熱する、中間熱処理を施す方法(以
降、QLT処理)に代表されるように、基本的には軟質
相としてのαと硬質相としての、ベイナイトあるいはマ
ルテンサイトを混在させることを目的としている。そし
て、全体の強度レベルおよび降伏比は、これらの相の混
在比率を変えることによって制御されてきた。
【0003】この軟質相と硬質相の混合組織を得るため
の製造方法は従来から種々提案されており、例えば、特
開昭53−23817号公報には鋼板を再加熱焼入れし
た後、Ac1変態点とAc3変態点の間に再加熱してγとα
の二相としてから空冷する方法が示されており、また、
特開平4−314824号公報には同様に二相域に再加
熱した後、焼入れる方法が開示されている。また、再加
熱処理を施さずにオンラインで製造する方法としては、
例えば、特開昭63−286517号公報にはγ域から
二相域にかけて熱間圧延を施した後、Ar3変態点より2
0〜100℃低い温度まで空冷してα相を生成させ、そ
の後、急冷する方法が開示されている。
【0004】しかしながら、以上のような二相組織鋼を
得るための従来の技術は、一般的に複雑であり、生産性
の低下を生じやすい。すなわち、上記のQLT処理では
工程が増加するため、製造コストの増加および生産性の
低下を招く。また、もう一つの代表的な製造方法とし
て、熱間圧延後、直接焼入れする、いわゆるDQ工程に
おいて、圧延後、直ちに焼入れせずに、αが一定量生成
するまで放冷した後、焼入れて二相組織とする方法(以
降DLT処理)が挙げられる。
【0005】しかし、この方法ではQLT処理に比べて
中間熱処理は省略できるものの、圧延から焼入れまでの
待ち時間が長くなるため、生産性の低下は避けられな
い。また、待ち時間が長いため板内の温度不均一が生じ
やすく、そのため、材質の板内変動が大きくなりがちで
ある。さらに、このようなプロセスで生じるαや硬質第
二相は粗大になりやすく靱性の劣化を招きやすい。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従来の、軟質相である
αと硬質相であるマルテンサイトやベイナイトの比率を
変えることにより、低降伏比化を図る限りは以下の2点
で大きな問題を有する。すなわち、第1点は、オンライ
ンプロセスによるにせよ、再加熱プロセスによるにせ
よ、αを生成させるためにはα/γ二相域での徐冷ある
いは保持過程が必須になるため、生産性が著しく阻害さ
れる点である。第2点はこのようなプロセスによって製
造される場合は、αが粗大になりやすく、また、第二相
も同様に粗大化しやすく、靱性の確保が容易でない点で
ある。
【0007】本発明は、α相と硬質相の二相組織におい
て、その組織比率により降伏比を変化させる従来の技術
によらない、全く新しい視点からの低降伏比化により従
来技術の持っている上記の問題点を解決して、溶接構造
用鋼としての十分な性能を有し、降伏比が低く塑性変形
能に優れた低降伏比高張力鋼板を安価に製造する方法を
見いだしたものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】複合組織鋼においては、
硬質相の割合が少ない場合は、降伏応力は軟質相の降伏
応力にほぼ支配される。また、単相鋼においてもマトリ
クスであるα相の特性が降伏応力に大きな影響を及ぼす
と考えられる。本発明者らはα相の降伏応力自体を低下
させることにより低降伏比化を図ることが可能となれ
ば、複合組織鋼に限定されずに組織形態によらない低降
伏比化が図れると考え、本発明を知見するに至った。
【0009】α相自体の降伏応力を支配する因子として
は、結晶粒径、固溶元素、転位密度、析出状態が挙げら
れる。結晶粒径に関しては、粒径を粗大化すれば降伏応
力の低下が図れるが、その場合には靱性の劣化も同時に
生じるため、一般的に採用できる手段ではない。転位強
化、析出強化はいずれも降伏応力に大きな影響を及ぼす
が、製造履歴や鋼の化学成分により大きく変化するた
め、安定した低降伏比化の手段にはなり難いと考えられ
る。
【0010】これらに対して、固溶強化は組織や製造履
歴によらず安定して効果を有する強化手段である。逆に
言えば、通常の製造条件では不可避的に生じている固溶
強化を何らかの手段で無効化することにより降伏応力の
低下が、他の特性の劣化や製造条件の複雑化を招かずに
達成できると考えられる。もちろん、固溶強化量の大き
い、PやSiの量自体を低減すれば降伏応力の低下は当
然可能であるが、このような手段では製鋼工程に負荷を
かけ、結果として製造コストの上昇を招くので到底採用
できる手段とはならない。
【0011】侵入型元素のC,Nは特に大きな固溶強化
を示し、例えば、Cの場合、数十ppm程度固溶するだ
けで降伏応力は100MPa程度上昇し得る。通常の鋼
板の製造工程においては、いずれの工程でも微量ではあ
ってもC,Nの固溶は避けられず、従って、通常測定さ
れる降伏応力はこれらの不可避的に固溶しているC,N
による固溶強化分をすでに含んでいるものと考えられ
る。従って、これら不可避的に含有されるC,N、さら
には、不純物としてのPを降伏応力上昇に対して無効化
できれば降伏応力の低下とその結果としての低降伏比化
が図れると考えられる。
【0012】上記に示すような考えに基づき、鋼のα母
地の降伏応力自体を低下させて低降伏比化するための手
段を実験、考察した結果、α母地中に適切な酸化物を分
散させることにより、熱間圧延および冷却、熱処理条件
に依存せず、降伏応力を上昇させている不可避的に含ま
れる固溶元素を該酸化物を生成核として析出させること
が可能となり、母地中での固溶元素量が低減するため、
鋼の微視組織によらずに降伏応力が低下できることを知
見することにより、本発明を開発するに至った。その発
明の要旨とする所は、以下に示す通りである。
【0013】第1の発明は、重量%で、C:0.01〜
0.20%,Si:0.03〜1.0%,Mn:0.3
0〜2.0%,P:0.008%以下,S:0.005
%以下,Al:0.005〜0.1%,N:0.001
〜0.006%,Ti:0.005〜0.020%,
O:0.001〜0.010%を含有し、PとNの含有
量の合計が0.01%以下で、さらにMg,Ca,Yの
1種また2種以上を添加量の合計として、0.002〜
0.01%添加した残部鉄および不可避不純物よりなる
鋼片を、Ac3変態点以上、1250℃以下の温度に加熱
し、Ar3変態点以上の温度で熱間圧延を終了し、その後
は放冷以下の冷却速度で冷却することを特徴とする低降
伏比高張力鋼板の製造方法である
【0014】第2の発明は、上記第1の発明と同じ成分
鋼片を、Ac3変態点以上、1250℃以下の温度に加
熱し、Ar3変態点以上の温度で熱間圧延を終了した後、
5℃/秒以上の冷却速度で加速冷却し、650〜500
℃の範囲で加速冷却を終了し、その後は放冷以下の冷却
速度で冷却することを特徴とする低降伏比高張力鋼板の
製造方法である。
【0015】第3の発明は、上記各発明と同じ成分の
片を、Ac3変態点以上、1250℃以下の温度に加熱
し、Ar3変態点以上の温度で熱間圧延を終了した後、5
℃/秒以上の冷却速度で650℃以下まで加速冷却した
後、500℃以上、Ac1変態点以下に焼戻すことを特徴
とする低降伏比高張力鋼板の製造方法である
【0016】第4の発明は、上記各発明と同じ成分の
片を熱間圧延により鋼板とした後、Ac3変態点以上、
1000℃以下の温度に再加熱して焼入れ処理を行い、
引き続き500℃以上、AC1変態点以下に焼戻すことを
特徴とする低降伏比高張力鋼板の製造方法である
【0017】第5の発明は、上記各発明と同じ成分の
片を熱間圧延により鋼板とした後、Ac3変態点以上、
1000℃以下の温度に再加熱して焼ならし処理を行な
い、その後は放冷以下の冷却速度で冷却することを特徴
とする低降伏比高張力鋼板の製造方法である
【0018】また上記第1ないし第5の各発明におい
て、鋼片はさらに重量%で、Cr:0.01〜0.50
%,Ni:0.01〜3.0%,Mo:0.01〜0.
50%,Cu:0.01〜1.5%,V:0.005〜
0.20%,Nb:0.003〜0.05%,B:0.
0003〜0.0020%の1種または2種以上を含有
することも特徴とする。
【0019】
【作用】本発明の最も重要な点は母相の固溶元素量の低
減にあるが、固溶元素の析出核としては、製造条件に依
存せず、活用できるものとして、熱的に安定な酸化物が
最も有効であると考えられる。そこで、脱酸元素を変え
ることによって鋼材中に分散させる酸化物の種類を変え
て引張特性との関係を調査した所、酸化物の種類によっ
ては組織が同じでも強度、特に降伏応力が変化し得るこ
とが知見された。
【0020】すなわち、重量%で、C:0.12%,S
i:0.25%,Mn:1.4%,Al:0.03%,
Ti:0.015%を含有する鋼を小型真空溶解炉にお
いて溶製するに際して、出鋼前に種々の脱酸元素を単独
あるいは複合添加した後、鋼製鋳型に凝固させた。凝固
後のインゴットを1250℃に再加熱し、熱間圧延によ
り板厚20mmとした鋼板をさらに900〜1200℃
の種々の加熱温度で焼きならし処理を施した場合の、板
厚中心部で圧延方向に平行に採取した試験片の引張特性
を調査した結果を図1〜3に示す。なお、出鋼前に単独
あるいは複合添加した脱酸元素の添加量はその合計量で
0.002〜0.01%とした。熱間圧延後および焼き
ならし後の冷却はいずれも放冷とした。
【0021】図1〜3から明らかなように、通常の脱酸
に加えて、さらにMg,Ca,Yを単独または複合添加
した場合、これらの元素の添加を行わない場合に比べて
同一α粒径でも降伏応力が明らかに低下する。引張強度
はα相だけでなく第二相にも依存するため、添加元素に
よる明確な傾向は認められず、降伏応力が低下した分、
降伏比も低下する。この場合、溶鋼中への該元素の添加
以外には製造条件を変化させておらず、光学顕微鏡組織
も焼きならし温度の変化によりα粒径が変化する以外に
はパーライトの量、分布にも変化はない。それにも関わ
らず降伏応力のみが低下している。
【0022】従って、この降伏応力の低下は従来の手段
のように組織を変化させることによって生じるものでは
なく、直接αの特性を変化させることによって生じたも
のである。Mg,Ca,Yの単独または複合添加により
これらの元素を含有する酸化物が鋼中に分散し、この酸
化物に固溶強化を生じるような元素が析出物として容易
に析出するため、降伏応力の低下が生じる。
【0023】本発明による降伏比の低下は組織変化を伴
わない手段であるため、組織によらず、図3で得られた
ような降伏応力の低下は焼きならしの場合だけでなく、
様々な製造方法、微視組織においても期待できると考え
られる。実際、焼きならしだけでなく、通常の圧延ま
ま、再加熱焼入れ焼戻し、直接焼入れ焼戻し、制御圧
延、制御冷却等、種々の製造方法によっても降伏応力の
低下が実際に認められた。以上が、全体的な本発明の要
旨であるが、以下、製造条件および化学成分等につい
て、個々に説明する。
【0024】まず、製造条件に関して述べる。本発明に
おける製造条件上の第1の要点は溶鋼段階での脱酸にお
いて通常の脱酸に加えて、Mg,Ca,Yのうちの1種
または2種以上を添加することにある。これにより、酸
化物中に該元素を含有することにより、固溶により降伏
応力を上昇せしめている元素の析出が容易になる。M
g,Ca,Yはいずれも酸化物の組成変化および降伏応
力の低下に対して同等の効果を有するため、個々の添加
量は問わないが添加量の合計としては0.002〜0.
010%の範囲とすべきである。この範囲の下限未満の
添加では該元素を含有する酸化物が十分でないため、降
伏応力の明確な低下が安定して得られない。0.010
%を超える添加では効果が飽和して経済上不利であり、
また、酸化物が粗大化して靱性劣化の可能性が生じるた
め、添加は0.010%以下にする必要がある。
【0025】製造条件上の第2の要点は上記溶鋼中への
Mg,Ca,Yの添加により生成した酸化物に固溶によ
り降伏応力を上昇せしめている元素が析出するに十分な
熱履歴とすることである。得られる微視組織に制約はな
いが、冷却条件あるいは焼戻し条件は規定する必要があ
る。
【0026】すなわち、製造方法としては、Ac3変態点
以上、1250℃以下の温度に加熱し、Ar3変態点以上
の温度で熱間圧延を終了する通常の熱間圧延や制御冷却
をともなわない制御圧延、あるいはAc3変態点以上、1
250℃以下の温度に加熱し、Ar3変態点以上の温度で
熱間圧延を終了した後、5℃/秒以上の冷却速度で加速
冷却し、一定温度範囲で加速冷却を終了する制御冷却、
あるいはAc3変態点以上、1250℃以下の温度に加熱
し、Ar3変態点以上の温度で熱間圧延を終了した後、5
℃/秒以上の冷却速度で650℃以下まで加速冷却した
後、焼戻しを施す直接焼入れ焼戻し、あるいは熱間圧延
により鋼板とした後、Ac3変態点以上、1000℃以下
の温度に再加熱して焼入れ処理を行い、引き続き焼戻し
を施す再加熱焼入れ焼戻し、あるいは熱間圧延により鋼
板とした後、Ac3変態点以上、1000℃以下の温度に
再加熱して焼きならし処理を行う等の方法を用いること
が可能であるが、同一製造条件で、他の特性を劣化させ
ずに低降伏比化するためには、熱間圧延まま、および制
御冷却を行わない制御圧延による場合は圧延後の冷却は
放冷以下の冷却速度で冷却する必要がある。
【0027】また、焼きならし後の冷却も同様に放冷以
下の冷却速度で冷却する必要がある。また、制御冷却時
の冷却速度が5℃/秒以上の焼戻し処理を伴わない制御
冷却の場合は析出処理のため、冷却停止温度を650〜
500℃の範囲とする必要がある。650℃を超えた停
止温度では制御冷却本来の組織制御が達成できず、50
0℃未満で停止した場合は固溶元素の析出が十分でな
く、従って、降伏応力の低下も十分でない。さらに靱性
や延性の低下も懸念される。焼戻し処理を行う制御冷
却、直接焼入れ、再加熱焼入れの場合は、焼戻し条件を
規定することで降伏応力の低下が計れる。すなわち、焼
戻し温度が500℃未満では固溶元素の析出が不十分で
あり、Ac1変態点を超えると組織が大きく変化し、他の
特性劣化を生じるため、焼戻し温度は500℃以上、A
c1変態点以下に限定する。
【0028】次いで、その他の製造条件上の限定理由を
述べる。まず、熱間圧延における鋼片の加熱温度はAc3
変態点以上、1250℃以下とするが、これは、成分の
溶体化のためにはAc3変態点以上とする必要がある一
方、加熱温度が極端に高いと加熱γ粒径が粗大となっ
て、最終的な材質に悪影響を及ぼすため、上限を125
0℃とした。ただし、焼きならし処理および再加熱焼入
れ焼戻しの場合には、圧延後再加熱によりγ化するた
め、この圧延段階での加熱温度の限定は不要である。そ
のかわり、焼きならし処理および再加熱焼入れ焼戻し処
理により製造する場合は、γ単相として焼入れ性を確保
するために再加熱時の加熱温度はAc3変態点以上とする
必要があり、また、γ粒径の粗大化を防止するため、1
000℃以下に限定する必要がある。
【0029】また、焼きならし処理あるいは再加熱焼入
れ焼戻し以外の再加熱処理を伴わない製造方法の場合
は、熱間圧延の終了温度をAr3変態点以上とする必要が
ある。これは、熱間圧延をAr3変態点以下の二相域温度
まで行うとαが加工を受けるため、αの降伏応力が上昇
することにより降伏比が上昇して低降伏比化が困難にな
るためと、加工αを有すると靱性の劣化が生じるためで
ある。さらに、制御冷却あるいは直接焼入れを行う場合
は、所望の焼入れ組織を得て強度を確保するために、圧
延後の冷却速度は5℃/秒以上とすべきである。
【0030】以上が製造方法に関わる本発明の限定理由
であるが、溶接構造用鋼として十分な効力を発揮し、低
降伏比が低く塑性変形能に優れた低降伏比高張力鋼板を
製造するためには、化学成分も併せて規定する必要があ
る。以下に、それぞれの化学成分の限定理由を述べる。
【0031】まず、Cは鋼の強度を向上させる有効な成
分として添加するもので、0.01%未満では構造用鋼
に必要な強度の確保が困難であり、また、0.20%を
超える過剰の添加は靱性や耐溶接割れ性などを著しく低
下させるので、0.01〜0.20%の範囲とした。次
に、Siは脱酸元素として、また、母材の強度確保に有
効な元素である。0.03%未満の添加では脱酸が不十
分となり、また強度確保に不利である。逆に1.0%を
超える過剰の添加は粗大な酸化物を形成して延性や靱性
劣化を招く。そこで、Siの範囲は0.03〜1.0%
とした。また、Mnは母材の強度、靱性の確保に必要な
元素であり、最低限0.30%以上添加する必要がある
が、溶接部の靱性、割れ性など材質上許容できる範囲で
上限を2.0%とした。
【0032】Pは固溶して低降伏比化も阻害するため、
極力低減することが好ましいが、本発明では酸化物によ
りPをP化物として析出せしめることが可能であるた
め、その許容量は本発明によらない場合に比べて緩和さ
れる。ただし、溶接熱影響部の靱性確保の点から上限を
0.008%とした。SはMnSを形成して延性値を劣
化させるため、本発明が対象としているような、塑性変
形能を確保する必要のある鋼板では特に低減が必要な元
素である。ただし、延性の劣化が大きくなく、実用的に
許容できる上限として、その含有量を0.005%以下
とする。
【0033】Alは脱酸、γ粒径の細粒化等に有効な元
素であり、効果を発揮するためには0.005%以上含
有する必要があるが、0.1%を超えて過剰に添加する
と、粗大な酸化物を形成して延性を極端に劣化させるた
め、0.005〜1.0%の範囲に限定する必要があ
る。NはAlやTiと結びついてγ粒微細化に有効に働
くが、その効果が明確になるためには0.001%以上
含有させる必要がある一方、過剰に添加すると固溶Nが
増加して降伏比の増加や靱性の劣化につながる。溶接熱
影響部の靱性確保の観点から許容できる範囲として上限
を0.006%とする。ただし、低降伏比化の観点から
は、同様の悪影響を示すPの含有量と併せて考慮する必
要がある。本発明鋼では析出核として適切な酸化物を分
散させるが、P,Nの合計量が極端に多ければ、本発明
においても降伏応力の上昇を防ぐことは難しい。そこ
で、適切な酸化物を分散させた条件において、低降伏比
化が計れる範囲として、実験結果に基づいて、PとNの
合計量を0.01%以下に限定する。
【0034】さらに、本発明ではMg,Ca,Yを含有
した酸化物を分散させることが重要な点である。そのた
めには、まず図1〜3に示したように、溶鋼段階での脱
酸において通常の脱酸に加えて、Mg,Ca,Yのうち
の1種または2種以上を添加することにある。これによ
り、酸化物中に該元素を含有することにより、固溶によ
り降伏応力を上昇せしめている元素の析出が容易にな
る。Mg,Ca,Yはいずれも酸化物の組成変化および
降伏応力の低下に対して同等の効果を有するため、個々
の添加量は問わないが添加量の合計としては0.002
%〜0.010%の範囲とすべきである。この範囲の下
限未満の添加では該元素を含有する酸化物が十分でない
ため、降伏応力の明確な低下が安定して得られない。
0.010%を超える添加では効果が飽和して経済上不
利であり、また酸化物が粗大化して靱性劣化の可能性が
生じるため、添加は0.010%以下にする必要があ
る。
【0035】以上のMg,Ca,Yの添加に加えて、酸
化物の全体量を確保するためには鋼中のO量を適正化す
る必要がある。詳細な実験結果によれば、降伏応力制御
のために十分な酸化物量を確保するためにはO量として
0.001%以上必要である。O量が多いほど安定した
効果が得られるが、O量が過剰になると、酸化物が粗大
化して靱性や局部延性を劣化させるため、低降伏比化の
効果が十分得られる範囲内でO量の上限を0.010%
とした。
【0036】以上が本発明鋼の基本成分であるが、所望
の強度レベルに応じて母材強度の上昇の目的で、必要に
応じてCr,Ni,Mo,Cu,Ti,V,Nb,Bの
1種または2種以上を含有させることができる。
【0037】まず、CrおよびMoはいずれも母材の強
度向上に有効な元素であるが、明瞭な効果を生じるため
には0.01%以上必要であり、一方、0.50%を超
えて添加すると、靱性が劣化する傾向を有するため、
0.01〜0.50%の範囲とする。また、Niは母材
の強度と靱性を同時に向上でき、非常に有効な元素であ
るが、効果を発揮させるためには0.01%以上含有さ
せる必要がある。含有量が多くなると強度、靱性は向上
するが3.0%を超えて添加しても効果が飽和するた
め、経済性も考慮して、上限を3.0%とする。
【0038】次に、CuもほぼNiと同様の効果を有す
るが、1.5%超の添加では熱間加工性に問題を生じる
ため、0.01〜1.5%の範囲に限定する。TiはT
iNの形成によりγ粒を微細化して靱性向上に有効な元
素であるが、効果を発揮できるためには0.005%以
上の添加が必要である。一方、0.020%を超える
と、Alと同様、粗大な酸化物を形成して靱性や延性を
劣化させるため、上限を0.020%とする。
【0039】VおよびNbはいずれも主として析出強化
により母材の強度向上に寄与するが、過剰の添加で靱性
が劣化する。従って、靱性の劣化を招かずに、効果を発
揮できる範囲として、Vは0.005〜0.20%、N
bは0.003〜0.05%とする。Bは0.0003
%以上のごく微量添加で鋼材の焼入性を高めて強度上昇
に非常に有効であるが、過剰に添加するとBNを形成し
て、逆に焼入性を落としたり、靱性を大きく劣化させる
ため、上限を0.0020%とする。
【0040】
【実施例】次に、本発明の効果を実施例によってさらに
具体的に述べる。実施例に用いた供試鋼の化学成分を表
1に示す。各供試鋼は造塊後、分塊圧延によってか、あ
るいは連続鋳造によりスラブとなした。表1の内、鋼番
1〜13は本発明の化学成分範囲およびMg,Ca,Y
の添加条件を満足しており、鋼番14〜19は本発明の
化学成分範囲あるいはMg,Ca,Yの添加条件を満足
していないものである。
【0041】
【表1】
【0042】表1のスラブを表2に示す圧延条件により
鋼板に製造し、次いで表3の条件で熱処理を行い引張特
性、シャルピー衝撃特性を調査した。試験片は全て板厚
中心部から圧延方向に採取した。引張試験は平行部径1
4mm、平行部長さ60mmの丸棒引張試験片により行
い、シャルピー衝撃試験はJIS4号標準試験片により
行い、特性は50%破面遷移温度(vTrs)で評価し
た。強度、靱性の試験結果を表4に示す。
【0043】
【表2】
【0044】
【表3】
【0045】
【表4】
【0046】表2,3,4において、試験No.A1〜
A26はいずれも本発明に従って製造した鋼板であり、
全て良好な伸びや靱性を備えた上で、比較例と同様の製
造条件、引張強度レベルのものに比べて降伏比の低減が
計られている。
【0047】一方、試験No.B1〜B10は比較例で
あり、いずれかの条件が本発明の限定範囲をはずれてい
るため、同じ引張強度レベルで比較した場合、降伏比が
高かったり、延性や靱性が溶接構造用鋼として必ずしも
十分でない。すなわち、試験No.B1,B2,B4,
B5はMg,Ca,Yの添加がなかったり、量が十分で
ないため、低降伏比化が十分でない。試験No.B3は
逆にこれらの元素の添加が過剰なため、低降伏比化は計
られているものの、延性や靱性が大きく劣化している。
【0048】試験No.B4は加えてC量が本発明の範
囲をはずれて過剰に添加されているため、延性や靱性も
劣る。また、試験No.B5はP,Nの量が多いため、
Mg,Ca,Yが適正に添加されているものの、降伏比
の低減が十分とは言い難い。試験No.B6はO量が過
剰であるため、延性および靱性の劣化が認められる。試
験No.B7,B8は用いたスラブは化学成分、Mg,
Ca,Yの添加条件とも適正であるが、圧延条件あるい
は熱処理条件が本発明の範囲を満足していないため、十
分な特性が得られていない。
【0049】試験No.B9は焼入れ焼戻し処理により
製造された比較例であるが、本発明例の試験No.A1
8と比べて焼戻し温度が本発明の範囲を逸脱しているた
め、低降伏比化が十分でなく、靱性も劣る。試験No.
B10は焼きならしの温度が高すぎるため、靱性が劣
る。以上から、同一引張強度レベルで比較した場合、本
発明によれば従来技術に比べて、延性や靱性の劣化、生
産性の低下を招くことなく、低降伏比化が可能であるこ
とが明白である。
【0050】
【発明の効果】本発明は高価な合金元素を用いたり、複
雑な熱履歴により生産性を低下させることなく、溶接構
造用鋼としての十分な性能を有し、降伏比が低く塑性変
形能に優れた低降伏比高張力鋼板を製造できる画期的な
方法であり、製造コストの低減、構造物としての安全性
の向上等、産業上の効果は極めて大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】焼きならし材における降伏比とフェライト粒径
との関係に及ぼす添加元素の影響を示す図
【図2】焼きならし材における引張強度とフェライト粒
径との関係に及ぼす添加元素の影響を示す図
【図3】焼きならし材における降伏応力とフェライト粒
径との関係に及ぼす添加元素の影響を示す図
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C21D 8/00 - 8/10 C22C 38/00 - 38/60

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量%で、 C :0.01〜0.20% Si:0.03〜1.0% Mn:0.30〜2.0% P :0.008%以下 S :0.005%以下 Al:0.005〜0.1% N :0.001〜0.006% Ti:0.005〜0.020% O :0.001〜0.010% を含有し、PとNの含有量の合計が0.01%以下で、
    さらにMg,Ca,Yの1種または2種以上を添加量の
    合計として、0.002〜0.01%添加した残部鉄お
    よび不可避不純物よりなる鋼片を、Ac3変態点以上、1
    250℃以下の温度に加熱し、Ar3変態点以上の温度で
    熱間圧延を終了し、その後は放冷以下の冷却速度で冷却
    することを特徴とする低降伏比高張力鋼板の製造方法。
  2. 【請求項2】 重量%で、 C :0.01〜0.20% Si:0.03〜1.0% Mn:0.30〜2.0% P :0.008%以下 S :0.005%以下 Al:0.005〜0.1% N :0.001〜0.006% Ti:0.005〜0.020% O :0.001〜0.010% を含有し、PとNの含有量の合計が0.01%以下で、
    さらにMg,Ca,Yの1種または2種以上を添加量の
    合計として、0.002〜0.01%添加した残部鉄お
    よび不可避不純物よりなる鋼片を、Ac3変態点以上、1
    250℃以下の温度に加熱し、Ar3変態点以上の温度で
    熱間圧延を終了した後、5℃/秒以上の冷却速度で加速
    冷却し、650〜500℃の範囲で加速冷却を終了し、
    その後は放冷以下の冷却速度で冷却することを特徴とす
    る低降伏比高張力鋼板の製造方法。
  3. 【請求項3】 重量%で、 C :0.01〜0.20% Si:0.03〜1.0% Mn:0.30〜2.0% P :0.008%以下 S :0.005%以下 Al:0.005〜0.1% N :0.001〜0.006% Ti:0.005〜0.020% O :0.001〜0.010% を含有し、PとNの含有量の合計が0.01%以下で、
    さらにMg,Ca,Yの1種または2種以上を添加量の
    合計として、0.002〜0.01%添加した残部鉄お
    よび不可避不純物よりなる鋼片を、Ac3変態点以上、1
    250℃以下の温度に加熱し、Ar3変態点以上の温度で
    熱間圧延を終了した後、5℃/秒以上の冷却速度で65
    0℃以下まで加速冷却した後、500℃以上、Ac1変態
    点以下に焼戻すことを特徴とする低降伏比高張力鋼板の
    製造方法。
  4. 【請求項4】 重量%で、 C :0.01〜0.20% Si:0.03〜1.0% Mn:0.30〜2.0% P :0.008%以下 S :0.005%以下 Al:0.005〜0.1% N :0.001〜0.006% Ti:0.005〜0.020% O :0.001〜0.010% を含有し、PとNの含有量の合計が0.01%以下で、
    さらにMg,Ca,Yの1種または2種以上を添加量の
    合計として、0.002〜0.01%添加した残部鉄お
    よび不可避不純物よりなる鋼片を熱間圧延により鋼板
    とした後、Ac3変態点以上、1000℃以下の温度に再
    加熱して焼入れ処理を行い、引き続き500℃以上、A
    C1変態点以下に焼戻すことを特徴とする低降伏比高張力
    鋼板の製造方法。
  5. 【請求項5】 重量%で、 C :0.01〜0.20% Si:0.03〜1.0% Mn:0.30〜2.0% P :0.008%以下 S :0.005%以下 Al:0.005〜0.1% N :0.001〜0.006% Ti:0.005〜0.020% O :0.001〜0.010% を含有し、PとNの含有量の合計が0.01%以下で、
    さらにMg,Ca,Yの1種または2種以上を添加量の
    合計として、0.002〜0.01%添加した残部鉄お
    よび不可避不純物よりなる鋼片を熱間圧延により鋼板
    とした後、Ac3変態点以上、1000℃以下の温度に再
    加熱して焼ならし処理を行ない、その後は放冷以下の冷
    却速度で冷却することを特徴とする低降伏比高張力鋼板
    の製造方法。
  6. 【請求項6】 鋼片は、さらに重量%で、 Cr:0.01〜0.50% Ni:0.01〜3.0% Mo:0.01〜0.50% Cu:0.01〜1.5% V :0.005〜0.20% Nb:0.003〜0.05% B :0.0003〜0.0020% の1種または2種以上を含有することを特徴とする請求
    項1から5のいずれかに記載の低降伏比高張力鋼板の製
    造方法。
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